JP2658719B2 - 耐候性に優れた着色ポリエチレン被覆材料 - Google Patents

耐候性に優れた着色ポリエチレン被覆材料

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、鋼材などの母材の表面
に、耐候性に優れた着色ポリエチレン樹脂層を、接着剤
層を介して被覆した防食被覆材料、特に重防食被覆材料
に関する。
【0002】
【従来の技術】屋外で長期間使用する鋼材は、激しい腐
食環境に曝されることがある。例えば、鋼矢板、鋼管矢
板などは、連続的に地中に打ち込み、防護柵を形成する
ことによって、主に河川、海岸、港湾などを護岸する目
的で、また鋼管杭は海洋構造物の基礎などに使用されて
きた。また、鋼管もガス管や水道管などとして腐食性環
境下で使用されることがある。
【0003】これらの鋼材は、屋外の自然環境の中で、
河川水、排水、雨水、海水などの水、大気、太陽光など
に曝され、また土砂、泥、瓦礫などに直接強く接するの
で、著しく腐食が起こりやすい。そのため、長期 (約40
年) の効果的な防食対策が望まれていた。
【0004】近年、この対策として、樹脂を厚膜 (1〜
3mm) で被覆することにより優れた防食性を与えた重防
食被覆鋼材が使用されつつある。この重防食被覆鋼材の
被覆樹脂としてはポリエチレンが多用されている。
【0005】ところが、ポリエチレン樹脂は、太陽光に
含まれる紫外線の影響で劣化し易く、重防食被覆のよう
に屋外で使用する場合には、カーボンブラックを1〜3
重量%程度添加して耐候性を向上させるのが一般的であ
り、色調が黒色に限定されていた。しかし、住環境や自
然環境を快適かつ綺麗に保持すべき場所では、その環境
に適合するように鋼矢板や鋼管矢板を着色する必要があ
る。
【0006】そのため、被覆樹脂には、紫外線劣化対策
として、着色顔料、ベンゾトリアゾール系化合物で代表
される紫外線を吸収して低エネルギーに転換する物質
(紫外線吸収剤) 、HALSと一般に略称されるヒンダ
ードアミン系光安定剤、ヒンダードフェノール系化合物
やイオウ系化合物などの酸化防止剤が添加される。な
お、本明細書においては、以下、紫外線吸収剤、光安定
剤、酸化防止剤を併せて劣化防止剤と総称する。
【0007】これらの劣化防止剤の添加方法としては、
紫外線吸収剤を樹脂の表面のみに添加する方法 (特開昭
61−202836号) や、樹脂全体に紫外線吸収剤とフェノー
ル系酸化防止剤および/またはカーボンブラックを添加
する方法 (特公昭63−60712号) などが公知である。後
者のように、紫外線吸収剤とフェノール系酸化防止剤を
組合わせてポリエチレン樹脂に配合しても、約15年程度
の耐候性 (サンシャインウェザーメータブラックパネル
63℃で3000時間) であり、約40年という長期の耐候性を
得るにはなお不十分であった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】耐候性を改善するに
は、劣化防止剤の配合量を増大させることが有効となる
場合もあるが、これらの劣化防止剤は高価で、ベースに
なるポリエチレン樹脂に比べて価格は最低でも数倍であ
り、その添加は製品コストの高騰を招く。特に、ガス
管、水道管などの屋外配管の外面被覆や鋼管杭、鋼矢
板、鋼管矢板などの重防食被覆においては、製造規模が
大きいので劣化防止剤の添加量も多くなり、過剰の劣化
防止剤の添加設計は製品の経済性を損なうものとなる。
【0009】本発明は、鋼矢板、鋼管矢板、鋼管杭、鋼
管などの鋼材を、経済性を損なうことなく、またカーボ
ンブラックの添加を必要とせずに、最小限の劣化防止剤
が添加された任意の色のポリエチレン樹脂層で被覆する
ことにより、少なくとも40年程度の長期耐候性を有する
着色重防食被覆鋼材を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、ポリエチ
レン樹脂に着色顔料と種々の劣化防止剤を配合して耐候
性について検討した結果、着色顔料の他に、加工時の耐
熱安定性保持と紫外線劣化過程で生成する活性なラジカ
ルを捕捉するためのフェノール系酸化防止剤、優れた光
安定化作用を示すHALS、ハイドロパーオキサイドを
分解する性能に優れたリン系の酸化防止剤、さらに少な
くとも1種の紫外線吸収剤を、それぞれ一定量以上ポリ
エチレンに添加することにより、カーボンブラックを添
加しなくても、約40年という優れた長期耐候性が達成で
きることを見出し、本発明に至った。
【0011】ここに、本発明は、ポリエチレン100 重量
部に対して、フェノール系酸化防止剤0.08重量部以上、
ヒンダードアミン系光安定剤 (HALS) 0.1 重量部以
上、リン系酸化防止剤0.05重量部以上、および紫外線吸
収剤0.1 重量部以上、を着色顔料と共に含むポリエチレ
ン組成物からなる樹脂層が、接着剤層を介して母材の表
面に被覆されていることを特徴とする、着色ポリエチレ
ン被覆材料を要旨とする。
【0012】
【作用】以下、本発明の作用を構成と共に詳細に説明す
る。本発明において、ポリエチレン樹脂被覆が施される
母材は、一般には鋼材であるが、母材の材質は鉄鋼に限
定されるものではなく、アルミニウムなどの他の金属材
料、さらには石材、木材、セラミックスなども可能であ
る。以下では、代表的な母材材料である鋼材を母材とす
る場合について説明する。
【0013】鋼材 (母材) の形状も特に限定されず、鋼
管、鋼管杭、鋼管矢板などの環状材でもよいし、鋼矢板
などの板材、さらには棒材、異形材などでもよい。鋼材
は、事前にショットブラストなどの物理的手段や酸洗、
アルカリ脱脂などの化学的手段を適当に組合わせて、表
面を清浄化しておくことが好ましい。
【0014】鋼材には、密着性や防食性を高めるための
下地処理として、メッキおよび/または化成処理 (例、
クロメート処理、リン酸亜鉛処理) を施してもよい。ま
た、ポリエチレン樹脂層の接着性を高めるために、鋼材
表面を予め適当なプライマーで処理してもよい。プライ
マーとしては、例えば、エポキシ系プライマーなどが使
用できる。プライマーは、これを薄く塗布した後、焼付
乾燥するか、紫外線などを照射して硬化させる。これら
の下地処理は、必要に応じて従来と同様に実施すること
ができる。
【0015】ポリエチレン樹脂は接着性が比較的低いの
で、鋼材と樹脂層との界面に接着剤層を介在させ、接着
剤を介して樹脂層を鋼材に被覆する。接着剤としては、
無水マレイン酸変性ポリエチレン樹脂などの、極性を付
与するように変性した変性ポリエチレン樹脂が特に高い
接着性を示すので好ましい。その他、エチレン共重合体
(例、エチレン/酢酸ビニル共重合体) 系の接着剤やポ
リエチレン系ホットメルト接着剤なども使用可能であ
る。接着剤層の厚みは特に限定されず、接着剤の種類に
よっても異なるが、一般には約 0.1〜0.5 mm程度であ
る。
【0016】被覆するポリエチレン樹脂層の厚みは、目
的とする防食の程度に応じて選択する。重防食の場合に
は 0.5〜5mm、特に約40年の長期耐候性を実現するため
には2〜3mm程度が好ましい。このポリエチレン樹脂層
には、着色顔料に加えて、耐候性を付与するために劣化
防止剤を配合する。また、ポリエチレン樹脂には、少量
の他のα−オレフィンやビニルモノマーが共重合されて
いてもよい。
【0017】ポリエチレン樹脂被覆中に含有させる劣化
防止剤としては、従来より、劣化過程で生成する活性な
ラジカル種を捕捉するラジカル連鎖禁止剤としてフェノ
ール誘導体、芳香族アミン誘導体、ピペリジン誘導体
(HALS) 等;不安定なハイドロパーオキサイドを分
解して安定な化合物に変え、自動酸化の進行を阻止する
ハイドロパーオキサイド分解剤としてイオウ系化合物、
有機金属化合物等;さらには紫外線を吸収して、その吸
収した光エネルギーを熱のような無害な形に変換し、入
射光が劣化開始拠点である発色団に到達するのを防ぐ紫
外線吸収剤としてベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾ
フェノン系化合物、ベンゾエート系化合物、シアノアク
リレート系化合物などが知られている。
【0018】本発明では、これらのうち、加工時の耐熱
安定性を保持するためと紫外線劣化過程で生成する活性
なラジカルを捕捉するためのフェノール系酸化防止剤、
優れた光安定化作用のあるHALS、ハイドロパーオキ
サイドを分解する性能に優れたリン系の酸化防止剤、お
よび紫外線吸収剤をそれぞれ一定量以上づつポリエチレ
ン樹脂層に含有させる。
【0019】次に、各劣化防止剤の具体例を示すが、こ
れらは例示であって、本発明で用いる劣化防止剤はこれ
らに限定されるものではない。また、各劣化防止剤は1
種もしくは2種以上を使用できる。
【0020】フェノール系酸化防止剤としては、 3,9−
ビス[2−{3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5
−メチルフェニル) プロピオニルオキシ}−1,1 −ジメ
チルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5] ウ
ンデカン 4,4'−チオビス(3−メチル−6−t−ブチル
フェノール) 、 1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロ
キシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、トリエチレン
グリコール−ビス−[3−(3−t−ブチル−5−メチル−
4−ヒドロキシフェニル) プロピオネート] などを始め
とする、オルト位に立体障害置換基 (例、t−ブチル
基) を持つ各種フェノール誘導体が使用できる。
【0021】HALSの具体例には、ビス(2,2,6,6−テ
トラメチル−4−ピペリジン) セバケート、フェニル−
4−ピペリジニルカーボネート、ビス(N−メチル−2,3,
6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル) セバケート等
がある。
【0022】リン系酸化防止剤としては、各種の亜リン
酸エステル類等が使用できる。有用な亜リン酸エステル
の例には、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホス
ファイト、トリス (ビフェニル) ホスファイトなどがあ
る。
【0023】紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾー
ル系、ベンゾフェノン系、ベンゾエート系、シアノアク
リレート系、サリシレート系などの各種の化合物が使用
できる。ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤の例として
は、2− (3'−t−ブチル−5'−メチル−2'−ヒドロキ
シフェニル) −5−クロロベンゾトリアゾール、2−
(3'−t−ブチル−5'−メチル−2'−ヒドロキシフェニ
ル) ベンゾトリアゾール、2− (2'−ヒドロキシ−3',
5' −ジ−t−ブチルフェニル) −5−クロロベンゾト
リアゾールなどが例示される。
【0024】約40年の長期耐候性を確保するために、ポ
リエチレン樹脂100 重量部に対する劣化防止剤の添加量
は、フェノール系酸化防止剤は0.08重量部以上、HAL
Sは0.1 重量部以上、リン系酸化防止剤は0.05重量部以
上、紫外線吸収剤は0.1 重量部以上とする。これらの劣
化防止剤を上記の量で同時に添加することにより、耐候
性の改善に対して大きな相乗効果が得られる。いずれか
1種以上の劣化防止剤の添加量が上記下限を下回ると、
相乗効果が有効に発揮されず、耐候性が低下する。ま
た、ハイドロパーオキサイドを分解するための酸化防止
剤として、リン系酸化防止剤の代わりにイオウ系酸化防
止剤を用いると、HALSとの拮抗作用により耐候性が
著しく低下する。
【0025】これらの劣化防止剤の添加量の上限は特に
規定されないが、いずれも上記下限の数倍程度以内で量
で充分である。劣化防止剤の過剰添加は製品の経済性を
損なうのみならず、場合によっては劣化防止剤のブリー
ドアウトを生じて、品質の劣化につながる。劣化防止剤
の添加量の合計は、ポリエチレン100 重量部に対して2
重量部以下とすることが好ましい。
【0026】本発明で用いる上記劣化防止剤を含有する
着色ポリエチレン樹脂を製造する際には、ポリエチレン
樹脂中に着色顔料を3〜50重量%、劣化防止剤を合計で
約1〜20重量%程度配合したマスターバッチを用意して
おき、このマスターバッチと、劣化防止剤や顔料を含有
しないポリエチレン樹脂を所定の割合で配合して、着色
ポリエチレン樹脂組成物を調製するのが、均質な組成物
を得やすく、経済的にも有利となる。
【0027】ポリエチレン樹脂を着色するための着色顔
料としては、公知の有機または無機顔料のいずれでもよ
い。具体的には、アゾ系、アンスラキノン系、フタロシ
アニン系、キナクリドン系、イソインドリノン系、ジオ
キサジン系、ペリノン系、キノフタロン系、ペリレン系
顔料等の有機顔料や群青、二酸化チタン、チタンエロ
ー、酸化鉄(弁柄)、酸化クロム、カーボンブラック等
の無機顔料が使用できる。着色顔料の配合量は、着色に
充分な量であればよく、顔料の種類によっても変動する
ため、限定できないが、一般にはポリエチレン樹脂100
重量部に対して 0.1〜5重量部の範囲内であろう。着色
顔料に加えて、体質顔料、防錆顔料、分散剤、軟化剤、
難燃剤などの公知の添加剤を1種もしくは2種以上さら
に添加してもよい。
【0028】本発明で用いる上記劣化防止剤を含有する
着色ポリエチレン樹脂組成物は、カーボンブラックを含
有しなくても、目的とする40年程度の長期耐候性を示す
ので、使用環境に合わせて任意の色に着色可能な長期耐
候性ポリエチレン樹脂組成物が得られる。この組成物
を、例えば次に説明する方法で、接着剤層を介して鋼材
または他の母材に被覆することにより、本発明のポリエ
チレン樹脂被覆材料が製造される。ポリエチレン樹脂の
被覆は、鋼材の防食を必要とする表面のみに適用すれば
よく、必ずしも全面を被覆する必要はない。
【0029】鋼材へのポリエチレン樹脂被覆法としては
例えば次の方法が可能である。 A:溶融押出方式を基本とする方法、 B:静電粉体塗装方式を基本とする方法、 C:流動浸漬方式を基本とする方法、 D:溶射方式を基本とする方法、 E:シートラミネート方式を基本とする方法。
【0030】A〜Dの各方法は、前述したように酸洗や
ブラスト処理などで清浄化され、誘導加熱などの適宜加
熱手段で約120 〜300 ℃に予熱された鋼材表面に、接着
剤樹脂 (例、無水マレイン酸変性ポリエチレン樹脂) の
薄層をA〜Dのいずれかの方法で被覆した後、接着剤樹
脂がまだ溶融状態にある間に、被覆材である劣化防止剤
を含有する着色ポリエチレン樹脂組成物をやはり上記A
〜Dのいずれかの方式で接着剤層の上に被覆することに
より実施できる。接着剤樹脂と着色ポリエチレン樹脂組
成物は別々の方法で被覆することもできるが、同じ方法
で被覆する方が通常は製造が容易であろう。
【0031】より詳しくは、上記Aの被覆方法は、予熱
された鋼材表面に、溶融した樹脂を適宜の押出機からフ
ィルムないしシート状に押出すことにより行われる。B
の被覆方法は、接地された予熱鋼材に、静電気を帯びさ
せた粉体樹脂をスプレーガンから吹きつけ、必要であれ
ば樹脂の融点以上に加熱して被覆表面を平滑にすること
により実施される。Cの被覆方法は、粉体樹脂を流動化
させ、この粉体樹脂の流動層中に予熱鋼材を浸漬し、必
要であればさらに樹脂の融点以上に加熱することにより
行われる。Dの被覆方法は、粉体樹脂を溶射ガンのフレ
ームにより溶融させて予熱鋼材の表面に吹きつけること
により行われる。
【0032】Eのラミネート方式では、接着剤樹脂のフ
ィルムと劣化防止剤を含有する着色ポリエチレン樹脂組
成物のシートとを用意し、この2層を別々に、或いは2
層を予め張り合わせてから、接着剤層が内側になるよう
に、清浄化された予熱鋼材の表面にラミネートすること
により実施できる。より好ましい方法では、2層共押出
方式あるいは押出ラミネート方式により、接着剤層と着
色ポリエチレン樹脂層とからなる複層シートを形成し、
これを接着剤層を内側にして、複層シートの形成と同時
にあるいは後で鋼材表面に張りつけてラミネートを行
う。
【0033】被覆方法の選択は、鋼材の被覆面の形状に
応じて適当に選択してもよい。例えば、鋼矢板や鋼管類
のように比較的単純な形状の場合には、上記A〜Eのい
ずれの方法も適用できよう。鋼管矢板のように、やや複
雑な形状の場合には、B〜Dの方法がより適していよ
う。
【0034】
【実施例】次に実施例を説明する。鋼矢板(住友金属工
業製;SKSP−II型)の表面をショットブラストに
より素地調整(Sa:2.5以上)した後、クロム付着
量が200mg/m となるように塗布型クロメート液
(関西ペイント製;コスマー100)を使用してクロメ
ート処理を施した。この鋼矢板に、エポキシ系プライマ
ー(日本ペイント製;No.66プライマー)を乾燥膜
厚が30μmとなるように塗布し、誘導加熱装置を用い
て鋼材を190℃に昇温させることによりプライマーの
焼付と鋼材の予熱を行った。
【0035】一方、被覆する着色ポリエチレン樹脂組成
物は、中低圧法ポリエチレン (昭和電工製;ショウレッ
クスS4002 EX、MFR 0.20g/10分、密度 0.935g/cc、いず
れもJIS K 7210に準じて測定) に、表1に示す2〜4種
の顔料 (各顔料の添加量はほぼ同じとした) と、下記
(a) 〜(f) のいくつかの劣化防止剤を組合わせて配合す
ることにより調製した。
【0036】(a) 4,4'−チオビス(3−メチル−6−t−
ブチルフェノール) (フェノール系酸化防止剤) (b) 3,9−ビス[2−{3−(3−t−ブチル−4−ヒド
ロキシ−5−メチルフェニル) プロピオニルオキシ}−
1,1 −ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピ
ロ[5,5] ウンデカン (フェノール系酸化防止剤) (c) ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジン) セ
バケート (HALS) (d) トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイ
ト (リン系酸化防止剤) (e) 2− (3'−t−ブチル−5'−メチル−2'−ヒドロキ
シフェニル) −5−クロロベンゾトリアゾール (紫外線
吸収剤) (f) ジラウリル−3,3'−チオジプロピオネート (イオウ
系酸化防止剤) 。
【0037】劣化防止剤の配合量 (樹脂100 重量部に対
する重量部) は表1に示した通りである。顔料の配合量
は樹脂100 重量部に対し 2.0〜2.1 重量部の範囲内であ
った。なお、実際の樹脂組成物の調製は、ポリエチレン
樹脂に顔料と劣化防止剤を高濃度で配合したマスターバ
ッチを用意し、これを未添加のポリエチレン樹脂と混合
することにより行った。
【0038】この劣化防止剤を含有する着色ポリエチレ
ン樹脂組成物と接着剤の無水マレイン酸変性ポリエチレ
ン樹脂 (三井石油化学製;アドマー) を2層共押出する
ことにより、幅900 mmの複層ポリエチレンシートを得
た。このシートの厚みは、接着剤層が0.3 mm、着色ポリ
エチレン樹脂層が2.2 mmであった。このシートを赤外線
ヒーターで約80℃に加熱した後、上記の予熱した鋼矢板
の凸部に押さえロールで鋼矢板に転圧しながら接着剤層
の変性ポリエチレン樹脂を融着させて被覆し、着色ポリ
エチレン被覆鋼矢板を得た。
【0039】このポリエチレン被覆鋼矢板の被覆部から
切り出した150 ×70 mm の鋼板を試験片として用いて、
サンシャインウェザーメータ (WOM) による促進耐候
試験(ブラックパネル温度63℃) を12,000時間行った。
8,000 時間後と12,000時間後に鋼矢板からポリエチレン
被覆を剥がして引張伸びを測定し、初期の引張伸びに対
する保持率を求めた。なお、WOM耐候試験 8,000時間
(WOM8000時間) は実環境で約40年に相当する。試験
結果を表1に併せて示す。
【0040】
【表1】
【0041】本発明にかかる実施例1〜8では、引張伸
び保持率はWOM8000時間後で96%以上であり、ほとん
ど低下していない。従って、本発明の樹脂被覆鋼材は少
なくとも40年の長期耐候性を有している。一方、比較例
1〜5においては、いずれかの劣化防止剤が本発明での
配合量より低いため、WOM8000時間での引張伸び保持
率に著しい低下 (最高でも保持率56%) が見られ、本発
明で目的とする長期耐候性を持っていない。特にリン系
酸化防止剤の量が0.04重量部と低かった比較例4の引張
伸び保持率が39%と低かった。また、比較例6におい
て、リン系酸化防止剤のごく一部 (0.01重量部) をイオ
ウ系酸化防止剤に変更したところ、引張伸び保持率は40
%とやはり低かった。従って、リン系酸化防止剤が耐候
性に特に大きく影響することがわかる。しかし、本発明
の効果はリン系酸化防止剤のみによって得られるのでは
ない。即ち、比較例1〜3および5に示すように、他の
劣化防止剤の添加量が少なくても耐候性は著しく低下し
た。
【0042】以上より、ポリエチレン100 重量部に対し
て、フェノール系酸化防止剤0.08重量部以上、HALS
0.1 重量部以上、リン系酸化防止剤0.05重量部以上、お
よび紫外線吸収剤0.1 重量部以上の4種類の劣化防止剤
を組合わせて配合することにより、耐候性の改善に関し
て大きな相乗効果が得られ、従来のポリエチレン樹脂被
覆では不可能であったような40年以上という長期耐候性
が確保できることがわかる。
【0043】なお、実施例3〜5に見られるように、こ
の4種類の劣化防止剤をそれぞれ本発明で規定する量の
最低量で添加した場合には、WOM促進耐候試験で8000
時間後には引張伸び保持率の低下はほとんどないが、1
2,000時間後には引張伸び保持率が大きく低下した。即
ち、この場合の長期耐候性は約40年程度である。従っ
て、より長期の耐候性 (例、50年以上) を確保したい場
合には、各劣化防止剤の配合量をいくらか増量すればよ
い。ただし、実施例1〜8から明らかなように、各劣化
防止剤の増量は高々50%ないし2・3倍程度で充分であ
る。
【0044】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明の着色ポ
リエチレン被覆材料は、ポリエチレン樹脂層に、着色顔
料に加えて、フェノール系酸化防止剤、HALS、リン
系酸化防止剤、および紫外線吸収剤がそれぞれ一定以上
の量で配合されていることにより、これらの劣化防止剤
の相乗効果により、カーボンブラックを配合しなくて
も、約40年以上という従来にない非常に長期の耐候性を
示す。しかも、これらの劣化防止剤の添加量は少量でよ
いので、被覆材料の防食性、耐衝撃性、経済性は損なわ
れない。これにより、使用環境に合わせて自由な色に着
色したポリエチレン樹脂被覆材料を40年以上の長期にわ
たって屋外で使用することが可能となり、鋼矢板などの
鋼材を始めとする各種材料の利用範囲が拡張され、かつ
耐用期間が延長される。従って、本発明の経済効果には
著しいものがある。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 岸川 浩史 大阪市中央区北浜4丁目5番33号 住友 金属工業株式会社内 (72)発明者 山本 明 茨城県鹿島郡鹿島町大字光3番地 住友 金属工業株式会社鹿島製鉄所内 (72)発明者 飯田 久雄 東京都千代田区大手町一丁目1番3号 住友金属工業株式会社内 (72)発明者 上岡 俊行 兵庫県伊丹市森本1丁目35番地 住化カ ラー株式会社内 (72)発明者 春日 直温 大分県大分市大字中ノ洲2番地 昭和電 工株式会社大分工場内 (56)参考文献 特開 平5−92514(JP,A)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリエチレン100 重量部に対して、フェ
    ノール系酸化防止剤0.08重量部以上、ヒンダードアミン
    系光安定剤0.1 重量部以上、リン系酸化防止剤0.05重量
    部以上、および紫外線吸収剤0.1 重量部以上、を着色顔
    料と共に含むポリエチレン組成物からなる樹脂層が、接
    着剤層を介して母材の表面に被覆されていることを特徴
    とする、着色ポリエチレン被覆材料。
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