JP2643503B2 - 高靭性を有する立方晶窒化ほう素セラミック材の製造法 - Google Patents

高靭性を有する立方晶窒化ほう素セラミック材の製造法

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JP2643503B2
JP2643503B2 JP1330767A JP33076789A JP2643503B2 JP 2643503 B2 JP2643503 B2 JP 2643503B2 JP 1330767 A JP1330767 A JP 1330767A JP 33076789 A JP33076789 A JP 33076789A JP 2643503 B2 JP2643503 B2 JP 2643503B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は、高靭性を有し、かつ耐摩耗性にもすぐ
れ、通常の条件での連続切削は勿論のこと、特に靭性が
要求される鋳鉄の連続高速切削や、ダイス鋼および高速
度鋼などの高硬度鋼などの断続切削に切削工具として用
いた場合にすぐれた切削性能を長期に亘って発揮する立
方晶窒化ほう素(以下c−BNで示す)基セラミック材の
製造法に関するものである。
〔従来の技術〕
一般に、c−BN基セラミック材は、高硬度を有するの
で、切削工具などとして用いられ、また、このc−BN基
セラミック材が、例えば特公昭57−3631号公報に記載さ
れるように、原料粉末として、c−BN粉末、並びに周期
律表の4a,5a,および6a族金属の炭化物粉末、窒化物粉
末、ほう化物粉末、およびけい化物粉末を用い、これら
原料粉末を所定の配合形成に配合し、通常の条件で混合
し、混合粉末の状態、あるいは圧粉体に成形した状態
で、これに通常の条件、すなわち圧力:1万気圧以上、温
度:1000℃以上の条件で超高圧高温処理を施して理論密
度化:98%以上の緻密な焼結体とすることにより製造さ
れることも良く知られるところである。
〔発明が解決しようとする課題〕
しかし、上記の従来方法で製造されたc−BN基セラミ
ック材は、これを例えば鋳鉄の連続高速切削や、上記高
硬度鋼の断続切削などに用いた場合、靭性不足が原因で
切刃に欠けチッピングが発生し易く、十分満足する切削
寿命を示さないのが現状である。
〔課題を解決するための手段〕
そこで、本発明者等は、上述のような観点から、靭性
のすぐれたc−BN基セラミック材を製造すべく研究を行
なった結果、 使用する原料粉末、水素化チタン(以下TiHxで示す)
粉末とc−BN基粉末に特定し、かつTiHxの粒径を平均粒
径で1μm未満と微細にする一方、相対的にc−BN基粉
末の粒径を平均粒径で1〜10μmと大きくし、望ましく
はc−BN粉末の表面にTiHx粉末が一様に分布するように
するために、TiHx粉末の粒径をc−BN粉末の粒径の1/2
以下にするのがよく、これらの原料粉末を、 TiHx:0.5〜20重量%、 c−BN:残り、 の割合に配合し、通常の条件で混合し、圧粉体に成形し
た後、この圧粉体を真空中、1200〜1500℃の温度に加熱
すると、c−BN粉末の表面部でTiHx粉末との間で反応が
起ってTiHxの全てが反応し、その結果窒化チタン(以下
TiNで示す)とほう化チタン(以下TiB2で示す)が生成
し、この生成TiNとTiB2は著しく高い活性を有するの
で、分散相形成成分でc−BNと強固に結合し、この結果
形成されたc−BN基セラミック焼結体は多孔質ではある
が、きわめて高い靭性をもつものであり、 したがって、この多孔質c−BN基セラミック焼結体
に、通常の条件、すなわち圧力:1万気圧以上、温度:100
0℃以上の条件で超高圧高温処理を施して98%以上の理
論密度化としたc−BN基セラミック材は、すぐれた靭性
をもつようになり、かつ従来方法で製造されたc−BN基
セラミック材と同等の高硬度を有し、 これを特に靭性が要求される鋳鉄の連続高速切削や、
高硬度鋼の断続切削などに切削工具として用いた場合に
も切刃に欠けチッピングなどの発生がなく、すぐれた切
削性能を長期に亘って発揮するという研究結果を得たの
である。
この発明は、上記の研究結果にもとづいてなされたも
のであって、 原料粉末として、平均粒径:1μm未満のTiHx粉末と、
同1〜10μmのc−BN粉末を用い、これらの原料粉末
を、 TiHx:0.5〜20重量%、 c−BN:残り、 からなる配合組成に配合し、通常の条件で混合し、圧粉
体に成形した後、 この圧粉体を、真空中、1200〜1500℃の温度に加熱保
持し、c−BNとTiHxとを反応させてTiNとTiB2を生成せ
しめ、c−BNが前記生成TiNとTiB2とで強固に結合され
た組織を有する多孔質c−BN基セラミック焼結体を形成
し、 ついで、上記多孔質c−BN基セラミック焼結体に、通
常の条件で超高圧高温処理を施して、98%以上の理論密
度比に緻密化することにより高靭性を有するc−BN基セ
ラミック材を製造する方法に特徴を有するものである。
つぎに、この発明の方法において、製造条件を上記の
通りに限定した理由を説明する。
A.配合組成および粉末平均粒径 (a) TiHx粉末 TiHx粉末には、上記の通りc−BN粉末と反応して活性
なTiNとTiB2を形成し、これが結合相形成成分として作
用して構成成分相互が強固に結合した焼結体を形成する
作用があるが、その割合が0.5%未満では前記作用に所
望の効果が得られず、一方その割合が20%を越えると、
これと反応するc−BN粉末の割合が多くなり、セラミッ
ク材中のc−BNの割合が相対的に減少して硬さが低下
し、切削工具として用いた場合に耐摩耗成の低下を招く
ようになることから、その割合0.5〜20%と定めた。
また、TiHx粉末は、c−BN粉末との反応を均一に行な
わしめて高靭性を確保するためには、そのまわりに一様
に分布させるのが望ましく、したがってその平均粒径が
1μm以上になるとc−BN粉末の粒径との関係で均一分
布が困難になることから、その平均粒径を1μm未満と
した。
さらに、この場合TiHx粉末の粒径をc−BN粉末の粒径
の1/2以下にして、TiHx粉末のがc−BN粉末の周囲に均
一に分布するようにしてやるとよい。
(b) c−BN粉末 c−BN粉末の平均粒径が1μm未満になると、セラミ
ック材の硬さが低下するようになって所望の耐摩耗性を
確保することができないばかりでなく、TiHx粉末と粒径
的に近似し、相対的にc−BN粉末の配合割合が高く、Ti
Hx粉末のそれは低いので、c−BN粉末同志が隣接する部
分が生じ、この部分ではc−BN+TiHx反応が起らず、し
たがって前記反応は局部反応にとどまるようになり、こ
の結果強固な粒子間結合を全体に亘ってはかることがで
きなくなり、このためセラミック材に高靭性を確保する
ことができず、一方その平均粒径が10μmを越えると、
セラミック材に局部的に硬さむらが生じるようになるこ
とから、その平均粒径を1〜10μmと定めた。
B.焼結温度 その温度が1200℃未満では、c−BN+TiHx反応を適当
な速さで、すなわち生成したTiNとTiB2に高い活性を付
与せしめた状態で十分に行なうことができず、一方その
温度が1500℃を越えるとc−BNが不安定となり、材質的
にバラツキのないセラミック材を製造することができな
くなることから、その温度を1200〜1500℃と定めた。
〔実 施 例〕
つぎに、この発明の方法を実施例により具体的に説明
する。
原料粉末として、それぞれ第1表に示される平均粒径
を有するTiHx粉末とc−BN粉末を用意し、これら原料粉
末を、同じく第1表に示される配合組成に配合し、溶媒
としてアセトンを用いて湿式混合し、乾燥した後、1.5t
on/cm2の圧力で直径:12mm×厚さ:2mmの寸法をもった圧
粉体に成形し、この圧粉体を、0.005torrの真空中、同
じく第1表に示される温度に30分間保持の条件で焼結し
て多孔質c−BN基セラミック焼結体を形成し、ついで、
この多孔質c−BN基セラミック焼結体に、通常のベルト
型超高圧高温装置を用い、 圧力:3万気圧、温度:1200℃、保持時間:30分の条件で超
高圧高温処理を施すことにより本発明法1〜6をそれぞ
れ実施し、c−BN基セラミック材を製造した。
また、比較の目的で、TiHx粉末の代りに、原料粉末と
して同じく第1表に示される平均粒径を有するTiN粉末
およびTiB2粉末を用い、同じく第1表に示される配合組
成に配合し、かつ圧粉体を直接6万気圧、1600℃で超高
圧高温処理する以外は同一の条件で比較法1〜6を行な
い、c−BN基セラミック材を製造した。
つぎに、この結果得られた各種のc−BN基セラミック
材について、理論密度比、マイクロビッカーズ硬さ、お
よび破壊靭性値を測定し、この測定結果を第1表に示し
た。また、これらのc−BN基セラミック材をX線回折に
より観察したところ、いずれもc−BN,TiN,およびTiB2
からなり、TiHxや金属Tiの含有は皆無であることが確認
された。
さらに、これらの各種のc−BN基セラミック材を、切
断および研磨により切削工具切刃に仕上げ、 被削材:SED57(ロックウェル硬さCスケール:65)から
なり、外周部に180゜間隔で2本の長さ方向溝のある丸
棒材、 切削速度:60m/min、 切込み:0.2mm、 送り:0.1mm/rev.、 の条件で高速度鋼(高硬度鋼)の旋削断続切削試験を行
ない、切刃にチッピングが発生するまでの切削時間を測
定した。これらの測定結果を試験切刃:5本の平均値とし
て示した。
〔発明の効果〕
第1表に示される結果から、本発明法1〜6で製造さ
れたc−BN基セラミック材は、いずれも高靭性および高
硬度を有し、TiHxおよびTiの含有もなく、これを高硬度
鋼の断続切削に使用した場合に、すぐれた靭性を発揮
し、著しく長い使用寿命を示すのに対して、比較法1〜
6で製造されたc−BN基セラミック材に見られるよう
に、原料粉末としてTiHx粉末を使用しない場合には、十
分な靭性が得られず、高硬度鋼の断続切削では短かい使
用い寿命しか示さないことが明らかである。
上述のように、この発生の方法によれば、従来c−BN
基セラミック材では得ることのできない高靭性を有し、
かつこれと同等の高硬度を有するc−BN基セラミック材
を製造することができ、したがって、これをこれらの特
性が要求される鋳鉄の高速連続切削や、高硬度鋼の断続
切削などに切削工具として用いた場合に切刃に欠けやチ
ッピングの発生なく、すぐれた切削性能を著しく長期に
亘って発揮するなど工業上有用な効果がもたらされるの
である。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】原料粉末として、平均粒径が1μm未満の
    水素化チタン粉末と、同1〜10μmの立方晶窒化ほう素
    粉末を用い、これら原料粉末を、 水素化チタン:0.5〜20重量%、 立法晶窒化ほう素:残り、 からなる配合組成に配合し、通常の条件で混合し、圧粉
    体に成形した後、 この圧粉体を、真空中、1200〜1500℃の温度に加熱保持
    し、立方晶窒化ほう素と水素化チタンを反応せしめて窒
    化チタンとほう化チタンを生成させ、この生成窒化チタ
    ンとほう化チタンが立方晶窒化ほう素と強固に結合した
    組織を有する多孔質立方晶窒化ほう素基セラミック焼結
    体を形成し、 ついで、上記多孔質立方晶窒化ほう素基セラミック焼結
    体に、通常の条件で超高圧高温処理を施して、98%以上
    の理論密度比とすることを特徴とする高靭性を有する立
    方晶窒化ほう素基セラミック材の製造法。
JP1330767A 1989-12-20 1989-12-20 高靭性を有する立方晶窒化ほう素セラミック材の製造法 Expired - Lifetime JP2643503B2 (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP4140967A1 (en) 2021-08-24 2023-03-01 Tungaloy Corporation Cubic boron nitride sintered body and coated cubic boron nitride sintered body

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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