JP2655821B2 - 一方向電気伝導性ケイ素系プラズマ重合膜及びその製造方法 - Google Patents

一方向電気伝導性ケイ素系プラズマ重合膜及びその製造方法

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【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、一方向性電気伝導性ケ
イ素系プラズマ重合膜及びその製造方法に関するもので
ある。さらに詳しくは、本発明は、組織が基板に対し
方向に成長した構造を有するケイ素及びベンゼン環を
含む有機化合物からなる一方向のみ電気伝導性を示すプ
ラズマ重合膜及びケイ素化合物をモノマーとして特定の
プラズマ発生条件により、従来の方法では合成できなか
った該プラズマ重合膜を製造する方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】導電性高分子としては、ポリアセチレ
ン、ポリフェニレン、ポリチオフェン、ポリアニリン、
ポリピロールなどのπ共役高分子が知られている。これ
らの導電性高分子は、軽量であること、薄膜や繊維状に
加工・成形しやすいことなどの金属材料にはない特徴が
期待されている。導電性高分子は、これまでに、リチウ
ム電池の正極材料や電解コンデンサーの固体電解質など
の電機部品の材料として実用化されている。
【0003】導電性高分子のうち、ポリアセチレンは、
主にチーグラー・ナッタ触媒により合成されるが、その
他の芳香族環を含む導電性分子は、有機金属重合法、
化学酸化重合法、電気化学酸化重合法などにより合成さ
れる。これらの方法のうち、化学酸化重合法と電気化学
酸化重合法は、操作が簡単であるが、反応が必ずしも選
択的に進行せず、芳香族環の結合位置が制御されていな
い場合があるなどの欠点がある。一方、有機金属重合法
は、芳香族環の結合位置が正しく制御されたπ共役高分
子が得られる特徴を有する。一般に、高電気伝導度を示
す導電性高分子は、その構造がきれいに制御され、π共
役系の構造を多く有することが望ましいとされている。
【0004】合成された導電性高分子の状態は様々であ
るが、実用高分子の形態は薄膜として用いられることが
多く、そのためには、高分子は有機溶剤可溶である必要
がある。しかし、ポリアセチレン、ポリパラフェニレン
などの多くの導電性高分子は、分子の剛直性のため不溶
不融で、加工性に優れているとはいえず、実用には至っ
ていない。一方、電気化学酸化重合法では、電極上に膜
状の導電性高分子が得られ、このまま利用されるため、
有機溶剤に可溶である必要はない。、
【0005】ポリアセチレンやポリパラフェニレンなど
のπ共役高分子は、そのままでは絶縁体あるいは高抵抗
の半導体である。これらの高分子にNa金属などのよう
な電子供与性分子やI2 、AsF5 のような電子受容性
分子を錯体化(ドーピング)することにより導電性が発
現する。例えば、ドーパントがI2 のような電子受容性
の場合、ドーピングにより導電性高分子はドーパントに
電子を渡し、カチオンとなり、このカチオンが高分子上
を移動することにより導電性が発現する。膜状の導電性
高分子の導電性向上は、高分子の繊維(フィブリル)の
方向を延伸により揃えることにより、異方性のある高電
気伝導度を達成することができる〔例えば、「導電性有
機薄膜の機能と設計」、初版(平成3年)、77頁(共
立出版株式会社発行)〕。
【0006】例えば、高濃度のチーグラー触媒を使って
合成したポリアセチレンは、膜状で得られ、この膜にI
2 をドープした場合の伝導度は40S/cmであるが、
このポリアセチレン膜を延伸すると延伸方向の伝導度は
2000S/cmになる。これは、ポリアセチレン膜は
直径約20nm程度のフィブリル状の高分子が絡み合っ
た構造をしているが、これを延伸することによりフィブ
リルの向きを並べることにより高伝導度が達成できる。
高分子の導電性は、ドーピングにより基本的に発現する
もので、ドーピングしていない高分子を延伸しても導電
性の発現はできない。ここでの異方性とは、高伝導度を
達成するために膜の延伸を行い、フィブリルの配向を制
御することであるが、延伸前の膜でもある程度の伝導度
を示している。電気伝導性と絶縁体が組み合わさった異
方性、すなわち、一方向のみ電気伝導性を示す膜は得ら
れていない。
【0007】本発明で用いられているプラズマ重合法
は、放電によってイオン化された気体(プラズマ)を利
用して分子を活性化させ、重合活性種を生成し高分子化
する重合法である。この方法の特徴は、直接重合膜が
合成できるため、材料化が容易である。ほとんどの有
機化合物、有機金属化合物の重合膜を合成できる。高
度にクロスリングした膜で、ピンホールがなく、機械
的、化学的、熱的に安定である。容易にほかのモノマ
ーと共重合させうる。ドーピング、積層化やハイブリ
ッド化した膜を合成することが可能である。
【0008】しかし、この反面、プラズマ反応過程が複
雑で、広いエネルギー分布を有し、多種多様な反応が、
気相から固相にわたる不均一反応のため、構造制御され
たプラズマ重合膜の合成は難しく、有機分子特有の分子
機能を有する膜は現在のところ得られていない。さら
に、モノマーがプラズマ状態のアルゴンガスと接触し励
起されるため、生成するプラズマ重合膜中にはラジカル
など活性種が多く残り、これらが再結合やほかの原子、
分子と反応し、膜の劣化が起こる。そのため、色々なモ
ノマーから合成されたプラズマ重合膜について、電気伝
導性、光電導性などの特性についての研究は行われてい
るが、プラズマ重合膜が電気・電子材料として実際に利
用されている例はほとんどない。〔例えば、「低温プラ
ズマ材料化学」、初版(平成6年)、159頁(産業図
書株式会社発行)。「プラズマ材料科学ハンドブッ
ク」、第1版(平成4年)、590頁(株式会社オーム
社発行)〕
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、従来
の方法では合成できなかった、ケイ素系化合物をモノマ
ーとして合成される、一方向性電気伝導性のプラズマ重
合膜及びその製造方法を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記課題
を解決すべく鋭意検討を行った結果、本発明を完成する
に至った。すなわち、本発明によれば、一方向にのみ電
気伝導性のある有機ケイ素薄膜か提供される。また、有
機ケイ素化合物モノマーを50W以下の低い出力で発生
したアルゴンプラズマ中に導入し、基板上に堆積した重
合物の表面がプラズマにより生成したイオンなどの衝撃
を受けにくい条件で有機ケイ素プラズマ重合膜を製造す
る方法が提供される。
【0011】本発明において用いる有機ケイ素化合物モ
ノマーとは、分子内に一個以上のケイ素原子と一個以上
のベンゼン環を含む有機化合物である。本発明において
言う有機ケイ素プラズマ重合膜とは、ケイ素原子とベン
ゼン環を含む重合物を意味する。
【0012】本発明で使用する有機ケイ素化合物モノマ
ーは、その分子内に1個以上のケイ素原子と1個以上の
ベンゼン環を含んでいる有機化合物である。そのような
化合物として、フェニルシラン、フェニルトリメチルシ
ラン、メチルフェニルビニルシラン、1,4−ビス(ジ
メチルシリル)ベンゼン、ジフェニルメチルシランなど
をあげることができる。
【0013】プラズマ重合反応装置は、電極の構造、高
周波励起の方法、反応器の形態により多種多様であり、
目的に応じて選定される。有機ケイ素化合物モノマーか
らプラズマ重合法により一方向に電気伝導性を示す有機
ケイ素プラズマ重合膜を合成する場合、重合生成物の構
造を制御することが必要である。
【0014】本発明において、目的の生成物を合成する
のに十分な程度に重合物の構造制御が行えうるプラズマ
重合装置であれば、容量結合型や誘導結合型の外部電極
方式、あるいは、平行平板電極が反応系内に設置した内
部電極方式、反応器の形状として単純なチューブ形式、
又は、ベルジャー形式の反応器など、いかなる反応器で
も用いることができる。ただし、重合生成物の構造は良
くモノマーの構造を反映していることが必要で、そのた
めには、放電電力をできるだけ小さくし、反応器は生成
した重合膜がプラズマにより生成したイオンなどの衝撃
を受けにくい構造、形式が必要である。
【0015】従って、本発明では、以下に述べる反応器
が適している。誘導結合型の外部電極方式を採用したチ
ューブ形式のアフターグロー反応器では、重合膜を堆積
させる基板が放電領域の下流におかれ、また、モノマー
導入口は基板設置場所より下流におかれる。放電電力な
どの条件により、重合生成堆積物が最も多くなるように
基板及びモノマー導入口位置が決定される。このアフタ
ーグロー反応器では、基板上にモノマーが吸着し、プラ
ズマで生成したラジカルなどの活性種と接触し、モノマ
ーを活性化する。活性化されたモノマーは、その近傍に
ある別のモノマーに付加重合していくものと考えられて
いる。反応器の構造上、基板近くの電子エネルギーは小
さく、重合反応は主としてラジカルにより起こる。基板
上に堆積した重合物の表面はイオン衝撃などの影響を受
けにくい。その結果、モノマーの構造を良く反映した重
合膜が合成できる。
【0016】通常、プラズマ重合法で得られる重合膜
は、プラズマのエネルギーが大きく、また、エネルギー
分布も広いため、モノマーが分解し、元のモノマーの構
造を反映していない活性種が生成し、また、多くの異な
った活性種が生成する。そのため、多種多様な反応が生
じ、プラズマ重合反応の制御性を著しく低いものにして
いる。ここで、プラズマ放電電力をできるだけ小さくし
た場合、プラズマのエネルギーを小さく、かつ、その分
布も狭く押さえることができ、プラズマ重合反応を制御
することが可能になる。
【0017】本発明者らは、モノマーとしてフェニルシ
ラン(PS:φ−SiH3 )、メチルフェニルシラン
(MPS:φ−SiH2 CH3 )、ジメチルフェニルシ
ラン(DMPS:φ−SiCH(CH3 2 )、フェニ
ルトリメチルシラン(PTMS:φ−Si(C
3 3 )を用い、2Wの出力で、前出のアフターグロ
ー反応器を用いて重合を行った。得られた重合膜はモノ
マーの構造を反映した重合膜であった。
【0018】本発明では、モノマーに付与されるエネル
ギーを小さくすることにより、モノマーの構造を反映し
たポリマー薄膜が合成できることがわかった。低放電電
力下でのプラズマにより生成する活性種は、モノマー分
子内の結合力の弱いところが分解し、モノマーの基本的
な構造は活性種内に残っていると考えられる。これらの
活性種が結合し、モノマーの構造を反映した重合膜を生
成する。
【0019】プラズマ重合反応器内の気相のモノマー及
び活性種の拡散状況は、反応器からの真空ポンプ排気口
の位置、モノマーの導入位置、電極の位置、プラズマガ
ス及びモノマーの流量により複雑な挙動を示し、一部の
活性種は再度プラズマに接触し、活性化され別の活性種
になる。その結果、活性種はランダムに互いに結合し、
ある程度はモノマーの構造を反映した高度にクロスリン
クしたプラズマ重合膜が得られる。このような重合膜で
は構造が制御されているとは言えず、電気伝導度も低い
値を示す。
【0020】本発明では、上記の問題点を解決するため
に、例えば、誘導結合型の外部電極方式のチューブ型ア
フターグロー反応器が好適なものとして使用される。そ
の構造は、石英反応管の一端からプラズマガスが導入で
き、他端に排気口を設け、真空装置につながっている。
反応管の外部に設けられたコイル状又は円筒状の電極
は、プラズマガス導入口近くに設置され、そのプラズマ
ガスの流れの下方に基板及びモノマー導入口が設置され
る。
【0021】プラズマ重合操作は、プラズマガスを一端
から導入し、チューブ型反応管外部に設けたコイル状又
は円筒状の電極に高周波電源を印可し、プラズマを発生
させる。プラズマ尾炎部に重合膜を堆積させる基板を置
く。プラズマ尾炎部から基板の距離は、プラズマ電力に
よりプラズマの大きさが変化するため、プラズマ尾炎部
が基板に接触せず、かつ、重合物の堆積量が多いところ
を選ぶ。モノマー導入口は基板後方に置き、モノマーは
プラズマガスの流れ方向に逆らって拡散していき、導入
されたモノマーのごく一部が基板に到達する。
【0022】プラズマ重合反応は、基板上にモノマーが
吸着し、プラズマで生成したラジカルなどの活性種と接
触し、モノマーを活性化する。活性化されたモノマー
は、その近傍にある別のモノマーに付加重合していく。
従って、モノマーは直接プラズマに接触せず、プラズマ
で生成したラジカルなどの活性種と接触し、活性化され
る。また、重合膜はプラズマと接触しないためアブレー
ションなど膜にダメージを受けることはない。その結
果、従来のプラズマ重合で得られる膜よりも、よりモノ
マーの構造が反映され、かつ、構造がより制御された重
合膜が得られる。
【0023】本発明で得られた重合膜の形態は、基板に
垂直方向にのびた柱状で、膜の表面は、凹凸であった。
本発明による方法、すなわち、前記アフターグロー反応
器を用い、分子内にケイ素原子とベンゼン環を含むモノ
マーから低プラズマ電力で合成した重合膜は、ポリシラ
ン(−Si−Si−)を主鎖とし、その主鎖にベンゼン
環がペンダント状に結合した構造と考えられる。このよ
うな構造のポリマーが基板に垂直方向に発達したものと
考えられる。
【0024】本発明で示された方法で合成されたプラズ
マ重合膜の電気伝導度は、柱状の重合膜の成長方向、す
なわち、基板に垂直方向では10-6S/cm以上であ
り、柱状間、すなわち、基板に平行方向では10-12
/cm以下である。
【0025】
【実施例】次に本発明を実施例によりさらに詳細に説明
する。 1.プラズマ重合装置 本実施例において使用したプラズマ重合装置について説
明する。内径25mm外径28mm長さ500mmの透
明石英管の一端を内径3mm外径5mmの透明石英管に
接続し、この管からアルゴンプラズマガスが導入され
る。他の一端はニードルバルブを介して真空装置に接続
され、系内を10-4Torr以下の真空雰囲気にするこ
とができる。アルゴンガス導入口に接近して、外径28
mmの石英管の80mmの領域に7巻き等間隔で径2m
mの銅線を巻き付けたものを誘導コイルとして使用す
る。銅線には、13.56MHzの高周波発生装置が接
続されている。高周波発生装置は、電源部とマッチング
装置から成り、最大150Wの高周波出力が安定に発生
できる。
【0026】モノマーは、アルゴンガス導入口から25
0mm、誘導コイルの端から170mmに設置された内
径3mmの石英管から導入される。モノマー流量は、石
英管に接続している微量流量調節用ニードルバルブで調
節される。ニードルバルブには、複数のモノマー容器が
真空コックを介して接続されており、一種類又は二種類
以上のモノマーをプラズマ重合反応器に導入できるよう
になっている。基板は、誘導コイルとモノマー導入口の
間で最も重合物の堆積量が多い箇所に設置される。
【0027】2.プラズマ重合膜の合成 次に、本実施例において実施したプラズマ重合膜の合成
手順について説明する。反応管内に基板を誘導コイルと
モノマー導入口の間、すなわち、誘導コイルから145
mm、モノマー導入口から25mmに位置に設置した。
基板は、ITO薄膜をコーティングしたシリカガラス
(縦10×横10×厚さ1mm)及び一定のギャップを
持つ二つの金電極を蒸着したアルミナ板(縦10×横1
0×厚さ1mm)を用いた。次に、反応器系内を10-3
Torrに排気し、アルゴンプラズマガスを1ml/分
(1気圧、0℃に換算)流し、系内を真空装置入口にも
うけたニードルバルブで0.075Torrに調節し
た。反応管内壁、基板表面に付着している水などを取り
除くために、50Wの高周波出力でアルゴンプラズマガ
スを発生させ、1時間処理した。
【0028】その後、高周波出力50Wのプラズマを停
止し、フェニルシランやフェニルビニルシランなどのモ
ノマー蒸気を0.6ml/分(1気圧、0℃に換算)導
入した。反応管内の圧力は0.12Torrとなった。
その後、高周波出力2Wでアルゴンプラズマを発生さ
せ、1時間重合を行わせた。重合反応終了後、プラズマ
及びモノマー導入を停止し、アルゴンガス(1ml/m
in)流通下、系内圧力0.075Torrの状態で1
時間放置し、基板を取り出した。生成したプラズマ重合
膜の電気伝導度を2端子法で測定した。
【0029】3.プラズマ重合膜の電気伝導度 フェニル基を含む有機ケイ素化合物をモノマーとして合
成されたプラズマ重合膜中には、ベンゼン環、Si−
H、モノシリルベンゼンなどの存在が確認された。各種
モノマーで合成したプラズマ重合膜の膜厚、電気伝導度
の結果を表1に示した。これらの結果から、分子中にケ
イ素原子及びベンゼン環を含む有機ケイ素化合物から合
成されたプラズマ重合膜には、基板に垂直方向にドーピ
ングを行わない状態で10-4から10-6S/cmの電気
伝導度を示すことが明らかである。一方、基板に平行方
向では、測定機器の下限の10-12 S/cm以下の伝導
度を示した。
【0030】分子中にベンゼン環を含んでいないテトラ
メチルシラン、及び分子中にケイ素原子とベンゼン環を
含んでいないスチレンをモノマーとして合成されたプラ
ズマ重合膜の基板に垂直及び平行方向の伝導度は10
-12 S/cm以下であった。
【0031】
【表1】
【0032】図1には、上記方法で作成した一方向にの
み電気伝導性を持つケイ素系プラズマ重合膜の構造の概
略を示した。その形態は、基板に垂直方向にのびた柱状
のプラズマ重合体からなり、重合膜の表面には凹凸があ
った。
【0033】
【発明の効果】本発明によれば、一方向にのみ電気伝導
性を持つケイ素系プラズマ重合膜を製造することができ
る。本発明の一方向電気伝導性ケイ素系プラズマ重合膜
は、ドーピングを行わない場合、半導体領域の電導性を
示す。この場合、重合膜の電導性を持つ方向に複数の電
極を接続することにより、1枚のプラズマ重合膜から複
数の半導体素子が得られる。また、高電気電導性をプラ
ズマ重合膜に付与したい場合、ドーピングすることによ
り容易に達成でき、この場合も、1枚のプラズマ重合膜
に複数の電極を設置することにより、複数の回路をつく
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一方向電気伝導性ケイ素系プラズマ重
合膜の構造を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中田 善徳 北海道札幌市豊平区月寒東2条17丁目2 番1号 工業技術院北海道工業技術研究 所内 (72)発明者 鈴木 正昭 北海道札幌市豊平区月寒東2条17丁目2 番1号 工業技術院北海道工業技術研究 所内 (56)参考文献 特開 平5−93072(JP,A) 特開 昭57−117531(JP,A)

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 分子中にケイ素原子及びベンゼン環(S
    i−φ)を含む有機ケイ素化合物をモノマーとして合成
    されたプラズマ重合膜であって、組織が基板に対し垂直
    方向に成長した構造を有するケイ素及びベンゼン環を含
    む有機化合物からなることを特徴とする一方向電気伝導
    性ケイ素系プラズマ重合膜。
  2. 【請求項2】 組織が基板に対し垂直方向に成長した構
    造が、柱状の重合物が並んだ構造であることを特徴とす
    る請求項1記載のプラズマ重合膜。
  3. 【請求項3】 プラズマ重合膜の合成原料であるモノマ
    ーが、フェニルシラン、フェニルトリメチルシラン、メ
    チルフェニルビニルシラン、1,4−ビス(ジメチルシ
    リル)ベンゼン、ジフェニルメチルシランなどの分子内
    に1個以上のケイ素原子及び1個以上のベンゼン環を含
    む有機ケイ素化合物であることを特徴とする請求項1記
    載のプラズマ重合膜。
  4. 【請求項4】 プラズマ重合膜がその成長方向に沿って
    10−6S/cm以上、また、成長の垂直方向には10
    −12S/cm以下の電気伝導度を持つ請求項1記載の
    プラズマ重合膜。
  5. 【請求項5】 プラズマ重合膜の膜厚が10μm以下で
    ある請求項1記載のプラズマ重合膜。
  6. 【請求項6】 組織が基板に対し垂直方向に成長した構
    造を有するケイ素及びベンゼン環を含む有機化合物から
    なる一方向電気伝導性ケイ素系プラズマ重合膜の製造方
    法であって、請求項3記載のモノマーを用いて該プラズ
    マ重合膜を50W以下の低出力で、基板上に堆積した重
    合物の表面がプラズマにより生成したイオンなどの衝撃
    を受けにくい条件で重合させることを特徴とするプラズ
    マ重合膜の製造方法。
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