JP2000111529A - 渦流探傷器のプローブ - Google Patents

渦流探傷器のプローブ

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Abstract

(57)【要約】 【課題】同軸ケーブルのシース上を密着移動させて、一
定かつ良好な感度で金属パイプ(外導体)の探傷ができ
る渦流探傷器のプローブを提供する。 【解決手段】渦流探傷器のプローブ10は、同軸ケーブ
ル20の外導体である金属パイプの傷をこの金属パイプ
に生じせしめた渦電流の変化を検出し、この渦電流値を
渦流探傷器の本体に送る。本体は送られた渦電流値から
上記金属パイプの探傷を行う。プローブ10は、円筒形
状で構成された渦電流の検出ヘッドであるプローブ管部
1を有する。プローブ管部1は、円筒形状の先端におい
て、同軸ケーブル20の軸に直角方向の接触部に関して
は同軸ケーブル20の外半径R1より僅かに大きい半径
R3の円弧状凹面を形成し、同軸ケーブル20の軸に平
行方向の接触部に関してはスラック曲がり可能半径R2
より僅かに小さい半径R4の円弧状凸面を形成した渦電
流の検知面11を備える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は渦流探傷器のプロー
ブに関し、特に金属パイプの外導体を有する同軸ケーブ
ルの上記金属パイプの亀裂や破断等の傷の検出に好適な
渦流探傷器のプローブに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、金属面の亀裂(クラック)や破断
等の傷を上記金属に生じせしめた渦電流(渦流ともい
う)の変化検出によって探傷する渦流探傷器が広く知ら
れている(例えば、特開平9−329586号公報)。
この公報に開示された渦流探傷装置は、被測定物である
異形段付パイプの表面傷を探傷する装置であり、装置本
体と被測定物の表面に沿って移動するプローブとを備え
ている。プローブは、装置本体から交流電流を供給され
て被測定物に渦電流を生じさせる励磁コイルと、被測定
物が発生する渦電流による磁界(以下、渦電流と略称す
ることがある)を検出して装置本体に送る検出コイルと
を備えている。装置本体は検出され,送られてきた渦電
流(及びその変化)からパイプの表面傷の有無や種類を
分析する。なお、渦流探傷器で金属面の亀裂等の欠陥を
探傷する場合、一定かつ良好な探傷感度を得るには、プ
ローブの(渦流)検知面と金属表面との間隔が一定とな
るように密着して移動させる必要がある。
【0003】アルミニゥム等の金属パイプの外導体を有
する同軸ケーブルでも、パイプの亀裂や破断等の傷の検
出のために渦流探傷器が使われている。図3は従来から
上記同軸ケーブルのパイプ(外導体)の探傷のために用
いられていた渦流探傷器のプローブ10Aの外形図を示
している。(a)は側面図、(b)は正面図である。
【0004】このプローブ10Aは、円筒形状をなし,
底面を渦電流の検知面11Aとするプローブ管部1A
と、円筒形のプローブ管部1Aの上部に接続され,コネ
クタ3を含むコネクタ部2とを備えている。プローブ管
部1A内の検知面11A近傍には上述したと同様の(渦
電流)検出コイルと(渦電流)励磁コイルとを備えてい
る。プローブ10Aはコネクタ3を介して上述と同様の
渦流探傷器の本体に接続されている。ここで、検知面1
1Aは、従来、渦流探傷器により探傷する金属面が一般
に平面が主であったため、平面に形成されている。
【0005】さて、外導体をアルミニゥムで形成した同
軸ケーブル(以下、アルミパイプ形同軸ケーブルともい
う)を架空に布設した場合、布設状況によっては、気温
変動による伸縮などにより、アルミニゥムパイプ(アル
ミパイプともいう)に亀裂が発生し、最終的には破断に
至ることもあると考えられる。特に、この破断は同軸ケ
ーブルの伸縮を吸収するスラック(ゆるみ,たるみ,た
るんだ部分等の意)下部の曲がり部分で発生する可能性
が大きいと考えられている。このような状況から、伝送
路(同軸ケーブル)の保全として、アルミパイプが破断
に至る前の極微少な亀裂の段階でこれを発見する一方策
として渦流探傷器によるアルミパイプの探傷が行われて
きたのである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上述した渦流探傷器に
よる同軸ケーブルのアルミパイプの探傷はかなり有効で
あるが、必ずしも十分ではなかった。即ち、同軸ケーブ
ルは断面(軸に垂直方向の外径)が円形であり、また、
スラックの下部においては曲げが形成されているため、
従来の検知面が平面であるプローブを同軸ケーブルへ面
的に隙間なく接触させて移動させることが不可能であっ
た。プローブが同軸ケーブルから離れると渦電流の検出
感度が低下し,また同軸ケーブルからの距離が変化する
と感度が変化する。その結果、上述の渦流探傷器では、
アルミパイプの損傷を一定かつ良好な感度で探傷でき
ず、アルミパイプの亀裂の十分な発見が困難であった。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明による渦流探傷器
のプローブは、金属パイプの外導体を有する同軸ケーブ
ルの前記金属パイプの傷を前記金属パイプに生じせしめ
た渦電流の変化検出によって探傷する渦流探傷器のプロ
ーブにおいて、前記プローブが、円筒形状で構成され,
前記渦電流の検出ヘッドであるプローブ管部を有し、前
記プローブ管部が、前記円筒形状の先端において、前記
同軸ケーブルの軸に直角方向の接触部に関しては前記同
軸ケーブルの外半径より僅かに大きい半径の円弧状凹面
を形成し、前記同軸ケーブルの軸に平行方向の接触部に
関しては前記同軸ケーブルのスラック曲がり可能半径よ
り僅かに小さい半径の円弧状凸面を形成した渦電流検知
面を備える。
【0008】前記渦流探傷器のプローブは、前記プロー
ブ管部が、前記円筒形状の内面に配置され,コの字型の
フェライトコアの一方の腕に巻かれて前記渦電流検知面
の方向に磁界を生じさせる励磁コイルと、前記フェライ
トコアの他方の腕に巻かれて前記渦電流検知面の方向か
ら渦電流を検出する渦電流検出コイルとを備える構成を
とることができる。
【0009】該渦流探傷器のプローブは、コネクタを含
むコネクタ部を前記プローブ管部に接続し、前記励磁コ
イルが、前記コネクタを介して渦流探傷器の本体から交
流電流の励磁を受け、前記渦電流検出コイルが、被測定
物から受けた渦電流を前記コネクタを介して前記渦流探
傷器の本体に送る構成をとることができる。
【0010】
【発明の実施の形態】次に、本発明について図面を参照
して説明する。図1は本発明による渦流探傷器のプロー
ブの実施の形態の一つを示す外形図であり、(a)は側
面図であり、(b)は正面図である。また、図2は図1
のプローブ10のプローブ管部1の要部を示す図であ
り、(a)はx−z断面図、(b)はy−z断面図、
(c)は底面(x−y面)の外形図を示している。
【0011】図1及び図2を参照すると、この渦流探傷
器のプローブ10は、図3の渦流探傷器のプローブ10
Aと同様に、金属パイプの外導体を有する同軸ケーブル
20の上記金属パイプの傷を、上記金属パイプに生じせ
しめた渦電流の変化検出によって探傷する。
【0012】プローブ10は、円筒形状をなし,底面を
渦電流の検知面11とするプローブ管部1と、円筒形の
プローブ管部1の上部に接続され,コネクタ3を含むコ
ネクタ部2とを備えている。プローブ10はコネクタ3
を介して渦流探傷器の本体(図示せず)に線路接続され
ている。また、プローブ管部1は、円筒形状をなすプラ
スチック製のプローブ管16と、プローブ管16の円筒
形状の周りを包んでプローブ管16を保護するアルミニ
ゥム等,金属製の保護ケース17とを含んでいる。プロ
ーブ管16は、渦電流変化の検出ヘッドのケースであ
り、例えばプラスチック製の円筒形状で構成される。
【0013】プローブ管16の底面(円筒形状の先端
部)が、渦電流およびその変化を検出する検知面11で
ある。プローブ管16は、渦電流の検知面11の方向に
磁界を生じさせる励磁コイル12と、検知面11に対向
する被測定物(例えば同軸ケーブル20の外導体パイ
プ)に生じる渦電流およびその変化を検出する検出コイ
ル14とを円筒形状の内面に配置している。図2に示し
たプローブ管部1では励磁コイル12及び検出コイル1
4を同じフェライトコア18に巻いている。フェライト
コア18は、長さ10mm,幅5mm,高さ2mm程度
の直方体のブロックの高さの中心部に一方の端部を残し
てスリットを入れたコの字形の形状をしている。励磁コ
イル12をこのフェライトコア18の一方の枝(腕)に
巻き、検出コイル14を他方の枝に巻いている。従っ
て、励磁コイル12がトランスの一次コイル,検出コイ
ル14が二次コイルという事になる。また、フェライト
コア18のスリットが入った(磁路が解放されている)
他方の端部からは狭い範囲に励磁された磁界が漏洩し、
この他方の端部が漏洩磁界を被測定物に供給する(照射
する)検知面11側になる。そして、検出コイル14が
被測定物に発生する渦電流により発生する磁界及びその
変化を渦電流及びその変化として検出する。なお、この
コイル形式を用いるプローブを相互誘導形自己比較方式
という事がある。
【0014】励磁コイル12及び検出コイル14を巻い
たフェライトコア18は、エポキシ樹脂を代表とする樹
脂19で固定成形され、また、プローブ管16の円筒内
面にも固着される。そして、プローブ管16の円筒形状
の先端,つまり底面をなすフェライトコア18及び樹脂
19が、後述の通りの形状に成形され,露出されて検知
面11となる。
【0015】プローブ管部1において、フェライトコア
18及び樹脂19からなる円形の外側(露出)部分であ
る渦電流の検知面11は、同軸ケーブル20の軸yに直
角方向の接触部に関しては同軸ケーブル20の外半径R
1より僅かに大きい半径R3の円弧状凹面を形成し(図
1(b)及び図2(a)参照),同軸ケーブル20の軸
yに平行方向の接触部に関しては同軸ケーブル20のス
ラック曲がり可能半径R2より僅かに小さい半径R4の
円弧状凸面を形成している(図1(a)及び図2(b)
参照)。なお、プローブ管16の円筒状の外半径は10
mm程度,長さは30mm程度である。
【0016】励磁コイル12は、上記渦流探傷器の本体
からコネクタ3及びリード線13を介して探傷に適した
周波数の交流電流の励磁を受ける。一方、検出コイル1
4は、被測定物である同軸ケーブル20のアルミパイプ
や銅パイプ等の金属パイプ(外導体)から受けた渦電流
(大きさ及びその変化)をリード線15及びコネクタ3
を介して上記渦流探傷器の本体に送る。渦電流探傷器の
本体は、受けた渦電流の大きさ及びその変化を分析して
上記金属パイプの傷の有無や種類を調べる。
【0017】次に、図1及び図2をさらに参照して本実
施の形態の渦流探傷器による同軸ケーブル20の金属パ
イプの探傷方法について説明する。
【0018】同軸ケーブル20としては、一般的に使用
されている12C−CATV用アルミパイプ形同軸ケー
ブルを例に取る。同軸ケーブル20は、一般に知られて
いるように、軸の中心から、銅やアルミの金属で形成し
た単線又は撚り線からなる中心導体,ポリエチレンなど
のプラスチックを主として用いる誘電体,アルミパイプ
や銅パイプ等の金属パイプを用いる(金属編組を用いる
こともあるが、この場合は渦電流探傷器による探傷は困
難である)外導体及びポリエチレン等のプラスチックで
形成した絶縁被膜(シースともいう)を層状に形成した
電気信号の伝送線路である。ここで、12C−CATV
用アルミパイプ形同軸ケーブルの外半径(シ−スを含
む)R1は15.3(直経)/2≒7.6mmである。
スラック曲がり可能半径R2は、この同軸ケーブル20
の半径R1の10倍以上(直経は半径のそれぞれ2倍で
ある)にするという条件から、最低15.3/2≒7.
7cm以上とする必要がある。
【0019】同軸ケーブル20が上述条件である場合、
プローブ管16の検知面11は、同軸ケーブル20の軸
yに直角(x)方向の接触部に関しては外半径R1より
僅かに大きい半径R3(R3は8.5mm程度が適当で
ある)の円弧状凹面を形成し,同軸ケーブル20の軸に
平行方向(y)の接触部に関してはスラック曲がり可能
半径R2より僅かに小さい半径R4(直経(2×R4)
は14cm程度が適当である)の円弧状凸面を形成する
のが適当である。すると、プローブ1は、同軸ケーブル
20に図1(a)に示す如きスラックがあっても、検知
面11を同軸ケーブル20のシース(外径面)に隙間な
く接触させた状態で同軸ケーブル20の軸方向(y方
向)に移動させることができる。従って、本実施の形態
によるプローブ1は、ほぼ一定の大きさの磁界を被測定
物の狭い範囲に供給でき、同軸ケーブル20のシース上
から一定かつ良好な感度でアルミニゥムに限らず,金属
パイプ(外導体)の探傷ができ、微少な金属パイプの亀
裂の発見も容易となる。
【0020】
【発明の効果】以上説明したように本発明は、金属パイ
プの外導体を有する同軸ケーブルの前記金属パイプの傷
を前記金属パイプに生じせしめた渦電流の変化検出によ
って探傷する渦流探傷器のプローブにおいて、前記プロ
ーブが、円筒形状で構成され,前記渦電流の検出ヘッド
であるプローブ管部を有し、前記プローブ管部が、前記
円筒形状の先端において、前記同軸ケーブルの軸に直角
方向の接触部に関しては前記同軸ケーブルの外半径より
僅かに大きい半径の円弧状凹面を形成し、前記同軸ケー
ブルの軸に平行方向の接触部に関しては前記同軸ケーブ
ルのスラック曲がり可能半径より僅かに小さい半径の円
弧状凸面を形成した渦電流検知面を備えるので、同軸ケ
ーブルのシース上から一定かつ良好な感度で金属パイプ
(外導体)の探傷ができ、微少な金属パイプの亀裂の発
見も容易となるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による渦流探傷器のプローブの実施の形
態の一つを示す外形図であり、(a)は側面図であり、
(b)は正面図である。
【図2】図1のプローブ10のプローブ管部1の要部を
示す図であり、(a)はx−z断面図、(b)はy−z
断面図、(c)は底面(x−y面)の外形図である。
【図3】従来から上記同軸ケーブルのパイプ(外導体)
の探傷のために用いられていた渦流探傷器のプローブ1
0Aの外形図を示している。(a)は側面図、(b)は
正面図である。
【符号の説明】
1 プローブ管部 2 コネクタ部 3 コネクタ 10 プローブ 11 検知面 12 励磁コイル 13,15 リード線 14 検出コイル 16 プローブ管 17 保護ケース 18 フェライトコア 19 樹脂 20 同軸ケーブル

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属パイプの外導体を有する同軸ケーブ
    ルの前記金属パイプの傷を前記金属パイプに生じせしめ
    た渦電流の変化検出によって探傷する渦流探傷器のプロ
    ーブにおいて、 前記プローブが、円筒形状で構成され,前記渦電流の検
    出ヘッドであるプローブ管部を有し、 前記プローブ管部が、前記円筒形状の先端において、前
    記同軸ケーブルの軸に直角方向の接触部に関しては前記
    同軸ケーブルの外半径より僅かに大きい半径の円弧状凹
    面を形成し、前記同軸ケーブルの軸に平行方向の接触部
    に関しては前記同軸ケーブルのスラック曲がり可能半径
    より僅かに小さい半径の円弧状凸面を形成した渦電流検
    知面を備えることを特徴とする渦流探傷器のプローブ。
  2. 【請求項2】 前記プローブ管部が、前記円筒形状の内
    面に配置され,コの字型のフェライトコアの一方の腕に
    巻かれて前記渦電流検知面の方向に磁界を生じさせる励
    磁コイルと、前記フェライトコアの他方の腕に巻かれて
    前記渦電流検知面の方向から渦電流を検出する渦電流検
    出コイルとを備えることを特徴とする請求項1記載の渦
    流探傷器のプローブ。
  3. 【請求項3】 前記フェライトコアの前記腕の先端を前
    記渦電流検知面に含むことを特徴とする請求項2記載の
    渦流探傷器のプローブ。
  4. 【請求項4】 コネクタを含むコネクタ部を前記プロー
    ブ管部に接続し、 前記励磁コイルが、前記コネクタを介して渦流探傷器の
    本体から交流電流の励磁を受け、 前記渦電流検出コイルが、被測定物から受けた渦電流を
    前記コネクタを介して前記渦流探傷器の本体に送ること
    を特徴とする請求項2記載の渦流探傷器のプローブ。
  5. 【請求項5】 前記プローブ管部の円筒形状部分を覆う
    金属製の保護ケースをさらに備えることを特徴とする請
    求項1記載の渦流探傷器のプローブ。
  6. 【請求項6】 外導体がアルミニゥムパイプ製の前記同
    軸ケーブルの探傷に用いられ、 前記渦電流検知面の円弧状凸面の半径が、該同軸ケーブ
    ルの外半径の10倍以下であることを特徴とする請求項
    1記載の渦流探傷器のプローブ。
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