JP2636648B2 - 水底へ砂を撒布する方法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は水底に砂を撒布する方
法に関するものであり、特に、海洋構造物の基礎転倒防
止に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来の此種水底へ砂を撒布する装置とし
て実開平１−１１１７４３号公報記載のものが知られて
いる。而して、該装置は船の先端部に突設されたヤグラ
状のフレームに傘型部材を固設し、該傘型部材の内面に
対設し、且つ、上方に向って開口した圧送管から砂と水
とからなるスラリーを圧送し、そして、水面の上方から
水底に向って砂を撒布するようにした装置である。而し
て、この従来例によれば、砂は水面の上方から水底に向
って撒布せられるので、撒布された砂は水中に到達した
とき海流等によって押し流され、そして、周辺に散乱す
ることになる。斯くして、折角撒布された砂は目標地に
効率良く撒布せしめることは困難である。 そこで、コン
テナに収容された砂を水底に向って効率良く撒布するた
めに、該コンテナをクレーンによって前記水底近傍まで
下げて撒布することにより、該砂が散乱しないようにし
た技術事項が実公昭５９−４３３５１号にて提案されて
おり、更に、コンテナの底部に反転用ロープを取付け、
該反転用ロープの作用によって該コンテナを反転させて
コンテナ内の砂を排出できるようにした技術事項も実公
平３−３０４３９号公報にて提案されている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】上記実公昭５９−４３
３５１号公報記載のものは捨石を収容したホッパをクレ
ーンによって海中に吊下げて捨込むものであり、該ホッ
パを海底近傍まで下げ、そして、該ホッパの下半分をヒ
ンジを回転中心として回転解放して捨石を捨込むように
したものである。又、実公平３−３０４３９号公報記載
のものは、ニューマチックケーソンの沈設工事に於ける
掘削土をバケットに収容し、そして、クレーンの先端部
より吊り下げられている吊りロープを該バケットの上部
に係止して該クレーンにより該バケットをニューマチッ
クケーソンのエアーロック装置上方に吊り上げた後、該
エアーロック装置の上部に設けた足場に作業員が乗って
バケット反転用ワイヤロープの端部にリンクチェーンを
介して連結されているフックを該バケットの底部の係止
金具に係合し、そして、該バケットを掘削土貯溜用ホッ
パの上部まで搬送し、前記反転用ワイヤロープを引張
し、更に、前記吊りロープを弛めることにより、該バケ
ットを反転して該バケット内の掘削土を前記ホッパ内に
排出させるように構成されている。 そこで、前者のホッ
パに代えて後者のバケットを採用して構成される技術事
項として、水底の特定地直上までクレーン等にて吊り下
げられた砂入コンテナを降下せしめた後、該砂入コンテ
ナの底部に取付けられた反転用ロープを引張して、該コ
ンテナを前記特定地の直上にて反転せしめ乍ら該コンテ
ナ内の砂を該特定地に落下せしめるようにした砂の撒布
方法が当業者によって容易に想到し得るものとなる。 然
し乍ら、上記後者の引用例のバケットは金属製のものが
用いられているのであるから、上記構成で内容物の重量
に充分に耐えることができるが、厚手の布製のコンテナ
の場合は上記引用例の構成を採用すれば、砂の重量が集
中する部分から該コンテナが破損することになる。従っ
て、船上に折り畳んで多数枚を予め積み重ねておくこと
のできる布製のコンテナを用い、内容物の砂の重量に充
分に耐え、水底の特定地に効率良くコンテナ内の砂を撒
布できるようにするために解決せらるべき技術的課題が
生じてくるのであり、本発明は該課題を解決することを
目的とする。

【０００４】そこで、水底の特定地に向って砂を撒布
し、該撒布された砂が水底の特定地に効率良く撒布でき
るようにするために解決せらるべき技術的課題が生じて
くるのであり、本発明は該課題を解決することを目的と
する。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明は上記目的を達成
するために提案せられたものであり、水底の特定地直上
までクレーン等にて吊り下げられた砂入コンテナを降下
せしめた後、該砂入コンテナの底部に反転用ロープの下
端部を取付け、該反転用ロープを引張して、該コンテナ
を前記特定地の直上にて反転せしめ乍ら該コンテナ内の
砂を該特定地に落下せしめるようにした砂の撒布方法に
於て、コンテナ１には相互に所定間隔を有して吊りベル
ト３，３…が取付けられ、且つ、該吊りベルト３，３…
はコンテナ１の底部１ｂ側においては、該底部１ｂの中
心部に向って相互に対向して近接されると共に、端部３
ａ，３ａ…近傍を該コンテナ１の底部１ｂに夫々固定
し、更に、該吊りベルト３，３…はコンテナ１の底部１
ｂの周縁部より該コンテナ１の側部１ｃに沿って上方へ
立上がり、且つ、該コンテナ１の側部１ｃに設けられて
いる吊りベルト３，３…の挿通部４，４…内を夫々挿通
して該コンテナ１の上面まで延設され、更に、夫々の上
端部を結合してクレーン５の片方のロープ５ａにて吊り
下げられるように形成し、一方、該コンテナ１の底部１
ｂ側に相互に対向して配設されている前記吊りベルト
３，３…の端部３ａ，３ａ…は、夫々該コンテナ１の底
部１ｂの一側より該底部１ｂに沿って配設された反転用
ロープ６の先端部６ａに係着され、且つ、該反転用ロー
プ６は、該コンテナ１の底部１ｂの周縁部から該コンテ
ナ１の側部１ｃに沿って上方へ延設されてその上端部を
前記クレーン５の他方のロープ５ｂに係止できるように
構成された装置を用いて水底へ砂を撒布する方法を提供
するものである。

【０００６】

【作用】コンテナ１には、吊りベルト３，３…が底部１
ｂに於ては該底部１ｂの中心に向って相互に対向して近
接されて例えば略十字状に取付けられ、そして、その端
部３ａ，３ａ…近傍を該コンテナ１の底部１ｂに夫々固
定されている。更に、該吊りベルト３，３…はコンテナ
１の底部１ｂの周縁部より該コンテナ１の側部１ｃに沿
って立上がり、そして、該側部１ｃに等間隔を有して設
けられている吊りベルトの挿通部４，４…内を夫々挿通
し、更に、該コンテナ１の上面まで延設されて夫々の上
端部を結合してクレーン５の片方のロープ５ａにて吊り
下げられるように形成されている。 斯くして、このコン
テナ１内に砂を収容し、そして、前記吊りベルト３，３
…の上端部の結合部にクレーン５の片方のロープ５ａを
引掛して該コンテナ１をクレーン５にて吊り下げて水底
の特定地まで降下せしめるとき、該吊りベルト３，３…
がコンテナ１内の砂の重量を均等に分散して支承し、該
コンテナ１を略水平状態に維持し乍ら水底近傍まで下す
ことができる。従って、コンテナ１がたとえ布製であっ
ても、該吊りベルト３，３…にて負荷を充分に支え、依
って、コンテナ１は収容された砂の内圧に耐える強度を
有しておれば、砂の重量によって破損するようなことは
ない。斯くして、該コンテナ１を水底の特定地直上まで
円滑に下げることができる。 又、該コンテナ１の底部１
ｂ側には前記吊りベルト３，３…の端部３ａ，３ａ…が
該コンテナ１の底部１ｂの一側より該底部１ｂに沿って
配設された反転用ロープ６の先端部６ａに係着されてお
り、更に、該反転用ロープ６は該コンテナ１の底部１ｂ
の周縁から該コンテナ１の側部１ｃに沿って上方へ延設
されてその上端部を前記クレーン５の他方のロープ５ｂ
に係止できるように構成されているため、該反転用ロー
プ６の上端部をクレーン５の他のロープ５ｂに係止し、
そして、前述せる如く、前記吊りベルト３，３…の上端
部の結合部にクレーン５の片方のロープ５ａを係止し
て、双方のロープ５ａ，５ｂを弛緩し乍ら該砂入コンテ
ナ１を水中に降下せしめ、水底の特定地直上にて該反転
用ロープ６に係止したクレーン５の他のロープ５ｂを引
張すれば、該反転用ロープ６の先端部がコンテナ１ の底
部１ｂの略中心部位に係止されているので、該コンテナ
１はコンテナ１の上端部近傍を回転中心として反転し、
コンテナ１内の砂を前記特定地に効率良く撒布すること
が可能となる。斯くして、該コンテナ１はたとえ、布製
にて折畳み自在に形成されたものであっても内容物の砂
の重量が吊りベルト３，３…に均等配分されて支承され
るので長期に及び反復使用に耐え、砂の特定地に対する
撒布が極めて効率良く行われることになる。

【０００７】

【実施例】以下、本発明の一実施例を図１乃至図４に従
って詳述する。図１はコンテナ１の正面図である。該コ
ンテナ１は上面が開口され、該開口部より砂２，２…を
装填する。該砂２，２…が装填された後は該開口部を閉
塞１ａしてもよい。但し、閉塞した場合は、該コンテナ
１を反転せしめたとき、該閉塞部１ａが容易に開放せら
るものでなければならない。

【０００８】而して、該コンテナ１には相互に所定間隔
を有して吊りベルト３，３…が取付けられている。該吊
りベルト３，３…はコンテナ１の底部１ｂに於ては相互
に近接されると共に、端部３ａ，３ａ…近傍を該コンテ
ナ１の底部１ｂに夫々固設３ｂ，３ｂ…する。更に、該
吊りベルト３，３…はコンテナ１の底部１ｂの周縁部よ
り該コンテナ１の側部１ｃに向って上方へ延設される。
このとき、該コンテナ１の側部１ｃに設けられた吊りベ
ルト３，３…の挿通部４，４…内を夫々通過してコンテ
ナ１の上面まで延設され、そして、該上端部を相互に対
向する他の吊りベルト３，３…と夫々結合して例えばク
レーン５側に吊り下げられるようにする。勿論、クレー
ン５による吊り下げの方式は上述せる構成に限定せらる
べきではなく、種々の方式が想定される。

【０００９】又、該コンテナ１の底部１ｂに於て相互に
対向して配設された前記吊りベルト３，３…の端部３
ａ，３ａ…は夫々該コンテナ１の底部１ｂの一側より該
底部１ｂに沿って配設された反転用ロープ６のリング状
の先端部６ａに係着し、そして、該反転用ロープ６は該
コンテナ１の底部１ｂの周縁部に於て上方へ折曲され、
更に、該コンテナ１の側部１ｃに沿って上方へ延設され
てその上端部を該コンテナ１の上面より上方へ突設させ
てある。更に、該反転用ロープ６はコンテナ１の上方部
にて止具７で該コンテナ１に止着されているが、後述せ
る如く、該コンテナ１を水中に降下せしめるときは、該
止着状態を解除して該反転用ロープ６が上方へ自由に引
上げられるようにする。尚、該止具７の一端部はコンテ
ナ１に固設され、他端部をベルベットファスナーにて止
着されるように形成してある。そして、該反転用ロープ
６の上端部を前記クレーン５側に取付けられるのであ
る。

【００１０】斯くの如く構成されたコンテナ１に砂２，
２…を装填し、そして、図３に示す如く、例えば水上の
クレーン船８に据え付けられている前記クレーン５の片
方のロープ５ａに該コンテナ１の前記吊りベルト３，３
…の上端部を係止し、更に、該クレーン５の他方のロー
プ５ｂにて前記反転用ロープ６の上端部を係止し、そし
て、双方のロープ５ａ，５ｂを弛緩し乍ら該コンテナ１
を水中に降下せしめる。

【００１１】一方、水中構造物（図示せず）の基礎９の
片側の土砂が台風等によって生じる水流の急激な変動に
て削り取られ、該基礎９の片側に大きな穴１０を形成す
ることがある。そして、該穴１０によって該基礎９は静
置状態を維持できず、該穴１０方向へ転倒する。そこ
で、該穴１０は砂を撒布して埋めねばならない。本発明
は主として該穴１０を埋めるために用いられるのである
が、前述せる如く、砂入のコンテナ１はクレーン５の夫
々のロープ５ａ，５ｂを弛緩し乍ら水中に沈下せしめ、
そして、前記穴１０の直上に到達せしめる。而して、該
コンテナ１の降下中に於てはコンテナ１内の砂２，２…
が水中に散乱することはない。そこで、該穴１０の直上
に於て、反転用ロープ６に係止したクレーン５の他のロ
ープ５ｂを引張すれば、該コンテナ１はコンテナ１の上
端部近傍を回転中心として反転することになる。然ると
きは、該コンテナ１内の砂２，２…が該穴１０に直接落
下して撒布されることになり、該砂２，２…の撒布作業
が最も効率良く行われるのである。

【００１２】尚、本発明は、本発明の精神を逸脱しない
限り種々の改変を為すことができ、そして、本発明が該
改変されたものに及ぶことは当然である。

【００１３】

【発明の効果】この発明は上記一実施例にて詳述せる如
く、砂入コンテナ１はクレーン５にて吊り下げられて水
底の特定地まで沈下される。そして、該コンテナ１が特
定地まで到達したとき、該コンテナ１は反転用ロープ６
をクレーン５にて引張されて反転し、該コンテナ１内の
砂が前記特定地直上から落下して撒布せられる。このと
き、該砂入コンテナ１は該コンテナ１の底部１ｂ及び側
部１ｃに等間隔で配設され、そして、底部１ｂにて端部
３ｂ，３ｂ…近傍を該底部１ｂに固設された吊りベルト
３，３…にて支承され、且つ、該吊りベルト３，３…は
コンテナ１の側部１ｃに等間隔で設けられている挿通部
４，４…内を夫々挿通されて該コンテナ１の上面まで延
設され、更に、夫々の上端部を結合してクレーン５の片
方のロープ５ａにて吊り下げられるように形成されてい
る。 斯くして、このコンテナ１内に砂を収容し、そし
て、前記吊りベルト３，３…の上端部の結合部にクレー
ン５の片方のロープ５ａを引掛して該コンテナ１をクレ
ーン５にて吊り下げて水底の特定地まで降下せしめると
き、該吊りベルト３，３…がコンテナ１内の砂の重量を
均等に分散して支承し、該コンテナ１を略水平状態に維
持し乍ら水底近傍まで下すことができる。従って、コン
テナ１がたとえ布製であっても、該吊りベルト３，３…
にて負荷を充分に支え、依って、コンテナ１は収容され
た砂の内圧に耐える強度を有しておれば、砂の重量によ
って破損するようなことはない。斯くして、該コンテナ
１を水底の特定地直上まで円滑に下げることができる。
又、該コンテナ１の底部１ｂ側には前記吊りベルト３，
３…の端部３ａ，３ａ…が該コンテナ１の底部１ｂの一
側より該底部１ｂに沿って配設された反転用ロープ６の
先端部６ａに係着されており、更に、該反転用ロープ６
は該コンテナ１の底部１ｂの周縁から該コンテナ１の側
部１ｃに沿って上方へ延設されてその上端部を前記クレ
ーン５の他方のロープ５ｂに係止できるように構成され
ているため、該反転用ロープ６の上端部をクレーン５の
他のロープ５ｂに係止し、そして、前述せる如く、前記
吊りベルト３，３…の上端部の結合部にクレーン５の片
方のロープ５ａを係止して、双方のロープ５ａ，５ｂを
弛緩し乍ら該砂入コンテナ １を水中に降下せしめ、水底
の特定地直上にて該反転用ロープ６に係止したクレーン
５の他のロープ５ｂを引張すれば、該反転用ロープ６の
先端部がコンテナ１の底部１ｂの略中心部位に係止され
ているので、該コンテナ１はコンテナ１の上端部近傍を
回転中心として反転し、コンテナ１内の砂を前記特定地
に効率良く撒布することが可能となる。斯くして、該コ
ンテナ１はたとえ、布製にて折畳み自在に形成されたも
のであっても内容物の砂の重量が吊りベルト３，３…に
均等配分されて支承されるので長期に及び反復使用に耐
え、砂の特定地に対する撒布が極めて効率良く行われる
ことになる。

【図面の簡単な説明】

【図１】コンテナの正面図。

【図２】図１の底面図。

【図３】コンテナを水中へ沈下せしめている状態を示す
解説図。

【図４】コンテナを水底の特定地直上に沈下せしめて反
転させた状態を示す解説図。

【符号の説明】

１ コンテナ ２ 砂 ３ 吊りベルト ５ クレーン ６ 反転用ロープ ９ 基礎 １０ 穴

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 水底の特定地直上までクレーン等にて吊
   り下げられた砂入コンテナを降下せしめた後、該砂入コ
   ンテナの底部に反転用ロープの下端部を取付け、該反転
   用ロープを引張して、該コンテナを前記特定地の直上に
   て反転せしめ乍ら該コンテナ内の砂を該特定地に落下せ
   しめるようにした砂の撒布方法に於て、コンテナ１には
   相互に所定間隔を有して吊りベルト３，３…が取付けら
   れ、且つ、該吊りベルト３，３…はコンテナ１の底部１
   ｂ側においては、該底部１ｂの中心部に向って相互に対
   向して近接されると共に、端部３ａ，３ａ…近傍を該コ
   ンテナ１の底部１ｂに夫々固定し、更に、該吊りベルト
   ３，３…はコンテナ１の底部１ｂの周縁部より該コンテ
   ナ１の側部１ｃに沿って上方へ立上がり、且つ、該コン
   テナ１の側部１ｃに設けられている吊りベルト３，３…
   の挿通部４，４…内を夫々挿通して該コンテナ１の上面
   まで延設され、更に、夫々の上端部を結合してクレーン
   ５の片方のロープ５ａにて吊り下げられるように形成
   し、一方、該コンテナ１の底部１ｂ側に相互に対向して
   配設されている前記吊りベルト３，３…の端部３ａ，３
   ａ…は、夫々該コンテナ１の底部１ｂの一側より該底部
   １ｂに沿って配設された反転用ロープ６の先端部６ａに
   係着され、且つ、該反転用ロープ６は、該コンテナ１の
   底部１ｂの周縁部から該コンテナ１の側部１ｃに沿って
   上方へ延設されてその上端部を前記クレーン５の他方の
   ロープ５ｂに係止できるように構成された装置を用いて
   水底へ砂を撒布する方法。