JP2651646B2 - 裏込材注入用バルブ装置 - Google Patents

裏込材注入用バルブ装置

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JP2651646B2
JP2651646B2 JP4341251A JP34125192A JP2651646B2 JP 2651646 B2 JP2651646 B2 JP 2651646B2 JP 4341251 A JP4341251 A JP 4341251A JP 34125192 A JP34125192 A JP 34125192A JP 2651646 B2 JP2651646 B2 JP 2651646B2
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雅隆 川畑
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、トンネルの掘進に従っ
て施工されるトンネル覆工セグメントや推進管等のトン
ネル覆工壁の外周面とトンネル掘削面との間に裏込材を
注入するためのバルブ装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】トンネルを掘進しながら管体を推進して
地中に埋設する管体推進工法においては、掘削地盤に対
する管体の推進抵抗を減少させる目的で、減摩材等の裏
込材をトンネル内から管壁を通じて該管体と掘削地盤と
の間に注入することが行われており、また、所定長の管
体の推進埋設完了後には、注入された裏込材と硬化材と
を置換することによって地盤の沈下を防止することも行
われている。そして、このような裏込材注入手段として
は、従来から、図6に示すようなバタフライバルブが使
用されている。即ち、管体Pの適所に該管体Pの内外周
面間に亘って貫通するソケット体Aを挿着し、このソケ
ット体S内にバタフライバルブBを装着してなる構造を
採用している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、バタフ
ライバルブBでは、管体内側から裏込材を注入すること
ができても逆流させることができないために、裏込材と
硬化材とを置換することができず、従って、バタフライ
バルブBとは別個に後方側の管体適所に裏込材の排出口
とその排出後における閉止手段を設ける必要があった。
また、裏込材注入後にその注入口を閉止するには、ソケ
ット体Sに作業員が有底プラグGをねじ込むことにより
行っており、その作業が煩わしいという問題点があっ
た。本発明はこのような問題点を全面的に解消し得る裏
込材注入用バルブ装置の提供を目的とするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の裏込材注入用バルブ装置は、セグメント又
は推進管等のトンネル覆工壁の適所に貫通状態で装着さ
れ且つ内周面適所に周溝を設けている外筒体内に、先端
が開口した有底内筒体を摺動自在に挿嵌し、この内筒体
の底部側外周面に常態においてはトンネル内に連通して
いる裏込材通過孔を開設していると共に該通過孔から先
端部寄りの適所に内筒体が前進摺動した際に外筒体の前
記周溝に嵌入、係止するスナップリングを設け、さら
に、内筒体の開口端の弁座に弁体を開閉自在に配設し、
その弁棒を内筒体の底部中央を貫通させてトンネル内に
突出させた構造としているものである。
【0005】
【作用】トンネル内側に開口した外筒体の開口端をカバ
ーするようにして裏込材注入管の先端開口部をトンネル
覆工壁の内面に密着させて状態で該注入管を通じてトン
ネル内から裏込材を圧送、供給すると、裏込材はトンネ
ル内側に開口している内筒体の裏込材通過孔から該内筒
体内に圧入して弁体を押し上げ、覆工壁とトンネル掘削
地盤との間に注入される。なお、覆工壁が筒状樹脂膜で
被覆されている場合には、該膜と覆工壁との間に裏込材
が注入される。裏込材の注入後、弁棒を後退させること
によって弁体を内筒体の開口弁座に弁体を密着させれ
ば、注入した裏込材の逆流が阻止される。
【0006】次に、所定長さのトンネル覆工壁の形成
後、裏込材と硬化材とを置換させる場合、トンネル一端
側の覆工壁の適所に装着している裏込材注入用バルブ装
置から裏込材に換えて硬化材を上記同様にして注入する
一方、トンネル他端側の覆工壁の適所に装着しているバ
ルブ装置の弁棒を前進させて該内筒体の開口端を解放さ
せると、一端側のバルブ装置を通じて覆工壁と掘削地盤
との間に注入した硬化材によって先に注入した裏込材が
他端側に押し流され、他端側のバルブ装置の開口端から
通過孔を通じてトンネル内に排出される。
【0007】この際、上記同様に、該他端側のバルブ装
置の内端側における覆工壁の内面に排出管の先端を密着
させておくことによって、該排出管を通じて裏込材を排
除するものである。このようにして裏込材と硬化材との
置換が完了した後、両バルブ装置の内筒体をその外周面
に装着したスナップリングが外筒体の内周面に設けてい
る周溝に嵌まり込む位置まで掘削地盤側に押し込むと、
該内筒体の底部外周面に穿設している上記通過孔が外筒
体内に没入、密接し、弁体が不測に解放しても硬化材が
トンネル内に流出することはない。
【0008】
【実施例】次に、本発明の実施例を図面について説明す
ると、図2において、1はシールド機等のトンネル掘削
機CによるトンネルTの掘進に従って組み立てられるセ
グメント覆工、或いはトンネル内に推進埋設される推進
管等よりなる覆工壁で、トンネル掘削機C側の覆工壁1
の適所に裏込材注入用バルブ装置Vが装着されている。
【0009】このバルブ装置は図1に示すように、覆工
壁1にその内外周面間に亘って貫通するようにして固着
している外筒体2と、該外筒体2内に摺動自在に挿嵌さ
れた有底内筒体3と、この内筒体3の先端開口縁の弁座
4に着脱自在に配設している弁体5とを有しており、外
筒体2は覆工壁1の厚みと略同一長さに形成されている
と共にその基端部内周面を拡径させて環状空間部6を設
けてあり、さらに、先端部の内周面数箇所にスプリング
7によって常時内筒体3の先端部外周面に押接している
ボールプランジャ8を設けていると共に内周面の長さ方
向中央部からやゝ先端部寄りの部分に全周に亘って周溝
9を設けてある。
【0010】有底内筒体3は外筒体2よりもやゝ長く形
成されてあり、その底部3aの上端側周壁数箇所には内筒
体3内と外筒体2の前記環状空間部6間に連通する裏込
材通過孔10が穿設されていると共に、該通過孔10の上方
近傍部における外周面において、外筒体2の前記周溝9
から基端寄りに適宜間隔を存した部分にスナップリング
11を装着してあり、常態においては該スナップリング11
の外周面を外筒体2の内周面に弾接させてある。さら
に、この内筒体2の先端部外周面には、前記ボールプラ
ンジャ8の先端部を嵌入、係止させている円弧状係止凹
所12が設けられ、この係止状態においては内外筒体2、
3の先端面を略面一にしてある。また、内筒体3の底部
3aの外周面にOリング13を装着してある。
【0011】内筒体3の前記弁座4に密接している円板
形状の弁体5は、その基端面中央に弁棒14の先端を一体
的に固着してあり、この弁棒14の基端部は内筒体3の先
端部内に配設している弁ガイド部材15の中心に摺動自在
に貫通していると共に先端部は内筒体3の底部3aの中心
部に同じく摺動自在に貫通してトンネルT内に突出させ
てある。なお、前記弁ガイド部材15はその外周四方に突
設している支持腕片16の外端を内筒体3の内周面に固着
することによって内筒体3に支持されている。17は弁棒
14の中間部に固着したスプリング受けで、このスプリン
グ受け17と前記弁ガイド部材15の下面間にコイルスプリ
ング18を圧入して該コイルスプリング17の弾力により弁
体5を弁座4に密着させてある。なお、この状態におい
ては、弁体5の先端面は内筒体3の開口端と略面一とな
っている。
【0012】このように構成したバルブ装置Vによって
トンネルTの掘削地盤Aと覆工壁1との間に減摩材等の
裏込材を注入するには、まず、図3に示すように、先端
に漏斗形状の供給口19を有していると共にその内部中央
に押上げロッド20を設けている注入管21を使用して前記
供給口19の開口端縁に装着しているシール材23をバルブ
装置Vの外筒体2の基端外周における覆工壁1の内面に
密着させる。
【0013】この注入管21の供給口19は外筒体2の外径
と同等ないしはやゝ大径に形成されていると共に、内部
に配設している押上げロッド20はバルブ装置Vの弁棒14
の軸芯延長上に配設されてある。また、注入管21は図2
に示すように、その下端部をL字状に屈曲形成してその
屈曲部に押上げロッド20の下端部を摺動自在に且つ水密
的に貫通、支持していると共にトンネルT内を通じて配
設した注入ホース22に連結、連通してある。
【0014】この状態で注入管21から突出した押上げロ
ッド20の下端を押上げると共に、注入ホース22内にトン
ネルT内の適所に設置した裏込材供給源(図示せず)か
ら裏込材を圧送すると、押上ロッド20の押上げによって
そのロッド20の先端面で弁棒14がコイルスプリング18の
圧力に抗して押上げられ、弁体5が開くと共に、裏込材
は該注入ホース22内から注入管21の供給口19を通じて外
筒体2の環状空間部6に開口している通過孔10から内筒
体3内に流入し、さらに、該内筒体3内を通じて開弁し
た先端開口部から掘削地盤Aと覆工壁1との間に注入さ
れる。裏込材の注入が終わると、注入ホース22への裏込
材供給を停止すれば、弁体5がコイルスプリング18の弾
発力によって後退して内筒体3の開口端を閉止し、注入
した裏込材の逆流を防止する。
【0015】次に、所定長さのトンネル覆工壁1の築造
後、掘削地盤Aと覆工壁1との間に充填している裏込材
と硬化材とを置換させるには、図4に示すように、覆工
壁1の他端側に同一構造を有するバルブ装置V'を装着す
ると共に、このバルブ装置V'と覆工壁1の一端側に装着
している上記バルブ装置Vとに、同じく、上記供給口付
ホース22a 、22b を夫々接合させる。しかるのち、両バ
ルブ装置V、V'の弁体5を押上げロッドの押上げによっ
て開き、一端側のバルブ装置Vの内筒体3の開口端から
掘削地盤Aと覆工壁1との間に硬化材を送り込むと、裏
込材が該硬化材の流入に従って他端側に押し進められ、
他方のバルブ装置V'の内筒体3内に流入してその下端部
の通過孔10からホース22b 内に排出されるものである。
なお、バルブ装置Vから注入する場合は、必ずしもロッ
ド20を押し上げて弁体5を開かなくても、裏込材等の注
入圧によって開けるようにしてもよい。
【0016】このようにして裏込材と硬化材との置換が
終わると、両ホース22a 、22b の押上げロッド20をさら
に押し上げれば、両バルブ装置V、V'の内筒体3の外底
面に該ロッド先端面が当接した状態から内筒体3がその
押圧力を受け、外筒体2のボールプランジャ8から係止
凹部12を外して掘削地盤A側に突出する。そして、図5
に示すように、内筒体3の外周面に装着しているスナッ
プリング11が外筒体2の内周面に設けている周溝9内に
嵌入するまで内筒体3を押し上げると、該内筒体3が外
筒体2にロックされると共に内筒体3の下端部周囲に穿
設している数個の通過孔10が外筒体2内に没入、密接し
た状態となる。この状態においては、弁体5が不測に開
放してもトンネルT内に流出する虞れはない。また、内
筒体3の底部3aが環状空間部6内に収納され、該空間部
6にモルタルをコーキングすることによって覆工壁1内
面を面一にする。
【0017】なお、トンネルTの掘進に従ってトンネル
掘削機Cの後端から筒状の合成樹脂製膜Dを覆工壁1の
外周面に繰り出して該覆工壁1を被覆する場合には、覆
工壁1と筒状膜Dとの間に裏込材を注入し、又、その裏
込材を上記同様にして硬化材と置換するものである。ま
た、上記実施例においては、コイルスプリング18の弾発
力によって弁体5を内筒体3の弁座4に密着するように
付勢しているが、このようなコイルスプリング18を使用
することなく弁棒14を操作することによって弁体5を開
閉させるようにしてもよい。
【0018】
【発明の効果】以上のように本発明の裏込材注入用バル
ブ装置によれば、セグメント又は推進管等のトンネル覆
工壁の適所に貫通状態で装着され且つ内周面適所に周溝
を設けている外筒体内に、先端が開口した有底内筒体を
摺動自在に挿嵌し、この内筒体の底部側外周面に常態に
おいてはトンネル内に連通している裏込材通過孔を開設
していると共に該通過孔から先端部寄りの適所に内筒体
が前進摺動した際に外筒体の前記周溝に嵌入、係止する
スナップリングを設け、さらに、内筒体の開口端の弁座
に弁体を開閉自在に配設し、その弁棒を内筒体の底部中
央を貫通させてトンネル内に突出させているものである
から、この弁棒を突き上げ方向に作動させれば、弁体が
開いて通過孔から内筒体内を通じてトンネル覆工壁と掘
削地盤間との間に円滑に裏込材を注入することができる
ものである。
【0019】さらに、所定長さのトンネル覆工壁の形成
後、裏込材と硬化材とを置換させる場合、このバルブ装
置を覆工壁の他端側にも装着したのち、一端側に装着し
ているバルブ装置から裏込材に換えて硬化材を上記同様
にして注入すると、硬化材が掘削地盤と覆工壁との間に
充満する一方、裏込材が他端側に押し出されて他端側の
バルブ装置を通じて容易に排出させることができ、裏込
材と硬化材との置換が能率よく行えるものである。この
際、他端側のバルブ装置においては、弁棒の押し上げに
よって弁体が開放状態を維持し、その内筒体の底部周壁
に穿設している通過孔が裏込材排出口の役目を行って裏
込材の排出が円滑且つ確実に行われるものである。
【0020】また、裏込材と硬化材との置換後、両バル
ブ装置の内筒体を掘削地盤側に押し出すと、該内筒体の
底部外周面に穿設している上記通過孔が外筒体内に没
入、密接すると共に、該内筒体の外周面に装着したスナ
ップリングが外筒体の内周面に設けている周溝に嵌まり
込んでロックされ、弁体が不測に解放しても通過孔から
硬化材がトンネル内に流出するのを完全に阻止すること
ができるものであり、その上、上記弁棒の作動による弁
体の開閉操作と外筒体に対する内筒体の摺動操作とをロ
ボットによる自動化で行うことが可能となって、裏込材
の注入作業および裏込材と硬化材との置換作業が能率よ
く行い得るものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】バルブ装置の縦断側面図、
【図2】覆工壁の築造状態を示す簡略縦断側面、
【図3】弁体を開放した状態の縦断側面図、
【図4】裏込材と硬化材との置換時における全体図、
【図5】置換後、バルブをロックさせた状態の縦断側面
図、
【図6】従来のバルブ装置を示す縦断側面図。
【符号の説明】
1 覆工壁 2 外筒体 3 有底内筒体 5 弁体 9 周溝 10 通過孔 11 スナップリング 14 弁棒

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 セグメント又は推進管等のトンネル覆工
    壁の適所に貫通状態で装着され且つ内周面適所に周溝を
    設けている外筒体内に、先端が開口した有底内筒体を摺
    動自在に挿嵌し、この内筒体の底部側外周面に常態にお
    いてはトンネル内に連通している裏込材通過孔を開設し
    ていると共に該通過孔から先端部寄りの適所に内筒体が
    前進摺動した際に外筒体の前記周溝に嵌入、係止するス
    ナップリングを設け、さらに、内筒体の開口端の弁座に
    弁体を開閉自在に配設し、その弁棒を内筒体の底部中央
    を貫通させてトンネル内に突出させていることを特徴と
    する裏込材注入用バルブ装置
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