JP2658704B2 - 半導体封止用エポキシ系樹脂組成物 - Google Patents

半導体封止用エポキシ系樹脂組成物

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JP2658704B2
JP2658704B2 JP876392A JP876392A JP2658704B2 JP 2658704 B2 JP2658704 B2 JP 2658704B2 JP 876392 A JP876392 A JP 876392A JP 876392 A JP876392 A JP 876392A JP 2658704 B2 JP2658704 B2 JP 2658704B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、半田耐熱性、耐湿信頼
性および低応力性に優れる半導体封止用エポキシ系樹脂
組成物および半導体装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】エポキシ樹脂は耐熱性、耐湿性、電気特
性、接着性などに優れており、さらに配合処方により種
々の特性が付与できるため、塗料、接着剤、電気絶縁材
料など工業材料として利用されている。
【0003】たとえば、半導体装置などの電子回路部品
の封止方法として従来より金属やセラミックスによるハ
ーメチックシールとフェノール樹脂、シリコーン樹脂、
エポキシ樹脂などによる樹脂封止が提案されている。し
かし、経済性、生産性、物性のバランスの点からエポキ
シ樹脂による樹脂封止が中心になっている。
【0004】一方、最近はプリント基板への部品実装に
おいても高密度化、自動化が進められており、従来のリ
ードピンを基板の穴に挿入する“挿入実装方式”に代
り、基板表面に部品を半田付けする“表面実装方式”が
盛んになってきた。それに伴い、パッケージも従来のD
IP(デュアル・インライン・パッケージ)から高密度
実装、表面実装に適したQFP(クワッド・フラット・
パッケージ)あるいはSOP(スモール・アウトライン
・パッケージ)などに移行しつつある。
【0005】表面実装方式への移行に伴い、従来あまり
問題にならなかった半田付け工程が大きな問題になって
きた。従来のピン挿入実装方式では半田付け工程はリー
ド部が部分的に加熱されるだけであったが、表面実装方
式ではパッケージ全体が熱媒に浸され加熱される。表面
実装方式における半田付け方法としては半田浴浸漬、不
活性ガスの飽和蒸気による加熱(ベーパーフェイズ法)
や赤外線リフロー法などが用いられるが、いずれの方法
でもパッケージ全体が210〜270℃の高温に加熱さ
れることになる。そのため従来の封止樹脂で封止したパ
ッケージは、半田付け時に樹脂部分にクラックが発生し
たり、チップと樹脂の界面が剥離するため、信頼性が低
下して製品として使用できないという問題がおきる。
【0006】半田付け工程におけるクラックの発生やチ
ップと樹脂の界面の剥離は、後硬化してから実装工程の
間までに吸湿した水分が半田付け加熱時に爆発的に水蒸
気化、膨脹することに起因するといわれており、その対
策として後硬化したパッケージを完全に乾燥し密封した
容器に収納して出荷する方法が用いられている。
【0007】封止用樹脂の改良も種々検討されている。
例えばフェノールアラルキル樹脂を硬化剤として配合す
る方法(特開昭59−67660号公報)、3官能のフ
ェノール系硬化剤を配合する方法(特開平1−1712
32号公報)などが提案されている。
【0008】一方、エポキシ樹脂で半導体を封止した場
合、線膨脹係数が半導体よりエポキシ樹脂の方がかなり
大きいために、温度変化により半導体素子に熱応力がか
かり、これに起因してアルミ配線がスライドして電流が
リークしたり、パッシベーション膜や封止樹脂自体にク
ラックが生じ、信頼性が低下するという問題があった。
この問題を解決し、封止樹脂の低応力化を図るために
は、封止樹脂の線膨脹係数を下げることと、弾性率を下
げることが有効である。
【0009】封止樹脂の線膨脹係数を下げるには、充填
剤の種類を選択する方法および充填剤を高充填する方法
が知られている。
【0010】また、封止樹脂の弾性率を下げるためには
エラストマ成分を添加する方法が有効であり、例えばス
チレン系ブロック共重合体を添加する方法(特開昭63
−251419号公報)などが提案されている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】しかるに乾燥パッケー
ジを容器に封入する方法は製造工程および製品の取扱作
業が繁雑になるうえ、製品価格が高価になる欠点があ
る。
【0012】また、種々の方法で改良された樹脂も、そ
れぞれ少しづつ効果をあげてきているが、まだ十分では
ない。フェノールアラルキル樹脂を硬化剤として配合す
る方法(特開昭59−67660号公報)、3官能のフ
ェノール系硬化剤を配合する方法(特開平1−1712
32号公報)は半田付け時の樹脂部分のクラック防止に
効果があるものの、大型のチップを使用すると、チップ
と樹脂の界面が剥離して耐湿信頼性が低下する問題があ
った。
【0013】一方、封止樹脂の弾性率を下げるために
は、スチレン系ブロック共重合体を添加することにより
エポキシ樹脂を低応力化する方法(特開昭63−251
419号公報)が有効であり、半田付け時の樹脂部分の
クラック防止に効果があるものの、チップと樹脂の界面
の剥離の問題は解決しなかった。
【0014】本発明の目的は、かかる大型のチップを使
用したパッケージの、半田付け工程で生じるチップと樹
脂の界面が剥離する問題を解消し、信頼性の低下がな
く、温度変化による半導体素子にかかる熱応力が小さ
い、すなわち半田耐熱性、耐湿信頼性および低応力性に
優れる半導体封止用エポキシ系樹脂組成物を提供するこ
とにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、特定の構
造の硬化剤に変性スチレン系ブロック共重合体を添加す
ることにより、上記の課題を達成し、目的に合致した半
導体封止用エポキシ系樹脂組成物が得られることを見出
し、本発明に到達した。
【0016】すなわち本発明は、エポキシ樹脂(A)、
硬化剤(B)、充填剤(C)および変性スチレン系ブロ
ック共重合体(D)を必須成分として含有してなる樹脂
組成物であって、前記硬化剤(B)が下記式(I)
【化4】 (ただし、Rは水素原子、アリール基またはアルキル
基から選ばれた基を示す。)で表される硬化剤(b1)
および下記式(II)
【化5】 で表される硬化剤(b2)および下記式(III)
【化6】 (ただし、R、R、R、R、R、R
、R、R10、R11は各々水素原子、ハロゲン原
子、水酸基または炭素数1〜4のアルキル基から選ばれ
た基を示す。また、nは0以上の整数を示す。)で表さ
れる硬化剤(b3)から選ばれた1種以上を必須成分と
して含有し、前記充填剤(C)の割合が全体の60〜9
0重量%で、前記変性スチレン系ブロック共重合体
(D)がスチレン系ブロック共重合体に不飽和カルボン
酸またはその誘導体を共重合またはグラフト反応させた
ものであることを特徴とする半導体封止用エポキシ系樹
脂組成物を提供するものである。
【0017】以下、本発明の構成を詳述する。
【0018】本発明におけるエポキシ樹脂(A)は、1
分子中にエポキシ基を2個以上有するものであれば特に
限定されない。
【0019】たとえば、クレゾールノボラック型エポキ
シ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェ
ニル型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ビス
フェノ−ルAやレゾルシンなどから合成される各種ノボ
ラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹
脂、線状脂肪族エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、複
素環式エポキシ樹脂、ハロゲン化エポキシ樹脂、スピロ
環含有エポキシ樹脂などがあげられる。
【0020】用途によっては二種以上のエポキシ樹脂を
併用してもよいが、耐熱性および耐湿性の点から、クレ
ゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキ
シ樹脂などのエポキシ当量が500以下、特に300以
下のエポキシ樹脂を全エポキシ樹脂中に50重量%以上
含むことが好ましい。
【0021】本発明において、エポキシ樹脂(A)の配
合量は通常4〜25重量%、好ましくは6〜18重量%
である。
【0022】本発明における硬化剤(B)は、下記式
(I)
【化7】 (ただし、Rは水素原子、アリール基またはアルキル
基から選ばれた基を示す。)で表される硬化剤(b1)
および下記式(II)
【化8】 で表される硬化剤(b2)および下記式(III)
【化9】 (ただし、R、R、R、R、R、R
、R、R10、R11は各々水素原子、ハロゲン原
子、水酸基または炭素数1〜4のアルキル基から選ばれ
た基を示す。また、nは0以上の整数を示す。)で表さ
れる硬化剤(b3)から選ばれた1種以上を必須成分と
して含有することが、半田耐熱性および耐湿信頼性の点
で重要である。
【0023】ここで、硬化剤(b1)は3官能のフェノ
ール系硬化剤であり、上記式(I)において、Rの好
ましい具体例としては、水素原子、メチル基、エチル
基、プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、se
c−ブチル基、tert−ブチル基、アリール基などが
あげられる。
【0024】また、上記式(I)において、水酸基はフ
ェニル基のどの位置に結合していても良いが、エポキシ
との反応性の点からp−位またはm−位が好ましい。中
でも、水酸基がp−位またはm−位に結合し、Rが水
素原子であるトリス(4−ヒドロキシフェニル)メタン
およびトリス(3−ヒドロキシフェニル)メタンが特に
好ましく用いられる。
【0025】さらに、硬化剤(b2)は上記式(II)
で表される4,4´−ジヒドロキシビフェニルで、2官
能のフェノール系硬化剤である。
【0026】次に、硬化剤(b3)は多官能のフェノー
ル系硬化剤であり、上記式(III)において、R
、R、R、R、R、R、R、R10、R
11の好ましい具体例としては、水素原子、臭素原子、水
酸基、メチル基、エチル基、プロピル基、i−プロピル
基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチ
ル基などがあげられる。
【0027】中でも、信頼性の点でR、R、R
、R、R、R、R、R10、R11のすべてが
水素原子である硬化剤(b3)が特に好ましく用いられ
る。また、上記式(III)においてnは0以上の整数
であるが、硬化剤(b3)は通常、nの値の異なる種々
の分子量のものの混合物である。したがって、硬化剤
(b3)において、分子量分布を有する混合物のnの値
の平均値は必ずしも整数にはならず、その値は、好まし
くは0.5〜20の実数である。
【0028】本発明における硬化剤(B)は、硬化剤
(b1)および硬化剤(b2)および硬化剤(b3)か
ら選ばれた1種以上を必須成分として含有するが、硬化
剤(B)中の硬化剤(b1)および硬化剤(b2)およ
び硬化剤(b3)の含有量は、半田耐熱性の点から好ま
しくは50重量%以上、特に好ましくは70重量%以上
である。ここで、硬化剤(B)中には硬化剤(b1)、
硬化剤(b2)、硬化剤(b3)から選ばれる1種、2
種あるいは3種の硬化剤が含有されればよく、その3種
の硬化剤の比率は任意である。
【0029】本発明における硬化剤(B)として、上記
硬化剤(b1)、(b2)、(b3)以外に、任意の硬
化剤を用いることができる。ここで用いることのできる
硬化剤は、エポキシ樹脂と反応して硬化させるものであ
れば特に限定されない。それらの具体例としては、フェ
ノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ビ
スフェノ−ルAやレゾルシンから合成される各種ノボラ
ック樹脂、各種多価フェノ−ル化合物などのフェノール
系硬化剤、無水マレイン酸、無水フタル酸、無水ピロメ
リット酸などの酸無水物およびメタフェニレンジアミ
ン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルス
ルホンなどの芳香族アミンなどがあげられる。半導体封
止用としては、耐熱性、耐湿性および保存性の点から、
フェノール系硬化剤が好ましく用いられ、用途によって
は二種以上の硬化剤を添加してもよい。
【0030】本発明において、硬化剤(B)の配合量は
通常2〜15重量%、好ましくは3〜10重量%であ
る。さらには、エポキシ樹脂(A)と硬化剤(B)の配
合比は、機械的性質および耐湿性の点から(A)に対す
る(B)の化学当量比が0.7〜1.3、特に0.8〜
1.2の範囲にあることが好ましい。
【0031】また、本発明においてエポキシ樹脂(A)
と硬化剤(B)の硬化反応を促進するため硬化触媒を用
いてもよい。硬化触媒は硬化反応を促進するものならば
特に限定されず、たとえば2−メチルイミダゾール、
2,4−ジメチルイミダゾール、2−エチル−4−メチ
ルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェ
ニル−4−メチルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミ
ダゾールなどのイミダゾール化合物、トリエチルアミ
ン、ベンジルジメチルアミン、α−メチルベンジルジメ
チルアミン、2−(ジメチルアミノメチル)フェノー
ル、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェ
ノール、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデ
セン−7などの3級アミン化合物、ジルコニウムテトラ
メトキシド、ジルコニウムテトラプロポキシド、テトラ
キス(アセチルアセトナト)ジルコニウム、トリ(アセ
チルアセトナト)アルミニウムなどの有機金属化合物お
よびトリフェニルホスフィン、トリメチルホスフィン、
トリエチルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリ
(p−メチルフェニル)ホスフィン、トリ(ノニルフェ
ニル)ホスフィンなどの有機ホスフィン化合物があげら
れる。なかでも耐湿性の点から、有機ホスフィン化合物
が好ましく、トリフェニルホスフィンが特に好ましく用
いられる。これらの硬化触媒は、用途によっては二種以
上を併用してもよく、その添加量はエポキシ樹脂(A)
100重量部に対して0.5〜5重量部の範囲が好まし
い。
【0032】本発明における充填剤(C)としては、溶
融シリカ、結晶性シリカ、窒化ケイ素、炭化ケイ素、炭
酸カルシウム、炭酸マグネシウム、アルミナ、マグネシ
ア、クレー、タルク、ケイ酸カルシウム、酸化チタン、
アスベスト、ガラス繊維などを添加することができる。
なかでも低応力性の点から、溶融シリカが好ましく用い
られる。
【0033】ここで、溶融シリカは真比重2.3以下の
非晶性シリカを意味する。その製造は必ずしも溶融状態
を経る必要はなく、任意の製造法を用いることができ
る。たとえば結晶性シリカを溶融する方法、各種原料か
ら合成する方法などがあげられる。
【0034】本発明において、充填剤(C)の割合は、
成形性および低応力性の点から全体の60〜90重量%
である。
【0035】本発明において、充填剤(C)をシランカ
ップリング剤、チタネートカップリング剤などのカップ
リング剤であらかじめ表面処理することが、信頼性の点
で好ましい。カップリング剤としてエポキシシラン、ア
ミノシラン、メルカプトシランなどのシランカップリン
グ剤が好ましく用いられる。
【0036】本発明における変性スチレン系ブロック共
重合体(D)はスチレン系ブロック共重合体に不飽和カ
ルボン酸またはその誘導体を共重合またはグラフト反応
させて得られる。スチレン系ブロック共重合体は、ガラ
ス転移温度が通常25℃以上、好ましくは50℃以上の
芳香族ビニル炭化水素重合体ブロックとガラス転移温度
が0℃以下、好ましくは−25℃以下の共役ジエン重合
体ブロックからなる線状、放射状、分岐状のブロック共
重合体が含まれる。前記の芳香族ビニル炭化水素として
は、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレ
ン、p−メチルスチレン、1,3−ジメチルスチレン、
ビニルナフタレンなどがあり、中でもスチレンが好まし
く使用できる。
【0037】前記の共役ジエンとしては、ブタジエン
(1,3−ブタジエン)、イソプレン(2−メチル−
1,3−ブタジエン)、メチルイソプレン(2,3−ジ
メチル−1,3−ブタジエン)、1,3−ペンタジエン
などがあり中でもブタジエン、イソプレンが好ましく使
用できる。スチレン系ブロック共重合体中に占めるガラ
ス相ブロックである芳香族ビニル炭化水素重合体ブロッ
クの割合は10〜50重量%、ゴム相ブロックである共
役ジエン重合体ブロックの割合は90〜50重量%が好
ましい。ガラス相ブロックとゴム相ブロックとの組み合
せは多数あり、そのいずれでも良いが、中間のゴム相ブ
ロックの両端にガラス相ブロックが結合したトリブロッ
ク共重合体が好ましい。この場合のガラス相ブロックの
数平均分子量は好ましくは3,000〜150,00
0、特に好ましくは5,000〜60,000である。
また、ゴム相ブロックの数平均分子量は好ましくは5,
000〜300,000、特に好ましくは10,000
〜150,000である。
【0038】スチレン系ブロック共重合体は公知のリビ
ングアニオン重合法を用いて製造でき、特にこれに限定
されることはない。スチレン系ブロック共重合体には、
上記説明したブロック共重合体の不飽和結合の一部が水
素添加により還元された、水添ブロック共重合体も含ま
れる。ここで、芳香族ビニル炭化水素重合体ブロックの
芳香族二重結合の25%以下および共役ジエン重合体ブ
ロックの脂肪族二重結合の80%以上が水添されている
ことが好ましい。スチレン系ブロック共重合体の好まし
い具体例としては、ポリスチレン/ポリブタジエン/ポ
リスチレントリブロック共重合体(SBS)、ポリスチ
レン/ポリイソプレン/ポリスチレントリブロック共重
合体(SIS)、SBSの水添共重合体(SEBS)お
よびSISの水添共重合体があげられる。中でも耐熱性
の点からSBSの水添共重合体(SEBS)およびSI
Sの水添共重合体が特に好ましく用いられる。
【0039】本発明における変性スチレン系ブロック共
重合体(D)はスチレン系ブロック共重合体に不飽和カ
ルボン酸またはその誘導体を共重合またはグラフト反応
させて得られるが、通常グラフト反応により製造され
る。ここで不飽和カルボン酸としては、アクリル酸、メ
タクリル酸、エタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、
フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、ブテンジカルボ
ン酸が好ましく用いられる。また、その誘導体としては
アルキルエステル、グリシジルエステル、酸無水物、イ
ミドなどが好ましく用いられる。好ましい具体例として
は、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸
プロピル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、メ
タクリル酸エチル、アクリル酸グリシジル、メタクリル
酸グリシジル、エタクリル酸グリシジル、イタコン酸ジ
グリシジルエステル、シトラコン酸ジグリシジルエステ
ル、ブテンジカルボン酸ジグリシジルエステル、ブテン
ジカルボン酸モノグリシジルエステル、無水マレイン
酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、マレイン酸イ
ミド、N−フェニルマレイン酸イミド、イタコン酸イミ
ド、シトラコン酸イミド、などがあげられ、なかでもメ
タクリル酸グリシジル、無水マレイン酸、N−フェニル
マレイン酸イミド、マレイン酸イミドが好ましく用いら
れる。これらの不飽和カルボン酸またはその誘導体は、
用途によっては二種以上を併用しても良い。
【0040】不飽和カルボン酸またはその誘導体のグラ
フト反応量は、半田耐熱性の改良の点で、変性スチレン
系ブロック共重合体において、不飽和カルボン酸および
その誘導体の和として0.01〜10重量%が好まし
く、0.05〜5重量%が特に好ましい。なおここでい
うグラフト反応とは、不飽和カルボン酸またはその誘導
体がスチレン系ブロック共重合体と化学的に結合するこ
とを意味する。
【0041】変性スチレン系ブロック共重合体(D)は
公知の方法、たとえば、スチレン系ブロック共重合体と
不飽和カルボン酸またはその誘導体を、溶融状態または
溶液状態において、ラジカル開始剤の存在下または不存
在下にスチレン系ブロック共重合体に不飽和カルボン酸
またはその誘導体をグラフト反応させることにより得ら
れる。好ましくは、単軸もしくは二軸の押出機、バンバ
リーミキサー、ニーダー、ロールなどの溶融混練装置を
用い、100〜350℃で溶融混練して製造できる。ま
た、溶融混練の際にラジカル開始剤として有機過酸化物
を添加すればより効果的にグラフト反応させることがで
きる。有機過酸化物としては、ベンゾイルパーオキサイ
ド、1,1−ビス−tert−ブチルパーオキシ−3,
3,5−トリメチルシクロヘキサン、n−ブチル−4,
4−ビス−tert−ブチルパーオキシバレイト、te
rt−ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキ
サイド、tert−ブチルパーオキシベンゾエート、ジ
−tert−ブチルパーオキサイド、ジ(tert−ブ
チルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、2,5−ジ
メチル−2,5−ジ(tert−ブチルパーオキシ)ヘ
キサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブ
チルパーオキシ)ヘキシン−3、tertブチルパーオ
キシクメンなどがあげられる。有機過酸化物の添加量
は、スチレン系ブロック共重合体100重量部に対して
0.001〜1重量部が好ましい。
【0042】変性スチレン系ブロック共重合体(D)の
添加量は半田耐熱性の改良効果から、半導体装置封止用
エポキシ系樹脂組成物中0.1〜10重量%が好まし
く、1〜6重量%が特に好ましい。
【0043】また、本発明の半導体装置封止用エポキシ
系樹脂組成物にはスチレン系ブロック共重合体を添加す
ることができる。その添加量は10重量%以下が好まし
い。また、変性スチレン系ブロック共重合体(D)およ
びスチレン系ブロック共重合体はあらかじめ粉砕、架橋
その他の方法により粉末化して用いても良い。変性スチ
レン系ブロック共重合体(D)およびスチレン系ブロッ
ク共重合体の配合は任意の手順を用いることができる。
たとえば、あらかじめエポキシ樹脂(A)または硬化剤
(B)と溶融混合した後その他の成分を配合する方法、
エポキシ樹脂(A)、硬化剤(B)、充填剤(C)およ
びその他の成分と同時に配合する方法などがあげられ
る。
【0044】本発明の半導体封止用エポキシ系樹脂組成
物にはハロゲン化エポキシ樹脂などのハロゲン化合物ま
たはリン化合物などの難燃剤、三酸化アンチモンなどの
難燃助剤、カーボンブラック、酸化鉄などの着色剤、シ
リコーンゴム、シリコーンオイル、変性ニトリルゴム、
変性ポリブタジエンゴム、ポリエチレンなどの熱可塑性
樹脂、長鎖脂肪酸、長鎖脂肪酸の金属塩、長鎖脂肪酸の
エステル、長鎖脂肪酸のアミド、パラフィンワックスな
どの離型剤および有機過酸化物などの架橋剤を任意に添
加することができる。
【0045】本発明の半導体封止用エポキシ系樹脂組成
物は溶融混練することが好ましく、たとえばバンバリー
ミキサー、ニーダー、ロール、単軸もしくは二軸の押出
機およびコニーダーなどの公知の混練方法を用いて溶融
混練することにより、製造される。
【0046】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
る。なお、実施例中の部数は重量部を、%は重量%を各
々示す。
【0047】 参考例1(変性スチレン系ブロック共重合体Iの製造) 表1に示すスチレン系ブロック共重合体I100部に対
して無水マレイン酸3部および2,5−ジメチル−2,
5−ジ(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン0.1
部をドライブレンドした。この混合物を30mmφの単
軸押出機を使用して、スクリュー回転数50rpm、シ
リンダー温度230℃で溶融混練し、変性スチレン系ブ
ロック共重合体Iを得た。
【0048】この変性スチレン系ブロック共重合体Iを
アセトン溶媒でソックスレー抽出し、未反応の無水マレ
イン酸を除去した後、赤外線吸収スペクトルおよび紫外
線吸収スペクトルを測定して無水マレイン酸のグラフト
反応量を定量した。その結果、変性スチレン系ブロック
共重合体において無水マレイン酸が1.2重量%グラフ
ト反応していることがわかった。
【0049】参考例2(変性スチレン系ブロック共重合
体IIの製造) 参考例1と同様に表1に示すスチレン系ブロック共重合
体II100部に対してメタクリル酸グリシジル2部およ
び2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルパ
ーオキシ)ヘキサン0.1部を使用して、メタクリル酸
グリシジルが1.1重量%グラフト反応した変性スチレ
ン系ブロック共重合体IIを得た。
【0050】実施例1〜5、比較例1〜5 表2および表3に示した配合処方に対し、参考例1、2
の変性スチレン系ブロック共重合体(D)および表1に
示したスチレン系ブロック共重合体を各々表2および表
3に示した組成比でミキサーによりドライブレンドし
た。これをロール表面温度90℃のミキシングロールを
用いて5分間加熱混練後、冷却、粉砕して半導体封止用
エポキシ系樹脂組成物を製造した。
【0051】
【表1】
【表2】
【表3】 この組成物を用い、低圧トランスファ−成形法により1
75℃×2分の条件で成形し、180℃×5時間の条件
でポストキュアして次の物性測定法により各組成物の物
性および成形性を測定した。
【0052】半田耐熱性:表面にAl蒸着した模擬素子
を搭載したチップサイズ12×12mmの160pin
QFP20個を成形、ポストキュアし、65℃/95%
RHで72時間加湿後、最高温度240℃のIRリフロ
ー炉で加熱処理し、超音波探傷機でチップと樹脂の界面
の剥離の有無を調べた。故障率として、剥離の発生した
QFPの割合を求めた。
【0053】耐湿信頼性:半田耐熱性評価後のQFPを
用い、121℃/100%RHのPCT条件下で、Al
配線の断線を故障として累積故障率50%になる時間を
求め、寿命とした。
【0054】低応力性:ダミーチップを搭載した160
pinQFP20個を成形、ポストキュアし、−65℃
〜150℃の温度サイクル試験でクラックの発生したQ
FPを故障として、累積故障率50%になる時間を求
め、寿命とした。
【0055】これらの評価結果を表4に示す。
【0056】
【表4】 表4にみられるように、本発明の半導体封止用エポキシ
系樹脂組成物(実施例1〜5)は半田耐熱性、耐湿信頼
性および低応力性に優れている。
【0057】これに対して本発明の硬化剤を含有しない
比較例1および変性スチレン系ブロック共重合体(D)
を含有しない比較例2〜5では半田耐熱性、耐湿信頼性
および低応力性のすべてに劣っている。
【0058】
【発明の効果】本発明の半導体封止用エポキシ系樹脂組
成物は、エポキシ樹脂、特定構造の硬化剤、充填剤およ
び変性スチレン系ブロック共重合体を配合したために、
半田耐熱性、耐湿信頼性および低応力性に優れている。

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エポキシ樹脂(A)、硬化剤(B)、充
    填剤(C)および変性スチレン系ブロック共重合体
    (D)を必須成分として含有してなる樹脂組成物であっ
    て、前記硬化剤(B)が下記式(I) 【化1】 (ただし、Rは水素原子、アリール基またはアルキル
    基から選ばれた基を示す。)で表される硬化剤(b1)
    および下記式(II) 【化2】 で表される硬化剤(b2)および下記式(III) 【化3】 (ただし、R、R、R、R、R、R
    、R、R10、R11は各々水素原子、ハロゲン原
    子、水酸基または炭素数1〜4のアルキル基から選ばれ
    た基を示す。また、nは0以上の整数を示す。)で表さ
    れる硬化剤(b3)から選ばれた1種以上を必須成分と
    して含有し、前記充填剤(C)の割合が全体の60〜9
    0重量%で、前記変性スチレン系ブロック共重合体
    (D)がスチレン系ブロック共重合体に不飽和カルボン
    酸またはその誘導体を共重合またはグラフト反応させた
    ものであることを特徴とする半導体封止用エポキシ系樹
    脂組成物。
  2. 【請求項2】 エポキシ樹脂(A)の配合量が、エポキ
    シ樹脂(A)に対する硬化剤(B)の化学当量比が0.
    7〜1.3となる量、硬化剤(B)の配合量が全体の2
    〜15重量%、変性スチレン系ブロック共重合体(D)
    の配合量が全体の0.1〜10重量%である請求項1記
    載の半導体封止用エポキシ系樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 変性スチレン系ブロック共重合体(D)
    がスチレン系ブロック共重合体に不飽和カルボン酸また
    はその誘導体をグラフト反応させたものを必須成分とし
    て含有する請求項1または2記載の半導体封止用エポキ
    シ系樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 変性スチレン系ブロック共重合体におけ
    る、不飽和カルボン酸またはその誘導体のグラフト反応
    量が、不飽和カルボン酸およびその誘導体の和で0.0
    1〜10重量%である請求項3記載の半導体封止用エポ
    キシ系樹脂組成物。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4いずれかの半導体封止用エ
    ポキシ系樹脂組成物によって、1辺が12mm以上のチッ
    プサイズ、または160ピン以上の素子が封止された半
    導体装置。
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