JP2658862B2 - 空気調和機の運転制御装置 - Google Patents

空気調和機の運転制御装置

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JP2658862B2
JP2658862B2 JP5350403A JP35040393A JP2658862B2 JP 2658862 B2 JP2658862 B2 JP 2658862B2 JP 5350403 A JP5350403 A JP 5350403A JP 35040393 A JP35040393 A JP 35040393A JP 2658862 B2 JP2658862 B2 JP 2658862B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、空気調和機の運転制御
装置に関する。具体的にいうと、全自動運転の機能を有
する空気調和機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】空気調和機には全自動運転を行なうもの
がある。この全自動運転は、運転モード及び設定温度を
空気調和機自体が自動的に選択し、その自動選択された
設定によって空気調和機を運転制御する機能である。空
気調和機において、このような全自動運転を行なう場合
には、通常室温を室内機内にある室温検知センサで検出
し、その検出した室温により運転モード及び設定温度の
選択と運転設定を行っていた。
【0003】しかし、一旦空気調和機を運転して停止さ
せた後、ある時間を経過して再度自動運転を開始した場
合には、前回の運転によって室温が変化しているため、
そのままの室温で運転モードを判断すると、誤った運転
モードを選択する恐れがある。例えば、暖房運転を行っ
て室内を十分に暖めた後、空気調和機の運転を停止し、
ある時間を経過して再び自動運転で空気調和機の運転を
開始したとすると、まだ部屋が冷めず室温が高い状態の
ままである場合には、検出した室温も高温で冷房ゾーン
にあるので、暖房運転が必要であるにも拘らず冷房運転
(もしくはドライ運転)されることがあった。
【0004】このような問題を解決するための方法とし
ては、空気調和機の運転を停止した後、一定時間は前回
の運転モードを引き継いで選択するようにした運転制御
方法も提案されている(特開昭61−165542号公
報)。図8はこのような空気調和機の動作を説明するた
めの図であって、(a)は室温TRの変化を示し、
(b)は空気調和機の全自動運転のオン、オフ状態を示
し、(c)は全自動運転による実際の運転モードを示
し、(d)は圧縮機のオン(稼働)、オフ(停止)動作
を示し、(e)は全自動運転による運転モード判定の変
化を示している。全自動運転モードでは、全自動運転開
始時の室温(検出温度)TRが低くて暖房ゾーン(図
(a)の右側)にある場合には暖房運転を行い、室温T
Rが高くて冷房ゾーンにある場合には冷房運転を行い、
暖房ゾーンと冷房ソーンの中間にあるドライゾーンにあ
る場合にはドライ運転を行うようになっている。しかし
て、図8(b)に示すように、時刻t11に空気調和機が
全自動運転モードで運転オンになったとすると、室温T
Rは暖房ゾーンにあるから図8(e)のように運転モー
ドは暖房運転と判断され、圧縮機がオンになって暖房運
転される(図8(d)(c))。このため、室温TRは
次第に上昇し、暖房時設定温度Tsh付近の室温TRに
維持される。時刻t12に空気調和機が運転停止されても
(図8(b)(c)(d))、室温TRは当分の間高温
(冷房ゾーン)にあるので、この時全自動運転が再開さ
れると冷房運転される恐れがある。このため、運転停止
後一定のメモリ保持時間Δthは前回の運転モード(い
まの場合では、暖房モード)をメモリに保持し(図8
(e))、このメモリ保持時間Δth内に自動運転が再
開された場合には室温TRの如何によらず運転モード判
定が前回と同じ運転モードとなるようにし、メモリ保持
時間Δthが経過した後にメモリをクリアし、再運転時
には運転モードを再度判定して全自動運転させるように
している。
【0005】しかしながら、近年の住宅構造の変化や建
材の発達により室内の気密度及び断熱性能が飛躍的に高
まっている結果、暖房(冷房)運転を停止した後、設定
されたメモリ保持時間Δthが経過しても室温の低下
(上昇)が少ないため、メモリ保持時間Δth経過後の
時刻に全自動運転を開始すると、やはり誤った運転モー
ドが選択されてしまうという問題があった。例えば、図
8に示すように運転停止後メモリ保持時間Δth経過後
の時刻t22に再度全自動運転を再開した時、室温TRが
高く維持されていて冷房ゾーンにあると、運転モード判
定が誤って冷房運転となり(図8(e))、冷房運転さ
れて室温TRが冷房時設定温度Tscに保たれることに
なる。あるいは、このメモリ保持時間Δthを大きな値
に設定すると、本来の全自動運転が必要な場合に室温T
Rに基づいて運転モード及び設定温度Tsが選定されな
い場合が生じ、例えばドライ運転停止後窓をあけた場合
などには室内温度が低下(上昇)しているにも拘らず、
室内温度が速やかに上昇(降下)させられないという問
題も起きる。
【0006】また、暖房運転の際にファンヒータやスト
ーブ等の別な熱源機が併用されている場合にも、上記の
ような全自動運転方式では、運転停止後所定のメモリ保
持時間Δthが経過した後に全自動モードで再運転した
場合、やはり室温が上昇したままとなっている為にドラ
イや冷房等の誤った運転モードになることを防ぐことが
できず、使用者の利便性において問題を残していた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は叙上の従来例
の欠点に鑑みてなされたものであり、その目的とすると
ころは、空気調和機の運転制御装置において、全自動運
転モード設定時の運転モード判定において、以前の運転
による室温変化に影響されることなく、誤った運転モー
ドの選択を解消できるようにすることにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明による空気調和機
の運転制御装置は、運転モードを自動的に選定して空気
調和機を全自動運転制御する機能を備えた運転制御装置
であって、室温を検知する室温検知手段と、全自動運転
停止後も、それまで選定されていた運転モードを記憶す
る手段と、全自動運転停止後に、室温が所定のメモリク
リア温度に達した時に前記記憶手段の記憶を消去する手
段と、全自動運転開始時に、前記記憶手段に保存されて
いる運転モードの記憶データに基づいて運転モードを選
定し、前記記憶手段の記憶データが消去されていれば前
記室温検知手段により検知された室温に基づいて全自動
運転の運転モードを選定する手段とを備えたことを特徴
としている。
【0009】前記メモリクリア温度は、暖房運転停止後
には、暖房時の設定温度よりも小さな値に設定すること
ができる。また、冷房運転停止後には、冷房時の設定温
度よりも大きな値に設定することができる。
【0010】
【作用】本発明にあっては、全自動運転停止後も、選定
されていた運転モードを記憶する記憶手段を備え、全自
動運転停止後、室温が所定のメモリクリア温度に達する
までに全自動運転を開始した場合には、記憶手段に保存
されている運転モードの記憶データに基づいて運転モー
ドを選定して全自動運転しているから、例えば暖房運転
モードによる全自動運転を停止した後、まだ室温が高い
うちに全自動運転を再開しても、前回の運転モードつま
り暖房運転モードで全自動運転される。従って、室温に
基づいて運転モードを選定する場合のように、冷房運転
モードで全自動運転される不都合を解消できる。 また、
本発明は、全自動運転停止後、室温が所定のメモリクリ
ア温度に達した時に記憶手段の記憶を消去する手段を備
え、全自動運転停止後、室温が所定のメモリクリア温度
に達した後に全自動運転を開始した場合には、室温検知
手段により検知された室温に基づいて全自動運転の運転
モード及び設定温度を選定して全自動運転しているか
ら、例えば暖房運転モードによる全自動運転停止後、室
温がメモリクリア温度まで下がると、前回の運転モード
の記憶を消去し、室温に基づいて(白紙の状態から)運
転モードの選定を行なう。
【0011】しかも、運転モードを選定する基準を記憶
データとするか、室温とするかの切り換えを温度条件
(室温がメモリクリア温度に達したか否か)に依存させ
ているから、例えば室内の断熱性能が高い場合には、室
温の変化が小さいので室温がメモリクリア温度に到達す
るまでの時間は長くなり、室内の断熱性能が低い場合に
は、室温の変化が大きいので室温がメモリクリア温度に
到達するまでの時間は短くなり、室内の断熱性能の高低
に応じてメモリクリアまでの時間を自動調整することが
でき、使用環境の違いによる誤動作を解消することがで
きる。また、本発明にあっては、室温がメモリクリア温
度に達すると前回運転モードの記憶データを消去してい
るので、前回の運転による室温の影響がなくなった後に
運転再開すると、その時の室温のみによって運転モード
が決まり、適切な運転モードの選定が可能となる。
【0012】
【実施例】図1は本発明の一実施例による空気調和機A
を示す概略構成図である。当該空気調和機Aは、室内機
1と室外機2からなる。室外機2の内部においては、四
方弁3と、室外熱交換器4と、キャピラリーチューブ5
と、逆止弁6及びキャピラリーチューブ7を並列接続し
たものを接続して冷媒循環回路8が構成されている。ま
た、四方弁3の別な流入口及び流出口にはアキュムレー
タ9及び圧縮機10を含むサブ回路11が接続されてい
る。12は送風ファンである。室内機1には、吸込口1
6と対向させて室温検知センサ22及び室内熱交換器1
4が配設されており、室内熱交換器14は室外機2の冷
媒循環回路8に接続されている。また、15は吸込口1
6から吸引され室内熱交換器14と熱交換した空気を吹
出口17から強制的に吹き出させるための送風ファン、
18は室内熱交換器14から落ちる水滴を受けて排出す
るためのドレンパンである。
【0013】冷房運転時においては、四方弁3の流通方
向は図1に破線で示す方向に切り替えられ、一般的な冷
房装置と同様な作用によって室内冷房を行なう。すなわ
ち、冷房運転時には冷媒は図1の破線矢印で示す方向に
循環し、圧縮機10及びキャピラリチューブ5間の室外
熱交換器4側の区間の冷媒が圧縮機10によって凝縮さ
せられると共に冷媒の凝縮熱が送風ファン12によって
室外熱交換器4から屋外へ排出される。この凝縮された
冷媒をキャピラリチューブ5及び逆止弁6を通過させて
室内熱交換器14へ循環させて室内熱交換器14側で気
化させる熱力学的サイクルを繰り返すと、キャピラリチ
ューブ5を通過した冷媒は室内熱交換器14側で膨張し
て気化し、冷媒が気化する際に気化熱として周囲の熱を
奪う。従って、室内機1の吸込口16から室内機1内へ
吸引された空気は室内熱交換器14と熱交換して冷却さ
れ、送風ファン12によって室内機1の吹出口17から
室内へ冷風が吹き出され、室内の冷房が行なわれる。
【0014】暖房運転時においては、四方弁3の流通方
向は図1に実線で示す方向に切り替えられ、室内熱交換
器14と室外熱交換器4の機能が冷房運転時と逆にな
る。すなわち、暖房運転時には冷媒は図1の実線矢印方
向に循環し、圧縮機10及びキャピラリチューブ7間の
室内熱交換器14側の区間の冷媒が圧縮機10によって
凝縮させられ、凝縮熱を発生する。室内機1の吸込口1
6から吸引された空気は室内熱交換器14によって冷媒
と熱交換して加熱され、送風ファン12によって吹出口
17から温風が吹き出され、室内の暖房が行なわれる。
一方、凝縮した冷媒は2箇所のキャピラリチューブ5,
7を通過して室外熱交換器4側へ循環し、室外熱交換器
4側で膨張して気化する。気化した冷媒は室外熱交換器
4で外気と熱交換して吸熱し、再び圧縮機10へ戻る。
【0015】図2は同上の空気調和機Aに全自動運転を
行なわせるための制御部21の構成を示すブロック図で
ある。22は室内機1が設置されている室内の室温TR
を検出するためのサーミスタ等の室温検知センサであ
る。23は運転モード選定部、24は設定温度選定部で
あって、運転モード選定部23は全自動運転時に最適な
運転モード(暖房運転モード、ドライ運転モード、冷房
運転モード)を選定して当該運転モードで空気調和機A
を稼働させ、設定温度選定部24は全自動運転時に最適
な設定温度Tsを選定し、室温TRが設定温度Tsとな
るように空気調和機Aを制御する。25は記憶部であっ
て、全自動運転中もしくは全自動運転停止時に運転モー
ド選定部23及び設定温度選定部24に選定されている
運転モードや設定温度Tsを記憶データとして全自動運
転停止後も記憶保持する。26は記憶消去部であって、
全自動運転停止後に室温TRを監視し、前回運転モード
とその設定温度Tsに対応して定められたメモリクリア
温度(暖房メモリクリア温度、ドライメモリクリア温
度、冷房メモリクリア温度)に室温TRが等しくなった
ら、記憶部25の記憶データを消去する。
【0016】各部の機能をさらに具体的に説明する。運
転モード選定部23は、全自動運転開始時には記憶部2
5に記憶データが存在するかどうか調べ、記憶部25に
運転モードの記憶データが保持されている場合には、当
該前回の運転モードを次回の運転モードとして選定し、
運転モードを前回から引き継ぐ。一方、記憶部25に運
転モードの記憶データが存在しない場合には、全自動運
転開始時の室温TRから運転モードを決める。例えば、
全自動運転開始時の室温TRによって、 26℃≦TR(冷房ゾーン) …冷房運転
モード 22℃<TR<26℃(ドライゾーン) …ドライ運
転モード TR≦22℃(暖房ゾーン) …暖房運転
モード となるように運転モードが決定される(図6参照)。
【0017】また、設定温度選定部24も、全自動運転
開始時には記憶部25に記憶データが存在するかどうか
調べ、記憶部25に設定温度Tsの記憶データが保持さ
れている場合には、当該前回の設定温度Tsを再度設定
温度Tsとして選定し、設定温度Tsも前回から引き継
ぐ。一方、記憶部25に設定温度Tsの記憶データが存
在しない場合には、全自動運転開始時の室温TRから設
定温度Tsを決める。例えば、設定温度Tsは、全自動
運転開始時の室温TRに対して図7のような温度関数F
Tを用いて決められる。
【0018】記憶消去部26は、室温TRが全自動運転
停止時と大きく変化した場合に記憶部25の記憶データ
を消去するものである。すなわち、前回の運転モードが
暖房運転モードであった場合には、室温TRが、暖房メ
モリクリア温度Tch(<暖房時設定温度Ts)と等し
くなった時に記憶部25の記憶データを消去する。ま
た、前回の運転モードが冷房運転モードであった場合に
は、室温TRが、冷房メモリクリア温度Tcc(>冷房
時設定温度Ts)と等しくなった時に記憶部25の記憶
データを消去する。前回の運転モードがドライ運転モー
ドであった場合には、室温TRが、ドライメモリクリア
温度Tcd(>ドライ時設定温度Ts)と等しくなった
時に記憶部25の記憶データを消去する。
【0019】図3及び図4は本発明の動作原理を説明す
るための図である。図3は暖房運転の場合であって、時
刻t12まで暖房運転モードで全自動運転されており、時
刻t12に空気調和機Aの運転が停止した場合を示してい
る。時刻t12に運転停止すると、暖房時設定温度Ts付
近にあった室温TRは次第に低下するが、この室温TR
が暖房時設定温度Tsよりも低く設定されている暖房メ
モリクリア温度Tchまで低下しないうちは、室温TR
に基づいて全自動運転の運転モードや設定温度Tsを決
めると誤動作する恐れがあると判断することができ、ま
た前回の運転時から時間が大きく経過していないと判断
することができるので、この間は記憶部25に保持され
ている前回の全自動運転時の運転モード及び設定温度T
sを用いて全自動運転を行ない、前回の全自動運転時と
同じ条件で全自動運転を行なう(暖房メモリ保持)。そ
して、時刻t13に室温TRが暖房メモリクリア温度Tc
hに達すると、運転停止から十分な時間が経過し、前回
の運転による室温TRの影響も無くなって本来の室温T
Rに戻っていると判断し、記憶消去部26によって記憶
部25の記憶データを消去させ、室温TRに基づいて全
自動運転の運転モード及び設定温度Tsを決定し、本来
の全自動運転を行なわせる。
【0020】同様に、図4は冷房運転されていた場合で
あって、時刻t12まで冷房運転モードで全自動運転され
ており、時刻t12に空気調和機Aの運転が停止した場合
を示している。時刻t12に運転停止すると、冷房時設定
温度Ts付近にあった室温TRは次第に上昇するが、室
温TRが冷房メモリクリア温度Tccまで上昇しないう
ちは、室温TRに基づいて全自動運転の運転モードや設
定温度Tsを決めると誤動作する恐れがあると判断し、
また前回の運転時から時間が大きく経過していないと判
断できるので、この間は記憶部25に保持されている前
回の全自動運転時の運転モード及び設定温度Tsを用い
て全自動運転を行ない、前回の全自動運転時と同じ条件
で全自動運転を行なう(冷房メモリ保持)。そして、時
刻t13に室温TRが冷房メモリクリア温度Tccに達し
た後は、運転停止から十分な時間が経過し、前回の運転
による室温TRの影響も無くなって本来の室温TRに戻
っていると判断し、記憶消去部26によって記憶部25
の記憶データを消去させ、室温TRに基づいて全自動運
転の運転モード及び設定温度Tsを決定し、本来の全自
動運転を行なわせる。ドライ運転の場合もこの冷房運転
時と同様にして制御される。
【0021】このように本発明の空気調和機Aにあって
は、運転モードに応じたメモリクリア温度Tc(=Tc
h,Tcc,Tcd)を設定し、室温TRがメモリクリ
ア温度Tcに達するまでは、前回の全自動運転の条件を
記憶し、前回の全自動運転を引き継いでいるので、例え
ば断熱の良好な家屋ではメモリクリアまでのメモリ保持
時間が長くなり、断熱の悪い家屋ではメモリ保持時間が
短くなり、メモリ保持時間を一定にしていた従来方法の
ような欠点を解消させることができ、使用状態の実情に
応じた制御方法を実現することができる。また、室温T
Rがメモリクリア温度Tcに達した後は、前回運転の影
響が消失していると考えられるので、室温TRに基づい
て本来の全自動運転を行なわせても誤動作の恐れがな
く、また、この場合には室温TRに基づいて全自動運転
を行なわせることにより、前回の運転から今回の運転ま
での室内温度の変化に対応させることが可能になる。
【0022】図5は空気調和機Aの制御部21による制
御方法を実現するための具体的な処理手順を示すフロー
図である。つぎに、このフロー図を説明する。まず、記
憶部25に記憶データのない最初の運転時では、空気調
和機Aで全自動運転を選択して運転スイッチをオンにし
て全自動運転を開始すると(S31)、室温検知センサ
22によって検知されている室温TRに基づいて運転モ
ード及び設定温度Tsが選定される(S32)。つい
で、圧縮機10をオンにして稼働させ(S33)、暖房
運転、ドライ運転もしくは冷房運転のうち選定された運
転モードで運転を開始する。そして、圧縮機10がオン
になったことを検知して、選定した運転モード及び設定
温度Tsを記憶部25に保持させる(S34)。ここ
で、運転モード等を記憶部25に書込むタイミングを圧
縮機10のオン時に設定しているのは、仮にリモートコ
ントローラの運転切替えスイッチが1キーによるロータ
リー式で、例えば全自動→冷房→ドライ→暖房という順
序で切替えられるようになっている場合、運転モードを
切り替える際に、全自動運転がわずかな時間だけセット
されることがあり、そのとき室内熱交換器温度等の影響
により万一誤まった運転モードが記憶されるのを防止す
るためである。従って、運転スイッチがオンになっても
圧縮機10がオンにならなかった場合には、再び全自動
運転がオンになるまで待機する(S33→S31)。
【0023】この後、利用者が運転スイッチをオフにし
て全自動運転を停止させると(S35)、空気調和機A
の運転が停止される(S36)。この後も室内機1内の
室温検知センサ22は室温TRを検知し続ける(S3
7)と共に室温TRがメモリクリア温度Tcと等しいか
どうか判定している(S38)。室温TRがメモリクリ
ア温度Tcに達していない場合には、運転モード等の記
憶データを保持したままで全自動運転がオンになるまで
待機し(S38,S39→S36)、全自動運転のスイ
ッチがオンになると、消去されることなく記憶部25に
保持されている運転モード及び設定温度Tsの記憶デー
タを用いて再運転を行なう(S39→S34)。つま
り、前回と同じ運転モードで再運転される。また、室温
TRが変化してメモリクリア温度Tcに達すると、空気
調和機A等の運転による室温制御や室内熱交換等の影響
が無くなり、室温検知による運転モード等の判定が可能
になるので、記憶部25に保持していた記憶データを消
去し(S40)、室温TRに基づいて運転モードや設定
温度Tsを再判定して全自動運転を行なう(S31〜S
35)。
【0024】なお、全自動運転が選択されない場合に
は、全自動運転以外の運転モードが選択されているどう
か判定し(S41)、他の運転モードが選択されていれ
ば当該他の運転モードで運転される(S42)。
【0025】図6(a)〜(e)は図5のフロー図に示
す手順によって暖房運転されている場合の挙動を示す図
であって、(a)は室温TRの変化を示し、(b)は空
気調和機Aの自動運転のオン、オフ状態を示し、(c)
は全自動運転による実際の運転モードを示し、(d)は
圧縮機10のオン(稼働)、オフ(停止)動作を示し、
(e)は全自動運転による運転モード判定の変化を示し
ている。運転開始時t11には室温TRは暖房ゾーンにあ
るので、図6(e)の運転モード判定は暖房運転となっ
て暖房時設定温度Ts付近の室温TRとなるように暖房
運転される。時刻t12に運転停止されると、空気調和機
Aの運転が停止するが、前回の暖房運転モード及びその
設定温度Tsは記憶部25に保持されており、再度全自
動運転されると当該記憶データによって全自動運転でき
る状態に保たれる。この室内の断熱が良好で室温TRの
低下が遅い場合を考えると、従来の方式では一定のメモ
リクリア時間を経過すると記憶データが消去されるの
で、メモリ保持時間Δth経過後の時刻t22に再運転さ
れると、室温TRが冷房ゾーンにあるために冷房運転さ
れることなるが、本発明ではドライゾーンと暖房ゾーン
との境界値あたりに設定されている暖房メモリクリア温
度Tchに達しないうちは記憶部25に前回の運転モー
ドと設定温度Tsを保持しているので、時刻t22に再運
転されても再び暖房運転されることになる。冷房運転時
等にも同様な動作を行なうことはもちろんである。従っ
て、本発明によれば、住宅の構造による断熱性能の差に
より記憶部25の記憶データを消去する時間が大きく異
なるのに対応することができ、従来のような誤動作を防
止することができるようになる。また、当該空気調和機
Aに加えて2台目の空気調和機や他の熱源機を同時に使
用している場合にも、従来の方式では誤動作を起こし易
かったが、本発明の方式によれば、使用環境に応じて全
自動運転を行なわせることができ、誤動作を起こりにく
くできる。
【0026】なお、設定温度Tsの各値に対する各メモ
リクリア温度Tcを変えることによって動作状態を調整
することができるが、これは例えば実験的に最適な値を
決めることができる。
【0027】また、上記実施例では、室温TRがメモリ
クリア温度Tcに達して記憶データが消去される以前に
は記憶データをそのまま用いて再運転させるようにした
が、室温TRもしくは室温TRの変化率等によって記憶
データの設定温度Tsを補正して再運転させるようにす
ることもできる。
【0028】
【発明の効果】本発明によれば、住宅の断熱性能の優劣
や他の熱源機との併用などの使用環境に応じて記憶部に
保持している記憶データを消去するまでのメモリクリア
時間を自動調整することができるので、使用環境に応じ
て判定モードや設定温度を自動判定できるようになるま
での時間を判定することができ、その時間が経過した後
に初めて運転モードや設定温度を自動判定させることが
できる。従って、従来方式のような誤動作を防止するこ
とができ、全自動運転の信頼性を一層向上させることが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例による空気調和機を示す概略
構成図である。
【図2】同上の制御部の構成を示すブロック図である。
【図3】暖房時における制御部の動作原理を示す図であ
る。
【図4】冷房時における制御部の動作原理を示す図であ
る。
【図5】同上の空気調和機の全自動運転時の処理手順を
示すフロー図である。
【図6】(a)は同上の空気調和機における全自動運転
時の室温変化を示す図、(b)は自動運転のオン、オフ
状態を示す図、(c)は実際の運転モードを示す図、
(d)は圧縮機のオン、オフ動作を示す図、(e)は全
自動運転による運転モード判定を示す図である。
【図7】選定温度選定部において決定される設定温度と
室温との関係を示す図である。
【図8】(a)は従来の空気調和機における全自動運転
時の室温変化を示す図、(b)は自動運転のオン、オフ
状態を示す図、(c)は実際の運転モードを示す図、
(d)は圧縮機のオン、オフ動作を示す図、(e)は全
自動運転による運転モード判定を示す図である。
【符号の説明】
21 制御部 22 室内温度センサ 23 運転モード選定部 24 設定温度選定部 25 記憶部 26 記憶消去部

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 運転モードを自動的に選定して空気調和
    機を全自動運転制御する機能を備えた運転制御装置であ
    って、 室温を検知する室温検知手段と、全自動運転停止後も、それまで選定されていた運転モー
    ドを 記憶する手段と、全自動運転停止後に、 室温が所定のメモリクリア温度に
    達した時に前記記憶手段の記憶を消去する手段と、全自動運転開始時に、前記記憶手段に保存されている運
    転モードの記憶データに基づいて運転モードを選定し、
    前記記憶手段の記憶データが消去されていれば前記室温
    検知手段により検知された室温に基づいて全自動運転の
    運転モード を選定する手段とを備えたことを特徴とする
    空気調和機の運転制御装置。
  2. 【請求項2】 暖房運転停止後における前記メモリクリ
    ア温度は、暖房時の設定温度よりも小さな値に設定さ
    れ、冷房運転停止後における前記メモリクリア温度は、
    冷房時の設定温度よりも大きな値に設定されていること
    を特徴とする請求項1に記載の空気調和機の運転制御装
    置。
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