JP2658957B2 - 位相シフトマスク - Google Patents

位相シフトマスク

Info

Publication number
JP2658957B2
JP2658957B2 JP7511795A JP7511795A JP2658957B2 JP 2658957 B2 JP2658957 B2 JP 2658957B2 JP 7511795 A JP7511795 A JP 7511795A JP 7511795 A JP7511795 A JP 7511795A JP 2658957 B2 JP2658957 B2 JP 2658957B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
pattern
transparent
shift mask
phase shift
film
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP7511795A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH08272073A (ja
Inventor
直生 安里
伸二 石田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
NEC Corp
Original Assignee
Nippon Electric Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Electric Co Ltd filed Critical Nippon Electric Co Ltd
Priority to JP7511795A priority Critical patent/JP2658957B2/ja
Publication of JPH08272073A publication Critical patent/JPH08272073A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2658957B2 publication Critical patent/JP2658957B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は投影露光装置用フォトマ
スク、特に半導体装置の製造工程で微細パターンの形成
に用いられる位相シフトマスクに関する。
【0002】
【従来の技術】現在、半導体素子の製造工程に於いて
は、半導体基板上にパターンを形成するために光リソグ
ラフィ技術が用いられている。光リソグラフィでは、縮
小投影露光装置によりフォトマスク(透明領域と不透明
領域からなるパターンが形成された透明基板であり、縮
小率が1:1でない場合に特にレチクルとも呼ばれるが
ここではいずれもマスクと呼ぶ)のパターンを感光性樹
脂の塗布された半導体基板上に転写し、現像により所定
のパターンを得ている。従来の光リソグラフィ技術にお
いては、露光装置の高NA(開口数)化により半導体素
子パターンの微細化への対応がなされてきた。
【0003】しかし、露光装置の高NA化により解像力
は向上するものの、逆に焦点深度は減少する為、焦点深
度の点で更なる微細化が困難となっている。そこで、位
相シフトマスク技術による対応が検討されてきている。
位相シフトマスクは一般に、マスクを透過する光の位相
を制御し、結像面での光強度分布を改善する技術であ
る。
【0004】位相シフトマスクとしては、渋谷−レベン
ソン(Levenson)方式と呼ばれる、透明領域を
透過する光の位相を交互に180度位相を変える周期パ
ターンに適した方式が初めに提案された。しかし、この
方式は適用できるパターンの制限が厳しかったため、そ
の後、補助パターン、リム等の他の方式が提案されてき
た。また、特にコンタクトホールパターンは、従来から
焦点深度が狭いという問題があり位相シフトマスクによ
る改善の要求が強く、補助パターン方式、リム方式およ
びハーフトーン方式(例えば特開平4−162039号
公報)等が検討されてきた。なかでもハーフトーン方式
の位相シフトマスクは、マスク作成が他の方式と比べて
容易であるため、特に注目されている。
【0005】次に、通常のフォトマスクと比較して、こ
れら位相シフトマスクを図面を用いて説明する。図8
(a)〜(c)は通常の一般的マスクの平面図、B−B
線断面図及びマスク透過直後の透過光の振幅を示す図で
ある。マスクのパターンは以下の位相シフトマスクを含
め1つのコンタクトホールパターンを示す。通常のマス
クは図8(a),(b)に示すように、石英等の透明基
板1上に70〜100nm厚のクロム(Cr)および酸
化クロム(CrO)の遮光膜3が成膜され、選択的に遮
光膜3を除去することにより透明領域6と遮光領域8か
らなるパターンが形成されている。そして、マスクを透
過する光の振幅は透明領域で一定値,遮光領域で零とな
る。
【0006】図9(a)〜(c)は補助パターン方式の
位相シフトマスクの平面図,C−C線断面図及び透過光
の振幅である。図9(a),(b)に示すように、半導
体素子上に転写されるべき第1の透明領域6A(コンタ
クトホールパターン)の周辺の透明基板1上に、露光装
置の限界解像度以下の第2の透明領域6Bが遮光膜3で
囲まれて形成され、かつこの第2の透明領域6B上の透
明膜4を用いて第1の透明領域6Aを透過する光と第2
の透明領域6Bを透過する光にお互いに180度の位相
差を与えるている。なお、この位相差を与える透明膜4
は位相シフターあるいは単にシフターと呼ばれることも
ある。光は伝達する物質中では波長が1/n(nはその
物質の屈折率)となるので、空気と透明膜中の光路長の
違いにより透明膜4を透過する光と透明膜4を透過しな
い光に位相差を生じさせることができる。透明膜4によ
り生じる位相差θは、θ=360t(n−1)/λ(こ
こでλは露光光の波長,nは透明膜材料の屈折率,tは
透明膜の膜厚)であたえられる。よって、180度の位
相差とするため透明膜4の膜厚tは、t=λ/2(n−
1)と設定される。
【0007】一般に、この透明膜4の材料としては、S
iO2 (スパッタ法およびCVD法による成膜、あるい
はSOGのスピンコート法による成膜)が用いられ、こ
の場合の屈折率nはその成膜条件により多少異なるが、
i線(λ=365nm)に対して、1.45程度であ
る。よって、その膜厚tは400nm程度となる。これ
は遮光膜3の厚さが100nm程度であるに対して非常
に厚く、この透明膜側壁が露光光の光路に位置した場
合、解像特性に影響を及ぼすことが心配される。そのた
め、通常は透明膜4の側壁は第1の透明領域6Aと第2
の透明領域6Bの間の遮光領域8の中央に位置するよう
に設計されている。ただし、マスク作製方法によっては
透明膜側壁が透明領域に接する場合もあり、このような
場合、後で説明するように本発明が適用される。なお、
透明領域を覆う透明膜においては、遮光膜段差部で遮光
膜と同じ厚さの側壁を有することになるが、この厚さは
露光光に対しても十分薄く、この影響は無視できる。通
常は、露光光に対して180度の位相差を生じさせる程
度の厚さの段差部を透明膜の側壁と呼んでいる。
【0008】また、位相差を生じさせるために、透明膜
4を用いずに透明基板1をエッチングし溝を形成しても
よく、例えば図9(a),(b)では第2の透明領域6
Bの部分を400nmエッチングすれば180度の位相
差を生じさせることができる(透明基板の材質の石英も
SiO2 であり、屈折率は4.45)。ただし、通常の
ドライエッチング(CHF3 またはCF4 ガスを用いた
RIEエッチング)で加工すると、透明基板の溝の側壁
は露光光の光路上に接し、解像特性に影響を及ぼす。そ
のため、この影響を避けるためウエットエッチング(フ
ッ酸)を追加し、溝の側壁を後退させ遮光膜の下に位置
させている。
【0009】この補助パターン方式の位相シフトマスク
を透過する光の振幅の分布は、図9(c)に示すよう
に、第1の透明領域6Aと第2の透明領域6Bとで正負
反転した分布となる。
【0010】図10(a)〜(c)はリム方式の位相シ
フトマスクの平面図、D−D線断面図及び透過光の振幅
である。この方式の位相シフトマスクは、図9に示した
補助パターン方式の第1の透明領域6Aと第2の透明領
域6Bとが接した方式と見ることもできる。このリム方
式の位相シフトマスクを透過する光の振幅の分布も同様
に透明膜4により第1の透明領域6Aと第2の透明領域
6Bとで正負反転した分布となる。尚、第2の透明領域
6Bに透明膜4を形成する代りに、第1の透明領域6A
における透明基板1をエッチングし溝5Eを形成する場
合もある。
【0011】図11(a)〜(c)はハーフトーン方式
の位相シフトマスクの平面図,E−E線断面図及び透過
光の振幅である。この方式のマスクは透明基板1上に酸
化クロム等の所定の膜厚の半透明膜2により、透明領域
6と半透明領域7からなるパターンを有している。そし
て、透明領域6と半透明領域7を透過する光の位相を1
80度反転するようにしている。
【0012】上述したこれらの位相シフトマスクでは位
相の反転した光をわずかにもらすことにより、結像面上
においてメインパターンの境界部分で位相の反転した光
同士の打ち消しあいにより暗部を形成し、メインパター
ンの光強度分布を急峻にしている。このため、図8に示
した従来のマスクよりも焦点深度および解像度を向上さ
せることが可能となっている。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】以上説明したように、
従来の各方式の位相シフトマスクでは位相差を180度
を目標として設定していたが、この位相差は半透明膜あ
るいは透明膜の屈折率およびその膜厚tのみを考慮して
設定されていた。しかし、図12に示すように、マスク
の立体構造(半透明膜2あるいは透明膜の側壁)の影響
により位相は0度から180度にデジタル的に変化して
おらず、実効的な位相差はこの側壁の影響により目的の
180度より小さくなってしまっていた。そして、この
半透明膜2の側壁の影響による位相差エラーは、より小
さなパターンほど大きくなっていた。そのため、もとも
と焦点深度が狭く、かつ位相エラーの影響の大きい微細
パターンにおいて、位相シフトマスクの効果が十分得ら
れないという問題が生じていた。
【0014】次に、位相エラーが生じるとどのような不
具合が発生するかを簡単に説明する。なおここでは以下
の実施例も含め、露光装置は、縮小率1/5,NA(開
口数)=0.6,σ(コヒーレントファクター)=0.
3,のi線(波長λ=356nm)ステッパーを用いる
ものとして説明する。そして、焦点位置の正負の方向
は、被露光物(感光性樹脂の塗布された半導体基板)が
投影レンズに近ずく方向を”+”,遠ざかる方向を”
−”としている。
【0015】図13に幅0.35μmのコンタクトホー
ルの光強度分布のシミュレーション結果を示す。なお、
使用した位相シフトマスクはハーフトーン方式のもので
あり、半透明膜2の透過率は10%、位相差180度と
した。また、ハーフトーン方式の位相シフトマスクで
は、露光条件およびマスクの透過率により、マスクバイ
アスを設定するが、ここではコンタクホールの直径を
0.05μm拡大するマスクバイアスを設定した。図1
3は焦点位置(Def)による光強度分布の変化を示し
ており、横軸は半導体基板上(結像面)での位置、また
は縦軸は相対光強度(十分に広い透明領域の中心部での
光強度を1として規格化した値)である。同図に示すよ
うに、位相差が180度のときは、焦点位置=0μmで
光強度分布のピーク値が最も高くなる。そして、焦点位
置(Def)をずらすとピーク値は低下し、”+”と”
−”では対称に光強度は変化する。
【0016】しかし、位相差が180度からずれると、
この対称性がくずれる。まず、図14に位相差を170
度としたときの、焦点位置による光強度分布の変化を示
す。位相差が180度より小さい場合、焦点位置が”
+”側では光強度分布の変化は少ないが、”−”側では
ピーク値の低下が激しい。また、図15に示すように、
位相差が190度の場合は、位相差が170度のときと
反対に、焦点位置の”+”側で光強度のピーク値の低下
が激しく、”−”側では変化が少ない。
【0017】次に、光強度分布よりスレシュホルドモデ
ル(ある一定値の光強度のレベル以上で感光性樹脂が完
全に現像されると仮定して、光強度分布よりパターン寸
法を求める手法)を用いて、パターン寸法と焦点位置の
関係を求めた結果を図16に示す。ここで、スレシュホ
ルドモデルに用いたスライスレベルは、各位相差でベス
トフォーカス(位相差180度では0μm,位相差17
0度では+0.2μm,位相差190度では−0.2μ
m)において、目標寸法(0.35μm)となるように
設定した。図16に示すように、位相差180度の場合
は、ベストフォーカスを中心に対称の焦点位置依存性が
得られているのに対して、位相エラーがあると焦点位置
による寸法変化の関係が傾くことがわかる。この位相エ
ラーによるフォーカス特性の傾きは、パターン寸法がよ
り小さいほど大きくなり、またσ値が小さいほど大きく
なることが知られている。
【0018】次に、本発明が解決しようとする課題につ
いて更に詳しく説明する。図17にCrONを半透明膜
として用い、位相差をほぼ180度に設定できたハーフ
トーン方式の位相シフトマスクを用いた場合の幅0.3
5μmのコンタクトホールの転写結果を示す。なお、露
光条件は上記と同じである。図17において、横軸は焦
点位置であり、縦軸は感光性樹脂に形成されたパターン
寸法である。位相差はマスクの外周付近に形成した十分
に大きな位相差測定用パターン部分で、触針式の段差計
での膜厚測定とエリプソメータで測定した屈折率nより
求めた結果、180度であった。しかし、0.35μm
のコンタクトホールのフォーカス特性は傾き、焦点位置
が”+”側でコンタクトホール寸法がより大きくなって
いる。このフォーカス特性の傾きは、”−”の位相エラ
ーの特性と同一である。
【0019】また、実際のパターン部分での位相差を溝
尻光学(株)の位相差測定装置:PHASE−1を用い
て位相差の実測を行うと、半導体基板上1.0μmパタ
ーンで178.2度、0.75μmパターンで177.
2度、0.5μmパターンで174.6度、0.3μm
パターンで172.0度とパターンにより測定値が異な
り、寸法の小さなパターン部分の位相差が小さくなって
いることが解った。
【0020】この原因としては先にも述べたように、半
透明膜側壁の影響が考えられる。理想的には半透明膜の
側壁を境に、位相が0度から180度へと変化すること
が望ましいが、実際には半透明膜の側壁近傍では位相が
このようにきれいに変化していない。この半透明膜側壁
による影響が、負の位相エラーと同様の効果を生じさせ
ていると考えられる。そして、寸法の大きなパターンで
は、この側壁の位相の乱れた部分の透過領域全体への比
率が小さいため影響は少ないが、寸法の小さなパターン
ではその比率が大きくなるため位相エラーも大きくなる
ものと思われる。このような現象は透明膜を用いる他の
方式の位相シフトマスクでも生じている。
【0021】このように、透明膜や半透明膜の屈折率と
膜厚より位相差を設定すると、大きなパターンでは位相
差を180度と設定できるが微細パターンでは位相差が
小さくなり、その位相エラーにより位相シフトマスク本
来の性能が得られないという問題が生じていた。
【0022】本発明の目的は、上記欠点を除去し、全て
のパターンの実効的な位相差を180度にでき、良好な
フォーカス特性と焦点深度の得られる位相シフトマスク
を提供することにある。
【0023】
【課題を解決するための手段】第1の発明の位相シフト
マスクは、透明基板上の半透明膜により形成された半透
明領域と、この半透明領域により区画された透明領域か
らなる複数のパターンを有し、この透明領域と前記半透
明領域を透過する光の位相差が実効的に180度となる
ように構成されたハーフトーン方式の位相シフトマスク
において、前記パターンのうち大きい面積を有するパタ
ーンよりも小さい面積を有するパターンの方が位相差が
大きく形成されていることを特徴とするものである。
【0024】第2の発明の位相シフトマスクは、透明基
板上の遮光膜により形成された遮光領域と、この遮光領
域により区画された第1の透明領域からなる複数のパタ
ーンと、前記パターンの周辺部に遮光膜で囲まれた限界
解像度以下の第2の透明領域とを有し、この第2の透明
領域と前記第1の透明領域を透過する光の位相差が実効
的に180度となるように構成された補助パターン方式
の位相シフトマスクにおいて、前記パターンのうち大き
い面積を有するパターンよりも小さい面積を有するパタ
ーンの方が位相差が大きく形成されていることを特徴と
するものである。
【0025】第3の発明の位相シフトマスクは、透明基
板上の透明膜又は溝により形成された第1の透明領域か
らなる複数のパターンと、この第1の透明領域の周囲を
限界解像度以下の幅で囲む前記透明基板からなる第2の
透明領域と、この第2の透明領域の周囲に形成され、第
2の透明領域を区画する遮光膜とを有し、この第2の透
明領域と前記第1の透明領域を透過する光の位相差が実
効的に180度となるように構成されたリム方式の位相
シフトマスクにおいて、前記パターンのうち大きい面積
を有するパターンよりも小さい面積を有するパターンの
方が位相差が大きく形成されていることを特徴とするも
のである。
【0026】
【実施例】次に、本発明の位相シフトマスクについて図
面を用いて説明する。以下の実施例で用いる露光装置は
前記と同じ露光装置(縮小率1/5、NA=0.6,σ
=0.3のi線ステッパー)を用いるものとする。図1
(a),(b)は本発明の第1の実施例のハーフトーン
方式の位相シフトマスクの平面およびA−A線断面図で
ある。
【0027】図1(a),(b)に示すように、石英か
らなる透明基板1上には酸窒化クロム(CrON)の半
透明膜2が成膜されている。ここで、露光光であるi線
(波長λ=365nm)にたいして、酸化クロムの屈折
率nは2.5なのでt1 =λ/〔2(n1 −1)〕の式
より、180度の位相差を与える半透明膜2の膜厚t1
は121.6nmとしている。そして、この位相シフト
マスクに大きさの異なる第1及び第2の2つのコンタク
トホールパターン16Aおよび16Bが存在する。第1
のコンタクトホールパターン16Aの寸法は結像面上
0.5μm(マスク上2.5μm)、第2のコンタクト
ホールパターン16Bの寸法は結像面上0.35μm
(マスク上1.75μm)である。ここで、小さな第2
のコンタクトホールパターン16Bの部分は透明基板1
を深さ15.4nmエッチングして溝5を設け、7度の
位相差が付加されるようにしている(透明基板の材料で
ある石英(SiO2 )の屈折率は1.46である)。こ
のようにパターン面積の小さい第2のコンタクトホール
16Bに7度の位相差を付加している為、実効的な位相
差は180度となり良好なフォーカス特性が得られる。
【0028】次に、上記パターンの寸法による位相差の
補正方法について説明する。最も正確には、実際の露光
結果(フォーカス特性の傾き)より各パターン毎に位相
差のずれを求めることが望ましい。また、先に述べたよ
うに位相差測定装置と露光結果は一致しているので目的
のパターンでの位相差を測定し、そのパターンでの位相
差のずれを求めてもよい。
【0029】しかし、より簡単に位相差の補正値を求め
ることもできる。そのためには以下のような仮定を用い
る。半透明膜側壁の影響により、位相が180度変化し
ていない範囲をΔとすると、側壁の影響による位相エラ
ーは、この範囲Δと半透明膜側壁の長さL(パターンの
周辺)に比例する。ここで、範囲Δは半透明膜の膜厚お
よび露光条件(NA,σ)等に依存すると考えられる。
またあるパターン寸法の範囲では、この半透明膜側壁に
よる位相エラーdθは、この位相の乱れた領域のパター
ン全体の面積Aに占める割合に比例して生じると考える
と、dθはΔ・L/A=αL/Aとなる。ここで、パタ
ーンを正方形のコンタクトホールパターンとすると、d
θ=α/W(ここで、Wは正方形のコンタクトホールパ
ターンの一辺)と表される。
【0030】例えば、発明が解決しようとする課題の項
で示した位相差測定装置:PHASE−1による各寸法
のパターンでの位相差測定結果より、α=2.3とな
る。この場合、パターン寸法Wが0.3〜1μmの範囲
でdθ=2.3/Wの式で良い一致が得られた。よっ
て、このように最も単純な仮定を用いれば、代表的な寸
法W=0.3〜1.0μmのパターンによる位相差より
補正式を求めることができ、この範囲の任意の寸法のパ
ターンに対して実効的な位相差を180度と補正するこ
とができる。
【0031】図2は本発明の第2の実施例のハーフトー
ン方式の位相シフトマスクの断面図である。同図に示す
ように、透明基板1上には第1の実施例と同様に、0.
5μmと0.35μmの大きさの異なる2種類のコンタ
クトホール16A,16Bが形成されている。ここで
は、寸法の小さな第2のコンタクトホールパターン16
Bにおいて半透明膜側壁の影響により、実効的な位相差
が小さくなることを考慮し、半透明膜2Aの厚さを12
5nmとしている。よって寸法の大きな第1のコンタク
トホールパターン16Aでは185度の位相差を生じる
が、大きなパターンでは、位相エラーの影響は小さく、
もともとの焦点深度も広いので問題ない。勿論第2のコ
ンタクトホールパターン16Bの周辺部のみの半透明膜
の厚さのみを125nmとしてもよいが、この場合工程
が複雑になる。なお、パターンの寸法が一種類であると
きは、勿論その寸法に対してのみ位相差の補正を加えれ
ばよく、上述したようにあらかじめ半透明膜を厚くする
位相差の補正が最も容易である。
【0032】図3は、本発明の第3の実施例のハーフト
ーン方式の位相シフトマスクの断面図である。この第3
の実施例ではt=λ/2(n−1)の式より半透明膜2
の膜厚を設定し位相差を180度としておておき、寸法
の小さな第2のコンタクトホールパターン16Bに最適
になるように、透明基板1をエッチングして溝5A,5
Bを形成し位相差の補正を行うものであり、実質的には
図2に示した第2の実施例と同様に寸法の大きな第1の
コンタクトホールパターン16Aの位相差は180度よ
り大きくなる。このエッチングの拠る位相差の補正方法
は、露光結果を評価しつつ、徐々にエッチング深さを深
くすることで位相差の最適な補正が最も高精度に行える
と言う利点がある。
【0033】図4は本発明の第4の実施例のリム方式の
位相シフトマスクの断面図であり、0.3μmのコンタ
クトホールパターンを形成するためのマスクである。図
4に示すように、石英の透明基板1上には100nm膜
厚のクロムからなる遮光膜3が形成されており、マスク
上2.5μmの遮光膜の除去された正方形の開口部の中
央に正方形のSOG膜からなる透明膜4が形成されてい
る。ここで、この開口部の寸法W1 はマスク上2.5μ
mとし、透明膜の寸法W2 は1.75μmとしている。
そして、透明膜4Aの膜厚を適当に設定することによ
り、この透明膜4Aの側壁で分離された透明領域6Aお
よび6Bの光の位相をお互いに180度反転させること
により、結像面での光強度分布をより急峻にすることが
できる。
【0034】従来はこの透明膜の膜厚t2 をt2 =λ/
〔2(n2 −1)〕(ここで、n2は透明膜の屈折率)
より設定していたが、本実施例においては透明膜4の側
壁により位相が乱れ180度の位相変化が得られず実効
的な位相差が小さくなることを考慮して補正を加える。
この位相差の補正式dθ=α/W(ここで、Wはコンタ
クトホールパターンの直径)の係数αは代表的寸法のパ
ターンで実験を行いあらかじめ求めておく。本露光条件
で透明膜の材料にSOG膜を用いた場合、αの値は3.
3であった(目標寸法が1μm〜0.3μmの場合)。
よって、SOG膜のi線波長(λ=365nm)での屈
折率は1.48なので、t2 =λ/〔2(n2 −1)〕
の式よりt2 =380nmとなる。さらに小さいパター
ンの場合は、dθ=3.3/Wより位相差は11度補正
するように23nm膜厚を厚くし、透明膜4の膜厚を3
80+23=403nmとする。このように小さいパタ
ーンの透明膜4Aの厚さをt2 より厚くすることにより
透明膜4Aによる実効的な位相差を180度とし結像面
での光強度分布を急峻にすることができる。
【0035】なお、第4の本実施例のように透明膜を用
いる場合以外にも、たとえば図5に示す第5の実施例の
ように、透明基板1をエッチングし溝を形成して位相差
を生じさせる構造の位相シフトマスクにおいても、溝5
Cの深さdを同様に深くすることで適用できる。
【0036】図6は本発明の第6の実施例の補助パター
ン方式の位相シフトマスクの断面図であり0.3μmの
コンタクトホールパターンを形成するためのマスクであ
る。図6に示すように、石英の透明基板1上には100
nm膜厚のクロムによる遮光膜3が成膜されており、マ
スク上のコンタクトホールパターンである第1の透明領
域6Aおよびその周辺に補助パターンである溝5Dから
なる第2の透明領域6Bが形成されている。ここで、こ
の第1の透明領域6Aの寸法W3 はマスク上1.5μ
m、第2の透明領域6Bの寸法は1.00μm、また第
1の透明領域6Aと第2の透明領域6Bの距離は1.2
5μmとしている。そして、溝5Dの深さdを適当に設
定することにより、この溝5Dの側壁で分離された透明
領域6Aおよび6Bの光の位相をお互いに180度反転
させ、結像面での光強度分布をより急峻にする。
【0037】従来はこの透明基板の溝の深さdを前記式
より設定していたが、本実施例においては透明基板の側
壁により位相が乱れるのを考慮して補正を加える。従来
は透明基板1の溝の側壁が遮光膜3の下に隠れるよう
に、ドライエッチングの後ウエットエッチングを追加し
ていた。そして、その溝の深さdは、透明基板の材料で
ある石英のi線波長(λ=365nm)での屈折率n=
1.48を用いて、d=λ/2(n−1)の式よりd=
396.8nmとしていた。一方、本実施例では、ウエ
ットエッチングにより、溝5Dの側壁の影響を除去する
代わりに、位相差の補正を行っている。この位相差の補
正はdθ=α/W(ここで、Wはコンタクトホールパタ
ーンの直径)の係数αは、代表的寸法のパターンで実験
を行いあらかじめ求めておく。このように、透明基板の
溝の側壁が遮光領域と透明領域の境界に位置する場合、
先の実施例よりこの側壁による位相の誤差の影響は小さ
く、αの値は1.0程度であった。よって、従来のもの
よりdθ=1.0/Wより位相差を3.3度補正するよ
うに7.3nmだけより深くドライエッチングし、溝5
Dの深さd1 を396.8+7.3=404.1nmと
した。本実施例においては、従来方法に較べウエットエ
ッチングを用いていないのでエッチングによる溝5Dの
深さ(位相差)を正確に制御できるという利点がある。
【0038】なお、本第6の実施例のように、エッチン
グによる溝5Dをその側壁面が遮光膜3の側面と同一面
上に位置する場合以外にも、たとえば図7に示す第7の
実施例の補助パターン方式の位相シフトマスクのよう
に、溝の代りに透明膜4Bをその側壁面が透明領域を構
成する遮光膜3の側面に接するように形成してもよい。
この場合、透明膜4Bの膜厚は図9に示した従来の場合
の透明膜4の膜厚より位相差が3.3度大きくなるよう
に厚く設定する。
【0039】
【発明の効果】以上説明したように本発明は、面積の大
きいパターンより面積の小さいパターンの位相差が大き
くなるように、透明膜や半透明膜の厚さ又は溝の深さを
調整することにより、全てのパターンの実効的な位相差
を180度とすることができる為、良好なフォーカス特
性及び焦点深度を有する位相シフトマスクが得られると
いう効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例の平面図および断面図。
【図2】本発明の第2の実施例の断面図。
【図3】本発明の第3の実施例の断面図。
【図4】本発明の第4の実施例の断面図。
【図5】本発明の第5の実施例の断面図。
【図6】本発明の第6の実施例の断面図。
【図7】本発明の第7の実施例の断面図。
【図8】従来の通常のマスクの平面図,断面図及び透過
光の振幅を示す図。
【図9】従来の補助パターン方式の位相シフトマスクの
平面図,断面図及び透過光の振幅を示す図。
【図10】従来のリム方式の位相シフトマスクの平面
図,断面図及び透過光の振幅を示す図。
【図11】従来のハーフトーン方式の位相シフトマスク
の平面図,断面図及び透過光の振幅を示す図。
【図12】半透明膜の側壁の影響を説明する為の模式
図。
【図13】位相シフトマスクの光強度分布のシミュレー
ション結果を示す図。
【図14】位相シフトマスクの光強度分布のシミュレー
ション結果を示す図。
【図15】位相シフトマスクの光強度分布のシミュレー
ション結果を示す図。
【図16】位相シフトマスクのフォーカス特性のシミュ
レーション結果を示す図。
【図17】従来の位相シフトマスクのフォーカス特性を
示す図。
【符号の説明】
1 透明基板 2,2A 半透明膜 3 遮光膜 4,4A,4B 透明膜 5,5A〜5E 溝(エッチング部) 6 透明領域 6A 第1の透明領域 6B 第2の透明領域 7 半透明領域 8 遮光領域 16 コンタクトホールパターン 16A 第1のコンタクトホールパターン 16B 第2のコンタクトホールパターン

Claims (15)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 透明基板上の半透明膜により形成された
    半透明領域と、この半透明領域により区画された透明領
    域からなる複数のパターンを有し、この透明領域と前記
    半透明領域を透過する光の位相差が実効的に180度と
    なるように構成されたハーフトーン方式の位相シフトマ
    スクにおいて、前記パターンのうち大きい面積を有する
    パターンよりも小さい面積を有するパターンの方が位相
    差が大きく形成されていることを特徴とする位相シフト
    マスク。
  2. 【請求項2】 透明領域からなる小さな面積を有するパ
    ターンの位相差は、180度+補正値dθ(度)(ただ
    しdθ=αL/A、Lはパターンの周辺の長さ、Aはパ
    ターンの面積、αは露光条件に依存する常数)である請
    求項1記載の位相シフトマスク。
  3. 【請求項3】 透明領域からなる小さな面積を有するパ
    ターン部の透明基板の表面はエッチングされ溝が形成さ
    れている請求項1記載の位相シフトマスク。
  4. 【請求項4】 半透明膜の厚さt1 はt1 =λ/〔2
    (n1 −1)〕(ただしλは露光光の波長,n1 は半透
    明膜の屈折率)で表わされる請求項1記載の位相シフト
    マスク。
  5. 【請求項5】 透明領域からなる少くとも小さな面積を
    有するパターン周辺部の半透明膜の厚さはt1 より厚く
    形成されている請求項4記載の位相シフトマスク。
  6. 【請求項6】 透明基板上の遮光膜により形成された遮
    光領域と、この遮光領域により区画された第1の透明領
    域からなる複数のパターンと、前記パターンの周辺部に
    遮光膜で囲まれた限界解像度以下の第2の透明領域とを
    有し、この第2の透明領域と前記第1の透明領域を透過
    する光の位相差が実効的に180度となるように構成さ
    れた補助パターン方式の位相シフトマスクにおいて、前
    記パターンのうち大きい面積を有するパターンよりも小
    さい面積を有するパターンの方が位相差が大きく形成さ
    れていることを特徴とする位相シフトマスク。
  7. 【請求項7】 第2の透明領域の透明基板上には透明膜
    が形成されている請求項6記載の位相シフトマスク。
  8. 【請求項8】 透明膜の側面は遮光膜の側面と接してい
    る請求項7記載の位相シフトマスク。
  9. 【請求項9】 小さい面積を有するパターン周辺部の第
    2の透明領域に形成された透明膜は、大きい面積を有す
    るパターン周辺部の第2の透明領域に形成された透明膜
    より厚く形成されている請求項7又は請求項8記載の位
    相シフトマスク。
  10. 【請求項10】 第2の透明領域の透明基板はエッチン
    グされ溝が形成されている請求項6記載の位相シフトマ
    スク。
  11. 【請求項11】 溝の側面は遮光膜の側面と同一面上に
    位置する請求項10記載の位相シフトマスク。
  12. 【請求項12】 小さい面積を有するパターン周辺部の
    第2の透明領域に形成された溝は大きい面積を有するパ
    ターン周辺部の第2の透明領域に形成された溝より深く
    形成されている請求項11又は請求項12記載の位相シ
    フトマスク。
  13. 【請求項13】 透明基板上の透明膜又は溝により形成
    された第1の透明領域からなる複数のパターンと、この
    第1の透明領域の周囲を限界解像度以下の幅で囲む前記
    透明基板からなる第2の透明領域と、この第2の透明領
    域の周囲に形成され、第2の透明領域を区画する遮光膜
    とを有し、この第2の透明領域と前記第1の透明領域を
    透過する光の位相差が実効的に180度となるように構
    成されたリム方式の位相シフトマスクにおいて、前記パ
    ターンのうち大きい面積を有するパターンよりも小さい
    面積を有するパターンの方が位相差が大きく形成されて
    いることを特徴とする位相シフトマスク。
  14. 【請求項14】 小さい面積のパターンを構成する透明
    膜は大きい面積のパターンを構成する透明膜より厚く形
    成されている請求項13記載の位相シフトマスク。
  15. 【請求項15】 小さい面積のパターンを構成する溝は
    大きい面積のパターンを構成する溝より深く形成されて
    いる請求項13記載の位相シフトマスク。
JP7511795A 1995-03-31 1995-03-31 位相シフトマスク Expired - Lifetime JP2658957B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP7511795A JP2658957B2 (ja) 1995-03-31 1995-03-31 位相シフトマスク

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP7511795A JP2658957B2 (ja) 1995-03-31 1995-03-31 位相シフトマスク

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH08272073A JPH08272073A (ja) 1996-10-18
JP2658957B2 true JP2658957B2 (ja) 1997-09-30

Family

ID=13566936

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP7511795A Expired - Lifetime JP2658957B2 (ja) 1995-03-31 1995-03-31 位相シフトマスク

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2658957B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR101143005B1 (ko) 2004-12-14 2012-05-08 삼성전자주식회사 마스크 및 이를 이용한 반도체 소자의 제조 방법 및 박막트랜지스터 표시판의 제조 방법
KR101045135B1 (ko) * 2008-02-19 2011-06-30 호야 가부시키가이샤 다계조 포토마스크, 그 제조 방법 및 패턴 전사 방법

Also Published As

Publication number Publication date
JPH08272073A (ja) 1996-10-18

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP0653679B1 (en) Mask, mask producing method and pattern forming method using mask
JP3359982B2 (ja) 位相反転マスク及びその製造方法
JPH10319569A (ja) 露光用マスク
US5935738A (en) Phase-shifting mask, exposure method and method for measuring amount of spherical aberration
JP3588212B2 (ja) 露光用マスク及びその作製方法並びに半導体装置の製造方法
JP2658957B2 (ja) 位相シフトマスク
JP2972528B2 (ja) 露光方法
JP4537028B2 (ja) フレアの測定方法
JP3178516B2 (ja) 位相シフトマスク
US6838214B1 (en) Method of fabrication of rim-type phase shift mask
US5908718A (en) Phase shifting photomask with two different transparent regions
JPH0792655A (ja) 光学マスクとマスクブランクおよびそれらの製造方法
JP3082747B2 (ja) 露光装置の評価方法
JP3007846B2 (ja) マスク及びその製造方法並びにマスクを用いたパターン形成方法
JP3422054B2 (ja) 光学マスクおよびその製造方法
JP3320062B2 (ja) マスク及びマスクを用いたパターン形成方法
JP3322837B2 (ja) マスク及びその製造方法並びにマスクを用いたパターン形成方法
KR100523646B1 (ko) 보조 패턴을 갖는 위상 반전 마스크 및 그 제조 방법
JPH04269749A (ja) フォトマスクおよびその製造方法
JP3243043B2 (ja) パターン形成方法
JP3417939B2 (ja) マスク及びマスクを用いたパターン形成方法
JP2773718B2 (ja) フォトマスクおよびパターン形成方法
JP3110122B2 (ja) パターン形成方法
KR100224717B1 (ko) 위상반전 마스크 제조방법
JPH0697029A (ja) 投影露光方法及びそれに用いるレチクルまたはマスク

Legal Events

Date Code Title Description
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 19970506