JP2651794B2 - オイル塗布ローラのオイル保持筒を製造する方法 - Google Patents

オイル塗布ローラのオイル保持筒を製造する方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、静電複写機や電子写真
式プリンタにおける定着装置等のオイル塗布ローラに使
用するオイル保持筒を製造する方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】静電複写機や電子写真式プリンタの定着
装置の多くはオイル塗布ローラと呼ばれる部品を備えて
おり、このオイル塗布ローラが定着ローラに接しながら
回転する間に定着ローラに微量のシリコーンオイルを塗
布して記録紙の剥離性を良くする。また、同時に、定着
ローラに付着したトナーをふき取ってオフセットを防止
する。
【0003】オイル塗布ローラが定着ローラに塗布する
シリコーンオイルは、別に用意されたオイル貯留部材か
らオイル塗布ローラに逐次供給される場合もあるが、オ
イル塗布ローラ自身に一定量を保持させておき、保持さ
せたオイルがなくなったときはオイル塗布ローラ全体を
交換するのが普通である。
【0004】オイル塗布ローラにシリコーンオイルを保
持させる機構には様々なものがあるが、オイルを十分に
保持させることができ、それによりオイル塗布ローラの
長期使用を可能にするのは、オイル塗布ローラの芯軸を
油透過性かつ中空のものにし、中空部にシリコーンオイ
ルを封入しておく方式のものである。この方式では、封
入したオイルを少しずつ中空芯軸の表面に浸出させ、そ
れを耐熱性繊維製フェルトからなるオイル塗布ローラ表
面層に毛細管現象により分布させる。油透過性の中空芯
軸としては、金属パイプに小径の穴を多数穿設したもの
(実開昭59−73762号,実開昭60−11085
4号,特開昭60−136782号)、多孔質の焼結金
属からなるもの(特開昭60−247276号)などが
使われている。
【0005】しかしながら、これら従来の油透過性中空
芯軸は、オイル塗布ローラの構成部品として用いたとき
オイル透過量の変動が大きく、特に、長時間使用しなか
ったときもオイルを透過させて運転再開時のオイル塗布
量を過大にし、記録紙をオイルで汚すことがあるという
問題点があった。また、製造上も、高度の技術を要する
ばかりか工程数が多く、製品がきわめて高価なものにな
るという問題点があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来のオイ
ル保持筒用中空芯軸が上述のような問題点を有するもの
であったことに鑑み全く新規な材料によるオイル保持筒
とその製造法を提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、 短繊維状セラミック繊維、該セラミック繊維に対し
30〜50重量%の有機質結合剤、および適量の水を混
合し、得られた可塑性混合物を円筒状に押出成形したの
ち乾燥することを特徴とするオイル塗布ローラのオイル
保持筒を製造する方法;および 短繊維状セラミック繊維30〜80重量%、粘土0
〜50重量%、無機質結合剤2〜15重量%、および有
機質結合剤12〜32重量%からなる混合物100重量
部に対して水を20〜100重量部加えて混練し、得ら
れた可塑性混合物を円筒状に押出成形したのち乾燥する
ことを特徴とするオイル塗布ローラのオイル保持筒を製
造する方法;を提供するものである。
【0008】上記本発明の製造法において、原料の短繊
維状セラミック繊維としては、長さが約0.1〜20m
m、太さが約1〜5μmの、アルミノシリケート質繊維、
アルミナ繊維等が適当である。
【0009】有機質結合剤は、セラミック繊維同士を
(粘土も併用する場合においてはセラミック繊維および
粘土粒子を相互に)結合して、円筒状成形体形状を保持
可能にすると共に、原料混合物の押出成形を容易にす
る。好ましい有機質結合剤は、メチルセルロース、カル
ボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロー
ス、ヒドロキシエチルセルロース等の水溶性セルロース
誘導体であるが、ほかにも、ポリビニルアルコール、フ
ェノール樹脂、ポリアクリル酸エステル、ポリアクリル
酸ソーダ等を使用することができる。
【0010】粘土としては、ガイロメ粘土、木節粘土、
カオリン、ベントナイト等を用いることができる。これ
らは、約1〜20μmの範囲でなるべく粒度の揃ったも
のであることが望ましい。粘土の添加は製品の気孔率を
下げ強度を上昇させる作用がある。しかしながら、50
重量%以上を添加すると気孔率が低くなりすぎ、オイル
保持筒として適当なオイル透過性を有する製品を得るこ
とはほとんど困難になる。
【0011】無機質結合剤は有機質結合剤に依存するだ
けでは製品強度が足りない場合、それを必要な水準まで
高めるのに有効であるが、多量の無機質結合剤も粘土を
増量した場合と同様に気孔率を低下させるので、過剰に
使用してはならない。適当な無機質結合剤の例として
は、コロイダルシリカ、アルミナゾル等がある。
【0012】上記の原料を混合して均一混合物とする
が、原料を混合する手順は任意であり、有機質結合剤や
無機質結合剤は水と共に他の成形原料に添加混合しても
よい。原料混合物の合計量100重量部あたり20〜1
00重量部の水を加え、よく混練すると、可塑性ある混
合物が得られる。これを、押出成形機を用いて円筒状に
成形する。円筒の壁厚は、乾燥後の厚さで約2〜5mmに
なるようにする。次いで常温または加熱下に乾燥する。
なお、乾燥前または乾燥後に、装着するオイル塗布ロー
ラの寸法に合わせて適当な長さに切断する。
【0013】上述の製造法により得られるオイル保持筒
は、見かけ上は緻密な成形体であっても、筒壁にはセラ
ミック繊維の間に分布した微細な連通空隙を多量に持っ
ており、オイル塗布ローラに使われるシリコーンオイル
を透過させることができる。
【0014】筒壁に存在する微細空隙は、押出成形物を
乾燥して硬化させる過程で水が蒸発した後に必然的に形
成されるものである。その含有率は、剛直なセラミック
繊維の含有率にほぼ比例し、セラミック繊維の比率が高
いほど空隙の量が多い。したがって、成形原料混合物に
おけるセラミック繊維と粘土の比率を変えることによ
り、容易に微細空隙の分布量を調節し、所望の油透過性
を備えたオイル保持筒を得ることができる。多くの場合
に適する油透過性を備えたオイル保持筒は、気孔率が約
30〜70%のものである(但し、気孔率=〔1−嵩比
重/真比重〕×100)。
【0015】本発明の製造法によるオイル保持筒は、オ
イル塗布ローラの駆動軸に、該駆動軸を覆うように同軸
配置で取り付けて使用する。なお、内径が駆動軸の直径
よりも十分大きく、取り付け状態において内周面と駆動
軸表面との間に隙間ができるような組み合わせで用い
る。両端は駆動軸への固定具を兼ねた密閉手段で密閉
し、駆動軸との間にできた空間に、シリコーンオイルを
封入する。オイルと共に、連通気孔を有する合成樹脂発
泡体やフェルトなどを詰め込んでおき、封入されたオイ
ルが流動しないようにしてもよい。
【0016】保持筒の表面には、従来のオイル塗布ロー
ラの表面層と同様に、耐熱性繊維製フェルトなど任意の
材料からなる任意の構成の表面層を固着する。保持筒内
に封入されたシリコーンオイルは、保持筒の壁を少しず
つ透過して表面層に供給される。
【0017】
【実施例】
実施例1 アルミノシリケート質セラミック繊維100重量部、カ
ルボキシメチルセルロース40重量部、および水58重
量部を混合してよく混練し、得られた可塑性混合物を押
出成形して乾燥することにより、内径16mm、外径24
mm、長さ300mmのオイル保持筒を得た。その嵩比重は
0.85、曲げ強度は120kgf/cm2、気孔率は60%で
あった。
【0018】このオイル保持筒の外周面にアラミド系耐
熱性繊維からなるフェルトを巻き付け、また両端面を密
閉し、中にシリコーンオイル(粘度1000センチポイズ)
を封入して、オイル吐出特性を調べた。試験は、全体を
200℃の乾燥器に入れて6時間加熱し、シリコーンオ
イルの浸透による耐熱性繊維フェルトの重量増加を1時
間ごとに測定してオイル保持筒からのシリコーンオイル
透過量を求め、その後室温に18時間放置してから上記
加熱試験を繰り返す方法により行なった。
【0019】その結果、オイル透過量は各サイクルとも
加熱開始1時間後に5g/Hを示し、その後約1g/H
まで徐々に減少した。このオイル吐出特性は、一般的な
定着装置に使用するオイル塗布ローラの特性として十分
なものであった。
【0020】実施例2 アルミノシリケート質セラミック繊維46重量%、ガイ
ロメ粘土28重量%、コロイダルシリカ7.5重量%
(固形分として)、メチルセルロース18.5重量%か
らなる混合物100重量部に対し水を65重量部混合し
て混練し、得られた可塑性混合物を押出成形して乾燥す
ることにより、内径16mm、外径24mm、長さ300mm
のオイル保持筒を得た。このオイル保持筒の嵩比重は
1.39、曲げ強度は324.4kgf/cm2、気孔率は38.
4%であった。
【0021】上記オイル保持筒について、実施例1の場
合と同様にしてオイル吐出特性を調べた(ただしシリコ
ーンオイルは粘度300センチポイズのものに変更し
た)。オイル透過量は各サイクルとも加熱開始1時間後
に4g/Hを示し、その後約1g/Hまで徐々に減少し
た。このオイル吐出特性は、一般的な定着装置に使用す
るオイル塗布ローラの特性として十分なものであった。
【0022】実施例3 ガイロメ粘土の配合量を2/3にしたほかは実施例1と
同様にして、オイル保持筒を製造した。得られたオイル
保持筒の嵩比重は1.29、曲げ強度は290.7kgf/cm
2、気孔率は42.4%であった。このオイル保持筒につ
いて、実施例2の場合と同様にしてオイル吐出特性を調
べた。オイル透過量は各サイクルとも加熱開始1時間後
に6g/Hを示し、その後約1g/Hまで徐々に減少し
た。このオイル吐出特性は、一般的な定着装置に使用す
るオイル塗布ローラの特性として十分なものであった。
【0023】
【発明の効果】セラミック繊維に適量の粘土を加えたも
のを押出成形して円筒状成形体を製造し、これをオイル
保持筒とする本発明によれば、長時間きわめて安定した
オイル透過性能を示すオイル保持筒を安価な原料から能
率的に製造することができる。また、原料配合を変える
ことにより製品のオイル透過性を容易に変更することが
できるので、様々なオイル透過性能が要求される多様な
用途に容易に対応することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平3−247576(JP,A) 特開 平2−277732(JP,A) 特開 昭60−247276(JP,A) 特開 昭63−13926(JP,A) 特開 昭62−113752(JP,A) 特開 昭62−47407(JP,A) 特開 平6−128602(JP,A)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 短繊維状セラミック繊維、該セラミック
    繊維に対し30〜50重量%の有機質結合剤、および適
    量の水を混合し、得られた可塑性混合物を円筒状に押出
    成形したのち乾燥することを特徴とするオイル塗布ロー
    ラのオイル保持筒を製造する方法。
  2. 【請求項2】 短繊維状セラミック繊維30〜80重量
    %、粘土0〜50重量%、無機質結合剤2〜15重量
    %、および有機質結合剤12〜32重量%からなる混合
    物100重量部に対して水を20〜100重量部加えて
    混練し、得られた可塑性混合物を円筒状に押出成形した
    のち乾燥することを特徴とするオイル塗布ローラのオイ
    ル保持筒を製造する方法。
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