JP2648256B2 - 液化ガス充填ノズル - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は充填ノズルの装着状態が
正しいかどうかを検出できる液化ガス充填ノズルに関す
るものである。

【０００２】

【従来の技術】充填容器に液化ガスを充填するために
は、充填ノズルを液化ガス充填容器の容器バルブへ装着
し、容器バルブのハンドルを回して容器バルブを開栓
し、充填が済むと充填ノズルの取り外しに際して、容器
バルブのハンドルを回して容器バルブを閉栓することが
必要である。

【０００３】従来の液化ガス充填装置は、図７に示すよ
うに容器バルブ１のハンドル２にクランプ部３を被せ
て、このクランプ部３をロータリーアクチュエータ４で
一定角度だけ回して容器バルブ１を開栓し、一定角度だ
け回して閉栓している。

【０００４】充填の工程は、充填ノズル６のノズル固定
金具７を、係員が容器バルブ１の側方から手動で引っ掛
けて充填ノズル６を容器バルブ１に装着し、容器バルブ
１が開栓状態となってから、充填ノズル６への液化ガス
供給路を開放して充填している。

【０００５】必要量の液化ガスが流れ込むと、容器バル
ブ１を閉栓し、充填ノズル６が容器バルブ１から取り外
される。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】このように充填ノズル
６を手動で着脱していたのでは作業性が悪いので、充填
ノズル６を容器バルブ１に自動装着または半自動装着す
ることが考えられる。

【０００７】しかし、充填ノズル６を自動装着または半
自動装着にした場合には、充填ノズルの装着が不完全で
あるにもかかわらず充填ノズル６から液化ガスを供給し
続けると、充填ノズル６から液化ガスを放出してしまう
危険な状態の発生が予想される。

【０００８】従来では充填ノズル６を装着する係員の熟
練により充填ノズルの装着が完全かどうかを判断して充
填ノズル６から液化ガスを放出しているのが現状であっ
て、充填ノズル６の装着が完全であるかどうかを自動検
出できないため、充填ノズル６を自動装着または半自動
装着にした場合の危険な状態の発生を回避できない問題
が残されている。

【０００９】本発明は容器バルブへの装着が完全である
かどうかを自動検出できる充填ノズルを提供することを
目的とする。

【００１０】

【課題を解決するための手段】本発明の液化ガス充填ノ
ズルは、容器バルブの充填口に挿入され先端が充填口の
内壁に当接する内筒と、この内筒の外周を取り囲むとと
もに前記充填口に当接する外筒とから構成され、内筒の
先端を前記充填口の内壁に押し付けた充填シール状態で
液化ガスを充填容器に充填する液化ガス充填ノズルであ
って、前記外筒の端面には充填口の端面に当接して充填
口との間をシールするシール材を設け、前記外筒と内筒
の間の空間に連通されたシリンダ装置を設けたことを特
徴とする。

【００１１】

【作用】この構成によると、完全な装着状態では充填ノ
ズルの内筒の先端が充填口の内壁に押し付けた充填シー
ル状態が得られて、放出された液化ガスは内筒と外筒の
間の空間に漏洩せず、シリンダ装置のピストンは動かな
い。

【００１２】不完全な取り付け状態では放出された液化
ガスが内筒と外筒の間の空間に漏洩するが、充填ノズル
の外筒と容器バルブの充填口との間をシール材でシール
したため、この漏洩した液化ガスの圧力はシリンダ装置
のピストンに作用し、ピストンが移動する。

【００１３】具体的には、このピストンが移動したかど
うかの検出は、シリンダ装置のピストンに検出用流体の
通路を形成し、検出用流体のオン−オフで充填シール状
態を自動検出できる。

【００１４】

【実施例】以下、本発明の実施例を図１〜図６に基づい
て説明する。なお、図７と同様の作用をなすものには、
同一の符号を付けて説明する。

【００１５】本発明の液化ガス充填ノズルは図１と図２
に示すように構成されている。この液化ガス充填ノズル
の説明に先立って、この液化ガス充填ノズルを使用した
液化ガス充填装置の構成を図３と図４に基づいて説明す
る。

【００１６】クランプ部３の支持軸10はベアリング11
ａ，11ｂを介して充填ノズル装置本体12に枢支されてい
る。支持軸10の中央に挿通された第１の歯車13の内周面
には、支持軸10に形成されたキー溝14に係合するキー
〔図示せず〕が形成されている。充填ノズル装置本体12
には上面にシリンダケーシング15が形成されており、支
持軸10の上端がこの内部に延長されて、シリンダケーシ
ング15の内部を区切るピストン16にベアリング11ｃを介
して取り付けられている。

【００１７】充填ノズル装置本体12にはシリンダ装置17
が取り付けられており、このシリンダ装置17のステムに
はラック18が取り付けられている。シリンダ装置17の駆
動によってラック18が移動すると、第１の歯車13に噛合
している第２の歯車19が回転し、支持軸10を介してクラ
ンプ部３が回転する。

【００１８】充填ノズル装置本体12には、支持軸10を中
央にしてその両側に一対のアーム20ａ，20ｂが軸21ａ，
21ｂで枢支されており、アーム20ａの先端には充填ノズ
ル６が取り付けられている。充填ノズル６の内筒22は、
外筒23との間のガス供給路24を閉塞するよう圧縮ばね25
で外側に押し出されている。

【００１９】このアーム20ａ，20ｂの上端と充填ノズル
装置本体12の間には、図４に示すようにシリンダ装置26
が介装されている。27ａ，27ｂはシリンダ装置26の各ス
テム28ａ，28ｂとアーム20ａ，20ｂの上端とを連結する
ピンである。

【００２０】充填の実行時には、ワイヤー29によって吊
り下げられている充填ノズル装置本体12を図３に示すよ
うに容器バルブ１の上方位置に導いて、導入口30からシ
リンダケーシング15のシリンダ室31に加圧空気を供給す
ると、支持軸10が図５に示すように伸長してクランプ部
３が容器バルブ１のハンドル２に被せられて係合する。

【００２１】支持軸10と充填ノズル装置本体12との間に
は、上記のようにベアリング11ｂ，11ｃが介装されてい
るため、この図５に示した状態では支持軸10に対してそ
の軸心回りに充填ノズル装置本体12が回動することがで
き、係員は充填ノズル装置本体12を手動で回動させて、
充填ノズル６を容器バルブ１の充填口32の位置に合わ
せ、シリンダ装置26の導入口33から加圧空気を供給する
と、ステム28ａ，28ｂが伸長してアーム20ａ，20ｂが回
動し、図６に示すようにアーム20ａ，20ｂの下端で容器
バルブ１を挟持し、充填ノズル６が容器バルブ１の充填
口32に装着される。

【００２２】充填ノズル６が容器バルブ１の充填口32に
装着されると、内筒22の先端が充填口32の内壁に当接
し、外筒23が内筒22に対して摺動してガス供給路が開放
される。

【００２３】次に、シリンダ装置17を駆動して支持軸10
を回転させると、クランプ部３がハンドル２を回して容
器バルブ１が開栓され、開栓の完了を検出すると、充填
ノズル６のガス供給路に液化ガスが供給され、充填ノズ
ル６から充填容器８に液化ガスが流れ込む。

【００２４】必要量の充填が終了すると、充填ノズル６
のガス供給路への液化ガスの供給をオフするとともに、
シリンダ装置17を運転して開栓時とは逆方向にラック18
を移動させて閉栓し、閉栓の完了を検出すると、シリン
ダ装置26でアーム20ａ，20ｂを開いて充填ノズル６を充
填口32から取り外して充填が完了する。

【００２５】充填ノズル６の内筒22の先端にはシール材
34が設けられており、図２に示すように内筒22の先端を
充填口の内壁35に押し付けた充填状態では、内筒22と容
器バルブ１の間がシール材34によってシールされる。

【００２６】充填ノズル６の内筒22の外周を取り囲んで
いる外筒23の端面には、図２に示すように容器バルブ１
の充填口32の端面に当接して充填口32との間をシールす
る環状のシール材37が設けられており、この外筒23に
は、外筒23と内筒22の間の空間Ａに連通したシリンダ装
置38が設けられている。シリンダ装置38にはピストン39
の移動を検出するために検出用流体が供給されている。

【００２７】充填ノズル６の容器バルブ１への完全な装
着状態では、図２に示したようにシール材34でシールさ
れていて、空間Ａには液化ガスの圧力が作用しないた
め、ピストン39は実線位置にあって移動しない。

【００２８】この状態において、ピストン39に形成され
ている検出用流体の通路40とシリンダ装置38の入口41と
は、ピストン39によって仕切られており、入口41に作用
した検出用流体は出口42に作用しない。

【００２９】図１に示すような不完全な装着状態では、
矢印Ｂで示すように隙間43から液化ガスが空間，に漏洩
する。ここでは外筒23と充填口32との間がシール材37に
よってシールされているため、隙間43から漏洩した液化
ガスはシリンダ装置38のピストン39に作用してピストン
39が上方位置に押し上げられる。これによってシリンダ
装置38の入口41と出口42とがピストン39の通路40を介し
て連通され、出口42に検出用流体が作用する。

【００３０】したがって、出口42に検出用流体が作用し
た場合に充填ノズル６の装着が不完全であると判定し
て、充填ノズル６のガス供給路への液化ガスの供給を直
ちにオフするとともに、シリンダ装置17を運転して閉栓
して、危険状態を回避することができる。

【００３１】上記の実施例では、ピストン39の移動を検
出する検出用流体は、シリンダ装置38の上側の入口41か
ら導入して下側の出口42に作用する圧力を検出するよう
に構成したが、これは入口41の位置と出口42の位置を入
れ替えるようにしても構成できる。

【００３２】

【発明の効果】以上のように本発明によると、容器バル
ブの充填口に挿入され先端が充填口の内壁に当接する内
筒と、この内筒の外周を取り囲むとともに前記充填口に
当接する外筒とから構成され、内筒の先端を前記充填口
の内壁に押し付けた充填シール状態で液化ガスを充填容
器に充填する液化ガス充填ノズルであって、前記外筒の
端面には充填口の端面に当接して充填口との間をシール
するシール材を設けたため、不完全な取り付け状態では
放出された液化ガスが内筒と外筒の間の空間に漏洩した
液化ガスの圧力が、シリンダ装置のピストンに作用して
ピストンが移動する。したがって、このピストンが移動
したかどうかを検出することによって充填ノズルの装着
不完全を自動検出して、危険状態の発生を回避すること
ができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の充填ノズルによる装着不完全状態の検
出中の断面図である。

【図２】本発明の充填ノズルによる装着完全状態の検出
中の断面図である。

【図３】同装置において容器バルブ開閉装置を容器バル
ブのハンドルに被せる前の状態の正面図である。

【図４】図３の平面図である。

【図５】同装置において容器バルブ開閉装置を容器バル
ブのハンドルに被せた状態の正面図である。

【図６】同装置において充填ノズルを容器バルブに装着
した状態の正面図である。

【図７】従来の液化ガス充填装置の説明図である。

【符号の説明】

１ 容器バルブ ６ 充填ノズル ８ 充填容器 22 内筒 23 外筒 32 充填口 35 充填口の内壁 37 シール材 38 シリンダ装置 39 ピストン 40 検出用流体の通路 43 隙間 Ａ 外筒と内筒の間の空間 Ｂ 漏洩ガスの流れ

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 容器バルブの充填口に挿入され先端が充
   填口の内壁に当接する内筒と、この内筒の外周を取り囲
   むとともに前記充填口に当接する外筒とから構成され、
   内筒の先端を前記充填口の内壁に押し付けた充填シール
   状態で液化ガスを充填容器に充填する液化ガス充填ノズ
   ルであって、前記外筒の端面には充填口の端面に当接し
   て充填口との間をシールするシール材を設け、前記外筒
   と内筒の間の空間に連通されたシリンダ装置を設け、前
   記充填シール状態が不完全で漏洩する液化ガス圧を前記
   シリンダ装置のピストンの移動で検出する液化ガス充填
   ノズル。
2. 【請求項２】 シリンダ装置のピストンに検出用流体の
   通路を形成し、検出用流体のオン−オフで充填シール状
   態を検出する請求項１記載の液化ガス充填ノズル。