JP2657491B2 - 電子写真感光体 - Google Patents

電子写真感光体

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JP2657491B2 JP62106761A JP10676187A JP2657491B2 JP 2657491 B2 JP2657491 B2 JP 2657491B2 JP 62106761 A JP62106761 A JP 62106761A JP 10676187 A JP10676187 A JP 10676187A JP 2657491 B2 JP2657491 B2 JP 2657491B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は光導電性アモルファスシリコンカーバイド層
から成る電子写真感光体に関し、感光体層の基板に対す
る密着性を高めた電子写真感光体に関するものである。
〔従来技術〕
近年、電子写真感光体の進歩は目覚ましく、感光体ド
ラムを搭載する複写機やプリンター等の開発に伴って感
光体自体にも種々の特性が要求されている。この要求に
対してアモルファスシリコン層が耐熱性、耐摩耗性、無
公害性並びに光感度特性に優れているという理由から注
目されている。
しかし乍ら、アモルファスシリコン(以下、a−Siと
略す)層は、それに何ら不純物元素をドーピングしない
と約109Ω・cmの暗抵抗率しか得られず、これを電子写
真感光体に用いる場合には1012Ω・cm以上の暗抵抗率に
して電荷保持能力を高める必要がある。そのために酸素
や窒素などの元素を微少量ドーピングして高抵抗化にし
得るが、その反面、光導電性が低下するという問題があ
る。また、ホウ素などを添加しても高抵抗化が期待でき
るが、十分に満足し得るような暗抵抗率が得られず約10
11Ω・cm程度にすぎない。
一方、上記の如きドーピング剤の開発と共にa−Si光
導電層に別の非光導電層を積層して成る積層型感光体が
提案されている。
例えば、第2図はこの積層型感光体であり、基板
(1)の上にキャリア注入阻止層(2)、a−Si光導電
層(3)及び表面保護層(4)が順次積層されている。
この積層型感光体によれば、キャリア注入阻止層
(2)は基板(1)からのキャリアの注入を阻止するも
のであり、表面保護層(4)はa−Si光導電層(3)を
保護して耐湿性等を向上させるものであるが、両者の層
(2)及び(4)ともに感光体の暗抵抗率を大きくして
帯電能を高めることが目的であり、そのためにこれらの
層を光導電性にする必要はない。
このように従来周知のa−Si感光体は光キャリア発生
層をa−Si光導電層により形成させた点に大きな特徴が
あり、これによって耐熱性、耐久性及び光感度特性等に
優れた長所を有している反面、暗抵抗率が不十分である
ためにドーピング剤を用いたり、更に積層型感光体にす
ることで暗抵抗率を大きくしている。即ち、積層立感光
体に形成されるキャリア注入阻止層(2)及び表面保護
層(4)はa−Si光導電層自体が有する欠点を補完する
ものであり、a−Si光導電層(3)と実質上区別し得る
層と言える。
本発明者等は上記事情に鑑みて、既にアモルファスシ
リコンカーバイド(以下、a−SiCと略す)は光導電性
を有すると共に暗抵抗率がドーピング剤の有無と無関係
に容易に1013Ω・cm以上になり、更にドーピング剤の選
択によって負極性に帯電可能な電子写真感光体と成り得
ることを見い出した。
〔発明が解決しようとする問題点〕
しかし乍ら、このa−SiC感光体が、例えばアルミニ
ウム製導電性基板上に成膜形成された場合、アルミニウ
ムはa−SiCに比べて熱膨張係数が一段と大きく、これ
により、グロー放電分解法による基板加熱並びにその成
膜終了後の冷却に伴い、a−SiC層自体の内部応力が著
しく大きくなり、その結果、長期間に亘る反復使用によ
ってa−SiC光導電層のアルミニウム基板に対する密着
力が低下し、a−SiC層の剥離やその層自体にクラック
が生じるという問題がある。
〔発明の目的〕
従って本発明は叙上に鑑みて案出されたものであり、
その目的は基板上に成膜形成したa−SiC層に剥離やク
ラックが生じなくなり、これによって高品質且つ高信頼
性の電子写真感光体を提供することにある。
本発明の他の目的は表面保護層及びキャリア注入阻止
層を実質上不要とすることができる電子写真感光体を提
供することにある。
本発明の更に他の目的は正極性に帯電可能な電子写真
感光体を提供することにある。
〔問題点を解決するための手段〕 本発明の電子写真感光体は、酸素又は窒素のうち少な
くとも1種を0.01乃至60原子%と周期律表第III a族元
素とを含有する光導電性のa−SiCからなる厚み0.1乃至
5μmの第1層(第1の層領域)と、周期律表第III a
族元素の含有量が第1層に比べて少ない0.1乃至10,000p
pmの光導電性のa−SiCからなる第2層(第2の層領
域)とを順次積層してなることを特徴とする。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明電子写真感光体の基本的層構成は第1図に示す
通りであり、導電性基板(1)上に光導電性a−SiC層
(5)を形成し、これによって暗抵抗率を1013Ω・cm以
上にまで高めることができ、更にこの層(5)の内部は
基板(1)から順次第1の層領域(6)と第2の層領域
(7)が形成され、その第1の層領域(6)に酸素又は
窒素のうち少なくとも一種を含有させ、これにより、基
板(1)に対するa−SiC層(5)の密着力が顕著に大
きくなると共に表面電位を高めることができる。
このような酸素及び/又は窒素(以下、基板密着用元
素と呼ぶ)の含有量はシリコン、炭素及び基板密着用元
素の総量に対して001乃至60原子%、好適には0.1乃至30
原子%、最適には0.5乃至20原子%がよく、この含有量
が0.01原子%未満の場合にはa−SiC層の基板との密着
性が期待できなく、更に表面電位に対する改善が期待で
きなくなり、一方、それが60原子%を超える場合には残
留電位が大きくなり、実用上支障がでる。
また、第1の層領域(6)の厚みは0.1乃至5μm、
好適には0.2乃至3μmの範囲内に設定すればよく、こ
の範囲内であれば、密着性を改善し、表面電位を高める
ことができる。
このように基板密着用元素を第1の層領域(6)に含
有させるに当たっては、この層領域(6)の全体に対し
て上記範囲内で含有される限りにおいて、その層内部に
均一又は不均一な含有分布でドーピングさせる。
基板密着用元素を第1の層領域(6)の層厚方向に亘
って不均一な含有率でドーピングさせる場合には第3図
乃至第10図に示すように種々の含有分布がある。
第3図乃至第10図においては、横軸は第1の層領域
(6)の基板(1)との界面(a)から第2の層領域
(7)との界面(b)への至る層厚方向の厚みを表わ
し、縦軸は基板密着用元素の含有量を表わしている。い
ずれの含有分布も基板(1)側に片寄って比較的多く含
有させており、これにより、密着性が更に一層向上し、
残留電位の低減化が有利に行われる。
また第3図乃至第6図に示すように第1の層領域
(6)の内部に基板密着用元素含有領域(8)と基板密
着用元素非含有領域(9)を形成してもよく、このよう
に二分化した場合には基板密着用元素含有領域(8)の
厚みは第1の層領域(6)の厚みに比べて1/2倍以下、
望ましくは1/3倍以下になるように設定するとよく、こ
れによって残留電位を小さくすることができる。
前記基板(1)には銅、黄銅、SUS、Al等の金属導電
体、或いはガラス、セラミックス等の絶縁体の表面に導
電性被膜をコーティングしたものがあり、いずれの材料
を用いても本発明の目的を達成することができるが、就
中、Alがコスト面及び密着性という点で最も有利であ
る。
また本発明において、a−SiC層(5)が光導電性を
有するようになった点については、アモルファス化した
ケイ素と炭素を不可欠な構成元素とし、更にそのダング
リングボンドを終端させるべく水素元素(H)やハロゲ
ン元素を所要の範囲内で含有させることによって光導電
性が生じるものと考えられる。本発明者等が炭素の含有
比率を幾通りにも変えて光導電性の実験を行ったとこ
ろ、a−SiC層(5)をa−Si1-XCXで表わした場合、x
が0.01≦x≦0.9、好適には0.05≦x≦0.5の範囲内に設
定された場合、高帯電性が得られ且つ優れた光導電性と
成り得る。
また、水素元素(H)やハロゲン元素などのダングリ
ングボンド終端用元素の含有量は5乃至50原子%、好適
には5乃至40原子%、最適には10乃至30原子%がよく、
通常、H元素が用いられている。このH元素はダングリ
ングボンドの終端部に取込まれ易いのでバンドギャップ
中の局在準位密度を低減化させ、これにより、優れた半
導体特性が得られる。
このH元素の一部をハロゲン元素と置換してもよく、
これにより、a−SiC層の局在準位密度を下げて高導電
性及び耐熱性(温度特性)を高めることができる。その
置換比率はダングリングボンド終端用全元素中0.01乃至
50原子%、好適には1乃至30原子%がよい。また、ハロ
ゲン元素にはF,Cl,Br,I,At等があるが、就中、Fを用い
るとその大きな電気陰性度によって原子間の結合が大き
くなり、これによって熱的安定性に優れるという点で望
ましい。
光導電性a−SiC層(5)の厚みは5乃至100μm、好
適には10乃至50μmの範囲内に設定するとよく、その範
囲内であれば200V以上の表面電位が得られ、また画像の
分解能が良好となり、さらに画像流れが生じないように
することができる。
また本発明においては、この光導電性a−SiC層
(5)に周期律表第III a族元素を含有させた場合には
正極性に帯電させることができる。
このように周期律表第III a族元素(以下、III a族元
素と略す)のドーピングによって正極性に帯電し易くな
る点については、a−SiC層が正極性を保持するのに十
分に高い抵抗率をもち、そして、基板からの負電荷の注
入を防ぐ効果にも優れ、更に正電荷に対する電荷移動度
が優れている等の理由によるものと考えられる。
このIII a族元素としてはB,Al,Ga,In等があるが、就
中、Bが共有結合正に優れて半導体特性を敏感に変え得
る点で望ましい。
このように正極性帯電用感光体を得るためには、第1
の層領域(6)は第2の層領域(7)に比べてIII a族
元素が多く含まれていることが重要であり、これによ
り、第1の層領域(6)の導電率が大きくなり、基板側
からのキャリアの注入が阻止されると共にa−SiC層の
全領域で発生した光キャリアが基板へ円滑に流れ、その
結果、表面電位が大きくなり、光感度特性が向上する。
第2の層領域(7)のIII a族元素含有量は0.1乃至1
0,000ppmの範囲内で、好適には0.1乃至1,000ppmの範囲
内で適宜決めるとよく、これによって正極性で有利に帯
電能を高めることができる。
また本発明の電子写真感光体においては、上述したよ
うにIIIa族元素の含有分布によって2層領域を形成する
点に特徴があるが、更に炭素についても層厚方向に亘っ
て種々の含有分布を設定することができ、これを第11図
乃至第16図によって示す。
これらの図において、横軸は基板から感光体表面に至
る層厚方向を表わし、縦軸は炭素含有量を表わしてい
る。尚、この横軸において(6),(7)に示すそれぞ
れの範囲は第1の層領域及び第2の層領域を表してい
る。
即ち、第11図は炭素含有比率が全層に亘って一定であ
り、第12図は第1の層領域(6)で炭素含有量を少なく
しており、これに対して第13図乃至第16図は第1の層領
域が第2の層領域に比べて炭素が多く含有されているこ
とを示すものであり、これによって表面電位が一段と高
くなって光感度特性が向上する。まあた、第14図乃至第
16図のように炭素含有量を層厚方向に亘って漸次変える
と表面電位及び光感度を一層高め且つ残留電位が小さく
なる。
かくして上記電子写真感光体によれば、光導電性a−
SiC層が基板に対して密着性に優れており、更に表面電
位が高くて残留電位が小さくなり、これによって優れた
画像コントラストが得られ且つ画像にカブリが生じなく
なった高品質且つ高信頼性の電子写真感光体が提供され
る。
そこで、本発明者等は上記結果を踏まえて鋭意研究に
努めたところ、このa−SiC層の層内部に更に種々の層
領域を生成させることによって電子写真特性が一段と向
上し得ることを見い出した。
即ち、本発明においては、炭素又はIII a族元素の含
有比率を層厚方向に亘って変化させ、3種類又は4種類
の層領域を生成させ、これによって第1の態様乃至第3
の態様までの電子写真感光体が得られる。そして、これ
らの態様の電子写真感光体においていずれも第1の層領
域(6)に基板密着用元素を含有させるものであり、そ
の含有量及び含有分布等々は前述した通りである。
以下、本発明の各々の態様を詳細に述べる。
第1の態様 第1の態様によれば、基板上に亘導電性a−SiC層を
形成した電子写真感光体であって、前記a−SiC層は少
なくとも第1の層領域、第2の層領域及び第3の層領域
を具備し、第1の層領域は第2の層領域より、第2の層
領域は第3の層領域よりそれぞれ基板側に配置され、且
つ第3の層領域は第2の層領域に比べ炭素が多く含まれ
ていると共に第2の層領域は0.1乃至10,000ppmのIII a
族元素が含まれており、更に第1の層領域は第2の層領
域よりもIII a族元素を多く含むと共に基板密着用元素
を0.01乃至60原子%含有していることを特徴とする電子
写真感光体が提供される。
この第1の態様によれば、第17図に示す通り、第1図
にて示した第2の層領域(7)の上に更に第3の層領域
(10)を形成し、これに伴って第3の層領域(10)の炭
素含有量を第2の層領域(7)よりも多くし、そして、
第1の層領域(6)、第2の層領域(7)及び第3の層
領域(10)を実質上一体化して光導電性a−SiC層(5
a)とした。
この第3の層領域(10)を形成すると、a−SiC層(5
a)の表面側の暗抵抗率が大きくなり、これに伴って感
光体の表面電位が顕著に向上する。
即ち、第3の層領域(10)は、光導電性a−SiC層(5
a)の表面側を高抵抗化させるために形成されており、
第2図にて述べた従来周知の表面保護層(4)とは全く
区別し得るものである。また、光キャリア発生層とキャ
リア輸送層とに分けられた機能分離型感光体によれば、
キャリア輸送層を1013Ω・cm以上に高抵抗化させるが、
この層に格別大きな光導電性が要求されておらず、通
常、光導電率の暗導電率に対する比率が1000倍未満の光
導電性に設定されているに過ぎない。これに対して、第
3の層領域(10)はこの比率が1000倍以上の光導電性を
有しており、上記キャリア輸送層に対しても十分に区別
し得る。
第3の層領域(10)の層厚は第2の層領域(7)に比
べて1倍以下、好ましくは1/2倍以下、最適には1/4倍以
下がよく、これにより、表面電位が顕著に向上すると共
に光感度に優れ且つ残留電位が小さくなるという点で望
ましいと言える。
本発明によれば、光導電性a−SiC層(5a)の炭素含
有分布は第18図乃至第23図に示す通りであり、横軸は基
板から感光体表面に至る層厚方向を示し、縦軸は炭素含
有量を示している。尚、この横軸において、(6)
(7)(10)にて示すそれぞれの範囲は第1の層領域、
第2の層領域及び第3の層領域を表している。
これらの図のなかで第19図、第21図、第22図及び第23
図においては層厚方向に亘って炭素の含有量を連続的且
つ漸次変えており、これにより、表面電位が一層向上す
ると共に光感度に優れ、更に残留電位も一層小さくな
る。
第2の態様 第2の態様によれば、基板上に光導電性a−SiC層を
形成した電子写真感光体であって、前記a−SiC層は少
なくとも第1の層領域、第2の層領域、第3の層領域、
第4の層領域を基板側から感光体表面へ向けて順次具備
し且つ第3の層領域は第2の層領域に比べて、第4の層
領域は第3の層領域に比べてそれぞれ炭素が多く含まれ
ていると共に第2の層領域は0.1乃至10,000ppmのIII a
族元素が含まれており、更に第1の層領域は第2の層領
域よりもIII a族元素を多く含み且つ基板密着用元素を
0.01乃至60原子%含有していることを特徴とする電子写
真感光体が提供される。
この第2の態様によれば、第24図に示す通り、第1の
態様に示した第3の層領域(10)の上に更に第4の層領
域(11)を形成し、これに伴って第4の層領域(11)が
第3の層領域(10)に比べて炭素を多く含んでおり、そ
して、第1の層領域(6)乃至第4の層領域(11)を実
質上一体化して光導電性a−SiC層(5b)とした。
この第4の層領域(11)は第3の層領域(10)に比べ
て炭素を多く含有させて高抵抗化させており、これよ
り、帯電能を高めて表面電位を向上させることができ、
その結果、耐電圧が高くて長寿命の感光体を得ることが
できる。
本発明によれば、光導電性a−SiC層(5b)の炭素含
有分布は第25図乃至第28図に示す通りであり、横軸は基
板から感光体表面に至る層厚方向を示し、縦軸は炭素含
有量を示している。尚、この横軸において、(6)
(7)(10)(11)にて示すそれぞれの範囲は第1の層
領域、第2の層領域、第3の層領域及び第4の層領域を
表している。
これらの図のなかで第26図及び第28図は層厚方向に亘
って炭素の含有量を連続的且つ漸次変え、これにより、
表面電位及び光感度が一層向上し、更に残留電位も一層
小さくなる。
第3の態様 第3の態様によれば、基板上に光導電性a−SiC層及
びa−SiC表面保護層を順次形成した電子写真感光体で
あって、前記光導電性a−SiC層は少なくとも第1の層
領域、第2の層領域及び第3の層領域を具備し、第1の
層領域は第2の層領域より基板側に、第2の層領域は第
3の層領域より基板側にそれぞれ配置され、且つ第3の
層領域は第2の層領域に比べて炭素が多く含まれている
と共に第2の層領域は0.1乃至10,000ppmのIII a族元素
が含まれており、更に第1の層領域は第2の層領域より
もIII a族元素を多く含み且つ基板密着用元素を0.01乃
至60原子%含有していることを特徴とする電子写真感光
体が提供される。
この第3の態様によれば、第29図に示す通り、第1の
態様にて示した第3の層領域(10)の上に更にa−SiC
表面保護層(12)を形成したものであり、このa−SiC
表面保護層(12)は光導電性a−SiC層(5a)の表面を
オーバーコートして保護するために形成される。
a−SiC表面護層(12)はa−SiCから成るという点で
は光導電性a−SiC層(5a)と同じであるが、炭素の含
有量を多くして光硬度化し、これによって表面保護作用
をもたらす。
このa−SiC表面保護層(12)は、その構成元素の組
成比を変えて光導電性又は非光導電性とすることがで
き、炭素の含有量を多くすると非光導電性になる傾向が
あり、これに伴って高硬度特性が得られ、高硬度a−Si
C表面保護層となる。
第3の態様によれば、炭素含有分布は第30図及び第31
図に示す通りであり、横軸は基板から感光体表面に至る
層厚方向を示し、縦軸は炭素含有量を示している。尚、
この軸において(6)(7)(10)(12)にて示すそれ
ぞれの範囲は第1の層領域、第2の層領域、第3の層領
域及びa−SiC表面保護層を表している。
本発明によれば、2層領域から成る高導電性a−SiC
層を備えた電子写真感光体並びに第1の態様乃至第3の
態様のいずれの電子写真感光体においても、そのSiC層
の表面上に従来周知の表面保護層を形成してもよい。
この表面保護層にはそれ自体高絶縁性、高耐蝕性及び
高硬度特性を有するものであれば、種々の材料を用いる
ことができ、例えばポリイミド樹脂などの有機材料,a−
SiC,SiO2,SiO,Al2O3,SiC,Si3N4,a−Si,a−Si:H,a−Si:
F,a−SiC:H,a−SiC:Fなどの無機材料を用いることがで
きる。
次に本発明に係る電子写真感光体の製法を述べる。
a−SiC層を形成する方法にはグロー放電分解法、イ
オンプレーティング法、反応性スパッタリング法、真空
蒸着法、CVD法等の薄膜生成技術がある。
グロー放電分解法を用いてa−SiC層を形成する場合
にはケイ素(Si)含有ガスと炭素(C)含有ガスを組み
合せ、その混合ガスをグロー放電分解する。
このSi素含有ガスにはSiH4,Si2H6,Si3H8,SiF4,SiCl4,
SiHCl3等々があり、就中、SiH4やSi2H6はそれ自体Siと
H元素が結合しているために膜中にHが取り込まれ易
く、これにより、膜中のダングリングボンドが低減して
光導電性を向上させる点で望ましい。
またC含有ガスにはCH4,C2H4,C2H2,C3H8等々がある
が、就中、C2H2が高速成膜性が得られる点で望ましい。
本発明者等が行った実験によれば、SiH4ガスとC2H4
スを組合せて成る成膜用ガスをグロー放電分解した場
合、5乃至20μm/時の成膜速度が得られた。因にSiH4
スとCH4ガスを用いてa−SiC膜を生成した場合、その成
膜速度は約0.3乃至1μm/時である。
更にa−SiC層の形成に当たって、その層に基板密着
用元素をドーピングする場合には上記成膜用ガスにO2,N
2,NO,N2O,NO2,NH3,NF3,CO,CO2等々を混合すればよい。
更に本発明に係る製法によれば、C2H2とSi含有ガスを
グロー放電分解領域に導入するに当たってこのガス組成
比を0.01:1乃至3:1の範囲内に、好適には0.05:1乃至1:
1、最適には0.05:1乃至0.3:1の範囲内に設定すればよ
く、0.01:1の比率から外れた場合には暗抵抗率が1011Ω
・cm以下となって電荷保持力が十分でなく、大きな帯電
電位を得ることができなくなり、3:1の比率から外れた
場合には膜中にダングリングボンドが増加して暗抵抗率
が1011Ω・cm以下となる。
ダングリングボンド終端用元素としてH元素を用いる
場合には、H2ガスはC2H2ガスおよびSiH4ガスの流量合計
値に対して3倍以下、好適には2倍以下に配合すればよ
く、これから外れると膜中の水素が過剰となって感光体
に要求される電気的特性が劣化する。
また基板密着用元素含有ガスはSi含有ガス及びC含有
ガスの合計流量に対して、1/1000乃至3倍の範囲内に、
好適には1/200乃至1倍の範囲内に設定すればよく、こ
れによって基板密着用元素を所要量ドーピングさせるこ
とができる。
本発明に係る製法によれば、上述したようにa−SiC
層を生成するに当たっては、グロー放電用の高周波電
力、反応室内部のガス及び基板温度を次の通りに設定す
るのがよい。
即ち、高周波電力は0.05乃至0.5W/cm2の範囲内に設定
すればよく、0.05W/cm2未満であると成膜速度が小さく
なり、0.5W/cm2を越えるとプラズマダメージによって膜
質が低下してキャリア移動度が小さくなる。また、ガス
圧は0.1乃至2.0Torrの範囲内に設定すればよく、0.1Tor
r未満であると成膜速度が小さくなり、2.0Torrを超える
と放電が不安定となる。更に、基板温度はa−Si膜の成
膜形成に比べて30乃至80℃位高くするのがよく、望まし
くは200乃至400℃の範囲がよく、この基板温度が200℃
未満であればSiとCのネットワーク化が阻害され、400
℃を超えると水素の脱離が著しくなって暗抵抗率が小さ
くなる。
次にC2H2ガス及びSi含有ガスから成るa−SiC生成用
ガスをグロー放電によって分解し、a−SiC層を形成
し、このようにして本発明の電子写真感光体並びに第1
の態様乃至第3の態様のそれぞれの電子写真感光体を製
作する場合を順次述べる。尚、いずれの製作例も第1の
層領域に基板密着用元素をドーピングさせる方法は前述
した通りである。
本発明の製法 本発明によれば、a−SiC生成用ガスをグロー放電分
解して光導電性a−SiC層を基板上に形成した電子写真
感光体の製法であって、前記ガスはC2H2及びSi含有ガス
から成り、そのガス組成比を0.01:1乃至3:1の範囲内に
設定し、且つIII a族元素含有ガスを含有させると共に
成膜中にこの含有比率を小さくしたことを特徴とすう電
子写真感光体の製法が提供される。
第1の態様に係る製法 第1の態様によれば、a−SiC生成用ガスをグロー放
電分解して光導電性a−SiC層を基板上に形成した電子
写真感光体の製法であって、前記ガスはC2H2及びSi含有
ガスから成り、そのガス組成比を0.01:1乃至3:1の範囲
内に設定し、成膜中にガス組成比を変えて前記a−SiC
層に少なくとも第1の層領域、第2の層領域及び第3の
層領域を具備させ、第1の層領域は第2の層領域より基
板側に、第2の層領域は第3の層領域より基板側にそれ
ぞれ配置され、第3の層領域は第2の層領域に比べて炭
素が多く含まれ、且つ前記第2の層領域の形成時にa−
SiC生成用ガスに10-6乃至1モル%のIII a族元素含有ガ
スを含むとともに第1の層領域の形成時にa−SiC生成
用ガス中におけるIII a族元素含有ガスの占める割合が
第2の層領域の形成時に比べて大きいことを特徴とする
電子写真感光体の製法が提供される。
第2の態様に係る製法 第2の態様によれば、a−SiC生成用ガスをグロー放
電分解して光導電性a−SiC層を基板上に形成した電子
写真感光体の製法であって、前記ガスはC2H2及びSi含有
ガスから成り、そのガス組成比を0.01:1乃至3:1の範囲
内に設定し、成膜中にガス組成比を変えて前記a−SiC
層に少なくとも第1の層領域、第2の層領域、第3の層
領域及び第4の層領域を基板側から感光体表面へ向けて
順次具備し、且つ第3の層領域は第2の層領域に比べ
て、第4の層領域は第3の層領域に比べてそれぞれ炭素
が多く含まれ、前記第2の層領域の形成時に前記a−Si
C生成用ガスに10-6乃至1モル%のIII a族元素含有ガス
を含むとともに第1の層領域の形成時にa−SiC生成用
ガス中におけるIII a族元素含有ガスの占める割合が第
2の層領域の形成時に比べて大きいことを特徴とする電
子写真感光体の製法が提供される。
第3の態様に係る製法 第3の態様によれば、a−SiC生成用ガスをグロー放
電分解して光導電性a−SiC層及びa−SiC表面保護層を
順次形成した電子写真感光体の製法にあって、前記ガス
はC2H2及びSi含有ガスから成り、そのガス組成比を0.0
1:1乃至3:1の範囲内に設定し、成膜中にガス組成比を変
えて前記a−SiC層に少なくとも第1の層領域、第2の
層領域及び第3の層領域を具備させ、第1の層領域は第
2の層領域より基板側に、第2の層領域は第3の層領域
より基板側にそれぞれ配置され、第3の層領域は第2の
層領域に比べて炭素が多く含まれ、且つ前記第2の層領
域の形成時に前記a−SiC生成用ガスに10-6乃至1モル
%のIII a族元素含有ガスを含むとともに第1の層領域
の形成時にa−SiC生成用ガス中におけるIII a族元素含
有ガスの占める割合が第2の層領域の形成時に比べて大
きいことを特徴とする電子写真感光体の製法が提供され
る。
次に本発明の実施例に用いられる容量結合型グロー放
電分解装置を第32図により説明する。
図中、第1、第2、第3、第4、第5、第6タンク
(13)(14)(15)(16)(17)(18)には、それぞれ
SiH4,C2H2,B2H6(H2ガス希釈で0.2%含有),B2H6(H2
ス希釈で38ppm含有),H2,NOガスが密封されており、H2
はキャリアーガスとしても用いられる。これらのガスは
対応する第1、第2、第3、第4、第5、第6調整弁
(19)(20)(21)(22)(23)(24)を開放すること
により放出され、その流量がマスフローコントローラ
(25)(26)(27)(28)(29)(30)により制御さ
れ、第1、第2、第3、第4、第5タンク(13)(14)
(15)(16)(17)からのガスは第1主管(31)へ、第
6タンク(18)からのNOガスは第2主管(32)へ送られ
る。尚、(33)(34)は止め弁である。第1主管(31)
及び第2主管(32)を通じて流れるガスは反応管(35)
へと送り込まれるが、この反応管(35)の内部には容量
結合型放電用電極(36)が設置されており、それに印加
される高周波電力は50W乃至3kWが、また周波数は1乃至
50MHzが適当である。反応管(35)の内部にはアルミニ
ウムから成る筒状の成膜基板(37)が試料保持台(38)
の上に載置されており、この保持台(38)はモーター
(39)により回転駆動されるようになっており、そし
て、基板(37)は適当な加熱手段により約200乃至400℃
好ましくは約200乃至350℃の温度に均一に加熱される。
更に反応管(35)の内部はa−SiC膜形成時に高度の真
空状態(放電圧0.1乃至2.0Torr)を必要とすることによ
り回転ポンプ(40)と拡散ポンプ(41)に連結されてい
る。
以上のように構成されたグロー放電分解装置におい
て、例えば、a−SiC膜(B,N,Oを含有する)を基板(3
7)に形成する場合には、第1、第2、第3、第5調整
弁(19)(20)(21)(23)を開いてそれぞれよりSi
H4,C2H2,B2H6,H2ガスを放出し、第6調整弁(24)を開
いてNOガスを放出し、そして、その放出量はマスフロー
コントローラ(25)(26)(27)(29)(30)により制
御され、SiH4,C2H2,B2H6,H2の混合ガスは第1主管(3
1)を介して反応管(35)へ流し込まれ、NOガスは第2
主管(32)を介して反応管(35)へ流し込まれる。そし
て、反応管(35)の内部が0.1乃至2.0Torr程度の真空状
態、基板温度が200乃至400℃、容量結合型放電用電極
(36)に印加される高周波電力が50W乃至3kW、また周波
数が1乃至50MHzに設定されていることに相俟ってグロ
ー放電が起こり、ガスが分解してB,N,Oを含有したa−S
iC膜が基板上に高速で形成される。
〔実施例〕
次に本発明の実施例を詳細に説明する。
(例1) 本例においては、光導電性a−SiC層をアルミニウム
製成膜基板に生成し、そのC2H2ガスの配合比率に対する
導電率を測定した。
即ち、第32図に示した容量結合型グロー放電分解分解
装置を用いて第1タンク(13)よりSiH4ガスを100sccm
の流量で、第5タンク(17)よりH2ガスを300sccmの流
量で放出し、第2タンク(14)よりC2H2ガスを10〜100s
ccmの流量で放出し、約5μmの厚みのa−SiC膜を製作
し、暗導電率及び光導電率を測定したところ、第33図に
示す通りの結果が得られた。尚、基板温度を300℃、ガ
ス圧を0.45Torr、高周波電力を150Wに設定した。
第33図によれば、横軸にSiH4ガスとC2H2ガスの合計流量
に対するC2H2ガス流量の比[C2H2/(SiH4+C2H2)]
を、縦軸に導電率〔(Ω・cm)-1〕を表わし、●印は暗
導電率のプロット、○印はHe−Neレーザー(波長632.8n
m、100μW/cm2)を照射した時の光導電率のプロットで
あり、a,bはそれぞれの特性曲線である。
第33図から明らかな通り、暗導電率は10-12(Ω・c
m)-1以下と成り得、最小で約10-16(Ω・cm)-1まで得
られた。また、光導電率は暗導電率に比べて1000倍以上
となり、このa−SiC層が電子写真感光体用として十分
に満足し得る光導電性をもっていることが判る。
(例2) 本例においては、(例1)に基いてB2H6ガス(又はPH
3ガス)を導入して暗導電率及び光導電率を測定したと
ころ、第34図に示す通りの結果が得られた。
図中、横軸はSiH4とC2H2の合計流量に対するB2H6純量
(これはH2ガスの希釈比率より換算して求められるB2H6
の絶対流量のことである)である。尚、B2H6純量をPH3
純量に置き換えた場合も参考例として記載する。
第34図によれば、●印は暗導電率のプロットであり、
○印は光導電率のプロットであり(この光導電率は(例
1)と同様にして求められる)、c,dはそれぞれ特性曲
線である。
第34図から明らかな通り、光導電率は暗導電率に比べ
て1000倍以上となり、PやBをドーピングしたa−SiC
層が電子写真感光体用として満足し得る光導電性をもっ
ている。
(例3) 本例においては、(例2)に基づき下記の通りにガス
流量を設定して得られたa−SiC層に対して分光感度特
性を測定しており、その結果は第35図に示された分光感
度曲線eとなった。尚、この図は各波長において等エネ
ルギー光を照射した時の光導電率を示す。
ガス流量 SiH4ガス流量・・・100sccm C2H2ガス流量・・・10sccm B2H6(B2H6ppm含有)ガス流量・・・1000sccm H2ガス流量・・・100sccm 第35図より明らかな通り、可視光領域に光感度が認め
られ、特に長波長側に増感があり、電子写真用光導電体
に適していることが判る。
(例4) 本例においては、(例3)と同じように製作したa−
SiC層(厚み30μm)に対して表面電位並びに暗減衰及
び光減衰のそれぞれの特性を測定した。この測定は+5.
6kVのコロナチャージャで正帯電し、暗中で表面電位の
経時変化と、650nmの単色光照射直後の表面電位の径時
変化を追ったものである。
その結果は第36図に示す通りであり、f,gはそれぞれ
暗減衰曲線及び光減衰曲線である。
第36図より明らかな通り、表面電位が約+600Vと大き
くなっており、暗減衰も5秒後で25%程度であり、電荷
保持能力に優れている。また、光導電率にも優れてお
り、残留電位も小さいと言える。尚、このa−SiC感光
体を−5.6kVのコロナチャージャで負帯電させたとこ
ろ、表面電位が数十Vであった。
また、このa−SiC感光体を、+5.6kVのコロナチャー
ジャによって正極性に帯電させ、次いで画像露光して磁
気ブラシ現像を行った結果、画像濃度が高く、高コント
ラストで良質な画像が得られ、30万回の繰り返しテスト
後においてもa−SiC層の剥離が全く生じなくて初期画
像の劣化が見られず、耐久性も良好であることを確認し
た。
(例5) 次に本例において本発明の電子写真感光体を製作し
た。
即ち、基板用アルミニウム製ドラムを第32図に示した
容量結合型グロー放電分解装置の反応感(35)内に設置
し、そして、第1タンク(13)のよりSiH4ガスを、第2
タンク(14)よりC2H2ガスを、第3タンク(15)及び第
4タンク(16)よりB2H6ガスを、第5タンク(17)より
H2ガスを、第6タンク(18)よりNOガスをそれぞれ放出
し、第1表に示す製造条件で第1の層領域及び第2の層
領域を形成した。
このようにして形成した第1の層領域の原子組成比を
X線マイクロアナライザーにより測定したところ、炭素
は20原子%、窒素は2原子%、酸素は1原子%、Bは30
00ppmであった。
かくして得られた感光体を、暗中で+5.6kVの高圧源
に接続されたコロナチャージャで正極性に帯電させ、次
いで分光された単色光(650nm)を感光体表面に照射
し、これによって下記の通りの電子写真直性が得られ
た。尚、残留電位は露光開始5秒後の値である。
表面電位・・・+700V 光感度・・・0.38cm2erg-1 残留電位・・・25V この感光体を+5.6kVのコロナチャージャによって正
極性に帯電させ、次いで画像露光して磁気ブラシ現像を
行ったところ、画像濃度が高く、高コントラストで良質
な画像が得られた。また、30万回の繰り返しテスト後に
おいてもa−SiC層の剥離が全く生じなくて初期画像の
劣化が見られず、耐久性も良好であることを確認した。
然るに、第1の層領域を形成するに当たって上記NOガス
を導入しなかった場合にはa−SiC層の成膜直後に室温
下にもどすと剥離が生じた。
(例6) 本例においては、(例5)のうちNOガスの流量並びに
第1の層領域の厚みを幾通りにも変えた場合、或いは基
板密着用元素含有ガスにO2,N2,CO2を用いた場合につい
て、それ以外の製作条件を(例6)と同一にし、各種感
光体を製作したところ、第2表に示す通りの結果が得ら
れた。
第2表中の表面電位、感光度及び残留電位は(例5)
にて述べた測定方法により求めており、また、膜の密着
性評価は◎印、○印、△印及び×印に4区分しており、
◎は感光体の成膜面に対してナイフでもって傷を付け、
次いでその感光体ドラムを液体窒素のなかに浸漬すると
いう試験を行ったところ、このような苛酷試験を行って
もクラックが生じない場合であり、○印は上記苛酷試験
を行えばクラックが生じるが、その傷が付けられた感光
対ドラムを自然放置し、経時変化を追っても何ら剥離が
進行しない場合であり、△印はナイフでもって傷が付け
られた感光体ドラムを放置しても剥離が進行しないが、
この感光体ドラムを水中へ浸漬すると剥離が生じた場合
であり、×印はナイフでもって傷が付けられた感光体、
もしくはこの傷が付けられていない感光体であっても自
然放置すると剥離現象が徐々に生じた場合である。更に
感光体ドラムを複写機に搭載して実用評価テストを行っ
たところ、◎印は30万枚の耐刷試験を行っても何らピン
ホールが生じなかった場合に相当し、△印はこの耐刷試
験において約5万枚でピンホールが生じた場合に相当す
る。
第2表より明らかな通り、感光体B,C,D,E,G,H,L,K,N,
P,Qにおいては密着性に優れており、そして、表面電位
が高く、残留電位が小さいことが判る。
然るに感光体I,J,Mにおいては基板密着用元素の含有
量が著しく少なくなっており、そのために密着性に劣
り、そして、表面電位が小さくなっている。
また感光体F,L,Oにおいては基板密着用元素の含有量
が多過ぎ、これによって残留電位が際立って高くなって
いる。
(例7) 本例においては第1の態様の感光体を第3表に示す条
件で製作し、これによって下記の電子写真特性が得られ
た。
表面電位・・・+760V 光感度・・・0.40cm2erg-1 残留電位・・・30V 次に(例4)と同様に30万回の繰り返しテスト後にお
いてもa−SiC層の剥離が全く生じなくて初期画像の劣
化が見られず、耐久性も良好であることを確認した。然
るに、第1の層領域を形成するに当たってNOガスを導入
しなかった場合にはa−SiC層の成膜直後に室温下にも
どすと剥離が生じた。
(例8) 本例においては第2の態様の感光体を第4表に示す条
件で製作し、これによって下記の電子写真特性が得られ
た。
表面電位・・・+820V 光感度・・・0.42cm2erg-1 残留電位・・・35V また、耐久性試験については(例4)と同様に30万回
の繰り返し試験を行ったところ、(例4)と同じ結果が
得られた。然るにNOガスを導入しなかった場合には成膜
直後に室温下にもどすと剥離が生じた。
更に、この感光体の表面電位、暗減衰及び光減衰のそ
れぞれ特性を(例4)と同様に測定したところ、第37図
に示す通りの結果が得られた。図中、h,iはそれぞれ暗
減衰曲折及び光減衰曲線である。
第37図より明らかな通り、表面電位が約+820Vと著し
く大きくなっており、暗減衰も5秒後で8%程度であっ
て電荷保持能力に優れている。
(例9) 本例においては第3の態様の感光体を第5表に示す条
件で製作し、これによって下記の電子写真特性が得られ
た。
表面電位・・・+870V 光感度・・・0.42cm2erg-1 残留電位・・・45V また、耐久性試験については(例5)と同様に30万回
の繰り返し試験を行ったところ、(例6)と同じ結果が
が得られたが、NOガスを導入しなかった場合には成膜直
後に室温下にもどすと剥離が生じた。
(例10) 本例においては、第32図に示したグロー放電分解装置
を用いて下記の製造条件によって成膜速度を測定したと
ころ、第38図に示す通りの結果が得られた。
製造条件 高周波電力・・・150W ガス圧力・・・0.45Torr 基板温度・・・300℃ SiH4ガス流量・・・100sccm H2ガス流量・・・300sccm 第38図中○印は測定結果のプロットであり、jはその
特性曲線である。
第38図より明らかな通り、C2H2ガスの含有比率が大き
くなるのに伴って成膜速度が大きくなっており、約5〜
13μm/時の成膜速度となった。
(例11) 本例においては、(例10)と同一の製造条件によって
C2H2ガスの含有比率を変えながら膜中の水素含有量を追
ったところ、第39図に示す通りの結果が得られた。
第39図中、○印及び●印はそれぞれSi及びCと結合し
たHの結合量を示すプロットであり、k,lはそれぞれの
特性曲線である。
第39図より明らかな通り、C2H2ガスの含有比率が大き
くなるのに伴ってC−H結合が増大すると共にSi−H結
合が減少することが判る。
〔発明の効果〕
以上の通り、本発明の電子写真感光体によれば、全層
に亘って光導電性を有するa−SiCが高い暗抵抗率とな
り、且つ光感度特性にも優れていることによって実質上
表面保護層及びキャリア注入阻止層を不要とすることが
でき、その結果、光導電性a−SiC層だけから成る電子
写真感光体が提供できる。
また本発明の電子写真感光体によれば、基板と対面す
る領域に酸素及び/又は窒素をドーピングしており、こ
れによって基板に対する密着性が向上し、その結果、耐
久性が大きくなった長期信頼性の高い電子写真感光体が
提供される。そして、これに伴って基板側からのキャリ
アの注入を阻止する作用が大きくなり、それによって表
面電位が大きくなるという利点も有する。
更に本発明の電子写真感光体によれば、層厚方向に亘
って炭素及びIII a族元素の含有量を変えることによっ
て表面電位を向上させると共に光感度特性を高め、且つ
残量電位を顕著に小さくすことができる。特に、炭素の
含有量を層厚方向に亘って変えると、抵抗率が制御され
て所要の層領域が得られ、その結果、格段に高性能な電
子写真感光体が提供できる。
また本発明によれば、正極性に有利に帯電することが
できる正極性用電子写真感光体が提供できる。
更に、従来のa−SiC感光体を長期間に亘って使用し
た場合にはコロナ放電に伴って感光体の局所的な放電破
壊が発生し易くなり、これに起因して画像に斑点が生じ
るという問題があったが、本発明によれば、a−SiCの
誘電率がε=12であるのに対してa−SiCはε=7と約
半分程度であるために帯電能に優れており、これによ
り、表面電位を高くしても何ら上記の放電破壊が発生し
なくなり、その結果、高品質且つ高信頼性の電子写真感
光体が提供される。
また、本発明の電子写真感光体によれば、それ自体で
帯電能及び耐環境性に優れていることから、特に保護層
を設ける必要がなく、例えばコロナ放電による被曝或い
は現像剤の樹脂成分の感光体表面へのフィルミング等に
よって表面が劣化した場合、その劣化した表面を研摩剤
等で研摩再生を繰り返し行ってもその研摩量において制
限を受けず感光体の初期特性を維持することができ、そ
れによって初期における良好な画像を長期に亘り安定し
て供給することが可能となる。
更に本発明の電子写真感光体を、従来のa−Si感光体
と比較した場合、このa−Si感光体の問題点として耐湿
性に劣っているので画像流れが生じ易く、また、帯電能
に劣っているのでゴースト現象が発生するが、これを解
決するためにa−Si感光体の使用時にヒータを用いてそ
の感光体を加熱し、その発生を防止している。これに対
して本発明の電子写真感光体は耐湿性且つ帯電能に優れ
ているために上記のようにヒータを用いて使用する必要
はないという長所がある。
また、本発明の電子写真感光体はa−Si感光体と比べ
て炭素の含有量が変えるだけで幅広い分光感度特性(ピ
ーク600〜700nm)が得られると共に感光度自体を増大さ
せることができ、更に必要に応じて不純物元素をドーピ
ングすれば長波長側の増感も可能になるという利点があ
る。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の電子写真感光体の層構成を示す説明
図、第2図は従来の電子写真感光体の層構造を示す説明
図、第2図、第4図、第5図、第6図、第7図、第8
図、第9図及び第10図は本発明に係る電子写真感光体の
第1の層領域の基板密着用元素含有量を示す説明図、第
11図、第12図、第13図、第14図、第15図及び第16は本発
明電子写真感光体の炭素含有量を示す説明図、第17図は
第1の態様の感光体の層領域を示す説明図、第18図、第
19図、第20図、第21図、第22図及び第23図は第1の態様
の感光体の炭素含有量を示す説明図、第24図は第2の態
様の感光体の層領域を示す説明図、第25図、第26図、第
27図及び第28図はそれぞれ第2の態様の感光体の炭素含
有量を示す説明図、第29図は第3の態様の感光体の層領
域を示す説明図、第30図及び第31図は第3の態様の感光
体の炭素含有量を示す説明図、第32図は本発明の実施例
に用いられる容量結合型グロー放電分解装置の説明図、
第33図はC2H2ガスの流量比率に対する導電率を示す線
図、第34図はPH3ガス及びB2H6ガスのそれぞれの流量比
率に対する導電率を示す線図、第35図はアモルファスシ
リコンカーバイド層の分光感特性を示す線図、第36図は
アモルファスシリコンカーバイド層の暗減衰及び光減衰
を示す線図、第37図は第2の態様のアモルファスシリコ
ンカーバイド層の暗減衰及び光減衰を示す線図、第38図
はC2H2ガスの流量比率に対する成膜速度に示す線図、第
39図はC2H2ガスの流量比率に対する水素原子の結合比率
を示す線図である。 1……基板 5,5a,5b,……光導電性アモルファスシリコンカーバイド
層 6……第1の層領域 7……第2の層領域 10……第3の層領域 11……第4の層領域 12……アモルファスシリコンカーバイド表面保護層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 竹村 仁志 八日市市蛇溝町長谷野1166番地の6 京 セラ株式会社滋賀八日市工場内 (72)発明者 渡辺 暁 八日市市蛇溝町長谷野1166番地の6 京 セラ株式会社滋賀八日市工場内 (72)発明者 石櫃 鴻吉 八日市市蛇溝町長谷野1166番地の6 京 セラ株式会社滋賀八日市工場内 (56)参考文献 特開 昭61−100759(JP,A) 特開 昭59−224847(JP,A) 特開 昭58−219560(JP,A) 特開 昭57−119357(JP,A) 特開 昭62−115457(JP,A) 特開 昭58−156947(JP,A)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基板上に、酸素又は窒素のうち少なくとも
    1種を0.01乃至60原子%と周期律表第III a族元素とを
    含有する光導電性のアモルファスシリコンカーバイドか
    らなる厚み0.1乃至5μmの第1層と、周期律表第III a
    族元素の含有量が第1層に比べて少ない0.1乃至10,000p
    pmの光導電性のアモルファスシリコンカーバイドからな
    る第2層とを順次積層してなる電子写真感光体。
JP62106761A 1986-09-29 1987-04-30 電子写真感光体 Expired - Fee Related JP2657491B2 (ja)

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