JP2019131929A - セルロース繊維複合体及びその製造方法 - Google Patents

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Yoshiyuki Hashimoto
賀之 橋本
武大 北村
Takehiro Kitamura
武大 北村
加藤 且也
Katsuya Kato
且也 加藤
永田 夫久江
Fukue Nagata
夫久江 永田
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Abstract

【課題】微細繊維状セルロースの耐熱性を向上させる。【解決手段】実施形態に係るセルロース繊維複合体は、(A)平均繊維径が3nm以上100nm以下、(B)平均アスペクト比が10以上1000以下、及び(C)セルロースI型結晶構造を有する微細繊維状セルロースの表面に、リン酸カルシウム結晶が担持した構造を有するものである。前記セルロース繊維複合体は、前記微細繊維状セルロースの水分散体と、リン酸塩水溶液と、カルシウム塩水溶液を混合することにより得られる。【選択図】図1

Description

本発明は、セルロース繊維複合体及びその製造方法、並びに該セルロース繊維複合体を含む樹脂組成物に関するものである。
樹脂に各種繊維状強化材を配合することによりその強度及び剛性を向上させた繊維強化複合材料が、電気、電子、機械、自動車、建材等の産業分野で広く用いられている。この繊維強化複合材料に配合される繊維状強化材としては、優れた強度を有するガラス繊維が主に用いられている。
一方、近年、カーボンニュートラルの観点から植物由来材料を利用した高機能材料が注目される中、セルロースを含有する植物繊維に機械的処理、及び/又は化学的処理を施し、ナノサイズにまで解繊した微細繊維状セルロースを得る技術が開発され、これを樹脂に混合した繊維強化複合材料が提案されている(特許文献1)。しかしながら、微細繊維状セルロースは耐熱性が低いために、融点の高い樹脂の強化材には使用できない。
ところで、特許文献2には、生体親和材料、特異原子・分子吸着材料、物性測定用標準材料などに用いられるリン酸カルシウム系材料として、バイオセルロースを支持体とし、該支持体上にリン酸カルシウムの繊維状結晶を成長させてなるリン酸カルシウム結晶複合体が記載されている。しかしながら、バイオセルロースの詳細な説明はなく、セルロースI型結晶構造を有する微細繊維状セルロースの表面にリン酸カルシウム結晶を複合化させることは開示されておらず、またその耐熱性についても一切触れられていない。
特開2013−018931号公報 特開2010−208903号公報
本発明の実施形態は、微細繊維状セルロースの耐熱性を向上させることができるセルロース繊維複合体を提供することを目的とする。
本発明の実施形態に係るセルロース繊維複合体は、下記条件(A)、(B)及び(C)を満たす微細繊維状セルロースの表面にリン酸カルシウム結晶を担持してなるものである。
(A)平均繊維径が3nm以上100nm以下
(B)平均アスペクト比が10以上1000以下
(C)セルロースI型結晶構造を有する。
本発明の実施形態に係るセルロース繊維複合体の製造方法は、前記セルロース繊維複合体の製造方法であって、前記微細繊維状セルロースの水分散体と、リン酸塩水溶液と、カルシウム塩水溶液を混合する工程を含むものである。
本発明の実施形態によれば、微細繊維状セルロースの耐熱性を向上させることができる。
実施例1のセルロース繊維複合体のFE−SEM写真 実施例2のセルロース繊維複合体のFE−SEM写真 実施例3のセルロース繊維複合体のFE−SEM写真 実施例4のセルロース繊維複合体のFE−SEM写真
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
本実施形態に係るセルロース繊維複合体は、微細繊維状セルロースと、該微細繊維状セルロースの表面に担持されたリン酸カルシウム結晶とを含むものである。
微細繊維状セルロースとしては、(A)平均繊維径が3nm以上100nm以下であり、(B)平均アスペクト比が10以上1000以下であり、(C)セルロースI型結晶構造を有するものが用いられる。
上記(A)のように微細繊維状セルロースの平均繊維径は3〜100nmであり、そのため微細繊維状セルロースはセルロースナノファイバーとも称される。このような微細な繊維径を持つものを用いることにより、樹脂に配合する繊維状強化材としての補強効果を高めることができる。微細繊維状セルロースの平均繊維径は、好ましくは3〜80nm、より好ましくは3〜50nmである。
ここで、微細繊維状セルロースの平均繊維径は、次のようにして測定することができる。すなわち、固形分率で0.05〜0.1質量%の微細繊維状セルロースの水分散体を調製し、その水分散体を、親水化処理済みのカーボン膜被覆グリッド上にキャストして、透過型電子顕微鏡(TEM)の観察用試料とする。そして、構成する繊維の大きさに応じて5000倍、10000倍あるいは50000倍のいずれかの倍率で電子顕微鏡画像による観察を行う。その際に、得られた画像内に縦横任意の画像幅の軸を想定し、その軸に対し、20本以上の繊維が交差するよう、試料および観察条件(倍率等)を調節する。そして、この条件を満たす観察画像を得た後、この画像に対し、1枚の画像当たり縦横2本ずつの無作為な軸を引き、軸に交錯する繊維の繊維径を目視で読み取っていく。このようにして、最低3枚の重複しない表面部分の画像を、電子顕微鏡で撮影し、各々2つの軸に交錯する繊維の繊維径の値を読み取る(したがって、最低20本×2×3=120本の繊維径の情報が得られる)。このようにして得られた繊維径の相加平均を平均繊維径とする。
上記(B)のように微細繊維状セルロースの平均アスペクト比は10〜1000であり、上記平均繊維径とともにこのような平均アスペクト比を持つものを用いることにより、樹脂に配合する繊維状強化材としての補強効果を高めることができる。微細繊維状セルロースの平均アスペクト比は、好ましくは15〜800、より好ましくは20〜500である。
ここで、微細繊維状セルロースの平均アスペクト比は、次のようにして測定することができる。すなわち、上記の微細繊維状セルロースの平均繊維径の測定方法による透過型電子顕微鏡(TEM)から、セルロースの短幅の方の数平均幅、および長幅の方の数平均幅を観察する。すなわち、各先に述べた方法に従い、短幅の方の数平均幅、および長幅の方の数平均幅を算出し、これらの値を用いてアスペクト比は下記の式に従い算出される。
アスペクト比=長幅の方の数平均幅(nm)/短幅の方の数平均幅(nm)
上記(C)のように微細繊維状セルロースはセルロースI型結晶構造を有する。セルロースI型結晶は天然セルロースの結晶形であり、当該結晶構造を持つことにより、樹脂に配合する繊維状強化材としての補強効果を高めることができる。ここで、セルロースI型結晶構造を有することは、例えば、広角X線回折像測定により得られる回折プロファイルにおいて、2θ=14〜17°付近と、2θ=22〜23°付近の2つの位置に典型的なピークをもつことから同定することができる。
微細繊維状セルロースのセルロースI型結晶化度は、特に限定するものではないが、補強効果の観点から、40%以上であることが好ましく、より好ましくは50%以上、さらに好ましくは60%以上である。セルロースI型結晶化度の上限も特に限定されず、例えば95%以下でもよく、90%以下でもよく、85%以下でもよい。
ここで、セルロースI型結晶化度は、セルロース全体のうち結晶領域量の占める割合のことを意味し、X線回折法による回折強度値からSegal法により算出したセルロースI型結晶化度であり、下記計算式により定義される。
セルロースI型結晶化度(%)=〔(I22.6−I18.5)/I22.6〕×100
計算式中、I22.6は、X線回折における格子面(002面)(回折角2θ=22.6°)の回折強度、I18.5は、アモルファス部(回折角2θ=18.5°)の回折強度を示す。後記の実施例では、サンプルのX線回折強度の測定を、株式会社リガク製の「RINT2200」を用いて、X線源:Cu/Kα−radiation、管電圧:40Kv、管電流:30mA、測定範囲:回折角2θ=5〜35°、X線のスキャンスピード:10°/分の条件にて実施した。
微細繊維状セルロースとしては、セルロース繊維を上記平均繊維径となるまで解繊したものを用いることができる。解繊は、例えば、高速回転下でのホモミキサー、高圧ホモジナイザー、超音波分散処理機、ビーター、ディスク型レファイナー、コニカル型レファイナー、ダブルディスク型レファイナー、グラインダー等の、叩解性や離解性に優れる装置を用いて行うことができる。
ここで、原料となる天然セルロースとしては、特に限定されず、例えば、針葉樹系パルプや広葉樹系パルプ等の木材系パルプ、コットンリンターやコットンリント等の綿系パルプ、麦わらパルプやバガスパルプ等の非木材系パルプ等が好適に用いられ、いずれか1種又は2種以上組み合わせて用いてもよい。
微細繊維状セルロースとしては、繊維表面が化学修飾されたものを用いることが好ましい。その場合、上記解繊は、化学修飾後に実施してもよく、化学修飾前に実施してもよい。化学修飾の例としては、非イオン性基、アニオン性基、カチオン性基、又は両性基の導入が挙げられる。好ましくはアニオン変性、即ちセルロース分子中のグルコースユニットにアニオン性基を導入した微細繊維状セルロースが好ましい。
アニオン性基としては、カルボキシル基、リン酸基、スルホン酸基、及び硫酸基からなる群から選択される少なくとも1種が挙げられる。本明細書において、カルボキシル基は、酸型(−COOH)だけでなく、塩型、即ちカルボン酸塩基(−COOX、ここでXはカルボン酸と塩を形成する陽イオン)も含む概念である。リン酸基、スルホン酸基及び硫酸基についても、同様に、酸型だけでなく、塩型も含む概念である。アニオン性基の塩としては、特に限定されず、ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩等のアルカリ金属塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、バリウム塩等のアルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、ホスホニウム塩等のオニウム塩、1級アミン、2級アミン、3級アミン等のアミン塩等が挙げられる。
微細繊維状セルロースは、(D)カルボキシル基を有することが好ましい。カルボキシル基を有することにより、リン酸カルシウム結晶を容易に担持することができる。
カルボキシル基を有する微細繊維状セルロースとしては、例えば、セルロースを構成するグルコースユニットの水酸基を酸化してなる酸化セルロースや、セルロースを構成するグルコースユニットの水酸基をカルボキシメチル化してなるカルボキシメチル化セルロースが挙げられる。
酸化セルロースとしては、グルコースユニットの6位の水酸基を選択的にカルボキシル基に変換したものを用いてもよい。このような酸化セルロースは、木材パルプなどの天然セルロースをN−オキシル化合物の存在下、共酸化剤を用いて酸化させることにより得られる。N−オキシル化合物としては、一般に酸化触媒として用いられるニトロキシラジカルを有する化合物が用いられ、例えばピペリジンニトロキシオキシラジカルであり、特に2,2,6,6−テトラメチルピペリジノオキシラジカル(TEMPO)または4−アセトアミド−TEMPOが好ましい。
カルボキシメチル化セルロースは、例えば、水酸化ナトリウム等のマーセル化剤を用いて天然セルロースをマーセル化処理し、その後、アルカリ条件下でモノクロロ酢酸ナトリウム等のカルボキシメチル化剤を用いてエーテル化反応を行うことにより得られる。
カルボキシル基を有する微細繊維状セルロースにおいて、カルボキシル基の量は、特に限定されず、例えば1.0〜3.0mmol/gでもよく、1.2〜2.5mmol/gでもよい。ここで、カルボキシル基の量は、乾燥質量を精秤した微細繊維状セルロースから0.5〜1質量%スラリーを60mL調製し、0.1Mの塩酸水溶液によってpHを約2.5とした後、0.05Mの水酸化ナトリウム水溶液を滴下して、電気伝導度測定を行い、pHが約11になるまで続け、電気伝導度の変化が緩やかな弱酸の中和段階において消費された水酸化ナトリウム量(V)から、下記式に従い求めることができる。
カルボキシル基量(mmol/g)=V(mL)×〔0.05/セルロース質量(g)〕
セルロース繊維複合体を構成するリン酸カルシウム結晶は、微細繊維状セルロースの表面に担持されている。このように微細繊維状セルロースの表面にリン酸カルシウムの結晶を複合化させることにより、微細繊維状セルロースの耐熱性を向上させることができる。
なお、本実施形態において担持とは、微細繊維状セルロースの表面に、リン酸カルシウム結晶が脱落、飛散なく、全体あるいは一部に付着もしくは被覆している状態を含み、より具体的には、化学的、物理的または電気的に結合、吸着または固定化している状態などを示す。
リン酸カルシウム結晶としては、特に限定されず、例えば、第一リン酸カルシウム(Ca(HPO)及びその水和物、第二リン酸カルシウム(CaHPO)及びその水和物、第三リン酸カルシウム(Ca(PO)及びその水和物、リン酸八カルシウム(Ca(PO・5HO)、水酸アパタイト(Ca10(PO(OH))などが挙げられ、これらのいずれか1種又は2種以上の組み合わせでもよい。
セルロース繊維複合体の形状は、特に限定されず、例えば、粒子状、板状、リボン状、フィルム状、不定形など種々の形状をとることができる。すなわち、例えば、セルロース繊維複合体は、粒子状、板状、リボン状、フィルム状、又は不定形の形状を有してもよい。好ましくは、セルロース繊維複合体を構成するリン酸カルシウム結晶を、微細繊維状セルロースの表面に対して結晶形状を制御して複合化させることである。
セルロース繊維複合体の形状を制御して複合化させる方法としては、微細繊維状セルロースの水分散体と、リン酸塩水溶液と、カルシウム塩水溶液を混合する工程において、微細繊維状セルロースの質量に対して、リン酸塩と、カルシウム塩の混合質量を制御する方法が挙げられる。これらの混合質量を制御することで、得られるセルロース繊維複合体の形状を、例えば粒子状、フィルム状など種々の形状に制御することが可能となる。
なお、本実施形態において不定形とは、例えば、粒子状のような一定の形状、あるいは互いに同一の形状を持たないで、種々の形状からなることを意味する。これらのセルロース繊維複合体の形状は、TEMまたはFE−SEMを観察することにより確認することができる。
リン酸カルシウム結晶の担持量は、特に限定しないが、微細繊維状セルロース100質量部に対して、2質量部以上、5質量部以上、10質量部以上であってもよく、300質量部以下、250質量部以下、210質量部以下であってもよい。
本実施形態に係るセルロース繊維複合体の製造方法は、微細繊維状セルロースの水分散体と、リン酸塩水溶液と、カルシウム塩水溶液を混合する工程を含むものである。
微細繊維状セルロースの水分散体は、分散媒として水を含み、微細繊維状セルロースが分散媒中に分散した状態に含まれたものである。分散媒としては、水性媒体が用いられ、水単独でもよいが、例えば、水に可溶するアルコール類(エタノール、メタノール、イソプロパノール、イソブタノール、sec-ブタノール、tert-ブタノール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、エチレングリコール、グリセリンなど)、エーテル類(エチレングリコールジメチルエーテル、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフランなど)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン)、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキサイドなどの水と混和性のある親水性有機溶媒を併用してもよい。微細繊維状セルロースの濃度は、特に限定されず、例えば、0.01質量%以上、0.05質量%以上であってもよく、20質量%以下、10質量%以下、0.3質量%以下であってもよい。
リン酸塩水溶液としては、特に限定されないが、好ましい実施形態に係るものとして、リン酸アンモニウム、リン酸水素二アンモニウム、リン酸二水素アンモニウム、リン酸ナトリウム、リン酸一水素ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素アンモニウムナトリウム、及びこれらの水和物からなる群から選択される少なくとも1種が溶解している水溶液を用いることができる。
リン酸塩水溶液の濃度は、特に限定されず、微細繊維状セルロース水分散液及びカルシウム塩水溶液と混合した混合液の状態で、例えば、リン酸イオン濃度が0.01〜50mmol/Lでもよく、0.05〜10mmol/Lでもよい。
カルシウム塩水溶液としては、特に限定されないが、好ましい実施形態に係るものとして、硝酸カルシウム,塩化カルシウム、炭酸カルシウム、リン酸水素カルシウム、リン酸カルシウム、リン酸二水素カルシウム、二リン酸カルシウム、水酸化カルシウム、シュウ酸カルシウム、酢酸カルシウム、及びこれらの水和物からなる群から選択される少なくとも1種が溶解している水溶液を用いることができる。
カルシウム塩水溶液の濃度は、特に限定されず、微細繊維状セルロース水分散液及びリン酸塩水溶液と混合した混合液の状態で、例えば、カルシウムイオン濃度が0.01〜50mmol/Lでもよく、0.05〜10mmol/Lでもよい。
混合方法としては、特に限定されず、例えば、微細繊維状セルロースの水分散体に、リン酸塩水溶液とカルシウム塩水溶液を加えて攪拌することにより、本実施形態に係るセルロース繊維複合体の水分散液が得られる。
得られたセルロース繊維複合体の水分散液は、必要に応じて、セルロース繊維複合体を洗浄し、次いで脱溶媒し、更に乾燥してもよい。脱溶媒方法は、特に限定されず、例えば遠心沈降法、濾過、プレス処理などが挙げられる。乾燥方法は、特に限定されず、例えば、加熱乾燥方式、減圧乾燥方式、送風乾燥方式、マイクロ波乾燥方式、赤外線乾燥方式、凍結乾燥方式、ろ過脱水方式などが挙げられる。
本実施形態に係るセルロース繊維複合体の用途は、特に限定されないが、例えば、樹脂補強材、即ち樹脂に配合することによって強度及び剛性を向上させる繊維状強化材として好ましく用いられる。好ましい一実施形態に係る樹脂組成物は、上記セルロース繊維複合体と熱可塑性樹脂とを含有するものである。
熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリ乳酸樹脂等の飽和ポリエステル系樹脂; ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等のオレフィン系樹脂; トリアセチル化セルロース、ジアセチル化セルロース等のセルロース系樹脂; ナイロン樹脂、塩化ビニル樹脂、スチレン樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ビニルエーテル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリスルホン系樹脂等が挙げられる。これらの熱可塑性樹脂は、いずれか1種単独で、又は2種以上組み合わせて用いることができる。
セルロース繊維複合体の配合量は、特に限定されないが、熱可塑性樹脂100質量部に対して、0.01〜100質量部であることが好ましく、より好ましくは0.1〜30質量部である。
樹脂組成物には、熱可塑性樹脂及びセルロース繊維複合体の他に、任意成分として、例えば、相溶化剤、界面活性剤、防腐剤、充填剤、着色剤、可塑剤、香料、顔料、レベリング剤、導電剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、消臭剤等の各種添加剤を配合してもよい。
樹脂組成物は、熱可塑性樹脂とセルロース繊維複合体を混合することにより調製することができる。調製方法としては、特に限定されず、例えば、熱可塑性樹脂の融点以上に加熱して混合することができる。また、混合の際、適宜溶媒を用いてもよい。
得られた樹脂組成物は、電気、電子、機械、自動車、建材等の様々な産業分野における樹脂成形品を製造するために用いることができる。その際、上記混合して得られた樹脂組成物を、例えばシート、ペレット、粉末等の所望の形状に成形することにより、成形材料を作製してもよい。得られた成形材料を用いて、様々な樹脂成形品を成形することができる。その際の成形条件は、樹脂自体の成形条件を必要に応じて適宜調整して適用すればよい。
以下、実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[実施例1]
微細繊維状セルロースの水分散体として、微細繊維状セルロース(第一工業製薬製「レオクリスタ」、セルロース濃度:2質量%、平均繊維径:4nm、平均アスペクト比:250、セルロースI型結晶化度:82%、カルボキシル基量:2.0mmol/g)を、水を用いてセルロース濃度0.062質量%に調整した分散液を用いた。この分散液160mLに、カルシウムイオン濃度を2.0mmol/Lに調整した酢酸カルシウム水溶液20mLと、リン酸イオン濃度を1.2mmol/Lに調整したリン酸水素アンモニウム水溶液20mLを加えて、マグネチックスターラーを用いて毎分300回転の条件で室温で30分攪拌混合することにより、セルロース繊維複合体分散液を得た。得られたセルロース繊維複合体分散液を遠心分離し、上澄み液を除去することによりセルロース繊維複合体を得た。得られたセルロース繊維複合体は、微細繊維状セルロースの表面にリン酸カルシウム結晶(Ca10(PO4)6(OH)2)が担持されたものであり、リン酸カルシウム結晶の担持量は、微細繊維状セルロース100質量部に対して8.0質量部であった。
得られたセルロース繊維複合体について、FE−SEM(電界放出形走査電子顕微鏡)観察を行った。その画像は図1に示す通りであり、セルロース繊維複合体は、粒子状の形状を有するものであり、より詳細には無数の粒子が緊密に接触し合い、凝集したものであった。
[実施例2]
カルシウムイオン濃度を4.0mmol/L、リン酸イオン濃度を2.4mmol/Lに変更した以外は実施例1と同様にして、セルロース繊維複合体を得た。得られたセルロース繊維複合体は、微細繊維状セルロースの表面にリン酸カルシウム結晶(Ca10(PO4)6(OH)2)が担持されたものであり、リン酸カルシウム結晶の担持量は、微細繊維状セルロース100質量部に対して38.9質量部であった。
得られたセルロース繊維複合体について、FE−SEM(電界放出形走査電子顕微鏡)観察を行った。その画像は図2に示す通りであり、セルロース繊維複合体は、不定形の形状を有するものであった。
[実施例3]
カルシウムイオン濃度を8.0mmol/L、リン酸イオン濃度を4.8mmol/Lに変更した以外は実施例1と同様にして、セルロース繊維複合体を得た。得られたセルロース繊維複合体は、微細繊維状セルロースの表面にリン酸カルシウム結晶(Ca10(PO4)6(OH)2)が担持されたものであり、リン酸カルシウム結晶の担持量は、微細繊維状セルロース100質量部に対して72.4質量部であった。
得られたセルロース繊維複合体について、FE−SEM(電界放出形走査電子顕微鏡)観察を行った。その画像は図3に示す通りであり、セルロース繊維複合体は、不定形の形状を有するものであった。
[実施例4]
カルシウムイオン濃度を20.0mmol/L、リン酸イオン濃度を12.0mmol/Lに変更した以外は実施例1と同様にして、セルロース繊維複合体を得た。得られたセルロース繊維複合体は、微細繊維状セルロースの表面にリン酸カルシウム結晶(Ca10(PO4)6(OH)2)が担持されたものであり、リン酸カルシウム結晶の担持量は、微細繊維状セルロース100質量部に対して194.1質量部であった。
実施例4のセルロース繊維複合体について、実施例1と同様、FE−SEM観察を行った。その画像は図4に示す通りであり、セルロース繊維複合体は、リボン状の形状を有するものであった。
[実施例5]
微細繊維状セルロースの水分散体として、微細繊維状セルロース(第一工業製薬(株)製「レオクリスタ」、セルロース濃度:2質量%、平均繊維径:20nm、平均アスペクト比:50、セルロースI型結晶化度:81%、カルボキシル基量:2.0mmol/g)を、水を用いてセルロース濃度0.062質量%に調整した分散液を用いることに変更した以外は実施例1と同様にして、セルロース繊維複合体を得た。得られたセルロース繊維複合体は、微細繊維状セルロースの表面にリン酸カルシウム結晶(Ca10(PO4)6(OH)2)が担持されたものであり、リン酸カルシウム結晶の担持量は、微細繊維状セルロース100質量部に対して7.8質量部であった。また、FE−SEM観察により、セルロース繊維複合体は粒子状の形状を有していた。
[実施例6]
カルシウムイオン濃度を20.0mmol/L、リン酸イオン濃度を12.0mmol/Lに変更した以外は実施例5と同様にして、セルロース繊維複合体を得た。得られたセルロース繊維複合体は、微細繊維状セルロースの表面にリン酸カルシウム結晶(Ca10(PO4)6(OH)2)が担持されたものであり、リン酸カルシウム結晶の担持量は、微細繊維状セルロース100質量部に対して189.2質量部であった。また、FE−SEM観察により、セルロース繊維複合体はリボン状の形状を有していた。
[比較例1]
実施例1で使用したTEMPO酸化微細繊維状セルロース(第一工業製薬(株)製「レオクリスタ」)を、そのまま遠心分離し、上澄み液を除去して、比較例1に係る微細繊維状セルロースを得た。この微細繊維状セルロースについて、透過型電子顕微鏡(TEM)(日本電子社製、JEM−1400)を用いて観察した。すなわち、試料を親水化処理済みのカーボン膜被覆グリッド上にキャストした後、2%ウラニルアセテート水溶液でネガティブ染色したTEM像(倍率:10000倍)から、先に述べた方法に従い、微細繊維状セルロースを観察した。この微細繊維状セルロースにリン酸カルシウム結晶は存在しなかった。
[耐熱温度の測定]
実施例1〜6のセルロース繊維複合体及び比較例1の微細繊維状セルロースを、凍結乾燥し、得られた凍結乾燥物について、熱重量微分測定(DTG)を行った。DTG測定の結果により、そのピークとなる温度を耐熱温度とした。
結果は、下記表1に示す通りであり、リン酸カルシウム結晶が形成された実施例1〜6では、リン酸カルシウム結晶を持たない比較例1に対して耐熱温度が高く、耐熱性が向上した。
[加熱着色試験]
実施例1のセルロース繊維複合体と比較例1の微細繊維状セルロースについて、加熱着色試験を実施した。試験方法は、実施例1のセルロース繊維複合体及び比較例1の微細繊維状セルロースを、凍結乾燥し、得られた凍結乾燥物について、1分当たり5℃の昇温速度で150℃、200℃、250℃、300℃まで焼成した。焼成直後の微細繊維状セルロースを目視観察し、着色状態を下記の判定基準に従い、判定した。
◎:全体が白色
○:一部白色
△:全体が黄色に変色
×:全体が黒色に変色
[複合樹脂の作製と物性評価]
以下の方法により、ウレタン成分とセルロース成分を用いて、下記表3の組成を持つ複合樹脂を作製し、物性を測定した。
表3中の各成分の詳細は、以下の通りである。
・ウレタン成分:1,4−ブタンジオールとアジピン酸からなるポリエステルポリオールと、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物(ポリエーテルポリオール)と、トリメチロールプロパンと、ジメチロールプロピオン酸と、ヘキサメチレンジイソシアネートからなる、下記製造例1にて得られたウレタンプレポリマー
・セルロース成分A:アニオン変性の微細繊維状セルロース、第一工業製薬(株)製「レオクリスタ」(セルロース濃度:2質量%、平均繊維径:4nm、平均アスペクト比:250、セルロースI型結晶化度:82%、カルボキシル基量:2.0mmol/g、TEMPO酸化微細繊維状セルロース)
・セルロース成分B:実施例4で得られたセルロース繊維複合体(リン酸カルシウム結晶の担持量:微細繊維状セルロース100質量部に対して194.1質量部)
・セルロース成分C:未変性セルロース、ダイセルファインケム(株)製「セリッシュKY100G」(セルロース繊維を機械粉砕して微細化した未変性の微細繊維状セルロース、10質量%水分散体、数平均繊維径=100nm、平均アスペクト比=5000)を水で2質量%に希釈したもの
・セルロース成分D:下記製造例2にて得られたTEMPO酸化未解繊セルロース繊維
・セルロース成分E:下記製造例3にて得られた結晶性のないセルロース
[製造例1(ウレタン成分)]
撹拌機、還流冷却管、温度計および窒素吹き込み管を備えた4つ口フラスコに、下記の原料を加え、75℃で4時間反応させ、不揮発分に対する遊離のイソシアネート基含有量3.0%であるウレタンプレポリマーのメチルエチルケトン溶液を得た。
(原料)
・1,4−ブタンジオールとアジピン酸からなるポリエステルポリオール(商品名「ニッポラン4009」(日本ポリウレタン工業社製 Mw=1,000)) 200質量部
・ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物(ポリエーテルポリオール)(商品名「ポリエーテルBPX−11」(ADEKA社製 Mw=360)) 400質量部
・トリメチロールプロパン(低分子量ポリオール) 20質量部
・ジメチロールプロピオン酸(イオン性基含有化合物) 40質量部
・ヘキサメチレンジイソシアネート(イソシアネート化合物) 340質量部
・メチルエチルケトン 800質量部
上記メチルエチルケトン溶液を40℃まで冷却し、トリエチルアミンを30質量部加えて中和してウレタンプレポリマー(a1)を得た。
[製造例2(セルロース成分D)]
針葉樹パルプ2gに、水150mLと、臭化ナトリウム0.25gと、TEMPO0.025gとを加え、充分撹拌して分散させた後、13質量%次亜塩素酸ナトリウム水溶液(共酸化剤)を、上記パルプ1.0gに対して次亜塩素酸ナトリウム量が4.1mmol/gとなるように加え、反応を開始した。反応の進行に伴いpHが低下するため、pHを10〜11に保持するように0.5N水酸化ナトリウム水溶液を滴下しながら、pHの変化が見られなくなるまで反応させた(反応時間:120分)。反応終了後、0.1N塩酸を添加して中和した後、ろ過と水洗を繰り返して精製し、繊維表面が酸化されたセルロース繊維を得た。続いて、遠心分離機で固液分離した後、精製水を加えて固形分濃度4質量%に調整した。その後、24%NaOH水溶液にてスラリーのpHを10に調整した。スラリーの温度を30℃としてNaBHを0.3g(0.2mmol/g)を加え2時間反応させることにより還元処理した。続いて、0.1N塩酸を添加して中和した後、ろ過と水洗を繰り返して精製し、繊維表面が酸化された未解繊のセルロース繊維を含むセルロース水分散体を得た。得られたセルロース水分散体が含有するアニオン変性の未解繊のセルロースのカルボキシ基の含有量は1.0mmol/g、カルボニル基の含有量は0.10mmol/gであり、一方、アルデヒド基の検出は認められなかった。セルロース水分散体が含有するアニオン変性の未解繊のセルロースの数平均繊維径は182nm、平均アスペクト比は77であった。該変性未解繊のセルロースが含有するセルロースの結晶構造を広角X線回折像測定により確認したところ、I型結晶構造が「あり」であった。また、酸化前のセルロースの13C−NMRチャートで確認できるグルコース単位の1級水酸基のC6位に相当する62ppmのピークが、酸化反応後は消失し、代わりに、178ppmに、カルボキシ基に由来するピークが現れていた。よって、グルコース単位のC6位水酸基のみがカルボキシ基等に酸化されていることが確認された。
[製造例3(セルロース成分E)]
原料を針葉樹パルプに替えて再生セルロースを使用し、添加する次亜塩素酸ナトリウム水溶液を、再生セルロース1.0gに対して次亜塩素酸ナトリウム量が27.0mmol/gとした以外は、製造例2と同様の手法で、酸化、還元反応を行った。反応後、1M HClを添加して中和し、純水と水酸化ナトリウムを適量加え、高圧ホモジナイザー(H11、三和エンジニアリング社製)を用いて圧力100MPaで1回処理し、セルロース水分散体を作製した。得られたセルロース水分散体は、数平均繊維径は測定不可能(1nm以下)で、カルボキシル基量3.1mmol/gであり、結晶構造を有していなかった。
[参考例1]
製造例1で得られたウレタンプレポリマー(a1)1830質量部をホモジナイザーで撹拌しながら、微細繊維状セルロースとしてセルロース成分Aを、セルロース濃度0.33質量%に水を用いて調整した分散液3000質量部を徐々に加えて乳化分散させ、1時間撹拌した。これを減圧下、50℃で脱溶剤を行い、ポリウレタン・微細繊維状セルロース複合樹脂を30質量%含有する水性分散体を得た。
[実施例7]
製造例1で得られたウレタンプレポリマー(a1)1830質量部をホモジナイザーで撹拌しながら、セルロース成分Bを、複合体濃度0.33質量%に水を用いて調整した分散液3000質量部を徐々に加えて乳化分散させ、1時間撹拌した。これを減圧下、50℃で脱溶剤を行い、ポリウレタン・セルロース繊維複合体樹脂を30質量%含有する水性分散体を得た。
[比較例2]
製造例1で得られたウレタンプレポリマー(a1)1830質量部をホモジナイザーで撹拌しながら水2700質量部を徐々に加えて乳化分散させ、1時間撹拌した。これを減圧下、50℃で脱溶剤を行い、ポリウレタン樹脂を30質量%含有する水性分散体を得た。
[比較例3]
製造例1で得られたウレタンプレポリマー(a1)1830質量部をホモジナイザーで撹拌しながら、微細繊維状セルロースとしてセルロース成分Cを、セルロース濃度0.33質量%に水を用いて調整した分散液3000質量部を徐々に加えて乳化分散させ、1時間撹拌した。これを減圧下、50℃で脱溶剤を行い、ポリウレタン・微細繊維状セルロース複合樹脂を30質量%含有する水性分散体を得た。
[比較例4]
製造例1で得られたウレタンプレポリマー(a1)1830質量部をホモジナイザーで撹拌しながら、セルロース成分Dを、セルロース濃度0.33質量%に水を用いて調整した分散液3000質量部を徐々に加えて乳化分散させ、1時間撹拌した。これを減圧下、50℃で脱溶剤を行い、ポリウレタン・繊維表面が酸化された未解繊のセルロース繊維複合体樹脂を30質量%含有する水性分散体を得た。
[比較例5]
製造例1で得られたウレタンプレポリマー(a1)1830質量部をホモジナイザーで撹拌しながら、セルロース成分Eを、セルロース濃度0.33質量%に水を用いて調整した混合液3000質量部を徐々に加えて乳化分散させ、1時間撹拌した。これを減圧下、50℃で脱溶剤を行い、ポリウレタン・セルロース複合体樹脂を30質量%含有する水性分散体を得た。
[皮膜物性(強度、伸度、100%モジュラス)]
得られた水性分散体を、膜厚200μmとなるようにテフロン(登録商標)コーティングシャーレに投入し、80℃で6時間乾燥し、皮膜を作製した。上記皮膜をダンベル状試験片(3号)の大きさに切断することにより評価サンプルを作製した。JIS−K−6301に準じて、引張速度100mm/minで引張強度(N/mm)、伸度(%)、および100%モジュラス(N/mm)を測定した。なお、評価はベースウレタンである比較例2を100としたときの指数として表した。すなわち、実施例7では、(実施例7の実測値)/(比較例2の実測値)×100として算出した。
[皮膜の耐熱性]
耐熱性の評価として、皮膜物性と同様の方法で作成した皮膜を、200℃の環境下30分経過後の変色性を目視により観察した。ほとんど変色がないものを○、変色があるものを×として評価した。
以上のように、本実施形態に係るリン酸カルシウム結晶で複合化したセルロース繊維複合体であると、未処理の微細繊維状セルロースよりも耐熱性が向上していた。また、リン酸カルシウム結晶で複合化したセルロース繊維複合体を配合した樹脂は、皮膜物性の強度、伸度、100%モジュラスが向上し、200℃、30分の加熱に対し、変色をほとんど示さなかった。そのため、より融点の高い樹脂についても強化材として用いることができ、幅広い樹脂の利用が可能となることが分かる。

Claims (6)

  1. 下記条件(A)、(B)及び(C)を満たす微細繊維状セルロースの表面に、リン酸カルシウム結晶を担持してなるセルロース繊維複合体。
    (A)平均繊維径が3nm以上100nm以下
    (B)平均アスペクト比が10以上1000以下
    (C)セルロースI型結晶構造を有する
  2. 前記微細繊維状セルロースが(D)カルボキシル基を有する、請求項1に記載のセルロース繊維複合体。
  3. 前記セルロース繊維複合体の、微細繊維状セルロースに対するリン酸カルシウム結晶の担持量が、微細繊維状セルロース100質量部に対し、2〜300質量部であることを特徴とする請求項1又は2に記載のセルロース繊維複合体。
  4. 請求項1〜3のいずれ1項に記載のセルロース繊維複合体の製造方法であって、
    前記微細繊維状セルロースの水分散体と、リン酸塩水溶液と、カルシウム塩水溶液を混合する工程を含む、セルロース繊維複合体の製造方法。
  5. 前記リン酸塩水溶液が、リン酸アンモニウム、リン酸水素二アンモニウム、リン酸二水素アンモニウム、リン酸ナトリウム、リン酸一水素ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素アンモニウムナトリウム、及びこれらの水和物からなる群から選択される少なくとも1種が溶解している水溶液である、請求項4に記載のセルロース繊維複合体の製造方法。
  6. 前記カルシウム塩水溶液が、硝酸カルシウム,塩化カルシウム、炭酸カルシウム、リン酸水素カルシウム、リン酸カルシウム、リン酸二水素カルシウム、二リン酸カルシウム、水酸化カルシウム、シュウ酸カルシウム、酢酸カルシウム、及びこれらの水和物からなる群から選択される少なくとも1種が溶解している水溶液である、請求項4又は5に記載のセルロース繊維複合体の製造方法。
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