JP2654960B2 - 乳化組成物 - Google Patents

乳化組成物

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は油中水型乳化組成物に関し、更に詳しくは経
時安定性および使用感に優れ、種々の化粧料等に使用可
能な油中水型乳化組成物に関する。
〔従来の技術およびその課題〕
乳化組成物は一般に水中油型(O/W型)と油中水型(W
/O型)に大別され、これらは乳化剤により安定に分散さ
れている。このうちW/O型乳化組成物はO/W型のものに比
べ、肌への親和性が良く、肌表面を油膜で被覆し、水分
の蒸散を防ぎ肌を乾燥から保護したり、肌にトリートメ
ント効果を付与するなどの性質からフエイシヤル化粧
料、また撥水性に優れ、化粧くずれが少ないことからメ
ーキヤツプ化粧料などのような化粧品や医薬品の基材と
して広く用いられている。
従来、W/O型乳化組成物においては、肌へ適用した
場合の使用感の向上、および乳化状態の安定化の両面
から種々の検討がなされている。
使用感を向上させるための手段としては、油つぽさを
低下させ、肌へのなじみをよくする目的で、油剤を炭化
水素系のものからエステル、グリセライド、シリコン油
などに変えること、あるいは組成物中の油剤の含量を減
少させ水の含量を増加させることなどが行なわれてい
る。しかしながら、油剤としてエステル、グリセライ
ド、シリコン油などを使用した場合には分離、凝集が生
じ易く、安定性の良好なW/O型乳化組成物を得ることは
困難であつた。また水の含量を増加させた場合にも乳化
滴が不安定になり、油剤の分離を招くという欠点があつ
た。
一方、乳化状態の安定化のためには、油剤として炭化
水素系のものを使用するのが好ましく、油剤の含量はあ
る程度多いものが好ましい。また当該安定化を図るべく
乳化剤としての界面活性剤の検討が行なわれているが未
だ満足できるものは見い出されていない。
このようにW/O型乳化組成物の使用感の向上のための
手段と安定化のための手段は相反するものであり、従来
両者を充分に満足するW/O型乳化組成物は得られていな
かつた。
〔課題を解決するための手段〕
そこで本発明者は上記課題を解決すべく鋭意検討した
結果、乳化剤として特定のジメチルポリシロキサンポリ
オキシエチレン共重合体を用い、水相に糖類や無機塩類
と多価アルコールを含有せしめることによつて、安定性
が良好で、かつ使用感もよく化粧品等の基材として有用
性の高い優れたW/O型乳化組成物が得られることを見い
出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は次の(A)、(B)および(C) (A)糖類および無機塩類から選ばれる一種または二種
以上と多価アルコールとを含有する水溶液 (B)油剤 (C)一分子中にポリオキシエチレン基を5〜30重量%
含有する次の一般式(I) 〔式中、mは20〜100の平均数を、nは1〜5の平均数
を、aは2〜15の平均数を示す〕 で表わされるジメチルポリシロキサンポリオキシエチレ
ン共重合体を含有し、(A)成分と(B)成分の配合比
が重量比で5:1〜23.5:1であることを特徴とする油中水
型乳化組成物を提供するものである。
本発明に用いられる(A)成分は、内相、すなわち乳
化組成物の水相を構成するものである。かかる(A)成
分のうち、糖類としては、単糖、二糖、三糖、多糖類の
いずれでも使用可能であるが、例えば好ましい例とし
て、グルコース、フルクトース、ガラクトース、キシロ
ース、マルトース、シユークロース、ラクトース、乳
糖、シヨ糖、果糖、デンプン、デキストリン、アラビア
ガムなどが挙げられる。
無機塩類としては、例えば塩酸、硫酸、炭酸、硝酸な
どの無機酸のナトリウム、カリウム、カルシウム、マグ
ネシウム、アルミニウム、亜鉛などの金属塩が挙げられ
る。
多価アルコールとしては、例えばポリエチレングリコ
ール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコー
ル、1,3−ブチレングリコール、グリセリンなどの他ソ
ルビトール、マンニトール、マルチトールなどの糖アル
コールが挙げられる。
本発明乳化組成物中に、糖類および無機塩類から選ば
れる成分は0.1〜20重量%(以下単に%と略記する)、
特に0.1〜5%配合するのが好ましい。また多価アルコ
ールは乳化組成物中に2.0〜60.0%、特に2.0〜30.0%配
合するのが好ましい。
本発明に用いられる(B)成分は、外相、すなわち乳
化組成物の油相を構成するものである。
(B)成分の油剤としては、通常化粧料に用いられる
ものであれば特に制限されず、天然動・植物油、合成油
のいずれをも使用できる。具体的には、流動パラフイ
ン、スクワラン等の液状、ペースト状もしくは固形状の
炭化水素、ワックス、高級脂肪酸、高級アルコース、エ
ステル類、グリセライド、シリコーン系油剤等が挙げら
れる。就中、エステル類、グリセライド、シリコーン系
油剤であつて常温液状のものが乳化組成物の使用感の面
より特に好ましい。これら好ましい油剤の具体例として
はミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピ
ル、ミリスチン酸オクチルドデシル、2−エチルヘキサ
ン酸セチル、ペリタエリトリツト脂肪酸エステルなどの
高級アルコール脂肪酸エステル;ジイソオクタン酸ネオ
ペンチルグリコール、プロピレングリコール脂肪酸エス
テルなどのグリコール脂肪酸エステル;2−エチルヘキサ
ン酸トリグリセライドなどのグリセリン脂肪酸エステ
ル;ジグリセリン脂肪酸エステル、オリーブ油、ホホバ
油、アボガド油、ミンク油などの天然油脂;ジメチルポ
リシロキサン、メチルフエニルポリシロキサン、メチル
シクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロ
キサンなどの鎖状、環状の液体シリコーン油などが挙げ
られる。
本発明の(C)成分は、乳化剤として機能するもので
あり、常温で液状ないしペースト状のものである。
(C)成分の配合量は、乳化組成物あたり1.5〜10
%、特に2〜5%が好ましい。
本発明の乳化組成物には上記(A)、(B)、(C)
成分以外に本発明の効果を損なわない範囲で通常用いら
れる水性成分、油性成分を配合することができる。かか
る成分としては、例えば保湿剤、防腐剤、酸化防止剤、
紫外線吸収剤、薬効剤、香料、水溶性高分子、体質顔
料、着色顔料、光輝性顔料、有機粉体疎水化処理顔料、
タール色素などが挙げられる。
本発明乳化組成物は、従来公知のW/O型乳化組成物の
製法に準じて製造できるが、例えばホモミキサー等を用
いて高速撹拌下に行なうのが好ましい。
〔実施例〕
次に実施例を挙げて本発明をさらに説明するが、これ
ら実施例は本発明を何ら限定するものではない。
実施例1 クリーム状乳化組成物: 下記第1表に示す組成の乳化組成物を製造し、その安
定性について試験した。
(製法) 成分(1)〜(5)を混合し、ホモミキサーで撹拌し
ながら、予じめ混合した成分(6)〜(10)を徐々に添
加して乳化を行ない、乳化組成物を得た。
(安定性試験法) 5℃、室温、40℃の各恒温槽内に各乳化組成物を放置
し、製造直後、1月、2月後における状態を外観観察す
ることにより乳化組成物の安定性を評価した。
(結果) 得られた結果を第2表に示す。
第2表から明らかなように本発明は、製造直後の乳化
状態が極めて良好であり、水相(内相)の比率が高い
〔本発明品1〜3の内相:外相=8.5:1,本発明品4の内
相:外相=20.5:1〕にもかかわらず、経時での状態変化
が認められず安定であつた。これに対し比較品1では乳
化物は得られるが、経時的に油剤の上層への分離が起こ
り、安定性に劣るものであり、比較例2では満足な乳化
物が得られなかつた。
実施例2 (i) クリーム状乳化組成物(本発明品5): (成分) (重量%) (1) ジメチルポリシロキサンポリオキ シエチレン共重合体(実施例1の3) のもの) 5.0 (2) 2−エチルヘキサン酸セチル 5.0 (3) ジメチルポリシロキサン(20cs) 5.0 (4) ソリビトール(70%水溶液) 5.0 (5) 1,3−ブチレングリコール 15.0 (6) マルトース 2.0 (7) 塩化ナトリウム 1.0 (8) 精製水 残 量 (製法) 実施例1と同様にして乳化組成物(本発明品5)を製
造した。
(ii) クリーム状W/O型乳化組成物(比較品3): (成分) (重量%) (1) セスキオレイン酸ソルビタン 5.0 (2) 流動パラフイン 10.0 (3) マルチトール(70%水溶液) 5.0 (4) 1,3−ブチレングリコール 15.0 (5) 精製水 残 量 (製法) 実施例1と同様にして乳化組成物(比較品3)を製造
した。
(iii) O/W型乳化組成物(比較品4): (成分) (重量%) (1) スチアリン酸 2.0 (2) セタノール 2.0 (3) 流動パラフイン 8.5 (4) ポリオキシエチレンソルビタン モノオレエート(20E.O.) 2.5 (5) トリエタノールアミン 1.0 (6) グリセリン 5.0 (7) 1,3−ブチレングリコール 15.0 (8) 精製水 69.0 (製法) 成分(1)〜(4)を混合し、加熱溶解して70℃に保
温する。これに予じめ70℃に加温した成分(5)〜
(8)の混合物を徐々に添加して乳化する。次いで室温
まで撹拌冷却して乳化組成物(比較品4)を製造した。
上記の如くして得られた本発明品1〜5および比較品
3〜4について、それぞれ使用テストを行なつた。評価
は使用によるのびの良さ、油つぽさの無さ、みずみずし
さ、べたつき感の無さ、塗膜の揆水性および耐水性の程
度について行ない、良好を○、普通を△、悪いを×とし
て表わした。その結果を第3表に示す。
第3表に認められるように、従来のW/O型乳化組成物
(比較品3)では、のびが重く、油つぽさやべたつき等
を感じ、また従来のO/W型乳化組成物(比較品4)で
は、撥水性及び耐水性に劣るのに対し、本発明の乳化組
成物(本発明品1〜5)は、使用時にのびがよく、油つ
ぽさやべとつきを感ぜず、みずみずしさがあつて、しか
も仕上りの皮膜に撥水性や耐水性を有するものであるこ
とが判る。
すなわち、本発明の乳化組成物はきわめて良好な使用
感触と同時に塗膜のもちの良さを兼ね備えたものであ
る。
実施例3 ハンドクリーム: (成分) (重量%) (1) ジメチルポリシロキサンポリオキ シエチレン共重合体(実施例1の3) のもの) 5.0 (2) メチルフエニルポリシロキサン 5.0 (3) デカメチルシクロペンタシロキサン 5.0 (4) 香料 0.2 (5) グリセリン 20.0 (6) 1,3−ブチレングリコール 15.0 (7) ソルビトール(70%水溶液) 5.0 (8) マルトース 2.0 (9) 硫酸ナトリウム 1.0 (10) 精製水 残 量 (製法) 実施例1に準ずる。
実施例4 下地クリーム: (成分) (重量%) (1) ジメチルポリシロキサンポリオキ シエチレン共重合体(実施例1の2) のもの) 3.0 (2) 2−エチルヘキサン酸グリセリン 3.0 (3) ジメチルポリシロキサン(20cs) 3.0 (4) 香料 0.2 (5) シリコーン焼付処理混合粉体 5.0 (6) グリセリン 5.0 (7) 1,3−ブチレングリコール 12.0 (8) マルトース 2.0 (9) 塩化ナトリウム 1.0 (10) 精製水 残 量 *は以下に示す組成のものを使用した。
(重量%) 酸化チタン 50.0 タルク 20.0 マイカ 10.0 ベンガラ 2.0 硫黄化鉄 13.0 黒酸化鉄 4.0 メチルハイドロジエンポリシロキサン 1.0 (製法) 粉体成分(5)を油相に添加、分散し、実施例1と同
様にして製品を得る。
実施例5 クリーム状フアンデーシヨン: (成分) (重量%) (1) ジメチルポリシロキサンポリオキ シエチレン共重合体(実施例1の2) のもの) 2.0 (2) メチルフエニルポリシロキサン 2.0 (3) ジメチルポリシロキサン(10cs) 2.0 (4) 流動パラフイン 5.0 (5) 香料 0.2 (6) シリコーン焼付処理混合粉体 25.0 (7) グリセリン 4.0 (8) 1,3−ブチレングリコール 8.0 (9) マルトース 2.0 (10) 硫酸ナトリウム 0.5 (11) 精製水 残 量 *は以下に示す組成のものを使用した。
(重量%) 酸化チタン 40.0 マイカ 29.0 タルク 20.0 ベンガラ 2.0 黄酸化鉄 6.0 黒炭化鉄 2.0 メチルハイドロジエンポリシロキサン 1.0 (製法) 実施例4に準ずる。
実施例6 クリーム状頬紅: (成分) (重量%) (1) ジメチルポリシロキサンポリオキ シエチレン共重合体(実施例1の2) のもの) 3.0 (2) ジイソオクタン酸ネオペンチル グリコール 3.0 (3) ジメチルポリシロキサン(5cs) 3.0 (4) 香料 0.2 (5) 流動パラフイン 2.0 (6) 酸化チタン 3.0 (7) タルク 1.0 (8) 雲母チタン 3.0 (9) 赤色226号 0.2 (10) 黄酸化鉄 0.8 (11) グリセリン 5.0 (12) 1,3−ブチレングリコール 12.0 (13) マルトース 2.0 (14) 精製水 残 量 (製法) 成分(5)〜(10)を予じめ混合、均一分散した後、
実施例4と同様にして製品を得る。
実施例7 クリーム状アイシヤドウ: (成分) (重量%) (1) ジメチルポリシロキサンポリオキ シエチレン共重合体(実施例1の2) のもの) 3.0 (2) ジベンタエリトリツトテトラ12− ヒドロキシステアリン酸セスキステアリン 酸ヘミロジンエステル 1.0 (3) 2−エチルヘキサン酸グリセリン 2.0 (4) ジメチルポリシロキサン(20cs) 3.0 (5) 香料 0.2 (6) マイカ 1.7 (7) 雲母チタン 5.0 (8) 酸化鉄雲母チタン 5.0 (9) 酸化チタン 1.0 (10) 赤色226号 0.2 (11) 青色404号 0.1 (12) ソルビトール(70%水溶液) 5.0 (13) 1,3−ブチレングリコール 12.0 (14) グルコース 2.0 (15) 精製水 残 量 (製法) 実施例6に準ずる。
実施例8 日焼け止めクリーム: (成分) (重量%) (1) ジメチルポリシロキサンポリオキ シエチレン共重合体(実施例1の2) のもの) 3.0 (2) ジデカン酸プロピレングリコール 3.0 (3) ジメチルポリシロキサン(10cs) 3.0 (4) 流動パラフイン 3.0 (5) 香料 0.2 (6) 酸化チタン 5.0 (7) 酸化亜鉛 5.0 (8) タルク 3.0 (9) 黄酸化鉄 0.8 (10) ベンガラ 0.2 (11) グリセリン 5.0 (12) 1,3−ブチレングリコール 12.0 (13) アラビアガム 1.0 (14) 塩化ナトリウム 1.0 (15) 精製水 残 量 (製法) 実施例6に準じる。
実施例9 サンタンクリーム: (成分) (重量%) (1) ジメチルポリシロキサンポリオキ シエチレン共重合体(実施例1の3) のもの) 5.0 (2) 2−エチルヘキサン酸セチル 3.5 (3) メチルフエニルポリシロキサン 5.0 (4) オキシベンゾン 0.5 (5) エスカロール507 1.0 (6) 香料 0.2 (7) グリセリン 5.0 (8) 1,3−ブチレングリコール 15.0 (9) マルトース 2.0 (10) 精製水 残 量 (製法) 実施例1に準じる。
以上の如くして得た本発明に於けるW/O型乳化化粧料
(実施例3〜9)は、いずれの場合も安定性並びに使用
性共にきわめて良好なものであつた。
〔発明の効果〕
本発明の乳化組成物は乳化状態が良好で経時安定性に
優れ、かつ良好な使用感を有する。特に内水相比を高め
た本発明のW/O型乳化組成物は、使用時の肌へののびが
軽く、みずみずしい感触があり、しかも塗膜の揆水性、
耐水性に優れている。
しかして、本発明により、乳化基材として化粧料等に
幅広く適用することができる、きわめて有用性の高い乳
化組成物の提供が可能となつたのである。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】次の(A)、(B)および(C) (A)糖類および無機塩類から選ばれる一種または二種
    以上と多価アルコールとを含有する水溶液 (B)油剤 (C)一分子中にポリオキシエチレン基を5〜30重量%
    含有する次の一般式(I) 〔式中、mは20〜100の平均数を、nは1〜5の平均数
    を、aは2〜15の平均数を示す〕 で表わされるジメチルポリシロキサンポリオキシエチレ
    ン共重合体を含有し、(A)成分と(B)成分の配合比
    が重量比で5:1〜23.5:1であることを特徴とする油中水
    型乳化組成物。
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