JP2654770B2 - 可調整ポンプ用制御装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、流通断面の可変な制御弁を介して圧力媒体
を負荷へ供給する可調整ポンプの調整部材が、制御弁を
介して圧力の作用を受ける調整ピストンにより、制御弁
の前後における圧力の差が一定となるようにポンプの流
量を制御し、ポンプの流量及び圧力を制御する制御装置
が設けられ、ポンプの送出管に接続される圧力検出器に
より圧力実際値が検出される、可調整ポンプの制御装置
に関する。

〔従来の技術〕

このような制御装置は公知であり（ドイツ連邦共和国
特許第3119095号明細書）、制御弁の前後における圧力
の差が一定となるように、可調整ポンプの流量が制御さ
れる。流量は、制御弁の位置従つて流通断面に相当して
いる。このような制御装置は例えば射出成形機の作動シ
リンダへ圧力媒体を供給する可調整ポンプの制御に使用
され、作動シリンダの速度制御（ポンプの流量制御）か
ら圧力制御へ自動的に移行するリミツタ回路として動作
する。しかし作動シリンダの速度制御段階中に、制御装
置が調整範囲を規定する調整限界へ達してしまい、従つ
て速度制御から圧力制御への最適な移行が不可能になる
という問題が生ずる。

〔発明が解決しようとする課題〕

本発明の課題は、流量制御と圧力制御との間の移行を
改善された可調整ポンプの制御装置を提供することであ
る。

〔課題を解決するための手段〕

この課題を解決するため本発明によれば、送出管内の
圧力実際値が、圧力検出器により電気信号として、制御
増幅器へ直接供給されると共に、圧力実際値微分回路を
介して微分されて制御増幅器へ供給され、この制御増幅
器へ圧力設定値も供給され、流量設定値を供給される流
量リミツタが設けられ、この流量リミツタの出力量が位
置制御器へ供給され、流量に相当する制御弁の位置を表
わす量と流量リミツタの出力量とが一致するように、位
置制御器が制御弁を制御し、制御増幅器において圧力設
定値と圧力実際値とが比較され、圧力実際値が圧力設定
値を超過している限り、この制御増幅器の出力量として
の調整量が流量リミツタへ供給されて、流量リミツタの
流量設定値を修正し、流量リミツタの出力量が位置制御
器を介して制御弁の位置を制御し、この制御弁による流
量制御を介して圧力制御を行い、制御増幅器と流量リミ
ツタとの間に再調整回路が設けられて、制御増幅器の調
整量が流量リミツタの流量設定値より大きくならないよ
うにする。

〔発明の効果〕

本発明によれば、圧力検出器で検出される圧力実際値
が制御増幅器の圧力設定値より小さい場合、公知のよう
に制御弁の前後の圧力差が一定となるように、可調整ポ
ンプの調整部材により流量制御が行われる。流量制御の
流量設定値は、流量リミツタに与えられ、流量リミツタ
が位置制御器を介して制御弁の位置従つて流通断面を制
御する。この場合制御増幅器は流量リミツタに作用しな
い。

圧力実際値が圧力設定値を超過すると、制御増幅器が
流量リミツタに作用して、流量設定値を修正し、流量リ
ミツタの出力信号が制御弁による流量制御を介して圧力
制御を行う。この圧力制御は、例えば制御弁が導通する
切換え位置の範囲内で制御弁の流通断面従つて流量を減
少して圧力上昇を制限するか、流量を零にする切換え位
置へ制御弁を切換えるか、又は制御弁を経て圧力をタン
クへ除く切換え位置へ制御弁を切換えることによつて、
行うことができる。

こうして本発明によれば、流量制御及び圧力制御を制
御弁のみによつて行うことができる。流量制御の場合、
制御弁はその前後の圧力差を設定するためにのみ用いら
れる。制御増幅器に対して並列に微分回路が設けられて
いるため、制御の微分動作特性が得られ、流量制御から
圧力制御への移行の際、行き過ぎを防止する良好な減衰
が行われ、良好な立上り（過渡特性）が保証される。

更に再調整回路により、制御増幅器の出力量である調
整量が流量設定値を越えないようになつているので、小
さい圧力目標値−実際値偏差でも調整量を得られるよう
にするため積分動作特性を持つている制御増幅器が調整
限界へ入つてしまうのを防止され、圧力実際値が圧力設
定値へ達したとき、制御増幅器が遅れなしに流量リミツ
タへ作用して流量目標値を修正（減少）することができ
る。

〔実施例〕

本発明の実施例を図面について以下に説明する。

図において、10は可調整ポンプで、吸入管11を介して
圧力媒体をタンク12から吸込み、送出管13へ吐出する。
送出管13は負荷としての作動シリンダ14へ通じ、その途
中に、３つの切換え位置I,II,IIIを持ちかつ流通断面の
可変な制御弁15としての方向切換え弁例えば電磁的に操
作可能な比例弁が設けられている。この弁を通る圧力媒
体即ち流量は、その流通断面従つてその位置に関係して
いる。

ポンプ10の流量を変化する調整部材16例えばアキシア
ルプランジヤポンプの斜板は、異なる面積をもちかつ互
いに逆に作用する２つの調整ピストン17,18によつて操
作される。調整ピストン18は、制御弁15の後で送出管13
から分岐する制御導管19を介して、制御弁15の後の圧力
P₂を受けることができる。調整ピストン17は、ポンプ10
と制御弁15との間にある送出管13へ接続される制御導管
20を介して、制御弁15の前の圧力P₁を受ける。制御弁15
が切換え位置IIにあるとき、接続はすべて遮断され、作
動シリンダ14内の圧力が維持される。切換え位置Ｉにお
いて作動シリンダ14は、タンク12へ至る戻り導管22へ接
続され従つて圧力を除かれる。切換え位置IIIにおい
て、送出管13が制御弁15を介して導通せしめられ、ポン
プ10から圧力媒体が作動シリンダ14へ供給される。同時
に面積の大きい方の調整ピストン18が制御導管19を介し
て制御弁15の後の圧力P₂を受ける。面積の小さい方の調
整ピストン17は、制御導管20を介して常にポンプの送出
圧力即ち制御弁15の前の圧力P₁を受けている。ポンプ10
の調整部材16は、調整ピストン17及び18へ作用する制御
弁15の前後の圧力P₁,P₂により、これらの圧力差ΔＰ従
つて制御弁15における圧力降下が一定になるように、ポ
ンプ10の流量を制御する。制御弁の圧力降下ΔＰは、そ
の流通抵抗（流通断面）と流量との積で与えられるの
で、この一定な圧力降下の条件において、弁の流通断面
（弁の位置）よつて流量が規定される。この流量従つて
制御弁の位置は、後述する流量リミツタ27の入力端37へ
与えられる流量設定値Ｍにより与えられる。このような
流量制御自体は公知である。

制御弁15は電磁石23により操作され、この電磁石23は
導線24を介して位置制御器25に接続され、この位置制御
器25から第１の導線26が電子流量リミツタ27へ導かれ、
第２の導線28が制御弁15の位置検出器29へ接続されてい
る。位置検出器29は制御弁15の位置を位置制御器25へ通
報する。この位置制御器25は、導線26を介して受ける流
量リミツタ27の出力信号により適当に処理される値を、
導線24を介して電磁石23へ供給して、制御弁15の実際位
置が流量リミツタ27の出力量に一致するように、制御弁
15を操作する。

送出管13の圧力を検出する圧力検出器31は、導線32を
介して実際値微分回路33に接続され、従つて導線42を介
して微分された圧力実際値を制御増幅器35へ供給する。
導線32から導線34が分岐して、同様に制御増幅器35へ導
かれ、また入力端36を介して制御増幅器35へ、圧力設定
値Ｐも供給される。流量リミツタ27は入力端37をもち、
流量設定値Ｍがこの入力端37を介して流量リミツタ27へ
与えられる。この流量リミツタは最大流量を制限する。

更に再調整回路39が設けられて、制御増幅器35を流量
リミツタ27へ作用的に接続する。個々の回路33,35,37及
び39には種々の増幅器、抵抗及び容量が含まれている
が、これらの作用の詳細は、本発明の理解に対して関係
がないので説明しない。実際値微分回路33のダイオード
40についてのみ後で触れる。

作動シリンダ14は単動式に構成され、実施例では射出
成形機の加圧シリンダである。作動シリンダ14について
は、速度の推移は、作動シリンダのピストンの送り運動
についての推移を意味する。制御弁15の役割は、ポンプ
10から送り出される圧力媒体の流量及び圧力を上記の設
定値に応じて調整することである。流量リミツタ27が作
用しない限り、流量設定値Ｍはそのまま維持される。位
置制御器25はこの値で駆動され、設定値Ｍに応じて制御
弁15を位置ぎめする。制御弁15の切換え位置IIIで、前
述したように制御弁15の前後における圧力P₁,P₂の差Δ
Ｐが一定となるように、調整部材16を介して可調整ポン
プ10の流量が制御される。この圧力差ΔＰは、制御弁15
の位置、従つて流量リミツタ27の入力端37へ与えられる
流量設定値Ｍにより規定される。

制御増幅器35において圧力の設定値Ｐと圧力検出器31
により検出される圧力の実際値との比較が行われ、圧力
実際値が圧力設定値Ｐを超過すると、上述した流量制御
から圧力制御への移行が行われる。その際圧力実際値と
圧力設定値との偏差の増幅後にその出力信号（調整量）
が流量リミツタ27に作用し、圧力検出器31で検出された
圧力実際値が入力端36へ与えられる圧力設定値Ｐ以下に
なるまで、制御増幅器35の出力信号が流量の設定値Ｍ従
つて流量リミツタ27の出力量を修正する。

なお制御増幅器35の入力端36における圧力設定値Ｐと
圧力検出器31で検出される圧力実際値との偏差が小さい
場合にも、制御増幅器35の出力信号即ち調整量が得られ
るようにするため、制御増幅器35において高い安定なゲ
インを得ることが必要である。これは純粋な比例増幅で
は不可能なので、この増幅器35に積分動作特性を持たせ
る。また再調整回路39によつて、制御増幅器35の調整量
が流量の設定値Ｍより大きくならないようにし、従つて
圧力の実際値が設定値Ｐに達したとき制御増幅器35が直
ちに流量の設定値Ｍを減少するように、することができ
る。

さて流量制御されて動作している作動シリンダ14のピ
ストンがなんらかの抵抗を受け、それにより作動シリン
ダ14内の圧力が上昇して、その値（実際値）が目標値Ｐ
を超過すると、上述したように流量制御から圧力制御へ
の移行が行われる。即ち圧力検出器31の圧力実際値が入
力端36の圧力設定値Ｐを超過すると、制御増幅器35によ
り流量リミツタの流量設定値Ｍ従つて流量リミツタ27の
出力信号26が修正され、位置制御器25を介して、制御弁
15の流通断面従つて流量を切換え位置IIIの範囲内で減
少して圧力上昇を少なくするか、制御弁15を切換え位置
IIへ切換えて流量を零にして圧力を維持するか、又は制
御弁15を切換え位置IIIへ切換えて、圧力をタンク12へ
逃す。こうして圧力制御が行われる。

なお実際値微分回路33によつて圧力の行き過ぎを防止
する付加的な減衰従つて圧力の良好な立上り特性が得ら
れる。抵抗41とダイオード40とによつて、減衰が方向に
応じて調整され、この減衰を制御装置の異なる特性に最
適に合わせることができる。それにより従来の装置に比
較して著しい改良が行われる。

２つの調整ピストン17,18の代りに、１つの調整ピス
トンを設け、その対抗力としてばねを使用することも可
能である。

【図面の簡単な説明】 図は本発明による可調整ポンプの制御装置の実施例を示
すブロツク線図である。 10……ポンプ、13……送出管、15……制御弁、16……調
整部材、17,18……調整ピストン、25……位置制御器、2
7……流量リミツタ、29……位置検出器、31……圧力検
出器、33……実際値微分回路、35……制御増幅器、36…
…圧力設定値入力端、37……流量設定値入力端、39……
再調整回路

Claims (3)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】流通断面の可変な制御弁（15）を介して圧
   力媒体を負荷（14）へ供給する可調整ポンプ（10）の調
   整部材（16）が、制御弁（15）を介して圧力の作用を受
   ける調整ピストン（18）により、制御弁（15）の前後に
   おける圧力の差が一定となるようにポンプ（10）の流量
   を制御し、ポンプ（10）の流量及び圧力を制御する制御
   装置が設けられ、ポンプ（10）の送出管（13）に接続さ
   れる圧力検出器（31）により圧力実際値が検出されるも
   のにおいて、 送出管（13）内の圧力実際値が、圧力検出器（31）によ
   り電気信号として、制御増幅器（35）へ直接供給される
   と共に、圧力実際値微分回路（33）を介して微分されて
   制御増幅器（35）へ供給され、この制御増幅器（35）へ
   圧力設定値（Ｐ）も供給され、 流量設定値（Ｍ）を供給される流量リミツタ（27）が設
   けられ、この流量リミツタ（27）の出力量が位置制御器
   （25）へ供給され、流量に相当する制御弁（15）の位置
   を表わす量と流量リミツタ（27）の出力量とが一致する
   ように、位置制御器（25）が制御弁（15）を制御し、 制御増幅器（35）において圧力設定値（Ｐ）と圧力実際
   値とが比較され、圧力実際値が圧力設定値（Ｐ）を超過
   している限り、この制御増幅器（35）の出力量としての
   調整量が流量リミツタ（27）へ供給されて、流量リミツ
   タ（27）の流量設定値（Ｍ）を修正し、流量リミツタ
   （27）の出力量が位置制御器（25）を介して制御弁（1
   5）の位置を制御し、この制御弁（15）による流量制御
   を介して圧力制御を行い、 制御増幅器（35）と流量リミツタ（27）との間に再調整
   回路（39）が設けられて、制御増幅器（35）の調整量が
   流量リミツタ（27）の流量設定値（Ｍ）より大きくなら
   ないようにする ことを特徴とする、可調整ポンプの制御装置。
2. 【請求項２】圧力実際値微分回路（33）が、ダイオード
   （40）と抵抗（41）とにより圧力の変化方向に関係して
   形成される圧力信号振幅の減衰量を調整することを特徴
   とする、特許請求の範囲第１項に記載の装置。
3. 【請求項３】制御弁（15）の位置従つて流量の実際値
   が、制御弁（15）に結合される位置検出器（29）によつ
   て検出されることを特徴とする、特許請求の範囲第１項
   または第２項に記載の装置。