JP2653263B2 - 溶鉄からの脱錫法 - Google Patents

溶鉄からの脱錫法

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  • Treatment Of Steel In Its Molten State (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、溶鉄から錫を除去する
方法、より詳述すれば、減圧下でArプラズマ処理して溶
鉄から錫を蒸発除去する溶鉄からの脱錫法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年に至り、自動車の解体屑等の鉄系ス
クラップ( 以下、単にスクラップという) を電気炉、キ
ュポラ等で溶解したりあるいは転炉で使用したりする
と、得られる溶銑あるいは溶鋼中の錫の含量が増すとい
うことがしばしば経験されている。この場合の錫は鋼板
のメッキ等から入ってくるのである。このようにして鋼
中に入った錫は、鋼の有害不純物であり、鋼の熱間加工
性の低下や伸びや絞りの低下をきたすので、少なくとも
0.1 %以下にすることが重要である。そしてこのような
不純物としての錫は少なければ少ない程良い。
【0003】従来にあっては、鉄鋼の大半を供給する鉄
鋼一貫メーカの使用原料は、云うまでもなく鉄鉱石であ
り、これらから錫が混入してくることはまずなく、した
がって、溶銑、溶鋼からの脱錫はスクラップを多用する
電炉メーカの場合を除いて実用上問題にならなかった。
ところが、スクラップの使用比率は鉄鋼生産に比例して
増えつづけており、一貫メーカにあってもスクラップの
使用を前提にした生産技術が検討され始めており、錫の
除去が問題となりつつある。しかも、錫は鉄よりも貴な
金属であるため、通常の製鋼過程では除去できないこと
から、何らかの新規な手段を開発する必要にせまられて
いる。
【0004】ところで、溶鉄の脱錫法としては、現在の
ところ、次のような方法が文献上公知である。 カルシウム−フッ化カルシウムフラックスを用いて、
エレクトロスラグ精錬(ESR)法により溶解する方法:主と
して脱リンを目的に開発された方法であるが、付随的に
脱錫が進行する。錫は、錫化カルシウムの形でスラグ中
に吸収除去されるものと考えられる。しかし、この方法
はESR法に限られるので、スクラップを用いて安価に
鋼を製造するという場合には処理コストが高すぎるとい
う問題がある。
【0005】炭化カルシウムを用いる方法:原理的に
は上記の方法と同じであり、錫は錫化カルシウムの形
で付随的に除去される。上記の方法との違いは、炭化
カルシウムを用いる場合、次式で示されるように、炭化
カルシウム(CaC2)の分解で生成されたカルシウム(Ca)が
錫と反応する点である。
【0006】CaC2 → Ca+2(C) この方法は実用的方法として実現される可能性が高い
が、やはりフラックス代が高い点に問題がある。さら
に、脱錫法としての上記、の方法はいずれも、還元
精錬であるのでアルゴン雰囲気内で実施する必要がある
し、また、脱錫と同時に脱リンが進行するために、処理
後のスラグを大気中に放置すると、スラグ中のリン化カ
ルシウムが大気中の水分と反応してホスフィンという悪
臭の有害ガスが発生するという問題がある。
【0007】超高真空処理法 : [「JOURNAL OF THE I
RON AND STEEL INSTITUTE 」1959年、2月発行、112 〜
175 頁、G.M.Gill等著論文 "The behaviour of various
elements in vacuum steel-making"]:錫の蒸気圧が鉄
より高いことを利用して、錫を超高真空下で蒸発除去さ
せる方法である。しかし、この方法では、真空度10-3
10-6Torrにすることが必要であり、この真空度は現在、
溶鉄の真空処理で通常使用されている真空度ほぼ0.1 〜
200 Torrに比べて非常に高く、また、錫の蒸発速度が遅
い点からも実用性に欠け、ルツボ規模での実験しか成功
していない。
【0008】以上に述べたように、脱錫については、ル
ツボ規模での実験例はあっても、コストあるいは技術上
の問題から、実用性のある方法はなく、このため、従来
はスクラップを溶解して得る溶鉄の錫の含量を目標値以
下にするためには、もっぱらスクラップの選択に依存し
ていた [前掲 "METALPROGRESS" 1960年、9月号、76頁
参照] 。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前述の当業
界の現状および社会的要請に鑑み、スクラップの種類を
問うことなく適用でき、かつ実用真空下で実施可能であ
る、溶鉄から錫を高効率で蒸発除去する方法を提供する
ことを目的とする。本発明の別の目的は、実用性の高い
手段によって錫を効率的に蒸発除去しながら多量の溶鉄
を処理できる経済的な方法を提供することである。さら
に本発明の別の目的は、実用的な手段でもって溶鉄中の
錫を少なくとも0.06%以下でできるだけ低いレベルまで
蒸発除去することのできる方法を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】ここに、本発明者は上記
目的を達成するために鋭意研究を続けたところ、減圧下
でArプラズマ処理を行う場合、錫が効率的に蒸発するこ
とを見い出し、先に特願昭61−156870号として特許出願
した。その後さらに検討を重ねたところ、溶鉄の硫黄含
有量を0.07%以上とした状態で減圧下でArプラズマ処理
を実施すれば、より効率的な脱錫が進行することを見い
出して本発明を完成した。
【0011】なお、真空下において溶鉄中の[S] 量が0.
01%以上と高い場合にはSnS として蒸発促進されるとの
研究発表があるが(CAMP ISIJ Vol.3, 1990,1184)、この
方法にあっても前述の真空蒸発と同様に10-1Pa(10-3Tor
r)という高真空下での処理を要する。この点、本発明に
あっては、200 Torrという減圧下でArプラズマ処理を実
施すればSnS としてSnの蒸発が促進されるという知見に
基づいている。
【0012】すなわち、本発明の要旨とするところは、
錫を含有する溶鉄を減圧下でArプラズマで精錬し脱錫す
る方法において、該溶鉄の硫黄含有量を0.07%以上とし
た状態で脱錫精錬を行うことを特徴とする溶鉄からの脱
錫法である。本発明の好適態様によれば、前記溶鉄は錫
0.01%以上含有する。本発明の脱Sn法は、プラズマフレ
ーム (一般に12000 ℃と云われている) によって局部的
に加熱された火点で蒸発が促進された結果、SnS または
Snの形でSnの蒸発が優先的におこることによるものと考
えられる。
【0013】
【作用】このように、本発明にあっては溶鉄からの脱錫
にプラズマアークを利用し、その時の溶鉄の処理条件と
して硫黄含有量を0.07%以上として減圧下でArプラズマ
処理を行うのである。ここで、添付図面によって本発明
をさらに説明すると、図1は本発明にかかる方法を実施
する装置の1例を略式で説明する図であるが、適宜容器
1に収容された処理すべき溶鉄2は正極に接続され、一
方これと対向して溶鉄上方には水冷型プラズマトーチ3
が配置され、全体は排気可能な減圧処理室4内に収容さ
れている。本発明においてプラズマ発生条件等は特に制
限されないが、好ましくは150Torr以下の減圧下で処理
を行う。
【0014】本発明によれば、このトーチ3の先端のノ
ズルからArガスを流しながら溶鉄とプラズマトーチとの
間に高電圧を印加してプラズマ状態を作り出すと、プラ
ズマ状態のガスが溶鉄面に衝突し、その衝突点の温度を
上昇させ、錫の蒸発を促進する。次に、本発明の脱錫作
用に影響する因子としては、硫黄含有量と雰囲気圧力等
がある。
【0015】図2のグラフは700 〜900 Nm3/t の使用量
のArガスを流しながら1650℃、200Torrで初期 [C]=0.5
%、[Sn]=0.06%の溶鉄の脱Snに及ぼす[S] の影響を
まとめたものである。[S] ≧0.07%で脱Snが促進される
のがわかる。上限は特に規定しないが、S含有量1%で
ほゞ効果が飽和するため1%以下で十分である。溶鉄は
通常の炭素鋼に由来するものである。
【0016】図3のグラフは同じArプラズマ条件で、初
期 [C]=0.5 %、[S] =0.1 %、1650℃で脱Snに及ぼす
雰囲気圧の影響をまとめたものである。雰囲気圧が低い
程、脱Snが促進されていることがわかる。特に、300 To
rrより高度の真空下で効果的に脱錫が進が、経済性を考
えて 100〜200 Torr程度が好ましい。この場合も溶鉄は
通常の炭素鋼に由来するものである。また、図には示し
ていないが、本発明で利用する脱錫作用は1種の蒸発現
象であるので溶鉄温度は高い程脱Snはすぐれているが、
本法は局所的に高温が実現できるため、通常の製鋼温度
である1600℃程度で効果を奏する。
【0017】対象の溶鉄としては、本発明の性質上、通
常のスクラップを溶解した場合の炭素鋼や溶鉄でも良い
し、Ni、Crを多く含んだステンレス鋼のような溶鋼でも
何でも処理可能である。対象溶鉄のSnは、0.01%以上が
良い。すなわち、これより低くなると経済的に脱Snがむ
ずかしくなりまた、鋼の性質上、これより低いSnの溶鉄
の脱Snは必要ないためである。ここに、プラズマ発生源
としては、DC−アークタイプが一般的であるが、AC−ア
ークタイプのものでも処理可能である。
【0018】
【実施例】本例では、スクラップ1.5 kgをルツボ状の容
器に入れ、図1に示すと同様な装置を使い、10 Nl/min
のArプラズマガスで処理した。このときのプラズマはDC
−アークプラズマであった。なお、比較例としてS含有
量を変えたスクラップを同様にArプラズマ処理した。Ar
プラズマ処理条件を表1にまとめて示す。このときの処
理前、処理後の溶鉄の組成分の変化を表2にまとめて示
す。
【0019】
【表1】
【0020】以上の結果からも分かるように [S]が高い
程良好な脱Snが進行した。
【0021】
【発明の効果】溶鉄の[S] を高い状態にしておくことに
より、[S] が低い場合に比べはるかに良好な脱Snが進行
した。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる方法を実施する装置の1例を示
す略式説明図である。
【図2】脱Sn率に及ぼす「S]の影響を示すグラフであ
る。
【図3】脱Sn率に及ぼす雰囲気圧の影響を示すグラフで
ある。
【符号の説明】
1 : 容器 2 : 溶鉄 3 : プラズマトーチ 4 : 処理室

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 錫を含有する溶鉄を減圧下でArプラズマ
    で精錬し脱錫する方法において、該溶鉄の硫黄含有量を
    0.07%以上とした状態で脱錫精錬を行うことを特徴とす
    る溶鉄からの脱錫法。
  2. 【請求項2】 前記溶鉄が錫0.01%以上含有する、請求
    項1記載の溶鉄からの脱錫法。
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