JP2655976B2 - 発泡セラミック板およびその製法 - Google Patents

発泡セラミック板およびその製法

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JP2655976B2 JP25819092A JP25819092A JP2655976B2 JP 2655976 B2 JP2655976 B2 JP 2655976B2 JP 25819092 A JP25819092 A JP 25819092A JP 25819092 A JP25819092 A JP 25819092A JP 2655976 B2 JP2655976 B2 JP 2655976B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は発泡セラミック板および
その製法に関する。さらに詳しくは、多種多様のデザイ
ンを簡単に現出させることができる発泡セラミック板お
よびその製法に関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】従来
より、無機質で軽量の大型建材の開発が行なわれてお
り、その表面の化粧方法としては、発泡性着色化粧原
料、釉薬などを粒状にして、えられた粒状物を無機質発
泡性原料からなる基層の上に積層し、それを同時に焼成
して一体化することが行なわれている。
【0003】しかしながらこの様な方法では、粒状の多
色デザインしかえられず、自然石などの細密なデザイン
や粒状以外のデザインをうることはできなかった。この
ように、従来の大型軽量セラミック板の表面意匠は粒状
の多色デザインに限られていたため、建材としての多用
性にも限界があった。
【0004】本発明は、叙上の事情に鑑み、従来技術の
欠点である意匠の限界を解消し、自然石模様など多種多
様のデザインを簡単にうることができる発泡セラミック
板および製法を提供することを目的とする。すなわち、
無機質繊維製の布に釉薬をコーティングしたり、印刷を
施したり、また任意の形に切断して無機質発泡原料から
なる基層の上に積層し、同時焼成して一体化することに
より、多様性のあるデザインを有する発泡セラミック板
およびその製法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の発泡セラミック
板は、少なくとも無機質発泡層を有する板状の基層の片
面または両面に、無機繊維製の布からなる布層が溶着さ
れてなることを特徴としている。また、本発明の発泡セ
ラミック板の製法は、加熱により発泡する無機質発泡原
料からなる基層の片面または両面に無機繊維製の布を重
ね、これを焼成して前記基層の発泡原料を発泡させなが
ら前記布と溶着させることを特徴としている。
【0006】
【作用】本発明の発泡セラミック板は、粉末のまたは造
粒された無機質発泡原料層の片面または両面に、釉薬を
コーティングしたり、印刷を施したり、または任意の形
に切断した無機質繊維製の布を積層し、同時に焼成して
溶化一体化させることによりえられる。
【0007】このため、無機質発泡原料層の片面または
両面の無機質繊維製の布も溶融して表皮層を形成する。
無機質繊維製の布は無機質発泡原料との融和性が良く、
デザイン性に優れた表皮層を形成する。
【0008】また、無機繊維製の布に釉薬がコーティン
グされているばあいは、前記布がガラス層で覆われるの
で、硬く、耐汚れ性などの性能に優れた表皮層となる。
【0009】さらに、ガラス層を無機繊維製の布の上に
積層すると、深みがあり、表面硬度があり、耐汚染性に
優れ、かつ意匠性に富んだ発泡セラミック板がえられ
る。
【0010】さらに意匠性を高めるために、印刷用イン
ク、釉薬などに紫外線を受けて発光する螢光原料や蓄光
原料を充填し、これを無機繊維にコーティングしたり、
また直接、螢光原料や蓄光原料をバインダーで接着した
無機繊維を用いると、非常に表情の豊かな趣きのある発
泡セラミック板となる。
【0011】また、無機質発泡原料層に調湿材を積層
し、さらにその上に連通気孔を有する層および無機繊維
製の布をこの順に積層したものを同時焼成して溶化一体
化させると、調湿機能を有する発泡セラミック板がえら
れる。
【0012】
【実施例】本発明において用いられる無機質発泡原料
は、抗火石などの火山岩、シラスなどの火山灰、長石、
粘土、ガラス粉などを主成分とし、これに必要に応じて
ソーダ灰のような発泡温度調整材やドロマイト、炭化ケ
イ素などの発泡剤を加えたものであって、加熱すると発
泡する性質を有する原料である。
【0013】この無機質発泡原料は粉末状でも造粒物状
でもよいが、造粒したもののほうが、大きなサイズの発
泡板のばあい、加熱収縮によるクラックの発泡による埋
め戻し効果が大きいので好ましい。
【0014】造粒物は、ロールによる造粒方法、押出式
造粒方法、回転円板型式造粒方法など各種の造粒方法に
よりうることができる。造粒物の大きさは、本発明にお
いてとくに限定されないが、直径0.5 〜3mm程度のもの
が好ましい。
【0015】また、本発明における無機質繊維の布とし
ては、ガラスクロス、アルミナ布、ロックウール布など
を用いることができる。無機質繊維の軟化温度は、とく
に限定されるものではなく、無機質発泡原料との接着性
(溶化一体化すること)または釉薬類もしくは発泡性釉
薬類との接着性を考慮して選定すればよい。このばあい
に、無機質繊維に釉薬をコーティングしておくと、無機
質発泡原料との接着性が高められる効果がえられる。ま
た、無機質繊維製の布に着色を施しておけば、さらにデ
ザイン性に富んだセラミック板がえられ、好ましい。ま
た、布の編み方を変えることによって一層デザイン性を
向上させることができる。
【0016】無機質繊維製の布の上にガラス層を設ける
と、より硬質で平滑性のある汚れにくい表面化粧がえら
れる。ガラスは、一般のガラス類および釉薬を焼成した
ガラスのいずれをも用いることができる。形状は粉末、
粒状および板状のいずれをも用いることができる。な
お、ガラス層を研磨すると、より平滑で高級な仕上りが
えられる。
【0017】前記無機質繊維製の布は基層の全面に積層
してもよいし、部分的に積層してもよい。部分的に積層
するばあいは、布を花柄模様、幾何学模様、動物の模様
などに切りとって、基層上に積層することにより局部的
なデザインをうることができる。
【0018】また、無機質発泡原料層の上に釉薬類また
は発泡性釉薬類を積層し、その上にさらに無機繊維製の
布を積層し、えられた積層体を同時焼成して一体化させ
ると、基層と無機繊維との融合性がさらに良好になる。
【0019】釉薬類としては、通常、陶磁器、瓦、ほう
ろうなどに使用されるものをそのまま使用することがで
きるが、とくに本発明のばあいは、無機質発泡原料の発
泡温度かそれより低い温度で軟化溶融するものを用いる
のが好ましい。
【0020】前記釉薬以外にも、無機質発泡原料の発泡
温度以下の温度で溶融する火山岩、火山灰などの無機材
料またはこれに顔料を加えたものなど、釉薬と同じよう
な作用をするものを用いることができ、本明細書におけ
る「釉薬類」とはこれらのすべてを含む概念である。た
とえば、前記無機質発泡原料から発泡剤を除いたもの
や、これに炭酸ソーダやホウ砂などの軟化温度を低下さ
せるものを加えたものや、これに顔料を加えたものなど
が使用できる。
【0021】また、発泡性釉薬としては前記釉薬類に発
泡剤を加えたものを用いることができる。
【0022】釉薬類および発泡性釉薬類の軟化温度は無
機質発泡原料の発泡温度と等しいかもしくは低い(発泡
温度より0〜300 ℃低い)ものがとくに好ましい。ま
た、体積膨張係数としては、無機質発泡原料のそれとほ
ぼ等しいかまたは小さいのが好ましい。
【0023】前述した無機質発泡原料、釉薬類、発泡釉
薬類、無機繊維製布などの積層の方法としては、メッシ
ュベルト上に順次積層してもよいし、型枠内に積層して
もよいし、また無機質発泡原料をプレス成形したものの
上に積層してもよく、これら積層体を焼成炉の中で焼成
することで一体化が可能である。
【0024】無機質発泡原料、釉薬類および発泡性釉薬
類を粉末から造粒物へ造粒する際し用いるバインダーと
しては、メチルセルロース、糖蜜、水ガラスなどをあげ
ることができ、有機物または無機物のいずれであっても
よい。ただし、有機物が発泡に影響を及ぼすばあいに
は、水ガラスなどの無機質のバインダーを用いるのが好
ましい。
【0025】造粒後に造粒物を乾燥してもよいし乾燥し
なくてもよいが、化粧に用いる造粒物のばあいは、粒に
着色粉をコーティングしたばあい、乾燥しておくと着色
粉の脱落による色ムラが生じるため乾燥しない粒を用い
る方がよい。造粒物の含水率は5%以上が良好であり、
さらに10〜25%であれば粉の脱落がなく色が安定する。
【0026】つぎに本発明の発泡セラミック板の製法に
ついて図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0027】図1は本発明の発泡セラミック板の製造装
置の断面説明図である。
【0028】図1においてAはセラミック発泡板製造装
置である。この装置Aは、メッシュベルトからなるコン
ベア1が走行する際に離型剤塗布装置2により、コンベ
ア表面に離型剤3が塗布される。離型剤3としては、酸
化アルミニウム粉末、水酸化アルミニウム粉末、ケイ砂
粉末、炭酸カルシウム粉末、粘土粉末などを用いること
ができる。
【0029】コンベア1の上方には、無機質発泡原料ホ
ッパー4、釉薬類または発泡性釉薬類原料ホッパー5、
無機繊維製布セッティング装置6、およびガラス原料ホ
ッパー7が配置されている。
【0030】ホッパー4からは粉末状のまたは造粒した
無機質発泡原料8が、またホッパー5からは粉末状のま
たは造粒した釉薬類または発泡性釉薬原料9が、またホ
ッパー7からは粉末状のまたは造粒したまたは破砕され
たガラス10が順次落下し、それぞれ適当な厚さで均一に
なるよう供給される。
【0031】無機繊維製布11は釉薬類または発泡性釉薬
類原料9の上かまたはガラス原料10の上に載置される。
なお、必要に応じて、釉薬類または発泡性釉薬原料9お
よび(または)ガラス原料10は削除してもよい。
【0032】また、コンベア1の上にガラス原料10、無
機繊維製布12、釉薬類または発泡性釉薬類原料9、およ
び無機質発泡原料8の順に積層し、同時焼成して溶化一
体化してもよい。
【0033】また上面および下面の両方に無機繊維製布
11を積層し、表裏化粧仕上げをした発泡セラミック板の
製造も可能である。
【0034】なお、型枠内に積層するばあいは、図2に
示されるように型枠12に離型剤を塗布し、ガラス原料1
0、無機繊維製布11、釉薬類または発泡性釉薬類原料
9、および無機質発泡原料8を順次積層し、焼成炉で同
時焼成して、溶化一体化することにより発泡セラミック
板がえられる。前記ガラス原料10〜無機質発泡原料8ま
での積層順序は全く逆であってもよいし、また無機質発
泡原料8の両面にガラス原料10、無機繊維製布11および
釉薬類または発泡性釉薬類原料9をこの順にそれぞれ積
層してもよい。さらに用途に応じてガラス原料10および
釉薬類または発泡性釉薬類原料9を削除してもよい。
【0035】なお、粉体状の無機質発泡原料8をプレス
成形により成形物とし、この成形物の上に残りの原料を
積層し同時焼成して溶化一体化してもよい。
【0036】前述のごとく積層された積層体を載せたコ
ンベア1は、順次、予熱帯13、焼成帯14、徐冷帯15およ
び冷却帯16を通り、同時焼成により一体化された発泡セ
ラミックをうることができる。
【0037】なお、焼成帯14の出口付近にロール17を設
けておき、このロール17で発泡セラミック板の表面を押
圧すると、平滑性および所望の模様がえられ、よりデザ
イン性が向上する。
【0038】つぎに実施例に基づき本発明の発泡セラミ
ック板および製法を説明するが本発明はもとよりかかる
実施例にのみ限定されるものではない。
【0039】実施例1基層原料の調製 馬頭クレー61.6%(重量%、以下同様)、三立クレー2
0.2%、粉末水ガラス(3号)5.0 %、ソーダ灰3.0 %
およびSiC0.4 %からなる配合原料をスチールボール
とともに1ton ミルに入れ12時間混合粉砕した。粉末は
325 メッシュ96%全通であった。この原料粉末にケルザ
ン(商品名、大日本製薬(株)製発酵多糖類)をバイン
ダーとして噴霧しながら、パン型造粒機にて転動させ、
篩にて粒径1〜3mmの造粒物をえた。これをロータリー
キルーにて含水率が2%以下となるように乾燥して基層
原料とした。
【0040】化粧クロス(無機繊維製布)の調製 KS-1220 (商品名、鐘紡(株)製ガラス布)に釉薬をス
プレーにて布の目が詰まる程度に塗布し、乾燥させ、ガ
ラス布釉薬シートを作成した。釉薬の調合は、無鉛透明
フリット3909(日本フェロー(株)製)100 %に対し、
外割で水20%とエチレングリコール30%を混合し、泥漿
スプレー液をえた。乾燥は、温風乾燥機にて80℃で30分
間行なった。
【0041】積層および焼成 造粒した基層原料を図1に示されるホッパー4に入れ
た。また、ガラス布釉薬シートはロール状にセッティン
グした(図1の6参照)。
【0042】ホッパー4によりコンベア1上に基層原料
を厚さ15mmとなるように均一に供給し、その上にガラス
布釉薬シートを積層した。
【0043】これを予熱帯13から焼成帯14にコンベア1
にて搬送し、ガラス布と基層原料とを同時焼成し、溶融
発泡一体化を同時に行なった。ついで徐冷帯15、冷却帯
16へとさらに搬送し、釉薬仕上げ発泡セラミック板をえ
た。
【0044】えられた発泡セラミック板の表面はエンボ
スのある美しい釉薬の仕上げであり、非常に表面硬度の
高いものであった。セラミック板の巾は900 mmで長さは
連続で長尺の製品がえられた。厚さは15mmで比重は0.75
であり、釉薬表皮層を有する美しいセラミック発泡板で
あった。
【0045】実施例2基層原料の調製 酸性白土63%、ソーダ灰10%、硝酸ソーダ4%、ジルコ
ンフラワー10%、ZnO3%および粉末水ガラス10%か
らなる配合原料をスチールボールとともに1ton ミルに
入れ6時間混合粉砕した。粉末は325 メッシュパス96%
全通であった。この原料粉末に水15%を加え、ニーダー
で混練した。えられた混練物を直径1.5mmの多数の孔を
有する押出式造粒機にて造粒したのち、ロータリーキル
ンにて含水量が2%以下となるように乾燥して基層原料
とした。
【0046】化粧層原料の調製 1121無鉛透明フリット(日本フェロー(株)製)25%、
FA-803ジルコン乳白フリット(日本フェロー(株)製)
50%、ガラス粉20%および水簸粘土5%からなる配合原
料をアルミナボールとともに1ton ミルに入れ12時間混
合粉砕した。粉末は325 メッシュ96%全通であった。こ
の原料粉末に水15%を加え、ニーダーで混練した。えら
れた混練物をディスクペレタイザー(不二パウダエル
(株)製)にて押出し造粒した。ついで、マルメライザ
ー(不二パウダエル(株)製)にえられた造粒物を入
れ、遠心回転させながら化粧粉を20%投入し、化粧造粒
物をえた。
【0047】化粧クロスの調製 実施例1と同様にして調製した。
【0048】積層および焼成 基層原料、化粧原料およびガラス布の順にチャージし、
実施例1と同様にして同時焼成し、溶化一体化を行なっ
た。
【0049】えられた発泡セラミック板は平滑性があ
り、スプレー模様でゆず肌状の非常に表面硬度の高いも
のであった。セラミック板の巾は900 mmで長さは連続で
長尺の製品がえられた。厚さは15mmで比重は1.00であ
り、釉薬表皮層を有する美しいセラミック板であった。
【0050】実施例3基層原料の調製 実施例2と同様にして調製した。
【0051】化粧層原料の調製 実施例2と同様にして調製した。
【0052】化粧クロスの調製 実施例2で用いた化粧層用配合原料100 %に、外割り
で、M-3 色素(日陶産業(株)製)4.5 %、J-24色素
(日陶産業(株)製)1.5 %およびCMC1%液70%を
加えたものをポットミルにて60分混合し、ガラス布用泥
漿液をえた。
【0053】鐘紡(株)製のガラス布(線径0.2 mm、目
開き1.5 mm)を飛鳥の形に切断し、これに前記泥漿液を
両面に噴霧し、乾燥させた。
【0054】積層および焼成 厚さ11mmとなるように基層原料を均一にチャージした上
に化粧層原料を厚さ5mmとなるようにチャージした。こ
の上に前記飛鳥形状のガラス布を適当に部分的に載置
し、実施例1と同様にして同時焼成して、溶化一体化さ
せた。
【0055】えられた発泡セラミック板は巾900 mm、長
さ1800mmであり、基層は発泡の細かい小孔の揃った発泡
体であり、その中央にはラス網を埋設しておいた。表面
の化粧層はホワイトアイボリーであり、緻密なガラス層
が発泡基層と溶化一体化していた。飛鳥を形どったガラ
ス布は、オレンジ色の布目となり化粧層と融着一体化し
て、デザイン性に富み、布目があらわれて暖かみのある
軽量大型セラミック板となった。
【0056】実施例4 実施例1で用いたガラス布釉薬シート上に実施例2で用
いた基層原料を厚さ18mmとなるように均一にチャージ
し、その上にさらに前記ガラス布釉薬シートを積層した
(図3参照)。
【0057】えられた三層構造の積層体を実施例1と同
様にして同時焼成し、溶化一体化させ、発泡セラミック
板をえた。
【0058】えられたセラミック板は裏面は艶消しの釉
薬仕上げで非常に硬度が高く、表面は光沢のある釉薬仕
上げで非常に硬度の高いものであった。厚さは20mmで比
重は1.15であり、表裏とも釉薬表皮層を有する美しいセ
ラミック板であった。
【0059】実施例5基層原料の調製 実施例2と同様にして調製した。
【0060】化粧層原料の調製 実施例2と同様にして調製した。
【0061】ガラス布釉薬シートの調製 孔径0.1 mmのナイロン網をアルミ枠に張り、網に感光乳
剤アゾーフィックスNo.1(栗田化学研究所(株)製)を
塗布した。つぎに印刷柄を色別に分解した陰画紙をつく
り、この陰画紙を感光乳剤が塗られたナイロン網の上に
重ねて、電光にて感光硬化後、水洗すると硬化していな
い乳剤部分は洗浄されて網は開孔となった。
【0062】ついで目の詰まったガラス布(鐘紡(株)
製KS-1220 )の上にスクリーンをセットした。インクは
任意の色の陶磁器上絵絵具(800 〜900 ℃で溶融するも
の)にセラゾール210 (名古屋油化(株)製スキージオ
イル)を加え、練り合わせてクリーム状にしたものを用
いた。このクリーム状の顔料をスクリーンの上にのせ
て、スキージで引けば、顔料はスクリーンを通してガラ
ス布上に転写される。
【0063】各色毎に塗り重ねて希望の色図柄をガラス
布に転写した。乾燥後、折り曲げなどによってガラス布
から顔料が剥離しないように104 セラコート(名古屋油
化(株)製カバーコート)を全面に印刷してガラス布の
印刷を完了した。
【0064】積層および焼成 コンベア上に厚さ15mmとなるように基層原料を均一にチ
ャージし、その上に化粧層原料を厚さ5mmとなるように
均一にチャージした。ついで化粧層原料の上に印刷した
ガラス布釉薬シートを載置し、さらにその上にガラス板
(厚さ1mm×巾900 mm×長さ900 mm)を載置した。
【0065】えられた四層構造の積層体を実施例1と同
様にして同時焼成し、溶化一体化させ、発泡セラミック
板をえた。
【0066】えられた発泡セラミック板は、布がガラス
の下にあり、磨耗性に優れるとともに投光性があり、深
味のある表情であった。
【0067】実施例6 ガラス板に代えて、ガラス粉砕粒(粒径0.5 〜3mm)を
厚さ3mmとなるようにチャージした以外は実施例5と同
様にして発泡セラミック板を製造した。
【0068】えられた発泡セラミック板は、布がガラス
の下にあり、磨耗性に優れるとともに投光性があり、深
味のある表情であった。
【0069】実施例7 ガラス板に代えて、ガラス粉末(粒径0.5 mm以下)を厚
さ3mmとなるようにチャージした以外は実施例5と同様
にして発泡セラミック板を製造した。
【0070】えられた発泡セラミック板は、布がガラス
の下にあり部分的にくもりガラス状で、磨耗性に優れる
とともに投光性があり、深味のある表情であった。
【0071】実施例8基層原料の調製 実施例1と同様にして調製した。
【0072】化粧クロスの調製 実施例1と同様にして調製した。
【0073】調湿粒の調製 活性アルミナ90%につなぎ原料として繊維状形態を有す
るセピオライト10%を加配した原料をポットミルにて2
時間乾式粉砕した。えられた原料粉末をパン型造粒機で
バインダー(廃糖蜜15%液)を噴霧しながら1.0 〜2.5
mmの造粒物をつくり乾燥させて白色の硬い粒状物をえ
た。
【0074】化粧層原料の調製 風化長石をロールクラッシャーに通して粒径が0.5 〜1.
5mm になるように篩を用いて整え、この長石粒にCMC
液を噴霧して粒表面を濡らし、ついでB-1 フリット(カ
サイエ工業(株)製融着剤)をふりかけてコーティング
し、乾燥して化粧原料をえた。
【0075】積層および焼成 コンベア上に基層原料を厚さ15mmとなるように均一にチ
ャージし、その上に前記調湿粒を500 〜1000g/m2
密度でばらまき、ついで化粧原料を厚さが5mmとなるよ
うに積層し、さらにガラス布釉薬シートを載置した。
【0076】えられた四層構造の積層体を実施例1と同
様にして同時焼成し、溶化一体化させ、発泡セラミック
板をえた。
【0077】えられたセラミック板は、布目模様にじゅ
らく仕上風の味のある表情で、摩耗性に優れかつ調湿能
力(木材と同程度)の優れたセラミック板であった。
【0078】実施例9 釉薬に発光釉薬を用いた以外は実施例5と同様にして発
泡セラミック板を製造した。なお、前記発光釉薬は、赤
色蛍光体Y2 3 :Eu(平均粒径2.0 μm)60%、赤
色顔料Fe2 3 10%、下記組成を有する低融点ガラス
(平均粒径5.0μm)15%およびアクリル酸エステルの3
0%タピノール溶液15%を、三本ロールにて混合分散し
てえた。
【0079】・低融点ガラス SiO2 43 % Na2 O 20 % CaO 6 % K2 O 1.0% Al2 3 1.1% MgO 1.3% B2 3 27.6% PbO − 発光釉薬を用いた絵の女像の線が紫外線(ブラックライ
ト)を当てると赤色に光り、昼間は淡いグリーン色をし
た美しい釉薬絵柄仕上げのセラミック板をえた。
【0080】
【発明の効果】以上説明したとおり、本発明の発泡セラ
ミック板は、無機質発泡原料からなる基層の上に無機繊
維布および必要に応じて釉薬類、ガラスを積層したもの
を同時焼成している。そして、発泡、粒または粉の融
着、釉薬類の溶融、無機繊維布の付着およびガラスの溶
融が加熱工程で一段階で行なわれるため、工程が単純化
されかつ経済的に発泡セラミック板をうることができ
る。
【0081】本発明の発泡セラミック板は、住宅の外壁
材、床材、屋根材または断熱材として好適に用いること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の発泡セラミック板の製造装置の断面説
明図である。
【図2】型枠内に原料を積層するばあいの説明図であ
る。
【図3】実施例4において原料を積層する方法の説明図
である。
【符号の説明】
1 メッシュベルト 4 無機質発泡原料ホッパー 5 釉薬類または発泡釉薬類ホッパー 6 無機繊維製布 7 ガラス原料ホッパー 13 予熱帯 14 焼成帯 15 徐冷帯 16 冷却帯
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 堀家 大士 大阪府豊中市新千里西町一丁目1番12号 ナショナル住宅産業株式会社内 (72)発明者 中塚 英和 大阪府豊中市新千里西町一丁目1番12号 ナショナル住宅産業株式会社内 (72)発明者 永井 了 岐阜県土岐市泉町河合228 (72)発明者 永冶 良夫 岐阜県土岐市肥田町肥田702番地の1 (72)発明者 今橋 一夫 東京都調布市つつじケ丘4−23 神代団 地27−402

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも無機質発泡層を有する板状の
    基層の片面または両面に、無機繊維製の布からなる布層
    が溶着されてなることを特徴とする発泡セラミック板。
  2. 【請求項2】 前記基層の一部が調湿機能を備えた無機
    材で構成されてなる請求項1記載の発泡セラミック板。
  3. 【請求項3】 前記布を構成する無機繊維が予め着色さ
    れてなる請求項1または2記載の発泡セラミック板。
  4. 【請求項4】 前記布の表面が無機顔料または釉薬で印
    刷または塗布されてなる請求項1または2記載の発泡セ
    ラミック板。
  5. 【請求項5】 前記布層の外面がガラス層で覆われてな
    る請求項1、2、3または4記載の発泡セラミック板。
  6. 【請求項6】 加熱により発泡する無機質発泡原料から
    なる基層の片面または両面に無機繊維製の布を重ね、こ
    れを焼成して前記基層の発泡原料を発泡させながら前記
    布と溶着させることを特徴とする発泡セラミック板の製
    法。
  7. 【請求項7】 前記基層の一部が調湿機能を備えた無機
    材で構成されてなる請求項6記載の発泡セラミック板の
    製法。
  8. 【請求項8】 前記布を構成する無機繊維が予め着色さ
    れてなる請求項6または7記載の発泡セラミック板の製
    法。
  9. 【請求項9】 前記布の表面が無機顔料または釉薬で印
    刷または塗布されてなる請求項6または7記載の発泡セ
    ラミック板の製法。
  10. 【請求項10】 前記布の外面にガラス層を形成する請
    求項6、7、8または9記載の発泡セラミック板の製
    法。
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