JP2659431B2 - 複層塗膜の形成法 - Google Patents

複層塗膜の形成法

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、塗装性の改良された複層塗膜の形成法に関
する。さらに詳しくは、加水分解性シリル基および(ま
たは)シラノール基を含有する化合物ならびに複層仕上
塗材の主材を含む組成物を塗装したのち、上塗材として
加水分解性シリル基を有するビニル系重合体を主体とす
る組成物を塗布することを特徴とする複層塗膜の形成法
に関する。
〔従来の技術・発明が解決しようとする課題〕
加水分解性シリル基含有ビニル系重合体が常温で硬化
し、コンクリート、ガラス、鋼板、アルミニウムなどの
無機物に対する密着性がよく、耐候性の優れた樹脂であ
ることが見出され、すでに特許出願されている(特開昭
54−36395号公報など)。
しかしながら、このビニル系重合体も有機物に対する
密着性は必ずしも満足しうるものではなく、複層塗装を
行ない複層塗膜を形成するばあい、中塗主材の上に上塗
りがされるが、そのばあい上塗りは1日から数日おいて
重ね塗りされる。その重ね塗り時にリフティング(チヂ
ミ)を起こすことがある。
〔課題を解決するための手段〕
本発明者らは上記問題点を解決すべく鋭意研究を重ね
た結果、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、加水分解性シリル基および(また
は)シラノール基を含有する化合物ならびに複層仕上塗
材の主材を含む組成物を塗装したのち、主鎖が実質的に
ビニル系重合鎖からなり、加水分解性シリル基を1分子
中に少なくとも1個有するビニル系重合体および硬化触
媒からなる常温硬化性樹脂組成物を塗布することを特徴
とする複層塗膜の形成法に関する。
〔実施例〕
本発明においては、まず加水分解性シリル基および
(または)シラノール基を含有する化合物(以下、化合
物(I)ともいう)ならびに複層仕上塗材の主材を含む
組成物が塗装される。化合物(I)は上塗材の加水分解
性シリル基と反応して密着性を向上させるものであり、
化合物(I)を含有する組成物を塗装し、上塗材を塗布
したばあいにリフティングをおこさなくなるまでの期間
を短かくすることができ、塗装作業性を大幅に改善する
ことができる。
前記加水分解性シリル基を含有する化合物の代表例と
しては、たとえばテトラメトキシシラン、トリメトキシ
シラン、テトラエトキシシラン、トリエトキシシラン、
テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、テト
ラオクトキシシラン、テトラキス(2−メトキシエトキ
シ)シラン、テトラベンジルオキシシラン、メチルトリ
メトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、メチルト
リエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジメ
チルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジ
フェニルジエトキシシラン、γ−イソシアネートプロピ
ルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビ
ニルトリエトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメト
キシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラ
ン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2
−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、
γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メ
タクリロキシプロピルトリメトキシシランのごときアル
コキシシラン類;テトライソプロペニルオキシシラン、
フェニルトリイソプロペニルオキシシラン、γ−イソシ
アネートプロピルトリイソプロペニルオキシシラン、γ
−メタクリロキシプロピルトリイソプロペニルオキシシ
ラン、γ−メルカプトプロピルトリイソプロペニルオキ
シシラン、テトラブテニルオキシシランのごときアルケ
ニルオキシシラン類;テトラアセトキシシラン、メチル
トリアセトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリア
セトキシシラン、テトラプロピオニルオキシシラン、フ
ェニルトリプロピオニルオキシシラン、ビニルトリアセ
トキシシランのごときアシロキシシラン類;テトラクロ
ロシラン、フェニルトリクロロシラン、テトラブロモシ
ラン、ベンジルトリブロモシランのごときハロシラン
類;テトラキス(ジメチルイミノオキシ)シラン、メチ
ルトリス(ジメチルイミノオキシ)シラン、テトラキス
(メチル−エチルイミノオキシ)シラン、γ−メタクリ
ロキシプロピルトリス(ジメチルイミノオキシ)シラ
ン、γ−メルカプトプロピルトリス(ジメチルイミノオ
キシ)シランのごときイミノオキシシラン類;前述のご
ときアルコキシシラン類を部分加水分解縮合させてえら
れるアルコキシシリル基含有シロキサンオリゴマー類;
前述のごときアルケニルオキシシラン類を部分加水分解
縮合させてえられるアルケニルオキシ基含有シロキサン
オリゴマー類;前述のγ−メタクリロキシプロピルトリ
メトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルト
リアセトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリ
アセトキシシランのごとき各種の加水分解性シリル基含
有ビニル系単量体の単独重合体または該単量体類と共重
合可能な単量体類との共重合体(加水分解性シリル基が
1分子中に少なくとも1個含まれているのが好ましい)
類;前述のγ−メルカプトプロピルトリメトキシシラ
ン、γ−メルカプトプロピルトリイソプロペニルオキシ
シラン、γ−メルカプトプロピルトリアセトキシシラン
のごとき加水分解性シリル基を含有するメルカプタン類
を連鎖移動剤として使用し、必要に応じて前述のごとき
各種の加水分解性シリル基含有ビニル系単量体を含んだ
ビニル系単量体を(共)重合させてえられる末端に加水
分解性シリル基を含有するビニル系重合体類(加水分解
性シリル基が1分子中に少なくとも1個含まれているの
が好ましい);多価アルコール類、水酸基含有アクリル
樹脂、水酸基含有アルキド樹脂、水酸基含有ポリエステ
ル樹脂またはポリエーテルポリオールのごとき各種のポ
リヒドロキシ化合物と前述のごときアルコキシシラン類
をはじめとする各種の加水分解性シリル基含有化合物と
を、特開昭58−168625号公報に開示されているごとき方
法に従って反応させてえられる樹脂類(加水分解性シリ
ル基が1分子中に少なくとも1個含まれているのが好ま
しい);ジアリルサクシネート、トリアリルトリメリテ
ート、ジアリルフタレートのごとき低分子量のポリアリ
ル化合物、不飽和結合含有ビニル系重合体、不飽和結合
含有ポリエステル樹脂、不飽和結合含有アルキド樹脂の
ごとき各種の不飽和結合化合物と、トリメトキシシラ
ン、トリエトキシシランのごとき加水分解性シリル基含
有ヒドロシラン類との付加物類(加水分解性シリル基が
1分子中に少なくとも1個含まれているのが好まし
い);エポキシ基含有ビニル系重合体、エポキシ樹脂の
ごとき各種のエポキシ基含有化合物と前述のごとき各種
のメルカプトシラン類との付加物類(加水分解性シリル
基が1分子中に少なくとも1つ含まれているのが好まし
い);γ−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン
やγ−イソシアネートプロピルトリイソプロペニルオキ
シシランのごとき各種のイソシアネート基をもった加水
分解性シリル基含有化合物と、前述のごとき各種のポリ
ヒドロキシ化合物とを反応させてえられるウレタン結合
含有樹脂類(加水分解性シリル基が1分子中に少なくと
も1個含まれているのが好ましい);さらには分子末端
に加水分解性シリル基を含有するシリコーン樹脂(加水
分解性シリル基が1分子中に少なくとも1個含まれてい
るのが好ましい)などがあげられる。
また、前記シラノール基を含有する化合物の代表例と
しては、たとえばメチルトリクロロシラン、フェニルト
リクロロシラン、エチルトリクロロシラン、ジメチルジ
クロロシラン、ジフェニルジクロロシランのごときハロ
シラン類をほぼ完全に加水分解させてえられるような低
分子量のシラノール化合物;これらのシラノール化合物
をさらに脱水縮合させてえられるシラノール基を有する
ポリシロキサン類;前述のごとき各種のアルコキシシラ
ン類やアルケニルオキシシラン類のごとき化合物を加水
分解縮合させてえられるシラノール基を有するポリシロ
キサン類;末端にシラノール基を有するシリコーン樹
脂;「トーレシリコーンSH−6018」〔東レシリコーン
(株)製品〕などで代表されるような環状シロキサン構
造を有するシラノール化合物;水またはアルコールを分
散媒としたコロイダルシリカ類、シリカ粒子などがあげ
られる。
化合物(I)および複層仕上塗材の主材を含む組成物
が調製される際に使用される複層塗材の主材にはとくに
限定はなく、セメント系、ポリマーセメント系、ケイ酸
質系、合成樹脂エマルジョン系、反応硬化型合成樹脂エ
マルジョン系、合成樹脂溶液系のものなどが用いられ
る。これらのうちでは耐溶剤性が不充分な防水型複層仕
上塗材のポリマーセメント系または合成樹脂エマルジョ
ン系のものを用いたばあい、とくに化合物(I)の添加
効果が顕著である。
化合物(I)と複層仕上塗材の主材とから組成物を調
製する際の化合物(I)と複層仕上塗材の主材との配合
割合としては、複層仕上塗材の主材(固形分)100部
(重量部、以下同様)に対して化合物(I)が0.01〜10
00部、好ましくは0.5〜100部である。
化合物(I)および被層仕上塗材の主材を含む組成物
が塗装されて形成される塗膜の厚さなどにはとくに限定
はないが、乾燥塗膜厚として1〜5mm程度が好ましい。
該膜厚が1mm未満になると防水、ガス透過防止、下地コ
ンクリートの中性化防止などの機能が低下する傾向があ
り、5mmをこえると乾燥が不充分となる傾向がある。
化合物(I)の添加効果はJIS A 6910に規定された防
水型複層仕上塗材(20℃で伸びが120%以上で、−10℃
で伸びが20%以上)で顕著である。
本発明においては前記化合物(I)を含む組成物が塗
装されたのち、主鎖が実質的にビニル系重合鎖からな
り、末端および(または)側鎖に加水分解性基と結合し
たケイ素原子を1分子中に少なくとも1個有するシリル
基含有ビニル系重合体(加水分解性シリル基を1分子中
に少なくとも1個有するビニル系重合体)および硬化触
媒からなる常温硬化性組成物が塗布される。
前記常温硬化性組成物は塗膜に着色、光沢の付与、耐
候性、耐薬品性の向上、吸水防止、ガス透過防止なる性
質を付与するために塗布されるものであり、該組成物が
加水分解性シリル基含有ビニル系重合体を主体とする組
成物であるため、とくに耐候性に優れるという特徴が生
じる。
前記加水分解性シリル基含有ビニル系重合体には少な
くとも1個、好ましくは2個以上の加水分解性シリル基
が、強固な架橋を形成するために含有されるが、分子量
などにはとくに限定はなく、通常3000〜50000程度、好
ましくは5000〜30000程度のものが使用される。
前記加水分解性シリル基含有ビニル系重合体は、たと
えばビニルモノマーと加水分解性シリル基含有モノマー
との共重合によりえられ、主鎖または側鎖にウレタン結
合やシロキサン結合を一部(主鎖が実質的にビニル系重
合鎖からなる範囲で)含んでいてもよい。
前記ビニルモノマーにはとくに限定はなく、たとえば
メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレ
ート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシ
ル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレ
ート、ベンジル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル
(メタ)アクリレート、トリフロロエチル(メタ)アク
リレート、ペンタフロロプロピル(メタ)アクリレー
ト、ポリカルボン酸(マレイン酸、フマル酸、イタコン
酸など)の炭素数1〜20の直鎖または分岐のアルコール
とのジエステルまたはハーフエステルなどの不飽和カル
ボン酸のエステル;スチレン、α−メチルスチレン、ク
ロロスチレン、スチレンスルホン酸、4−ヒドロキシス
チレン、ビニルトルエンなどの芳香族炭化水素系ビニル
化合物;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ジアリルフ
タレートなどのビニルエステルやアリル化合物;(メ
タ)アクリロニトリルなどのニトリル基含有ビニル化合
物;グリシジル(メタ)アクリレートなどのエポキシ基
含有ビニル化合物;ジメチルアミノエチル(メタ)アク
リレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレー
ト、ビニルピリジン、アミノエチルビニルエーテルなど
のアミノ基含有ビニル化合物;(メタ)アクリルアミ
ド、イタコン酸ジアミド、α−エチル(メタ)アクリル
アミド、クロトンアミド、マレイン酸ジアミド、フマル
酸ジアミド、N−ビニルピロリドン、N−ブトキシメチ
ル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルア
ミド、N−メチルアクリルアミド、アクリロイルモルホ
リンなどのアミド基含有ビニル化合物;2−ヒドロキシエ
チル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル
(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチルビニルエ
ーテル、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、アロ
ニクス5700(東亜合成(株)製)、Placcel FA−1、Pl
accel FA−4、Placcel FM−1、Placcel FM−4(以上
ダイセル化学(株)製)などの水酸基含有ビニル化合
物;(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタ
コン酸、それらの塩(アルカリ金属塩、アンモニウム
塩、アミン塩など)、無水マレイン酸などの不飽和カル
ボン酸、酸無水物、またはその塩;ビニルメチルエーテ
ル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、クロロプレン、プロ
ピレン、ブタジエン、イソプレン、マレイミド、N−ビ
ニルイミダゾール、ビニルスルホン酸などのその他のビ
ニル化合物などがあげられる。
前記加水分解性シリル基含有モノマーの具体例として
は、たとえば CH2=CHSi(OCH3、CH2=CHSiCl3CH2=CHCOO(CH23Si(OCH3CH2=CHCOO(CH23SiCl3CH2=C(CH3)COO(CH23Si(OCH3CH2=C(CH3)COO(CH23SiCl3CH2=C(CH3)COO(CH23Si(OC2H5 などがあげられる。
これら加水分解性シリル基含有モノマーとビニルモノ
マーとの共重合体の製法については、とくに限定はな
く、たとえば特開昭54−36395号公報、同57−36109号公
報、同58−157810号公報などに示される方法によればよ
く、とくにアゾビスイソブチロニトリルなどのアゾ系ラ
ジカル開始剤を用いた溶液重合法によるのが好ましい。
また必要に応じて、たとえばn−ドデシルメルカプタ
ン、t−ドデシルメルカプタン、n−ブチルメルカプタ
ン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−
メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプ
トプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプ
ロピルメチルジエトキシシラン、 (CH3O)3Si−S−S−Si(OCH3、 (CH3O)3Si−S8−Si(OCH3などの連鎖移動剤を用
いることにより、分子量を調節することができる。とく
に加水分解性シリル基を分子中に有する連鎖移動剤、た
とえばγ−メルカプトプロピルトリメトキシシランを用
いればシリル基含有ビニル系重合体の末端に加水分解性
シリル基を導入することができる。
重合溶剤は、たとえば炭化水素類(トルエン、キシレ
ン、n−ヘキサン、シクロヘキサンなど)、酢酸エステ
ル類(酢酸エチル、酢酸ブチルなど)、アルコール類
(メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブ
タノールなど)、エーテル類(エチルセロソルブ、ブチ
ルセロソルブ、セロソルブアセテートなど)、ケトン類
(メチルエチルケトン、アセト酢酸エチル、アセチルア
セトン、ジアセトンアルコール、メチルイソブチルケト
ン、アセトンなど)のごとき非反応性の溶剤であればと
くに限定はない。
前記硬化触媒の具体例としては、たとえばジブチルス
ズジラウレート、ジブチルスズジマレート、ジオクチル
スズジラウレート、ジオクチルスズジマレート、オクチ
ル酸スズなどの有機スズ化合物;リン酸、モノメチルホ
スフェート、モノエチルホスフェート、モノブチルホス
フェート、モノオクチルホスフェート、モノデシルホス
フェート、ジメチルホスフェート、ジエチルホスフェー
ト、ジブチルホスフェート、ジオクチルホスフェート、
ジデシルホスフェートなどのリン酸またはリン酸エステ
ル;アルキルチタン酸塩;有機アルミニウム;マレイン
酸、p−トルエンスルホン酸などの酸性化合物;ヘキシ
ルアミン、ジ−2−エチルヘキシルアミン、N,N−ジメ
チルドデシルアミン、ドデシルアミンなどのアミン類;
水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ性化
合物などがあげられる。これらの硬化触媒は単独で用い
てもよく、2種以上併用してもよい。
前記加水分解シリル基含有ビニル系重合体100部に対
する硬化触媒の添加量は、一般に0.01〜20部、好ましく
は0.01〜10部である。
本発明に用いる常温硬化性樹脂組成物には脱水剤は用
いても用いなくてもよいが、長期間にわたる安定性、く
り返し使用しても問題のない安定性を確保するために
は、脱水剤を用いる方が好ましい。
前記脱水剤の具体例としては、たとえばオルトギ酸メ
チル、オルトギ酸エチル、オルト酢酸メチル、オルト酢
酸エチル、メチルトリメトキシシラン、γ−メタクリロ
キシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシ
シラン、メチルシリケート、エチルシリケートなどの加
水分解性エステル化合物があげられる。これらの加水分
解性エステル化合物はシリル基含有ビニル系共重合体の
重合前に加えてもよく、また重合中に加えてもよく、さ
らに重合後加えてもよい。
また、前記常温硬化性樹脂組成物には、密着性改良成
分として1分子中に少くとも1個の加水分解性基と結合
したケイ素基を有するアミンの1種または2種以上を含
有せしめることができる。
前記密着性改良成分の具体例としては、たとえばγ−
アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピ
ルトリメトキシシラン、N−β−アミノエチル−γ−ア
ミノプロピルトリメトキシシランなどのシランカップリ
ング剤;前記アミノ基を含むシランカップリング剤とエ
チレンオキシド、ブチレンオキシド、エピクロルヒドリ
ン、エポキシ化大豆油、その他シエル社製のエピコート
828、エピコート1001などのエポキシ基を含む化合物と
の反応物などがあげられる。
前記常温硬化性樹脂組成物にはさらに、用途に応じて
各種顔料、染料、紫外線吸収剤、沈降防止剤、レベリン
グ剤などの添加剤;ニトロセルロース、セルロースアセ
テートブチレートなどの繊維素系樹脂;アルキド樹脂、
アクリル樹脂、塩化ビニル系樹脂、塩素化プロピレン系
樹脂、塩化ゴム、ポリビニルブチラールなどの樹脂を添
加することができる。
前記常温硬化性樹脂組成物を塗布する際の方法、膜厚
などにはとくに限定はないが、たとえばハケぬり、スプ
レー、ローラーなどの通常の方法で、乾燥膜厚10〜80μ
m程度、好ましくは25〜50μm程度に塗布されるのが一
般的である。
本発明においては、たとえば複層仕上塗材の主材に加
水分解性シリル基および(または)シラノール基含有化
合物を1種以上添加したものを塗装したのち加水分解性
シリル基含有ビニル系重合体を主体とする組成物を塗布
するため、主材などの加水分解性シリル基などと上塗材
などの加水分解性シリル基との間に何らかの結合が生
じ、密着性が向上することにより、リフティングをおこ
さなくなるまでの期間が短かくなると考えられる。加水
分解性シリル基および(または)シラノール基含有化合
物を複層仕上塗材の主材に含ませる方法にとくに限定は
なく、塗装時に添加してもよいし、あらかじめ添加して
おいてもよい。
上塗材などは主材塗装後、数時間以上のちに塗装する
のが密着性の点から望ましい。
つぎに本発明の方法を実施例に基づき説明する。
合成例1 撹拌装置、温度計、チッ素導入管、滴下ロートおよび
冷却管を備えた反応器にキシレン360gを仕込み、110℃
に加熱した。この反応器に、ブチルアクリレート510g、
メチルメタクリレート430g、γ−メタクリロキシプロピ
ルトリメトキシシラン48g、N−メチロールアクリルア
ミド10gおよびアゾビスイソブチロニトリル3gよりなる
溶液を3時間かけて連続添加した。モノマー添加終了
後、別に用意したアゾビスイソブチロニトリル0.5gおよ
びトルエン200gの溶液をさらに1時間かけて添加し、さ
らに1時間後重合を行ない、加水分解性シリル基含有ビ
ニル樹脂をえた。
えられた樹脂溶液の不揮発分濃度は61%であった。ま
たGPC法による数平均分子量は25,000であった。
前記加水分解性シリル基含有ビニル樹脂をPWC(全固
形分に対する顔料の重量%)30%で塗料固形分濃度60%
となるように酸化チタン(石原産業(株)製のCR−90)
を分散させ、白エナメルを調製した。分散はガラスビー
ズを用い、ペイントシェーカーで2時間分散させた。
実施例1〜6および比較例1〜2 市販されているアクリルゴム系壁面防水化粧材または
無機質弾性仕上材100部に第1表に示す添加剤10部(有
効成分)を添加してスレート上に1日後の膜厚が約2mm
になるように塗装した。室温で1日放置したのち、合成
例1でえられた白エナメルに硬化剤としてジブチルスズ
フタレートおよびN−β−アミノエチル−γ−アミノプ
ロピルトリメトキシシランを樹脂固形分100部に対して
それぞれ1部加えてシンナーで固形分濃度40%になるよ
うに希釈して前記塗膜上に乾燥膜厚が約30μmになるよ
うに塗装した。そののち、1、3、5または7日間にリ
コート試験を行ない、リフティング(チヂミ)の発生の
有無を観察した。結果を第1表に示す。
なお、第1表中の○はまったくリフティングを生じな
い、△はごく一部にリフティング発生、×は全面にリフ
ティングが発生を表わす。
第1表の結果から、本発明の方法によるばあいには、
いずれも従来の方法によるばあいよりもリフティングの
発生が少ないことがわかる。
〔発明の効果〕
本発明の方法により複層塗膜を形成すると、リフティ
ングをおこさなくなるまでの期間を短かくすることがで
き、塗装作業性を大巾に改善しうる。

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】加水分解性シリル基および(または)シラ
    ノール基を含有する化合物ならびに複層仕上塗材の主材
    を含む組成物を塗装したのち、主鎖が実質的にビニル系
    重合鎖からなり、加水分解性シリル基を1分子中に少な
    くとも1個有するビニル系重合体および硬化触媒からな
    る常温硬化性樹脂組成物を塗布することを特徴とする複
    層塗膜の形成法。
  2. 【請求項2】加水分解性シリル基および(または)シラ
    ノール基を含有する化合物および複層仕上塗材の主材を
    含む組成物の塗膜が防水型である請求項1記載の複層塗
    膜の形成法。
  3. 【請求項3】複層仕上塗材の主材がポリマーセメント系
    複層仕上塗材である請求項1または2記載の複層塗膜の
    形成法。
  4. 【請求項4】複層仕上塗材の主材が合成樹脂エマルジョ
    ン系複層仕上塗材である請求項1または2記載の複層塗
    膜の形成法。
  5. 【請求項5】加水分解性シリル基を含有する化合物がア
    ルコキシシラン類またはアルコキシシラン類の部分加水
    分解物である請求項1または2記載の複層塗膜の形成
    法。
  6. 【請求項6】シラノール基を含有する化合物がコロイダ
    ルシリカである請求項1または2記載の複層塗膜の形成
    法。
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