JP2635248B2 - 藺草苗移植機 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、藺草苗移植機に係り、
藺草苗の圃場への移植状態を良好に保とうとする技術に
関するものである。

【０００２】

【従来の技術】この種の藺草苗移植機では、特開平２‐
２０３７０６号公報で示されたもののように、植付アー
ムや植付爪等で成る苗植付機構を植付ケースの後部サイ
ドに配置し、この植付ケース後部から軸伝動して苗植付
機構を駆動するよう構成し、これによって前倒れ傾斜す
る苗載せ台の苗を順次取り出して圃場へ植付けるように
していた。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】上記従来技術では、泥
面に植付けられた時点での藺草苗は、植付ケースに対す
る前後方向の位置がほぼ植付ケースの前後中央部に相当
している位置関係のため、圃場の凹凸や軟硬変化に伴う
左右方向スリップや操向修正等によって植付部と植付後
の植立苗とが左右方向で接触することがあると、その植
立苗が苗植付機構や比較的凹凸変化に富んだ植付ケース
の側面等に引っ掛かり引きずられることによって、植付
姿勢や植付位置が乱れる、更には苗倒れを招くといった
不都合の起きるおそれが強かった。本発明は簡単な構造
工夫によって前記不都合のおそれを解消させようとする
ものである。

【０００４】

【課題を解決するための手段】上記目的の達成のために
本発明は、植付ケースの横側位置に、これから動力伝達
される状態の苗植付機構を配設してあるとともに、前記
苗植付機構による苗の取出し部位から前記植付ケースの
後端近くに亘って、前記苗植付機構と植付後の植立苗と
の接当を防止するためのガイド部材を備え、かつ、該ガ
イド部材を、前記植付ケースの下方に配備した整地フロ
ートの後端よりも後方に延出してあることを特徴とする
ものである。

【０００５】

【作用】前記特徴構成によれば、走行機体の操向操作や
左右方向スリップ等によって植付部が左右方向にずれ動
くと、植立苗は苗植付機構や植付ケースの側壁ではなく
凹凸や引っ掛かり部のないガイド部材と接触するように
なる。したがって、先述した従来技術においては生じる
おそれのあった、植立苗が苗植付機構や植付ケース側壁
の凹凸等に引っ掛かり引きずられることによって、植立
苗の植付姿勢や植付位置が大きく乱れたり、苗倒れを招
くといった不都合の発生を回避できるようになる。又、
ガイド部材を整地フロートの後端よりも後方に延出して
いることから、整地フロートの後部側の沈み込みや整地
フロート通過後のフロート通過跡への泥水の流れ込み等
により植立苗が整地フロート（フロート通過跡）側に倒
れかけても、ガイド部材によって、フロート通過後にも
植立苗を支えた状態に維持する作用を与えることができ
るので、整地フロートの通過の際に生じるおそれのある
整地フロート（フロート通過跡）側への植立苗の倒れを
も阻止できるようになる。

【０００６】

【発明の効果】従って、植付ケースの側方位置にガイド
部材を配設し、ガイド部材を整地フロートの後端よりも
後方まで延出するだけの簡単な改造により、曲がり走行
や左右スリップあるいは整地フロートの沈み込み等を伴
う作業走行時における苗の植付状態を改善することがで
きた。

【０００７】

【実施例】以下に、本発明の実施例を図面に基づいて説
明する。図４には藺草苗移植機の全体側面が、図１には
その植付部の拡大側面が夫々示され、走行機体１６の後
部にリンク機構１７を介して苗の植付装置２を昇降自在
に連結し、これは、フレーム兼用の植付ケース３に対し
て一定ストロークで往復横移動する苗載せ台４、この下
端部の苗取出し口５から一株ずつ苗を切り出して植付け
る苗植付機構６、複数の整地フロート７等を備えてい
る。苗載せ台４の下部には、横移動のストロークエンド
にて載置苗を所定量ずつ苗取出し口５に向けて縦送りす
る突起付き無端回動ベルト式の縦送り装置８を備えてあ
り、苗植付機構６の上方には、植付爪９の作動に先行し
て苗の下端部に入り込み、苗取出し口５に向けて押し出
し保持する補助爪１０による苗保持機構１１が設けられ
ている。苗植付機構６は植付爪９、植付アーム１２、苗
押出し具１３等から構成され、植付ケース３の横側位置
に、これから動力伝達される状態で配設されている。そ
して、図１乃至図３に示すように、苗取出し口５に取付
けられた苗取出しガイド１４部位から植付ケース３の後
端近くに亘って、該植付ケース３の横側面と植付後の植
立苗との接当を防止するための線材を屈曲形成して成る
ガイド部材１を備えてある。ガイド部材１は苗取出しガ
イド１４の前方を跨いで植付爪１０の植付地点の左右両
側をカバーする範囲までＵターン屈曲させてあり、か
つ、隣合うガイド部材１とは後部が一体連結される２個
一体型に構成して植付ケース３の側壁３ａにブラケット
１５を介してボルト止めしてある。図１に示すように、
ガイド部材１は、整地フロート７の底面よりも上となる
高さ位置に設けられており、その後端が整地フロート７
の後端よりも後方に位置するよう延出され、かつ、前部
を緩やかに前上がり傾斜させてある。これにより、図３
に示すように植付直後の植立苗と植付ケース３との左右
方向間にガイド部材１が存在している。

【０００８】次に、苗押え構造について説明する。図５
乃至図７に示すように、苗載せ台４に搭載される苗の倒
れを防止すべく苗群の最後部から後押しする押え板１８
を、支持縦壁１９に支持されるとともに、苗載せ台４の
苗移送方向に平行に配設された左右一対のガイド杆２
０，２０に嵌合してあり、そのガイド杆２０に沿ってス
ライド移動自在であるとともに、一対のガイド杆２０
を、その下端に設けた左右軸状の支点Ｐを中心に上方に
揺動開放可能に構成してある。一対のガイド杆２０は上
端が繋がった平面視コ字状を呈した一体品であるととも
に、押え板１８はその自重による下降付勢力でもって苗
を押圧するようになる。

【０００９】引き上げ装置Ａは次のように構成されてい
る。すなわち、前記支点Ｐ周りで揺動可能に枢支された
支持フレーム２１の両端部にスプロケット２２，２２を
取付け、これらに亘って押え板１８に接当可能な突起２
３を備えたチェン２４を巻回するとともに、上側のスプ
ロケット２２に回転操作用のハンドル２５を取付けてあ
る。突起２３は左右のチェン２４に亘って架設されたバ
ーで成るものである。上側のスプロケット２２の回転軸
２６は並設苗載せ台４の全ての上側のスプロケット２２
の回転軸を兼ねており、苗載せ台４の左右両端部に設け
られたハンドル２５のうち一方を人為操作してチェン２
４をその上側がハンドル２５側に向かう方向に駆動する
と、突起２３が押え板１８の下側から接当して該押え板
１８を連れ移動させる作用でもって全ての条の押え板１
８を引き上げることができる。引き上げ装置Ａは支点Ｐ
周りで上方へ揺動開放自在であり、その開放姿勢（図６
参照）を維持する腰折れリンク機構２７が設けてある。
図４に示すように、苗載せ台４の上端部に配置されるハ
ンドル２５は、運転席２８の直後に位置している。ま
た、押え板１８の上側面には上方に開口する受けステー
２９を取付けてあり、ハンドル２５を回して押え板１８
が引き上げセットされた状態のガイド杆２０を持ち上げ
ると、開放姿勢にある引き上げ装置Ａの回転軸２６に受
けステー２９が嵌まり込んでガイド杆２０を開放姿勢に
維持可能である。尚、受けステー２９の入口部の開口幅
Ｌ１を奥部の幅Ｌ２よりも小としてあり、押え板１８の
不測の落下を防止し易いようにしてある。逆に、ガイド
杆２０を持ち上げて受けステー２９で回転軸２６を受止
め、引き上げ装置Ａを一緒に上方に揺動して持ち上げる
こともできる。引き上げ装置Ａやガイド杆２０を開放姿
勢にして、供給用の苗箱３０の苗載せ台４への載置挿入
作業がし易いように構成してある。

【００１０】尚、特許請求の範囲の項に図面との対照を
便利にするために符号を記すが、該記入により本発明は
添付図面の構成に限定されるものではない。

【図面の簡単な説明】

【図１】植付装置部分の側面図

【図２】ガイド部材の形状を示す平面図

【図３】ガイド部材と植付直後の植立苗との位置関係を
示す背面図

【図４】藺草移植機の全体側面図

【図５】苗押え構造を示す側面図

【図６】開放姿勢の苗載せ台を示す一部切欠き側面図

【図７】ガイド杆支持部の構造と押え板の装着状態とを
示す一部切欠き背面図

【符号の説明】

１ ガイド部材 ３ 植付ケース ６ 植付機構 ７ 整地フロート

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 植付ケース（３）の横側位置に、これか
   ら動力伝達される状態の苗植付機構（６）を配設してあ
   るとともに、前記苗植付機構（６）による苗の取出し部
   位から前記植付ケース（３）の後端近くに亘って、前記
   苗植付機構（６）と植付後の植立苗との接当を防止する
   ためのガイド部材（１）を備え、かつ、該ガイド部材
   （１）を、前記植付ケース（３）の下方に配備した整地
   フロート（７）の後端よりも後方に延出してある藺草苗
   移植機。