JP2638786B2 - 内燃機関の動弁装置 - Google Patents

内燃機関の動弁装置

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Description

【発明の詳細な説明】 <産業上の利用分野> 本発明は、内燃機関のエンドピボット式の動弁装置に
関し、特にエンドピボットの耐久性向上対策に関する。
<従来の技術> 従来のこの種の動弁装置としては第5図に示すような
ものがある(特公昭60−56888号公報参照)。
概要を説明すると、シリンダヘッド1上にバルブクリ
アランス吸収用のハイドロリックリフタ機構を備えたエ
ンドピボット2が装着され、ロッカアーム3の一端部が
前記エンドピボット2の上端部に係合し、他端部が吸・
排気弁4のステムエンドに係合している。ロッカアーム
3の中間部上面に形成されたカムフォロア3aにカム5が
係合し、カム5を回動させてロッカアーム3をエンドピ
ボット2の係合部を支点として揺動させることにより、
吸・排気弁を開閉駆動するようにしている。6はバルブ
スプリングである。
<発明が解決しようとする問題点> ところで、かかるエンドピボット式の動弁装置にあっ
ては、ロッカアーム3が揺動するのに伴い、カム5から
カムフォロア3aに加わる反力の方向とエンドピボット2
の中心軸の方向との間に角度が生じる。即ち、エンドピ
ボット2は、その中心軸方向の荷重を支えるだけでな
く、中心軸と直交する方向の荷重(以下側方荷重とい
う)をも支えなければならない。
特に、前記従来例のようにハイドロリックリフタ機構
を備えたエンドピボット2を用いたものでは、このよう
な側方荷重によって、ピボット自身及びピボット装着孔
が変形したり、これに伴ってリフタ機構の作動不良を招
くことがあった。この対策として、エンドピボット2の
外径を大きくすることで側方荷重に対する十分な強度を
確保することも考えられるが、この場合、コスト上昇と
なり、取り付けスペースも大きくする必要がある等の問
題を生じる。
本発明は、このような従来の問題に着目してなされた
もので、エンドピボットとカムとの相対取付位置関係を
適切に設定することにより、エンドピボットに作用する
最大側方荷重自体を可及的に軽減し、もってエンドピボ
ットの耐久性を向上させた内燃機関の動弁装置を提供す
ることを目的とする。
<問題点を解決するための手段> このため本発明は、ロッカアームの一端部をシリンダ
ヘッド上に装着されたエンドピボットに係合させ、他端
部を吸・排気弁に係合させ、ロッカアームの中間部に形
成されたカムフォロアにカムを係合させ、カムの回動に
よりロッカアームをエンドピボットとの係合部を支点と
して揺動させて吸・排気弁を開閉駆動するようにした内
燃機関の動弁装置において、吸・排気弁のリフト増大時
にリフト速度の大きさが最大となる点(K)においてカ
ムからカムフォロアに加わる反力(FCK)のエンドピボ
ットの軸直角方向成分(FXK)の大きさ(│FXK│)と、
吸・排気弁のリフト減少時にリフト速度の大きさが最大
となる点(KA)においてカムフォロアに加わる反力(F
CKA)のエンドピボットの軸直角方向成分(FXKA)の大
きさ(│FXKA│)とが略同等となるように、カムの中心
(OC)とエンドピボットのロッカアーム揺動支点(Or
とを結ぶ線(OCOr)とエンドピボット中心軸とのなす傾
斜角(θ)を設定したことを特徴とする。
<作用> カムからカムフォロアに加わる反力(FC)は、吸・排
気弁のリフト増大・減少時にリフト速度の大きさが最大
となる2点(K点、KA点)で極大(FCK.FCKA)となる。
よってこの2点における側方荷重の大きさ(│FXK│.
│FXKA│)も極大となり、そのどちらかが最大側方荷重
となる。
カム中心(OC)とエンドピボットのロッカアーム揺動
支点(Or)とを結ぶ線(OCOr)とエンドピボット中心軸
とのなす傾斜角(θ)と前記側方荷重の大きさの極大値
(│FXK│.│FXKA│)とは、傾斜角(θ)によって一
方の極大値を小さくすると他方の極大値が大きくなると
いう関係となるので、2つの極大値を同等とすることで
最大の側方荷重を小さくすることができる。
<実施例> 以下、本発明の実施例を図に基づいて説明する。
但し、本発明はエンドピボットとカムとの相対取付位
置によって構成されるものであり、個々の部材について
は従来同様であるので、同一機能を有する構成部材につ
いては、第5図と同一の符号を付して説明する。
一実施例を示す第1図において、カム5の中心をOC
エンドピボット2におけるロッカアームの揺動支点を
Or、ロッカアーム3のカムフォロア3aの曲率中心をOa
カム5が任意のリフト状態でロッカアーム3のカムフォ
ロア3aと接する点をJ,エンドピボット2の中心軸線を
1、点Jを通り中心軸線1を平行に引いた直線をm、Or
からJとOaとを結ぶ直線JOaに対して引いた垂線をn、
カム中心Ocと揺動支点Orとを結ぶ直線OCOrと揺動支点Or
と曲率中心Oaとを結ぶ直線OrOaとのなす角をα、直線JO
aと直線mとのなす角をβ(但し、直線mが直線JOaの右
側にあるときを正とする)、直線OrOaと垂線nとのなす
角をφ、直線OCOrと中心軸線1とのなす角(傾斜角)を
θとする。なお、傾斜角θを定義する際に直線OCOrを基
準としたのは、カム中心OCとエンドピボット2のロッカ
アーム揺動支点Orがシリンダヘッド上で不動の固定点か
らである。
カム5からカムフォロア3aに加わる反力FCは、常に接
触点Jから曲率中心Oaへ向かう方向へ作用するので、反
力FCのエンドピボット2の軸直角方向成分(側方荷重)
FXは次式によって表される。
FX=FC・sinβ 但し、FXの符号はその向きを表し、前記のようにβの
符号を取るならば、符号が正のとき左向きを示す。ま
た、角βを角α、θ、φによって表すと、 β=θ+α−90−φ となるから、結局、側方荷重FXは、 FX=FC・sin(θ+α−90−φ) ……(1) で表すことができる。
次に、第2図はある任意のバルブリフト特性を示し、
第3図は該バルブリフト特性を備えたものの反力FCを示
す。第3図に示されるように、カム5からカムフォロア
3aに加わる反力FCは、リフト増大時にリフト速度の大き
さが最大となる点K及びリフト減少時にリフト速度の大
きさが最大となる点KA(加速度=0となる2点)におい
て極大値FCK、FCAKを取る。よって、その点K、KAにお
ける側方荷重FXK、FXKAの大きさを小とすれば、側方荷
重の大きさの最大値を小さくすることができる。
第4図では、傾斜角θを適切に設定して側方荷重
FXK、FXKAの大きさを略同等とした状態を実線で示して
いる。この状態から、傾斜角θを破線のように変化させ
ると、FXKの大きさは非常に小さくなるが、そのかわり
にFXKAの大きさが非常に大きくなることがわかる。即
ち、点K、KAにおける側方荷重FXKの大きさと傾斜角θ
とは、傾斜角θの設定によって一方の側方荷重の大きさ
を小さくすると他方の側方荷重の大きさが大きくなると
いう関係にある。よって側方荷重FXK、FXKAの大きさを
略同等とすることは側方荷重の大きさの最大値を小さく
することと同義である(第3図の実線と破線のFX
照)。
次に、側方荷重FXK、FXKAの大きさを同等とするとき
のθを算出する。FXK、FXKAの大きさを絶対値で表す
と、前記(1)式より、 │FXK│=FCK・sin(θ+α−90−φ) │FXKA│=−FCAK・sin(θ+αKA−90−φKA) これを展開して、 │FXK│=FCK・{sinθ・cos(α−90−φ) +cosθ・sin(α−90−φ)} │FXKA│=−FCKA・sinθ・cos(αKA−90−φKA) +cosθ・sin(αKA−90−φKA)} |FXK|=|FXKA|として整理すると、 −{FCK・sin(α−90−φ)+FCKA・sin(αKA−9
0−φKA)}cosθ ={FCK・cos(α−90−φ)+FCKA・cos(αKA−9
0−φKA)}sinθ となり、 となる。
なお、α、αKA、φ、φKAは、傾斜角θ以外の動
弁系の設定(カム形状、ロッカアーム形状、カム中心OC
と揺動中心Orとの距離)を決定すれば、幾何学的に求め
ることができる。また、FCK、FCKAは、実測、あるいは
上記の設定及びバルブスプリングの設定と機関の最高回
転速度とから計算により、予め求めることができる。
<発明の効果> 以上説明したように、本発明によれば、吸・排気弁の
リフト増大・減少時にリフト速度の大きさが最大となる
2点における側方荷重の大きさを略同等となるようにカ
ム中心とエンドピボットのロッカアーム揺動支点とを結
ぶ線とエンドピボット中心軸とのなす傾斜角を設定した
ため、側方荷重の大きさの最大値を可及的に減少させる
ことができ、もってエンドピボットの耐久性を可及的に
向上できる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の一実施例の構成図、第2図は同上実施
例のバルブリフト、リフト速度、リフト加速度の特性
図、第3図は同じくカムからカムフォロアに加わる反力
及びその反力のエンドピボットの軸直角方向成分(側方
荷重)を示す図、第4図は吸・排気弁のリフト増大・減
少時にリフト速度の大きさが最大となる2点における側
方荷重を示す図、第5図は従来例の構成図である。 2……エンドピボット、3……ロッカアーム、3a……カ
ムフォロア、4……吸・排気弁、5……カム、OC……カ
ム中心、Or……ロッカアームの揺動支点、Oa……カムフ
ォロアの曲率中心、FC……反力、FX……側方荷重、θ…
…傾斜角

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ロッカアームの一端部をシリンダヘッド上
    に装着されたエンドピボットに係合させ、他端部を吸・
    排気弁に係合させ、ロッカアームの中間部に形成された
    カムフォロアにカムを係合させ、カムの回動によりロッ
    カアームをエンドピボットとの係合部を支点として揺動
    させて吸・排気弁を開閉駆動するようにした内燃機関の
    動弁装置において、 吸・排気弁のリフト増大時にリフト速度の大きさが最大
    となる点(K)においてカムからカムフォロアに加わる
    反力(FCK)のエンドピボットの軸直角方向成分(FXK
    の大きさ(│FXK│)と、吸・排気弁のリフト減少時に
    リフト速度の大きさが最大となる点(KA)においてカム
    からカムフォロアに加わる反力(FCAK)のエンドピボッ
    トの軸直角方向成分(FXKA)の大きさ(│FXKA│)とが
    略同等となるように、カムの中心(OC)とエンドピボッ
    トのロッカアーム揺動支点(Or)とを結ぶ線(OCOr)と
    エンドピボット中心軸とのなす傾斜角(θ)を設定した
    ことを特徴とする内燃機関の動弁装置。
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