JP2637656B2 - 自動二輪車のサイドスタンドの製造方法およびサイドスタンド - Google Patents

自動二輪車のサイドスタンドの製造方法およびサイドスタンド

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JP2637656B2 JP3323432A JP32343291A JP2637656B2 JP 2637656 B2 JP2637656 B2 JP 2637656B2 JP 3323432 A JP3323432 A JP 3323432A JP 32343291 A JP32343291 A JP 32343291A JP 2637656 B2 JP2637656 B2 JP 2637656B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、自動二輪車のサイドス
タンドの製造方法およびサイドスタンドに関する。
【0002】
【従来の技術】自動二輪車のサイドスタンドは、例え
ば、特公昭62ー20070号公報に示されるように、
アーム状のスタンド本体の車体フレーム側の端部が、車
体フレームと一体の取付ベースに対し、車体の前後方向
に回動自在に支持され、スタンド本体を前方に回動させ
て地面等に接地させると、車体の停止状態を保持する構
成のものが一般的である。
【0003】上記公報に示されるようなサイドスタンド
は、通常、次のようにして製造されているのが現状であ
る。すなわち、図10および図11に示すように、2つ
の鍛造成形された素材1を1組として、車体フレーム側
の端部の下部を、クランプ台2と第1のクランプ材3に
より挟んで固定するとともに、地面側となる先端部に、
クランプ台2の下部から突設させた第2のクランプ材4
を押しつけた状態とすることにより、素材1をクランプ
台2に固定した状態とする。
【0004】そして、フレーム側の端部を、3枚1組の
カッタ5によるフライス加工により、その両側面を研削
すると同時に、中央にスタンド取付ベースを挟む溝部6
を形成し、この後、枢軸を貫通させる貫通孔7をあけ
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記のよう
な方法では、第1のクランプ材3によるクランプ台2へ
のクランプ代(実際に接触する面積)が小さく素材1の
固定状態が不安定であるため、第2のクランプ材4を設
けて、これら2つのクランプ材3、4により素材1の2
ケ所を押さえているわけであるが、自動二輪車の機種に
よって、図11で示すクランプ位置寸法Lが異なるの
で、それら機種に応じたクランプ材、ひいてはクランプ
台を使い分けている。
【0006】つまり、機種に応じたサイドスタンドの形
状によって加工基準が異なるので、その数だけクランプ
材等の加工治具を用意し、その加工治具をその都度交換
せねばならなかった。したがって、異なる機種のサイド
スタンドを連続して加工する際、時間がかかり生産性に
劣る。
【0007】本発明は上記事情に鑑みてなされたもの
で、異なる機種のサイドスタンドを続けて製造するにあ
たり、加工治具を交換することなく行えて加工時間全体
を短縮でき、もって生産性の向上が図られる、自動二輪
車のサイドスタンドの製造方法およびサイドスタンドを
提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達
成するためになされ、請求項1は、自動二輪車のサイド
スタンドの製造方法であって、自動二輪車の車体フレー
ムに対し、回動軸を介して車体の前後方向に回動自在に
支持される首部と、この首部と一体でその先端が地面等
に接地し得る足部とからなり、首部は、前記回動軸が貫
通される貫通孔が形成された左右一対の葉部およびこれ
ら葉部間に形成された溝部を備えた自動二輪車のサイド
スタンドの、前記首部を成形加工するにあたり、素材の
首部にストレート部を有する長円形状の被係合部を形成
し、この素材の首部を固定する加工治具に、その固定状
態で前記被係合部に対応するストレート部を有する長円
形状とされた係合部を形成し、この係合部を前記被係合
部に係合することにより、素材の首部を前記加工治具に
位置決めして固定した状態で、加工手段により、素材の
首部に対し前記溝部を形成して前記葉部を形成し、前記
首部を得ることを特徴としている。
【0009】また、請求項2は、自動二輪車のサイドス
タンドであって、自動二輪車の車体フレームに対し、回
動軸を介して車体の前後方向に回動自在に支持される首
部と、この首部と一体でその先端が地面等に接地し得る
足部とからなり、首部は、前記回動軸が貫通される貫通
孔が形成された左右一対の葉部およびこれら葉部間に形
成された溝部を備え、さらに、首部成形時における素材
の首部を、加工治具により固定する際、この加工治具に
形成した係合部が係合されて位置決めをなすストレート
部を有する長円形状の被係合部を形成したことを特徴と
している。
【0010】
【作用】本発明によれば、サイドスタンドの首部に形成
した被係合部に、加工治具に形成した係合部を係合させ
て、サイドスタンドの素材を加工治具に位置決めして固
定し、この状態で、加工手段により、首部に溝部を形成
して葉部を形成するので、加工治具に対するサイドスタ
ンドの素材の位置決めを、容易に、かつ確実に行える。
【0011】また、自動二輪車の機種に応じて足部の形
状が異なるサイドスタンドを製造する場合であっても、
少なくとも、そのサイドスタンドの素材の首部および被
係合部を同一として規格化した状態とすることにより、
加工治具を交換することなくそのまま用いることがで
き、したがって、異なる機種のサイドスタンドを、加工
治具を交換することなく続けて製造することができるこ
とにより、加工時間全体の短縮がなされ生産性の向上が
図られるといった効果を奏する。
【0012】
【実施例】以下、図面を参照して本発明の一実施例を説
明する。
【0013】図1および図2は、本発明に係る自動二輪
車のサイドスタンド11を示しており、このサイドスタ
ンド11は、車体フレームの左側の下部に装着されるも
ので、回動軸を介して車体の前後方向に回動自在に支持
される首部12と、この首部12と一体でその先端が地
面あるいは路面等に接地し得る足部13とを備えてい
る。
【0014】サイドスタンド11は、上記のように首部
12が車体フレームに取り付けられた状態で、車体後方
に回動されて足部13がその後方に向いた際が収納状態
とされ、また、車体前方に回動されて足部13が下方や
や前方に延びた際が起立状態とされ、これら各状態は、
車体フレームに装着された1つのスプリングにより保持
される。
【0015】首部12には、サイドスタンド11が起立
状態で上端となる、側面視円形状の円盤部14と、この
円盤部14から足部13につながるテーパ部15が形成
されている。円盤部14には、その厚さ方向の中央に形
成された溝部16により、左右(図1では下と上)一対
の葉部17、18が形成されている。そして、両葉部1
7、18の中央には、前記回動軸が貫通される貫通孔1
7a、18aがそれぞれあけられている。
【0016】サイドスタンド11は鍛造により成形され
ており、足部13の途中には、車体フレームに取り付け
られた状態で車体の外側に延びるロッド19と、車体内
側に延びる突出部20が、それぞれ足部13と一体に成
形されている。ロッド19は、運転者が足を引っ掛けて
サイドスタンド11の回動操作を行うためのものであ
り、突出部20は、サイドスタンド11を収納状態ある
いは起立状態に保持する前記スプリングの一端が係止さ
れるものである。
【0017】そして、このサイドスタンド11の首部1
2におけるテーパ部15の、起立状態における後面に
は、図3等に示すように、長円状の凹部(被係合部)2
1が形成されている。この凹部21は、その長径方向
が、足部13の長さ方向に沿っており、開口部の縁およ
び底部の縁は曲面に形成され、これら縁の間が、後面に
直交するストレート部21aが形成されている。
【0018】次いで、上記サイドスタンド11を、本発
明に係る一実施例方法により製造する工程を説明する。
【0019】図4の11Aは、鍛造加工されたサイドス
タンド11の素材11Aであり、この素材11Aは、前
記首部12および足部13に対応する、首部12Aおよ
び足部13Aが一体に鍛造されたもので、主に、首部1
2Aの円盤部14Aに、前記溝部16および葉部17、
18が形成されていない状態の鍛造品である。
【0020】まず、この素材11Aから前記サイドスタ
ンド11を製造するにあたり、素材11Aの、首部12
Aにおけるテーパ部15Aに、前記凹部21を形成す
る。
【0021】この素材11Aを複数得た後、これら素材
Aを、図5に示すように、加工ラインに沿って延びる加
工台22に、加工治具23を用いて設置し並べる。
【0022】この加工治具23は、図4および図5に示
すように、加工台22に係止されるクランプ台24と、
加工台22の上面に水平方向に回動可能にピン結合され
たクランプ材25とを備え、両者の一端間に、素材11
Aの首部12Aのテーパ部15を挟み、クランプ材25
の他端に螺合させたボルト26の先端をクランプ台24
に当てた状態で、ボルト26を抜き方向に回転させてク
ランプ材25の一端をクランプ台24側に回動させるこ
とにより、テーパ部15を強く挟んで固定する。
【0023】クランプ台24の、テーパ部15Aを挟む
側の面には、テーパ部15Aに形成された凹部21にぴ
ったりとはまって係合する凸部(係合部)24aがあら
かじめ形成しておき、この凸部24aを、テーパ部15
Aの凹部21に係合した状態で、上記のように、クラン
プ台24とクランプ材25との間にテーパ部15Aを挟
んで固定する。
【0024】次いで、図6および図7に示すように、3
枚1組のカッタ(加工手段)27を、加工ラインに沿っ
て移動させていき、加工台22に設置した複数の素材1
1Aの、首部12Aにおける円盤部14Aの両側面を切
削すると同時に、中央に前記溝部16を形成し、左右一
対の前記葉部17、18を形成する。この後、各葉部1
7、18の中央に、前記貫通孔17a、18aを形成す
る。
【0025】以上により、図1および図2に示した、首
部12を有するサイドスタンド11を複数得る。
【0026】上記方法により、このサイドスタンド11
を製造する場合、素材11Aのテーパ部15Aに形成し
た長円形の凹部21と、加工治具22のクランプ台24
に形成した凸部24aとの凹凸係合により、素材11A
は、上下左右の動きが規制され、また、前後方向の動き
は、加工治具22そのものによって規制される。つま
り、テーパ部15Aの凹部21に、クランプ台24の凸
部24aを係合させるだけで、素材11Aの上下左右の
動きを規制することができる。したがって、加工治具2
2に対する素材11Aの位置決めを、容易に、かつ確実
に行える。
【0027】また、自動二輪車の機種に応じて足部13
の形状が異なるサイドスタンドを製造する場合、少なく
とも、加工治具23によって挟まれる素材11Aの首部
12Aのテーパ部15Aおよびこのテーパ部15Aに形
成する凹部21を、同一として規格化した状態とするこ
とにより、足部13の形状が異なっていても、上記加工
治具23を交換することなくそのまま用いることができ
る。したがって、異なる機種のサイドスタンドを、加工
治具を交換することなく続けて製造することができ、加
工時間全体の短縮がなされ生産性の向上が図られる。
【0028】また、位置決めのための凹部21が、長円
形であるので、この凹部21を狭いスペースでも形成す
ることができる。たとえば、単なる円であると、位置決
めのためには複数形成せねばならないが、この必要がな
いわけである。そして、単なる円の場合であると、全周
にわたり精度が要求されるが、実施例のように長円形で
あると、短径方向のみの精度を出すだけで、位置決めの
作用をなす。すなわち、凹部21を形成する際、円の場
合と比べると高い精度は必要ないという利点がある。
【0029】さらに、凹部21は、テーパ状ではなくス
トレート部21aが形成されているから、鍛造後のコイ
ニング加工がしやすく、型持ちもよく、しかも精度も安
定する。また、凹部21の深さが一定でない場合、テー
パ状であると、凸部24a側もこれに合わせる必要が生
じるが、ストレート部21aを形成することにより、凸
部24aの形状はそのままでよく、したがって、加工治
具23の構造が単純化するとともに、長期にわたり高精
度を保つことができる。
【0030】図8および図9は、首部を加工した後、こ
の首部に足部を溶接してサイドスタンドを製造する場合
の、首部の素材を加工する状態を示している。首部の素
材31Aは、上記実施例の素材11Aの首部12Aと基
本的に同様で、円盤部32Aとテーパ部33Aが一体に
成形されている。この場合テーパ部33Aには、足部1
3へ接続されるほぼまっすぐな連結部34Aが一体に成
形されている。
【0031】図8の場合、上記実施例と同様に、テーパ
部33Aに長円状の凹部(被係合部)35が形成され、
やはり同様の構成の、クランプ台36およびクランプ材
37からなる加工治具38の、クランプ台36に、凹部
35に係合する凸部(係合部)39が形成されている。
そして、この凸部39を凹部35に係合した状態で、ク
ランプ台36とクランプ材37により首部の素材31A
のテーパ部33Aを挟んで固定している。
【0032】また、図9の場合、クランプ台40および
クランプ材41からなる加工治具42は、素材31Aの
テーパ部33Aと連結部34Aに、クランプ台40およ
びクランプ材41が接する形状とされ、連結部34Aお
よびクランプ台40にそれぞれ形成した、凹部(被係合
部)43および凸部(係合部)44を凹凸係合させて、
加工治具42により素材31Aを固定している。
【0033】図8および図9の場合、このように素材3
1Aを固定した後、上記実施例と同様に、円盤部32A
に溝部を形成して左右一対の葉部を形成し、これら葉部
に貫通孔を形成して首部を得、この後、足部を溶接でつ
ないで、最終的にサイドスタンドを得る。
【0034】上記のように首部と足部を別体とする場合
でも、加工ラインは同一で行える。
【0035】なお、上記各実施例において、首部に形成
する被係合部としては、長円形の凹部であり、加工治具
に形成する係合部としては、長円形の凹部に径合する長
円形の凸部であるが、本発明は、これに限らず、加工治
具に対する素材の位置を規制するものであれば、どのよ
うな形状もしくは数の係合部・被係合部であってもよ
い。
【0036】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
サイドスタンドの首部に形成した被係合部に、加工治具
に形成した係合部を係合させて、サイドスタンドの素材
を加工治具に位置決めして固定し、この状態で、加工手
段により、首部に溝部を形成して葉部を形成するので、
加工治具に対するサイドスタンドの素材の位置決めを、
容易に、かつ確実に行えるとともに、自動二輪車の機種
に応じて足部の形状が異なるサイドスタンドを製造する
場合であっても、少なくとも、そのサイドスタンドの素
材の首部および被係合部を同一として規格化した状態と
することにより、加工治具を交換することなくそのまま
用いることができ、したがって、異なる機種のサイドス
タンドを、加工治具を交換することなく続けて製造する
ことができることにより、加工時間全体の短縮がなされ
生産性の向上が図られる。また、前記被係合部を長円形
状に形成しているから、被係合部を円形状とする場合に
比べて単数で足りるため構成が簡素化でき、加えて、位
置決めも容易に行える。さらに、長円形状の被係合部に
ストレート部を形成しているから、該被係合部を形成す
るに当たり加工が容易になり、精度の向上が図れるとと
もに、被係合部の深さが異なる場合であってもそれに係
合する側の部材形状は同一のもので足りるといった効果
を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例のサイドスタンドの平面図で
ある。
【図2】同実施例の側面図である。
【図3】図2のPーP線矢視図である。
【図4】本発明方法の一実施例によってサイドスタンド
の素材の首部を加工している状態の側面図である。
【図5】図4のQーQ線矢視図である。
【図6】本発明方法の一実施例によってサイドスタンド
の素材の首部を加工している状態の断面図である。
【図7】同正面図である。
【図8】他の実施例のサイドスタンドの素材を加工治具
によって固定している状態の側面図である。
【図9】さらに他の実施例のサイドスタンドの素材を加
工治具によって固定している状態の側面図である。
【図10】従来のサイドスタンドの加工方法を示す側面
図である。
【図11】同正面図である。
【符号の説明】
11 サイドスタンド 11A、31A サイドスタンドの素材 12 首部 12A 素材の首部 13 足部 16 溝部 17 、18 葉部 17a、18a 貫通孔 21、35、43 凹部(被係合部) 23、38、42 加工治具 24a、39、44 凸部(係合部) 27 カッタ(加工手段)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 自動二輪車の車体フレームに対し、回動
    軸を介して車体の前後方向に回動自在に支持される首部
    と、この首部と一体でその先端が地面等に接地し得る足
    部とからなり、 首部は、前記回動軸が貫通される貫通孔が形成された左
    右一対の葉部およびこれら葉部間に形成された溝部を備
    えた自動二輪車のサイドスタンドの、前記首部を成形加
    工するにあたり、 素材の首部にストレート部を有する長円形状の被係合部
    を形成し、この素材の首部を固定する加工治具に、その
    固定状態で前記被係合部に対応するストレート部を有す
    る長円形状とされた係合部を形成し、この係合部を前記
    被係合部に係合することにより、素材の首部を前記加工
    治具に位置決めして固定した状態で、加工手段により、
    素材の首部に対し前記溝部を形成して前記葉部を形成
    し、前記首部を得ることを特徴とする自動二輪車のサイ
    ドスタンドの製造方法。
  2. 【請求項2】 自動二輪車の車体フレームに対し、回動
    軸を介して車体の前後方向に回動自在に支持される首部
    と、この首部と一体でその先端が地面等に接地し得る足
    部とからなり、 首部は、前記回動軸が貫通される貫通孔が形成された左
    右一対の葉部およびこれら葉部間に形成された溝部を備
    え、 さらに、首部成形時における素材の首部を、加工治具に
    より固定する際、この加工治具に形成した係合部が係合
    されて位置決めをなすストレート部を有する長円形状の
    被係合部が形成されていることを特徴とする自動二輪車
    のサイドスタンド。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JPH01240386A (ja) * 1988-03-23 1989-09-25 Suzuki Motor Co Ltd 自動二輪車のサイドスタンド
JPH01282079A (ja) * 1988-05-06 1989-11-13 Yamaha Motor Co Ltd 自動二輪車用サイドスタンドの取付構造

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