JP2641535B2 - 歯科用複合金属材料 - Google Patents

歯科用複合金属材料

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JP2641535B2 JP63296340A JP29634088A JP2641535B2 JP 2641535 B2 JP2641535 B2 JP 2641535B2 JP 63296340 A JP63296340 A JP 63296340A JP 29634088 A JP29634088 A JP 29634088A JP 2641535 B2 JP2641535 B2 JP 2641535B2
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重靖 成瀬
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、動揺歯の固定や前歯部欠損歯補綴に使用す
る補綴修復用の歯科用複合金属材料に関する。
〔従来の技術〕
従来、欠損歯や歯周病による動揺歯の治療は、例えば
前者の場合、歯欠部分に人工歯を媒体として隣接歯に接
着して架橋する所謂アドヒュージョンブリッジ、クラウ
ンブリッジやクラスプのような形態を採るとか、あるい
は後者の場合には、接着性レジンで両側の健全歯に連結
固定する等の方法がある。
〔発明が解決しようとする課題〕
このような従来技術によると、前者の隣接歯にセメン
トで接着する架橋法は、両側の支持歯を切削し、全部を
被覆歯とすることが多いために健全歯の寿命が短縮され
る問題がある。
また、良好な適合が得られないとその周辺部は不潔域
となって歯周病患の病因を招来し、補綴物を浮き上がら
せ、適切な咬合状態が得られないという問題がある。
つぎに、後者の接着性レジンで両側の支持歯に連結固
定する方法は、普通咬合時は50Kg以上の共略な力が加わ
るが、歯牙および歯肉の緩衝作用によって適切な咬合は
行われるが、この方法は接着性レジンで両側の支持歯に
強固に固定されるために力が分散されず、同一個所に集
中的な応力が掛かる問題がある。その結果、接合個所の
一部に経時的疲労が起こって、支台歯の揺動や接合個所
の破損が生じたり、歯肉の炎症を助長する問題がある。
そこで、近時、Ni−Crの金属網と金属板の複合材によ
るプレートを、欠損歯や動揺歯等の治療歯とその隣接歯
の舌面側の所定の形状に圧印法によって形成し、その形
成したプレートを接着性レジンで連結固着する方法があ
り、咬合時の応力の分布が良いという特徴がある。
ところが、このプレートは、金属網と金属板が強固に
密着している必要があり、しかも歯の舌面側の所定の形
状に形成できなければならならず、さらに、歯との密着
性、加工性および保持強度も良くなければならないが、
それらの点に問題がある。
その大きな原因は、金属網と金属板の素材の特性と、
金属網の構成にありその構成は網の交差部では一方の線
材は浮いてしまい、凹凸も大きいために密着性が悪いも
のである。
〔課題を解決する為の手段〕
本発明は、金属板の片面に金属網を接合した歯科用複
合金属材料において、Au10〜25wt%、Pd15〜35wt%、Ag
45〜70wt%の組成範囲の合金を、厚さ0.05〜0.5mmの合
金板とし、その片面に上記組成範囲の合金のエクスパン
ド網を重ね合わせ、600℃以上の温度で熱間接合し、冶
金的に一体化したことを特徴とする。
〔作用〕
以上の構成によると、上記複合金属材料を欠損歯や動
揺歯等の治療歯とその隣接歯の舌面側の所定の形状に形
成し、エクスパンド網を歯の舌面側に接着性レジン等で
密着させることにより治療歯を補綴修復することができ
ることになる。
ここで、合金成分をAu−Pd−Agの3元合金としてそれ
ぞれの量を限定した理由は、成形性、加工性、支持強度
および耐久性にすぐれた歯科材料の成分範囲とするため
であり、さらに合金板とエクスパンダ網との接合加工性
を良くするためである。
また、基材の厚さを0.05〜0.5mmとした理由は、0.05m
m未満では欠損歯または動揺歯を支える強度が不足する
ためであり、0.5mmを超えると補綴修復加工が難しくな
るためである。
〔実 施 例〕
第1実施例 Au120g、Pd250g、Ag630gをタンマン炉で溶解、鋳造
し、この12wt%Au−25wt%Pd−63wt%Agの合金を切削
後、圧延加工と焼鈍を繰り返し行って厚さ0.2mmと0.15m
mの合金板とした。
この0.15mmの合金板を第1図に示す如くラス加工によ
ってエクスパンド網1に仕上げた後、幅80mm、長さ120m
mの大きさに裁断した。
次に、0.2mmの合金板を幅80mm、長さ120mmの大きさに
裁断して基材2とし、上記のエクスパンド網1に軽い力
を加えて重ね合わせ、雰囲気電気炉中でN2とH2の混合ガ
スを流しながら900℃の温度に加熱し、拡散処理を行っ
て複合材料Aを得た。
この複合材料Aを幅5mm、長さ12mmに裁断し、この複
合材料Aとアルミナ質基板3を第2図および第3図に示
す如く接着性レジン4により接合して第3図に示す引き
剥がしテストによって接合強度を測定して表に示した。
第2実施例 Au200g、Pd200g、Ag600gをタンマン炉で溶解、鋳造
し、以下上記第1実施例と同様の工程で20wt%Au−20wt
%Pd−60wt%Agの合金を切削後、圧延加工と焼鈍を繰り
返して板の厚さを基材用0.3mm、ラス加工用0.2mmから複
合材料Bを上記実施例と同様の工程で得た。
以下同様の方法によって複合材料C〜Fを作った。
なお、比較のために金属板だけの材料G、12wt%Au−
25wt%Pd−63wt%Agの合金板と、材料H、20wt%Au−20
wt%Pd−60wt%Agの合金板を作って接合強度を比較し
た。
〔発明の効果〕 以上詳細に説明した本発明によると、金属板に金属網
を接合した歯科用復合金属材料において、金属板および
金属網をAu−Pd−Ag合金とし、さらに金属網の構造をエ
クスパンド網としたことにより、この網の表面が平滑面
であるために金属板に対する金属網の接合状態が強固と
なって接合強度の大きい複合材料が得られることにな
り、合金成分の特性と併せて成形性、加工性、耐久性、
支持強度等の面で歯科材料として優れた特性を有する材
料となり、そかもエクスパンド網の表面が平滑面である
ために歯の舌側面に対する接着性も非常に良好となる効
果を有する。
【図面の簡単な説明】
第1図は金属網の拡大斜視図、第2図は複合材料をアル
ミナ質基板に接合した状態の拡大斜視図、第3図は拡大
側面図である。 1……エクスパンド網 2……基材
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭61−60280(JP,A) 特開 昭57−108233(JP,A) 特公 昭60−48579(JP,B2)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】金属板の片面に金属網を接合した歯科用複
    合金属材料において、 Au10〜25wt%、Pd15〜35wt%、Ag45〜70wt%の組成範囲
    の合金を、厚さ0.05〜0.5mmの合金板とし、その片面に
    上記組成範囲の合金のエクスパンド網を重ね合わせ、60
    0℃以上の温度で熱間接合し、冶金的に一体化したこと
    を特徴とする歯科用複合金属材料。
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