JP2633933B2 - 空気調和装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） この発明に係る空気調和装置は、自動車室内を暖房し
たり、或は冷房したりする為に利用する。

（従来の技術） 自動車室内の空気調和を行なう為従来から、実開昭59
−38106号公報、特開昭63−90416号公報等に記載されて
いる様に、各種構造の空気調和装置が使用されている。

この様な従来からの空気調和装置は、基本的には、第
３図に示す様に構成されている。

即ち、空気調和すべき空気を内部に流通させるダクト
１の風上側或は風下側（図示の例では風下側）に送風機
２を設けて、このダクト１内に通風自在とし、ダクト１
の中間部には、このダクト１の内側全体を覆ってエバポ
レータ３を設けている。又、ダクト１の内側でこのエバ
ポレータ３の風下側には、ダクト１の内側の一部を覆っ
てヒータコア４を設けると共に、エバポレータ３とヒー
タコア４との間にダンパ５を設けている。このダンパ５
は、エバポレータ３を通過して冷やされた空気の内、ヒ
ータコア４に流れる量と、このヒータコア４を短絡する
バイパス通路６に流れる量とを調節する為のものであ
る。

この様な従来からの空気調和装置により、自動車室内
等の空気調和を行なう場合、ヒータコア４に温水を、エ
バポレータ３に冷媒を、それぞれ流通させると共に、送
風機２を運転してダクト１内に空気を流す。ダクト１の
風上側から取り入れられ、エバポレータ３を通過して冷
却された空気は、次いでヒータコア４或はバイパス通路
６を通過して送風機２に吸引され、更に車室内等の、空
気調和すべき空間に吹き出す。

空間に吹き出す空気の温度は、ダンパ５の位置を動か
す事で調節自在であり、このダンパ５の調節により空間
の温度を、任意に調節する事が出来る。即ち、ダンパ５
を第３図で時計方向に（上方に）回動させた場合には、
ヒータコア４を通過する空気の割合が多くなって、空間
に吹き出す空気の温度が高くなり、ダンパ５を第３図で
反時計方向に（下方に）回動させた場合には、バイパス
通路６を通過する割合が多くなって、空間に吹き出す空
気の温度が低くなる。

ダンパ５を中間位置に回動させた場合、エバポレータ
３を通過して冷却された空気の一部がヒータコア４を通
過して暖められ、残りの空気がバイパス通路６を通過し
て、そのまま風下側に送られる。この様に、ヒータコア
４で暖められた空気と、バイパス通路６を通過した温度
の高い空気とは、送風機２を通過する間に混合され、中
間温度の空気として空間に向けて吹き出す。

（発明が解決しようとする課題） ところが、上述の様に構成され作用する従来の空気調
和装置に於いては、次に述べる様な不都合を生じる。

即ち、エバポレータ３を通過した後、ヒータコア４と
バイパス通路６とをそれぞれ通過した暖気（第３図の白
矢印）及び冷気（同じく黒矢印）は、ダクト１の下流側
部分、及び送風機２を通過する間に互いに混合してか
ら、車室内等の空間に向けて吹き出すが、互いに密度の
異なる暖気と冷気との混合は、必ずしも十分に行なわれ
ず、空間に吹き出す空気の温度分布が不均一且つ不規則
になり易かった。

この様に、吹き出し空気の温度分布が、不均一且つ不
規則になった場合、吹き出し空気を直接受ける乗員等に
不快感を与えてしまう。

本発明の空気調和装置は、吹き出し空気の温度分布に
規則性を持たせる事により、上述の様な不都合を解消す
るものである。

（課題を解決する為の手段） 本発明の空気調和装置は、前述した従来の空気調和装
置と同様、第１図に示す様に、空気を内部に流通させる
ダクト１と、このダクト１に通風する送風機２と、ダク
ト１の内側全体を覆って設けられたエバポレータ３と、
ダクト１の内側でこのエバポレータ３の風下側に、ダク
ト１の内側の一部を覆って設けられたヒータコア４と、
エバポレータ３とヒータコア４との間に設けられたダン
パ５とを有している。

但し、本発明の空気調和装置に組み込むダンパの場
合、前述した従来の空気調和装置に組み込むダンパ５と
異なり、エバポレータ３を通過した空気を、ヒータコア
４と、このヒータコア４を短絡するバイパス通路６とに
選択的に流す様にしている。

即ち、本発明の空気調和装置に組み込むダンパ５は、
第１図の実線状態と鎖線状態とに交互に切り換わり、従
来の場合の様に中間位置では停止しない。そして、この
ダンパ５の切り換えは、アクチュエータ７等のダンパ駆
動手段により、例えば２秒程度の短時間を１サイクルと
して、交互に行なわれる。

８は、空気調和すべき車室内等の空間の温度を設定す
る設定手段で、可変抵抗器等により構成され、自動車運
転席のダッシュパネル等に設けられる。又９は、車室内
等の、空気調和すべき空間の温度を検出する検出手段
で、通常の温度センサを使用する。更に、10は制御器
で、上記設定手段８と検出手段９とから送り込まれる信
号に基づいて上記ダンパ駆動手段であるアクチュエータ
７の制御部に信号を送り、ダンパ５がヒータコア４に通
風する状態に存在する時間と、バイパス通路６に通風す
る状態に存在する時間とを変化させる。

即ち、この制御器10は、検出手段９により検出される
空間の温度が設定手段８により設定された温度よりも高
い場合に、高い程度に応じて、ダンパ５がヒータコア４
に空気を流す時間を短くし、検出手段９により検出され
る空間の温度が設定手段８により設定された温度よりも
低い場合に、低い程度に応じて、ダンパ５がバイパス通
路６に空気を流す時間を短くする。

（作用） 上述の様に構成される本発明の空気調和装置の場合、
ダクト１の風下側開口11からは、第１図に白矢印で示し
た温風と、同図に黒矢印で示した冷風とが交互に吹き出
す。

例えば、検出手段９により検出される空間の温度が、
設定手段８により設定された温度よりも高い場合には、
上記空間内の温度を低くする必要があると判断し、ダク
ト１の風下側開口11から吹き出す空気中に於ける冷風の
割合を温風の割合よりも多くすべく、ダンパ５が第１図
に実線で示す様に切り換わってバイパス通路６に空気を
流す時間を長くする。同時にその分だけ、ダンパ５が同
図に鎖線で示す様に切り換わってヒータコア４に空気を
流す時間が短くなる。

この状態でダクト１の風下側開口11から吹き出す空気
の温度は、第２図に示す様に変化する。温風と冷風とが
交互に吹き出す時間は、例えば２秒程度を１サイクルと
して、短時間の間に繰り返し行なわれる為、この風が吹
き付けられる乗員等は、冷風と温風との平均温度の風が
吹き出されると感じる。即ち、第２図で実線ａを車室内
温度とした場合、乗員の体感温度は、同図の鎖線ｂで示
したものとなる。

又、上述の例とは反対に、検出手段９により検出され
る空間の温度が設定手段８により設定された温度よりも
低い場合には、上記空間内の温度を高くする必要がある
と判断し、ダクト１の風下側開口11から吹き出す空気中
の温風の割合を冷風の割合よりも多くすべく、ダンパ５
が第１図に実線で示す様に切り換わってバイパス通路６
に空気を流す時間を短くする。同時にその分だけ、ダン
パ５が同図に鎖線で示す様に切り換わってヒータコア４
に空気を流す時間が長くなる。

（発明の効果） 本発明の空気調和装置は、以上に述べた通り構成され
作用する為、吹き出し空気の温度分布が不規則になる事
がなく、吹き出し空気に直接当たる乗員等に不快感を与
える事がない。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の空気調和装置を示す略断面図、第２図
はこの空気調和装置から吹き出される空気の温度変化を
示す線図、第３図は従来の空気調和装置を示す略断面図
である。 1:ダクト、2:送風機、3:エバポレータ、4:ヒータコア、
5:ダンパ、6:バイパス通路、7:アクチュエータ、8:設定
手段、9:検出手段、10:制御器、11:風下側開口。

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】空気を内部に流通させるダクトと、このダ
   クトに通風する送風機と、ダクトの内側全体を覆って設
   けられたエバポレータと、ダクトの内側でこのエバポレ
   ータの風下側に、ダクトの内側の一部を覆って設けられ
   たヒータコアと、エバポレータとヒータコアとの間に設
   けられ、エバポレータを通過した空気を、ヒータコア
   と、このヒータコアを短絡するバイパス通路とに選択的
   に流すダンパと、このダンパの切り換えを短時間の間に
   交互に行なうダンパ駆動手段と、空気調和すべき空間の
   温度を設定する設定手段と、空気調和すべき空間の温度
   を検出する検出手段と、設定手段と検出手段とから送り
   込まれる信号に基づいて上記ダンパ駆動手段に信号を送
   る制御器とから成り、この制御器は、検出手段により検
   出される空間の温度が設定手段により設定された温度よ
   りも高い場合に、高い程度に応じて、ダンパがヒータコ
   アに空気を流す時間を短くし、検出手段により検出され
   る空間の温度が設定手段により設定された温度よりも低
   い場合に、低い程度に応じて、ダンパがバイパス通路に
   空気を流す時間を短くする空気調和装置。
2. 【請求項２】ダンパの切り換えを行なう短時間が、２秒
   以内の時間である、請求項１に記載された空気調和装
   置。