JP2633792B2 - 高周波加熱方法および装置 - Google Patents

高周波加熱方法および装置

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JP2633792B2 JP5074192A JP7419293A JP2633792B2 JP 2633792 B2 JP2633792 B2 JP 2633792B2 JP 5074192 A JP5074192 A JP 5074192A JP 7419293 A JP7419293 A JP 7419293A JP 2633792 B2 JP2633792 B2 JP 2633792B2
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  • Heat Treatment Of Articles (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ロッカーアームにチッ
プ部材をろう付けするための高周波加熱方法および装置
に関する。
【0002】
【従来の技術】内燃機関を構成するロッカーアームにチ
ップ部材をろう付けする装置として、通常、加熱炉が使
用されている。この加熱炉では、電気、ガスまたは重油
等を用いて該加熱炉内を加熱するため、ロッカーアーム
の加熱に必要な熱量よりも相当に多くの熱量が消費され
ている。これにより、装置全体が大型化かつ高価なもの
になるとともに、構造が複雑化してメンテナンス等が煩
雑なものとなっている。
【0003】そこで、特公平3−40084号公報に開
示されているように、パッド(チップ部材)が配置され
たロッカーアームの所定の部分を高周波加熱し、次いで
空冷することにより、エネルギを節約してパッドのロッ
カーアームへのろう付けを行う方法が知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
従来技術では、通常の作業場雰囲気下で高周波加熱を行
うため、特に鉄系材料であるパッドに酸化皮膜が発生し
てしまう。このため、高周波加熱処理後に酸化皮膜を除
去する工程が必要となり、ロッカーアームのろう付け作
業全体が非効率的なものとなるという問題が指摘されて
いる。
【0005】本発明は、この種の問題を解決するための
ものであり、高周波加熱に際してチップ部材やロッカー
アームが酸化することを確実に阻止でき、効率的かつ高
精度なろう付け作業が可能な高周波加熱方法および装置
を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】前記の目的を達成するた
めに、本発明は、ろう材とチップ部材とが積層されたロ
ッカーアームを室内で搬送する工程と、 前記室内を窒
素ガス雰囲気に維持した状態で、前記ロッカーアームの
所定の部分を、該ロッカーアームの搬送方向に所定の長
さを有しかつ前記搬送方向に配列されたろう付け用高周
波コイルと保持用高周波コイルにより所定の時間だけ加
熱保持する工程と、前記加熱保持されたロッカーアーム
に窒素ガスを供給して該ロッカーアームを冷却する工程
と、を備えることを特徴とする。
【0007】さらに、本発明は、ろう材とチップ部材と
が積層されたロッカーアームを配置する室と、前記室内
で前記ロッカーアームの所定の部分を高周波加熱するこ
とにより前記チップ部材を前記ろう材を介して該ロッカ
ーアームにろう付けするための高周波発生手段と、前記
室内に該ロッカーアームを順次搬入するとともに、高周
波加熱処理後の前記ロッカーアームを該室内から搬出す
るための搬送手段と、前記高周波発生手段を介して前記
ロッカーアームの所定の部分を加熱する際に、該室内を
窒素ガス雰囲気に維持する窒素ガス供給手段と、前記高
周波加熱処理後の前記ロッカーアームを冷却するための
冷却用窒素ガス供給手段と、 を備え、 前記高周波発生手
段は、前記ロッカーアームの搬送方向上流側に配設され
るろう付け用高周波コイルと、 前記ろう付け用高周波コ
イルの下流側に配設される保持用高周波コイルと、を備
えることを特徴とする。
【0008】また、前記ろう付け用高周波コイルおよび
前記保持用高周波コイルは、それぞれ前記ロッカーアー
ムと前記チップ部材とのろう付け部分を挟むように互い
に平行して該ロッカーアームの搬送方向に所定の長さだ
け延在するように構成されることが好ましい。
【0009】
【0010】
【作用】本発明の高周波加熱方法および装置では、ろう
材とチップ部材とを積層したロッカーアームが室内に配
置された後、この室内で前記ロッカーアームの所定の部
分が高周波加熱される。その際、室内が窒素ガス雰囲気
に維持されており、前記高周波加熱処理時にチップ部材
やロッカーアームが酸化されることを確実に阻止でき
る。しかも、ロッカーアームの所定の部分が所定の時間
だけ加熱保持されるため、ろう材がロッカーアームおよ
びチップ部材に好適に拡散し、剥離荷重の低下を阻止す
ることができる。このため、ロッカーアームのろう付け
作業全体が効率的かつ高精度に遂行されるとともに、装
置全体の小型化および簡素化が容易に達成される。
【0011】また、搬送手段が備えられていると、複数
のロッカーアームが順次室内に導入されて該ロッカーア
ームのろう付け作業が連続的に遂行される。従って、複
数のロッカーアームを効率的かつ自動的にろう付けする
ことが可能になる。
【0012】さらにまた、室内に冷却用窒素ガス供給手
段が配設されていると、高周波加熱処理後のロッカーア
ームが割れ等の発生を阻止して好適に冷却されるととも
に、このロッカーアームが酸化されることがない。
【0013】
【実施例】本発明に係る高周波加熱方法および装置につ
いて実施例を挙げ、添付の図面を参照して以下詳細に説
明する。
【0014】図1乃至図3において、参照符号10は、
本実施例に係る高周波加熱装置を示す。この高周波加熱
装置10は、矢印X方向(搬送方向)に長尺なケーシン
グ12内に形成されて銅ろう等のろう材14とチップ部
材16とを積層したロッカーアーム18(図3参照)が
配置される室20と、この室20内で前記ロッカーアー
ム18の所定の部分を高周波加熱することにより前記ろ
う材14を介して前記チップ部材16を該ロッカーアー
ム18にろう付けするための高周波発生手段22と、こ
の高周波発生手段22を介して前記ロッカーアーム18
の所定の部分を加熱する際に、該室20内を窒素ガス雰
囲気に維持する窒素ガス供給手段24とを備える。
【0015】ケーシング12の矢印X方向の両端には、
導入口26と導出口28とが形成され、この導入口26
から室20内にロッカーアーム18を順次搬入するとと
もに、高周波加熱処理後のロッカーアーム18を前記導
出口28から搬出するための搬送コンベア(搬送手段)
30が設けられる。この搬送コンベア30は、図示しな
い回転駆動源を介して矢印X方向の搬送方向を有して周
回走行されており、複数のロッカーアーム用取付治具3
2が所定間隔離間して固着されている。
【0016】高周波発生手段22は、ケーシング12の
側方でかつ矢印X方向上流側に配設される高周波電源3
4を備え、この高周波電源34に接続されているろう付
け用高周波コイル36と保持用高周波コイル38とが室
20内に配設されている。ろう付け用高周波コイル36
は、図3に示すように、室20内でロッカーアーム18
とチップ部材16とのろう付け部分を挟むように互いに
平行して矢印X方向に所定の長さだけ延びるように構成
されている。このろう付け用高周波コイル36よりも矢
印X方向下流側に配置されている保持用高周波コイル3
8は、前記ろう付け用高周波コイル36と同様に構成さ
れている。
【0017】窒素ガス供給手段24は、室20内のろう
付け用高周波コイル36と保持用高周波コイル38とに
対応してケーシング12の上部に固着される窒素ガス注
入管体40、42を備える。この窒素ガス注入管体4
0、42は、図示しない窒素ガス供給源に接続されてお
り、室20内に窒素ガスを供給してろう付け用高周波コ
イル36および保持用高周波コイル38の周辺雰囲気を
窒素ガス雰囲気に維持する。
【0018】室20内には、保持用高周波コイル38の
下流側に位置して高周波加熱後のロッカーアーム18を
冷却するための冷却用窒素ガス供給手段44が配設され
る。この冷却用窒素ガス供給手段44は、図示しない窒
素ガス供給源に接続された窒素ガス注入管体46、48
を備え、この窒素ガス注入管体46、48にそれぞれ複
数の冷却ノズル50、52が連通している。この冷却ノ
ズル50、52は、搬送コンベア30に沿って矢印X方
向に搬送されるロッカーアーム18の高周波加熱処理部
分に指向している。
【0019】次に、このように構成される高周波加熱装
置10の動作について、本実施例に係る高周波加熱方法
との関連で説明する。
【0020】まず、搬送コンベア30の各取付治具32
に、ろう材14とチップ部材16とを積層したロッカー
アーム18が取り付けられるとともに、この搬送コンベ
ア30が矢印X方向の搬送方向を有して周回走行する。
このため、取付治具32上のロッカーアーム18は、ケ
ーシング12の導入口26から室20内に順次挿入ささ
れる。
【0021】室20内では、高周波発生手段22を構成
する高周波電源34の作用下にろう付け用高周波コイル
36および保持用高周波コイル38に高周波電流が流れ
る一方、窒素ガス供給手段24を構成する窒素ガス注入
管体40、42から室20内に窒素ガスが供給され、こ
のろう付け用高周波コイル36および保持用高周波コイ
ル38の周辺雰囲気が窒素ガス雰囲気に維持されてい
る。
【0022】そこで、室20内に搬入されたロッカーア
ーム18は、ろう材14およびチップ部材16が積層さ
れた部分をろう付け用高周波コイル36の互いに平行に
延びる部位の間に配置されて(図3参照)、矢印X方向
に移送される。従って、ロッカーアーム18のろう材1
4およびチップ部材16の積層部分が高周波加熱され、
このろう材14が溶融して前記チップ部材16がロッカ
ーアーム18にろう付けされる。
【0023】その際、ろう付け用高周波コイル36が矢
印X方向に所定の長さだけ延びており、さらにこのろう
付け用高周波コイル36の下流側に同様に矢印X方向に
所定の長さを有して保持用高周波コイル38が配設され
ている。このため、搬送コンベア30を介してロッカー
アーム18が矢印X方向に移送される際、このロッカー
アーム18は、ろう付け用高周波コイル36および保持
用高周波コイル38によって所定の時間だけ加熱保持さ
れることになる。
【0024】すなわち、加熱保持を行わずに高周波加熱
のみでろう付けを行うと、ろう材14がチップ部材16
およびロッカーアーム18に充分に拡散することができ
ず、このチップ部材16が前記ロッカーアーム18から
容易に剥離してしまう。これに対して、本実施例では、
ロッカーアーム18の所定の部分を所定の時間(例え
ば、10秒〜30秒)だけ加熱保持することにより、ろ
う材14がチップ部材16およびロッカーアーム18に
充分に拡散して剥離荷重の低下を阻止することができる
という効果が得られる。これは、ろう材14として、本
実施例である純銅ろう(試料No.1〜6)と、比較例
である黄銅ろう(試料No.7〜12)とを使用して実
験した結果からも実証されている。この実験結果を以下
に示す。
【0025】
【表1】
【0026】なお、表1において、ろう材14として純
銅ろうを使用しかつフラックスなしの条件では、保持時
間が30秒の場合にチップ部材16とろう材14との拡
散状態が良好となった(試料No.参照)。
【0027】さらに、本実施例では、ロッカーアーム1
8の所定の部分がろう付け用高周波コイル36および保
持用高周波コイル38によって所定の時間だけ加熱保持
される際、このろう付け用高周波コイル36および保持
用高周波コイル38の周辺雰囲気が窒素ガス雰囲気に維
持されている。このため、チップ部材16やロッカーア
ーム18に酸化皮膜が発生することを確実に阻止するこ
とができ、ろう付け後にこの酸化皮膜を除去する作業が
不要となり、該ろう付け作業全体が一挙に効率化される
という利点が得られる。
【0028】次いで、ろう付け用高周波コイル36およ
び保持用高周波コイル38を通過したロッカーアーム1
8は、矢印X方向に搬送されて冷却用窒素ガス供給手段
44に対応して配置される際、この冷却用窒素ガス供給
手段44を構成する窒素ガス注入管体46、48に窒素
ガスが供給されている。このため、窒素ガスは、それぞ
れ複数の冷却ノズル50、52から搬送コンベア30に
沿って矢印X方向に搬送されるロッカーアーム18の高
周波加熱処理部分に指向して噴出され、このロッカーア
ーム18が窒素ガス雰囲気下で冷却される。これによっ
て、ロッカーアーム18およびチップ部材16は、酸化
されることなく徐冷され、割れ等の発生を防止すること
が可能になる。
【0029】このように、搬送コンベア30を介して複
数のロッカーアーム18が順次ケーシング12内に搬入
されて高周波加熱処理が施された後、導出口28から外
部に排出される。従って、複数のロッカーアーム18を
迅速かつ効率的にろう付け処理することができるという
効果が得られる。
【0030】
【発明の効果】本発明に係る高周波加熱方法および装置
によれば、以下の効果乃至利点が得られる。
【0031】ろう材とチップ部材とが積層されたロッカ
ーアームの所定の部分が高周波加熱される際、室内が窒
素ガス雰囲気に維持されているために前記高周波加熱処
理時にチップ部材やロッカーアームが酸化されることを
確実に阻止できる。しかも、ロッカーアームの所定の部
分が所定の時間だけ加熱保持されるため、ろう材がロッ
カーアームおよびチップ部材に好適に拡散し、剥離荷重
の低下を阻止することができる。このため、ロッカーア
ームのろう付け作業全体が効率的かつ高精度に遂行され
るとともに、装置全体の小型化および簡素化が容易に達
成される。
【0032】また、搬送手段が備えられていると、複数
のロッカーアームが順次室内に導入されて該ロッカーア
ームのろう付け作業が連続的に遂行される。従って、複
数のロッカーアームをより効率的かつ容易にろう付けす
ることが可能になる。
【0033】さらにまた、室内に冷却用窒素ガス供給手
段が配設されていると、高周波加熱処理後のロッカーア
ームが割れ等の発生を阻止して好適に冷却されるととも
に、このロッカーアームが酸化されることがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に係る高周波加熱装置の内部平
面図である。
【図2】前記高周波加熱装置の内部側面図である。
【図3】前記高周波加熱装置の縦断正面図である。
【符号の説明】
10…高周波加熱装置 12…ケーシング 14…ろう材 16…チップ部材 18…ロッカーアーム 20…室 22…高周波発生手段 24…窒素ガス供給手段 30…搬送コンベア 32…取付治具 34…高周波電源 36、38…高周波コイル 40、42…窒素ガス注入管体 44…冷却用窒素ガス供給手段
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 河名 省三 埼玉県和光市本町8−1 本田技研工業 株式会社 埼玉製作所 和光工場内 (72)発明者 田中 春男 埼玉県和光市本町8−1 本田技研工業 株式会社 埼玉製作所 和光工場内 (72)発明者 伊藤 大二 神奈川県平塚市田村5893 高周波熱錬株 式会社 平塚工場内 (56)参考文献 特開 平5−15969(JP,A) 特公 平3−40084(JP,B2) 特公 平4−200893(JP,B2)

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ろう材とチップ部材とが積層されたロッカ
    ーアームを室内で搬送する工程と、前記室内を窒素ガス
    雰囲気に維持した状態で、前記ロッカーアームの所定の
    部分を、該ロッカーアームの搬送方向に所定の長さを有
    しかつ前記搬送方向に配列されたろう付け用高周波コイ
    ルと保持用高周波コイルにより所定の時間だけ加熱保持
    する工程と、 前記加熱保持されたロッカーアームに窒素ガスを供給し
    て該ロッカーアームを冷却する工程と、 を備えることを特徴とする高周波加熱方法。
  2. 【請求項2】ろう材とチップ部材とが積層されたロッカ
    ーアームを配置する室と、 前記室内で前記ロッカーアームの所定の部分を高周波加
    熱することにより前記チップ部材を前記ろう材を介して
    該ロッカーアームにろう付けするための高周波発生手段
    と、前記室内に該ロッカーアームを順次搬入するとともに、
    高周波加熱処理後の前記ロッカーアームを該室内から搬
    出するための搬送手段と、 前記高周波発生手段を介して前記ロッカーアームの所定
    の部分を加熱する際に、該室内を窒素ガス雰囲気に維持
    する窒素ガス供給手段と、前記高周波加熱処理後の前記ロッカーアームを冷却する
    ための冷却用窒素ガス供給手段と、 を備え、 前記高周波発生手段は、前記ロッカーアームの搬送方向
    上流側に配設されるろう付け用高周波コイルと、 前記ろう付け用高周波コイルの下流側に配設される保持
    用高周波コイルと、 を備えることを特徴とする高周波加熱装置。
  3. 【請求項3】請求項2記載の装置において、前記ろう付
    け用高周波コイルおよび前記保持用高周波コイルは、そ
    れぞれ前記ロッカーアームと前記チップ部材とのろう付
    け部 分を挟むように互いに平行して該ロッカーアームの
    搬送方向に所定の長さだけ延在するように構成される
    とを特徴とする高周波加熱装置。
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