JP2657490B2 - 電子写真感光体 - Google Patents
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- G03G5/02—Charge-receiving layers
- G03G5/04—Photoconductive layers; Charge-generation layers or charge-transporting layers; Additives therefor; Binders therefor
- G03G5/08—Photoconductive layers; Charge-generation layers or charge-transporting layers; Additives therefor; Binders therefor characterised by the photoconductive material being inorganic
- G03G5/082—Photoconductive layers; Charge-generation layers or charge-transporting layers; Additives therefor; Binders therefor characterised by the photoconductive material being inorganic and not being incorporated in a bonding material, e.g. vacuum deposited
- G03G5/08214—Silicon-based
- G03G5/08221—Silicon-based comprising one or two silicon based layers
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Description
【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は光導電性アモルファスシリコンカーバイド層
から成る電子写真感光体に関し、感光体層の基板に対す
る密着性を高めた電子写真感光体に関するものである。
から成る電子写真感光体に関し、感光体層の基板に対す
る密着性を高めた電子写真感光体に関するものである。
〔従来技術〕 近年、電子写真感光体の進歩は目覚ましく、感光体ド
ラムを搭載する複写機やプリンター等の開発に伴って感
光体自体にも種々の特性が要求されている。この要求に
対してアモルファスシリコン層が耐熱性、耐摩耗性、無
公害性並びに光感度特性に優れているという理由から注
目されている。
ラムを搭載する複写機やプリンター等の開発に伴って感
光体自体にも種々の特性が要求されている。この要求に
対してアモルファスシリコン層が耐熱性、耐摩耗性、無
公害性並びに光感度特性に優れているという理由から注
目されている。
しかし乍ら、アモルファスシリコン(以下、a−Siと
略す)層は、それに何ら不純物元素をドーピングしない
と約109Ω・cmの暗抵抗率しか得られず、これを電子写
真感光体に用いる場合には1012Ω・cm以上の暗抵抗率に
して電荷保持能力を高める必要がある。そのために酸素
や窒素などの元素を微少量ドーピングして高抵抗化にし
得るが、その反面、光導電性が低下するという問題があ
る。また、ホウ素などを添加しても高抵抗化が期待でき
るが、十分に満足し得るような暗抵抗率が得られず約10
11Ω・cm程度にすぎない。
略す)層は、それに何ら不純物元素をドーピングしない
と約109Ω・cmの暗抵抗率しか得られず、これを電子写
真感光体に用いる場合には1012Ω・cm以上の暗抵抗率に
して電荷保持能力を高める必要がある。そのために酸素
や窒素などの元素を微少量ドーピングして高抵抗化にし
得るが、その反面、光導電性が低下するという問題があ
る。また、ホウ素などを添加しても高抵抗化が期待でき
るが、十分に満足し得るような暗抵抗率が得られず約10
11Ω・cm程度にすぎない。
一方、上記の如きドーピング剤の開発と共にa−Si光
導電層に別の非光導電層を積層して成る積層型感光体が
提案されている。
導電層に別の非光導電層を積層して成る積層型感光体が
提案されている。
例えば、第2図はこの積層型感光体であり、基板
(1)の上にキャリア注入阻止層(2)、a−Si光導電
層(3)及び表面保護層(4)が順次積層されている。
(1)の上にキャリア注入阻止層(2)、a−Si光導電
層(3)及び表面保護層(4)が順次積層されている。
この積層型感光体によれば、キャリア注入阻止層
(2)は基板(1)からのキャリアの注入を阻止するも
のであり、表面保護層(4)はa−Si光導電層(3)を
保護して耐湿性等を向上させるものであるが、両者の層
(2)及び(4)ともに感光体の暗抵抗率を大きくして
帯電能を高めることが目的であり、そのためにこれらの
層を光導電性にする必要はない。
(2)は基板(1)からのキャリアの注入を阻止するも
のであり、表面保護層(4)はa−Si光導電層(3)を
保護して耐湿性等を向上させるものであるが、両者の層
(2)及び(4)ともに感光体の暗抵抗率を大きくして
帯電能を高めることが目的であり、そのためにこれらの
層を光導電性にする必要はない。
このように従来周知のa−Si感光体は光キャリア発生
層をa−Si光導電層により形成させた点に大きな特徴が
あり、これによって耐熱性、耐久性及び光感度特性等に
優れた長所を有している反面、暗抵抗率が不十分である
ためにドーピング剤を用いたり、更に積層型感光体にす
ることで暗抵抗率を大きくしている。即ち、積層型感光
体に形成されるキャリア注入阻止層(2)及び表面保護
層(4)はa−Si光導電層自体が有する欠点を補完する
ものであり、a−Si光導電層(3)と実質上区別し得る
層と言える。
層をa−Si光導電層により形成させた点に大きな特徴が
あり、これによって耐熱性、耐久性及び光感度特性等に
優れた長所を有している反面、暗抵抗率が不十分である
ためにドーピング剤を用いたり、更に積層型感光体にす
ることで暗抵抗率を大きくしている。即ち、積層型感光
体に形成されるキャリア注入阻止層(2)及び表面保護
層(4)はa−Si光導電層自体が有する欠点を補完する
ものであり、a−Si光導電層(3)と実質上区別し得る
層と言える。
本発明者等は上記事情に鑑みて、既にアモルファスシ
リコンカーバイド(以下、a−SiCと略す)は光導電性
を有すると共に暗抵抗率がドーピング剤の有無と無関係
に容易に1013Ω・cm以上になり、更にドーピング剤の選
択によって負極性に帯電可能な電子写真感光体と成り得
ることを見い出した。
リコンカーバイド(以下、a−SiCと略す)は光導電性
を有すると共に暗抵抗率がドーピング剤の有無と無関係
に容易に1013Ω・cm以上になり、更にドーピング剤の選
択によって負極性に帯電可能な電子写真感光体と成り得
ることを見い出した。
しかし乍ら、このa−SiC感光体が、例えばアルミニ
ウム製導電性基板上に成膜形成された場合、アルミニウ
ムはa−SiCに比べて熱膨張係数が一段と大きく、これ
により、グロー放電分解法による基板加熱並びにその成
膜終了後の冷却に伴い、a−SiC層自体の内部応力が著
しく大きくなり、その結果、長期間に亘る反復使用によ
ってa−SiC光導電層のアルミニウム基板に対する密着
力が低下し、a−SiC層の剥離やその層自体にクラック
が生じるという問題がある。
ウム製導電性基板上に成膜形成された場合、アルミニウ
ムはa−SiCに比べて熱膨張係数が一段と大きく、これ
により、グロー放電分解法による基板加熱並びにその成
膜終了後の冷却に伴い、a−SiC層自体の内部応力が著
しく大きくなり、その結果、長期間に亘る反復使用によ
ってa−SiC光導電層のアルミニウム基板に対する密着
力が低下し、a−SiC層の剥離やその層自体にクラック
が生じるという問題がある。
従って本発明は叙上に鑑みて案出されたものであり、
その目的は基板上に成膜形成したa−SiC層に剥離やク
ラックが生じなくなり、これによって高品質且つ高信頼
性の電子写真感光体を提供することにある。
その目的は基板上に成膜形成したa−SiC層に剥離やク
ラックが生じなくなり、これによって高品質且つ高信頼
性の電子写真感光体を提供することにある。
本発明の他の目的は表面保護層及びキャリア注入阻止
層を実質上不要とすることができる電子写真感光体を提
供することにある。
層を実質上不要とすることができる電子写真感光体を提
供することにある。
本発明の更に他の目的は負極性に帯電可能な電子写真
感光体を提供することにある。
感光体を提供することにある。
本発明の電子写真感光体は、基板上に、酸素又は窒素
のうち少なくとも1種を0.01乃至60原子%と周期律表第
Va族元素とを含有する光導電性のa−SiCからなる厚み
0.1内視5μmの第1層(第1の層領域)と、周期律表
第Va族元素の含有量が第1層に比べて少ない10,000ppm
以下(ただし0を含む)の光導電性のa−SiCからなる
第2層(第2の層領域)とを順次積層してなることを特
徴とする。
のうち少なくとも1種を0.01乃至60原子%と周期律表第
Va族元素とを含有する光導電性のa−SiCからなる厚み
0.1内視5μmの第1層(第1の層領域)と、周期律表
第Va族元素の含有量が第1層に比べて少ない10,000ppm
以下(ただし0を含む)の光導電性のa−SiCからなる
第2層(第2の層領域)とを順次積層してなることを特
徴とする。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明電子写真感光体の基本的層構成は第1図に示す
通りであって、導電性基板(1)上に光導電性a−SiC
層(5)を形成し、これによって暗抵抗率を1013Ω・cm
以上にまで高めることができ、更にこの層(5)の内部
は基板(1)から順次第1の層領域(6)と第2の層領
域(7)が形成され、その第1の層領域(6)に酸素又
は窒素のうち少なくとも一種を含有させ、これにより、
基板(1)に対するa−SiC層(5)の密着力が顕著に
大きくなると共に表面電位を高めることができる。
通りであって、導電性基板(1)上に光導電性a−SiC
層(5)を形成し、これによって暗抵抗率を1013Ω・cm
以上にまで高めることができ、更にこの層(5)の内部
は基板(1)から順次第1の層領域(6)と第2の層領
域(7)が形成され、その第1の層領域(6)に酸素又
は窒素のうち少なくとも一種を含有させ、これにより、
基板(1)に対するa−SiC層(5)の密着力が顕著に
大きくなると共に表面電位を高めることができる。
このような酸素及び/又は窒素(以下、基板密着用元
素と呼ぶ)の含有量はシリコン、炭素及び基板密着用元
素の総量に対して0.01乃至60原子%、好適には0.1乃至3
0原子%、最適には0.5乃至20原子%がよく、この含有量
が0.01原子%未満の場合にはa−SiC層の基板との密着
性が期待できなく、更に表面電位に対する改善が期待で
きなくなり、一方、それが60原子%を超える場合には残
留電位が大きくなり、実用上支承がでる。
素と呼ぶ)の含有量はシリコン、炭素及び基板密着用元
素の総量に対して0.01乃至60原子%、好適には0.1乃至3
0原子%、最適には0.5乃至20原子%がよく、この含有量
が0.01原子%未満の場合にはa−SiC層の基板との密着
性が期待できなく、更に表面電位に対する改善が期待で
きなくなり、一方、それが60原子%を超える場合には残
留電位が大きくなり、実用上支承がでる。
また、第1の層領域(6)の厚みは0.1乃至5μm、
好適には0.2乃至3μmの範囲内に設定すればよく、こ
の範囲内であれば、密着性を改善し、表面電位を高める
ことができる。
好適には0.2乃至3μmの範囲内に設定すればよく、こ
の範囲内であれば、密着性を改善し、表面電位を高める
ことができる。
このように基板密着用元素を第1の層領域(6)に含
有させるに当たっては、この層領域(6)の全体に対し
て上記範囲内で含有される限りにおいて、その層内部に
均一又は不均一な含有分布でドーピングさせる。
有させるに当たっては、この層領域(6)の全体に対し
て上記範囲内で含有される限りにおいて、その層内部に
均一又は不均一な含有分布でドーピングさせる。
基板密着用元素を第1の層領域(6)の層厚方向に亘
って不均一な含有率でドーピングさせる場合には第3図
乃至第10図に示すように種々の含有分布がある。
って不均一な含有率でドーピングさせる場合には第3図
乃至第10図に示すように種々の含有分布がある。
第3図乃至第10図においては、横軸は第1の層領域
(6)の基板(1)との界面(a)から第2の層領域
(7)との境界(b)へ至る層厚方向の厚みを表わし、
縦軸は基板密着用元素の含有量を表わしている。いずれ
の含有分布も基板(1)側に片寄って比較的多く含有さ
せており、これにより、密着性が更に一層向上し、残留
電位の低減化が有利に行われる。
(6)の基板(1)との界面(a)から第2の層領域
(7)との境界(b)へ至る層厚方向の厚みを表わし、
縦軸は基板密着用元素の含有量を表わしている。いずれ
の含有分布も基板(1)側に片寄って比較的多く含有さ
せており、これにより、密着性が更に一層向上し、残留
電位の低減化が有利に行われる。
また第3図乃至第6図に示すように第1の層領域
(6)の内部に基板密着用元素含有領域(8)と基板密
着用元素非含有領域(9)を形成してもよく、このよう
に二分化した場合には基板密着用元素含有領域(8)の
厚みは第1の層領域(6)の厚みに比べて1/2倍以下、
望ましくは1/3倍以下になるように設定するとよく、こ
れによって残留電位を小さくすることができる。
(6)の内部に基板密着用元素含有領域(8)と基板密
着用元素非含有領域(9)を形成してもよく、このよう
に二分化した場合には基板密着用元素含有領域(8)の
厚みは第1の層領域(6)の厚みに比べて1/2倍以下、
望ましくは1/3倍以下になるように設定するとよく、こ
れによって残留電位を小さくすることができる。
前記基板(1)には銅、黄銅、SUS、Al等の金属導電
体、或いはガラス、セラミックス等の絶縁体の表面に導
電性被膜をコーティングしたものがあり、いずれの材料
を用いても本発明の目的を達成することができるが、就
中、Alがコスト面及び密着性という点で最も有利であ
る。
体、或いはガラス、セラミックス等の絶縁体の表面に導
電性被膜をコーティングしたものがあり、いずれの材料
を用いても本発明の目的を達成することができるが、就
中、Alがコスト面及び密着性という点で最も有利であ
る。
また本発明において、a−SiC層(5)が光導電性を
有するようになった点については、アモルファス化した
ケイ素と炭素を不可欠な構成元素とし、更にそのダング
リングボンドを終端させるべく水素元素(H)やハロゲ
ン元素を所要の範囲内で含有させることによって光導電
性が生じるものと考えられる。本発明者等が炭素の含有
比率を幾通りにも変えて光導電性の実験を行ったとこ
ろ、a−SiC層(5)をa−Si1-xCxで表わした場合、x
が0.01≦x≦0.9、好適には0.05≦x≦0.5の範囲内に設
定された場合、高帯電性が得られ且つ優れた光導電性と
成り得る。
有するようになった点については、アモルファス化した
ケイ素と炭素を不可欠な構成元素とし、更にそのダング
リングボンドを終端させるべく水素元素(H)やハロゲ
ン元素を所要の範囲内で含有させることによって光導電
性が生じるものと考えられる。本発明者等が炭素の含有
比率を幾通りにも変えて光導電性の実験を行ったとこ
ろ、a−SiC層(5)をa−Si1-xCxで表わした場合、x
が0.01≦x≦0.9、好適には0.05≦x≦0.5の範囲内に設
定された場合、高帯電性が得られ且つ優れた光導電性と
成り得る。
また、水素元素(H)やハロゲン元素などのダングリ
ングボンド終端用元素の含有量は5乃至50原子%、好適
には5乃至40原子%、最適には10乃至30原子%がよく、
通常、H元素が用いられている。このH元素はダングリ
ングボンドの終端部に取込まれ易いのでハンドギャップ
中の局在準位密度を低減化させ、これにより、優れた半
導体特性が得られる。
ングボンド終端用元素の含有量は5乃至50原子%、好適
には5乃至40原子%、最適には10乃至30原子%がよく、
通常、H元素が用いられている。このH元素はダングリ
ングボンドの終端部に取込まれ易いのでハンドギャップ
中の局在準位密度を低減化させ、これにより、優れた半
導体特性が得られる。
このH元素の一部をハロゲン元素と置換してもよく、
これによりa−SiC層の局在順位密度を下げて光導電性
及び耐熱性(温度特性)を高めることができる。その置
換比率はダングリングボンド終端用全元素中0.01乃至50
原子%、好適には1乃至30原子%がよい。また、このハ
ロゲン元素にはF,Cl,Br,I,At等があるが、就中、Fを用
いるとその大きな電気陰性度によって原子間の結合が大
きくなり、これによって熱的安定性に優れるという点で
望ましい。
これによりa−SiC層の局在順位密度を下げて光導電性
及び耐熱性(温度特性)を高めることができる。その置
換比率はダングリングボンド終端用全元素中0.01乃至50
原子%、好適には1乃至30原子%がよい。また、このハ
ロゲン元素にはF,Cl,Br,I,At等があるが、就中、Fを用
いるとその大きな電気陰性度によって原子間の結合が大
きくなり、これによって熱的安定性に優れるという点で
望ましい。
光導電性a−SiC層(5)の厚みは5乃至100μm、好
適には10乃至50μmの範囲内に設定するとよく、その範
囲内であれば200V以上の表面電位が得られ、また画像の
分解能が良好となり、さらに画像流れが生じないように
することができる。
適には10乃至50μmの範囲内に設定するとよく、その範
囲内であれば200V以上の表面電位が得られ、また画像の
分解能が良好となり、さらに画像流れが生じないように
することができる。
また本発明においては、この光導電性a−SiC層
(5)に何ら伝導制御型不純物を含有させない場合、或
いはそれに周期律表第Va族元素を含有させた場合には負
極性に帯電させることができる。
(5)に何ら伝導制御型不純物を含有させない場合、或
いはそれに周期律表第Va族元素を含有させた場合には負
極性に帯電させることができる。
このように周期律表Va族元素(以下、Va族元素と略
す)のドーピングによって負極性に帯電し易くなる点に
ついては、a−SiC層が負極性を保持するのに十分に高
い抵抗率をもち、そして、基板からの正電荷の注入を防
ぐ効果にも優れ、更に負電荷に対する電荷移動度が優れ
ている等の理由によるものと考えられる。
す)のドーピングによって負極性に帯電し易くなる点に
ついては、a−SiC層が負極性を保持するのに十分に高
い抵抗率をもち、そして、基板からの正電荷の注入を防
ぐ効果にも優れ、更に負電荷に対する電荷移動度が優れ
ている等の理由によるものと考えられる。
このVa族元素としてはN,P,As,Sb,Biがあるが、就中、
Pが共有結合性に優れて半導体特性を敏感に変え得る点
で望ましい。
Pが共有結合性に優れて半導体特性を敏感に変え得る点
で望ましい。
このように負極性帯電用感光体を得るためには、第1
の層領域(6)は第2の層領域(7)に比べてVa族元素
が多く含まれていることが重要であり、これにより、第
1の層領域(6)の導電率が大きくなり、基板側からの
キャリアの注入が阻止されると共にa−SiC層の全領域
で発生した光キャリアが基板へ円滑に流れ、その結果、
表面電位が大きくなり、光感度特性が向上する。
の層領域(6)は第2の層領域(7)に比べてVa族元素
が多く含まれていることが重要であり、これにより、第
1の層領域(6)の導電率が大きくなり、基板側からの
キャリアの注入が阻止されると共にa−SiC層の全領域
で発生した光キャリアが基板へ円滑に流れ、その結果、
表面電位が大きくなり、光感度特性が向上する。
第2の層領域(7)のVa族元素含有量は0乃至10,000
ppmの範囲内で、好適には0乃至1,000ppmの範囲内で適
宜決めるとよく、これによって負極性で有利に帯電能を
高めることができる。
ppmの範囲内で、好適には0乃至1,000ppmの範囲内で適
宜決めるとよく、これによって負極性で有利に帯電能を
高めることができる。
また本発明の電子写真感光体においては、上述したよ
うにVa族元素の含有分布によって2層領域を形成する点
に特徴があるが、更に炭素についても層厚方向に亘って
種々の含有分布を設定することができ、これを第11図乃
至第16図によって示す。
うにVa族元素の含有分布によって2層領域を形成する点
に特徴があるが、更に炭素についても層厚方向に亘って
種々の含有分布を設定することができ、これを第11図乃
至第16図によって示す。
これらの図においては、横軸は基板から感光体表面に
至る層厚方向を表わし、縦軸は炭素含有量を表わしてい
る。尚、この横軸に温いて(6),(7)に示すそれぞ
れの範囲は第1の層領域及び第2の層領域を表してい
る。
至る層厚方向を表わし、縦軸は炭素含有量を表わしてい
る。尚、この横軸に温いて(6),(7)に示すそれぞ
れの範囲は第1の層領域及び第2の層領域を表してい
る。
即ち、第11図は炭素含有比率が全層に亘って一定であ
り、第12図は第1の層領域(6)で炭素含有量を少なく
しており、これに対して第13図乃至第16図は第1の層領
域が第2の層領域に比べて炭素が多く含有されているこ
とを示すものであり、これによって表面電位が一段と高
くなって光感度特性が向上する。また、対14図乃至第16
図のように炭素含有量を層厚方向に亘って漸次変えると
表面電位及び光感度を一層高め且つ残留電位が小さくな
る。
り、第12図は第1の層領域(6)で炭素含有量を少なく
しており、これに対して第13図乃至第16図は第1の層領
域が第2の層領域に比べて炭素が多く含有されているこ
とを示すものであり、これによって表面電位が一段と高
くなって光感度特性が向上する。また、対14図乃至第16
図のように炭素含有量を層厚方向に亘って漸次変えると
表面電位及び光感度を一層高め且つ残留電位が小さくな
る。
かくして上記電子写真感光体によれば、光導電性a−
SiC層が基板に対して密着性に優れており、更に表面電
位が高くて残留電位が小さくなり、これによって優れた
画像コントラストが得られ且つ画像にカブリが生じなく
なった高品質且つ高信頼性の電子写真感光体が提供され
る。
SiC層が基板に対して密着性に優れており、更に表面電
位が高くて残留電位が小さくなり、これによって優れた
画像コントラストが得られ且つ画像にカブリが生じなく
なった高品質且つ高信頼性の電子写真感光体が提供され
る。
そこで、本発明者等は上記結果を踏まえて鋭意研究に
努めたところ、このa−SiC層の層内部に更に種々の層
領域を生成させることによって電子写真特性が一段と向
上し得ることを見い出した。
努めたところ、このa−SiC層の層内部に更に種々の層
領域を生成させることによって電子写真特性が一段と向
上し得ることを見い出した。
即ち、本発明の電子写真感光体においては、炭素又は
Va族元素の含有比率を層厚方向に亘って変化させ、3種
類又は4種類の層領域を生成させ、これによって第1の
態様乃至第3の態様までの電子写真感光体が得られる。
そして、これらの態様の電子写真感光体においていずれ
も第1の層領域(6)に基板密着用元素を含有させるも
のであり、その含有量及び含有分布等々は前述した通り
である。
Va族元素の含有比率を層厚方向に亘って変化させ、3種
類又は4種類の層領域を生成させ、これによって第1の
態様乃至第3の態様までの電子写真感光体が得られる。
そして、これらの態様の電子写真感光体においていずれ
も第1の層領域(6)に基板密着用元素を含有させるも
のであり、その含有量及び含有分布等々は前述した通り
である。
以下、本発明の各々の態様を詳細に述べる。
第1の態様 第1の態様によれば、基板上に光導電性a−SiC層を
形成した電子写真感光体であって、前記a−SiC層は少
なくとも第1の層領域、第2の層領域及び第3の層領域
を具備し、第1の層領域は第2の層領域より、第2の層
領域は第3の層領域よりそれぞれ基板側に配置され、且
つ第3の層領域は第2の層領域に比べ炭素が多く含まれ
ていると共に第2の層領域は0乃至10,000ppmのVa族元
素が含まれており、更に第1の層領域は第2の層領域よ
りもVa族元素を多く含むと共に基板密着用元素を0.01乃
至60原子%含有していることを特徴とする電子写真感光
体が提供される。
形成した電子写真感光体であって、前記a−SiC層は少
なくとも第1の層領域、第2の層領域及び第3の層領域
を具備し、第1の層領域は第2の層領域より、第2の層
領域は第3の層領域よりそれぞれ基板側に配置され、且
つ第3の層領域は第2の層領域に比べ炭素が多く含まれ
ていると共に第2の層領域は0乃至10,000ppmのVa族元
素が含まれており、更に第1の層領域は第2の層領域よ
りもVa族元素を多く含むと共に基板密着用元素を0.01乃
至60原子%含有していることを特徴とする電子写真感光
体が提供される。
この第1の態様によれば、第17図に示す通り、第1図
にて示した第2の層領域(7)の上に更に第3の層領域
(10)を形成し、これに伴って第3の層領域(10)の炭
素含有量を第2の層領域(7)よりも多くし、そして、
第1の層領域(6)、第2の層領域(7)及び第3の層
領域(10)を実質上一体化して光導電性a−SiC層(5
a)とした。
にて示した第2の層領域(7)の上に更に第3の層領域
(10)を形成し、これに伴って第3の層領域(10)の炭
素含有量を第2の層領域(7)よりも多くし、そして、
第1の層領域(6)、第2の層領域(7)及び第3の層
領域(10)を実質上一体化して光導電性a−SiC層(5
a)とした。
この第3の層領域(10)を形成すると、a−SiC層(5
a)の表面側の暗抵抗率が大きくなり、これに伴って感
光体の表面電位が顕著に向上する。
a)の表面側の暗抵抗率が大きくなり、これに伴って感
光体の表面電位が顕著に向上する。
即ち、第3の層領域(10)は、光導電性a−SiC層(5
a)の表面側を高抵抗化させるために形成されており、
第2図にて述べた従来周知の表面保護層(4)とは全く
区別し得るものである。また、光キャリア発生層とキャ
リア輸送層とに分けられた機能分離型感光体によれば、
キャリア輸送層を1013Ω・cm以上に高抵抗化させるが、
この層に格別大きな光導電性が要求されておらず、通
常、光導電率の暗導電率に対する比率が1000倍未満の光
導電性に設定されているに過ぎない。これに対して、第
3の層領域(10)はこの比率が1000倍以上の光導電性を
有しており、上記キャリア輸送層に対しても十分に区別
し得る。
a)の表面側を高抵抗化させるために形成されており、
第2図にて述べた従来周知の表面保護層(4)とは全く
区別し得るものである。また、光キャリア発生層とキャ
リア輸送層とに分けられた機能分離型感光体によれば、
キャリア輸送層を1013Ω・cm以上に高抵抗化させるが、
この層に格別大きな光導電性が要求されておらず、通
常、光導電率の暗導電率に対する比率が1000倍未満の光
導電性に設定されているに過ぎない。これに対して、第
3の層領域(10)はこの比率が1000倍以上の光導電性を
有しており、上記キャリア輸送層に対しても十分に区別
し得る。
第3の層領域(10)の層厚は第2の層領域(7)に比
べて1倍以下、好ましくは1/2倍以下、最適には1/4倍以
下がよく、これにより、表面電位が顕著に向上すると共
に光強度に優れ且つ残留電位が小さくなるという点で望
ましいと言える。
べて1倍以下、好ましくは1/2倍以下、最適には1/4倍以
下がよく、これにより、表面電位が顕著に向上すると共
に光強度に優れ且つ残留電位が小さくなるという点で望
ましいと言える。
本発明によれば、光導電性a−SiC層(5a)の炭素含
有分布は第18図乃至第23図に示す通りであり、横軸は基
板から感光体表面に至る層厚方向を示し、縦軸は炭素含
有量を示している。尚、この横軸において、(6)
(7)(10)にて示すそれぞれの範囲は第1の層領域、
第2の層領域及び第3の層領域を表している。
有分布は第18図乃至第23図に示す通りであり、横軸は基
板から感光体表面に至る層厚方向を示し、縦軸は炭素含
有量を示している。尚、この横軸において、(6)
(7)(10)にて示すそれぞれの範囲は第1の層領域、
第2の層領域及び第3の層領域を表している。
これらの図のなかで第19図、第21図、第22図及び第23
図においては層厚方向に亘って炭素の含有量を連続的且
つ漸次変えており、これにより、表面電位が一層向上す
ると共に光感度に優れ、更に残留電位も一層小さくな
る。
図においては層厚方向に亘って炭素の含有量を連続的且
つ漸次変えており、これにより、表面電位が一層向上す
ると共に光感度に優れ、更に残留電位も一層小さくな
る。
第2の態様 第2の態様によれば、基板上に光導電性a−SiC層を
形成した電子写真感光体であって、前記a−SiC層は少
なくとも第1の層領域、第2の層領域、第3の層領域、
第4の層領域を基板側から感光体表面へ向けて順次具備
し且つ第3の層領域は第2の層領域に比べて、第4の層
領域は第3の層領域に比べてそれぞれ炭素が多く含まれ
ていると共に第2の層領域は0乃至10,000ppmのVa族元
素が含まれており、更に第1の層領域は第2の層領域よ
りもVa族元素を多く含み且つ基板密着用元素を0.01乃至
60原子%含有していることを特徴とする電子写真感光体
が提供される。
形成した電子写真感光体であって、前記a−SiC層は少
なくとも第1の層領域、第2の層領域、第3の層領域、
第4の層領域を基板側から感光体表面へ向けて順次具備
し且つ第3の層領域は第2の層領域に比べて、第4の層
領域は第3の層領域に比べてそれぞれ炭素が多く含まれ
ていると共に第2の層領域は0乃至10,000ppmのVa族元
素が含まれており、更に第1の層領域は第2の層領域よ
りもVa族元素を多く含み且つ基板密着用元素を0.01乃至
60原子%含有していることを特徴とする電子写真感光体
が提供される。
この第2の態様によれば、第24図に示す通り、第1の
態様に示した第3の層領域(10)の上に更に第4の層領
域(11)を形成し、これに伴って第4の層領域(11)が
第3の層領域(10)に比べて炭素を多く含んでおり、そ
して、第1の層領域(6)乃至第4の層領域(11)を実
質上一体化して光導電性a−SiC層(5b)とした。
態様に示した第3の層領域(10)の上に更に第4の層領
域(11)を形成し、これに伴って第4の層領域(11)が
第3の層領域(10)に比べて炭素を多く含んでおり、そ
して、第1の層領域(6)乃至第4の層領域(11)を実
質上一体化して光導電性a−SiC層(5b)とした。
この第4の層領域(11)は第3の層領域(10)に比べ
て炭素を多く含有させて高抵抗化させており、これよ
り、帯電能を高めて表面電位を向上させることができ、
その結果、耐電圧が高くて長寿命の感光体を得ることが
できる。
て炭素を多く含有させて高抵抗化させており、これよ
り、帯電能を高めて表面電位を向上させることができ、
その結果、耐電圧が高くて長寿命の感光体を得ることが
できる。
本発明によれば、光導電性a−SiC層(5b)の炭素含
有分布は第25図乃至第28図に示す通りであり、横軸は基
板から感光体表面に至る層厚方向を示し、縦軸は炭素含
有量を示している。尚、この横軸において、(6)
(7)(10)(11)にて示すそれぞれの範囲は第1の層
領域、第2の層領域、第3の層領域及び第4の層領域を
表している。
有分布は第25図乃至第28図に示す通りであり、横軸は基
板から感光体表面に至る層厚方向を示し、縦軸は炭素含
有量を示している。尚、この横軸において、(6)
(7)(10)(11)にて示すそれぞれの範囲は第1の層
領域、第2の層領域、第3の層領域及び第4の層領域を
表している。
これらの図のなかで第26図及び第28図は層厚方向に亘
って炭素の含有量を連続的且つ漸次変え、これにより、
表面電位及び光感度が一層向上し、更に残留電位も一層
小さくなる。
って炭素の含有量を連続的且つ漸次変え、これにより、
表面電位及び光感度が一層向上し、更に残留電位も一層
小さくなる。
第3の態様 第3の態様によれば、基板上に光導電性a−SiC層及
びa−SiC表面保護層を順次形成した電子写真感光体で
あって、前記光導電性a−SiC層は少なくとも第1の層
領域、第2の層領域及び第3の層領域を具備し、第1の
層領域は第2の層領域より基板側に、第2の層領域は第
3の層領域より基板側にそれぞれ配置され、且つ第3の
層領域は第2の層領域に比べて炭素が多く含まれている
と共に第2の層領域は0乃至10,000ppmのVa族元素が含
まれており、更に第1の層領域は第2の層領域よりもVa
族元素を多く含み且つ基板密着用元素を0.01乃至60原子
%含有していることを特徴とする電子写真感光体が提供
される。
びa−SiC表面保護層を順次形成した電子写真感光体で
あって、前記光導電性a−SiC層は少なくとも第1の層
領域、第2の層領域及び第3の層領域を具備し、第1の
層領域は第2の層領域より基板側に、第2の層領域は第
3の層領域より基板側にそれぞれ配置され、且つ第3の
層領域は第2の層領域に比べて炭素が多く含まれている
と共に第2の層領域は0乃至10,000ppmのVa族元素が含
まれており、更に第1の層領域は第2の層領域よりもVa
族元素を多く含み且つ基板密着用元素を0.01乃至60原子
%含有していることを特徴とする電子写真感光体が提供
される。
この第3の態様によれば、第29図に示す通り、第1の
態様にて示した第3の層領域(10)の上に更にa−SiC
表面保護層(12)を形成したものであり、このa−SiC
表面保護層(12)は光導電性a−SiC層(5a)の表面を
オーバーコートして保護するために形成される。
態様にて示した第3の層領域(10)の上に更にa−SiC
表面保護層(12)を形成したものであり、このa−SiC
表面保護層(12)は光導電性a−SiC層(5a)の表面を
オーバーコートして保護するために形成される。
a−SiC表面保護層(12)はa−SiCから成るという点
では光導電性a−SiC層(5a)と同じであるか、炭素の
含有量を多くして高硬度化し、これによって表面保護作
用をもたらす。
では光導電性a−SiC層(5a)と同じであるか、炭素の
含有量を多くして高硬度化し、これによって表面保護作
用をもたらす。
このa−SiC表面保護層(12)は、その構成元素の組
成比を変えて光導電性又は非光導電性とすることがで
き、炭素の含有量を多くすると非光導電性になる傾向が
あり、これに伴って高硬度特性が得られ、高硬度a−Si
C表面保護層となる。
成比を変えて光導電性又は非光導電性とすることがで
き、炭素の含有量を多くすると非光導電性になる傾向が
あり、これに伴って高硬度特性が得られ、高硬度a−Si
C表面保護層となる。
第3の態様によれば、炭素含有分布は第30図及び第31
図に示す通りであり、横軸は基板から感光体表面に至る
層厚方向を示し、縦軸は炭素含有量を示している。尚、
この横軸において(6)(7)(10)(12)にて示すそ
れぞれの範囲は第1の層領域、第2の層領域、第3の層
領域及びa−SiC表面保護層を表している。
図に示す通りであり、横軸は基板から感光体表面に至る
層厚方向を示し、縦軸は炭素含有量を示している。尚、
この横軸において(6)(7)(10)(12)にて示すそ
れぞれの範囲は第1の層領域、第2の層領域、第3の層
領域及びa−SiC表面保護層を表している。
本発明によれば、2層領域から成る光導電性a−SiC
層を備えた電子写真感光体並びに第1の態様乃至第3の
態様のいずれの電子写真感光体においても、そのSiC層
の表面上に従来周知の表面保護層を形成してもよい。
層を備えた電子写真感光体並びに第1の態様乃至第3の
態様のいずれの電子写真感光体においても、そのSiC層
の表面上に従来周知の表面保護層を形成してもよい。
この表面保護層にはそれ自体高絶縁性、高耐蝕性及び
高硬度特性を有するものであれば、種々の材料を用いる
ことができ、例えばポリイミド樹脂などの有機材料,a−
SiC,SiO2,SiO,Al2O3,SiC,Si3N4,a−Si,a−Si:H,a−Si:
F,a−SiC:H,a−SiC:Fなどの無機材料を用いることがで
きる。
高硬度特性を有するものであれば、種々の材料を用いる
ことができ、例えばポリイミド樹脂などの有機材料,a−
SiC,SiO2,SiO,Al2O3,SiC,Si3N4,a−Si,a−Si:H,a−Si:
F,a−SiC:H,a−SiC:Fなどの無機材料を用いることがで
きる。
次に本発明に係る電子写真感光体の製法を述べる。
a−SiC層を形成する方法にはグロー放電分解法、イ
オンプレーティング法、反応性スパッタリング法、真空
蒸着法、CVD法等の薄膜生成技術がある。
オンプレーティング法、反応性スパッタリング法、真空
蒸着法、CVD法等の薄膜生成技術がある。
グロー放電分解法を用いてa−SiC層を形成する場合
にはケイ素(Si)含有ガスと炭素(C)含有ガスを組合
せ、その混合ガスをグロー放電分解する。
にはケイ素(Si)含有ガスと炭素(C)含有ガスを組合
せ、その混合ガスをグロー放電分解する。
このSi素含有ガスにはSiH4,Si2H6,Si3H8,SiF4,SiCl4,
SiHCl3等々があり、就中、SiH4やSi2H6はそれ自体Siと
H元素が結合しているために膜中にHが取り込まれ易
く、これにより、膜中のダングリングボンドが低減して
光導電性を向上させる点で望ましい。
SiHCl3等々があり、就中、SiH4やSi2H6はそれ自体Siと
H元素が結合しているために膜中にHが取り込まれ易
く、これにより、膜中のダングリングボンドが低減して
光導電性を向上させる点で望ましい。
またC含有ガスにはCH4,C2H4,C2H2,C3H8等々がある
が、就中、C2H2が高速成膜性が得られる点で望ましい。
が、就中、C2H2が高速成膜性が得られる点で望ましい。
本発明者等が行った実験によれば、SiH4ガスとC2H2ガ
スを組合せて成る成膜用ガスをグロー放電分解した場
合、5乃至20μm/時の成膜速度が得られた。因にSiH4ガ
スとCH4ガスを用いてa−SiC膜を生成した場合、その成
膜速度は約0.3乃至1μm/時である。
スを組合せて成る成膜用ガスをグロー放電分解した場
合、5乃至20μm/時の成膜速度が得られた。因にSiH4ガ
スとCH4ガスを用いてa−SiC膜を生成した場合、その成
膜速度は約0.3乃至1μm/時である。
更にa−SiC層を形成に当たって、その層に基板密着
用元素をドーピングする場合には上記成膜用ガスにO2,N
2,NO,N2O,NO2,NH3,NF3,CO,CO2等々を混合すればよい。
用元素をドーピングする場合には上記成膜用ガスにO2,N
2,NO,N2O,NO2,NH3,NF3,CO,CO2等々を混合すればよい。
更に本発明に係る製法によれば、C2H2とSi含有ガスを
グロー放電分解領域に導入するに当たってこのガス組成
比を0.01:1乃至3:1の範囲内に、好適には0.05:1乃至1:
1、最適には0.05:1乃至0.3:1の範囲内に設定すればよ
く、0.01:1の比率から外れた場合には暗抵抗率が1011Ω
・cm以下となって電荷保持力が十分でなく、大きな帯電
電位を得ることができなくなり、3:1の比率から外れた
場合には膜中にダングリングボンドが増加して暗抵抗率
が1011Ω・cm以下となる。
グロー放電分解領域に導入するに当たってこのガス組成
比を0.01:1乃至3:1の範囲内に、好適には0.05:1乃至1:
1、最適には0.05:1乃至0.3:1の範囲内に設定すればよ
く、0.01:1の比率から外れた場合には暗抵抗率が1011Ω
・cm以下となって電荷保持力が十分でなく、大きな帯電
電位を得ることができなくなり、3:1の比率から外れた
場合には膜中にダングリングボンドが増加して暗抵抗率
が1011Ω・cm以下となる。
ダングリングボンド終端用元素としてH元素を用いる
場合には、H2ガスはC2H2ガスおよびSiH4ガスの流量合計
値に対して3倍以下、好適には2倍以下に配合すればよ
く、これから外れると膜中の水素が過剰となって感光体
に要求される電気的特性が劣化する。
場合には、H2ガスはC2H2ガスおよびSiH4ガスの流量合計
値に対して3倍以下、好適には2倍以下に配合すればよ
く、これから外れると膜中の水素が過剰となって感光体
に要求される電気的特性が劣化する。
また基板密着用元素含有ガスはSi含有ガス及びC含有
ガスの合計流量に対して、1/1000乃至3倍の範囲内に、
好適には1/200乃至1倍の範囲内に設定すればよく、こ
れによって基板密着用元素を所要量ドーピングさせるこ
とができる。
ガスの合計流量に対して、1/1000乃至3倍の範囲内に、
好適には1/200乃至1倍の範囲内に設定すればよく、こ
れによって基板密着用元素を所要量ドーピングさせるこ
とができる。
本発明に係る製法によれば、上述したようにa−SiC
層を生成するに当たっては、グロー放電用の高周波電
力、反応室内部のガス圧及び基板温度を次の通りに設定
するのがよい。
層を生成するに当たっては、グロー放電用の高周波電
力、反応室内部のガス圧及び基板温度を次の通りに設定
するのがよい。
即ち、高周波電力は0.05乃至0.5W/cm2の範囲内に設定
すればよく、0.05W/cm2未満であると成膜速度が小さく
なり、0.5W/cm2を越えるとプラズマダメージによって膜
質が低下してキャリア移動度が小さくなる。また、ガス
圧は0.1乃至2.0Torrの範囲内に設定すればよく、0.1Tor
r未満であると成膜速度が小さくなり、2.0Torrを超える
と放電が不安定となる。更に、基板温度はa−Si膜の成
膜形成に比べて30乃至80℃位高くするのがよく、望まし
くは200乃至400℃の範囲がよく、この基板温度が200℃
未満であればSiとCのネットワーク化が阻害され、400
℃を超えると水素の脱離が著しくなって暗抵抗率が小さ
くなる。
すればよく、0.05W/cm2未満であると成膜速度が小さく
なり、0.5W/cm2を越えるとプラズマダメージによって膜
質が低下してキャリア移動度が小さくなる。また、ガス
圧は0.1乃至2.0Torrの範囲内に設定すればよく、0.1Tor
r未満であると成膜速度が小さくなり、2.0Torrを超える
と放電が不安定となる。更に、基板温度はa−Si膜の成
膜形成に比べて30乃至80℃位高くするのがよく、望まし
くは200乃至400℃の範囲がよく、この基板温度が200℃
未満であればSiとCのネットワーク化が阻害され、400
℃を超えると水素の脱離が著しくなって暗抵抗率が小さ
くなる。
次にC2H2ガス及びSi含有ガスから成るa−SiC生成用
ガスをグロー放電によって分解し、a−SiC層を形成
し、このようにして本発明の電子写真感光体並びに第1
の態様乃至第3の態様のそれぞれの電子写真感光体を製
作する場合を順次述べる。尚,いずれの製作例も第1の
層領域に基板密着用元素をドーピングさせる方法は前述
した通りである。
ガスをグロー放電によって分解し、a−SiC層を形成
し、このようにして本発明の電子写真感光体並びに第1
の態様乃至第3の態様のそれぞれの電子写真感光体を製
作する場合を順次述べる。尚,いずれの製作例も第1の
層領域に基板密着用元素をドーピングさせる方法は前述
した通りである。
本発明の製法 本発明の製法によれば、a−SiC生成用ガスをグロー
放電分解して光導電性a−SiC層を基板上に形成した電
子写真感光体の製法にあって、前記ガスはC2H2及びSi含
有ガスから成り、そのガス組成比を0.011乃至3:1の範囲
内に設定し、且つVa族元素含有ガスを含有させると共に
成膜中にこの含有比率を小さくしたことを特徴とする電
子写真感光体の製法が提供される。
放電分解して光導電性a−SiC層を基板上に形成した電
子写真感光体の製法にあって、前記ガスはC2H2及びSi含
有ガスから成り、そのガス組成比を0.011乃至3:1の範囲
内に設定し、且つVa族元素含有ガスを含有させると共に
成膜中にこの含有比率を小さくしたことを特徴とする電
子写真感光体の製法が提供される。
第1の態様に係る製法 第1の態様によれば、a−SiC生成用ガスをグロー放
電分解して光導電性a−SiC層を基板上に形成した電子
写真感光体の製法であって、前記ガスはC2H2及びSi含有
ガスから成り、そのガス組成比を0.01:1乃至3:1の範囲
内に設定し、成膜中にガス組成比を変えて前記a−SiC
層に少なくとも第1の層領域、第2の層領域及び第3の
層領域を具備させ、第1の層領域は第2の層領域より基
板側に、第2の層領域は第3の層領域より基板側にそれ
ぞれ配置され、第3の層領域は第2の層領域に比べて炭
素が多く含まれ、且つ前記第2の層領域の形成時にa−
SiC生成用ガスに0乃至1モル%のVa族元素含有ガスを
含むとともに第1の層領域の形成時にa−SiC生成用ガ
ス中におけるVa族元素含有ガスの占める割合が第2の層
領域の形成時に比べて大きいことを特徴とする電子写真
感光体の製法が提供される。
電分解して光導電性a−SiC層を基板上に形成した電子
写真感光体の製法であって、前記ガスはC2H2及びSi含有
ガスから成り、そのガス組成比を0.01:1乃至3:1の範囲
内に設定し、成膜中にガス組成比を変えて前記a−SiC
層に少なくとも第1の層領域、第2の層領域及び第3の
層領域を具備させ、第1の層領域は第2の層領域より基
板側に、第2の層領域は第3の層領域より基板側にそれ
ぞれ配置され、第3の層領域は第2の層領域に比べて炭
素が多く含まれ、且つ前記第2の層領域の形成時にa−
SiC生成用ガスに0乃至1モル%のVa族元素含有ガスを
含むとともに第1の層領域の形成時にa−SiC生成用ガ
ス中におけるVa族元素含有ガスの占める割合が第2の層
領域の形成時に比べて大きいことを特徴とする電子写真
感光体の製法が提供される。
第2の態様に係る製法 第2の態様によれば、a−SiC生成用ガスをグロー放
電分解して光導電性a−SiC層を基板上に形成した電子
写真感光体の製法であって、前記ガスはC2H2及びSi含有
ガスから成り、そのガス組成比を0.01:1乃至3:1の範囲
内に設定し、成膜中にガス組成比を変えて前記a−SiC
層に少なくとも第1の層領域、第2の層領域、第3の層
領域及び第4の層領域を基板側から感光体表面へ向けて
順次具備し、且つ第3の層領域は第2の層領域に比べ
て、第4の層領域は第3の層領域に比べてそれぞれ炭素
が多く含まれ、前記第2の層領域の形成時に前記a−Si
C生成ガスに0乃至1モル%のVa族元素含有ガスを含む
とともに第1の層領域の形成時にa−SiC生成用ガス中
におけるVa族元素含有ガスの占める割合が第2の層領域
の形成時に比べて大きいことを特徴とする電子写真感光
体の製法が提供される。
電分解して光導電性a−SiC層を基板上に形成した電子
写真感光体の製法であって、前記ガスはC2H2及びSi含有
ガスから成り、そのガス組成比を0.01:1乃至3:1の範囲
内に設定し、成膜中にガス組成比を変えて前記a−SiC
層に少なくとも第1の層領域、第2の層領域、第3の層
領域及び第4の層領域を基板側から感光体表面へ向けて
順次具備し、且つ第3の層領域は第2の層領域に比べ
て、第4の層領域は第3の層領域に比べてそれぞれ炭素
が多く含まれ、前記第2の層領域の形成時に前記a−Si
C生成ガスに0乃至1モル%のVa族元素含有ガスを含む
とともに第1の層領域の形成時にa−SiC生成用ガス中
におけるVa族元素含有ガスの占める割合が第2の層領域
の形成時に比べて大きいことを特徴とする電子写真感光
体の製法が提供される。
第3の態様に係る製法 第3の態様によれば、a−SiC生成用ガスをグロー放
電分解して光導電性a−SiC層及びa−SiC表面保護層を
順次形成した電子写真感光体の製法にあって、前記ガス
はC2H2及びSi含有ガスから成り、そのガス組成比を0.0
1:1乃至3:1の範囲内に設定し、成膜中にガス組成比を変
えて前記a−SiC層に少なくとも第1の層領域、第2の
層領域及び第3の層領域を具備させ、第1の層領域は第
2の層領域より基板側に、第2の層領域は第3の層領域
より基板側にそれぞれ配置され、第3の層領域は第2の
層領域に比べて炭素が多く含まれ、且つ前記第2の層領
域の形成時に前記a−SiC生成用ガスに0乃至1モル%
のVa族元素含有ガスを含むとともに第1の層領域の形成
時にa−SiC生成用ガス中におけるVa族元素含有ガスの
占める割合が第2の層領域の形成時に比べて大きいこと
を特徴とする電子写真感光体の製法が提供される。
電分解して光導電性a−SiC層及びa−SiC表面保護層を
順次形成した電子写真感光体の製法にあって、前記ガス
はC2H2及びSi含有ガスから成り、そのガス組成比を0.0
1:1乃至3:1の範囲内に設定し、成膜中にガス組成比を変
えて前記a−SiC層に少なくとも第1の層領域、第2の
層領域及び第3の層領域を具備させ、第1の層領域は第
2の層領域より基板側に、第2の層領域は第3の層領域
より基板側にそれぞれ配置され、第3の層領域は第2の
層領域に比べて炭素が多く含まれ、且つ前記第2の層領
域の形成時に前記a−SiC生成用ガスに0乃至1モル%
のVa族元素含有ガスを含むとともに第1の層領域の形成
時にa−SiC生成用ガス中におけるVa族元素含有ガスの
占める割合が第2の層領域の形成時に比べて大きいこと
を特徴とする電子写真感光体の製法が提供される。
次に本発明の実施例に用いられる容量結合型グロー放
電分解装置を第32図により説明する。
電分解装置を第32図により説明する。
図中、第1、第2、第3、第4、第5、第6タンク
(13)(14)(15)(16)(17)(18)には、それぞれ
SiH4,C2H2,PH3(H2ガス希釈で0.2%含有)、PH3(H2ガ
ス希釈で33ppm含有),H,NOガスが密封されており、H2は
キャリアーガスとしても用いられる。これらのガスは対
応する第1、第2、第3、第4、第5、第6調整弁(1
9)(20)(21)(22)(23)(24)を開放することに
より放出され、その流量がマスフローコントローラ(2
5)(26)(27)(28)(29)(30)により制御され、
第1、第2、第3、第4、第5タンク(13)(14)(1
5)(16)(17)からのガスは第1主管(31)へ、第6
タンク(18)からのNOガスは第2主管(32)へ送られ
る。尚、(33)(34)は止め弁である。第1主管(31)
及び第2主管(32)を通じて流れるガスは反応管(35)
へと送り込まれるが、この反応管(35)の内部には容量
結合型放電用電極(36)が設置されており、それに印加
される高周波電力は50W乃至3kWが、また周波数は1乃至
50MHzが適当である。反応管(35)の内部にはアルミニ
ウムから成る筒状の成膜基板(37)が試料保持台(38)
の上に載置されており、この保持台(38)はモーター
(39)により回転駆動されるようになっており、そし
て、基板(37)は適当な加熱手段により約200乃至400℃
好ましくは約200乃至350℃の温度に均一に加熱される。
更に反応管(35)の内部はa−SiC膜形成時に硬度の真
空状態(放電圧0.1乃至2.0Torr)を必要とすることによ
り回転ポンプ(40)と拡散ポンプ(41)に連結されてい
る。
(13)(14)(15)(16)(17)(18)には、それぞれ
SiH4,C2H2,PH3(H2ガス希釈で0.2%含有)、PH3(H2ガ
ス希釈で33ppm含有),H,NOガスが密封されており、H2は
キャリアーガスとしても用いられる。これらのガスは対
応する第1、第2、第3、第4、第5、第6調整弁(1
9)(20)(21)(22)(23)(24)を開放することに
より放出され、その流量がマスフローコントローラ(2
5)(26)(27)(28)(29)(30)により制御され、
第1、第2、第3、第4、第5タンク(13)(14)(1
5)(16)(17)からのガスは第1主管(31)へ、第6
タンク(18)からのNOガスは第2主管(32)へ送られ
る。尚、(33)(34)は止め弁である。第1主管(31)
及び第2主管(32)を通じて流れるガスは反応管(35)
へと送り込まれるが、この反応管(35)の内部には容量
結合型放電用電極(36)が設置されており、それに印加
される高周波電力は50W乃至3kWが、また周波数は1乃至
50MHzが適当である。反応管(35)の内部にはアルミニ
ウムから成る筒状の成膜基板(37)が試料保持台(38)
の上に載置されており、この保持台(38)はモーター
(39)により回転駆動されるようになっており、そし
て、基板(37)は適当な加熱手段により約200乃至400℃
好ましくは約200乃至350℃の温度に均一に加熱される。
更に反応管(35)の内部はa−SiC膜形成時に硬度の真
空状態(放電圧0.1乃至2.0Torr)を必要とすることによ
り回転ポンプ(40)と拡散ポンプ(41)に連結されてい
る。
以上のように構成されたグロー放電分解装置におい
て、例えば、a−SiC膜(P,N,Oを含有する)を基板(3
7)に形成する場合には、第1、第2、第3、第5調整
弁(19)(20)(21)(23)を開いてそれぞれよりSi
H4,C2H2,PH3,H2ガスを放出し、第6調整弁(24)を開い
てNOガスを放出し、そして、その放出量はマスフローコ
ントローラ(25)(26)(27)(29)(30)により制御
され、SiH4,C2H2,PH3,H2の混合ガスは第1主管(31)を
介して反応管(35)へ流し込まれ、NOガスは第2主管
(32)を介して反応管(35)へ流し込まれる。そして、
反応管(35)の内部が0.1乃至2.0Torr程度の真空状態、
基板温度が200乃至400℃、容量結合型放電用電極(36)
に印加される高周波電力が50W乃至3kW、また周波数が1
乃至50MHzに設定されていることに相俟ってグロー放電
が起こり、ガスが分解してP,N,Oを含有したa−SiC膜が
基板上に高速で形成される。
て、例えば、a−SiC膜(P,N,Oを含有する)を基板(3
7)に形成する場合には、第1、第2、第3、第5調整
弁(19)(20)(21)(23)を開いてそれぞれよりSi
H4,C2H2,PH3,H2ガスを放出し、第6調整弁(24)を開い
てNOガスを放出し、そして、その放出量はマスフローコ
ントローラ(25)(26)(27)(29)(30)により制御
され、SiH4,C2H2,PH3,H2の混合ガスは第1主管(31)を
介して反応管(35)へ流し込まれ、NOガスは第2主管
(32)を介して反応管(35)へ流し込まれる。そして、
反応管(35)の内部が0.1乃至2.0Torr程度の真空状態、
基板温度が200乃至400℃、容量結合型放電用電極(36)
に印加される高周波電力が50W乃至3kW、また周波数が1
乃至50MHzに設定されていることに相俟ってグロー放電
が起こり、ガスが分解してP,N,Oを含有したa−SiC膜が
基板上に高速で形成される。
次に本発明の実施例を詳細に説明する。
(例1) 本例においては、光導電性a−SiC層をアルミニウム
製成膜基板に生成し、そのC2H2ガスの配合比率に対する
導電率を測定した。
製成膜基板に生成し、そのC2H2ガスの配合比率に対する
導電率を測定した。
即ち、第32図に示した容量結合型グロー放電分解分解
装置を用いて第1タンク(13)よりSiH4ガスを100sccm
の流量で、第5タンク(17)よりH2ガスを300sccmの流
量で放出し、第2タンク(14)よりC2H2ガスを10〜100s
ccmの流量で放出し、約5μmの厚みのa−SiC膜を製作
し、暗導電率及び光導電率を測定したところ、第33図に
示す通りの結果が得られた。尚、基板温度を300℃、ガ
ス圧を0.45Torr、高周波電力を150Wに設定した。
装置を用いて第1タンク(13)よりSiH4ガスを100sccm
の流量で、第5タンク(17)よりH2ガスを300sccmの流
量で放出し、第2タンク(14)よりC2H2ガスを10〜100s
ccmの流量で放出し、約5μmの厚みのa−SiC膜を製作
し、暗導電率及び光導電率を測定したところ、第33図に
示す通りの結果が得られた。尚、基板温度を300℃、ガ
ス圧を0.45Torr、高周波電力を150Wに設定した。
第33図によれば、横軸にSiH4ガスとC2H2ガスの合計流
量に対するC2H2ガス流量の比[C2H2/(CiH4+C2H2)]
を、縦軸に導電率〔(Ω・cm)-1〕を表わし、●印は暗
導電率のプロット、○印はHe−Neレーザー(波長632.8n
m、100μW/cm2)を照射した時の光導電率のプロットで
あり、a,bはそれぞれの特性曲線である。
量に対するC2H2ガス流量の比[C2H2/(CiH4+C2H2)]
を、縦軸に導電率〔(Ω・cm)-1〕を表わし、●印は暗
導電率のプロット、○印はHe−Neレーザー(波長632.8n
m、100μW/cm2)を照射した時の光導電率のプロットで
あり、a,bはそれぞれの特性曲線である。
第33図から明らかな通り、暗導電率は10-12(Ω・c
m)-1以下と成り得、最小で約10-16(Ω・cm)-1まで得
られた。また、光導電率は暗導電率に比べて1000倍以上
となり、このa−SiC層が電子写真感光体用として十分
に満足し得る光導電性をもっていることが判る。
m)-1以下と成り得、最小で約10-16(Ω・cm)-1まで得
られた。また、光導電率は暗導電率に比べて1000倍以上
となり、このa−SiC層が電子写真感光体用として十分
に満足し得る光導電性をもっていることが判る。
(例2) 本例においては、(例1)に基いてPH3ガス(又はB2H
6ガス)を導入して暗導電率及び光導電率を測定したと
ころ、第34図に示す通りの結果が得られた。
6ガス)を導入して暗導電率及び光導電率を測定したと
ころ、第34図に示す通りの結果が得られた。
図中、横軸はSiH4とC2H2の合計流量に対するPH3純量
(これはH2ガスの希釈比率より換算して求められるPH3
の絶対流量のことである)である。尚、PH3純量をB2H6
純量に置き換えた場合も参考例として記載する。
(これはH2ガスの希釈比率より換算して求められるPH3
の絶対流量のことである)である。尚、PH3純量をB2H6
純量に置き換えた場合も参考例として記載する。
第34図によれば、●印は暗導電率のプロットであり、
○印は光導電率のプロットであり(この光導電率は(例
1)と同様にして求められる)、c,dはそれぞれ特性曲
線である。
○印は光導電率のプロットであり(この光導電率は(例
1)と同様にして求められる)、c,dはそれぞれ特性曲
線である。
第34図から明らかな通り、光導電率は暗導電率に比べ
て1000倍以上となり、PやBをドーピングしたa−SiC
層が電子写真感光体用として満足し得る光導電性をもっ
ている。
て1000倍以上となり、PやBをドーピングしたa−SiC
層が電子写真感光体用として満足し得る光導電性をもっ
ている。
(例3) 本例においては、(例1)中C2H2流量を10sccmに設定
して得られたa−SiC層に対して分光感度特性を測定し
ており、その結果は第35図に示された分光感度曲線eと
なった。尚、この図は各波長において等エネルギー光を
照射した時の光導電率を示す。
して得られたa−SiC層に対して分光感度特性を測定し
ており、その結果は第35図に示された分光感度曲線eと
なった。尚、この図は各波長において等エネルギー光を
照射した時の光導電率を示す。
第35図より明らかな通り、可視光領域に光感度が認め
られ、電子写真用光導電体に適していることが判る。
られ、電子写真用光導電体に適していることが判る。
(例4) 本例においては、(例1)中C2H2ガス流量を10sccmに
設定して得られたa−SiC層(厚み30μm)に対して表
面電位並びに暗減衰及び光減衰のそれぞれの特性を測定
した。この測定は−5.6kVのコロナチャージャで負帯電
し、暗中での表面電位の経時変化と、650nmの単色光照
射直後の表面電位の経時変化を追ったものである。
設定して得られたa−SiC層(厚み30μm)に対して表
面電位並びに暗減衰及び光減衰のそれぞれの特性を測定
した。この測定は−5.6kVのコロナチャージャで負帯電
し、暗中での表面電位の経時変化と、650nmの単色光照
射直後の表面電位の経時変化を追ったものである。
その結果は第36図に示す通りであり、f,gはそれぞれ
暗減衰曲線及び光減衰曲線である。
暗減衰曲線及び光減衰曲線である。
第36図より明らかな通り、表面電位が約−530Vと大き
くなっており、暗減衰も5秒後で30%程度であり、電荷
保持能力に優れている。また、光導電率にも優れてお
り、残留電位も小さいと言える。尚、(例4)にて得ら
れたa−SiC層を+5.6kVのコロナチャージャで正帯電さ
せたところ、表面電位が数十Vであった。
くなっており、暗減衰も5秒後で30%程度であり、電荷
保持能力に優れている。また、光導電率にも優れてお
り、残留電位も小さいと言える。尚、(例4)にて得ら
れたa−SiC層を+5.6kVのコロナチャージャで正帯電さ
せたところ、表面電位が数十Vであった。
また、このa−SiC感光体を、−5.6kVのコロナチャー
ジャによって負極性に帯電させ、次いで画像露光し磁気
ブラシ現像を行ったところ、画像濃度が高く、高コント
ラストで良質な画像が得られることを確認した。
ジャによって負極性に帯電させ、次いで画像露光し磁気
ブラシ現像を行ったところ、画像濃度が高く、高コント
ラストで良質な画像が得られることを確認した。
(例5) 次に本例において本発明の電子写真感光体を製作し
た。
た。
即ち、基板用アルミニウム製ドラムを第32図に示した
容量結合型グロー放電分解装置の反応管(35)内に設置
し、そして、第1タンク(13)よりSiH4ガスを、第2タ
ンク(14)よりC2H2ガスを、第3タンク(15)及び第4
タンク(15)よりそれぞれPH3ガスを、第5タンク(1
7)よりH2ガスを、第6タンク(18)よりNOガスをそれ
ぞれ放出し、第1表に示す製造条件で第1の層領域及び
第2の層領域を形成した。
容量結合型グロー放電分解装置の反応管(35)内に設置
し、そして、第1タンク(13)よりSiH4ガスを、第2タ
ンク(14)よりC2H2ガスを、第3タンク(15)及び第4
タンク(15)よりそれぞれPH3ガスを、第5タンク(1
7)よりH2ガスを、第6タンク(18)よりNOガスをそれ
ぞれ放出し、第1表に示す製造条件で第1の層領域及び
第2の層領域を形成した。
このようにして形成した第1の層領域の原子組成比を
X線マイクロアナライザーにより測定したところ、炭素
は20原子%、窒素は2原子%、酸素は1原子%、Pは20
00ppmであった。
X線マイクロアナライザーにより測定したところ、炭素
は20原子%、窒素は2原子%、酸素は1原子%、Pは20
00ppmであった。
かくして得られた感光体を、暗中で−5.6kVの高圧源
に接続されたコロナチャージャで負極性に帯電させ、次
いで分光された単色光(650nm)を感光体表面に照射
し、これによって下記の通りの電子写真特性が得られ
た。尚、残留電位は露光開始5秒後の値である。
に接続されたコロナチャージャで負極性に帯電させ、次
いで分光された単色光(650nm)を感光体表面に照射
し、これによって下記の通りの電子写真特性が得られ
た。尚、残留電位は露光開始5秒後の値である。
表面電位……−720V 光感度………0.53cm2erg-1 残留電位……30V この感光体−5.6kVのコロナチャージャによって負極
性に帯電させ、次いで画像露光して磁気ブラシ現像を行
ったところ、画像濃度が高く、高コントラストで良質な
画像が得られた。また、30万回の繰り返しテスト後にお
いてもa−SiC層の剥離が全く生じなくて初期画像の劣
化が見られず、耐久性も良好であることを確認した。然
るに、第1の層領域を形成するに当たって上記NOガスを
導入しなかった場合にはa−SiC層の成膜直後に室温下
にもどすと剥離が生じた。
性に帯電させ、次いで画像露光して磁気ブラシ現像を行
ったところ、画像濃度が高く、高コントラストで良質な
画像が得られた。また、30万回の繰り返しテスト後にお
いてもa−SiC層の剥離が全く生じなくて初期画像の劣
化が見られず、耐久性も良好であることを確認した。然
るに、第1の層領域を形成するに当たって上記NOガスを
導入しなかった場合にはa−SiC層の成膜直後に室温下
にもどすと剥離が生じた。
(例6) 本発明電子写真感光体の他の例を(例5)と同様に製
作した。
作した。
その製作条件は第2表に示す通りであり、電子写真特
性は下記の通りになった。
性は下記の通りになった。
表面電位……−680V 光感度……0.63cm2erg-1 残留電位……30V また、耐久試験の結果は(第5)と同じであった。
(例7) 本例においては、(例6)のうちNOガスの流量並びに
第1の層領域の厚みを幾通りにも変えた場合、或いは基
板密着用元素含有ガスにO2,N2,CO2を用いた場合につい
て、それ以外の製作条件を(例6)と同一にし、各種感
光体を製作したところ、第3表に示す通りの結果が得ら
れた。
第1の層領域の厚みを幾通りにも変えた場合、或いは基
板密着用元素含有ガスにO2,N2,CO2を用いた場合につい
て、それ以外の製作条件を(例6)と同一にし、各種感
光体を製作したところ、第3表に示す通りの結果が得ら
れた。
第3表中の表面電位、光感度及び残留電位は(例5)
にて述べた測定方法により求めており、また、膜の密着
性評価は◎印、○印、△印及び×印に4区分しており、
◎印は感光体の成膜面に対してナイフでもって傷を付
け、次いでその感光体ドラムを液体窒素のなかに浸漬す
るという試験を行ったところ、このような過酷試験を行
ってもクラックが生じない場合であり、○印は上記過酷
試験を行えばクラックが生じるが、その傷が付けられた
感光体ドラムを自然放置し、経時変化を追っても何ら剥
離が進行しない場合であり、△印はナイフでもって傷が
付けられた感光体ドラムを放置しても剥離が進行しない
が、この感光体ドラムを水中へ浸漬すると剥離が生じた
場合であり、×印はナイフでもって傷が付けられた感光
体、もしくはこの傷が付けられていない感光体であって
も自然放置すると剥離現象が徐々に生じた場合である。
更に感光体ドラムを複写機に搭載して実用評価テストを
行ったところ、◎印は30万枚の耐刷試験を行っても何ら
ピンホールが生じなかった場合に相当し、△印はこの耐
刷試験において約5万枚でピンホールが生じた場合に相
当する。
にて述べた測定方法により求めており、また、膜の密着
性評価は◎印、○印、△印及び×印に4区分しており、
◎印は感光体の成膜面に対してナイフでもって傷を付
け、次いでその感光体ドラムを液体窒素のなかに浸漬す
るという試験を行ったところ、このような過酷試験を行
ってもクラックが生じない場合であり、○印は上記過酷
試験を行えばクラックが生じるが、その傷が付けられた
感光体ドラムを自然放置し、経時変化を追っても何ら剥
離が進行しない場合であり、△印はナイフでもって傷が
付けられた感光体ドラムを放置しても剥離が進行しない
が、この感光体ドラムを水中へ浸漬すると剥離が生じた
場合であり、×印はナイフでもって傷が付けられた感光
体、もしくはこの傷が付けられていない感光体であって
も自然放置すると剥離現象が徐々に生じた場合である。
更に感光体ドラムを複写機に搭載して実用評価テストを
行ったところ、◎印は30万枚の耐刷試験を行っても何ら
ピンホールが生じなかった場合に相当し、△印はこの耐
刷試験において約5万枚でピンホールが生じた場合に相
当する。
第3表より明かな通り、感光体B,C,D,E,H,I,J,M,N,O,
Qにおいては密着性に優れており、そして、表面電位が
高く、残留電位が小さいことが判る。
Qにおいては密着性に優れており、そして、表面電位が
高く、残留電位が小さいことが判る。
然るに感光体A,G,Lにおいては基板密着用元素の含有
量が著しく少なくなっており、そのために密着性に劣
り、そして、表面電位が小さくなっている。
量が著しく少なくなっており、そのために密着性に劣
り、そして、表面電位が小さくなっている。
また感光体F,K,Pにおいては基板密着用元素の含有量
が多過ぎ、これによって残留電位が際立って高くなって
いる。
が多過ぎ、これによって残留電位が際立って高くなって
いる。
(例8) 本例においては第1の態様の感光体を第4表に示す条
件で製作し、これによって下記の電子写真特性が得られ
た。
件で製作し、これによって下記の電子写真特性が得られ
た。
表面電位……−720V 光感度……0.65cm2erg-1 残留電位……25V 次に(例5)と同様に30万回の繰り返しテスト後にお
いてもa−SiC層の剥離が全く生じなくて初期画像の劣
化が見られず、耐久性も良好であることを確認した。然
るに、第1の層領域を形成するに当たってNOガスを導入
しなかった場合にはa−SiC層の成膜直後に室温下にも
どすと剥離が生じた。
いてもa−SiC層の剥離が全く生じなくて初期画像の劣
化が見られず、耐久性も良好であることを確認した。然
るに、第1の層領域を形成するに当たってNOガスを導入
しなかった場合にはa−SiC層の成膜直後に室温下にも
どすと剥離が生じた。
(例9) 本例においては第2の態様の感光体を第5表に示す条
件で製作し、これによって下記の電子写真特性が得られ
た。
件で製作し、これによって下記の電子写真特性が得られ
た。
表面電位……−790V 光感度……0.65cm2erg-1 残留電位……30V また、耐久性試験については(例5)と同様に30万回
の繰り返し試験を行ったところ、(例8)と同じ結果が
得られた。然るにNOガスを導入しなかった場合には成膜
直後に室温下にもどすと剥離が生じた。
の繰り返し試験を行ったところ、(例8)と同じ結果が
得られた。然るにNOガスを導入しなかった場合には成膜
直後に室温下にもどすと剥離が生じた。
更に、この感光体の表面電位、暗減衰及び光減衰のそ
れぞれの特性を(例5)と同様に測定したところ、第37
図に示す通りの結果が得られた。図中、h,iはそれぞれ
暗減衰曲線及び光減衰曲線である。
れぞれの特性を(例5)と同様に測定したところ、第37
図に示す通りの結果が得られた。図中、h,iはそれぞれ
暗減衰曲線及び光減衰曲線である。
第37図より明らかな通り、表面電位が約−790Vと著し
く大きくなっており、暗減衰も5秒後で24%程度であっ
て電荷保持能力に優れている。
く大きくなっており、暗減衰も5秒後で24%程度であっ
て電荷保持能力に優れている。
(例10) 本例においては第3の態様の感光体を第6表に示す条
件で製作し、これによって下記の電子写真特性が得られ
た。
件で製作し、これによって下記の電子写真特性が得られ
た。
表面電位……−830V 光感度……0.63cm2erg-1 残留電位……40V また、耐久性試験については(例5)と同様に30万回
の繰り返し試験を行ったところ、(例8)と同じ結果が
得られたが、NOガスを導入しなかった場合には成膜直後
に室温下にもどすと剥離が生じた。
の繰り返し試験を行ったところ、(例8)と同じ結果が
得られたが、NOガスを導入しなかった場合には成膜直後
に室温下にもどすと剥離が生じた。
(例11) 本例においては、第32図に示したグロー放電分解装置
を用いて下記の製造条件によって成膜速度を測定したと
ころ、第38図に示す通りの結果が得られた。
を用いて下記の製造条件によって成膜速度を測定したと
ころ、第38図に示す通りの結果が得られた。
製造条件 高周波電力……150W ガス圧力………0.45Torr 基板温度………300℃ SiH4ガス流量……100sccm H2ガス流量……300sccm 第38図中○印は測定結果のプロットであり、jはその
特性曲線である。
特性曲線である。
38図より明らかな通り、C2H2ガスの含有比率が大きく
なるのに伴って成膜速度が大きくなっており、約5〜13
μm/時の成膜速度となった。
なるのに伴って成膜速度が大きくなっており、約5〜13
μm/時の成膜速度となった。
(例12) 本例においては、(例11)と同一の製造条件によって
C2H2ガスの含有比率を変えながら膜中の水素含有量を追
ったところ、第39図に示す通りの結果が得られた。
C2H2ガスの含有比率を変えながら膜中の水素含有量を追
ったところ、第39図に示す通りの結果が得られた。
第39図中、○印及び●印はそれぞれSi及びCと結合し
たHの結合量を示すプロットであり、k,lはそれぞれの
特性曲線である。
たHの結合量を示すプロットであり、k,lはそれぞれの
特性曲線である。
第39図より明らかな通り、C2H2ガスの含有比率が大き
くなるのに伴ってC−H結合が増大すると共にSi−H結
合が減少することが判る。
くなるのに伴ってC−H結合が増大すると共にSi−H結
合が減少することが判る。
以上の通り、本発明の電子写真感光体によれば、全層
に亘って光導電性を有するa−SiCが高い暗抵抗率とな
り、且つ光感度特性にも優れていることによって実質上
表面保護層及びキャリア注入阻止層を不要とすることが
でき、その結果、光導電性a−SiC層だけから成る電子
写真感光体が提供できる。
に亘って光導電性を有するa−SiCが高い暗抵抗率とな
り、且つ光感度特性にも優れていることによって実質上
表面保護層及びキャリア注入阻止層を不要とすることが
でき、その結果、光導電性a−SiC層だけから成る電子
写真感光体が提供できる。
また本発明の電子写真感光体によれば、基板と対面す
る領域に酸素及び/又は窒素をドーピングしており、こ
れによって基板に対する密着性が向上し、その結果、耐
久性が大きくなった長期信頼性の高い電子写真感光体が
提供される。そして、これに伴って基板側からのキャリ
アの注入を阻止する作用が大きくなり、それによって表
面電位が大きくなるという利点も有する。
る領域に酸素及び/又は窒素をドーピングしており、こ
れによって基板に対する密着性が向上し、その結果、耐
久性が大きくなった長期信頼性の高い電子写真感光体が
提供される。そして、これに伴って基板側からのキャリ
アの注入を阻止する作用が大きくなり、それによって表
面電位が大きくなるという利点も有する。
更に本発明の電子写真感光体によれば、層厚方向に亘
って炭素及びVa族元素の含有量を変えることによって表
面電位を向上させると共に光感度特性を高め、且つ残留
電位を顕著に小さくすることができる。特に、炭素の含
有量を層厚方向に亘って変えると、抵抗率が制御されて
所要の層領域が得られ、その結果、格段に高性能な電子
写真感光体が提供できる。
って炭素及びVa族元素の含有量を変えることによって表
面電位を向上させると共に光感度特性を高め、且つ残留
電位を顕著に小さくすることができる。特に、炭素の含
有量を層厚方向に亘って変えると、抵抗率が制御されて
所要の層領域が得られ、その結果、格段に高性能な電子
写真感光体が提供できる。
また本発明によれば、負極性に有利に帯電することが
できる負極性用電子写真感光体が提供できる。
できる負極性用電子写真感光体が提供できる。
更に、従来のa−Si感光体を長期間に亘って使用した
場合にはコロナ放電に伴って感光体の局所的な放電破壊
が発生し易くなり、これに起因して画像に斑点が生じる
という問題があったが、本発明によれば、a−Siの誘電
率がε=12であるのに対してa−SiCはε=7と約半分
程度であるために帯電能に優れており、これにより、表
面電位を高くしても何ら上記の放電破壊が発生しなくな
り、その結果、高品質且つ高信頼性の電子写真感光体が
提供される。
場合にはコロナ放電に伴って感光体の局所的な放電破壊
が発生し易くなり、これに起因して画像に斑点が生じる
という問題があったが、本発明によれば、a−Siの誘電
率がε=12であるのに対してa−SiCはε=7と約半分
程度であるために帯電能に優れており、これにより、表
面電位を高くしても何ら上記の放電破壊が発生しなくな
り、その結果、高品質且つ高信頼性の電子写真感光体が
提供される。
また、本発明の電子写真感光体によれば、それ自体で
帯電能及び耐環境性に優れていることから、特に保護層
を設ける必要がなく、例えばコロナ放電による被爆或い
は現像剤の樹脂成分の感光体表面へのフィルミング等に
よって表面が劣化した場合、その劣化した表面を研摩剤
等で研摩再生を繰り返し行ってもその研摩量において制
限を受けず感光体の初期特性を維持することができ、そ
れによって初期における良好な画像を長期に亘り安定し
て供給することが可能となる。
帯電能及び耐環境性に優れていることから、特に保護層
を設ける必要がなく、例えばコロナ放電による被爆或い
は現像剤の樹脂成分の感光体表面へのフィルミング等に
よって表面が劣化した場合、その劣化した表面を研摩剤
等で研摩再生を繰り返し行ってもその研摩量において制
限を受けず感光体の初期特性を維持することができ、そ
れによって初期における良好な画像を長期に亘り安定し
て供給することが可能となる。
更に本発明の電子写真感光体を、従来のa−Si感光体
と比較した場合、このa−Si感光体の問題点として耐湿
性に劣っているので画像流れが生じ易く、また、帯電能
に劣っているのでゴースト現象が発生するが、これを解
決するためにa−Si感光体の使用時にヒータを用いてそ
の感光体を加熱し、その発生を防止している。これに対
して本発明の電子写真感光体は耐湿性且つ帯電能に優れ
ているために上記のようにヒータを用いて使用する必要
はないという長所がある。
と比較した場合、このa−Si感光体の問題点として耐湿
性に劣っているので画像流れが生じ易く、また、帯電能
に劣っているのでゴースト現象が発生するが、これを解
決するためにa−Si感光体の使用時にヒータを用いてそ
の感光体を加熱し、その発生を防止している。これに対
して本発明の電子写真感光体は耐湿性且つ帯電能に優れ
ているために上記のようにヒータを用いて使用する必要
はないという長所がある。
また、本発明の電子写真感光体はa−Si感光体と比べ
て炭素の含有量を変えるだけで幅広い分光感度特性(ピ
ーク600〜700nm)が得られると共に光感度自体を増大さ
せることができ、更に必要に応じて不純物元素をドーピ
ングすれば長波長側の増感も可能になるといる利点があ
る。
て炭素の含有量を変えるだけで幅広い分光感度特性(ピ
ーク600〜700nm)が得られると共に光感度自体を増大さ
せることができ、更に必要に応じて不純物元素をドーピ
ングすれば長波長側の増感も可能になるといる利点があ
る。
【図面の簡単な説明】 第1図は本発明の電子写真感光体の層構成を示す説明
図、第2図は従来の電子写真感光体の層構造を示す説明
図、第3図、第4図、第5図、第6図、第7図、第8
図、第9図及び第10図は本発明に係る電子写真感光体の
第1の層領域の基板密着用元素含有量を示す説明図、第
11図、第12図、第13図、第14図、第15図及び第16図は本
発明電子写真感光体の炭素含有量を示す説明図、第17図
は第1の態様の感光体の層領域を示す説明図、第18図、
第19図、第20図、第21図、第22図及び第23図は第1の態
様の感光体の炭素含有量を示す説明図、第24図は第2の
態様の感光体の層領域を示す説明図、第25図、第26図、
第27図及び第28図はそれぞれ第2の態様の感光体の炭素
含有量を示す説明図、第29図は第3の態様の感光体の層
領域を示す説明図、第30図及び第31図は第3の態様の感
光体の炭素含有量を示す説明図、第32図は本発明の実施
例に用いられる容量結合型グロー放電分解装置の説明
図、第33図はC2H2ガスの流量比率に対する導電率を示す
線図、第34図はPH3ガス及びB2H6ガスのそれぞれの流量
比率に対する導電率を示す線図、第35図はアモルファス
シリコンカーバイド層の分光感度特性を示す線図、第36
図はアモルファスシリコンカーバイド層の暗減衰及び光
減衰を示す線図、第37図は第2の態様のアモルファスシ
リコンカーバイド層の暗減衰及び光減衰を示す線図、第
38図はC2H2ガスの流量比率に対する成膜速度を示す線
図、第39図はC2H2ガスの流量比率に対する水素原子の結
合比率を示す線図である。 1……基板 5,5a,5b,……光導電性アモルファスシリコンカーバイド
層 6……第1の層領域 7……第2の層領域 10……第3の層領域 11……第4の層領域 12……アモルファスシリコンカーバイド表面保護層
図、第2図は従来の電子写真感光体の層構造を示す説明
図、第3図、第4図、第5図、第6図、第7図、第8
図、第9図及び第10図は本発明に係る電子写真感光体の
第1の層領域の基板密着用元素含有量を示す説明図、第
11図、第12図、第13図、第14図、第15図及び第16図は本
発明電子写真感光体の炭素含有量を示す説明図、第17図
は第1の態様の感光体の層領域を示す説明図、第18図、
第19図、第20図、第21図、第22図及び第23図は第1の態
様の感光体の炭素含有量を示す説明図、第24図は第2の
態様の感光体の層領域を示す説明図、第25図、第26図、
第27図及び第28図はそれぞれ第2の態様の感光体の炭素
含有量を示す説明図、第29図は第3の態様の感光体の層
領域を示す説明図、第30図及び第31図は第3の態様の感
光体の炭素含有量を示す説明図、第32図は本発明の実施
例に用いられる容量結合型グロー放電分解装置の説明
図、第33図はC2H2ガスの流量比率に対する導電率を示す
線図、第34図はPH3ガス及びB2H6ガスのそれぞれの流量
比率に対する導電率を示す線図、第35図はアモルファス
シリコンカーバイド層の分光感度特性を示す線図、第36
図はアモルファスシリコンカーバイド層の暗減衰及び光
減衰を示す線図、第37図は第2の態様のアモルファスシ
リコンカーバイド層の暗減衰及び光減衰を示す線図、第
38図はC2H2ガスの流量比率に対する成膜速度を示す線
図、第39図はC2H2ガスの流量比率に対する水素原子の結
合比率を示す線図である。 1……基板 5,5a,5b,……光導電性アモルファスシリコンカーバイド
層 6……第1の層領域 7……第2の層領域 10……第3の層領域 11……第4の層領域 12……アモルファスシリコンカーバイド表面保護層
フロントページの続き (72)発明者 竹村 仁志 八日市市蛇溝町長谷野1166番地の6 京 セラ株式会社滋賀八日市工場内 (72)発明者 渡辺 暁 八日市市蛇溝町長谷野1166番地の6 京 セラ株式会社滋賀八日市工場内 (72)発明者 石櫃 鴻吉 八日市市蛇溝町長谷野1166番地の6 京 セラ株式会社滋賀八日市工場内 (56)参考文献 特開 昭61−100759(JP,A) 特開 昭59−224847(JP,A) 特開 昭58−219560(JP,A) 特開 昭57−119357(JP,A) 特開 昭62−115457(JP,A) 特開 昭58−156947(JP,A)
Claims (1)
- 【請求項1】基板上に、酸素又は窒素のうち少なくとも
1種を0.01乃至60原子%と周期律表第Va族元素とを含有
する光導電性のアモルファスシリコンカーバイドからな
る厚み0.1乃至5μmの第1層と、周期律表第Va族元素
の含有量が第1層に比べて少ない10,000ppm以下(ただ
し0を含む)の光導電性のアモルファスシリコンカーバ
イドからなる第2層とを順次積層してなる電子写真感光
体。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP62106760A JP2657490B2 (ja) | 1986-09-29 | 1987-04-30 | 電子写真感光体 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP23303986 | 1986-09-29 | ||
JP61-233039 | 1986-09-29 | ||
JP62106760A JP2657490B2 (ja) | 1986-09-29 | 1987-04-30 | 電子写真感光体 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPS63294568A JPS63294568A (ja) | 1988-12-01 |
JP2657490B2 true JP2657490B2 (ja) | 1997-09-24 |
Family
ID=26446864
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP62106760A Expired - Fee Related JP2657490B2 (ja) | 1986-09-29 | 1987-04-30 | 電子写真感光体 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2657490B2 (ja) |
Family Cites Families (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS59224847A (ja) * | 1983-06-03 | 1984-12-17 | Minolta Camera Co Ltd | 感光体 |
AU549925B2 (en) * | 1983-11-28 | 1986-02-20 | Nitsuko Ltd. | Automatic telephone hold releasing circuit |
-
1987
- 1987-04-30 JP JP62106760A patent/JP2657490B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPS63294568A (ja) | 1988-12-01 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |