JP2640574B2 - 液体燃料気化式燃焼装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、液体燃料を気化して燃
焼させる液体燃料気化式燃焼装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、この種の気化器においては、単一
ヒータ（シーズヒータ、セラミツクヒータ等）にて気化
器内に内装される気化素子の温度を２５０℃〜４００℃
の高温に保ち、その素子内に液体燃料（灯油）を通過さ
せることによつて、灯油を蒸発、気化させていた。

【０００３】図３は石油フアンヒータ等の液体燃料気化
式燃焼装置の構成を示すものである。

【０００４】この構成では、電磁ポンプ１によつて燃料
タンク２内の灯油３は、送油パイプ４を通して、気化器
本体５内の気化室に送り込まれ、気化器制御用ヒータ６
によつて高温になつた気化素子を通り蒸発気化し、ノズ
ル８によりバーナ９に供給され、電源１１に接続された
点火装置１０により点火され燃焼を始める。

【０００５】なお、燃料タンク２内にはカートリツジタ
ンク１４より燃料（灯油）３が供給され定油面高さにな
つている。

【０００６】気化器の伝熱体５ａはバーナ９の燃焼の熱
を回収し、気化器本体５を暖め、気化器本体５に外付け
されている気化器制御用ヒータ６の消費電力を低減して
いる。なお、気化器本体５の温度を検出するサーミスタ
１８を設け、気化器制御用ヒータ６を制御している。

【０００７】また、気化器本体５には、先端ノズル８を
開閉制御する電磁弁１２（ソレノイド）が設けられ、該
電磁弁１２によりノズル８を閉じたときには、燃料タン
ク２に気化室内の液体燃料を戻す戻しパイプ１９が接続
されている。

【０００８】

【発明が解決しようとする課題】上記従来技術におい
て、気化器の温度制御は気化器表面に取り付けた気化器
制御用ヒータ６とサーミスタ１８により制御されている
ため、気化器の容量等により予熱時間や耐不良灯油性が
左右されていた。

【０００９】そこで、本発明は、さらに予熱時間を短く
し、耐不良灯油性を向上させることを目的としている。

【００１０】

【課題を解決するための手段】本発明による課題解決手
段は、気化器本体５に内装された気化素子７を加熱し
て、前記気化器本体５内に供給される液体燃料を蒸発気
化させ、この蒸発気化し た燃料をノズル８よりバーナ９
に噴出して燃焼させる液体燃料気化式燃焼装置におい
て、前記気化器本体５の表面に気化器制御用ヒータ６が
装着され、前記気化器本体５に窒化ケイ素からなる点火
促進用ヒータ２１が内装され、予熱時に前記点火促進用
ヒータ２１にて前記気化素子７を加熱し、燃焼継続時に
前記気化器制御用ヒータ６にて前記気化素子７を加熱す
るよう構成されたものである。

【００１１】また、燃焼中に付着した炭化物を焼き切る
ために消火後に前記点火促進用ヒータ２１を作動させる
よう構成されたものである。

【００１２】

【作用】上記課題解決手段において、始動してからの予
熱時には窒化ケイ素ヒータ２１にて気化器本体５内の気
化素子７を直接的に加熱し、気化素子７の温度を急激に
上昇させる。その後、気化器本体５内に液体燃料を供給
し、この液体燃料を高温となつた気化素子７により瞬時
にガス化してノズル８よりバーナ９内に噴出し、点火ヒ
ータ等にて点火することにより燃焼が開始する。そのた
め、予熱時間が短くなり秒速点火が可能となる。

【００１３】点火後一定燃焼状態になると、気化器制御
用ヒータ６にて気化器本体５を加熱することにより、気
化器本体５内の気化素子７を間接的に加熱する。これに
より、燃焼量に応じてヒータ６の発熱量を変化させたと
きには、気化素子７の温度は一気に変化することなく徐
々に変化するので、液体燃料のガス化を安定させ、燃焼
の安定化を図ることができる。

【００１４】消火後は、窒化ケイ素ヒータ２１を高温に
保つて、気化器本体５内の温度を上げ、燃焼中に付着し
たタール分等の炭化物を焼き切る。

【００１５】

【実施例】以下、図面に示す実施例に基づき本発明を詳
細に説明する。

【００１６】なお、全体の構成は図３に示す一般的な燃
焼装置と同様であるため、これを利用しながら本発明を
説明する。

【００１７】図１は本発明の実施例を示す液体燃料燃焼
装置の気化器一部切り欠き断面図で、燃料タンク２内の
灯油３は、電磁ポンプ１により送油パイプ４を通り、気
化器内部に導かれ、ここで窒化ケイ素ヒータ２１にて短
時間（約１０秒）で高温（２００〜３００℃）になつた
気化素子７にて瞬時にガス化される。同時に、ソレノイ
ド１２がＯＦＦし、ノズル８よりバーナ９内へ気化ガス
が噴出され、バーナ９の上部の点火ヒータ１０にて点火
されて燃焼が継続される。

【００１８】気化器本体５は、図１の様に、そのバーナ
９側にバーナ９の輻射熱を伝える伝熱体５ａが一体形成
され、気化器本体５には気化素子７及び窒化ケイ素ヒー
タ２１が内装されている。

【００１９】気化素子７は多孔質のセラミツク材料を円
筒状に成型したものであり、また、窒化ケイ素ヒータ２
１に気化素子７を挿入して気化器本体５に差し込み、窒
化ケイ素ヒータ２１の上部取り付け具１６と気化器本体
５がろう付けで固定されている。なお、窒化ケイ素ヒー
タ２１のリード部２１ａは絶縁材料にてモールドされて
いる。

【００２０】また、気化器本体５の表面には気化器制御
用ヒータ６が装着されている。さらに気化器本体５に
は、ノズル８を開閉するニードル２３と、該ニードル２
３を開閉動作させるソレノイド１２とが設けられ、その
途中には、戻しパイプ１９が設けられている。

【００２１】さらに、１８は気化器本体５の温度を検出
するためのサーミスタ（負特性サーミスタ）であつて、
サーミスタ１８からの温度信号に基づいて気化器制御用
のヒータ６を制御している。

【００２２】次に本発明の動作内容を図２のフローチヤ
ートに基づいて説明する。

【００２３】まず電源スイツチをＯＮすると、窒化ケイ
素ヒータ２１、点火ヒータ１０、ソレノイド１２が通電
状態となり、タイマー１（５秒）が完了すると、気化器
制御用ヒータ６が通電状態となり、気化素子７及び気化
器本体５が予熱状態となる。

【００２４】そして、タイマー２（１０秒）が完了する
と、電磁ポンプ１がＯＮし、さらにタイマー３（１５
秒）が完了すると、ソレノイド１２がＯＦＦし、窒化ケ
イ素ヒータ２１にて急速に温度上昇した気化素子７内に
灯油３が送り込まれ、瞬時にガス化されてノズル８より
バーナ９内に噴出されて、通電中のバーナ９上部の点火
ヒータ１０にて点火され燃焼が開始される。

【００２５】そして、フレームセンサー（炎検出装置）
２４にて点火の確認が行われ、検知レベル以上であれ
ば、燃焼が継続される。また、検知レベル以下の場合は
初期状態に戻り、もう一度、同シーケンスを繰り返し、
検知レベル以上の場合は、燃焼が継続し、検知レベル以
下の場合は、失火判定として燃焼をストツプさせる。

【００２６】さらに、サーミスタ１８によつて予熱完了
温度が検出されると、窒化ケイ素ヒータ２１をＯＦＦ
し、以降はサーミスタ１８からの温度信号に基づいて燃
焼量に応じた気化器制御用ヒータ６の制御を行い、燃焼
を継続させる。

【００２７】次に、消火後一定時間は、窒化ケイ素ヒー
タ２１を燃焼時よりもさらに高温に保ち、燃焼中に付着
したタールを焼き切る。

【００２８】なお、本発明は、上記実施例に限定される
ものではなく、本発明の範囲内で上記実施例に多くの修
正および変更を加え得ることは勿論である。

【００２９】例えば、上記実施例では窒化ケイ素ヒータ
２１の通電は、初期から予熱完了までであつたが、さら
に燃焼を安定させるために、予熱完了までは全波制御
し、その後、一定時間は半波制御をしながら気化器制御
用ヒータ６と併用し、その後窒化ケイ素ヒータ２１をＯ
ＦＦした後、気化器制御用ヒータ６にて制御を行い燃焼
を継続させることも考えられる。

【００３０】また、点火促進用ヒータは、上記実施例の
ごとき窒化ケイ素ヒータでなくても、その昇温が非常に
早く、また熱容量が小さい特性を有するヒータと併用す
るものであれば効果は大である。

【００３１】

【発明の効果】以上の説明から明らかな通り、本発明に
よると、予熱時に気化器本体に内装された点火促進用ヒ
ータにて気化素子を加熱するよう構成しているので、液
体燃料が蒸発気化可能となる温度まで気化素子の温度を
素早く上昇させることができ、予熱時間を短縮して、よ
り素早い暖房を可能とすることができる。

【００３２】しかも、燃焼継続時に気化器本体の表面に
装着された気化器制御用ヒータにて気化素子を加熱する
よう構成しているので、ヒータの熱は気化器本体を介し
て気化素子に伝わることになり、燃焼量に応じてヒータ
の発熱量を変化させた場合には、気化素子の温度が一気
に変化することなく徐々に変化する。したがつて、簡単
な構造で液体燃料のガス化を安定して行いながら燃焼継
続時における気化素子の温度制御を行うことができ、燃
焼の安定化を図ることができる。

【００３３】また、点火促進用ヒータとして窒化ケイ素
を用いると、液体燃料が直接ヒータに付着してもヒータ
が破損することを確実に防止することができるので、ヒ
ータの破損を防止するためのセラミツク等の被覆部材を
必要とせず、気化素子を直接加熱することができる。

【００３４】さらに、燃焼中に付着した炭化物を焼き切
るために消火後に点火促進用ヒータを作動させるよう構
成しているので、炭化物の付着による気化器の詰まりを
確実 に防止して耐不良灯油性を向上することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】図１は、本発明の気化器一部切り欠き断面図で
ある。

【図２】図２は、本発明の動作内容を示すフローチヤー
トである。

【図３】図３は、液体燃料気化式燃焼装置の構成を示す
概略図である。

【符号の説明】

１ 電磁ポンプ ２ 燃料タンク ３ 燃料（灯油） ４ 送油パイプ ５ 気化器本体 ６ 気化器制御用ヒータ ７ 気化素子 ８ ノズル ９ バーナ １０ 点火ヒータ １１ 電源 １２ ソレノイド １４ カートリツジタンク １６ 取り付け具 １８ サーミスタ１９ 戻しパイプ ２１ 窒化ケイ素ヒータ２３ ニードル ２４ フレームセンサー

Claims (3)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 気化器本体に内装された気化素子を加熱
   して、前記気化器本体内に供給される液体燃料を蒸発気
   化させ、この蒸発気化した燃料をノズルよりバーナに噴
   出して燃焼させる液体燃料気化式燃焼装置において、前
   記気化器本体の表面に気化器制御用ヒータが装着され、
   前記気化器本体に点火促進用ヒータが内装され、予熱時
   に前記点火促進用ヒータにて前記気化素子を加熱し、燃
   焼継続時に前記気化器制御用ヒータにて前記気化素子を
   加熱するよう構成されたことを特徴とする液体燃料気化
   式燃焼装置。
2. 【請求項２】 点火促進用ヒータとして窒化ケイ素が用
   いられたことを特徴とする請求項１記載の液体燃料気化
   式燃焼装置。
3. 【請求項３】 燃焼中に付着した炭化物を焼き切るため
   に消火後に前記点火促進用ヒータを作動させるよう構成
   されたことを特徴とする請求項１または２記載の液体燃
   料気化式燃焼装置。