JP2660516B2 - シリコン単結晶引上げ用黒鉛ルツボ - Google Patents

シリコン単結晶引上げ用黒鉛ルツボ

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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 この発明はシリコン単結晶引上げ用黒鉛ルツボに関す
る。 従来の技術 炭素材料は熱や電気の良導体であり、耐熱性にすぐ
れ、特に高温での強度劣化などがないことから高温用構
造材料や機械用材料として使用されている。 他方、炭素材料は多孔性であるため機械的強度か十分
ではなく、容易に酸化されて消耗するといった欠点をも
っている。このため、これまで多くの研究者が、できる
だけ高密度にすることによって、すぐれた特性の炭素材
料を開発しようと永年努力を重ねてきた。一般的に炭素
材料を高密度化するには、骨材粒子の充填密度を大きく
したり、密度の高い骨材を用いたりしていた。さらに気
孔へのピッチ含浸処理を行うことなどが考えられてい
た。たとえば、従来は容器内に含浸液と炭素成形体を載
置して加圧空気を利用して含浸液を直接加圧する方法に
よって高密度炭素材が製造されていた。その際に含浸液
を80℃以上に加熱したうえで加圧空気の圧力を20Kg/cm2
以下に設定していた。 発明が解決しようとする問題点 しかし、耐用寿命が短い欠点があった。 発明の目的 この発明の目的は耐用寿命の長いシリコン単結晶引上
げ用黒鉛ルツボを提供することである。 発明の要旨 前述の目的を達成するために、本発明はかさ密度が1.
5〜2.0g/cm3、見掛け気孔率が0.1〜7.0%、空気透過率
が0〜1.0×10-4ml・cm/cm2・sec・cmであることを特徴
とするシリコン単結晶引上げ用黒鉛ルツボを要旨として
いる。 問題点を解決するための手段 本発明のシリコン単結晶引上げ用黒鉛ルツボは、1.5
〜2.0g/cm3のかさ密度を有することにより黒鉛化し過ぎ
ることを防止しており、0.1〜7.0%の見掛け気孔率を有
することにより粒子間の空隙が増大し過ぎ、ひいては結
合力が低下し過ぎることを防止している。 空気透過率を1.0×10-4ml・cm/cm2・sec・cm以下とす
る根拠は、シリコン単結晶引上げ用黒鉛ルツボに存在す
る気孔の中に緻密な低密度カーボンを形成する。それに
より、シリコン単結晶引上げ時における黒鉛ルツボから
発生するガスの量を極力少なくし、引上げるシリコンイ
ンゴットに悪影響を与えないためである。また、このよ
うな見掛け気孔率を有することにより、黒鉛ルツボとい
て使用したとき、シリコン単結晶引上げ時におけるスポ
ーリングの吸収等に役立つようにしている。 要するに、本発明のシリコン単結晶引上げ用黒鉛ルツ
ボでは、見掛け気孔は存在するが、空気透過はほとんど
ない。即ち、密閉気孔だけが存在する。そのため耐スポ
ーリング性にすぐれているのである。 このようなシリコン単結晶引上げ用黒鉛ルツボをつく
るには、まず炭素成形体に含浸液を含浸する際に油、ア
ルコールや水などの圧力伝達液を利用して含浸液に含浸
圧力を付与する。好ましくはラバープレス法で含浸し、
かつ含浸圧力を50Kg/cm2以上にする。 たとえば含浸液としては、タールピッチ又はレジン、
フリフリルアルコールなどの熱硬化性樹脂がある。 含浸圧力は、20Kg/cm2以上、とくに50Kg/cm2以上が望
ましい。 含浸の際には、含浸液と圧力伝達液(たとえば水、ア
ルコールや油)との間に伸縮性のある材料(たとえばラ
バー)を介在させた状態で含浸液に圧力伝達液の方から
含浸圧力を加える。最善の方法は含浸液をラバープレス
法で含浸させる方法である。冷間のラバープレスでもよ
いが、含浸液としてタールピッチ等を使用する場合は10
0〜280℃に加温してから前記含浸させると効果が大とな
る。 実施例 カーボン成形体の一例として表−1に示す4種類の炭
素成形体を使用し、第1図に示す冷間静水圧プレス式の
含浸装置1を使用して、それらの炭素成形体にフリフリ
ルアルコールを含浸して黒鉛ルツボをつくった。 第1図において、耐圧容器1内に水2を収容し、その
水2の中にラバー3を介してフリフリルアルコール4を
入れ、そこに炭素成形体5を配置する。まずラバー3内
を10分間で30torrまで減圧し、そのあと水2を加圧して
300Kg/cm2以上の含浸圧力をフリフリルアルコール4に
約1分間付与し、それを炭素成形体5に含浸させ、しか
るのち10℃/時間の昇温速度で200℃まで加熱して硬化
させ、さらに炉内で8℃/時間の昇温速度で950℃まで
加熱し、最後に2300℃で純化処理を行う。それにより、
表−2に示すような高密度炭素材料製のルツボを得た。 表−1の実施例2,3のサンプルについて含浸圧力1,50,
500,1000,1500Kg/cm2の5水準とし、かさ密度に及ぼす
影響を第2図に示す。第2図から明らかなように、含浸
圧力1Kg/cm2の場合は、フリフリルアルコールが内部の
気孔まで含浸されず、かさ密度の増加はあまり望めな
い。しかし、含浸圧力が50Kg/cm2以上では、かさ密度の
増加が著しい。すなわち含浸圧力は50Kg/cm2以上が妥当
であることがわかった。 第3図は含浸回数とかさ密度との関係を示す。なお、
含浸条件は1、2回とも含浸圧力は1500Kg/cm2であっ
た。 第3図より明らかなように、従来の低圧ピッチ含浸法
では、1回の含浸でかさ密度は数%増加するにとどま
り、それ以後は含浸−焼成サイクルを重ねても効率は次
第に悪くなる。ところが、高圧含浸のものは2回含浸ま
でそれぞれ1.91g/cm3、1.96g/cm3と増え、従来の低圧ピ
ッチ含浸法よりも数段含浸効率が良くなる。これは、従
来の低圧ピッチ含浸法は1回の含浸で大きい気孔を埋め
るが、2回目以降は圧力等の関係であまり含浸されな
い。高圧含浸法では、少ない含浸回数でも高密度にでき
ることがわかった。 表−3は、本発明の実施例と比較するために製造した
比較例(黒鉛ルツボ)の実験結果を示している。比較例
においては、かさ密度、見掛け気孔率、空気透過率のう
ち少くとも1つが本発明の範囲外となっている。本発明
と比較例においてはルツボの使用回数とガス放出量に格
段の差が生じた。 本発明では、空気透過率は0〜1.0×10-4ml・cm/cm2
・sec・cmと少ないが、見掛け気孔率な0.1〜7.0%存在
する。この見掛け気孔率が存在することによりスポーリ
ングに強くなっている。また同時に、放出するガス量も
少ない。それゆえ、ルツボとして使用したとき、引上げ
るシリコンインゴットに悪影響を与えない。これらのこ
とより、ルツボの使用回数が数段向上した。 なお、実験では、前述のルツボを使って、35kgの高純
度シリコンを溶融し、約1mm/min.の条件で結晶方位(10
0)の直径5インチのシリコン単結晶をくり返し引上げ
た。ルツボの使用回数はクラックの発生した時点までの
使用回数を示している。放出ガス量は室温〜950℃で測
定した。
【図面の簡単な説明】 第1図は本発明のシリコン単結晶引上げ用黒鉛ルツボを
製造するための含浸装置の一例を示す概略説明図、第2
図は圧力とかさ密度の関係を示す図、第3図は含浸回数
とかさ密度の関係を示す図である。 1……耐圧容器 2……水 3……ラバー 4……フルフリルアルコール 5……炭素成形体
フロントページの続き (72)発明者 佐々木 泰実 山形県西置賜郡小国町大字小国町378番 地 東芝セラミックス株式会社小国製造 所内 (56)参考文献 特開 昭62−283868(JP,A) 特開 昭51−83004(JP,A) 窯業協会編「窯業工学ハンドブック」 (昭41−12−25) 株式会社技報堂 (P.1889−1890)

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 1.かさ密度が1.5〜2.0g/cm3、見掛け気孔率が0.1〜7.
    0%、空気透過率が0〜1.0×10-4ml・cm/cm2・sec・cm
    であることを特徴とするシリコン単結晶引上げ用黒鉛ル
    ツボ。
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