JP2655848B2 - 軽合金成形用工具鋼 - Google Patents

軽合金成形用工具鋼

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JP2655848B2 JP62258720A JP25872087A JP2655848B2 JP 2655848 B2 JP2655848 B2 JP 2655848B2 JP 62258720 A JP62258720 A JP 62258720A JP 25872087 A JP25872087 A JP 25872087A JP 2655848 B2 JP2655848 B2 JP 2655848B2
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【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、アルミ合金など軽合金の押し出し成形等に
用いるダイス鋼の材質に関するものである。
〔従来の技術〕
アルミサッシを代表とする、軽合金の成形は、主に押
し出し成形法が用いられており、このダイスにはSKD61
鋼に窒化処理を施して使用されてきた。
〔発明が解決しようとする問題点〕 SKD61を押し出しダイスとして用いる場合2つの方法
がある。1つは使用者が焼鈍材を荒加工後、焼入れ焼も
どしを行ない、次に仕上加工の後、窒化処理する方法で
ある。もう1つは、鋼材メーカで熱処理済みの調質材を
仕上加工し、窒化処理してそのままダイスとして使用す
る方法である。最近の押し出し材の形状多様化にともな
い、ダイス形状の設計変更の頻度も高くなり、このため
ダイス製造に対しても工程短縮が求められている。この
ような要求に対し、前者のような使用者が加工後熱処理
する工程では、工程短縮は困難であり、また熱処理設備
も必要とすることから、現実的ではない。このため調質
材を仕上加工まで行ない窒化処理後そのまま使用する後
者の方法がとられてきた。この場合、機械加工が可能で
あるためには調質材の硬さはできるだけ低い方が望まし
い。反面ダイス工具としての強度を確保するためには、
高硬度が要求される。これらの相反する要求から、従来
は機械加工性を犠牲にして、HRC40前後の硬さで使用さ
れてきた。しかし、表面は窒化処理により高硬度を有す
るが内部硬さはHRC40前後ではダイス鋼として不十分で
あり、ヘタリが主原因となり、短寿命となっていた。こ
のような背景から、ダイス加工の段階では、被削性をよ
くするために十分硬さが低く、かつ窒化処理において内
部硬さが、十分に硬化する材質が求められていた。
本発明は、このような要求に対してなされたものであ
り、機械加工が容易でありかつ、窒化処理時において、
十分な内部硬さの得られる材質を提供するものである。
〔問題点を解決するための手段〕
本発明は、重量%でC0.12〜0.3%、Si1%以下、Mn1%
以下、Ni1.5%以上4.0%未満、Cr0.8〜3.0%、Mo0.5%
以上2.0%未満、Al0.8〜2.0%を含み、残部Feおよび不
可避的不純物元素からなり、ベイナイト焼入れ性と窒化
処理性に優れることを特徴とする軽合金成形用工具鋼で
ある。本発明の特徴は、窒化処理温度(520〜560℃)に
おいて、炭化物析出による2次硬化と、Ni−Alの金属間
化合物析出による析出強化を利用したところにある。一
般に2次硬化や析出強化を出現させるためには、合金元
素を十分に固溶させるため焼入れ処理や溶体化処理が必
要となる。しかしこれら通常の焼入れや溶体化処理では
マルテンサイト変態による硬化や固溶強化が生じるだけ
でなく、ある程度の焼もどしを行なっても十分な硬度低
下、したがって十分な被削性は望めない。このため本発
明ではベイナイト焼入れを採用し、またこれに適した成
分組成を勘案したものである。ベイナイト焼入れは、オ
ーステナイト化温度から300〜400℃の温度に急冷しこの
温度で恒温変態(ベイナイト化)させるものである。こ
の状態では、硬さが低いにもかかわらず、炭化物や金属
間化合物を析出するに十分な溶質元素は固溶状態で確保
されており、窒化温度において、これらの溶質元素が炭
化物や金属間化合物を析出して十分な硬化をもたらすの
である。
次に各元素の限定理由について述べる。
Cは鋼の強度に必須の元素である。本発明鋼において
は、ベイナイト処理後の低硬度を実現するためにCはよ
り少ない方が望ましいが、CrやMoの炭化物析出による2
次硬化を出現させるためには、少なくとも0.12%以上必
要である。しかし0.3%を越えるとベイナイト処理によ
る硬さがHRC40以下にならないためにCは0.12〜0.3%と
した。
Si,Mnは、通常脱酸剤や脱硫剤として添加されるもの
であり、本発明においては、特に上限のみを規定した。
これは、それぞれ1%を越えてくると熱間の加工性を劣
化させたり、また非金属介在物として鋼中に残存する量
が増し、機械的性質を低下させるために上限をそれぞれ
1%以下とした。
Crは、窒素との親和性が強く、窒化物を形成し窒化層
の強度確保に必須の元素であり、このためには、少なく
とも0.8%以上必要である。しかし3.0%以上になると、
ベイナイト処理を行なっても硬さが低下しにくくなるた
めにCrは0.8〜3.0%とした。
Moは2次硬化の必須元素であり、C量とのバランスか
ら0.5%以上添加しないと効果が得られない。しかし2.0
%以上になるとベイナイト処理後の硬さ低下を困難にす
るためにMoは0.5%以上2.0%未満とした。
Ni,Alは窒化処理温度でNi3Alの金属間化合物を生成
し、微細に析出して高い硬さが得られるため本発明鋼に
おいて重要な元素である。またAlは窒素との親和性が最
も強い元素であり、窒化層中にAlNを微細に析出するこ
とにより、耐摩耗性に寄与する。このため、Ni1.5%、A
l0.8%以上は必要であるがNi4.0%以上,Al2.0%を越え
るとNi3Alの金属間化合物が多量に析出して靭性を低下
させるためにNi1.5%以上4.0%未満,Alは0.8〜2.0%と
した。
以上述べた成分を有する鋼材はベイナイト焼入処理が
施された後需要家に供給される。従って、需要家におい
てはこの鋼材を容易に型加工ができ、しかも窒化処理を
施すと母材も同時に硬化するのでそのまま使用できるた
め、大幅な工程短縮を可能にするだけでなく型の設計変
更に対しても機敏に対応することができる。
〔実施例〕
第1表に示す本発明鋼および比較鋼に用いたSKD61の
性能および使用実績について述べる。
第1図に各供試材の焼もどし硬さを示した。E−1は
SKD61を1000℃から油冷した場合の焼もどし曲線であ
る。この場合、型加工が容易なように約650℃の高温焼
もどしが施され、需要家に供給されるが、すでに軟化域
であり、窒化処理による軟化や、使用中の摩擦による昇
温により型は十分な母材強度を確保することができな
い。E−2はSKD61を1000℃からベイナイト焼入した場
合である。SKD61はC,Cr量が高く、焼入ままの状態でも
十分な低硬度は得られず、また2次硬化の程度も低い。
A〜Dは1000℃から380℃にベイナイト焼入し、この温
度で恒温変態させたものである。焼入ままでHRC40以下
であり、2次硬化(焼もどし時間2時間の場合)におい
てHRC40以上となる。このように需要家に納入された状
態では、機械加工が容易な低硬度を実現している。第2
図は窒化処理を行なった場合の硬さ変化を見るため、上
記各試料を上記と同条件のベイナイト処理後のテストピ
ースを、それぞれ温度540℃で各時間加熱保持したとき
の硬さと保持時間の関係を示したものである。本発明鋼
はNi3Alの析出により、保持時間の経過とともにしだい
に硬化している。これに対しベイナイト焼入したSKD61
(E−2)は、保持時間とともに軟化しているのがわか
る。本発明鋼は、長時間の保持においても硬化の傾向が
見られる。これを実用面からみると型がある程度摩耗し
た場合再研削、再窒化処理して使用しても、型の内部硬
さを維持できることを示している。第2表は、Al押出ダ
イスとして使用した例である。SKD61はCr,Moを含み比較
的高い硬さの窒化層が得られるものの内部硬さが低く、
また使用中に軟化してくるため、型のヘタリにより寿命
となっている。本発明鋼A〜Dは、硬質の窒化層を得る
のに最も有効な元素であるAl,Cr,Moを含有しているた
め、高い窒化層硬さが得られており、しかも内部硬さも
高い値を示している。いずれも6000kgの押出量で異常な
く使用することができる。
〔発明の効果〕 本発明は、従来の軽合金成形用工具鋼において懸案で
あった、型製造工数の短縮と型寿命向上の問題を一度に
解決したものであり、型加工時は低硬度であり、窒化処
理において硬質の窒化層と十分な内部強度が達成できる
のでその工業的意義は大きい。
【図面の簡単な説明】
第1図は、供試材の焼もどし硬さを示すグラフ、 第2図は、供試材を焼入後540℃で保持した場合の時間
と硬さの関係を示すグラフである。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】重量%でC0.12〜0.3%、Si1%以下、Mn1%
    以下、Ni1.5%以上4.0%未満、Cr0.8〜3.0%、Mo0.5%
    以上2.0%未満、Al0.8〜2.0%を含み、残部Feおよび不
    可避的不純物元素からなり、ベイナイト焼入れ性と窒化
    処理性に優れることを特徴とする軽合金成形用工具鋼。
JP62258720A 1987-10-14 1987-10-14 軽合金成形用工具鋼 Expired - Lifetime JP2655848B2 (ja)

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