JP2638989B2 - 車輌運搬用リフトトラック - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は車輛運搬用リフトトラックに関するもので、
詳しくは車輛を載置保持するための支持体の構造に関す
るものである。

〔従来の技術〕

組み立て製造ラインからラインオフした完成車輛は、
通常、一台毎作業者によってプールまで運転され、上記
プール上に整列駐車されて保管される。しかしこの場
合、隣接して駐車される車輛の間には作業者が車輛に乗
降するためのスペースを設ける必要があり、このためプ
ールへの車輛の保管台数が抑えられてしまう不都合があ
った。このような不都合は、フォークリフトによって完
成車輛をプールまで搬送し、車輛同志を可及的に近接さ
せて駐車保管することによって解消することが可能であ
る。

〔発明が解決しようとする課題〕

ところで、上記フォークリフトによって車輛を搬送す
る際、フォークリフトのフォーク（支持体）で直接車輛
を持ち上げた場合、フォークで車輛の底部を破損してし
まう虞れがある。このような車輛の損傷を防ぐには、車
輛をパレットに載置し、このパレットにフォークを差し
入れて車輛をプールまで搬送し、上記パレットごと車輛
をプールに保管するようにすればよいのであるが、この
場合、車輛数に対応した多数個のパレットを用意しなけ
ればならず、車輛を保管するためのコストが増大してし
まう不都合があった。

本発明は上記実状に鑑みて、運搬時における車輛の損
傷を未然に防ぐことができるとともに、車輛の保管コス
トを抑えることのできる車輛運搬用リフトトラックを提
供することを目的とする。

〔課題を解決するための手段〕

そこで本発明では、走行移動自在なトラック本体、車
輌を載置保持する支持体、およびトラック本体に対して
支持体を上下動するリフト機構を具備し、リフト機構に
取り付けられた支持体本体と、該支持体本体に設けられ
て車輌の車輪に係合する保持位置および車輪から離隔す
る退避位置の間を変位する車輪捕捉機構とを有する支持
体を、車輌の前方または後方より車輌の底部に潜り込ま
せ、車輪捕捉機構によって車輪の四輪を全て捕捉すると
ともに、リフト機構によって車輌を持ち上げた状態で運
搬するように構成した車輌運搬用リフトトラックにおい
て、リフト機構に支持されて延在するメインアームを有
するとともに、該メインアームの左方域および右方域に
配設されかつ車輌の左右方向に移動可能に支持された右
サイドアームおよび左サイドアームとを有する支持体本
体を設け、さらに各々の車輪の前方および後方に臨みか
つ１つのアクチュエータで保持位置と退避位置との間を
対称的に揺動開閉される一対のロッドを有するととも
に、支持体本体の右サイドアームおよび左サイドアーム
に各々車輌の前後方向に沿って移動可能に配設された車
輪捕捉機構を設けることで、上記目的を達成している。

〔作用〕

上記構成では、車輪を介して車体を支持するので車輛
の損傷が防止され、また、パレットを必要としないので
車輛保管コストが抑えられる。

〔実施例〕 以下、本発明を図面に基づいて詳細に説明する。

第１図ないし第４図は本発明に関わる車輛運搬用リフ
トトラックを示すものであり、第１図に示す如く、この
車輛運搬用リフトトラック１は、走行移動自在なトラッ
ク本体２と、リフト機構部３と、支持体４とから構成さ
れている。なお、このリフトトラック１は、無線等によ
って誘導される無人リフトトラックである。また、本体
２に対して支持体４を上下動させるためのリフト機構部
３の構成は、従来のフォークリフトの機構と変わるとこ
ろはない。

上記支持体４は、リフト機構部３に固設されて本体２
の前方に延びる支持体本体10を備えており、該支持体本
体10は、リフト機構部３に固定されたメインアーム11
と、該メインアーム11に平行して設けられた左サイドア
ーム12、および右サイドアーム13とから構成されてい
る。さらに、上記支持体４は、上記サイドアーム12,13
のそれぞれの前後部に車輪捕捉機構20を備えている。

車輪捕捉機構20は、第２図、第３図に示すように、サ
イドアーム12,13に、該サイドアーム12,13の軸回りに回
転不可能かつ軸方向に沿って移動自在に遊嵌するボディ
ー21を有している。上記ボディー21には、一対のロッド
22,23が、それぞれ水平面に沿って揺動自在に支承され
ており、さらに各ロッド22,23の支軸22a,23aには、それ
ぞれギヤ22b,23bが固設されている。上記ギヤ22b,23b
は、ボディー21に軸支されて互いに噛合するギア24,25
を介して連係されており、さらに上記ギヤ25には、ラッ
ク26が噛合している。このラック26は、ボディー21に固
設された油圧シリンダ30のロッド31に設けられており、
このロッド31を伸展、縮退させることによって、上記一
対のロッド22,23は、支持体本体10の側方へ突出する保
持位置（第２図中実線）と、支持体本体10に沿って前後
方向に延びる退避位置（第２図中鎖線）との間を揺動し
て変位する。

上記各ボディー21と支持体本体10（サイドアーム12,1
3）との間には油圧シリンダ40が介装されており、該油
圧シリンダ40を作動して支持体本体10に対する車輪捕捉
機構20の前後方向の位置を調整することができる。

第３図に示す支持体４では、左右に位置する車輪捕捉
機構20,20の間隔は固定されているが、第４図に示す機
構を用いることにより間隔の調整が可能となる。すなわ
ち、メインアーム11に取り付けられたベース板50にガイ
ドレール51,52を並設し、これらガイドレール51,52に摺
動自在に係合したガイドブロック53,54にそれぞれ取り
付け板53a,54aを介して左サイドアーム12および右サイ
ドアーム13を取り付けることにより、両サイドアーム1
2,13を互いに近接離反自在とし、さらに、ベース板50に
ガイドブロック55を介して前後方向に移動自在に設けら
れたスライドブロック56に、リンクアーム57,58を介し
てガイドブロック53,54を連係するとともに、上記スラ
イドブロック56を油圧シリンダ59に連係させ、この油圧
シリンダ59でスライドブロック56を前後動させてガイド
ブロック53,54に取り付けられたサイドアーム12,13を近
接離反させることにより、左右に位置する車輪捕捉機構
20,20の間隔を変えることができる。

第５図に、車輛100の運搬手順を示す。先ず車輛100の
前輪101、後輪102間の軸距に合わせて、車輪捕捉機構2
0,20間の前後間隔を油圧シリンダ40,40,…の作動によっ
て調整する。また、車輛100の輪距に合わせて第４図に
示す機構を作動させ、車輪捕捉機構20,20間の左右間隔
を調整する。さらにこのとき、各車輪捕捉機構20におけ
るロッド22,23は第２図に鎖線で示す退避位置に占位さ
れている。次いで第５図（ａ）に示す状態から第５図
（ｂ）に示す如く、支持体４を車輛100の底部に潜り込
ませ、こののち、各車輪捕捉機構20のロッド22,23を第
２図に実線で示す保持位置へ移動させる。かくすること
により、車輪101,102の下半部外周域にロッド22,23が臨
み、あるいは車輪101,102の下半部外周面にロッド22,23
が当接することとなる。次いで第５図（ｃ）に示す如く
支持体４を上昇させることにより、上記車輛100は、そ
の車輪101,102をロッド22,23に載せた格好で持ち上げら
れる。このとき車輛100は車輪101,102を介して支持され
るので、車体に損傷が生じることはない。リフトトラッ
ク１をプール上の所定の位置まで走行させたのち、上述
したと逆の手順によって車輛100を支持体４から降ろす
ことにより、該車輛100はプール上に駐車保管される。

なお、ロッド等の各駆動源は、油圧シリンダに限定さ
れるものではなく、エアシリンダ、あるいはモータ等の
適宜な手段を用いることができる。

〔発明の効果〕

以上、詳述した如く、本発明に関わる車輛運搬用リフ
トトラックによれば、支持体に設けた車輪捕捉機構によ
り、車輪を介して車輛を持ち上げるよう構成したので、
車輛を傷付けることなく運搬することが可能となり、ま
た本発明ではパレットを必要としないため、車輛の保管
コストを抑えることが可能となった。

また、上記構成の車輌運搬用リフトトラックでは、支
持体本体の右サイドアームと左サイドアームとを、メイ
ンアームに対して車輌の左右方向へ移動自在に支持する
とともに、この右サイドアームおよび左サイドアーム
に、車輪捕捉機構を車輌の前後方向へ移動可能に配設し
たことにより、各々の車輪捕捉機構を車輌における各車
輪の軸間距離およびトレッドに合わせて調整すること
で、様々な大きさの車輌を運搬することが可能となる。

さらに、上記構成の車輌運搬用リフトトラックは、支
持体本体と車輪捕捉機構とを有する支持体を、車輌の底
部に潜り込ませて運用されるため、上記支持体は車輌の
底部に潜り込み得る小型なものとなり、もって車輌運搬
用リフトトラック全体の外観が可及的に小型化すること
で、駐機時における省スペース化や、走行時における取
り回しの容易さ等を得ることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明に関わる車輛運搬用リフトトラックの全
体斜視図であり、第２図は車輪捕捉機構の平面断面図、
第３図は支持体の全体斜視図、第４図は車輪捕捉機構同
志の輪距方向の間隔を調整するための機構を示す全体斜
視図であり、第５図（ａ），（ｂ），（ｃ）は車輛の運
搬態様を順を追って示す車輛運搬用リフトトラックおよ
び車輛の概念図である。 １……車輛運搬用リフトトラック、２……トラック本
体、３……リフト機構部、４……支持体、10……支持体
本体、11……メインアーム、12……左サイドアーム、13
……右サイドアーム、20……車輪捕捉機構、21……ボデ
ィー、22,23……ロッド、100……車輛。

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】走行移動自在なトラック本体、車輌を載置
   保持する支持体、およびトラック本体に対して支持体を
   上下動するリフト機構を具備し、リフト機構に取り付け
   られた支持体本体と、該支持体本体に設けられて車輌の
   車輪に係合する保持位置および車輪から離隔する退避位
   置の間を変位する車輪捕捉機構とを有する支持体を、車
   輌の前方または後方より車輌の底部に潜り込ませ、車輪
   捕捉機構によって車輪の四輪を全て捕捉するとともに、
   リフト機構によって車輌を持ち上げた状態で運搬するよ
   うに構成した車輌運搬用リフトトラックであって、 リフト機構に支持されて延在するメインアームを有する
   とともに、該メインアームの左方域および右方域に配設
   されかつ車輌の左右方向に移動可能に支持された右サイ
   ドアームおよび左サイドアームとを有する支持体本体
   と、 各々の車輪の前方および後方に臨みかつ１つのアクチュ
   エータで保持位置と退避位置との間を対称的に揺動開閉
   される一対のロッドを有するとともに、支持体本体の右
   サイドアームおよび左サイドアームに各々車輌の前後方
   向に沿って移動可能に配設された車輪捕捉機構と、 を具備して成ることを特徴とする車輌運搬用リフトトラ
   ック。