JP2654723B2 - サブミクロン単位に解繊された天然繊維体及びその製造方法 - Google Patents

サブミクロン単位に解繊された天然繊維体及びその製造方法

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JP2654723B2 JP3068049A JP6804991A JP2654723B2 JP 2654723 B2 JP2654723 B2 JP 2654723B2 JP 3068049 A JP3068049 A JP 3068049A JP 6804991 A JP6804991 A JP 6804991A JP 2654723 B2 JP2654723 B2 JP 2654723B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】最近故紙の再利用が叫ばれてお
り、具体的には廃棄されている牛乳パックの再利用と
か、くず皮革を微粉砕し樹脂加工時に添加し、新製品を
作る記事(日刊工業新聞平成2年12月4日付)等があ
り、1990年は環境問題と、故紙の利用が消費者の10大ニ
ュースとなった。また行政面においても、平成3年1月
7日付朝日新聞のトップ記事に通産省は「廃棄物再資源
促進法」(仮称)を今国会に提出準備中と記載されてい
る。
【0002】このような動きの中で最近は自然環境の中
で分解しやすいプラスチックの開発研究が進んでいる。
平成2年暮には、この種の研究について、我が国で国際
会議が開催された。然し化石資源を出発物としたプラス
チックが自然界で分解するプラスチックに構造変化を起
こさせ、それを量産し、経済性のある汎用プラスチック
となるには数年、あるいは数10年先のことになるであろ
う。
【0003】一方合成物では真似のできない素晴らしい
構造をもった天然高分子体である繊維は昔から使用され
ており、公害問題は引き起こさなかった。それは自然界
で分解し、土壌中に還元されるからであろう。しかしこ
れら天然繊維体を解繊することは実験室規模では行なわ
れてきたが、階層構造をそのまま生かしサブミクロン単
位へフィブリル化する技術は困難とされていた。
【0004】本発明は、一般に「資源は加工技術が無け
れば単なる石ころにすぎない」といわれるように、回収
→原料化された天然繊維系廃棄物を、如何なる加工技
術、加工装置をもって新製品又は新製品製造用原料とす
るかを検討し、又それが経済性を伴う産業に成長し、な
おかつ回収もスムーズに効率よく行なうことをも考慮し
てなされたものである。
【0005】即ち本発明は、上記の故紙(セルロース繊
維)、くず皮革(コラーゲン繊維)の有効利用と、新材
料製造素材の提供にかかるものであり、天然繊維体(セ
ルロース、キトサンの如き天然多糖類、コラーゲン、フ
ィブロイン)を水または油の共存下、連続的に剪断、摩
砕を加え繊維集合体の分子やセグメントなどの位置移動
を起こさせながら繊維構造をミクロフィブリル化し、繊
維長を切断することなく、繊維径を0.9μm以下に解
繊したサブミクロン単位の天然繊維体、及びその製造方
法に関するものである。
【0006】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】固型
物、繊維状物の粉砕機は表1及び表2に示すように各種
あるが、経済的な粉砕機が見当らないことに加え、いず
れも粉砕過程で繊維長を細かく切断してしまう欠点があ
った。たとえば、出光石油化学(株)製の新しく発表さ
れた商品名「プロテイン」は乾式で粉砕するため、コラ
ーゲン繊維が切断されて微粉砕され、平均的な径は5〜
10μm程度であって、繊維長は短いが、コラーゲン繊維
の微粉砕化ということで高く技術は評価されている。
【0007】一方特公昭63−94948号公報には、
セルロース、キチン、キトサン繊維を融砕機(商品名マ
スコロイダー)を用い微細化することが記載されてお
り、これによって得られる繊維径は10μm以上であ
る。
【0008】
【表1】
【0009】
【表2】
【0010】このように従来の粉砕機では繊維径を 0.9
μm以下に解繊することが困難であった。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、融砕機の代表
といえる上記マスコロイダーの心臓部である上下2枚の
グラインダーを改良することに着目し、ビトリファイド
グラインダー(砥石)をポリマーで複合化し、材質をま
ったく変えることに成功した。即ちこのポリマー複合化
ビトリファイドグラインダー(商品名:グラインデル)
をマスコロイダーに取りつけたところ、天然繊維体を連
続的に解繊することができ天然繊維体のチップ形状,添
加水分量、更には繰返し通過する場合、クリアランスの
調整等を系統的に実験し最適条件を見出したものであ
る。
【0012】即ち本発明のサブミクロン単位に解繊され
た天然繊維体は、切断を伴うことなく縦方向に直径0.
9μm以下に解繊された例えばセルロース、コラーゲン
等の天然繊維1重量部に対して、水1.5〜2.2倍又
は鉱物油1.7〜2.1倍の重量部を含み、さらに最大
膨潤していることを特徴としている。また本発明の天
然繊維複合体は、直径0.9μm以下に解繊されたセル
ロース繊維や直径0.9μm以下に解繊されたコラーゲ
ン繊維や微粉砕化されたPE樹脂等が、所定の比率で均
一分散してなることを特徴としているものである。
【0013】また本発明の天然繊維体の製造方法は、天
然繊維1重量部に対して、水又は油を10〜15倍量加
えた混合物を、上下一対のポリマーで複合化されて外周
部平坦面が相互に接触し、該平坦面に続く中窪み面に放
射方向に対して互いに反対方向に傾斜する摩砕突条及び
凹溝を、該回転砥石の回転によりこれら摩砕突条及び凹
溝が互いにはさみ状に交差するように設けた回転砥石及
び固定砥石の中央部の間隙に供給し、上記回転砥石の回
転に伴う遠心力と上下砥石の摩砕突条間さらには上下砥
石外周部の平坦面間によって、上記天然繊維原料の剪断
と摩砕を10回以内で繰返し与え、切断を伴うことなく
直径0.9μm以下に縦方向に開裂し最大に膨潤した天
然繊維体を外周吐出部より得ることを特徴とするもので
ある。
【0014】
【0015】
【作用】自然界で得られる天然繊維材料はミクロな系
(要素)とそれが多数集まってできるマクロな系(集合
体)から構成されている。ミクロの系とマクロの系との
関係は、要素の集合状態に依存して、一般には異なる法
則によって支配される。天然繊維体例えばセルロース、
コラーゲン、フィブロイン、キトサンの如き高分子も本
質的には多体系であるが故に、無限に近く繰り返される
ミクロとマクロの関係が成り立つ階層構造をとってい
る。
【0016】そこで論を天然繊維体(天然高分子体)の
階層構造に限れば、よく知られている様に秩序構造の次
数によって便宜上、次の様に分類することができる。即
ち0次構造(構造原子及びその構成比)、1次構造(化
学結合を指し、構成原子の配列順序及び結合様式)、2
次構造(分子内相互作用に依存する1分子鎖のとる構
造)、3次構造(非晶とか結晶構造における分子鎖の形
態)、4次構造(多層構造、集合体の構造)、高次構造
(自然界で得られる繊維材料、その他の材料)である。
【0017】本発明は上記の高次構造をもつ天然繊維体
のパーティクル、即ち3×3cm角程度或いは長さ方向で
5cm以下に切断されたパーティクル状天然繊維体を10〜
15倍量の水に浸漬した素材原料を融砕機中のポリマーで
複合化した砥石面を繰返し通過させることにより、パー
ティクルに剪断と摩砕を与え、4次構造及びそれ以下、
即ちサブミクロン単位へ効率よく短時間に解繊移行させ
る技術に関するものである。
【0018】上記のように天然繊維体のパーティクルに
力を加え、変形を続けると、ついに破壊に至る。例えば
牛乳パックの如くセルロース繊維集合体とPEラミネー
ト物が大過剰の水と混合して融砕機の中を通過すると、
パーティクル内部に生じる応力に対し剪断力の割合が最
大のとき、破壊が起り、逐次解繊する。破壊には圧縮、
或いは引張であろうと応力限界の他、剪断力と応力の組
合せも起きる。
【0019】パーティクルには破壊点が無数にあって、
パーティクル全体が解繊に至る肝心な破壊点はどのよう
にパーティクル内に分布しているかは不明である。自然
界では頻度の平均値の左右が対象的である正規分布、あ
るいは誤差曲線といわれる分布の事象が多い。融砕機の
摩砕面でパーティクルが動的に力が加えられると、パー
ティクル内のセグメントなどの位置移動により構造変化
が起こり、また力を除くとその変形が回復する弾性的性
質と、回復しないで流れてしまう粘性的性質が現われ
る。繰返し摩砕面を通過させることにより、パーティク
ルは次第にサブミクロン単位へと解繊され、その殆どが
粘性的性質となる。分子やセグメントの移動は応力或い
はずり速度によって行なわれるが、熱エネルギーによる
移動は殆ど巨視的な構造破壊を伴わない。
【0020】次に本発明の製造方法をくず皮革の解繊
(コラーゲン繊維)を例にとって下記のフローチャート
に示す。
【0021】次に装置について述べる。本発明で使用す
る装置は引き臼式衝撃力を利用した融砕機であるが、発
明者はこの融砕機に改良を加え、本発明の製造装置とし
て最良な形式としたところに本発明の特徴がある。詳し
く記述すると、上部の砥石は固定されていて、下のみが
回転する。上部のフィーダーから入った原料は、砥石中
央に落下し、回転に伴う遠心力で剪断・摩砕される。こ
の摩砕時の摩擦熱が原料のレオロジー的な性質に大きく
作用する。砥石の目はいくつかに分画され、それぞれに
溝が彫ってある。溝の数と深さ及び上下の砥石のクリア
ランスや周縁部の巾の大小は繊維化するための大きな因
子である。発明者はこの装置の心臓部となる砥石をポリ
マーで複合化した新しい商品「グラインデル」を用いて
いる(特開昭61-159375 号「融砕機用砥石ポリマー複合
体及びその製造法」)。グラインデルは表面からの吸水
が殆ど無いことが大きな特徴となっている。砥石表面の
溝等については実公昭53-49091号公報に示されているよ
うに、内側端が外側端より放射方向より前方に傾斜する
ようにした摩砕突条を設けたものが、砥石面に順次並べ
て設けられている関係上、これを上下または左右にその
摩砕面を対向圧搾して摩砕する場合、砥石の回転中、対
向する双方突条同志が常に接触していることとなり、連
続して摩砕活動が続行することができる機構となってい
る融砕機(商品名:マスコロイダー MASS COLLOIDER )
を用いる。そして前述の天然繊維体パーティクルと水混
合物を上下砥石間の中央フィーダーから投入する。
【0022】
【実施例】以下具体例を上記の製造フローシートに基い
て詳細に記述する。
【0023】(実施例1)皮革製品製造工場より廃棄さ
れる不定形の皮革を水洗後3×3cm角以下に切断して原
料パーティクルを得る。このパーティクル重量の13倍量
の水を加えて撹拌し、水とよく混合したパーティクルを
融砕機である商品名スーパーグラインデルの投入口に徐
々に入れる。この時のスーパーグラインデルの調整は先
ず固定砥石と回転砥石間のクリアランスを0.08mmとし、
回転砥石の回転数を 1450rpmにセットし稼働する。
【0024】原料パーティクルがグラインデルの摩砕面
を通過するとき、摩砕熱が手で原料中の温度は約40℃前
後となる。摩砕面が通過したパーティクルは次第に解繊
し、パーティクルを構成しているコラーゲン繊維束が現
われパルプ化してくる。このパルプ化した状態で同一条
件のクリアランスで3回繰返し通過させるとコラーゲン
繊維束は逐次解繊してパルプ化溶液は粘度を上昇させて
いく。
【0025】更にスーパーグラインデルのクリアランス
を0.04mmとし更に2度繰返し摩砕面を通過させると水中
にミクロフィブリル化したコラーゲン繊維が浮遊した状
態となる。
【0026】次にクリアランスを 0.1mmに広げ1回摩砕
面を通過させた。この間に要する時間は約6分であっ
た。以上の結果仕込み 1.3リットル(重量部 13100g)
の皮革・水混合物の終了は約1リットル(1000g)であ
った。そして計7回融砕機を通過させた最終物は図1の
顕微鏡組織写真に示すようにコラーゲン繊維は殆どが
0.6μm以下の径であった。
【0027】次にスーパーグラインデルの排出口から出
たパルプを容器に取り出し目の細かい布地袋中で濾過す
る。こうすると水分は徐々に布地目より抜け出し、水分
を 230%前後含んだ膨潤状態のコラーゲン繊維が得られ
る。
【0028】この方法で得られた含水コラーゲン解繊物
は、次の工程でシート状、或いはフィルム状、その他壁
材、不繊布等の原料として供給することができる。さら
に別に凍結乾燥後、微粉体とすることもできる。
【0029】以下に原料を市販牛乳パック廃棄物の切断
くずを出発材料とし、セルロース繊維をサブミクロン単
位へ解繊する方法、絹精練物を出発原料としてフィブロ
イン繊維をサブミクロン単位へ解繊する方法、更に海洋
性多糖類の資源キチン(N−アセチル・D−グルコサミ
ンがβ-1.4結合した高分子体)を出発原料にして、キチ
ン(キトサンを含む)繊維をサブミクロン単位へ解繊す
る方法、また牛乳パック(セルロース)と皮革廃棄物
(コラーゲン)とを同時に解繊する方法、更にこれらに
無機粉体例えばセリサイト、カオリン、ケイ酸ソーダ、
木炭粉を添加し、同時に解繊する方法についても実施し
た。一方繊維体パーティクルを鉱物油中や植物油中に分
散させてサブミクロン単位へ解繊する方法も含まれる。
解繊物の繊維径は融砕機のクリアランスの調整、通過回
数等でそれぞれ任意に調整される。
【0030】(実施例2)廃棄牛乳パックを5×5cm角
に切断したもの100gに15倍量の水を加えて浸漬した。
水に浸漬された牛乳パックを上記スーパーグラインデル
の投入口に連続的にいれた。この時は先ず砥石間のクリ
アランスを0.08mmとし、回転砥石の回転数を 1450rpmに
セットして稼働させる。
【0031】原料がーパーグラインデルの摩砕面を通
過するとき、摩擦熱で原料中の温度は約50℃前後とな
る。所定の条件下で摩砕面を通過した原料はその主成分
のセルロースが逐次解繊し、セルロース繊維集合体とな
る。またラミネートされているPEフィルムは分離し、
微細化されていく。排出口から出てきた水・セルロース
繊維・PE混合物は投入口に戻し同一条件で2回通過さ
せる。
【0032】そして3度目はクリアランスを0.04mmとし
て2回繰返し通過させ、5度目はクリアランスを 0.1mm
と広げて3回繰返し通過させる。この間に要する時間は
約6分間であった。
【0033】以上の結果仕込み 1.5リットル(重量部 1
5100g)の牛乳パック・水混合液の収量は約 1.2リット
ル(重量部1200g)であった。そして7回通過させた最
終物は図2の電子顕微鏡写真に示すようにセルロース解
繊物の径は 0.7μm以下にミクロフィブリル化されてい
るものが殆どであり、このミクロフィブリル化繊維の表
面に微粉砕化されたPEが均一に付着していた。
【0034】次に大過剰の水を袋地濾過法で取り除き、
最大膨潤した状態のミクロフィブリル化セルロース繊
維を取り出し、次の抄造工程の原料とした。
【0035】(実施例3) 旭ガラス(株)製キャラペイス(Carapace)
(キチンを脱アセチル化して作られたキトサン:含有水
分10%以下、灰分34%、脱アセチル化度79%)の
重量に対して14倍量の水を加え浸漬した。この浸漬物
を上記スーパーグラインデルの投入口に連続的に入れ
た。この時のスーパーグラインデルの調整は先ず砥石間
のクリアランスを0.08mmとし、回転砥石の回転数
を950rpmにセットして稼働する。
【0036】原料がスーパーグラインデルの摩砕面を通
過する時、摩擦熱が生じ、原料中の温度が40℃前後とな
る。摩砕面を通過した原料は次第に解繊しキトサン繊維
束集合体が水と混在し若干粘度をもって排出口から出て
くる。これを投入口に戻し3回繰返す。
【0037】4度目はクリアランスを0.04mmにして2回
繰返し6回目はクリアランスを 0.1mmとして、1回通過
させた。これまでに要する時間は6分程度であった。
【0038】その結果仕込み量 1.4リットル(重量で 1
4100g)のキトサン・水混合物の収量は約 1.2リットル
であった。最終物の電子顕微鏡写真を図3に示す。解繊
されたキトサン繊維の径は 0.8μm以下が殆どとなっ
た。
【0039】そして過剰の水を除去し、最大膨潤した
状態のキトサンミクロフィブリル化繊維は次の加工製品
の原料に提供可能である。
【0040】(実施例4)絹精練物の 100g重量に対し
て10倍量(1リットル)の水を加え浸漬した。水に浸漬
された絹精練物を上記スーパーグラインデルの投入口に
連続的に入れた。この時のスーパーグラインデルの調整
は先ず砥石間のクリアランスを0.04mmとし、回転砥石の
回転数を750rpmにセットし稼働する。
【0041】原料がスーパーグラインデルの摩砕面を通
過する時、摩擦熱が生じ原料中の温度は約40℃前後とな
る。
【0042】摩砕面を通過した原料は次第に解繊し、フ
ィブロイン繊維束の集合体が水と混在して排出口から連
続的に出てくる。これを再び投入口に戻し続けて3回同
一条件で繰返し、通過させると、フィブロイン繊維束は
著しく解繊する。4度目はクリアランスを0.08mmとして
2度繰返し通過させる。これまでに要した時間は約5分
間であった。
【0043】その結果仕込み1リットル(重量部1100
g)の絹洗練物、水混合物に対し最終収量は約 0.8リッ
トルであった。そして最終物のフィブロイン繊維の径は
0.6μm以下のものが殆どであった。
【0044】その後過剰の水分を除去して、最大膨潤
した状態含水量200%前後の物を得、次の加工製品
の原料に供すことができた。
【0045】(実施例5)コンピューター使用済用紙を
5×5cm以下に切断した物 100g重量に対して11倍量
( 1.1リットル)の水を加えて浸漬すると紙は水を吸っ
てやわらかくなる。この浸漬物を実施例2と同一の装置
を用い、同一条件下で稼働するとコンピューター用紙の
主成分であるセルロース繊維が解繊され、なおインクが
完全に取り除かれ最終収量は約 0.9リットルのパルプと
水の混合物であった。
【0046】最終物はセルロース繊維が完全にミクロフ
ィブリル化され、その径は 0.8μm以下のものが殆どで
あった。その後大過剰の水を取り除き、次の抄造工程の
原料に供すことができた。
【0047】(実施例6)3×3cm角以下に切断したく
ず皮革50gと、5×5cm以下に切断した牛乳パック50g
に15倍量( 1.5リットル)の水を加えて浸漬した。この
水に浸漬された混合物を上記スーパーグラインデルの投
入口に連続的に入れた。この時のスーパーグラインデル
の調整は先ず砥石間のクリアランスを0.08mmとし、回転
砥石の回転数を 1450rpmにセットして稼働する。
【0048】原料がスーパーグラインデルの摩砕面を通
過するとき、摩擦熱で原料の温度は約50℃前後となる。
摩砕面を通過しながら原料は解繊し、繊維束の集合体が
水と混在し、パルプ状となって排出口から連続的に出て
くる。
【0049】これを投入口に戻して繰返し3回摩砕面を
通過させた後、4度目はクリアランスを0.04mmとし、2
度繰返し通過させた後、クリアランスを 0.1mmに広げて
1回通過させる。この間に要した時間は約6分間程度で
あった。
【0050】その結果仕込量 1.5リットル(重量で 151
00g)の原料に対し最終収量は約1リットルであった。
【0051】また7回通過させた最終物は図4で電子顕
微鏡写真に示すように、牛乳パックから解繊されたセル
ロース繊維は0.8μm以下にミクロフィブリル化さ
れ、皮革から解繊されたコラーゲン繊維は0.5μm以
下にミクロフィブリル化され、更に牛乳パックにラミネ
ートされていたPEフィルムは微細化され両繊維の面に
均一に分散付着している複合体であった。
【0052】その後過剰の水分を除いて、抄造、成形の
原料に供給することが可能となった。
【0053】(実施例7)上記実施例3で用いた旭ガラ
ス(株)製キャラペイス 100g重量に対して18倍量の大
豆油を加えこれを浸漬した。この原料を上記スーパーグ
ラインデルの投入口に連続的に入れた。この時のスーパ
ーグラインデルの調整は先ず砥石間のクリアランスを0.
08mmとし、回転砥石の回転数を 1450rpmにセットして稼
働する。
【0054】原料が摩砕面を通過するとキトサンは解繊
され粘度が急に上昇する。排出口から出た原料は再び投
入口にもどし同一条件で3回繰返し摩砕面を通過させ
る。次にクリアランスを0.04mmとして2回繰返し通過さ
せる。これまでに要した時間は4分弱であった。
【0055】その結果仕込量 1.8リットルのキトサン・
大豆油の混合物の収量は約 1.5リットルであった。5回
通過させたキトサン繊維の径の殆どは 0.9μm以下であ
った。
【0056】(実施例8)3×3cm以下に切断した皮革
くず 100gに15倍量の鉱物油(ガソリンスタンドで市販
されている沸点 220〜275 ℃範囲のもの)を加えて浸漬
する。この混合物を上記スーパーグラインデルの投入口
に連続的に入れた。このときのスーパーグラインデルの
調整は先ず砥石間のクリアランスを0.06mmとし、回転砥
石の回転数を750rpmにセットして稼働する。
【0057】この場合原料がスーパーグラインデルの摩
砕面を通過するとき、鉱物油がキャリアーとなる為、摩
擦熱は殆ど出ない。摩砕面を通過した原料は次第に解繊
し、コラーゲン繊維束の集合体となり、鉱物油中に混在
した状態のまま、排出口から連続的に出てくる。これを
再び投入口にもどし、4度繰返し摩砕面を通過させる。
5度目はクリアランスを0.04mmとして、さらに2回繰返
し通過させる。これまでに要する時間は約6分間であっ
た。
【0058】その結果仕込量 1.5リットルの皮革切断く
ず・鉱物油混合物の最終通過時の収量は約 1.3リットル
であった。この時のミクロフィブリル化されたコラーゲ
ン繊維の径は図5の電子顕微鏡写真に示すように 0.8μ
m程度に全て解繊されていた。この状態でPEやPPの
延伸工程中の鉱物油滴下のパーツを鉱物油単体のかわり
に使用すると、コラーゲン繊維を含んだ複合体PEやP
Pを作ることができる。
【0059】(実施例9)実施例6の工程中、砥石間の
クリアランスを0.08mmとして3回繰返し摩砕面を通過さ
せた牛乳パック切断くず・皮革切断くず・水の混合パル
プを、4回目にスーパーグラインデル投入口に入れる
時、直径 1.0μm以下に調整されたセリサイトを35g徐
々に投入口から添加する。このときのクリアランスは0.
08mmで同じに設定されている。5度目はクリアランスを
0.04mmとして2度繰返し通過させ、さらに7度目はクリ
アランスを 0.1mmとして最終物を排出口より得た。
【0060】最終物中、牛乳パックから解繊されたセル
ロース繊維は 0.8μm以下にミクロフィブリル化され、
皮革から解繊されたコラーゲン繊維は0.5μm以下にミ
クロフィブリル化され、この両繊維の表面にPE微砕物
と 0.8μm以下に微粉砕化されたセリサイトが均一に分
散し、付着していた。その後過剰の水を除くことにより
抄造法によるシート製造の原料に供給することができ
た。
【0061】
【発明の効果】1955年頃までは、高分子化学は天然品の
ことを指していた。ところがその頃から化石製品のプラ
スチックが出てきて高分子化学というのは石油化学の研
究を指し、また市販の製品も天然物から作った製品を次
から次へと駆逐していった。現在はもう一度もとに戻し
て出直そうとしているところである。一方、化石製品か
ら得られたプラスチックも土壌中の微生物や紫外線で分
解するものを目指して研究を進めている。
【0062】セルロース繊維は木材の細胞壁の主成分、
キチンはカニやエビなどの殻や菌類の細胞壁の主成分、
コラーゲンは動物の皮革の主成分、フィブロインは蚕か
らとれる絹の主成分である。これ等天然物は太古より自
然界に還元され公害を起こすことはなかった。本発明は
上述のセルロースや皮革の解繊によって得られるコラー
ゲン繊維の高分子構造、特にその階層構造に着目し、構
成骨格のフィブリルをミクロフィブリル化する技術を見
出したもので、分解し低分子化することなく高分子構造
のままシート状、またはフィルム状にして新しく高分子
体を構築しようと発明されたものである。
【0063】特に注目すべきことは、牛乳パック切断く
ずと皮革切断くずを同時に解繊し、サブミクロン単位ま
でフィブリル化したパルプは、セルロースとコラーゲン
繊維がサブミクロンオーダーで結合された複合化繊維構
造をとり、なお牛乳パックにラミネートされたPEフィ
ルムが微粉砕化されて両者の繊維表面に均一に分散付着
した構造をとっていることを見出したことである。
【0064】このようにして得られた複合化解繊物で作
ったシートは、セルロースの性質とコラーゲンの性質、
またPEの性質の長所だけを示し、引張強度は通常のセ
ルロースパルプの3倍以上であり、複合則より高い値を
示すことから住宅関連材料にも応用が可能である。紫外
線や土壌中の菌で分解される性質をもつことから移植鉢
等の利用することもできる。
【0065】このように強度の強いことから、漆器素材
に適していることも判明した。天然繊維物が 0.9μm以
下に解繊されたパルプ、又は複合化パルプは市場に無か
ったが、本発明により安価で市場に供給できれば、これ
ら素材から新しい性質と機能を備えた製品を数多く作り
出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で得られたコラーゲン繊維体の電子顕
微鏡写真である。
【図2】実施例2で得られたセルロース繊維体の電子顕
微鏡写真である。
【図3】実施例3で得られたキトサン繊維体の電子顕微
鏡写真である。
【図4】実施例6で得られたセルロース繊維とコラーゲ
ン繊維の混合体の電子顕微鏡写真である。
【図5】実施例8で得られたコラーゲン繊維の電子顕微
鏡写真である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 D21H 11/14 D21H 5/12 A 13/30 5/14 Z // D06M 101:02

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 上部のポリマーで複合化した固定砥石と
    下部の同じくポリマーで複合化した回転砥石とが外周部
    の平坦面で相接触され、これら上下の固定砥石と回転砥
    石の円周平坦面に続く内周部の中窪み面に放射方向に対
    して互に反対方向に傾斜する摩砕突条及び凹溝を設け、
    該回転砥石の回転により、これら上下の砥石の摩砕突条
    及び凹溝が互いにはさみ状に交叉するように配設してな
    る融砕機の該固定砥石と該回転砥石間で処理した直径
    0.9μm以下に解繊された天然繊維1重量部に対し
    て、水を1.5〜2.2倍重量部含有し、さらに最大に
    膨潤していることを特徴とするサブミクロン単位に解繊
    された天然繊維体。
  2. 【請求項2】 天然繊維がセルロース、キトサンの如き
    天然多糖類、コラーゲン又はフィブロインである請求項
    1記載のサブミクロン単位に解繊された天然繊維体。
  3. 【請求項3】 直径0.9μm以下に解繊されたセルロ
    ース繊維と、直径0.5μm以下に解繊されたコラーゲ
    ン繊維とが1:0.9〜1:1.1の重量比で混合して
    いることを特徴とする天然繊維複合体。
  4. 【請求項4】 直径0.9μm以下に解繊されたセルロ
    ース繊維の表面に、直径0.7μm以下に微粉砕化され
    たPE又はPP樹脂が、1:0.05〜1:0.1の重
    量比で均一に分散していることを特徴とする天然繊維樹
    脂複合体。
  5. 【請求項5】 直径0.9μm以下に解繊されたコラー
    ゲン繊維の表面に、直径0.5μm以下に微粉砕化され
    た無機材が、1:0.2〜1:0.4の重量比で均一に
    分散していることを特徴とする天然繊維無機材複合体。
  6. 【請求項6】 直径0.9μm以下に解繊されたコラー
    ゲン繊維1重量部と、鉱物油1.7〜2.1重量部から
    なり、該繊維が油に最大に膨潤していることを特徴とす
    るサブミクロン単位に解繊されたコラーゲン繊維体。
  7. 【請求項7】 直径0.9μm以下に解繊されたキトサ
    ン繊維1重量部と、植物油1.6〜2.1重量部からな
    り、繊維が油に最大に膨張していることを特徴とするサ
    ブミクロン単位に解繊されたキトサン繊維体。
  8. 【請求項8】 天然繊維1重量部に対し水又は油を10
    〜15倍量加えた混合物を、上下一対のポリマーで複合
    化されて外周部平坦面が相互に接触し、該平坦面に続く
    中窪み面に放射方向に対して互いに反対方向に傾斜する
    摩砕突条及び凹溝を、該回転砥石の回転によりこれら摩
    砕突条及び凹溝が互いにはさみ状に交差するように設け
    た回転砥石及び固定砥石の中央部の間隙に供給し、上記
    回転砥石の回転に伴う遠心力と上下砥石の摩砕突条間さ
    らには上下砥石外周部の平坦面間によって、上記天然繊
    維原料の剪断と摩砕を10回以内で繰返し与え、切断を
    伴うことなく直径0.9μm以下に縦方向に開裂し最大
    に膨潤した天然繊維体を外周吐出部より得ることを特徴
    とするサブミクロン単位に解繊された天然繊維体の製造
    方法。
  9. 【請求項9】 天然繊維がセルロース、キトサンの如き
    天然多糖類、コラーゲン又はフィブロインである請求項
    8記載のサブミクロン単位に解繊された天然繊維体の製
    造方法。
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