JP2653217B2 - 塑性加工用材料定数の設定方法 - Google Patents

塑性加工用材料定数の設定方法

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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、鍛造加工等の塑性加工における材料の変形
抵抗に関連する材料定数の値を設定する方法に係わり、
特に加工の進行に合わせてこの値を更新することを特徴
とする方法に関する。
[従来の技術] 従来より、鍛造装置等において鋼材等の鍛造加工をす
る際には、所定の材料定数に基づいて鍛造荷重を求め、
装置の設計や工程設計等を行っていた。
この材料定数については、一般式として(1)式や
(2)式が知られている。
σ=K・ ・・・(1) σ=C・ε ・・・(2) ここで、σは応力,εはひずみ,はひずみ速度であ
る。また、定数Kは単位ひずみ速度での変形抵抗、定数
mはひずみ速度感受性指数、定数Cは金属の強度を表す
値、定数nは加工硬化指数である。
こうした材料定数は、温度とひずみの条件により変化
し、例えば、定数mは、低温域では値0.02〜0.04とほぼ
0であるが、高温域では値0.1〜0.3程度になることが知
られている。ただし、Al−Zn合金などでは定数mが値0.
5以上となるものもある。
そこで、例えばある材料を熱間鍛造をする場合には、
変形中の温度とひずみ速度を加工の初期条件に基づいて
一定に保った状態で材料を変形させたときの応力−ひず
み曲線を、円柱試験片の圧縮により実験的に求め、これ
から材料定数K,mの値を算出していた。そして、加工の
ための予熱温度と加工終了状態のひずみからこれら材料
定数K,mを選定し、一定値として与えて、(1)式にて
鍛造荷重を求めるといった手法が採用されていた。
[発明が解決しようとする課題] しかし実際の加工においては、加工の開始から終了に
至るまでに、材料内の温度やひずみの分布が随時変化し
ている。従って、現実には、加工が開始されると、材料
の各部における材料定数K,m等の値は時間と共に、また
材料内の場所に応じてそれぞれに変化しているのであ
る。
このため、従来の方法で材料定数を一定値として与え
て求めた荷重と、実際の荷重とには差が生じるという問
題があった。このことは、場合によっては鍛造装置の設
計を誤り、荷重能力が足らないといった事態にもつなが
った。
そこで、実際の材料の挙動と一致する鍛造荷重等の加
工条件を精度よく求めるために、演算に必要な材料定数
K,m等を加工の進行状況と一致させて設定することがで
きる材料定数設定方法の提供を目的として本発明がなさ
れた。
[課題を解決するための手段] かかる目的を達成するためになされた本発明の鍛造加
工用材料定数の設定方法は、 塑性加工における材料の変形抵抗に関連する材料定数
の値を加工の進行に合わせて設定・変更する塑性加工用
材料定数の設定方法であって、 塑性加工の初期条件に基づいて、材料定数の値を設定
した後、 現在設定されている材料定数の値に基づいて、有限要
素解析手法を用いて塑性加工で材料が所定量変形した状
態を演算して材料定数の値を定めるパラメータとなる所
定の物理量が材料内で分布する状況を求め、 この所定の物理量の分布状況に基づいて現在設定され
ている材料定数の値を更新することを特徴とする。
[作用] 本発明の塑性加工用材料定数設定方法によれば、材料
定数として、まず、初期条件に基づいてその値を設定
し、材料が塑性加工されて所定量変形した状態での材料
内の所定の物理量の分布状況を有限要素解析手法にて演
算し、この演算結果に基づいて材料定数の値を更新す
る。これら物理量は、材料定数の値を決定するパラメー
タとなるものであるから、演算結果に基づいて材料定数
の値を求めることができ、材料定数を変形の進行に合わ
せて更新することができるのである。
さらに変形が進んだ状態においては、更新された値が
現在の値であるから、この更新値に基づいて有限要素演
算を実行し、材料定数の値をさらに更新していく。
この結果、材料定数には、常に加工の進行具合いと一
致する値が設定されることになり、この値を用いて演算
される鍛造荷重等の加工条件は、加工の進行具合いと一
致した精度のよいものとなる。
具体的には、熱間鍛造における材料定数K,mについて
いうと、例えば初期条件としての予熱温度T=T0とひず
みε=0に対応する初期値K(T0,0),m(T0,0)を設定
し、これらに基づいて、微少ストロークΔSだけ変形し
た状態の材料内の温度分布とひずみ分布を有限要素解析
手法を用いて求める。即ち、荷重条件や拘束条件を満足
するという条件下に、演算精度等に応じて分割した各要
素ごとに温度Tとひずみεを求めるのである。材料定数
K,mの値は、温度Tとひずみ分布に基づいて材料内の各
要素ごとに材料定数K,mを更新することができるのであ
る。
[実施例] 以下、本発明をより具体的に説明するため、本発明方
法を適用して熱間鍛造における鍛造荷重を演算する実施
例を説明し、併せてその演算結果と従来法による演算結
果及び実験結果の三者を対比した結果を説明する。
まず、鍛造荷重の演算に本発明方法の材料定数設定方
法を適用した処理の手順を第1図に基づいて説明する。
なお、この第1図の熱間鍛造荷重演算処理は、電子計算
機等において実施されるものであるが、電子計算機は一
般に知られているものであるからそのハード構成は省略
する。
熱間鍛造荷重演算処理においては、まず鍛造の初期条
件として、予熱温度T0と初期ひずみε0が、キーボード
等から入力され、電子計算機内のワークメモリに設定さ
れる(ステップ1)。なお、通常は初期ひずみε0は値
0となるが、プレコンプレッシヨン材等ではそのプレコ
ンプレッシヨン条件に対応するひずみの値となる。
次に、この初期条件T0,ε0に基づいて、電子計算機
のメモリに予め記憶してある定数K,mに関する材料特性
から、初期値としての材料定数K0,m0を求める(ステッ
プ2)。なお、材料特性は、外部のメモリに記憶してあ
っても構わない。電子計算機は、これら記憶内容から初
期条件T0,ε0に対応する材料定数K0,m0を読み出す処理
を行うのである。
ここで、材料定数K,mについて説明する。材料定数K,m
は、本実施例では、実際に実験する構造用炭素鋼S45Cの
円柱材を一定温度・一定ひずみ速度にて保持した条件で
圧縮試験を行ない、温度Tとひずみεをパラメータとし
て予め求めてある。
圧縮試験では、ひずみ速度=100[sec-1]と一定に
保ち、さらに変形中の温度Tを1000,1100,1200[℃]の
3温度条件に保持してそれぞれに圧縮試験を行い、第2
図に示す様に、応力−ひずみ曲線C1000,C1100,C1200を
求めた。なお、図の縦軸は相当応力であり、横軸は相当
ひずみである。
次に、これら各曲線C1000,C1100,C1200を微分して応
力σとひずみ速度にて表したものから、各温度Tとひ
ずみε毎に、材料定数K,mを求めた。これを一つの図表
に表したのが第3図(A)である。なお、第3図(A)
の縦軸は単位ひずみ速度での変形抵抗を表す材料定数K
であり、横軸はひずみ速度感受性指数を表す材料定数m
である。
電子計算機のメモリには、この第3図(A)の内容
が、ある温度Tとあるひずみεについての定数K,mとし
て、図中の特定ポイントPa,Pb,Pc,…毎の値をマップ化
して記憶してある。
従って、これら特定ポイントに対して記憶された温度
T,ひずみεの中間の温度,ひずみに対応する値は、内挿
により求める。内挿関数の例を(3)式,(4)式に示
す。
K(ξ,η)= 1/4{(1−ξ)(1−η)Ka +(1+ξ)(1−η)Kb +(1+ξ)(1+η)Kc +(1−ξ)(1+η)Kd} ・・・(3) m(ξ,η)= 1/4{(1−ξ)(1−η)ma +(1+ξ)(1−η)mb +(1+ξ)(1+η)mc +(1−ξ)(1+η)md} ・・・(4) ここで、Ka〜Kd,ma〜mdは、第3図(B)に示す様
に、材料定数が求められている4つの点Pa〜Pdにおける
各材料定数であり、(ξ,η)は、中点PbcとPadとを結
ぶξ軸と中点PabとPcdとを結ぶη軸を座標系とするとき
の座標値である。
なお、こうした内挿のできない場合は、同様の外挿関
数にて対応する材料定数の値を求めることができる。
この様に、ステップ2においては、電子計算機のメモ
リに記憶されたマップから、直接あるいは内挿や外挿に
より、予熱温度T0及び初期ひずみε0に対応する初期値
K0,m0が求められるのである。
こうして材料定数の初期値K0,m0が定まると、電子計
算機では、材料が所定量変形した場合の材料内の温度分
布とひずみ分布を演算し(ステップ3)、応力分布を演
算し(ステップ4)、さらにこれから、初期ストローク
S1分だけ変形する際の変形抵抗としての鍛造荷重F1を求
める(ステップ5)。これらステップ3〜5は有限要素
解析手法による演算処理として実行される。ここでは、
便宜的にひずみ分布と温度分布から演算される様に記載
したが、特にひずみ分布と温度分布にあっては、弾塑性
解析と熱力学的解析であって全く別個の関係式に基づい
て演算されるから、順番にはこだわる必要はない。
本実施例では、第4図(A)〜(C),第5図に示す
様に、構造用炭素鋼S45Cにて製造した直径80mm,高さ80m
mの円柱材10を、図示しない鍛造装置の下工具20の円柱
状の凹部25内に置き、中央に円錐台状の突起35を有する
上工具30にて、全ストローク40mmまで鍛造加工する条件
について演算を実施している。
ここで、工具20,30は、いずれもSKD61鋼で製造されて
おり、各寸法は以下の通りである。
工具20 凹部25の深さ …55mm 凹部25の内径 …110mm 工具30 本体の外径 …109mm 突起35の高さ …10mm 突起35の頂部直径 …40mm 突起35の底部直径 …60mm である。
また、有限要素解析における要素分割においては、第
5図に示す様に、4角形リング要素40を採用した。な
お、メッシュの大きさは、一辺2.5mmの正方形とし、右
側半分でのメッシュ総数は512個とした。
さらに、ステップ3の計算では、全ストロークStotal
=40mmをいくつかの変形ステップに分割したそのストロ
ークS1,S2,…の量だけ変形した状態を演算している。な
お、ストローク量は、1ステップ当り1mmである。従っ
て、本実施例では、40ステップの計算で全ストロークを
終了することになる。
なお、この各ステップでの演算の条件にもなるが、加
工条件としてのストローク速度、即ち工具20の圧下速度
は、200mm/secである。
こうした条件から、最初は、各要素の全てに「物性値
データ」として初期値K0,m0が設定され、初期変形ステ
ップでのストロークS1分だけ変形した状態について有限
要素解析手法による演算が実行される。
この演算においては、節点速度uとひずみ速度との
関係を表す(5)式,ひずみ速度と応力σとの関係を
表す(6)式及び応力σと節点力pとの関係を表す
(7)式が用いられる。
{}=[B]{u} ・・・(5) {σ}=[D]{} ・・・(6) {p}=∫[B]{σ}dV ・・・(7) 各式の{}はベクトル,[]は行列式を意味し、[]
は転置行列である。また、[B]は、一般にBマトリ
クスと称され、塑性変形におけるエネルギー最小の条件
に関する行列式であり、[D]は、変形抵抗に関する行
列式である。これら(5)式〜(7)式にから、ひずみ
速度と応力の関係を介して節点温度と節点力の関係が定
まる。
こうした関係式を用いて、内部処理では、Bマトリク
スの作成、汎関数の最小化、ひずみの算出、応力の算出
という手順が取られ、この応力の不釣合い判定を通じ
て、変形後の節点座標が求められる。
ここで、本実施例でのひずみ分布解析としての有限要
素解析においては、上述の様に「物性値データ」として
は材料定数K,mが与えられ、「寸法・形状データ」とし
ては、上述の材料の要素分割の情報と工具20,30の形状
に関する情報が与えられる。また、「拘束条件」として
は、ある節点については節点力の総和が値0となるとい
う条件と、下工具20との接触部分の節点速度が0であ
り、上工具30と接触している部分の節点速度が上工具30
のストローク速度と一致すという条件及びそのストロー
ク速度と、これらいずれの工具20,30とも接触していな
い部分の節点の変位は自由であるという条件が与えられ
る。
こうして有限要素解析を実行することによって、初期
条件K0,m0にて初期変形ステップだけ変形した状態での
各要素のひずみや応力の分布が求められる。また、この
応力の分布から鍛造荷重が求まるのである。
さらに、これと共に、ステップ3においては、「物性
値データ」として材料,工具及び空気の熱伝達特性を与
え、「拘束条件」として空気との接触面であるとか工具
との接触面であるとかいった放熱等の諸条件を与えて、
熱力学的条件式に基づいて有限要素解析を行うことによ
り、各要素の温度、即ち材料内の温度分布を求める処理
が併せて実行されるのである。なお、「寸法・形状」は
ひずみ・応力解析と同じである。
こうした有限要素解析手法自体については、例えば
「有限要素法入門」(三好敏郎著、培風館出版、昭和61
年10月30日初版第12刷発行(昭和53年12月10日初版発
行))等に詳しく述べられており、各種の弾塑性解析や
熱力学的或は流体力学的解析に種々用いられる。また、
ソフトも各種市販されていることから、有限要素解析理
論自体の説明は省略する。即ち、通常知られている有限
要素解析手法を用いればよいのであって、演算上の工夫
等は適宜行えばよい事柄である。
その後、鍛造加工の終了条件となったか否か、即ちス
トローク40mmまでの全変形ステップの変形状態を演算し
たか否かを判断し(ステップ6)、「YES」と判断され
たら演算処理を終了する。一方、「NO」と判断された
ら、ステップ3にて求めたひずみ分布と温度分布とか
ら、次の演算用に、各要素毎の材料定数K1,m1を第3図
の関係を記憶したマップから求めて「物性値データ」を
更新し(ステップ7)、再び次の変形ステップでのスト
ロークS2分だけ変形した状態のひずみ分布,温度分布を
求め(ステップ3)、応力計算をし(ステップ4)、こ
の変形ステップでの鍛造荷重F2を求める(ステップ
5)。ステップ7でも、上述の内挿関数等が利用され、
中間的な値も簡単に求めることができる様になされてい
ることは勿論である。
こうして変形ステップ毎に材料定数K,mを更新しつつ
求めた荷重Fを、ストロークSを横軸にとった第6図に
実線で示した。
また、第6図には、この演算条件に対応する実験結果
を黒丸で示した。さらに、ストローク40mm変形した場合
の最終ひずみと余熱温度から一定値として材料定数K,m
を定めて鍛造荷重を演算した従来例の結果を点線で示し
てある。
図から明らかな様に、実施例の演算結果と実験結果と
はほぼ完全に一致しているが、従来例による演算結果は
実際の鍛造荷重よりも低い値として計算されている。
この様に、本実施例によれば、変形ステップ毎に材料
定数K,mを更新しつつ演算する方法を採用したから、極
めて精度よく鍛造荷重を演算することができ、その結
果、以下の様に実際の設備設計や工程設計における顕著
な作用・効果が得られた。
実際の工程設計は、例えば第7図の様な手順で行わ
れ、まず、設備としての検討から鍛造装置の仕様を決定
し(ステップ100)、この仕様に基づいて荷重の上限を
決定する(ステップ110)。
次に、鍛造工程の設計に入り(ステップ120)、荷重
計算を実行する(ステップ130)。この荷重計算の結果
が、本実施例では第6図に実線で示される通り、黒丸の
実験結果とほぼ一致する値として得られるのであり、従
来の手法では、第6図の点線の様に実験結果よりも低い
値として得られるのである。
こうして得られた荷重がステップ110で決定した上限
値以下であるか否かを判断し(ステップ140)、「YES」
と判断されたらこの鍛造工程設計の結果に基づいて型の
製作が行われ(ステップ150)、実際の製品の量産が開
始される(ステップ160)。
しかし、ステップ140で「NO」と判断されたならば、
このままの鍛造工程では製品の製造ができないから、再
びステップ120に戻って鍛造工程の設計からやり直され
る。
こうして、最適な工程設計がなされるのであるが、本
実施例の方法であれば、正確な荷重演算の結果、ステッ
プ140において誤判断が生じることがない。また、こう
して正確な値が求まることから、荷重上限いっぱいの工
程設計もでき、設備の稼働効率等の向上を図るのに適し
ている。
これに対し、従来技術では、正確な荷重計算ができて
いないことから、安全側に過大となる工程設計を強いら
れ、これを怠ると荷重上限を越えてしまうために量産体
制に入れないという問題があったのである。
この様に、本実施例によれば、鍛造工程設計におい
て、過大に安全率を見越す必要がなく、設備の稼働効率
を最大限に引き出す工程設計、ひいては設備設計ができ
るという顕著な作用・効果を奏するのである。
さらに、こうした優れた作用・効果は、複雑形状への
塑性加工において特に顕著に表れる。これは、有限要素
法という解析手法自体の特徴でもあるが、特にその変形
の中間ステップ毎に材料定数を更新するという手法が採
用されることによって、生かされるのであって、単なる
有限要素解析手法の適用では、こうした交差を奏するに
は至らないのである。
以上本発明の実施例を説明したが、本発明は何等これ
に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲
の種々なる態様を採用することができる。
例えば、熱間鍛造に限らず、冷感鍛造や、しぼり加
工,押し出し加工あるいはプレス等の種々の塑性加工に
おいて工程設計をする場合にも、変形抵抗に関する材料
定数を設定・変更していく本発明手法を用いれば、正確
な演算ができ、最適設計に資するところ極めて大である
ことは明らかである。加えて、こうした場合に、設定・
変更される材料定数はK,m以外に、例えばC,n等それぞれ
に応じて採用すべき物性値に対応させればよく、これら
物性値を特定するためのパラメータも温度とひずみに限
定するものではない。従って、ひずみよりもひずみ速度
の方が適したパラメータならばそれの分布を求めればよ
いのであり、物理法則としての材料定数への影響力等、
必要にに応じてその他のパラメータも採用できることは
勿論である。
また、有限要素解析における要素分割においても、4
角形リング要素に限らず、その他の分割手法であっても
よいことはいうまでもない。実施例は、元の材料が円柱
材10であり、しかも上工具30も円錐台状の突起35を備
え、同心円的に加工されることから、4角形リング要素
が優れていると考えるが、直方体を出発原料とするなら
ばそれに適した要素分割を採用すべきことは勿論であ
る。加えて、市販の各種有限要素解析ソフトを用いる場
合の精度的な誤差等は、本発明においては問題ではな
く、要するに、塑性加工の工程をステップ分けして、有
限要素解析により中間ステップ毎に、物性値の条件を変
更していくことが大切なのである。ソフトに起因する精
度の問題は、要素分割やステップ分割の仕方でいくらで
も向上できるものだからである。
さらに、実施例では有限要素解析における「物性値デ
ータ」に、円柱材10の材料定数K,mを採用しているが、
工具についての物性値データも含ませて材料と工具との
設備全体について弾塑性解析をするといった適用方法も
採用し得る。
[発明の効果] 以上説明した様に本発明の塑性加工用材料定数の設定
方法によれば、実際の材料の挙動とよく一致した材料定
数の設定ができ、鍛造荷重等の塑性加工条件を精度よく
求めることができる。この結果、工程設計等において、
過大な安全率の設定等を排除することができ、設備の稼
働率の向上や限界設計への応用といった各種の塑性加工
における加工条件演算に対して多大な効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
第1図は実施例における熱間鍛造荷重演算処理のフロー
チャート、第2図はS45C鋼において実験的に求めた応力
−ひずみ曲線のグラフ、第3図(A)はその応力−ひず
み曲線に基づいて求めた材料定数K,mとひずみε及び温
度Tの関係を表すグラフ、第3図(B)は第3図(A)
から内挿を行なって材料定数K,mを求める方法を説明す
る説明図、第4図(A)は実施例で演算した熱間鍛造の
様子を加工開始について表す模式図、第4図(B)は同
じく加工途中について表す模式図、第4図(C)は同じ
く加工終了について表す模式図、第5図は有限要素解析
における要素分割の様子を概略表した説明図、第6図は
実施例の演算結果と実験結果及び従来法による演算結果
を対比して表したグラフ、第7図は鍛造工程の設計に本
実施例を組み込んだ様子を表すフローチャートである。 10……円柱材、20……下工具、30……上工具 40……4角形リング要素

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】塑性加工における材料の変形抵抗に関連す
    る材料定数の値を加工の進行に合わせて設定・変更する
    塑性加工用材料定数の設定方法であって、 塑性加工の初期条件に基づいて、材料定数の値を設定し
    た後、 現在設定されている材料定数の値に基づいて、有限要素
    解析手法を用いて塑性加工で材料が所定量変形した状態
    を演算して材料定数の値を定めるパラメータとなる所定
    の物理量が材料内で分布する状況を求め、 この所定の物理量の分布状況に基づいて現在設定されて
    いる材料定数の値を更新することを特徴とする塑性加工
    用材料定数の設定方法。
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