JP2651421B2 - 調節計 - Google Patents

調節計

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JP2651421B2
JP2651421B2 JP63117941A JP11794188A JP2651421B2 JP 2651421 B2 JP2651421 B2 JP 2651421B2 JP 63117941 A JP63117941 A JP 63117941A JP 11794188 A JP11794188 A JP 11794188A JP 2651421 B2 JP2651421 B2 JP 2651421B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は被制御系の被制御量を検出するセンサの計測
信号を目標設定値と比較してその差を減少させるように
被制御系に対して動作する調節計に関し、特に、化学プ
ラント等の被制御系において、前記センサが故障した
際、被制御系が不安全側に作動するのを防止するフェイ
ルセーフ機能を備えた調節計に関する。
〔従来技術〕
一般に、化学プラント等の被制御系において、温度、
圧力、液面、流量等の状態量(被制御量)を制御するの
に、各種の調節計が用いられ、この調節計によって例え
ば調節弁を調節して被制御系を目標値に制御している。
第7図の流量制御の場合を例にとって説明すれば、反応
器1への原料供給量を制御する場合、通常、原料供給量
を流量センサ(検出器)2で検出し、その検出信号3が
流量調節計4に入力され、この検出信号が調節計4に予
め設定された目標設定値5と対比され、その偏差に基い
て調節計4からの制御信号(出力信号)により調節弁6
の開度が調節され、原料供給量が制御される。この場
合、センサが正常に作動している場合には何ら問題はな
いが、センサが何らかの原因で故障した場合には、被制
御系の状態とは無関係にセンサからの計測信号が急変
し、通常は0まで急減してその計測信号を入力した調節
計から制御信号により調節弁が全開方向に作動し、被制
御系が不安全側に動作するという問題がある。センサ故
障にはセンサ自体の故障の他にセンサ電源断、センサ信
号断線短絡等も含まれる。
このようにセンサ故障により被制御系、例えばプラン
トが危険側に遷移するのを防止するために、従来は、第
8図のように、(イ)センサからの計測信号に基く調節
計入力部から調節計制御演算部への出力信号(以下PV信
号と称する)の目標設定値(SV)からの急変を捉え、ア
ラームを発し、同時に調節計の動作を自動(AUTO)から
手動(MAN.)に自動的に切り換え、オペレータによって
調節計制御演算部の出力(調節計出力信号、以下MV信号
と称する)を所定値MV1に維持する、あるいは(ロ)セ
ンサ故障でPV信号が最大値へ移動するようにセンサを逆
特性に設定し、これによって調節弁の動作を被制御系が
安全側へ遷移するように動作させる、などの方法がとら
れていた。
〔発明が解決しようとする課題〕
この種の被制御系において、センサ故障時の対応策と
して上記(イ)の如くPV急変で自動から手動への自動切
り換えをしてオペレータの介在を持つ方法は、PV急変に
よるセンサ故障を検知するための閾値を決定するのが困
難であり、また自動から手動へ切り換わる経過中に調節
計出力信号(MV)が変化してしまうという欠点がある。
また上記(ロ)のセンサを逆特性とする方法は、センサ
故障の際、調節弁が閉となって安全サイドとなるもの
の、センサの修復まで操業中断することとなり、生産性
の点で不都合が生じる。
本発明は、センサ故障に対する上述した従来の対応策
の問題点を解決したものであり、プロセス変動時とセン
サ故障時とでは、PV信号の変化度が著しく異なることに
着目し、PV急変によりセンサ故障を検知するための閾値
を勘や経験に頼らずにかつPV信号の変動に対応して自動
設定でき、また自動から手動への自動切り換えを行った
ときMV値を正常時の値に維持して出力するようにしたフ
ェイルセーフ機能をもつ調節計を提供することにある。
〔課題を解決するための手段〕
本発明は、被制御系の被制御量を検出するセンサから
の計測信号と目標設定値とのずれをなくするように被制
御系に対して動作する調節計において、一定の制御周期
毎に前記センサからの計測信号を取り入れる入力部と、
前記入力部から前記制御周期n(n=1,2,3,…)毎に出
力される計測信号サンプル値の該制御周期毎の一次差分
ΔPV(n)を算出する差分演算部と、前記センサ出力変化
に対する調節計入力部の応答特性から前回の制御周期n
−1におけるPV信号(PV(n-1))を用いて変化率限界値D
LsをDLs=−PV(n-1)(1−α2 3)/3として算出し、自動
設定する変化率限界値設定部と(ここでαは、TFを調
節計入力部の時定数、τをサンプリング周期としてexp
(−τ/TF)で表される定数)、前記差分演算部から出
力された差分信号と前記変化率限界値とを比較し該差分
信号が該変化率限界値を超えた場合(ΔPV(n)>DLs)に
センサ故障の判定信号を出力する比較判定部と、前記比
較判定部からのセンサ故障判定信号により調節計出力を
センサ故障前の調節計出力に保持して出力するための正
常出力保持部とを有して成るものである。
〔実施例〕
次に、本発明を実施例について図面を参照しつつより
具体的に説明する。
第1図は本発明の実施例に係る調節計のブロック図で
あり、第2図はプロセス変動系の制御システムのブロッ
ク図であって、各部の入力信号、出力信号を図示のよう
に表示する。第2図でx1(t)はプロセス状態量を時間
領域の値でとらえた信号、x2(t)はセンサ2の出力信
号即ち計測信号であって本発明の調節計10の入力部11に
取り込まれる。x3(t)は調節入力部の出力信号であっ
て、サンプリング周期τ毎に開閉動作するスイッチ12を
経て離散値データの計測信号サンプル値信号x3(n)と
なって調節計制御演算部13へ出力される。これが前述し
たPV信号である。これらの信号をそれぞれプラス変換で
表わせば、ラプラス演算子をsとしてX1(s),X
2(s),X3(s)となり、またz変換によりX3(z)と
なる。
センサと調節計入力部(入力フィルタ)の特性G
S(s),GF(s)を次のように定義する。
ここでTSはセンサ時定数、TFは入力部時定数である。
いまプロセス変動およびセンサ故障がともにステップ状
の変動であるとすれば、 ここでaはステップ状の変化の大きさを表わす定数であ
る。このとき調節計入力部の出力信号X3(s)は、プロ
セス変動に対してX3P(s),センサ故障時に対してはX
3S(s)で表わすとすれば、それぞれ次のように表わさ
れる。
これを時間領域に変換すると、ラプラス逆変換の手法
によりそれぞれ次式のようになる。
ここでTs=1.0sec.,TF=0.1sec., a=−100%として例示すれば第3図のような応答特性
が得られる。この図からも明らかなようにプロセス変
動、センサ故障の両者の応答速度には顕著な差異が認め
られ、調節計の制御周期(通常は0.1〜1sec.)を例えば
0.2sec.をとってみると、変化速度の差から通常のプロ
セス変動によるものか、センサ故障の場合かの判定が可
能となる。
第2図でも説明したように、調節計の入力部出力信号
はサンプリング周期τでサンプリングされて離散的な時
系列信号x3P(n),x3S(n)となる。これをデルタ関
数δ(t−nτ)を用いて表わせば、 ここでX3P(s),X3S(s)をs→z領域へ変換し、
さらにz領域から離散値系に変換すると、 次式を得る。
ここでα≡exp(−τ/TS) α≡exp(−τ/TF) β≡Ts/(TS−TF) β≡TF/(TS−TF) 以上の解析から、プロセス変動時とセンサ故障時とに
おける調節計入力部の出力信号(調節計制御演算部への
入力信号)PVと、調節計差分演算部におけるPVの一次差
分ΔPVを制御周期nの0〜3について示せば、表1(プ
ロセス変動)、表2(センサ故障)のとおりである。
これらの変動をその制御周期毎の一次差分ΔPV(n)
みたときの変化率限界値は、プロセス変動時即ちΔPV
(n)≠0において、n=1,2,3におけるΔPV(n)の平均値
で表わす。なおプロセス変動は最大を見込んで a=−PV(0)とする。
プロセス変動による変化率限界値DLPは、 センサ故障時の限界値DLSは、同様にして、ΔPV(n)
0において、 なおαは調節計入力部の応答特性から算出される時
定数(フィルタ時定数)である。この両者の変化率限界
値を第1図に示した数値例と同じ設例で比較してみる。
まず変数TS,TF,τ,PV(0)を表3に示すとおりであると
すれば、α=0.819, α=0.135,β=1.11,β=0.111となる。
上述の数値例を前記(1)式,(2)式に代入するこ
とによりDLP,DLSを計算すれば、DLP=−6.51(%),DLS
=−16.6(%)となり、両者の差異は顕著である。調節
計に内蔵された変化率限界値設定部14(第1図)には前
記(2)式で演算回路が組み込まれており、適用するプ
ロセス系に対してα1212,Ts,TF,τ,PV(0)等の
数値データを入力することにより、その系のセンサ故障
時の変化率限界値が算出、設定される。第1図の如くこ
の変化率限界値DLSと前記差分演算部15から出力された
差分信号ΔPV(n)とが調節計10の比較判定部16で比較さ
れ、該差分信号ΔPV(n)が変化率限界値DLSを超えたとき
にセンサ故障の判定信号17が該比較判定部16から出力さ
れる。なお、上述の調節計入力部の入力フィルタ時定数
TFは、第5図のような入力フィルタ回路が用いられた場
合、凰テブナンの定理による等価回路から入力フィルム
特性GF(s)は1/(1+TFs)となり、フィルタ時定数T
Fとして求められる。
ところで本発明においては、正常時のPV信号が小さい
場合には変化率限界値DLSが小さくなり、ちょっとした
ノイズで誤作動を起す可能性がある。これを防止するた
めにこの実施例では変化率限界値の下限リミット値を設
定し、前記限界値の絶対値がこのリミット値より小とな
った場合には変化率限界値の代りに前記下限リミット値
を用いるようにする。下限リミット値はそのプロセス系
に応じて経験により定められるが、例えば−5%程度が
適当である。また限界値DLS<−16%とするとプロセス
変動の全範囲(100〜0%)に対して不感動にでき、DLS
=−12%とすると75%までのプロセス変動に対して不感
動である。第4図はプロセス変動に対する変化率限界値
の設定形態を示した図であり、横軸のPV値(%)はセン
サの計測範囲に対して百分率で無次元化した値を示し、
縦軸の変化率(%)は調節計入力部の出力信号の定常時
に対する変化率である。
上述のようにして比較判定部からセンサ故障判定信号
が出力されると、この信号により調節計のモードが自動
から手動に切り換えらえ、同時に正常時の調節計出力を
保持している正常出力保持部18(第1図)からセンサ故
障前の出力を取り出し、これをセンサ故障時のMV信号と
して出力する。これによってフェイルセーフ機能が達成
され、また被制御系に大きな制御誤差が生じない。
第6図に本発明の調節計を用いた被制御系の制御プロ
グラムの一例のフローチャートを示す。まず、センサか
らの計測信号に基くPV信号を一定周期、例えば0.1〜1se
c.毎に調節計制御演算部に取り入れ(ステップa)、前
回周期のPV信号との差分信号(ΔPV(n))、さらにはセ
ンサ出力に対する調節計入力信号の応答特性から求めら
れる変化率限界値(DLS)がそれぞれ算出される(ステ
ップb,c)。この変化率限界値は制御周期毎のPV信号の
差分信号と比較され(ステップd)、差分信号が前記変
化率限界値を超えた場合にセンサ故障と判断し、調節計
の動作モードを自動から手動へと自動的に切り換え(ス
テップe)、さらに調節計出力MV値を前々回の制御周期
の出力に維持して出力する(ステップf)。
一方、PV信号の差分信号が前記変化率限界値以内であ
れば、センサ正常と判断し、PID演算処理を行った結果
を調節計出力として出力する(ステップg,h)。そして
次回周期のPV信号の一次差分を算出するため、今回取り
込んだPV信号を記憶し、またセンサ正常の場合には前回
周期の調節計出力を前々回周期の調節計出力に、今回周
期の調節計出力を前回周期調節計出力にそれぞれ置き換
えて記憶、保持しておく(ステップi〜k)。
〔発明の効果〕
以上説明したように本発明によれば、プロセスの被制
御系に設けられるセンサの故障を判断するのに、プロセ
ス自身が変動した時とセンサ故障時とで調節計入力部に
取り込まれる計測信号の変化度合が大きく異なることを
利用し、センサ出力に対する調節計入力部の応答特性か
ら入力部出力における変化率限界値を演算、設定し、こ
れをセンサ故障の判断要素としたので、従来のように計
測信号急変によるセンサ故障を検知するための閾値の決
定の困難さ、不確実さがなくなり、またセンサ故障の判
定と同時に調節計の出力が故障前の調節計出力に保持さ
れるようにしたので、被制御系が安全サイドに維持され
て操業が継続されるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の実施例に係る調節計のブロック図、第
2図は本発明の調節計を組み込んだプロセス変動系のブ
ロック図、第3図はプロセス変動およびセンサ故障の応
答特性を示した図、第4図はプロセス変動に対する変化
率限界値の設定形態を示した図、第5図は本発明に適用
される入力部フィルタ回路の一例を示す図、第6図は本
発明の実施例に係る調節計の制御プログラムのフローチ
ャートを示した図、第7図は一般の流量制御システムを
示した概略図、第8図は従来のセンサ故障時の調節計入
出力信号の一例を示した図である。 2……センサ、10……調節計、 11……調節計入力部、13……制御演算部、 14……変化率限界値設定部、15……差分演算部、 16……比較判定部、17……判定信号、 18……正常出力保持部。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭57−120101(JP,A) 特開 昭59−128608(JP,A) 特開 昭60−152818(JP,A) 特開 昭55−146513(JP,A)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】被制御系の被制御量を検出するセンサから
    の計測信号と目標設定値とのずれをなくするように被制
    御系に対して動作する調節計において、一定の制御周期
    毎に前記センサからの計測信号を取り入れる入力部と、
    前記入力部から前記制御周期n(n=1,2,3,…)毎に出
    力される計測信号サンプル値の該制御周期毎の一次差分
    ΔPV(n)を算出する差分演算部と、前記センサ出力変化
    に対する調節計入力部の応答特性から前回の制御周期n
    −1におけるPV信号(PV(n-1))を用いて変化率限界値D
    LsをDLs=−PV(n-1)(1−α2 3)/3として算出し、自動
    設定する変化率限界値設定部と(ここでαは、TFを調
    節計入力部の時定数、τをサンプリング周期としてexp
    (−τ/TF)で表される定数)、前記差分演算部から出
    力された差分信号と前記変化率限界値とを比較し該差分
    信号が該変化率限界値を超えた場合(ΔPV(n)>DLs)に
    センサ故障の判定信号を出力する比較判定部と、前記比
    較判定部からのセンサ故障判定信号により調節計出力を
    センサ故障前の調節計出力に保持して出力するための正
    常出力保持部とを有することを特徴とする調節計。
JP63117941A 1988-05-14 1988-05-14 調節計 Expired - Lifetime JP2651421B2 (ja)

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