JP2635844B2 - 導電膜検査方法およびその装置 - Google Patents

導電膜検査方法およびその装置

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は,被検査物,たとえば,
光ファイバ心線のクラッド外表面に形成された導電性ハ
ーメチック被覆のような導電性薄膜(導電膜)の成膜状
態を非破壊状態で検査をする導電膜検査方法およびその
装置に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に光ファイバ心線(ケーブル)は,
石英製の光ファイバ母材(プリフォーム)から紡糸され
たコアとクラッドから構成される光ファイバの表面に保
護用プラスチック被覆を設けることにより製造されてい
る。このようなプラスチック被覆を有する光ファイバ心
線は,大気中の水素や水分のコアへの透過侵入によって
光信号の伝送損失が時間の経過と共に増加する性質があ
る。このような光ファイバ心線の欠点を解消するため
に,光ファイバ素線の表面,すなに,クラッドの外表面
に緻密な構造を有するアモルファス(非晶質)カーボン
等の無機物質よりなるハーメチック被覆を設けて,水素
分子や水分子のコア部への透過を防ぐ構造のハーメチッ
ク被覆光ファイバ心線が提案されている。
【0003】このようなハーメチック被覆光ファイバ心
線は,光ファイバ母材から紡糸した直後のコアとよびク
ラッドを有する光ファイバを,反応管内おいてハーメチ
ック被覆形成用原料ガスに接触させ,反応管の外に設け
られたヒータからの熱および紡糸直後の光ファイバ自体
の熱を利用することによって,上記原料ガスを熱分解反
応させてクラッドの外表面にアモルファスカーボン等の
ハーメチック被覆を形成させて製造される。その後,ハ
ーメチック被覆の外表面にプラスチック被覆を施して光
ファイバ心線とする。かかる構造のハーメチック被覆光
ファイバ心線は,前述したハーメチック被覆が有する特
徴のため水素や水分の光ファイバのコア部への透過侵入
を防止して長期間にわたって光信号の伝送損失を増加さ
せず,さらに光ファイバの外表面を機械的に保護し光フ
ァイバの機械的強度を高めるという効果を奏する。
【0004】このようなハーメチック被覆光ファイバ心
線では,ハーメチック被覆のケーブル長手方向の安定性
が重要であり,膜質や膜厚変動が1か所でもあると,そ
こから水素分子や水分子が光ファイバのコア部に侵入し
伝送損失の増加を招くこととなる。そこで,ハーメチッ
ク被覆が光ファイバ全長に渡って均一に設けられている
ことを保証する必要がある。アモルファスカーボンなど
のハーメチック被覆は,通常,500〜1000Åの膜
厚を有し,数〜数10KΩ/cmの電気抵抗値を持った導
電体でもある。したがって,ハーメチック被覆の成膜状
態を評価する方法としてその電気抵抗値を測定すること
がハーメチック被覆の成膜状態を評価する上で有効であ
る。
【0005】従来知られているハーメチック被覆の成膜
状態を評価する方法としては,オフラインかつ光ファイ
バ素線を破壊する導電膜測定方法によっている。その概
要について述べると,まずハーメチック被覆の外表面に
形成されたプラスチック被覆を除去し,剥き出しになっ
たハーメチック被覆をテスターを用いてその電気抵抗値
を測定している。このオフラインかつ破壊による電気抵
抗測定方法では,部分的な抜き取り検査となり,光ファ
イバ素線全長にわたってプラスチック被覆を除去するこ
とはできないから,光ファイバ素線のケーブル長手方向
全長にわたって連続的にハーメチック被覆の成膜状態を
検査することは出来ず,ハーメチック被覆全体にわたっ
て不良箇所を検出することができないという問題があ
る。また,従来の評価方法はプラスチック被覆を除去す
る破壊検査であるから,検査部位の光ファイバ素線が無
駄になるという問題があり,必然的に検査する部分も制
限される。さらに,かかる従来の検査は自動化されてお
らず,検査能率が低いという問題がある。
【0006】できれば,検査結果をハーメチック被覆形
成段階で製造条件にフィードバックして,不良ハーメチ
ック被覆が形成されないように未然に防止することが望
ましいが,従来の電気抵抗検査方法では,検査結果を製
造条件にフィードバックさせることができず,上記目的
を達成することができない。かかるオンライン電気抵抗
測定のためには,プラスチック被履を施す前に電気抵抗
測定用プローブをハーメチック被覆に直接接触させる接
触電気抵抗測定方式が考えられるが,プローブなどをハ
ーメチック被覆に直接接触させるとハーメチック被覆に
傷などがつき光ファイバの強度低下の原因になる場合が
あり,容易に採用できない。
【0007】そのため,プラスチック被覆を施した後に
非接触状態でハーメチック被覆の電気抵抗値を測定する
必要があり,その方法の1つとして,渦電流検査法を用
いてハーメチック被覆の電気抵抗値を測定することが試
みられている。この渦電流検査法は,導体を交番磁場中
に置くとその導体内に磁界を打ち消す方向に渦電流が流
れ,この渦電流の大きさや分布が,導体の形状,導電
率,透磁率,内部欠陥などにより変化することを利用し
てハーメチック被覆の電気抵抗値を測定するという原理
に基づく。つまり,この渦電流検査方法は,渦電流によ
り発生する磁界が相互誘導により検出コイルのインピー
ダンスを変化させるので,このインピーダンスの変化を
電圧値や位相の変化として検出することにより,被検査
物である導体の状態を知る方法である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】従来の渦電流検査法で
は,被検査物の欠陥の位置や大きさを測定すること意図
しており,それは出力信号の急激な変化を信号の微分処
理などによってノイズと分離して検出するものである。
また,複数の周波数を重ね合わせた交流電流を検査用コ
イルに印加してその渦電流から導体の電気抵抗値を測定
する方法もすでに知られているが,この場合は,欠陥に
敏感な周波数での信号と敏感でない周波数での信号とを
演算してノイズの影響を打ち消したり,欠陥の形状を識
別している。かかる電気抵抗値を測定する方法において
は,ハーメチック被覆の電気抵抗値の急激な変化はもち
ろんであるが,長手方向での連続した変化を検出するこ
とが目的であり,測定装置の安定性が重要である。しか
し,非常に高感度な測定精度を要求される場合,出力の
零点が温度によってドリフトすることは避けられず,ま
た,被検査物と検出コイルとの相対的間隔がわずかに変
わっても出力値の変化となってしまい,正確な測定がで
きないという問題がある。第11図はその様子を示して
いる。同図において,横軸(X軸)は複素インピーダン
スの実数部の値を示し,縦軸(Y軸)は複素インピーダ
ンスの虚数部の値を示している。位相角が電気抵抗値を
示すが,図11のように測定結果が変動しては,正確に
電気抵抗値を算出できない。以上の理由から,従来技術
の渦電流検査方法によってハーメチック被覆のケーブル
長手方向での連続した変化を正確に検出することは困難
である。
【0009】本発明の目的は,被検査物と検出コイルと
の相対的間隔が変化しても,出力の零点が温度によって
ドリフトしても,これらの変動に影響されず長時間安定
して高い精度で連続的に電気抵抗を測定することができ
る,改良された渦電流検査法による導電膜検査方法およ
び装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め種々検討を行った結果,本件発明者は,ハーメチック
被覆の抵抗値が複素インピーダンスベクトルの位相角と
相関があることを見い出した。さらに,それを安定して
測定するために,検出コイルに流す渦電流発生用(検出
用)高周波電流の平均強度を,検出コイルに流す高周波
電流の周波数に対して所定の比率,好適には,100分
の1以下の低い周波数で変化させ,導電膜の検査部位の
渦電流を検出コイルで検出した結果についての複素イン
ピーダンスの変化に基づく該複素インピーダンスの位相
角の変化を検出することが望ましいことを見出した。し
たがって,本発明によれば,導電膜の近傍に配設され高
周波電流が印加される検出コイルを介して導電膜に渦電
流を発生させその渦電流を検出して導電膜の電気抵抗値
を測定してその膜形成状態を検査する導電膜検査方法で
あって,上記検出コイルに流す高周波電流の平均強度
を,検出コイルに流す高周波電流の周波数より充分低い
周波数で変化させ,上記導電膜の検査部位の渦電流を上
記検出コイルで検出した複素インピーダンスベクトルの
軌跡からその位相角を算出し、さらにその位相角から導
電膜の電気抵抗値を算出し,この電気抵抗値から成膜状
態を検査することを特徴とする導電膜検査方法が提供さ
れる。好適には,平均強度を変化させる周波数は高周波
数電流の周波数の100分の1以下が望ましい。さら
に,上記平均強度変化は,高周波数電流の印加を断続さ
せ,または,上記周波数電流に上記低い周波数で振幅の
大きい交流電流を加算して行う。さらに本発明によれ
ば,上記導電膜検査方法を実施する装置,すなわち,導
電膜検査装置が提供され,この導電膜検査装置は,導電
膜の近傍に配設された検査コイル,この検査コイルに印
加され導電膜に渦電流を発生させる高周波数電流をこの
交流電流の周波数より充分周波数の低い周波数でその平
均強度を変化させる電流印加手段,検出コイルで検出し
た渦電流から導電膜の電気抵抗値に相当する位相角を算
出し,この算出位相角から導電膜の電気抵抗値を算出す
る手段を有する。好適には,上記電流印加手段は高周波
数電流を上記低い周波数で断続させる手段を有する。ま
た好適には,上記電流印加手段は高周波数電流に上記低
い周波数の交流電流を加算する回路手段を有する。
【0011】
【作用】導電膜の検査部位の渦電流による検出コイルの
複素インピーダンスベクトルの軌跡の変化に基づく複素
インピーダンス位相角の変化を検出することによって,
被検査物と検出コイルとの相対的間隔が変化して複素イ
ンピーダンスベクトルの大きさが変化しても測定上問題
がない。また,検出コイルに流す検出用電流の平均強度
を検出コイルに流し検査部位に渦電流を発生させるに充
分な高周波電流の周波数に対して,好適には,100分
の1以下の充分低い周波数で変化させることによって,
少なくとも,低い周波数の振幅の最大のときと最小また
は零のときの2つの状態における渦電流を検出すること
ができ,この2点から正確に位相角を算出することがで
きる。特に,検出用電流の強度を零に近づけた場合に出
力の零点を常に補正することができる。その結果,出力
の零点が温度によってドリフトすることによる影響を無
くすことができ,安定で正確に検査対象である導電膜の
電気抵抗値を測定することができる。またこの渦電流を
用いた導電膜の電気抵抗測定方法は,光ファイバ素線な
どが移動している状態でオンラインで自動的に行うこと
ができる。
【0012】
【実施例】図1は本発明に係わる導電膜検査方法を実施
する導電膜検査装置の実施例の構成を示す。図示のよう
に,被検査物である線状体としてのハーメチック被覆光
ファイバ心線1は,第1および第2の回転自在なガイド
ロール2,3でガイドされて矢印方向に走行される。ガ
イドロール2,3はそれぞれ支持部材5,6を介して基
台4に支持されている。ガイドロール2,3のうちガイ
ドロール3には回転駆動機構7が接続され,ガイドロー
ル3が回転駆動機構7によって回転させられることによ
りハーメチック被覆光ファイバ心線1を走行させ,ガイ
ドロール2は遊びロールとなってハーメチック被覆光フ
ァイバ心線1の走行をガイドする。
【0013】第1および第2の回転自在なガイドロール
2,3の間には,走行するハーメチック被覆光ファイバ
心線1に接近する位置にプローブ型の渦電流検出センサ
8が配置されている。この渦電流検出センサ8は磁気コ
ア9の外周に検出コイル10が同軸上に配置され,樹脂
で一体にモールドされた構造になっている。渦電流検出
センサ8には,電気コード12を介して検査装置13が
接続されており,検査装置13にはその出力を記録する
レコーダ14が接続されている。
【0014】検査装置13は,渦電流検出センサ8に印
加する高周波数交流電流を電気コード12を介して出力
(送信)する一方,渦電流検出センサ8が検出した信号
を電気コード12を介して入力(受信)し,その結果を
レコーダ14に出力する。レコーダ14は検査装置13
からの出力信号をグラフとして描画する。検査装置13
は渦電流検出センサ8の検出コイル10にハーメチック
被覆光ファイバ心線1に検査部位に渦電流を発生させる
に充分な高い周波数の交流電流を供給する電源を有し,
あるいは,かかる高周波数交流電源に接続され,さら
に,この高周波数交流電源を低い周波数,好適には,後
述するように高周波数の100分の1以下の低い周波数
を有し,高周波数交流電源の振幅よりは振幅の大きい交
流電流を加算(重畳)させる制御回路およびスイッチン
グ回路を有している。
【0015】本発明の実施例の動作条件として,図2に
その断面を示すように,コア1aの直径10μm,クラ
ッド1aの外径125μm,クラッド1bの外表面に形
成されたアモルファスカーボンによるハーメチック被覆
1cの厚さ1000Å,ハーメチック被覆1cの外表面
に形成されたプラスチック被覆1dを有するハーメチッ
ク被覆光ファイバ心線1の電気抵抗を測定するための実
験に用いた具体的条件を以下に示す。 検出コイルの内径 1.6mmΦ 検出コイルの線径 0.05mmΦ 検出コイルのターン数 150 検出コイルの長さ 10mm 検出コイルに流す検出用高周波数電流の周波数f1 2MHz 検出用電流の平均強度を変化させるオン・オフする周波数f2 200Hz 光ファイバの走行速度(線速) 600m/min
【0016】本実施例では,検出用電流の平均強度を図
3に示すように,検出用高周波数2MHZ よりも充分低
い周波数200HZ で検出用高周波電流を断続的にオン
・オフさせた。オンタイミングの電流の周波数は高い周
波数2MHZ であるが,その振幅はオン・オフするとき
の振幅より充分小さい。このようにオン・オフするの
は,オン時の渦電流とオフ時の渦電流を検出してこの2
点で規定される複素インピーダンスベクトルの位相角を
正確に測定するためである。検出用高周波数電流の振幅
A1は,ハーメチック被覆1cに渦電流を発生させるに
充分な振幅を有していればよいが,この実施例では振幅
A1は実効値5mAであった。また,断続させる時のバ
イアス電流の振幅D1は,上記高周波電流の振幅A1よ
り大きければよいが,この例においては,D1=500
mAであった。上記電源条件を満足させるため,検査装
置13は,図4に示すように,2MH Z の交流電源13
1と,バイアス電流D1を発生する直流電源133と,
高周波数電流と直流電流を加算する電流加算回路134
と,この交流電源からの交流電流を200HZ で断続す
る制御回路132と,スイッチング回路134を有して
いる。制御回路132が,オフタイミングにおいてスイ
ッチング回路134を消勢すると,検出コイル10には
電流が印加されない。
【0017】渦電流検出センサ8に印加する検出用電流
がオンの時,渦電流検出センサ8による測定値をレコー
ダ14でプロットさせると,図5に示すように,ハーメ
チック被覆の抵抗値の情報を含んだ位相角をもった点と
して複素平面上に出力される。図5の複素平面は図11
の複素平面と同様,X軸は複素インピーダンスの実数部
の値を示し,Y軸は複素インピーダンスの虚数部の値を
示している。渦電流検出センサ8の検出コイル10に検
査用電流が印加されたONタイミングにおける出力点
が,1点にならず位相角θ方向に伸びているのは,走行
するハーメチック被覆光ファイバ心線1の振動による。
渦電流検出センサ8に印加する検出用電流がオフの時
は,出力は零となるため原点位置になるから,この時に
毎回,零点の補正を行う。したがって,出力の零点が温
度によってドリフトすることによる影響をなくすことが
できる。
【0018】図6は上記検査条件のもとにおける,実際
に抵抗値の異なる3つのサンプル,すなわち,ハーメチ
ック被覆光ファイバ心線内の3つのハーメチック被覆に
対する測定結果である。サンプルはそれぞれ,オンライ
ン測定後破壊試験を行ったところ,以下のような抵抗値
を持っていた。 サンプルaの抵抗値:4.6KΩ/cm サンプルbの抵抗値:7.0KΩ/cm サンプルcの抵抗値:9.3KΩ/cm それぞれのサンプルa〜cに対して,オンライン測定の
結果,複素インピーダンスべクトルの位相角θ1 〜θ3
はそれぞれ下記の値であった。 θ1 : 21° θ2 : 19° θ3 : 13° 以上の結果は,サンプルの電気抵抗値の増加につれて位
相角θが小さくなっており,位相角θがサンプルの電気
抵抗値に既存していることを示している。したがって,
検査装置13の制御回路131にマイクロコンピュータ
などの演算手段を搭載して,あるいは,制御回路131
にマイクロコンピュータなどの演算手段を接続して演算
させることにより,この位相角から逆にサンプルの電気
抵抗値を算出することができ,さらに上記演算手段を用
いて,この測定電気抵抗値からハーメチック被覆の成膜
状態を自動的に評価することができる。
【0019】図1に示した導電膜検査装置を用いて,上
記第1実施例とは異なる条件で行った第2実施例につい
て述べる。図7に示すように,渦電流検出センサ8の検
出コイル10に流す検出用電流の周波数を3MHzと
し,検出用電流の平均強度を50Hzで変化させた。す
なわち,第1実施例では高周波電流を断続(オン・オ
フ)させたが,この第2実施例では,正弦波状に変化さ
せる。この例においては,高周波電流の振幅A2は実効
値で3mA,低周波交流の振幅A3は実効値で10m
A,直流バイアス電流D2は20mAであった。この場
合,検査装置13は,図8に示すように,高周波数f3
=3MHZ の交流電源131と,低周波数f4 =50H
Z の交流電源136,たとえば,商用周波数電源を有
し,さらに,50HZ の交流電流に3MHZ の電流を加
算する回路134を有している。この加算された交流電
流は渦電流検出センサ8の検出コイル10に印加され
る。この検査装置13においても,上述したマイクロコ
ンピュータによる演算手段を内蔵するか,あるいはかか
る演算手段が外部に接続される。
【0020】この場合も,図9に示すように検出結果を
複素平面上にレコーダ14を用いてプロットさせると,
検出コイル10に印加される電流の最大振幅および最小
振幅の2点において,2つの渦電流を検出できるが,ハ
ーメチック被覆の抵抗値に応じたある一定の位相角θを
持って出力が変化するだけである。電源133を調整す
ることにより,出力点が原点(零点)に近づいた時に,
信号の変化の直線が零点を通るように補正することがで
きる。また補正をしなくとも複素インピーダンス・ベク
トルの方向のみ,すなわち位相角θを測定すれば,零点
のドリフトとは関係なく安定した測定が可能である。こ
の方法によって,第1実施例と同様のサンプルの電気抵
抗値について位相角を測定した結果は以下の通りであ
る。 サンプルaの位相角:26° サンプルbの位相角:21° サンプルcの位相角:16° これらの結果もサンプルの電気抵抗値の増加につれて位
相角が減少し,電気抵抗と位相角との間に一定の相関関
係があることを示している。
【0021】図10は,コアおよびクラッドからなる光
ファイバにハーメチック被覆を形成するハーメチック被
覆製造中にハーメチック被覆の電気抵抗値を連続的に測
定した結果を示す。図10の横軸は時間経過を示し,縦
軸は,位相角θの大きさを示す。この例においては,順
次,原料ガスの濃度を低くしたため,ハーメチック被覆
の膜厚が薄くなり,ハーメチック被覆光ファイバ心線1
のハーメチック被覆の電気抵抗値が高くなっており,そ
の結果,位相角が順次小さくなっている。この方法を用
いれば,位相角を連続的に測定し,位相角が所定の範囲
から逸脱したとき,原料ガス供給条件,反応温度などの
ハーメチック被覆形成条件を制御して,均一なハーメチ
ック被覆を形成させることができる。
【0022】さらに検出用高周波電流の周波数を3MH
Z でその平均強度を100KHz,すなわち,上記検出
用電流の周波数3MHZ のほぼ30分の1で変化させた
場合について検査したところ,測定精度が著しく悪くな
った。したがって,以上の実験結果からすると,検出コ
イルに流す検出用高周波電流の平均強度は,100分の
1以下の周波数で変化させるのが望ましい。この平均強
度の変化は図2に示したように,断続的にオン・オフす
ることも含む。
【0023】以上の実施例は,製造後の走行中のハーメ
チック被覆光ファイバ心線をプラスチック被覆を除去す
ることなく,または,製造中のハーメチック被覆光ファ
イバ心線をハーメチック被覆に接触させることなく,連
続的にオンラインでハーメチック被覆の電気抵抗値を測
定してその成膜状態を検査する例について述べたが,本
発明は,光ファイバなどの線状体が走行していない静止
状態であっても有効に適用できる。さらに,本発明の導
電膜検査方法およびその装置は,被検査物が光ファイバ
のような線状体でなくても良く,その他の導電膜,たと
えば,磁性薄膜の成膜状態をオンラインで連続的に検査
する場合などにも用いることができる。なお,本発明は
薄膜導電体の電気抵抗測定に好適であるが,薄膜に限定
されず,渦電流を利用する導電膜に広く適用できる。
【0024】
【発明の効果】以上述べたように,本発明の導電膜検査
方法およびその装置によれば,検査対象である導電膜が
静止しているか移動しているかに関わりなく,非破壊状
態かつ無接触で,連続的に,自動的に,高い精度で安定
にその電気抵抗値を測定することができる。この電気抵
抗値は導電膜の成膜状態を示しており,その電気抵抗値
から成膜状態を自動的にオンラインで評価することがで
きる。したがって,本発明の導電膜検査方法およびその
装置を用いれば,たとえば,製造後のハーメチック被覆
光ファイバ心線のみならず,ハーメチック被覆を形成段
階におけるハーメチック被覆などの成膜状態をオンライ
ンで連続的に検査することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例の導電膜検査方法を実施する導
電膜検査装置の構成を示す図である。
【図2】図1に示したハーメチック被覆光ファイバ心線
の断面図である。
【図3】本発明の第1実施例の導電膜検査方法における
検査用電流の波形を示す図である。
【図4】図2に示した検査電流を発生させるための検査
装置の構成を示す図である。
【図5】図2に示した検査電流に基づく位相角測定結果
を示すグラフである。
【図6】本発明の実施例に基づく導電膜検査方法に基づ
く複数のサンプルについての位相角測定結果を示すグラ
フである。
【図7】本発明の第2実施例の導電膜検査方法における
検査用電流の波形を示すグラフである。
【図8】図7に示した検査電流を発生させるための検査
装置の構成を示す図である。
【図9】図7に示した検査用電流に基づく位相角測定結
果を示すグラフである。
【図10】本発明の第3実施例の導電膜検査方法とし
て,ハーメチック被覆を形成する段階で順次形成条件を
変化させた場合の位相角測定結果を示すグラフである。
【図11】従来の渦電流式導電膜検査方法による位相角
変動を示すグラフである。
【符号の説明】
1・・ハーメチック被覆光ファイバ心線,2,3・・ガ
イドロール 4・・基台,5,6・・支持部材,7・・回転機構, 8・・渦電流検出センサ,9・・磁気コア,10・・検
出コイル, 12・・電気コード,13・・検査装置,14・・レコ
ーダ。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 導電膜の近傍に配設され高周波電流が印
    加される検出コイルを介して導電膜に渦電流を発生さ
    せ,その渦電流を検出して導電膜の電気抵抗値を測定し
    てその膜形成状態を検査する導電膜検査方法であって, 上記検出コイルに流す高周波電流の平均強度を,検出コ
    イルに流す高周波交流電流の周波数より充分低い周波数
    で変化させ,上記導電膜の検査部位に発生する渦電流を
    上記検出コイルで検出した複素インピーダンスベクトル
    の軌跡からその位相角を算出し、さらにその位相角から
    上記導電膜の電気抵抗値を算出し,上記導電膜の成膜状
    態を検査することを特徴とする導電膜検査方法。
  2. 【請求項2】 導電膜の近傍に配設された検査コイル,
    この検査コイルに印加され上記導電膜に渦電流を発生さ
    せる高周波数電流を,この高周波数電流の周波数より充
    分周波数の低い周波数でその平均強度を変化させる手
    段,上記検出コイルで検出した渦電流から上記導電膜の
    電気抵抗値に相当する位相角として算出し,さらにこの
    算出位相角から上記導電膜の電気抵抗値を算出する手段
    を有する導電膜検査装置。
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