JP2653423B2 - リン酸カルシウム化合物−セルロース繊維複合材料及びその製造法 - Google Patents

リン酸カルシウム化合物−セルロース繊維複合材料及びその製造法

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    • DTEXTILES; PAPER
    • D06TREATMENT OF TEXTILES OR THE LIKE; LAUNDERING; FLEXIBLE MATERIALS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • D06MTREATMENT, NOT PROVIDED FOR ELSEWHERE IN CLASS D06, OF FIBRES, THREADS, YARNS, FABRICS, FEATHERS OR FIBROUS GOODS MADE FROM SUCH MATERIALS
    • D06M11/00Treating fibres, threads, yarns, fabrics or fibrous goods made from such materials, with inorganic substances or complexes thereof; Such treatment combined with mechanical treatment, e.g. mercerising
    • D06M11/68Treating fibres, threads, yarns, fabrics or fibrous goods made from such materials, with inorganic substances or complexes thereof; Such treatment combined with mechanical treatment, e.g. mercerising with phosphorus or compounds thereof, e.g. with chlorophosphonic acid or salts thereof
    • D06M11/70Treating fibres, threads, yarns, fabrics or fibrous goods made from such materials, with inorganic substances or complexes thereof; Such treatment combined with mechanical treatment, e.g. mercerising with phosphorus or compounds thereof, e.g. with chlorophosphonic acid or salts thereof with oxides of phosphorus; with hypophosphorous, phosphorous or phosphoric acids or their salts
    • D06M11/71Salts of phosphoric acids

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、リン酸カルシウム化
合物−セルロース繊維複合材料及びその製造法に関する
ものである。更に詳しくは、本発明は、セルロース繊維
上にリン酸カルシウムを均一にコーティングさせること
を特徴とするセルロース繊維を基材としたリン酸カルシ
ウム化合物コーティング複合体及びその製造方法に関す
るものであり、リン酸カルシウム化合物と基材であるセ
ルロース繊維とが化学的に強固に結合した優れた特性を
有するリン酸カルシウム−セルロース繊維複合体材料及
び該複合材料を簡便に製造することを可能にする方法に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】水酸アパタイトに代表されるリン酸カル
シウム化合物は歯や骨の無機主成分であることから医療
用歯骨置換材料として活用されている。また、該リン酸
カルシウムは、タンパク質あるいはウィルス等の吸着特
性を有するため、分離精製用のクロマトグラフィー用充
填材、感染防止用のフィルター材料への展開も検討さ
れ、パルプなどのセルロース繊維と該リン酸カルシウム
との複合化も試みられている。パルプなどセルロース繊
維にリン酸カルシウム化合物をコーティングすることに
より複合化する場合、従来技術として、基材のセルロー
ス繊維に顆粒状のリン酸カルシウム化合物をバインダー
を用いて担持させる方法、あるいはカルシウムイオンと
リン酸イオンを含む水溶液中で基材のセルロース繊維の
表面に析出させる方法が知られている(繊維と工業,4
9(11),417−421(1993)、及びバウン
ダリー,1995(1),22−23(1995))。
【0003】この場合、コーティング層のリン酸カルシ
ウム化合物は、基材のセルロース繊維とバインダーによ
り付着されているか、あるいは基材にアンカリングによ
り付着していると考えられている。そして、このような
方法により製造された複合材料は、バインダーの種類、
基材の表面状態によっては、使用中あるいは洗浄中に、
基材のセルロース繊維の表面に担持したリン酸カルシウ
ムが基材から脱落する現象が起こり、それにつれて吸着
能、分離能の低下が生じるという問題を有していた。
【0004】そのために、リン酸カルシウム化合物と基
材のセルロース繊維とが強固に結合したリン酸カルシウ
ム化合物コーティング複合材料を製造する技術を開発す
ることが期待されるものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来技
術に鑑みてなされたものであって、本発明が解決しよう
とする課題は、強固に基材のセルロース繊維と結合した
リン酸カルシウム化合物コーティング複合材料及び、該
複合材料を得ることのできる新規製造技術を提供するこ
とである。
【0006】更に、本発明は、基材のセルロース繊維上
にリン酸カルシウムを均一にコーティングさせてなる優
れた特性を有するリン酸カルシウム化合物−セルロース
繊維複合材料及びその製造法を提供することを目的とす
るものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
の本発明の態様は、セルロース繊維表面をリン酸エステ
ル化し、カルシウムイオンと水酸イオンを含む水溶液に
表面リン酸エステル化したセルロース繊維を漬け、次に
カルシウムイオンとリン酸イオンを含む水溶液に漬ける
ことにより、セルロース繊維上にリン酸カルシウムを均
一にコーティングさせることを特徴とするセルロース繊
維を基材としたリン酸カルシウム化合物コーティング複
合体の製造法、である。また、本発明の他の態様は、表
面リン酸エステル化したセルロース繊維を、カルシウム
イオンと水酸イオンを含む水溶液に漬ける際の保持温度
は20〜50℃、保持時間は1 〜10日である上記のセルロー
ス繊維を基材としたリン酸カルシウム化合物コーティン
グ複合体の製造法、である。また、本発明の他の態様
は、次にカルシウムイオンとリン酸イオンを含む水溶液
に漬ける際のカルシウム濃度は0.002 molL-1〜0.08 mol
L -1、リン酸濃度は0.001 molL-1〜0.04 molL -1、保持
温度は20〜50℃、保持時間は1 〜14日である上記のセル
ロース繊維を基材としたリン酸カルシウム化合物コーテ
ィング複合体の製造法、である。更に、本発明の他の態
様は、上記の製造法により製造して成るセルロース繊維
を基材としたリン酸カルシウム化合物コーティング複合
体、である。本発明によるリン酸カルシウム化合物−セ
ルロース繊維複合材料の製造法は、これを詳述すれば、
以下の通りである。この明細書において、「リン酸カル
シウム化合物」なる用語は、水酸アパタイトに代表され
るオルトリン酸化合物全般を意味する。水酸アパタイト
は、Ca10(PO4,X)6(OH,X)2(X=CO3)、の化学式を有する
化合物である。
【0008】セルロース繊維小片を、尿素と亜リン酸を
含むジメチルホルムアミド中、窒素気流下で130-150 ℃
まで昇温し反応させると、セルロース繊維表面がリン酸
エステル化する。この場合、セルロース繊維を構成する
炭素原子が酸素原子を介してリンとが結合したC−O−
P結合が生成しており、繊維とリンが化学的に結合して
いる。この場合、セルロース繊維としては、木綿、パル
プが代表的なものとして例示される。セルロース繊維の
形態は、特に限定されるものではなく、例えば、繊維
状、粉体状などが好適なものとして例示される。表面リ
ン酸エステル化した繊維を、好適には、20℃から50℃の
温度域でカルシウムイオンと水酸イオンを含む水溶液に
1〜10日間漬けると加水分解反応により、セルロース
繊維表面に顆粒状の亜リン酸カルシウムが生成する。こ
の加水分解反応には、カルシウムイオンと水酸イオン共
に必要である。例えば、カルシウムイオンだけでは反応
は良好に起こらない。また、保持温度を20〜50℃、
保持時間を1〜10日間とすることが、反応を良好なも
のにする上で、好ましい。次に、よく水洗いするが、こ
れはセルロース繊維中に残留した反応に寄与しないカル
シウムイオンを除くためである。
【0009】次いで、上記加水分解反応による生成物
を、好適には、20℃から50℃の温度域でカルシウム濃度
0.002 molL-1〜0.08 molL -1、リン酸濃度0.001 molL-1
〜0.04molL -1の水溶液に漬けるが、このことにより、
まもなくセルロース繊維上に生成物が現れはじめる。こ
の場合、例えば、設定温度36.5℃、カルシウムイオン
0.00375 molL -1、リン酸イオン 0.0015 molL-1の場
合、10日程度でセルロース繊維は緻密で均一な生成物で
覆われる。この生成物は水銀アパタイトであった。この
生成物は水洗してもセルロース繊維からの脱離は観察さ
れなかった。
【0010】以上の次第で、この発明によるリン酸カル
シウム化合物−セルロース繊維複合材料及びその製造法
は、セルロース繊維を表面リン酸エステル化し、カルシ
ウムイオンと水酸イオンを含む水溶液に漬け、次に、カ
ルシウムイオンとリン酸イオンを含む水溶液に漬けるこ
とにより、セルロース表面にリン酸カルシウムを均一に
コーティングさせることを特徴とするもので、基材のセ
ルロース繊維と被覆層のリン酸カルシウム化合物を化学
的に結合させることができる。そのため、リン酸カルシ
ウム化合物と基材であるセルロース繊維とが強固に結合
したリン酸カルシウム化合物コーティング複合材料を製
造することができ、リン酸カルシウム化合物の脱落のた
め吸着能、分離能の低下が生じるという問題を解決する
ことができる。
【0011】本発明は冒頭で説明したように、バインダ
ーを用いず、基材のセルロース繊維と被覆層のリン酸カ
ルシウム化合物を化学的に結合させている。バインダー
を用いた場合、被覆層のリン酸カルシウム化合物をバイ
ンダーが覆うため吸着能が低下することは避けられない
が、この発明によれば、吸着、分離能を有するリン酸カ
ルシウム化合物がセルロース繊維一面に強固に付着して
いる。また、この方法によれば、表面リン酸エステル化
したセルロース繊維を水溶液に比較的低温に保持し漬け
ておくだけという比較的簡便な操作で基材のセルロース
繊維にリン酸カルシウム化合物を均一にコーティングす
ることができる。
【0012】
【実施例】以下に、本発明の実施例を示し、本発明を具
体的に明らかとする。
【0013】実施例1 小片に切断したコットン3gを、尿素 40gを含む500 mLの
ジメチルホルムアミド中、窒素気流下で130 ℃まで昇温
した。次に、亜リン酸 27gを含む100 mLのジメチルホル
ムアミド溶液を加え、140-145 ℃まで昇温し、攪拌しな
がら30分還流した後、蒸留水でよく水洗いした。以上の
操作により、表面リン酸エステル化させた。こうして得
られた表面リン酸エステル化したコットンは、マイクロ
フーリエ変換赤外分光分析によると、コットンとリン酸
が化学的に結合していることが明らかであった。マイク
ロフーリエ変換赤外分光分析は、以下のようにして行っ
た。試料への照射光を10から50ミクロンに絞り、試料か
らの赤外領域の光を光干渉計に入れ、出てくる光の強度
を可動鏡の移動距離の関数として測定し、そのフーリエ
変換によってスペクトルを得た。表面リン酸エステル化
したコットン試料において、1000から1200cm-1までの
間で特徴的な幾つかのP−O伸縮振動と2360cm-1でP
−H伸縮振動に対応する吸収ピークを見いだした。
【0014】上記操作により表面リン酸エステル化した
コットンを、室温で飽和水酸化カルシウム水溶液に8 日
漬けた。その後、蒸留水でよく水洗いした。このように
して得られたコットンは、走査型電子顕微鏡観察の結
果、コットン表面に顆粒状の物質が付着している様子が
観察された。また、元素分析の結果、カルシウムとリン
の比は1であり、マイクロフーリエ変換赤外分光法によ
り、コットン表面に亜リン酸カルシウム一水和物が生成
していた。走査型電子顕微鏡は、収束電子線を試料表面
に走査して、放出される2次電子、反射電子を検出器に
受け、走査と同期してブラウン管に写し出すもので、試
料表面の形態観察を高倍率で行うことができる。また、
エネルギー分散分析により微小部の元素分析を併せて行
うことができる。
【0015】次に、上記生成物を、 0.0015 molL-1のリ
ン酸イオンと 0.0375 molL-1のカルシウムイオンを含む
溶液に36.5℃で10日漬けた。走査型電子顕微鏡観察の結
果、コットン繊維上に緻密に被覆物が密着していること
が観察され、マイクロフーリエ変換赤外分光分析による
と水銀アパタイトの吸収スペクトルを示し、元素分析の
結果、カルシウムとリンの比は1.7であり、これらに
よるとコットン繊維上の生成物は、水銀アパタイトであ
った。また、耐水試験として、毎分3リットルの流水で
10分間の条件で水洗しても生成物のコットン繊維から
の脱離は観察されなかった。
【0016】実施例2 小片に切断したパルプ3gを、尿素 40gを含む500 mLのジ
メチルホルムアミド中、窒素気流下で130 ℃まで昇温し
た。次に、亜リン酸 27gを含む100 mLのジメチルホルム
アミド溶液を加え、140-145 ℃まで昇温し、攪拌しなが
ら30分還流した後、蒸留水でよく水洗いした。以上の
操作により表面リン酸エステル化させた。こうして得ら
れた表面リン酸エステル化したパルプは、マイクロフー
リエ変換赤外分光分析によるとパルプとリン酸が化学的
に結合していることが明らかであった。マイクロフーリ
エ変換赤外分光分析は、試料への照射光を10から50ミク
ロンに絞り、試料からの赤外領域の光を光干渉計に入
れ、出てくる光の強度を可動鏡の移動距離の関数として
測定し、そのフーリエ変換によってスペクトルを得るも
ので、その結果、表面リン酸エステル化したパルプ試料
において1000から1200cm-1までの間で特徴的な幾つか
のP−O伸縮振動と2360cm-1でP−H伸縮振動に対応
する吸収ピークを見いだした。
【0017】上記操作により表面リン酸エステル化した
パルプを、室温で飽和水酸化カルシウム水溶液に 8日漬
けた。その後、蒸留水でよく水洗いした。このようにし
て得られたパルプは、走査型電子顕微鏡観察の結果、パ
ルプ表面に顆粒状の物質が付着している様子が観察さ
れ、元素分析の結果、カルシウムとリンの比は1であ
り、マイクロフーリエ変換赤外分光法により、パルプ表
面に亜リン酸カルシウム一水和物が生成していた。走査
型電子顕微鏡は、収束電子線を試料表面に走査して、放
出される2次電子、反射電子を検出器に受け、走査と同
期してブラウン管に写し出すもので、試料表面の形態観
察を高倍率で行うことができ、元素分析はエネルギー分
散分析により微小部の元素分析を行うことができる。
【0018】次に、上記生成物を、0.0015 molL -1のリ
ン酸イオンと 0.00375 molL -1のカルシウムイオンを含
む溶液に36.5℃で14日漬けた。走査型電子顕微鏡観察の
結果、パルプ繊維上に緻密に被覆物が密着していること
が観察され、マイクロフーリエ変換赤外分光分析による
と水銀アパタイトの吸収スペクトルを示し、元素分析の
結果、カルシウムとリンの比は1.7であり、これらに
よるとパルプ繊維上の生成物は、水銀アパタイトであっ
た。また、耐水試験として、毎分3リットルの流水で1
0分間の条件で水洗しても生成物のパルプ繊維からの脱
離は観察されなかった。
【0019】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明は、セルロ
ース繊維表面をリン酸エステル化し、カルシウムイオン
と水酸イオンを含む水溶液に表面リン酸エステル化した
セルロース繊維を漬け、次に、カルシウムイオンとリン
酸イオンを含む水溶液に漬けることによりセルロース繊
維上にリン酸カルシウムを均一にコーティングさせるこ
とを特徴とするセルロース繊維を基材としたリン酸カル
シウム化合物コーティング複合体及びその製造方法、に
関わるものであり、本発明によれば、基材のセルロース
繊維と被覆層のリン酸カルシウム化合物を化学的に結合
させることができる。そのため、リン酸カルシウム化合
物と基材であるセルロース繊維とが強固に結合したリン
酸カルシウム化合物コーティング複合材料を製造するこ
とができ、リン酸カルシウム化合物の脱落のため吸着
能、分離能の低下が生じるという問題を解決することが
できる。また、この方法によれば、表面リン酸エステル
化したセルロース繊維を水溶液に比較的低温に漬けてお
くだけという比較的簡便な操作で基材のセルロース繊維
にリン酸カルシウム化合物を均一にコーティングするこ
とができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 // D21H 17/67 D21H 3/78 (72)発明者 鈴木高広 愛知県名古屋市瑞穂区北原町3番11 三 旺マンション瑞穂北原102号 (72)発明者 西澤かおり 愛知県尾張旭市吉岡町2丁目3番地の27 (72)発明者 永田夫久江 愛知県名古屋市守山区下志段味風越2093 番地の6 (72)発明者 長江 肇 愛知県名古屋市名東区平和が丘1丁目70 番地 猪子石住宅9棟401号

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 セルロース繊維表面をリン酸エステル化
    し、カルシウムイオンと水酸イオンを含む水溶液に表面
    リン酸エステル化したセルロース繊維を漬け、次にカル
    シウムイオンとリン酸イオンを含む水溶液に漬けること
    により、セルロース繊維上にリン酸カルシウムを均一に
    コーティングさせることを特徴とするセルロース繊維を
    基材としたリン酸カルシウム化合物コーティング複合体
    の製造法。
  2. 【請求項2】 表面リン酸エステル化したセルロース繊
    維を、カルシウムイオンと水酸イオンを含む水溶液に漬
    ける際の保持温度は20〜50℃、保持時間は1〜10日であ
    る請求項1記載のセルロース繊維を基材としたリン酸カ
    ルシウム化合物コーティング複合体の製造法。
  3. 【請求項3】 次にカルシウムイオンとリン酸イオンを
    含む水溶液に漬ける際のカルシウム濃度は0.002 molL-1
    〜0.08 molL -1、リン酸濃度は0.001 molL-1〜0.04 mol
    L -1、保持温度は20〜50℃、保持時間は1 〜14日である
    請求項1記載のセルロース繊維を基材としたリン酸カル
    シウム化合物コーティング複合体の製造法。
  4. 【請求項4】 請求項1ないし請求項3記載の製造法に
    より製造して成るセルロース繊維を基材としたリン酸カ
    ルシウム化合物コーティング複合体。
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