JP2589420B2 - 導電膜検査方法およびその装置 - Google Patents

導電膜検査方法およびその装置

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JP2589420B2
JP2589420B2 JP20321391A JP20321391A JP2589420B2 JP 2589420 B2 JP2589420 B2 JP 2589420B2 JP 20321391 A JP20321391 A JP 20321391A JP 20321391 A JP20321391 A JP 20321391A JP 2589420 B2 JP2589420 B2 JP 2589420B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、半導体基板上、もしく
はディスプレイ用のガラス基板上に形成された導電性薄
膜(導電膜)などのように、平面的な広がりのある導電
膜の成膜状態(膜厚分布や電気的特性分布等)を非破壊
状態で検査する導電膜検査方法およびその装置に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】半導体の分野では、高抵抗半導体基板
(ウェハ)上に、CVDなどのプロセスで不純物をドー
ピングした導電性薄膜を成長させ、電子デバイスや光デ
バイスに利用している。これらの用途においては、1枚
の基板から同一品質のデバイスをいかに多く製造できる
かが重要である。このため、基板全面にわたって膜厚や
電気的特性が均一であることが要求される。しかしなが
ら、実際には、同一基板面内において膜厚や電気的特性
の不均一が存在し、これらによって、その基板全体の品
質が決定されることになる。
【0003】従来は、同一ロットについて多数枚の薄膜
被覆基板を同時に製造し、その内のある基板を抜き取
り、それを破壊して膜厚や電気的特性を検査、分析し、
その検査、分析結果を代表してそのロット内全体の基板
の品質を類推している。その品質が所定の基準を満足し
ていれば、そのロット内の基板全体を出荷する。しかし
ながら、基板によっては品質基準に到達しないものが存
在することがあり、そのような基板の品質不良を検査す
ることができないという問題がある。ディスプレイ用の
ガラス基板のような透明部材であれば、光学的に膜厚の
測定が可能であるが、電気抵抗値のような電気的な特性
を測定することは不可能であった。
【0004】ここで、被膜の電気抵抗値を非接触で測定
する方法として、渦電流検査法が知られている。これ
は、導体を交番磁界中に置くと、その導体内に磁界を打
ち消す方向に渦電流が流れ、この渦電流の大きさや分布
が、導体の形状、導電率、透磁率、内部欠陥などにより
変化することを利用して被膜の電気抵抗値を測定すると
いう原理に基づく。つまり、渦電流検査法は、渦電流に
より発生する磁界が相互誘導作用により検出コイルのイ
ンピーダンスを変化させるので、このインピーダンスの
変化を電圧値や位相の変化として検出することにより、
被検査物である導体の状態を知る方法である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上述した従
来の渦電流検査法は、被検査物の欠陥の位置や大きさを
測定することを意図しており、出力信号の急激な変化を
信号の微分処理などによってノイズと分離して検出する
方法である。また、複数の周波数を重ね合わせた交流電
流を検査用コイルに印加してその渦電流から導体の電気
抵抗値を測定する方法もすでに知られているが、この場
合は、欠陥に敏感な周波数に応じた信号と、敏感でない
周波数に応じた信号とを演算してノイズの影響を打ち消
したり、欠陥の形状を識別している。本発明において意
している半導体基板上やディスプレイ用のガラス基板
上に形成された導電膜の成膜状態、すなわち、その膜厚
分布や電気的特性分布を測定する場合においては、平面
的な広がりのある導電膜の全面にわたって連続した変化
を検出することが必要であり、検査装置の動作の安定性
が要求される。しかし、このように非常に高感度測定
精度要求される場合、検出コイルを微細に走査して測
定していくのでその測定時間は数分〜数十分もの長時間
になる。長時間の測定の間、温度変化などによって検査
装置の零点が変移(ドリフト)し、零点のドリフトによ
って検査装置で測定したインピーダンスの値が狂う。そ
の結果、インピーダンスの位相角も狂う。たとえば、同
じ点を長時間、連続的に測定した場合、時間経過に伴う
温度変化などによる検査装置の零点ドリフトによって位
相角が変動する。図8にその様子を示す。同図におい
て、横軸(X軸)は複素インピーダンスの実数部の値を
示し、縦軸(Y軸)は複素インピーダンスの虚数部の値
を示している。零点ドリフトがなければ同じ位相角であ
るべきであるが、図8に示すように、零点ドリフトによ
って位相角が変動すると、正確に導電膜の電気抵抗値を
算出できない。また、測定点が異なる位置について被検
査物と検出コイルとの相対的間隔がわずかに変わると、
異なる測定点について同じ電気抵抗値であっても、それ
ぞれの測定点について検出コイルの出力値が異なる。そ
の結果、正確な測定ができないという問題がある。以上
の理由から、従来技術の渦電流検査法によって、平面的
な広がりのある導電膜の成膜状態を全面にわたって正確
に検出することは困難である。
【0006】本発明の目的は、平面的な広がりのある導
電膜を走査する過程で、この導電膜と検出コイルとの相
対的間隔が変化しても、また検査装置の零点が温度によ
ってドリフトしても、これらの変動に影響されず、導電
膜の全面にわたって、常に安定して高い精度で、非接触
かつ非破壊状態で、抵抗分布やそれに伴う膜厚分布など
の成膜状態を連続的に測定することができる導電膜検査
方法および導電膜検査装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
種々検討を行った結果、本件発明者は、導電膜の電気抵
抗値やそれに伴う膜厚が、複素インピーダンスベクトル
の軌跡から求めたその位相角(複素インピーダンスベク
トルの傾き)と相関があることを見いだした。また本件
発明者は、各測定点について、検出コイルに印加する高
周波磁界の平均強度を低周波で変化させて得られた複素
インピーダンスベクトルの軌跡から求めた位相角(複素
インピーダンスベクトルの傾き)を用いると、検査装置
の零点ドリフトの影響を除外でき、かつ、測定点の相違
に起因する検出コイルと導電膜との距離に差による影響
を受けず、正確な測定が可能なことを見出した。 その理
由を述べる。複素インピーダンスベクトルを決定する直
線の両端の2点を規定する高周波磁界の強いときの値と
高周波磁界の弱いときの値とは、かりに零点ドリフトが
存在しても等しいから、複素インピーダンスベクトルが
平行にシフトするだけで傾きには影響がない。また、導
電膜の評価に、渦電流の絶対値ではなく、複素インピー
ダンスベクトルの軌跡から算出した位相角(複素インピ
ーダンスベクトルの傾き)を用いるから、測定点が異な
って検出コイルと導電膜との絶対的な距離が多少異なっ
ても、高周波磁界の強いときと弱いときとの距離の差が
一定であれば、その影響は殆どない。したがって、本発
明によれば、検査対象となる平面的に広がりのある導電
膜の近傍に配設された渦電流発生・検出コイルによっ
て、前記導電膜に渦電流を発生させるのに充分な高周波
磁界を印加すると共に、各測定点について、前記導電膜
に印加される高周波磁界の平均強度を該高周波磁界の周
波数よりも充分に低い周波数で変動させる段階と、前記
導電膜に発生した渦電流を前記検出コイルで検出する段
階と、各測定点における、前記印加される高周波磁界の
平均強度を前記低い周波数で変動させることによって得
られた複素インピーダンスベクトルの軌跡からその位相
角(複素インピーダンスベクトルの傾き)を算出し、前
記導電膜の成膜状態を検査する段階とを具備し、前記各
段階を、前記導電膜の面上を2次元的に走査しつつ繰り
返し実行することによって、前記導電膜の全面にわたっ
てその成膜状態を検査することを特徴とする導電膜検査
方法が提供される。好適には、平均強度を変化させる周
波数を、渦電流を発生させるに充分な高周波数の100
分の1以下とすることが望ましい。さらに本発明によれ
ば、上記導電膜検査方法を実施する装置、すなわち、導
電膜検査装置が提供され、この導電膜検査装置は、検査
対象となる平面的に広がりのある導電膜の近傍に配設さ
れた渦電流発生・検出コイルと、前記渦電流発生・検出
コイルもしくは前記導電膜のいずれか一方もしくは双方
を前記導電膜の面と平行に移動して、前記渦電流発生・
検査用コイルを前記導電膜の全面にわたって2次元的に
走査させる走査手段と、前記導電膜に渦電流を発生させ
るに充分高い周波数の高周波電流を発生し、前記渦電流
発生・検出コイルに印加する高周波電源と、前記渦電流
発生・検出コイルから前記導電膜に印加される高周波磁
界の平均強度を、各測定点について、該高周波磁界の周
波数よりも充分に低い周波数で変化させる平均強度変化
手段と、前記走査手段の走査に応じて、各測定点におけ
る、前記印加される高周波磁界の平均強度を前記低い周
波数で変動させることによって得られた複素インピーダ
ンスベクトルの軌跡からその位相角(複素インピーダン
スベクトルの傾き)を順次算出し、前記導電膜の成膜状
態を全面にわたって検査する手段とを有する。
【0008】
【作用】渦電流発生・検出コイルから、導電膜に渦電流
を発生させるに充分な高周波磁界を印加する。この状態
において、各測定点について、高周波磁界の平均強度を
低周波で変化させて得られた複素インピーダンスベクト
ルの軌跡からその位相角(複素インピーダンスベクトル
の傾き)を算出し、この複素インピーダンスベクトルの
傾きを用いて導電膜の電気抵抗分布やそれに伴う膜厚分
布などの成膜状態を検査する。 なお、導電膜に印加する
渦電流発生用の高周波磁界の平均強度を、その高周波磁
界の周波数に対して、好適には、100分の1以下の充
分低い周波数で変化させる。少なくとも、低い周波数の
振幅の最大のときと最小または零のときの2つの状態に
おける渦電流を検出して、この2点からその測定点にお
ける複素インピーダンスベクトルの軌跡からその位相角
(複素インピーダンスベクトルの傾き)を正確に算出す
る。特に、高周波磁界の強度を零に近づけた場合に検査
装置の零点を補正することができる。
【0009】
【実施例】図1は本発明に係わる導電膜検査方法を実施
するための導電膜検査装置の一実施例の構成を示す図で
ある。この図において、1は基台であり、この基台1上
の所定位置に、検査対象となるウェハ2が位置決めされ
て載置される。この基台1には走査機構3が設けられ、
この走査機構3によって渦電流発生・検出コイル4がウ
ェハ2の面と平行な2次元平面内で移動可能に支持され
ている。走査機構3は、検出コイル4を支持するキャリ
ッジ5を、図2における特定方向A1もしくはA2へ移
動すると共に、これらの特定方向A1もしくはA2と直
交する方向B1もしくはB2へ移動するもので、周知の
XYプロッタのヘッド送り機構と類似した構成となって
いる。この場合、板厚0.4mmのウェハ2の表面に、
導電膜である0.5μmの活性層2aが形成されてお
り、この活性層2aに対して約500μmの空隙を隔て
て、渦電流発生・検出コイル4が配設されている。ま
た、キャリッジ5と渦電流発生・検出コイル4の間に
は、加振装置6が設けられており、この加振装置6によ
って渦電流発生・検出コイル4が上下に振動し、ウェハ
2に接近する方向aもしくは離間する方向bへ移動する
ようなっている。
【0010】渦電流発生・検出コイル4は、棒状の鉄心
4aに、コイル4bを同軸状に配設し、樹脂で一体にモ
ールドしたもので、鉄心4aの下端部は円錐状に形成さ
れ、その先端がウェハ2に近接配置されている。この渦
電流発生・検出コイル4がウェハ2に近接的に渦電流を
発生させ、発生した渦電流を検出する。本実施例で用い
た渦電流発生・検出コイル4の寸法について説明する
と、外径1.2mmの鉄心4aに、0.05mmの線径
の素線を200ターン巻回してコイル4bとしている。
【0011】このような渦電流発生・検出コイル4がケ
ーブル8を介して検査装置13に接続されている。検査
装置13は、ケーブル8を介して渦電流発生・検出コイ
ル4に印加する2MHzの渦電流発生用の高周波電流を
発生する高周波電源、および、検出コイル4で検出され
た渦電流からウェハ2の表面に形成された活性層2aの
電気抵抗値を算出するマイクロコンピュータからなる演
算処理部を有している。また、検査装置13のマイク
ロコンピュータからなる演算処理部は、加振装置6を所
定の振動数、例えば、50Hzで振動させ、渦電流発生
・検出コイル4を上下に振動させる加振制御機能と、走
査機構3の動作を制御して渦電流発生・検出コイル4を
図2に示すような所定の軌跡で移動させる走査制御機能
を有してる。
【0012】そして、検査装置13の演算処理部で算出
された、渦電流発生・検出コイル4の複素インピーダン
スに応じた信号が、オシロスコープ14に供給され、こ
のオシロスコープ14によって、複素インピーダンスベ
クトルの位相角と大きさが表示されるようになってい
る。また、上記複素インピーダンスベクトルの位相角
(傾き)が電圧値としてレコーダ15と、コンピュータ
16に供給され、レコーダ15で記録され、コンピュー
タ16で信号処理されるようになっている。
【0013】オシロスコープ14の表示画面上には、図
3に示すような、複素インピーダンスベクトルが表示さ
れ、その位相角θを知ることができる。同図において、
横軸(X軸)は複素インピーダンスの実数部の値を示
し、縦軸(Y軸)は複素インピーダンスの虚数部の値を
示している。これにより、ウェハ2の表面の活性層2a
に高周波磁界を印加した場合における渦電流発生・検出
コイル4の複素インピーダンスの変化が、オシロスコー
プ14の表示画面上の輝点として知ることができる。こ
こで、原点からのベクトルの大きさrは、渦電流発生・
検出コイル4と活性層2aとの間の空隙や活性層2aの
性状によって変化し、複素インピーダンスベクトルの位
相角(傾き)θは、活性層2aの膜厚や電気抵抗値に依
存して変化する。
【0014】以上の構成において、渦電流発生・検出コ
イル4は、走査機構3によって図2に示すように、特定
方向A1に移動され、この特定方向A1と直交する方向
B1に所定の間隔で移動され、さらに特定方向A1とは
逆の方向A2に移動される。これらの移動動作が反復さ
れることにより、活性層2aが全面にわたって走査され
る。また、走査が完了した時点で、方向B2に移動され
て、初期位置に復帰する。ただし、方向B1における移
動間隔は、渦電流を発生させ、検出するのに充分な間隔
とする。このような走査機構3の動作が検査装置13内
にあるマイクロコンピュータからなる演算処理部によっ
て制御される。そして、このような走査が行われる過程
において渦電流発生・検出コイル4で検出された活性層
2aの検査部位の膜厚及び電気抵抗値を示す複素インピ
ーダンスベクトルの位相角θが、レコーダ15によって
記録され、これにより活性層2aの全面にわたる膜厚分
布や不純物濃度分布が測定される。
【0015】ここで、本実施例に基づく特性図を、図4
および図5に示す。図4は、直径3インチのGaAs基
板上に、活性層2aとしてノンドープドGaAs、Al
GaAs薄膜を3.5μm成長させ、その上に、硫黄S
をドープしたGaAsを0.5μm成長させ、この条件
において、不純物濃度(横軸)をそれぞれ1×1017
-3、2×1017cm-3、3×1017cm-3と変化させ
た時の位相角θの変化(縦軸)を示す。不純物濃度が高
くなると、半導体の比抵抗は小さくなり、その結果、抵
抗値が小さくなり、位相角θが大きくなる。図5は不純
物濃度を2×1017cm-3に固定して、活性層2aの膜
厚(横軸)を0.4μm、0.5μm、0.6μmと変
化させたときの位相角θの変化(縦軸)を示している。
膜厚が厚くなると面方向の抵抗値が小さくなり、複素イ
ンピーダンスベクトルの位相角(傾き)θの値が大きく
なる。
【0016】ところで、ウェハの温度は、ドーピングの
濃度および膜厚分布に影響を与えるが、特に、ドーピン
グの濃度への影響が大きい。したがって、膜厚分布が一
定でも、ドーピングの濃度に分布(変化)が現われるこ
とがある。図6の特性図はかかる特性を示している。こ
の図において、横軸はウェハの位置、左縦軸は位相角
θ、右縦軸は不純物濃度nを示す。ウェハの直径は2イ
ンチ、膜厚は0.5μmで一定である。上述した実施例
によって測定された曲線CV1で示されるように、ウェ
ハ周辺部の複素インピーダンスベクトルの位相角(傾
き)θが大きくなっており、これにより、ウェハ周辺部
の不純物濃度nが大きい事が推定される。また、図に示
す曲線CV2は、ウェハの破壊試験によって測定した実
際の不純物濃度の測定結果であり、本実施例による測定
結果と良く一致している。
【0017】また、上述した実施例において、活性層2
aの面内の測定間隔を狭く設定して高い密度で測定を行
う場合には、その測定時間は数分から数十分の長時間に
なることがある。このような長時間にわたる測定におい
ては、検査装置13内の高周波電気回路系統に温度変動
が生じ、その出力の零点が温度変化によってドリフト
る場合がある。その結果、検査装置13の測定値も零点
ドリフトの影響を受けて変動する。このような場合の測
定値をプロットすると、図8に示すようになる。かかる
ドリフト等の問題を解決するために、上述した実施例に
おいては、渦電流発生・検出コイル4を加振装置6によ
って渦電流発生用の高周波電流の周波数(2MHz)よ
りも充分に低い周波数の50Hzで振動させ、渦電流発
生・検出コイル4と活性層2aとの間の距離を変化させ
る。この場合、オシロスコープ14の表示画面には、図
7に示すような表示が現れる。すなわち、渦電流発生・
検出コイル4が活性層2aに接近する方向aおよび離間
する方向bへ移動するのに応じて、活性層2aの検査部
位に印加される高周波磁界が変化し、これにより、検出
された複素インピーダンスベクトルは、活性層2aの検
査部位の電気抵抗値に応じたある一定の位相角θをもっ
て、その大きさが変化する。なお、検査装置の温度変化
に起因する零点ドリフトなどによって、測定結果が図7
の座標系において零点を通らない場合もあるので、複素
インピーダンスベクトルの位相角θを正確に表すと、
測定点について、前記印加される高周波磁界の平均強度
を前記低い周波数で変動させることによって得られた複
素インピーダンスベクトルの軌跡から算出した位相角で
ある。換言すれば、複素インピーダンスベクトルの傾き
でもある。ここで、検査装置13の高周波電源を調整す
ることにより、検査装置の出力の零点(原点)に最も近
づいた時点で、信号の変化の直線が零点を通るように、
補正することができる。また、特に上述した検査装置の
零点補正をしなくても、複素インピーダンスベクトルの
方向のみ、すなわち複素インピーダンスベクトルの傾き
θを測定すれば、零点のドリフトとは関係なく安定した
測定が可能となる。なぜなら、複素イン ピーダンスベク
トルの傾きθを決定する直線の2点を規定する高周波磁
界の強い点と弱い点とは等しい零点ドリフトを含んでお
り、これらの点を結んで得られた直線は平行にシフトす
るだけであるから、複素インピーダンスベクトルの傾き
は零点ドリフトの影響を受けない。 また、ウェハ2の活
性層2aの面全体を検査していく場合に、検査位置の相
違によって、活性層2aと検出コイル4との相対間隔が
わずかに変化する事態が生じる場合がある。しかしなが
ら、本発明においては、導電膜の評価に、渦電流発生・
検出コイル4で検出した渦電流の絶対値ではなく、測定
点ごと、高周波磁界の平均強度を低周波で変化させるこ
とによって得られる高周波磁界の強い点と弱い点とを結
んで得られる複素インピーダンスベクトルの傾きθを用
いているから、測定点ごとの渦電流発生・検出コイル4
と導電膜の距離の微差の影響を受けない。その理由を述
べる。測定点の相違によって、たとえば、高周波磁界の
平均強度が強いときの渦電流発生・検出コイル4と活性
層2aの距離は多少の差が生じることがあるが、高周波
磁界の平均強度が強いときと弱いときの、渦電流発生・
検出コイル4と活性層2aとの間隔は、測定点の相違に
よらず一定である。同じ導電膜状態でも測定点の位置の
相違によって、渦電流発生・検出コイル4と活性層2a
との距離が多少異なると、渦電流発生・検出コイル4で
検出する渦電流の絶対値は、高周波磁界の平均強度が強
いときと弱いときの両者について、それぞれ多少異なる
が、両者を結ぶ直線の傾き、すなわち、複素インピーダ
ンスベクトルの傾きは同じである。したがって、測定点
の相違による渦電流発生・検出コイル4と活性層2aの
距離の微差の影響を受けない。 このように、本発明にお
いては、高周波磁界の平均強度を低周波で変化させて得
られる複素インピーダンスベクトルの傾きθを用いるこ
とにより、検査装置の零点ドリフトの影響を受けず、か
つ、検査コイルと活性層との距離の変化の影響を受け
ず、活性層2a全面の測定密度の高い測定を可能として
いる。
【0018】本実施例においては、複素インピーダンス
ベクトルの傾きθが電圧値としてレコーダ15に供給さ
れ、このレコーダ15で記録されるようになっており、
これにより、平面的な広がりのある活性層2aを連続的
に走査する過程において、この活性層2aと検出コイル
4との相対的間隔が変化しても、また検査装置13の
力の零点が温度によってドリフトしても、これら走査過
程における変動には何等影響されずに、上記複素インピ
ーダンスベクトルの傾きθの連続測定によって抵抗分布
やそれに伴う膜厚分布などの成膜状態を連続的に測定す
ることが可能となっている。
【0019】なお、上述した実施例においては、渦電流
発生・検出コイル4を図2で示したように移動させて、
ウェハ2上の活性層2aの全面にわたって2次元的に走
査するようにしたが、渦電流発生・検出コイル4を固定
し、ウェハ2側を移動させるようにようにしても構わな
い。また、ウェハ2上に形成された活性層2aの成膜状
態を測定する場合を例に説明したが、ガラス基板上に
nO 2 をドープしたITO膜の成膜状態を測定する場合
にも勿論適用することができる。さらに、渦電流発生・
検出コイル4と活性層4aとの間の距離を渦電流発生用
の高周波電流の周波数よりも充分に低い周波数で変動さ
せるようにしたが、これらの距離を変化させずに、渦電
流発生・検出コイル4に印加される高周波電流の平均強
度を、上記低い周波数で変化させるようにしても構わな
い。この場合、平均強度の変化は、高周波電流の印加を
断続させ、または高周波電流に上記低い周波数で振幅の
大きい交流電流を加算することによって行えばよい。
【0020】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の導電膜検
査方法およびその装置によれば、渦電流発生・検査コイ
ルによって導電膜に印加される高周波磁界の平均強度
を、この高周波磁界の周波数よりも充分に低い周波数で
変動させつつ、導電膜の全面にわたって走査し、導電膜
の検査部位の渦電流を検出コイルで検出して得られた
素インピーダンスベクトルの軌跡から算出した位相角
(複素インピーダンスベクトルの傾き)に基づいて、
電膜の電気抵抗分布やそれに伴う膜厚分布などの成膜状
態を検査するようにしたので、例えば、半導体基板上に
形成された導電膜やディスプレイ用のガラス基板上に形
成された導電膜のように平面的な広がりのある導電膜を
連続的に走査する過程において、走査位置の相違に起因
する導電膜と検出コイルとの相対的間隔の変化があって
、また長時間動作した場合に発生する温度変化に起因
する検査装置の出力の零点がドリフトしても、これら走
査過程における変動には何等影響されず、導電膜の全面
にわたって、常に安定した高い精度で、非接触かつ非破
壊状態で、抵抗分布やそれに伴う膜厚分布などの成膜状
態を連続的に測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例による導電膜検査方法を実施す
る導電膜検査装置の構成を示す図である。
【図2】図1に示した導電膜検査装置によるウェハの走
査過程を説明するための図である。
【図3】本発明の実施例に基づく複素インピーダンスベ
クトルの測定結果を示す図である。
【図4】本発明の実施例に基づく不純物濃度の異なる複
数のサンプルについての複素インピーダンスベクトルの
位相角測定結果を示すグラフである。
【図5】本発明の実施例に基づく膜厚の異なる複数のサ
ンプルについての複素インピーダンスベクトルの位相角
測定結果を示すグラフである。
【図6】本発明の実施例に基づくウェハの各検査部位に
おける複素インピーダンスベクトルの位相角測定結果を
示すグラフある。
【図7】本発明の実施例による検査コイルを振動させた
場合の複素インピーダンスベクトルの測定結果を示すグ
ラフである。
【図8】従来の渦電流式導電膜検査方法による位相角変
動を示すグラフである。
【符号の説明】
1…基台 2…ウェハ 2a…活性層
3…走査機構 4…渦電流発生・検出コイル 5…キャリッジ
6…加振装置 13…検査装置 14…オシロスコープ
15…レコーダ

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】検査対象となる平面的に広がりのある導電
    膜の近傍に配設された渦電流発生・検出コイルによっ
    て、各測定点について、前記導電膜に渦電流を発生させ
    るのに充分な高周波磁界を印加すると共に、前記導電膜
    に印加される高周波磁界の平均強度を該高周波磁界の周
    波数よりも充分に低い周波数で変動させる段階と、 前記導電膜に発生した渦電流を前記検出コイルで検出す
    る段階と、各測定点について、前記印加される高周波磁界の平均強
    度を前記低い周波数で変動させることによって得られた
    複素インピーダンスベクトルの軌跡からその 位相角を算
    出し、前記導電膜の成膜状態を検査する段階とを具備
    し、 前記各段階を、前記導電膜の面上を2次元的に走査しつ
    つ繰り返し実行することによって、前記導電膜の全面に
    わたってその成膜状態を検査することを特徴とする導電
    膜検査方法。
  2. 【請求項2】前記渦電流発生・検出コイルと前記導電膜
    との間の距離を前記低い周波数で変化させることによっ
    て、前記導電膜に印加される高周波磁界の平均強度を変
    動させつつ、前記導電膜の全面を走査することを特徴と
    する請求項1記載の導電膜検査方法。
  3. 【請求項3】前記低い周波数は、前記渦電流を発生させ
    るのに充分な高周波磁界の周波数のほぼ1/100以下
    であることを特徴とする請求項1記載の導電膜検査方
    法。
  4. 【請求項4】検査対象となる平面的に広がりのある導電
    膜の近傍に配設された渦電流発生・検出コイルと、 前記渦電流発生・検出コイルもしくは前記導電膜のいず
    れか一方もしくは双方を前記導電膜の面と平行に移動し
    て、前記渦電流発生・検査用コイルを前記導電膜の全面
    にわたって2次元的に走査させる走査手段と、 前記導電膜に渦電流を発生させるに充分高い周波数の高
    周波電流を発生し、前記渦電流発生・検出コイルに印加
    する高周波電源と、各測定点について、 前記渦電流発生・検出コイルから前
    記導電膜に印加される高周波磁界の平均強度を、該高周
    波磁界の周波数よりも充分に低い周波数で変化させる平
    均強度変化手段と、 前記走査手段の走査に応じて、各測定点について、前記
    印加される高周波磁界の平均強度を前記低い周波数で変
    動させることによって得られた複素インピーダンスベク
    トルの軌跡からその位相角を順次算出し、前記導電膜の
    成膜状態を全面にわたって検査する手段とを具備するこ
    とを特徴とする導電膜検査装置。
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