JPH0729206Y2

JPH0729206Y2 - 動弁系装置

Info

Publication number: JPH0729206Y2
Application number: JP1989140694U
Authority: JP
Inventors: 秀雄山室; 孝浩坪沼
Original assignee: Isuzu Motors Ltd
Current assignee: Isuzu Motors Ltd
Priority date: 1989-12-06
Filing date: 1989-12-06
Publication date: 1995-07-05
Anticipated expiration: 2004-12-06
Also published as: JPH0378908U

Description

【考案の詳細な説明】〔産業上の利用分野〕この考案は、セラミック製のバルブ及びバルブスプリン
グリテーナを備えた動弁系装置に関する。

〔従来の技術〕

従来、第２図に示すようなセラミック製バルブスプリン
グリテーナを備えた動弁系装置が知られている。該動弁
系装置は、直接駆動方式のオーバヘッドカムから成り、
バルブの真上からカム２によってバルブリフタ即ちタペ
ット３を直接駆動するものである。

上記動弁系装置は、主として、内燃機関の吸排気ポート
を開閉するための吸排気バルブ、該吸排気バルブのバル
ブステム１の上端部に取り付けたタペット３、タペット
３を直接駆動するカムシャフトに設けたカム２、バルブ
ステム１の外周に位置し且つバルブスプリング６を受け
るセラミック製バルブスプリングリテーナ４、及びバル
ブステム１に形成したコッタ溝10に係止し且つバルブス
プリングリテーナ４をバルブステム１に対して固定する
コッタ５を有している。

また、カム２とタペット３との間には、シム８が介在し
てカム２とタペット３との隙間を無くすように調節され
ている。バルブスプリングリテーナ４は、吸排気バルブ
のバルブステム１の端部のコッタ溝10に嵌合するコッタ
５を介して取り付けられ、しかもバルブスプリング６の
一端を支持して吸排気バルブをシリンダヘッド９の所定
の位置に保持する機能を果たす。

バルブスプリングリテーナ４は、バルブスプリング６を
着座させて支持する受け部７を下面に備えたセラミック
製部材から構成されている。従って、バルブスプリング
６は、バルブスプリングリテーナ４の受け部７とシリン
ダヘッド９の穴部19に設けたスプリング座面13との間に
配置されている。

また、従来の動弁系装置は、実開昭64-34409号公報にも
示すように、バルブスプリングリテーナ４の上端面12
は、コッタ５の上端面11より突出した状態に構成されて
いる。

また、セラミック材料で製作された吸排気バルブの動弁
系装置については、例えば、実開昭63-141812号公報に
開示されている。該公報に開示された動弁系装置は、セ
ラミックバルブの固定装置に関するものであり、セラミ
ック材料で製作された吸排気バルブにおけるスプリング
リテーナの下部に、バルブに直接固定する固定部位を設
けたものである。

〔考案が解決しようとする課題〕

ところで、上記実開昭64-34409号公報に開示されている
ように、エンジンの動弁系におけるバルブの応答性及び
迅速性を向上させるため、動弁系の軽量化を図るのに、
バルブ自体を窒化珪素Si₃N₄等のセラミック材料によっ
て構成した場合に、バルブ自体に掛かる応力を低減する
ことが重要なことである。そこで、動弁系のバルブスプ
リングリテーナ４をセラミック材料で製作し、バルブス
プリングリテーナ４を大きな曲率半径の湾曲部に形成
し、バルブスプリング６が着座して力が作用しても前記
湾曲部に応力集中が生じないように構成している。

しかしながら、上記のような動弁系装置では、カム２の
回転運動によってタペット３を介してバルブステム１が
上下運動させる時、即ち、吸排気バルブでポートを開閉
作動する時に、カム２の回転速度が速くなると、バル
ブ、タペット３、バルブスプリングリテーナ４、コッタ
５及びバルブスプリング６による等価質量とカム２の回
転によるバルブリフト量の負の加速度の絶対値との積
が、バルブスプリング６の反力よりも大きくなる付近の
回転数で、タペット３はカム２から離れてカム２の回転
運動に追従できなくなり、そのため、バルブの開閉作動
は異常な状態になる。その結果、エンジンは所望の駆動
ができなくなる。

また、上記実開昭63-141812号公報に開示された動弁系
装置は、通常、プッシュロッド式、或いはロッカアーム
式オーバヘッドカム又はスイングアーム式オーバヘッド
カムに適用されるものであり、セラミックバルブを固定
するため、セラミック材料で製作された吸排気バルブに
対してスプリングリテーナの下部を特殊な形状に構成し
たものである。

この考案の目的は、上記の課題を解決することであり、
バルブの真上からカムによってタペットを直接駆動する
直接駆動方式のオーバーヘッドカムから成るスペース上
制限のある動弁系装置において、動弁系を軽量化するた
め、バルブ及びバルブスプリングリテーナをセラミック
材料で製作し、バルブスプリングの反力をコッタのビー
ド部とバルブステムに形成したコッタ溝とで受ける以外
に、コッタの内面の接触面とバルブステムの外周面との
摩擦力で受けるように構成し、それによって、該摩擦力
分だけバルブスプリングのばね力を強くして、カムの回
転運動にタペットの追従性を向上させ、所望のバルブ開
閉作動を確保すると共に、バルブステムがコッタ溝の部
位で折損することを防止した動弁系装置を提供すること
である。

〔課題を解決するための手段〕

この考案は、上記の目的を達成するために、次のように
構成されている。即ち、この考案は、ポートを開閉する
セラミック製バルブ、該バルブのバルブステム上端部の
外方に位置し且つバルブスプリングを受けるセラミック
製バルブスプリングリテーナ、並びに内面にセラミック
製バルブステムのコッタ溝に係止するビード部及び内面
に前記バルブステムの外周面と摩擦接触する接触面を且
つ外面に前記バルブスプリングリテーナの内周面に接触
する接触面を有する金属製コッタから成り、前記バルブ
及び前記バルブスプリングリテーナを窒化珪素で構成
し、前記コッタを炭素含有量が0.15〜0.20％で且つ硬さ
がH_B800以下の炭素鋼で構成したことを特徴とする動弁
系装置に関する。

〔作用〕

この考案による動弁系装置は、以上のように構成されて
おり、次のように作用する。即ち、この動弁系装置は、
ポートを開閉するバルブ及びバルブスプリングを受ける
バルブスプリングリテーナを窒化珪素セラミック材料で
構成し、コッタを炭素含有量が0.15〜0.20％で且つ硬さ
がH_B800以下の炭素鋼で構成して該コッタの内面に前記
バルブステムのコッタ溝に係止するビード部及び前記バ
ルブステムの外周面及び前記バルブスプリングリテーナ
の内周面と摩擦接触する各接触面を形成したので、前記
バルブスプリングの反力は、前記バルブスプリングリテ
ーナのテーパ状の内周面に作用する分力で前記コッタを
前記バルブステムに押し付け、その押し付け力は前記バ
ルブステムと前記コッタとの接触面に十分大きな摩擦力
を発生させる。

そこで、前記バルブスプリングの反力を該摩擦力と前記
コッタの前記ビード部にかかる力とで受けることにな
り、前記バルブステムの上端部の前記コッタ溝に掛かる
力を小さくすることができ、前記バルブスプリングのば
ね力を上記摩擦力分だけ大きくしても、前記バルブステ
ムの前記コッタ溝から折損することがない。

従って、この動弁系装置は、前記バルブスプリングのば
ね力を大きくできるので、タペットの上下運動をカムの
高速回転運動に追従させることができる。

〔実施例〕

以下、図面を参照して、この考案による動弁系装置の一
実施例を説明する。

第１図において、この考案による動弁系装置の一実施例
が示されている。この動弁系装置は、第２図に示した動
弁系装置と比較して、バルブスプリングリテーナ４とコ
ッタ５との位置関係が相違する以外は同一の構成を有し
ているので、同一の部品には同一の符号を付している。

この動弁系装置は、吸気ポート或いは排気ポートのポー
トを開閉するための吸気バルブ或いは排気バルブのバル
ブを窒化珪素Si₃N₄、炭化珪素SiC、複合材等のセラミッ
ク材料で製作し、該バルブのバルブステム１の上端部に
取り付けたタペット３をタペット３の上方に配置したカ
ム２によってシム８を介して直接駆動する。

バルブステム１の外周には、窒化珪素、炭化珪素、複合
材等のセラミック材料で製作したバルブスプリングリテ
ーナ４を配置し、バルブスプリングリテーナ４の下面
に、バルブスプリング６の上端面を受ける受け部７を形
成する。バルブステム１の上端部にはコッタ溝10が形成
され、コッタ溝10にはバルブステム１の外周に複数個配
置された金属製のコッタ５の内方に突出する係止部即ち
ビード部14が係止する。

バルブスプリング６は、一端がバルブスプリングリテー
ナ４の受け部７に当接し、他端がシリンダヘッド９に形
成したバルブスプリング座面13に当接し、バルブスプリ
ングリテーナ４を上方へ付勢している。

従って、バルブスプリングリテーナ４のテーパ状の内周
面18がコッタ５の外面のテーパ状の接触面17に接触する
ことによって、コッタ５によってバルブスプリングリテ
ーナ４はバルブステム１に対して固定される。

この動弁系装置は、上記構造によって、バルブスプリン
グ６がバルブステム１を上方に付勢し、バルブステム１
を移動させ、ポートに設けたバルブシートにバルブが着
座し、バルブがポートを閉弁状態に維持することにな
る。

この動弁系装置は、スペースに制限のあるタイプの動弁
系において、特に、動弁系のレスポンスを向上させ、迅
速な動弁作動を確保するのに動弁系を軽量化するため、
バルブスプリングリテーナ４及びバルブをセラミック材
料で製作し、且つ複数個のコッタ５を金属材料で製作す
る。

コッタ５は、その内面にバルブステム１のコッタ溝に係
止するビード部14を有し、更にコッタ５の内面には、バ
ルブステム１の外周面15と摩擦接触する接触面16を有す
ると共に、コッタ５の外面には、バルブスプリングリテ
ーナ４の内周面18に接触する接触面17を有する。特に、
コッタ５の金属材料は、焼入れ鋼で且つ炭素含有量が0.
15〜0.20％で且つ硬さがH_B800以下の炭素鋼が最も最適
である。

コッタ５を上記金属材料で製作することによって、窒化
珪素Si₃N₄等のセラミック材料から成るバルブステム１
の外周面15とコッタ５の内面の接触面16との接触部位に
十分大きな摩擦力を発生させると共に、窒化珪素Si₃N₄
等のセラミック材料から成るバルブスプリングリテーナ
４の内周面18とコッタ５の接触面17との接触部位に十分
大きな摩擦力を発生させる。そのために、バルブスプリ
ング６の反力を、バルブステム１と前記コッタ５との間
の摩擦力とコッタ溝10とコッタ５のビード部14との係止
力で受けることになり、上記摩擦力分だけバルブスプリ
ング６のばね力を大きくしても、バルブステム１のコッ
タ溝10部位で折損することがない。

従って、この動弁系装置は、機械損失を増大させること
なく、バルブスプリング６のばね力を増大させても、バ
ルブステム１のコッタ溝10に機械的負担を増大させるこ
とがなく、それ故に、カム２の回転運動が高速になって
も、バルブスプリング６の強いばね力でタペット３の上
下運動を、カム２の回転運動に追従させることができ、
バルブに異常な開閉作動は発生しない。

更に、バルブスプリングリテーナ４の強度を確保するた
め、バルブスプリングリテーナ４の上端面12をコッタ５
の上端面11とほぼ同一面に位置させた状態、即ち、コッ
タ５の上端面11をバルブスプリングリテーナ４の上端面
12から、例えば、０〜0.5mm突出した状態の位置に調整
した状態に構成する。

上記のように、バルブスプリングリテーナ４とコッタ５
との位置関係を調節した状態に構成することによって、
バルブスプリングリテーナ４に作用する引張力の支点Ｂ
とバルブスプリングリテーナ４の受け部７の角部Ａとの
肉厚即ち距離を大きく確保することができる。

しかるに、カム２の回転運動によってタペット３は上下
方向に往復運動し、バルブステム１は上下運動してポー
トを開閉作動するが、その度にバルブスプリングリテー
ナ４の角部Ａには大きな引張応力が作用する。

特に、バルブの開弁時には、カム２の衝撃力によってバ
ルブスプリングリテーナ４に作用する引張応力は大きく
なるが、バルブスプリングリテーナ４の角部Ａの肉厚を
大きく確保することによって、バルブスプリングリテー
ナ４に掛かる引張応力を、第２図に示すような従来の動
弁系装置に比較して、例えば、15％以上低減することが
でき、バルブスプリングリテーナ４の強度を充分に確保
でき、バルブスプリングリテーナ４がセラミック材料で
製作されていても、バルブスプリングリテーナ４の亀
裂、クラック、折損等の破壊が発生することがない。

〔考案の効果〕

この考案による動弁系装置は、以上のように構成されて
いるので、次のような効果を有する。即ち、この動弁系
装置は、ポートを開閉するセラミック製バルブ、該バル
ブのバルブステム上端部の外方に位置し且つバルブスプ
リングを受けるセラミック製バルブスプリングリテー
ナ、並びに内面に前記バルブステムのコッタ溝に係止す
るビード部及び前記バルブステムの外周面と摩擦接触す
る接触面を有すると共に、外面に前記バルブスプリング
リテーナの内周面に接触する接触面を有する金属製コッ
タから成り、前記セラミック製バルブ及び前記セラミッ
ク製バルブスプリングリテーナを窒化珪素セラミック材
料で構成し、前記コッタを炭素含有量が0.15〜0.20％で
且つ硬さがH_B800以下の炭素鋼で構成したので、前記バ
ルブスプリングの反力を、前記バルブステムと前記コッ
タとの接触面に発生する摩擦力及び前記コッタの前記ビ
ード部にかかる力とで受けることができ、従って、前記
バルブステムの前記コッタ溝にかかる力が上記摩擦力分
だけ小さくなり、前記バルブステムの強度を確保でき、
前記摩擦力分だけ前記バルブスプリングのばね力を大き
くすることができる。

従って、この動弁系装置は、前記バルブスプリングのば
ね力を大きくできるので、前記タペットの上下運動、従
って、前記バルブステムの上下運動をカムの高速回転運
動に追従させることができる。例えば、従来の動弁系装
置はバルブの異常な開閉作動が発生する回転数が8000rp
mであったが、この考案による動弁系装置では9000rpmま
で向上した。

更に、この動弁系装置において、前記コッタの上端面を
前記バルブスプリングリテーナの上端面とほぼ同一面に
位置させることによって、前記バルブの前記バルブステ
ムの上端部に取り付けた前記タペットを前記カムで直接
駆動するスペース上過酷なタイプの動弁系装置におい
て、該動弁系を軽量に構成でき、高回転に耐え得る動弁
系装置を提供できることは勿論のこと、前記バルブの開
弁時に、前記バルブスプリングリテーナに引張力作用す
る角部の肉厚を大きく確保することができ、前記バルブ
スプリングリテーナに作用する引張応力を低減すること
ができ、前記バルブスプリングリテーナの角部の強度を
確保できる。

それ故、この動弁系装置は、前記バルブスプリングリテ
ーナの強度を充分に確保でき、前記バルブスプリングリ
テーナがセラミック材料で製作されていても、前記バル
ブスプリングリテーナの亀裂、クラック、折損等の破壊
が発生することがなく、前記バルブスプリングリテーナ
によって前記バルブステムを常に確実に且つ安定して支
持することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案による動弁系装置の一実施例を示す断
面図、及び第２図は従来の動弁系装置の一例を示す断面
図である。１……バルブステム、２……カム、３……タペット、４
……バルブスプリングリテーナ、５……コッタ、６……
バルブスプリング、７……受け部、９……シリンダヘッ
ド、10……コッタ溝、11,12……上端面、14……ビード
部、15……外周面、16,17……接触面、18……内周面。

Claims

【実用新案登録請求の範囲】

【請求項１】ポートを開閉するセラミック製バルブ、該
バルブのバルブステム上端部の外方に位置し且つバルブ
スプリングを受けるセラミック製バルブスプリングリテ
ーナ、並びに内面にセラミック製バルブステムのコッタ
溝に係止するビード部及び内面に前記バルブステムの外
周面と摩擦接触する接触面を且つ外面に前記バルブスプ
リングリテーナの内周面に接触する接触面を有する金属
製コッタから成り、前記バルブ及び前記バルブスプリン
グリテーナを窒化珪素で構成し、前記コッタを炭素含有
量が0.15〜0.20％で且つ硬さがH_B800以下の炭素鋼で構
成したことを特徴とする動弁系装置。