JP2647650B2 - 工具干渉を除去した自由曲面の加工情報生成方法 - Google Patents

工具干渉を除去した自由曲面の加工情報生成方法

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JP2647650B2 JP61208551A JP20855186A JP2647650B2 JP 2647650 B2 JP2647650 B2 JP 2647650B2 JP 61208551 A JP61208551 A JP 61208551A JP 20855186 A JP20855186 A JP 20855186A JP 2647650 B2 JP2647650 B2 JP 2647650B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は3次元自由曲面をNCマシニングセンタ等で自
動切削加工するための加工情報(工具径路データ)を生
成する方法に関する。
〔発明の概要〕
3次元自由曲面のデータから数値制御工作機械用の工
具径路データを生成する際に、切削用面素から成る多面
体近似を行い、面素を一つずつ取出してその面内に限定
されたXY平面上の格子状サンプリング点にて面素のZ座
標を得て、同一サンプリング点に関し複数のZ座標があ
る場合には最大値をとって工具径路のデータとすること
により、工具干渉を除去することを特徴とし、データの
生成効率を改善して高速処理を可能とした方法である。
〔従来の技術〕
計算機内部で3次元自由曲面のデータを扱い、これら
のデータから最終的な製品又は金型をNC工作機械等で自
動加工するためのNCデータ(工具径路データ)を生成す
るCAD/CAMシステムが実用化されつつある。
工具径路生成の一手法として従来から知られているも
のにAPT(Antomatically Programmed Tools)がある。A
PTの主体は英語に類似した記述様式を持つ多軸輪郭制御
用の汎用自動プログラミング言語である。この言語は、
工作物と工具の幾何学的形状、工作物に対する工具の運
動の外、工作機械の機能、許容誤差、算術計算などに関
する命令、定義を含む。この言語で記述したプログラム
を大型コンピュータにかけると、NCテープを出力するこ
とができる。
一方、計算機内で製品外形等の曲面を扱う場合、形状
の制御性が良い(変形や修正が容易)とか計算が容易で
あると云った設計に好ましい性質を持つBzier式とか
B−Spline式を用いたパラメトリックな表現形式が良く
使われている。
〔発明が解決しようとする問題点〕
工具径路生成に内在する最も根本的な問題は、加工精
度を考慮したデータ生成の効率の問題及び工具干渉判定
の問題である。
上述のAPTは、ユーザが工具往路を指示(プログラ
ム)し、その結果自由曲面の切削データが生成されるも
のであって、計算機内で生成された幾何モデルから自動
的に工具径路を生成するものではない。本来CAD/CAMシ
ステムは、設計時の形状情報を加工へ伝達するから全体
として効率が良くなるのであって、APTのように設計は
別に行われ、要求形状を意識しながら加工用の工具径路
をプログラムするのでは効率向上が望めない。
一方、パラメトリックに表現された曲面は、座標系に
依存しないため形状定義には都合が良い。しかし曲面を
切削する工作機械は座標系が決まっているため、計算機
内で生成した曲面データから加工データ(工具径路デー
タ)に精度良く変換することができない。このため加工
精度が低下する。またパラメトリック表現に基いて直接
切削加工すると、工具又は工具ホルダと仕上形状との干
渉(衝突)をチェックすることが技術的に困難で、必要
部分を切削してしまう不都合が生じる。
他に知られている多面体近似による曲面表現では、処
理能力を越えるような膨大なデータを扱わないと十分な
加工精度が得られない。従って実用に耐える程の短時間
での加工データの生成は到底望めない。高速処理を行う
ために曲面表現のデータ数を少なくすると、加工精度が
粗くなり、設計された曲面の公差を満足することができ
なくなる。
本発明は上述の問題にかんがみ、工具の干渉、非干渉
を判定しながら必要な加工精度を満足する工具径路デー
タを高速で生成させることを目的とする。
〔問題点を解決するための手段〕
本発明は、3次元自由曲面を表現したデータを加工し
て少なくとも3軸制御の数値制御工作機械用の工具径路
データを生成する方法であって、自由曲面を切削用面素
に分割し且つ工具の形状に応じて自由曲面からオフセッ
トさせたオフセット多面体を生成するステップと、上記
オフセット多面体を構成する各面素のXY座標平面への投
影図形内において、XY座標平面上に所定間隔で設定され
た格子の各交点に対応する上記面素上の点のZ軸座標値
を算出するステップと、同一交点に属する複数の上記Z
軸座標値のうちの最大値を選択して交点のXY座標に対応
させて記憶するステップと、上記記憶手段の記憶内容に
基づいてXYZの3軸方向に工具を制御するための工具径
路データを生成するステップとを具備する。
〔作用〕
直交座標系(XYZ軸)を持つ3軸制御の数値制御工作
機械に最も適した工具径路生成システムであり、直交座
標系において工具干渉除去処理を高速に実行する。
オフセット多面体を生成する処理と工具径路をオフセ
ット多面体から求める処理とを分離させていて、工具径
路は直交座標系で求められるが、オフセット多面体の生
成はBzier曲面、B−spline曲面、Coons曲面等の幾
何曲面の表現形式に基くことができる。従って曲面表現
のデータ構造に依存せずに、多種多様な曲面の加工が可
能となる。また加工物が複数の曲面で構成されていて
も、単一の曲面と同様に扱うことができる。
工具径路はXY座標平面上の格子点におけるZ座標値の
形に変換されるので、スキャンラインや等高線等に沿う
種々の工具径路を曲面に応じて設定することができる。
またオフセット多面体を構成する面素の1つごとに工
具干渉の除去処理を1回だけ行い、重複した演算処理が
生じないから、効率よく、高速に工具径路データが生成
される。
〔実施例〕
<G1:システム全体の構成> 第1図に実施例のCAD/CAMシステムの全体構成を示
す。第1図において自由曲面生成処理システム1は、CA
Dに相当する部分で、目的物の3次元自由曲面を表現す
る幾何モデルの形状データをオペレータの入力操作に基
いて生成し、ファイルに蓄積する。目的物は機械加工部
品やモールド金型である。
作成された形状データは、自由曲面切削用工具径路生
成システム2において加工データ、即ち切削工具の移動
径路を決定するデータに変換される。加工データはフロ
ッピーディスクに落とされ、NCミーリングマシン3(NC
スライス盤又はマシニングセンタ)にフロッピーディス
クを装着することにより、自動加工が行われる。
自由曲面生成処理システム1及び自由曲面切削用工具
径路システム2の実体はコピュータであり、ユーザイン
ターフェイスのために、キーボードやディジタイザ等の
入力装置4及びCRT等のディスプレイ装置5が付属して
いる。
工具径路生成システム2は、 (1)、自由曲面の形状精度 (2)、自由曲面の表面粗度(表面あらさ) (3)、工具干渉チエック を考慮し且つ高速に加工データを生成するように工夫さ
れたアルゴリズムで動作する。
<G2:工具径路生成システムの構成> 第2図に示すように、工具径路生成システムは順次又
は平行して起動される複数のプログラムモジュールを含
む。各プログラムモジュールは専用のデータプロセッサ
と考えることができるので、以下プロセッサと称する。
まず予備処理段階で起動されるのが、精度決定プリプ
ロセッサ21及び面粗度決定プリプロセッサ22である。精
度決定プリプロセッサ21は、目的加工物に対して指定さ
れた公差に基いて、CAD段階で生成された幾何モデルの
曲面を多数の四辺形(又は三角形)に分割してするため
の分割細度を決定する。この多面体分割により、公差内
で近似された切削形状(切削モデル)を生成することが
できる。公差を考慮した多面体近似により、必要以上に
高精度でなくしかも設計仕様を満足する切削加工を実行
するための最適工具径路を決定することができる。
幾何曲面の曲率半径ρとその中心から近似多面体まで
の距離との誤差をδとするとき、式 によるδが指定公差内となるように近似多面体の個々の
一辺の大きさl、つり幾何モデル曲面上のサンプリング
巾を定めるのが仕上げ精度プリプロセッサ21である。
工具径路は生成された多面体上に設定される。つまり
工具は空間内の点から点へ微細に直接運動しながら曲面
を切削する。このような切削加工は通常の3軸制御NCミ
ーリングマシンで実現できる。なお実際の工具径路は、
加工面に対して工具の刃先から工具中心(工具移動の指
令位置)までオフセットした仮想のオフセット多面体上
に設定される。
次に面粗度決定プリプロセッサ22は、目的加工物に対
して指定された表面あらさに基いて、工具の送り巾(送
りピッチ)を決定する。一般に工具送り巾が狭ければ、
表面はよりなめらかに切削される。しかし工具送り巾を
1/2にすれば、工具径路を指定するデータ量は2倍にな
る。従って最小の工具径路データで所要の仕上げ表面あ
らさを得るために、工具送り巾は最適に設定されなけれ
ばならない。面粗度決定プリプロセッサ22では、与えら
れた表面あらさを満足する工具送り巾を算出するための
アルゴリズムを含む。
ボールエンドミルを(半径R)切削工具として使用す
る場合、面粗度決定プリプロセッサ22は、加工面上の削
り残し量の高さHが指定表面あらさを満足するように、
を用いて工具送り巾Δを決定する。
これらの精度決定プリプロセッサ21及び面粗度決定プ
リプロセッサ22によって得られたオフセット多面体の分
割細度及び工具送りピッチのデータは、荒削り用プロセ
ッサ23及び仕上削り用プロセッサ24から成る工具径路生
成プロセッサに渡され、これらに基いて幾何モデルの曲
面データが順次処理されて、工具径路データが最終的に
生成される。なお荒削りと仕上げ削りとは、工具の大き
さと送り巾及び仕上代の有無が夫々異なるのみで、デー
タ処理アルゴリズムは同一と考えてよい。また荒削りプ
ロセスにおいては、公差及び面粗度について考慮しなく
てよい。
これらの工具径路生成のプロセッサ23、24の最も重要
な機能は工具干渉を回避した工具径路を決定することで
ある。工具干渉は工具外径が大きい荒削りプロセスで最
も生じ易い。更に、工具径路生成アルゴリズムを工夫す
ることにより、これらのプロセッサ23、24において高速
に工具径路を生成することができるようになっている。
生成された工具径路データは、荒削り及び仕上げ削りの
順にフロッピーディスク等を媒体として第1図のNCミー
リングマシン3に渡され、ブロック素材に対してミーリ
ング(フライス)切削加工が実行される。
なお第2図に示す工具径路生成システムには、パラメ
ータ切削用プロセッサ25が付属していて、パラメータ表
現の原曲面形状データに基いて直接に切削加工すること
も可能になっている。このプロセッサ25では工具干渉チ
エックを行わないが、干渉が生じないと予測できる曲面
については、曲面形状に応じてパラメータ切削を選択す
ることができる。
更に工具径路生成システムは、工具径路表示プロセッ
サ26及び干渉箇所表示プロセッサ27を含む、これらのプ
ロセッサによる3次元画像表示により、工具径路や工具
干渉を視覚で認識することができる。
工具径路生成システムの各プロセッサ又はプリプロセ
ッサは、ユーザインターフェイスモジュール28を通じて
入出力機器とデータの出し入れを行うことができる。キ
ーボードやディスプレイ、XYプロッタ等の入出力機器を
使用して、オペレータは各プロセッサを動作させ、処理
結果を得ることができる。
第3図に第2図の工具径路生成システムの処理フロー
チャートを示す。まず曲面データを計算機フアイルから
読込む(入力P1)。次に曲面データを表示してデータを
確認する(表示P2)。次に荒削り用プロセスに進み、荒
削り用工具径路を生成させる。荒削りプロセスではまず
仕上代と工具径を指定する(操作P3)。これらの指定値
と曲面データとに基いて、工具干渉を回避した工具径路
を荒削り用プロセッサ23(ルーチンP4)で生成する。こ
れにより生成されたデータにより、荒削り用工具径路、
切削開始点、切削終了点を表示する。(表示P5)。この
とき不可避の工具干渉箇所があったならばこれを表示す
る(表示P6)。工具干渉が生じた場合(判断P7)、工具
径を変更するために操作P3に戻り、再度工具径路の生成
を実行する。
判断P7で工具干渉が無いと判定されると、次の仕上げ
削りプロセスに進む。このプロセスでは、まず仕上げ工
具径を指定する(操作P8)。更に登録されている一般公
差テーブルの公差等級(許容公差)を指定する(操作P
9)。次に仕上げ精度決定のプリプロセッサ21(ルーチ
ンP10)を起動し、指定された公差テーブルと切削寸法
との照合により、仕上げ精度(オフセット多面体への分
割細度)を決定する。更に設計図面に指定された面粗度
値を入力する(操作P11)。この面粗度指定値により、
工具送り巾が仕上げ面粗度決定プリプロセッサ22(ルー
チンP12)によって決定される。
次に許容公差及び指定面粗度により決定された多面体
の分割細度及び工具送り巾のデータに基いて仕上削り用
プロセッサ24(ルーチンP13)を起動させ、仕上削り用
工具径路を生成させる。生成された工具径路データによ
り、仕上げ削り用工具径路を表示させると共に、工具干
渉箇所を表示させる(表示P14、P15)。工具干渉が生じ
ていたならば、判断P16から操作P8に戻り、部分的に仕
上げ工具径路を変更し、再度工具径路を生成させる。こ
の工具変更により干渉が除去されれば、生成した工具径
路データをファイルに書込んで一連の処理が終了する。
<G3:工具径路生成プロセスの基本概念> 荒削り用プロセッサ23及び仕上削り用プロセッサ24か
ら成る工具径路生成プロセスは、基本的に幾何モデルの
曲面データからオフセット多面体を生成し、この多面体
から工具干渉の無い工具径路データを高速に生成する手
順である。
第4図のようにボールエンドミル10で自由曲面Sの点
Aを切削する場合、点Aは自由曲面とボールエンドミル
の刃面との接点となる。この場合、ボールエンドミル10
の球部の中心Oと点Aを結ぶベクトル▲▼自由曲面
の点Aにおける法線ベクトルになる。このベクトルをオ
フセットベクトルと称する。
一般には曲面上にある点におけるオフセットベクトル
とは、その点を始点とし、その点を切削するために工具
を接触させたとき、工具内に定めた基準点が始点となる
ベクトルである。ベクトルFは一般に法線ベクトルnの
関係F(n)である。ボールエンドミル10の場合、F
(n)=rn(rは球面部の半径)となる。
自由曲面上の総ての点においてオフセットベクトルを
考えると、その終点は一つの曲面を形成する。この曲面
をオフセット曲面と称すると、明らかに工具中心がオフ
セット曲面上にあるように工具を移動させれば、目的の
自由曲面を加工することができる。
オフセット曲面を基に工具径路を生成する最も単純な
手法は、自由曲面上で切削される点の列を考え、各点に
おけるオフセットベクトルの終端点を列を工具径路とす
る手法である。この手法は主にパラメトリックな式で表
現された自由曲面に対して用いられている。
例えば、第5図のようなパラメトリック表現の自由曲
面を考える。曲面上の点の位置P(x、t、z)は、 x=f1(u、v) y=f2(u、v) z=f3(u、v) によってパラメータu、vの期間として与えられる。こ
のような曲面では、u、vを与えると、曲面上の点及び
法線方向が容易に求められるので、u、vを変化させる
ことにより、第6図に示すように点列{A}を作り、こ
れに対応する工具中心の点列{O}を工具径路として得
ることができる。
別の手法として、第7図に示すように、自由曲面から
それに対応するオフセット曲面を生成し、オフセット曲
面上の点をパラメトリックに指定することにより工具径
路を生成する手法もある。例えば、自由曲面が次の式で
表わさている場合、 x=g1(u,v)=c11u3+c12u2v+c13uv2+c14v3 +c15u2+c16uv+c17v2+c18u+c19v+c1A Y=g2(u,v)=c21u3+c22u2v+c23uv2+c24v3 +c25u2+c26uv+c27v2+c28u+c29v+c2A z=g3(u,v)=c31u3+c32u2v+c33uv2+c34v3 +c35u2+c36uv+c37v2+c38u+c39v+c3A 自由曲面点10の点P1〜P10でのオフセットベクトルを考
え、その終点Q1〜Q10を通る曲面としてオフセット曲面
を求めることができる。このオフセット曲面において、
パラメータu′、v′を変化させることにより工具径路
を生成することができる。
上述の工具径路の生成手法では工具干渉が考慮されて
いない。例えば第8図a、bに示すようにAの部分を切
削しようとすると、その近傍の必要部分が削り取られて
しまう。これは工具形状に起因する工具干渉である。或
いは第9図に示すように、ボールエンドミルの角度を変
えない限り、工具干渉を回避してA部を削ることができ
ない場合も生じる。これは加工軸の設定条件に起因する
工具干渉である。
工具干渉を発見するには、ボールエンドミルと目的の
自由曲面との交点を求める計算を行えばよいが、ある程
度の精度を得るためには多大の計算時間を必要とするた
め、実際には工具干渉が起きないように人間が確認しな
がら工具径路を生成させている。
このような工具干渉問題を解決するために、第10図の
ようなZ軸方向の検定法を用いることができる。この方
法では、ボールエンドミルの軸をZ軸方向にとり、Z軸
と平行な直線lを考え、これとオフセット曲面の交点を
求める。工具干渉が生じている場合には、図のようにオ
フセット曲面上の工具径路がループを描くので、一本の
直線lに対し複数個の交点H1、H2、H3が求まる。これら
の交点のZ軸方向の値(高さ)に関し最も大きい値を持
つ点H1が、工具干渉を回避したオフセット面上の点とな
る。このようなオフセット曲面は直線lのx、y座標と
交点のz座標とで表現される。
<G4:工具径路生成プロセスの具体例> 上述の原理に基いた具体的な工具径路生成プロセス
は、基本的に次のステップより成る。
第1ステップ:自由曲面からオフセット多面体を生成す
る。
第2ステップ:XY平面上の点におけるオフセット曲面の
最高位置を求める。
第2ステップのアルゴリズムとして、XY平面上の点群
を格子点で指定してZ軸の計算を行う「格子点高さ法」
を以下に詳述する。
第11図にこのアルゴリズムの特徴を示す。オフセット
曲面は多面体で近似する。対象となる幾何モデルの曲面
上に格子状に点群を配置し、各点でのオフセットベクト
ル(ボールエンドミルの場合は法線ベクトル)を計算
し、オフセット曲面上の格子点を求める。格子(四辺
形)の一つ一つを二の三角形に分割すると、オフセット
多面体が得られる。工具干渉がある部分では、第11図に
示すようにZ軸方向にオフセット多面体どうしの重なり
がある。
次にNCミーリングマシンの工具軸をz軸とするような
直交座標系をとる。XY平面は水平面になる。XY平面上に
格子点群(xi、yi)を与え、各点に対応したオフセット
多面体の高さを求める。この問題はXY平面上の格子点を
通るZ軸に平行直線と、オフセット多面体の一つの三角
形との解(交点)を求める問題として容易に解くことが
できる。求めたオフセット多面体の高さz1、z2の高い方
を選ぶことにより、工具干渉を避けることができる。工
具径路はオフセット多面体上に設定する。
第12図に格子点高さ法の処理手順を示す。
ステップ1(第13図) 幾何モデル曲面上の格子点での法線ベクトルnを求め
る。各格子点(サンプル点)は、既述の精度決定プリプ
ロセッサ21の結果(サンプリング間隔lを基に、要求公
差を満足するように曲面上に格子状に配置することによ
って得られる。格子間隔、即ち多面体への分割細度は、
その曲面ごとの曲率及び指定された公差等級で定まる。
なお第13図は幾何モデルを構成する面素の一枚(パッ
チ)を示し、これは16個の制御点によりパラメトリック
に表現されている。このパッチを格子状に細分する際に
精度決定プリプロセッサ21による結果を用いて、最終仕
上げ形状が公差内に入るような分割を行っている。
ステップ2(第14図) 各点での法線ベクトルnからオフセットベクトルFを
求める。関数F(n)は工具形状により決定する。
ステップ3(第15図) オフセットベクトルの終点で定まるオフセット曲面上
の各四辺形を二つに分割し、三角形を面素とするオフセ
ット多面体を得る。
ステップ4(第16図) オフセット多面体を構成する一つの三角形を取出し、
その3頂点を通る平面の方程式を求める。
z=C1x+C2y+C3 ステップ5(第17図) XY平面上に格子点(i、j)を考え、その点の座標
(xij、yij)を、 xij=i・Δ+xc yij=j・Δ+yc で定める。(xc、yc)は定点の座標で、Δは格子間隔で
ある。
Δは既述の面粗度決定プリプロセッサ22で、設計時に
与えられた表面あらさ指定から算出した工具送り巾に等
しいか又はそれ以下の値に設定する。
ここでz(i、j)という配列のメモリを用意し、点
(i、j)における三角形のZ軸方向の高さを記憶する
場所に割当てる。
ステップ6(第18図) 三角形のXY平面への正射影を考え、三角形に対応した
XY平面の格子点群を限定する。この点群は、三角形の頂
点を通るX軸及びY軸に平行な直線xmin、xmax、ymin
ymax(第18図の点線)で区切られた矩形の内部に限定す
ることができる。
ステップ7(第19図) ステップ6で限定した点群(i、j)が三角形の正射
影の内部に含まれるか否かを判定する。それには、例え
ば点(xij、yij)が三角形の一辺の直線(x1、y1)〜
(x2、y2)に関して、点(x3、y3)と同じ側にあるか否
かを判別し、三角形の他の二辺についても同じことを行
えばよい。
三角形の一辺と一致する方程式は、 (x1−y1)(x2−x2)−(y2−y1)(x−x1)=0 となる。左辺をF(x、y)として、F(xij、yij)と
F(x3、y3)とが同じ符号であれば、点(xij、yij)と
点(x3、y3)とが同じ側であると判定できる。同じ処理
を直線(x2、y2)〜(x3、y3)、直線(x3、y3)〜
(x1、y1)について行い、点(xij、yij)が夫々点
(x1、y1)、(x2、y2)と同じ側にあれば、点(xij、y
ij)は三角形の内部にあると判定できる。
ステップ8 ステップ4で求めた三角形の三頂点を通る方程式によ
り、点(xij、yij)における三角形の面上の高さzij
求める。
zij=C1xij+C2yij+C3 ステップ9 メモリ配列z(i、j)内の以前の値とステップ8で
求めた新らしいzijとを比較し、 zij>z(i、j) であれば、メモリ値をzijで置き換える。置き換えが生
じた部分は工具干渉が生じていると考えられる。この処
理によりZ軸に関し、高位のオフセット多面体が残り、
工具干渉が取除かれる。
ステップ10(第20図) このようにして得られたメモリ内のz(i、j)に対
応する点群は、オフセット多面体上にあり、且つその正
射影がXY平面上の格子点と合致するからメモリ配列から
容易に工具径路を生成することができる。例えば第20図
に示すようにi方向に連続スキャンし、j方向にステッ
プ送りすることにより、工具径路を生成する。
実際には、三軸ミーリングマシンの工具をX軸方向に
連続移動(スキャン)させながら、メモリのアドレスポ
インタiを増加させる。一区間のスキャンが終了するご
とに、Y軸方向に工具をピッチΔだけ移動させ、アドレ
スポインタjを1つ増加させる。Z軸方向の工具制御は
アドレス(i、j)によってメモリから読出された値z
(i、j)で行う。加工時間を短縮するために、X軸の
工具移動は第20図に示すように往復で行うのがよい。
なお、スキャンラインに沿った工具径路だけでなく、
等高線に沿った工具径路を生成することも可能である。
従来技術との比較 以上に説明した「格子点高さ法」により、高速に工具
径路を生成できる。
一般には、工具干渉のない工具径路生成は、第21図に
示すようにオフセット曲面のZ軸方向の外包曲面を求め
る問題と考えることができる。外包曲面を得るには、同
一x、y座標における曲面の高さz1(オフセット曲面
1)、z2(オフセット曲面2)を求め、大小比較すれば
よい。ところが一般的には、オフセット曲面が下記のよ
うにパラメトリックな形で表現されている。
x=φ(u、v) y=φ(u、v) z=φ(u、v) 従って、x、yからzを求めるには繰り返し演算が必
要な収束計算を用いなければならない。また曲面が複数
個存在する場合、点(x、y)を通る曲面を曲面全体の
集合から探索しなければならない。従って膨大な量の計
算を行わなければならない。
パラメトリックに表現されたオフセット面を多面体で
近似する方法もある。例えば第22図では、オフセット曲
面が平面S1〜S7から成る多面体で近似されている。S1〜
S7は線形方程式 Ψ=(x、y、z)=0 で表現することができる。この式は容易に z=fi(x、y) の形に変形できるから、位置(x、y)を面S4が含むこ
とを探索すれば、後は繰り返し計算をすることなくz値
を求めることができる。
本手法(格子点高さ法)は、面の探索をも行わせない
ことを特徴とする。そのため、位置(x、y)は、格子
(Grid)上の位置であるとし、格子上の高さを持つ配列
z(i、j)を用意しておく。
そして第23図に示すように、オフセット多面体Uから
順次平面Siを選び出し、これに対応する位置(i、j)
における高さzを求め、配列z(i、j)に書き込んで
行く(ステップ4〜8)。この方法では、点(x、y)
上にある平面Siを全オフセット多面体中から探索する必
要がない。従ってオフセット多面体の面Siの総数nのオ
ーダーで高速に処理することができる。
これに対し、あるxy平面上の一点の位置に対応した三
角形の探索を行うと、該当する三角形の個数をmとし
て、総数のm×nの処理が必要となる。このオーバーヘ
ッドを回避するために従来では、処理の対象となる多面
体の数を減らす等の工夫が必要となり、加工精度の低下
が問題となっていた。
〔発明の効果〕
本発明は上述のように、自由曲面を切削用面素に分割
し、工具形状分オフセットさせたオフセット多面体を生
成して、この面素をXY平面上のサンプリング(所定間隔
の格子の交点)でサンプリングして工具径路データ(Z
座標値)を算出する際に、同一サンプリング点(XY平面
上の交点)に属する複数の上記Z軸座標値のうちの最大
値を選択して交点のXY座標に対応させて記憶することに
より、工具位置(Z座標値)を求めながら工具干渉を除
去しているので、曲面情報に基づいて加工データ(工具
位置データ)を計算してから工具干渉をチェックし工具
径路を最終決定すると言った複雑な処理を行なわなくて
よく、処理ステップを単純化することができ、従って、
データ生成効率が高く、小規模システムで高速の加工情
報計算処理が可能となる。またオフセット多面体の面素
ごとにZ軸値の最高位を求めて工具干渉除去を行うの
で、工具干渉の除去処理を一面素につき一回だけ行えば
よく、重複した演算処理が生じないから、工具径路生成
の効率がよく、高速処理が可能である。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の工具径路生成システムの実施例を示す
CAD/CAMシステムの全体構成のブロック図、第2図は工
具径路生成システムのブロック図、第3図は工具径路生
成システムのデータ処理手順のフローチャートである。 第4図は自由曲面とオフセット曲面との関係を示す線
図、第5図はパラメトリック表現の自由曲面を示す線
図、第6図は自由曲面から工具径路を生成する一方法を
示す線図、第7図はオフセット曲面から工具径路を生成
する一方法を示す線図、第8図は工具形状に起因する工
具干渉を示す断面図、第9図は加工軸の設定条件に起因
する工具干渉を示す断面図、第10図は工具干渉検定法を
示す断面図である。 第11図は「格子点高さ法」のアルゴリズムの特徴を示す
オフセット多面体の線図、第12図は格子点高さ法の処理
手順を示すフローチャートである。 第13図は第12図のフローチャートのステップ1に対応し
た幾何曲面の線図、第14図はステップ2に対応したオフ
セットベクトルの線図、第15図はステップ3に対応した
オフセット多面体の線図、第16図はステップ4に対応し
た三角形(面素)の線図、第17図はステップ5に対応し
たXY平面上の格子点配列の線図、第18図はステップ6に
対応した三角形面素と格子点との関係を示す線図、第19
図はステップ7に対応した三角形内部の格子点の特定法
を示す線図、第20図はステップ10に対応した工具径路の
線図である。 第21図は工具干渉を回避したオフセット曲面の外包曲面
を示す線図、第22図は多面体近似されたオフセット面を
示す線図、第23図は格子点高さ法の手順の概要を示す線
図である。 なお、図面に用いた符号において、 1……自由曲面生成処理システム 2……自由曲面切削用工具径路生成システム 3……NCミーリングマシン 4……入力装置 5……ディスプレイ 21……精度決定プリプロセッサ 22……面粗度決定プリプロセッサ 23……荒削り用プロセッサ 24……仕上げ削り用プロセッサ である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭61−125754(JP,A) 特開 昭61−23214(JP,A) 特開 昭61−11809(JP,A) 昭和56年度精機学会春季大会学術講演 論文集,第577〜579頁

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】3次元自由曲面を表現したデータを加工し
    て少なくとも3軸制御の数値制御工作機械用の工具径路
    データを生成する方法であって、 自由曲面を切削用面素に分割し且つ工具の形状に応じて
    自由曲面からオフセットさせたオフセット多面体を生成
    するステップと、 上記オフセット多面体を構成する各面素のXY座標平面へ
    の投影図形内において、XY座標平面上に所定間隔で設定
    された格子の各交点に対応する上記面素上の点のZ軸座
    標値を算出するステップと、 同一交点に属する複数の上記Z軸座標値のうちの最大値
    を選択して交点のXY座標に対応させて記憶するステップ
    と、 上記記憶手段の記憶内容に基づいてXYZの3軸方向に工
    具を制御するための工具径路データを生成するステップ
    とを具備する工具干渉を除去した自由曲面の加工情報生
    成方法。
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