JP2641667B2 - 芝張り機の切り芝送り構造 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、長方形等の所定の形状
に形成されたマット状の切り芝を地面に順次置いて行っ
て、芝地を作る芝張り機の切り芝送り構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】前述のような芝張り機として、例えば特
開平３−１９１７１９号公報に開示されているようなも
のがある。つまり、マット状の切り芝（前記公報の図１
のＷ）を載置して地面側に切り芝を滑らせて行く芝のせ
台（前記公報の図１の３）と、この芝のせ台の下端付近
上側に、切り芝に接触してこれを地面に送り出して行く
ローラー状の送り装置（前記公報の図１の９）とを備え
た構成である。これにより、機体の進行に伴って送り装
置をモータ（前記公報の図３の１１）で回転駆動して、
切り芝を芝のせ台から順次送り出して地面に置いて行く
のである。

【０００３】この構造では送り装置の位置が固定式であ
るが、芝のせ台の下端付近上側にフレームを上下揺動自
在に支持し、このフレームに送り装置を取り付けてフレ
ーム及び送り装置の自重で、送り装置を切り芝の上面に
押し付けるようにすることが考えられている。これによ
って、切り芝が波打っていたり厚みが変化したりして
も、送り装置が切り芝の上面に接触して確実に切り芝を
送り出していく。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】前述のように送り装置
の位置が上下に変化するように構成した場合において、
例えば上向きの大きな凸部又は波打ち部分を持った切り
芝が、芝のせ台の上方から送り装置の下側を勢いよく通
過したとする。このような状態になると、凸部又は波打
ち部分により送り装置及びフレームが、大きく上方に跳
ね上げられてしまうような状態となって、送り装置が切
り芝の上面から離れ、送り装置による切り芝の送りが一
時的に行われない状態となる。このような芝張り機にお
いては、芝のせ台に複数列の切り芝を載せた場合に前記
公報の図２に示すように、地面上に各切り芝が千鳥状に
配置されるように、又切り芝と切り芝の間に目地と呼ば
れる間隔が生じるように切り芝を送り出している。この
場合、以上の操作は機体の走行速度と、送り装置による
切り芝の送り出し速度とに基づいて行われる為に、一時
的であっても送り装置が切り芝の上面から離れると、前
述のような目地を作る操作及び切り芝を千鳥状に配置す
る操作が精度良く行えなくなる。本発明は、切り芝の上
面に上向きの大きな凸部又は波打ち部分があっても、こ
れに関係なく送り装置が切り芝の上面に確実に接触し
て、切り芝を送り出していけるように構成することを目
的としている。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明の特徴は以上のよ
うな芝張り機の切り芝送り構造において、次のように構
成することにある。つまり、マット状の切り芝を載置し
て地面側にこの切り芝を滑らせて行く芝のせ台を備え、
芝のせ台の下端付近上側の横軸芯周りに上下揺動自在に
フレームを支持し、切り芝の上面に接触し回転駆動され
て切り芝を地面に送り出していく送り装置をフレームに
備えると共に、フレームの上方側への揺動動作に対して
抵抗を与える抵抗機構を備えてある。

【０００６】

【作用】前述のように構成すると、例えば上向きの大き
な凸部又は波打ち部分を持った切り芝が、芝のせ台の上
方から送り装置の下側を勢いよく通過して、切り芝の上
面に接触していた送り装置、及びフレームが上方に跳ね
上げられようとしたとする。この場合、送り装置及びフ
レームの上方への揺動動作に抵抗機構から抵抗が作用す
るので、この上方への揺動動作が急速には行われず、ゆ
っくりと低速で行われることになる。これにより、送り
装置が切り芝の上面に沿って上方に揺動することにな
り、送り装置が上方に跳ね上げられて切り芝の上面から
離れるような事態が防止される。

【０００７】

【発明の効果】以上のように、送り装置が上方に跳ね上
げられて送り装置による切り芝の送りが一時的に行われ
ない状態を防止し、送り装置が切り芝の上面に良く馴染
んでいくように構成することができた。これにより、送
り装置が切り芝の上面に常時接触するような状態となっ
て、目地を作る操作及び切り芝を千鳥状に配置する操作
が精度良く行えるようになる。

【０００８】

【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明
する。図１に示すように、前輪２５及び後輪２６で支持
された機体フレーム１の前部に操縦部９、中央部に切り
芝５を重ねて置いておく貯留部２を備えると共に、機体
フレーム１の後部に芝のせ台７及び整地装置３を備えて
おり、この芝のせ台７及び整地装置３をリンク機構４に
より昇降操作自在に連結支持して芝張り機を構成してい
る。

【０００９】次に、芝のせ台７について説明する。図１
及び図２に示すように、芝のせ台７には第１芝のせ面６
ａ、第２芝のせ面６ｂ、第３芝のせ面６ｃ、第４芝のせ
面６ｄの４列が形成されており、第１〜第４芝のせ面６
ａ〜６ｄに対して切り芝５の浮き上がりを抑えるステー
１０が設けられている。これにより、機体フレーム１の
後部に別の作業者が乗って、貯留部２から切り芝５を取
り出して第１〜第４芝のせ面６ａ〜６ｄに上から切り芝
５を補給して行く。

【００１０】芝のせ台７の下端付近上側には切り芝５用
の送りローラー１２（送り装置に相当）が配置されてお
り、次に、この送りローラー１２付近の構造について説
明する。図３及び図４に示すように、芝のせ台７の下端
において左右両端に亘り１本の支持軸１９が架設固定さ
れており、４個の円筒軸２３が第１〜第４芝のせ面６ａ
〜６ｄに対応する支持軸１９の部分に回動自在に外嵌さ
れている。

【００１１】左右一対の第１フレーム２７（フレームに
相当）が各円筒軸２３に下向きに固定されており、左右
の第１フレーム２７に亘り１本の支軸８が左右一対のベ
アリング１１により自由回転自在に支持され、突起１２
ａ付きで中空円筒状の送りローラー１２が支軸８にベア
リング１４を介して外嵌されている。そして、円筒軸２
３に固定された第２フレーム２８にモータ１３が固定さ
れており、このモータ１３の出力スプロケット１５と、
送りローラー１２の入力スプロケット１２ｂとに亘り、
伝動チェーン１６が巻回されている。

【００１２】図３及び図４に示すように支軸８の両端に
は、突起１７ａ付きの検出ローラー１７が左右一対固定
されており、切り芝５の送りに伴って切り芝５に接触す
る左右の検出ローラー１７が回転して行くように構成し
ている。そして、左右の検出ローラー１７及び支軸８の
回転数を検出するロータリエンコーダ１８が、支軸８の
一端に設けられている。

【００１３】以上の構造により、左右一対の第１フレー
ム２７、送りローラー１２、左右一対の検出ローラー１
７、第２フレーム２８及びモータ１３が、支持軸１９の
横軸芯Ｐ周りに自由に上下揺動するのであり、これら自
身の重量により送りローラー１２及び検出ローラー１７
が切り芝５の上面に押し付けられる。そして、送りロー
ラー１２及び検出ローラー１７等は、芝のせ台７の第１
〜第４芝のせ面６ａ〜６ｄの各々の下端に設けられてい
る。これにより、図１において機体が紙面左方に進行し
ていくのに伴い、モータ１３により送りローラー１２
が、図３において紙面反時計方向に回転駆動されて、切
り芝５が地面上に送り出されていくのである。

【００１４】次に、送りローラー１２及び検出ローラー
１７等の上方への揺動動作に抵抗を与える構造について
説明する。図３及び図４に示すように、円筒軸２３に第
３フレーム２９が固定されており、この第３フレーム２
９の先端にオイル式でシリンダ型式のダンパー３０（抵
抗機構に相当）が固定されている。この場合、ダンパー
３０のピストン３０ａが下向きになっており、芝のせ台
７の固定部７ａにピストン３０ａの先端が当て付けられ
ている。

【００１５】以上の構造により、図３において送りロー
ラー１２及び検出ローラー１７等が上方に持ち上げられ
ると、これとは反対に第３フレーム２９は下方の芝のせ
台７側に揺動する。これにより、ピストン３０ａがダン
パー３０内に押し込められるような状態となって、送り
ローラー１２及び検出ローラー１７等の上方への揺動動
作に抵抗が作用する。又、ダンパー３０の外面がネジ構
造となっており、ダンパー３０をこのネジ構造で第３フ
レーム２９に固定する構造となっているので、ダンパー
３０自身を回転させることにより、第３フレーム２９に
対するダンパー３０の固定位置を上下に変更調節でき
る。

【００１６】次に、送りローラー１２及び検出ローラー
１７等の下方への揺動限界を決める構造について説明す
る。図５及び図４，３に示すように、一方の第１フレー
ム２７の先端に固定されたブラケット３１に、円筒部材
３２が上下向きに固定されており、円筒部材３２内にロ
ッド３３が上下スライド自在に内装され、このロッド３
３を下方側に付勢するバネ３４が設けられている。

【００１７】以上の構造により、ロッド３３の下端が芝
のせ台７の固定の仕切り部７ｂに接当することで、送り
ローラー１２及び検出ローラー１７等の下方への揺動限
界が決まる。そして、送りローラー１２及び検出ローラ
ー１７等が急に下方に揺動した際の衝撃が、バネ３４に
より吸収される。又、円筒部材３２の外面がネジ構造と
なっており、円筒部材３２をこのネジ構造でブラケット
３１に固定する構造となっているので、円筒部材３２自
身を回転させることにより、ブラケット３１に対する円
筒部材３２及びロッド３３の位置を上下に変更調節でき
る。

【００１８】又、図１及び図４に示すように、各円筒軸
２３に操作レバー３５が固定されており、この操作レバ
ー３５が芝のせ台７の上端付近にまで延出されている。
これにより、送りローラー１２付近で切り芝５の詰まり
等が生じた場合、機体フレーム１の後部に乗る別の作業
者が、操作レバー３５を操作し送りローラー１２等を持
ち上げて、切り芝５が下方に流れるようにすることがで
きる。

【００１９】図１に示すように、芝のせ台７の下部前側
に設けられている整地装置３は、地面を少し荒らして行
く固定の杭部材２０と、土を押さえて行く整地ローラー
２１とから構成されている。そして、整地ローラー２１
の回転数を検出するロータリエンコーダ２２を設けて、
地面に追従して回転する整地ローラー２１の回転数を機
体の走行速度として検出している。

【００２０】以上の構造により、切り芝５用のロータリ
エンコーダ１８の検出値及び機体の走行速度用のロータ
リエンコーダ２２の検出値に基づいて、送りローラー１
２による切り芝５の送り出しが機体の進行よりも少し遅
くなるようにし、地面に送り出される切り芝５が少し引
きずられるようにして、図２に示すように各切り芝５の
間に目地２４を形成するのである。そして、送りローラ
ー１２による切り芝５の送り出し速度を高低に調節して
図２に示すように、一つの列の切り芝５の中程に隣の列
の切り芝５の後端が位置するようにして、切り芝５が千
鳥状に配置されるようにするのである。

【００２１】〔別実施例〕前述の実施例では、送りロー
ラー１２及び第１フレーム２７の上方への揺動操作に抵
抗を与える抵抗機構としてダンパー３０を使用したが、
このダンパー３０に換えてバネを使用してもよい。切り
芝５の送り装置として前述の実施例のような送りローラ
ー１２ではなく、ベルト式の送り装置を採用してもよ
い。

【００２２】尚、特許請求の範囲の項に図面との対照を
便利にする為に符号を記すが、該記入により本発明は添
付図面の構成に限定されるものではない。

【図面の簡単な説明】

【図１】芝張り機の全体側面図

【図２】芝のせ台及び切り芝の千鳥配置状態を示す平面
図

【図３】芝のせ台の下端の送りローラー付近の側面図

【図４】芝のせ台の下端の送りローラー付近の横断平面
図

【図５】送りローラーの下方の揺動限界を決めるロッド
付近の縦断背面図

【符号の説明】

５ 切り芝 ７ 芝のせ台 １２ 切り芝の送り装置 ２７ フレーム ３０ 抵抗機構 Ｐ 横軸芯

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 マット状の切り芝（５）を載置して地面
   側にこの切り芝（５）を滑らせて行く芝のせ台（７）を
   備え、前記芝のせ台（７）の下端付近上側の横軸芯
   （Ｐ）周りに上下揺動自在にフレーム（２７）を支持
   し、前記切り芝（５）の上面に接触し回転駆動されて切
   り芝（５）を地面に送り出していく送り装置（１２）
   を、前記フレーム（２７）に備えると共に、前記フレー
   ム（２７）の上方側への揺動動作に対して抵抗を与える
   抵抗機構（３０）を備えてある芝張り機の切り芝送り構
   造。