JP2635555B2 - 手持ち電動工具のユニバーサルモータのブラシを移動させる装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【産業上の利用分野】

本発明は，右回り及び左回り運転用の手持ち電動工具
のユニバーサルモータの，コミュテータに対して相対的
に滑るブラシを移動させる装置に関する。

【従来の技術】

右回り及び左回り運転用の手持ち電動工具において
は，周知のように回転方向の切り替えの際に，ユニバー
サルモータのブラシを移動させて，ユニバーサルモータ
の特性を変化させ，これによってユニバーサルモータの
出力が変化しないようにする。この場合従来は高価なブ
ラシ移動装置が使用されており，しかも手によって配線
され接続される接続導線が必要である。このような移動
装置は，手持ち電動工具を経済的に大量生産するのに適
していない。

【発明が解決しようとする課題】

本発明が解決しようとする課題は，回転方向に切り替
え可能なユニバーサルモータのブラシ移動装置を簡単か
つ安価に構成し，ダストの侵入が防止され，接点の切り
替え操作が長期間にわたって確実に行われるようにする
ことである。

【課題を解決するための手段】

この課題を解決するために，本発明の構成では，右回
り及び左回り運転用の手持ち電動工具のユニバーサルモ
ータの，コミュテータに対して相対的に滑るブラシを移
動させる装置において，ブラシ移動装置が切り替えスイ
ッチであり，この切り替えスイッチは，絶縁材料から成
る２つの支持体から構成されており，これらの支持体
は，一定の限度内で互いに相対的に回動可能に，互いに
結合されていて，相対回動の際に交番的に接触状態を切
り替えて，周知の回路によってユニバーサルモータの被
駆動軸の回転方向を切り替える接点を有しており，第１
の支持体は，手持ち電動工具を外部電源に接続するため
の接点と４つの磁極片をステータに接続するための接触
片とを有する接点保持体として構成されており，第２の
支持体はブラシ保持体を有する接触プレートとして構成
されており，接点保持体と接触プレートとは互いに係合
するつばを備えており，これらのつばは環状室を形成し
ており，この環状室内に，切り替えに役立つ接点が配置
されていて，交番的に互いに接続可能であるようにし
た。

【実施例】

以下においては図面に示した実施例に基づいて，本発
明の構成を具体的に説明する。 手持ち電動工具のケーシング１内にユニバーサルモー
タ２が挿入されている。このユニバーサルモータ２は巻
線４を有するステータ３を備えている。ステータ３の接
続側端面には切り替えスイッチ５が載着されている。こ
の切り替えスイッチ５は２つの支持体，すなわち接点保
持体６と接触プレート７とから成っている。接点保持体
６はその一方の端面に取り付けられた４つの接触薄板８
及び９を有しており，これらの接触薄板はそれぞれ接触
片10で終わっており，この接触片自体は，接点保持体６
に面したステータ３の端面に設けられている接触ポケッ
ト11内に係合することができる。 接点保持体６は大体においてリングとして構成されて
おり，その内側円筒面12は係止突起13を有している。４
つの接触片10は接点保持体６の台状の突出部14内に保持
されていて，接点保持体６のステータ３側の端面から突
出しているのに対し，接触薄板８若しくは９の残りの部
分は，接点保持体６の他方の端面の円弧形の壁体15内を
ほぼ円周方向に延びている。接触薄板８は接触片10とは
逆の側の端部に，折り曲げられた接触片16を有してお
り，この接触片は切り替えスイッチの接続部材として，
案内部17を通って，接触プレート７を越えて，主スイッ
チを有する図示していないケーシング部分に向かって突
出している。接触薄板９の接触片10とは逆の側の端部
は，滑り接点を有する保持垂片18を備えており，この保
持垂片は切り欠き部19を貫通して，後述するばね作用を
有する接触バンドの運動範囲内に突出している。 接点保持体６の透かし口20によって係止縁部21が形成
されており，この係止縁部は接触プレート７の突出部22
と協働する。係止縁部21と接触プレート７の突出部22及
びつば23とは，接触プレート７と接点保持体６とを結合
する手段である。この場合つば23の円筒形の外面24は接
点保持体６の内側円筒面12と係合する。円筒形の外面24
の係止凹所25は係止突起13と協働するものである。 接触プレート７のつば26及び27は環状室28を形成して
いる。この環状室28内にはばね作用を有する２つの接触
バンド30のための保持部材29が配置されている。つば26
と保持部材29との間で環状室28の底壁に貫通するスリッ
ト31が形成されている。接触バンド30は固定部材32を有
しており，これらの固定部材は環状室のスリット31を貫
通して，接触プレート７の上面で折り曲げられ，これに
よって接触バンドが固定される。接触バンド30の一方の
端部は滑り接点34を有する接触部材33と，接触片35とに
別れている。接触片35は接触プレート７のスリットを通
してやはり上方に導かれて，折り曲げられ，これによっ
てブラシ保持体36内に保持されている炭素ブラシ（図示
せず）と接続せしめられる。 ２つのブラシ保持体36が固定垂片37によって接触プレ
ート７に固定されている。したがって，回転方向の切り
替えの際に，後述する形式で接触プレート７を接点保持
体６に対して回動させると，ブラシ保持体36内の炭素ブ
ラシも接点保持体６に対して移動する。接触プレート７
はブラシ保持体36と並んで，渦巻きばね40のための支承
ピン39を有する支承部材38を備えている。この渦巻きば
ね40の自由端部は炭素ブラシの背面を押圧している。 接触プレート７はブラシ保持体36の下側に２つの歯セ
グメント41を有している。これらの歯セグメント41は，
ユニバーサルモータ２がケーシング１内に挿入されてい
る場合に，ケーシング１の開口42を通してアプローチ可
能である。同時に炭素ブラシの交換を可能にするこの開
口42を閉鎖するために，カバープレート43が役立つ。少
なくとも一方のカバープレート43は調節車44を支承して
いる。このためにカバープレートは凹所45（第５図）を
備えており，この凹所はスリット46に通じている。ねじ
47はカバープレート43を固定するものである。調節車44
は，接触プレート７の歯セグメント41とかみ合う歯セグ
メント48を有している。調節車44の外方に突出している
部分はつまみ刻み目49と０マーク50とを有している。ス
リット46に隣接して設けられている線51は０マーク50の
ための調節マークとして役立つ。 ケーシングの接続フランジは符号52で示されている。
この接続フランジは透かし穴を有しており，これらの透
かし穴を通して，主スイッチに接続するための接触片16
にアプローチ可能である。 切り替えスイッチ５は接点保持体６と接触プレート７
とによって組み立てられている。このために，接触プレ
ート７のつば23が接点保持体６の内側円筒面12内に挿入
されて，両方の支持体が軸方向に押し合わされる。この
場合係止縁部21が突出部22の背後に係合することによっ
て，接点保持体と接触プレートとが軸方向で相互に固定
されるが，接点保持体６と接触プレート７とは一定の限
度内で互いに相対的に回動可能である。この相対回動に
よって，つば23に形成されている３つの係止凹所25のう
ち，外側の２つの係止凹所の一方又は他方が接点保持体
６の係止突起13と係合すると，ユニバーサルモータは一
方又は他方の方向に回転する。これと同時に，炭素ブラ
シが移動せしめられ，ユニバーサルモータ２の特性が変
化せしめられて，ユニバーサルモータの出力が不変に維
持される。中央の係止凹所25が係止突起13と係合してい
ると，電流回路は中断されており，ユニバーサルモータ
２を回転させることができない。 なお，ユニバーサルモータの回転方向を切り替える回
路自体は周知であり，また本発明の対象でもないので，
本明細書においては説明を省略する。 組み立てられた切り替えスイッチ５は，接触片10をユ
ニバーサルモータ２のステータ３の接触ポケット11内に
差し込まれて，ステータ３と接続される。このようにし
て完成されたユニバーサルモータ２はケーシング１内に
差し込まれる。この場合接触片16は接続フランジ52の透
かし穴を貫通する。したがって接触片16を手持ち電動工
具の主スイッチに接続することができる。このようにし
てユニバーサルモータ２を挿入した場合，接触プレート
７の歯セグメント41はケーシング１の開口42のところに
位置する。この開口42を通して，ブラシ保持体36にアプ
ローチ可能であり，必要な場合炭素ブラシを交換するこ
とができる。開口42を閉じるカバープレート43は，調節
車44の歯セグメント48を接触プレート７の歯セグメント
41とかみ合わせる。ねじ47によってカバープレート43を
固定した後に，調節車44をつまみ刻み目49によって調節
し，接触プレート７を接点保持体６に対して相対的に回
動させることができる。０マーク50と線51とによって，
その都度調節されている回転方向を読み取ることができ
る。 図示の差し込み構造は簡単な組み立てを可能にし，ま
た個々の部品を簡単に構成することを可能にする。この
場合接点保持体６と接触プレート７とが，接点（18）若
しくは（30）が配置されているダストの侵入しない環状
室28を形成していることによって，耐用寿命がほとんど
無制限に長くなり，接触の確実性がいつまでも維持され
る。

【発明の効果】

以上のように本発明によれば，絶縁材料から成る２つ
の支持体が一定限度内で互いに回動可能であるようにす
るとともに，両方の支持体である接点保持体と接触プレ
ートとの間で，接点を環状室内に配置したので，ブラシ
移動装置の組み立て及び構成が極めて簡単になり，回転
方向の切り替えと同時に炭素ブラシが簡単に移動せしめ
られるだけでなく，ダストの侵入が防止され，接点の切
り替え操作が長期間にわたって確実に行われるという効
果が得られる。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明の実施例を示すもので，第１図は手持ち電
動工具内に挿入可能なユニバーサルモータの,2部分より
成る切り替えスイッチを載着したステータの斜視図，第
２図は挿入されているユニバーサルモータのブラシ保持
体への接近を可能にする方形の開口を有する手持ち電動
工具ケーシングの部分的斜視図，第３図はブラシ保持体
への接近開口をカバープレートによって閉じられている
手持ち電動工具ケーシングの部分図，第４図は手持ち電
動工具ケーシングの外側から見た別のカバープレートの
斜視図，第５図は手持ち電動工具ケーシングの内側から
見た第４図のカバープレートの斜視図，第６図は切り替
えスイッチの第１の部分（支持体）を形成する接触プレ
ートの平面図，第７図は切り替えスイッチの第２の部分
（支持体）を形成する接点保持体の平面図，第８図は第
７図の接点保持体の底面図，第９図は第６図の接触プレ
ートの底面図，第10図は組み立てられた切り替えスイッ
チの底面図，第11図は第10図のXI−XI線に沿った断面図
である。 １……ケーシング,2……ユニバーサルモータ,3……ステ
ータ,4……巻線,5……切り替えスイッチ,6……接点保持
体,7……接触プレート,8及び９……接触薄板,10……接
触片,11……接触ポケット,12……内側円筒面,13……係
止突起,14……突出部,15……壁体,16……接触片,17……
案内部,18……保持垂片,19……切り欠き部,20……透か
し口,21……係止縁部,22……突出部,23……つば,24……
外面,25……係止凹所,26及び27……つば,28……環状室,
29……保持部材,30……接触バンド,31……スリット,32
……固定部材,33……接触部材,34……滑り接点,35……
接触片,36……ブラシ保持体,37……固定垂片,38……支
承部材,39……支承ピン,40……渦巻きばね,41……歯セ
グメント,42……開口,43……カバープレート,44……調
節車,45……凹所,46……スリット,47……ねじ,48……歯
セグメント,49……つまみ刻み目,50……０マーク,51…
…線,52……接続フランジ

フロントページの続き (72)発明者 ギユンター・シヤール ドイツ連邦共和国シユツツトガルト80・ アム・オクセンヴアルト 25

Claims (11)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】右回り及び左回り運転用の手持ち電動工具
   のユニバーサルモータの，コミュテータに対して相対的
   に滑るブラシを移動させる装置において，装置が切り替
   えスイッチ（５）であり，この切り替えスイッチは，絶
   縁材料から成る２つの支持体（６・７）から構成されて
   おり，これらの支持体は，一定の限度内で互いに相対的
   に回動可能に，互いに結合されていて，相対回動の際に
   交番的に接触状態を切り替えてユニバーサルモータ
   （２）の被駆動軸の回転方向を切り替える接点（18・3
   0）を有しており，第１の支持体は，手持ち電動工具を
   外部電源に接続するための接点（16）と４つの磁極片を
   ステータ（３）に接続するための接触片（10）とを有す
   る接点保持体（６）として構成されており，第２の支持
   体はブラシ保持体（36）を有する接触プレート（７）と
   して構成されており，接点保持体（６）と接触プレート
   （７）とは互いに係合するつば（21・22・23・26・27）
   を備えており，これらのつばは環状室（28）を形成して
   おり，この環状室内に，切り替えに役立つ接点（18・3
   0）が配置されていて，交番的に互いに接続可能である
   ことを特徴とする，手持ち電動工具のユニバーサルモー
   タのブラシを移動させる装置。
2. 【請求項２】接点保持体（６）が４つの接触片（10）を
   備えていて，これらの接触片は，磁極片を接続する４つ
   の接触ポケット（11）内にステータ長手方向に差し込み
   可能であって，これによって接点保持体がユニバーサル
   モータ（２）のステータ（３）に差しはめ可能である，
   特許請求の範囲第１項記載の装置。
3. 【請求項３】接触プレート（７）がブラシ保持体（36）
   とブラシ押圧ばね（40）とを支持している，特許請求の
   範囲第１項記載の装置。
4. 【請求項４】つばが少なくとも部分的に，接触プレート
   （７）と接点保持体（６）とを結合する係止部材（21・
   22）として構成されている，特許請求の範囲第１項記載
   の装置。
5. 【請求項５】手持ち電動工具を外部電源に接続するため
   の接触片（16）が長く構成されていて，載着された切り
   替えスイッチ（５）を有するステータ（３）をケーシン
   グ（１）内に押し込んだ場合に，ケーシング（１）の接
   続フランジ（52）の透かし穴から突出するようにした，
   特許請求の範囲第１項記載の装置。
6. 【請求項６】接触プレート（７）が，ブラシ保持体（3
   6）の近くで，その外周に多数の歯（41）を有してお
   り，ケーシング（１）の，ブラシ保持体（36）へのアプ
   ローチを可能にする開口（42）のカバープレート（43）
   が調節部材（44）を有しており，この調節部材は，接触
   プレート（７）の歯（41）とかみ合う歯（48）を備えて
   いて，かつカバープレート（43）のスリット（46）を通
   って外部に出ている部分をつまみやすく構成されてい
   る，特許請求の範囲第１項記載の装置。
7. 【請求項７】調節部材が，外方に出ているつまみ刻み目
   （49）と少なくとも１つの調節マーク（50）とを有して
   いる調節車（44）である，特許請求の範囲第６項記載の
   装置。
8. 【請求項８】カバープレート（43）が調節部材（44）の
   ためのスリット（46）の範囲に，内方に向かって開いて
   いて，調節部材（44）の支承に役立つポケット若しくは
   凹所（45）を有している，特許請求の範囲第６項記載の
   装置。
9. 【請求項９】接触プレート（７）が，接点保持体（６）
   に向いた端面に環状室（28）を，かつこの環状室（28）
   の底から他方の端面に通じている多数のスリットを有し
   ており，これらのスリットのうち２個ずつ２組のスリッ
   ト（31）がそれぞれ１つのばね作用を有する接触バンド
   （30）の固定部材（32）によって貫通され，かつ１個ず
   つ２組のスリットがばね作用を有するそれぞれ１つの接
   触バンド（30）の接触片（35）によって貫通されてお
   り，これら２つの接触バンドは環状室（28）内に挿入さ
   れていて，固定部材（32）を折り曲げることによって固
   定されている，特許請求の範囲第１項記載の装置。
10. 【請求項１０】接触プレート（７）及び接点保持体
    （６）がそれらの結合箇所に，種々の相対回動位置を固
    定する係止手段（13・25）を有している，特許請求の範
    囲第１項記載の装置。
11. 【請求項１１】係止手段（13・25）が，切り替えスイッ
    チ（５）の右回り位置・左回り位置並びにニュートラル
    の中心位置を固定するようになっており，中心位置では
    ブラシ保持体（36）内の炭素ブラシを介しての電流回路
    が中断されている，特許請求の範囲第10項記載の装置。