JP2661871B2 - 含フッ素ケイ素化合物の製造法 - Google Patents

含フッ素ケイ素化合物の製造法

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JP2661871B2
JP2661871B2 JP6034741A JP3474194A JP2661871B2 JP 2661871 B2 JP2661871 B2 JP 2661871B2 JP 6034741 A JP6034741 A JP 6034741A JP 3474194 A JP3474194 A JP 3474194A JP 2661871 B2 JP2661871 B2 JP 2661871B2
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silicon compound
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章 関屋
星  信人
勉 小林
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Asahi Kasei Corp
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Agency of Industrial Science and Technology
Daikin Kogyo Co Ltd
Asahi Kasei Kogyo KK
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【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、洗浄剤、繊維などのコ
ーティング剤、熱交換媒体、高温作動流体、潤滑油の添
加剤等に用い得る含フッ素ケイ素化合物の製造法に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】一般にジ〜テトラアルコキシシラン類
は、ピリジン、トリエチルアミン等の3級アミン存在下
または非存在下、ジ〜テトラクロロシランと相当するア
ルコールとの反応により製造される(例えば、J.Po
laら、Collect.Czech.Chem.Co
mmun.,44巻、750〜755頁、1979
年)。1級の含フッ素アルコールもまた同様にクロロシ
ラン類と反応し、相当するアルコキシシラン化合物を与
える(例えば、K.Swamyら、J.Am.Che
m.Soc.1990年,112巻,2341〜234
8頁)。しかしながら、2級または3級の含フッ素アル
コールはそのままではクロロシラン類とは反応せず、ア
ルコールをアルコキシドにすることではじめてクロロシ
ランとの反応が可能となる。このような方法の例として
は、米国特許第3775453号や、K.S.Mazd
iyasniら(Inorg.Chem.,10巻、8
89〜892頁、1971年)において、テトラキス
(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロイソプロポ
キシ)シランの合成が、また米国特許第3668233
号においては、ジメチルビス(ノナフルオロ−t−ブト
キシ)シランの合成が報告されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
2級または3級の含フッ素アルコールのアルコキシドは
調製のための操作が煩雑である上、調製中や脱水のため
に加熱すると急激に分解することがあり、取扱いが危険
なものであった。さらにこの場合、通常は溶媒が用いら
れることから反応後に溶媒との分離操作が必要であり、
またクロロシランとの反応で生成する塩との分離のため
の操作も必要であった。そこで本発明は、上記従来技術
の現状に鑑み、完全且つ簡便に2級または3級の含フッ
素アルコキシ基を有するビス〜テトラキス(フルオロア
ルコキシ)シランを製造する新規な方法の開発を目的に
なされたものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、アルコキ
シドを経ることなく、ビス〜テトラキス(フルオロアル
コキシ)シランを製造する方法について鋭意研究を重ね
た結果、2級または3級の含フッ素アルコールとジ〜テ
トラアミノシランとを反応せしめることにより、極めて
容易に相当するアルコキシシランが製造できることを見
出した。即ち、本発明は下記一般式(I)
【0005】
【化4】
【0006】で表わされる含フッ素アルコールと、下記
一般式(II)
【0007】
【化5】
【0008】で表わされるアミノシランとを反応せしめ
ることにより、下記一般式(III)
【0009】
【化6】
【0010】で表わされる含フッ素ケイ素化合物の新規
な製造法を提供するものである。ここで、一般式(I)
で表わされる2級または3級の含フッ素アルコールとし
ては、具体的には1,1,1,3,3,3−ヘキサフル
オロイソプロパノール、ノナフルオロ−t−ブチルアル
コール、1,1,3,3−テトラフルオロイソプロパノ
ール、1,1−ビス(トリフルオロメチル)エタノー
ル、1,1,1,3,3,4,4,4−オクタフルオロ
−2−ブタノール、2,2,3,3,3−ペンタフルオ
ロ−1,1−ビス(トリフルオロメチル)プロパノー
ル、2,2,2−トリフルオロ−1−(トリフルオロメ
チル)−1−トリルエタノール等が挙げられる。
【0011】また、一般式(II)で表わされるジ〜テト
ラアミノシランとしては、具体的にはビス(ジメチルア
ミノ)ジメチルシラン、ビス(ジエチルアミノ)ジメチ
ルシラン、メチルトリス(ジメチルアミノ)シラン、テ
トラキス(ジメチルアミノ)シラン、ビス(ジメチルア
ミノ)メチルシラン、ビス(エチルアミノ)ジメチルシ
ラン、トリス(ジメチルアミノ)シラン、テトラキス
(ジエチルアミノ)シラン、ビス(ジメチルアミノ)メ
チルビニルシラン、ビス(ブチルアミノ)ジメチルシラ
ン、フェニルトリス(ジメチルアミノ)シラン、ジピペ
リジノメチルビニルシラン、ジアニリノジメチルシラ
ン、ビス(ジメチルアミノ)ジフェニルシラン、メチル
トリピペリジノシラン、メチルトリス(トクロヘキシル
アミノ)シラン、ジアニリノジフェニルシラン等が挙げ
られるが、反応によって生成するアミンが低沸点である
アミノシラン、メチルアミノシラン、ジメチルアミノシ
ラン、エチルアミノシラン、ジエチルアミノシラン等
が、生成したアミンが系外に除去されるので好ましい。
【0012】本発明の方法により製造することができ
る、一般式(III)で表わされる含フッ素ケイ素化合物
としては、具体的にはビス(1,1,1,3,3,3−
ヘキサフルオロイソプロポキシ)ジメチルシラン、トリ
ス(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロイソプロ
ポキシ)メチルシラン、テトラキス(1,1,1,3,
3,3−ヘキサフルオロイソプロポキシ)シラン、ジメ
チルビス(ノナフルオロ−t−ブトキシ)シラン、メチ
ルトリス(ノナフルオロ−t−ブトキシ)シラン、ビス
(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロイソプロポ
キシ)ジフェニルシラン、ビス(1,1,1,3,3,
3−ヘキサフルオロイソプロポキシ)メチルシラン、ト
リス(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロイソプ
ロポキシ)シラン、ビス(1,1,1,3,3,3−ヘ
キサフルオロイソプロポキシ)メチルビニルシラン、テ
トラキス(1,1,3,3−テトラフルオロイソプロポ
キシ)シラン、ビス〔1,1−ビス(トリフルオロメチ
ル)エトキシ〕ジメチルシラン、ビス(1,1,1,
3,3,4,4,4−オクタフルオロ−2−ブトキシ)
ジメチルシラン、メチルトリス〔2,2,3,3,3−
ペンタフルオロ−1,1−ビス(トリフルオロメチル)
プロポキシ〕シラン、ジフェニルビス〔2,2,2−ト
リフルオロ−1−(トリフルオロメチル)−1−トリル
エトキシ〕シラン等が挙げられる。
【0013】反応の条件としては、含フッ素アルコール
とジ〜テトラアミノシランを混合するだけでよく、必要
に応じて加熱せしめる。両者の混合は、アミノシランに
含フッ素アルコールを加えても、この逆でもよいが、急
激な発熱を防ぐためには室温以下で徐々に加えるのが好
ましい。溶媒は必ずしも必要ではないが、溶媒を用いる
場合には、ヘキサン、オクタン等の炭化水素、ベンゼ
ン、トルエン等の芳香族炭化水素、エーテル等を用いる
ことができる。含フッ素アルコールとジ〜テトラアミノ
シランの比率は当量でよいが、含フッ素アルコールをわ
ずかに過剰に用いることで反応中間体を残存させること
なく反応を完結させることもできる。
【0014】反応の温度は、原料の種類、溶媒の有無や
種類、その他の条件により必ずしも一定ではないが、室
温から反応の進行に従って徐々に高めるのが好ましく、
特に反応によって生成するアミンが低沸点である場合に
は、反応の最後に加熱還流によってアミンを完全に系外
に除去することが好ましい。アルコキシドを経る製造法
では、生成する塩との分離操作が必要であるが、本発明
の方法によれば、反応で得られる含フッ素ケイ素化合物
は、簡単な蒸留操作のみによって分離精製することがで
きる。特に無溶媒の場合で、反応によって生成するアミ
ンが低沸点の場合には、反応混合物は十分に高純度であ
り、無精製あるいは単蒸留によって目的の化合物をほぼ
純品で得ることができる。
【0015】
【実施例】以下、本発明の実施例を示すが、本発明はこ
れに限定されるものではない。 実施例1 トリス(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロイソ
プロポキシ)メチルシランの合成 トリス(ジメチルアミノ)メチルシラン87.7g
(0.5モル)に、1,1,1,3,3,3−ヘキサフ
ルオロイソプロパノール252g(1.5モル)を室温
で3時間かけて滴下した。ガスの発生が激しくならない
程度に5時間かけて徐々に温度を上げ、150℃で還流
させながら6時間反応させた。反応液を、精留管を付け
て蒸留して標記化合物を得た。生成物の構造はNMR,
IRスペクトル、マススペクトルにより確認した。収量
250g(収率92%)。沸点147〜148℃。
【0016】1H−NMRスペクトル;δ(CDC
3):0.52ppm(s,1H),4.58ppm
(sep,J=5.3Hz,1H)。19 F−NMRスペクトル;δ(CDCl3):−76.
43ppm(d,J=5.5Hz)。 IRスペクトル;1379,1304,1234,12
04,1157,1110,903,689cm-1。 GC−MS(CI);(M+H)+393 比較例1 トリクロロメチルシラン15.0g(0.1モル)に、
1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロイソプロパノ
ール50.4g(0.3モル)を加え、7日間加熱還流
させたが痕跡量しか反応しなかった。
【0017】実施例2 テトラキス(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ
イソプロポキシ)シランの合成 テトラキス(ジメチルアミノ)シラン50g(0.24
5モル)に、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ
イソプロパノール168g(1.0モル)を室温で1時
間かけて滴下した。2時間かけて徐々に温度を上げ、1
30〜160℃で6日間反応させた。反応液を精留管を
付けて3回蒸留して標記化合物を得た。生成物の構造は
NMR,IRスペクトルにより確認した。収量79g
(収率46%)。沸点161.5℃(文献値158
℃)。
【0018】1H−NMRスペクトル;δ(アセトン−
6):5.42ppm(t like,J=5.1H
z)。19 F−NMRスペクトル;δ(アセトン−d6):−7
5.26ppm(d,J=5.5Hz)。 IRスペクトル;1381,1307,1236,12
09,1158,1113,904,690cm-1
【0019】比較例2 テトラクロロシラン10g(0.06モル)に、1,
1,1,3,3,3−ヘキサフルオロイソプロパノール
40g(0.24モル)を加え、一夜加熱還流させたが
反応しなかった。この混合物を室温まで冷却し、n−ヘ
キサン50mlを加えて希釈した後、トリエチルアミン
24g(0.24モル)を滴下した。このとき激しく反
応し、白色沈殿を生成した。60℃で4時間反応した
後、濾過して濾液を蒸留したが、目的のテトラキス
(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロイソプロポ
キシ)シランは全く得られなかった。
【0020】実施例3 ジメチルビス(ノナフルオロ−t−ブトキシ)シランの
合成 ビス(ジメチルアミノ)ジメチルシラン13.2g
(0.09モル)に、ノナフルオロ−t−ブチルアルコ
ール47.2g(0.2モル)を室温で滴下した。徐々
に温度を上げ、150℃で還流させながら18時間反応
させた。反応液を精留管を付けて蒸留して標記化合物を
得た。生成物の構造はNMR,IRスペクトルにより確
認した。収量41.4g(収率87%)。沸点143〜
148℃(文献値146℃)。
【0021】1H−NMRスペクトル;δ(CDC
3):0.44ppm(s)。19 F−NMRスペクトル;δ(CDCl3):−74.
25ppm(s)。 IRスペクトル;1345,1256,1227,11
93,977,895,817,729cm-1
【0022】
【発明の効果】以上、説明したように、本発明の方法に
よれば、取扱いが危険なアルコキシドを経由することな
く、2級または3級の含フッ素アルコキシ基を有するビ
ス〜テトラキス(フルオロアルコキシ)シランを、完全
に、且つ極めて容易に製造することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (73)特許権者 000002853 ダイキン工業株式会社 大阪府大阪市北区中崎西2丁目4番12号 梅田センタービル (74)上記2名の代理人 弁理士 小松 秀岳 (外3名 ) (72)発明者 関屋 章 茨城県つくば市東1丁目1番 工業技術 院物質工学工業技術研究所内 (72)発明者 星 信人 東京都文京区本郷2−40−17 本郷若井 ビル 財団法人 地球環境産業技術研究 機構内 (72)発明者 小林 勉 東京都文京区本郷2−40−17 本郷若井 ビル 財団法人 地球環境産業技術研究 機構内 審査官 唐木 以知良 (56)参考文献 特開 昭59−13789(JP,A) 米国特許4491669(US,A)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(I) 【化1】 で表わされる含フッ素アルコールと、下記一般式(II) 【化2】 で表わされるアミノシランとを反応せしめることを特徴
    とする、下記一般式(III) 【化3】 で表わされる含フッ素ケイ素化合物の製造法。
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WO2023176705A1 (ja) 2022-03-17 2023-09-21 コニカミノルタ株式会社 インクジェットヘッド用部材、インクジェットヘッド用部材の製造方法及びインクジェットヘッド

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