JP2632589B2 - スピードテスタのアイドルローラ位置決め装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、スピードテスタのアイドルローラ位置決め
装置に係り、特に車輛のホイールベースの長さに合わせ
てアイドルローラ装置を移動させ、スピードメータロー
ラとの距離を調整してホイールベース長の異なるすべて
の四輪駆動車のスピードをテストすることができるスピ
ードテスタのアイドルローラ位置決め装置に関する。

従来の技術 車輛のスピードテストにおいては、車輪をローラ上に
載置して回転させて該ローラの回転数を測定し、ローラ
の直径と回転数とから車輛のスピードを計算により求め
ているが、四輪駆動車用のスピードテストは、四輪駆動
の状態で行うことになっている結果、四輪が回転するた
め二輪駆動車のテスタと異り、その四輪のすべてをロー
ラ上に載置しなければ測定することができない。そのた
め、測定する車輛のホイールベース長に合わせてその都
度スピードメータが配設された通常後輪を載置するスピ
ードメータローラと通常前輪を載置するアイドルローラ
との距離を調整して四輪がすべてローラ上に載せられる
ようになっている。

従来の四輪駆動車用のスピードテスタは、基台に固定
したラックとアイドルローラ装置に装着したピニオンと
を係合させた構造となっており、ピニオンを回転させて
アイドルローラ装置をラック上で水平方向に移動させて
基台に固定されたスピードメータローラとの距離を調整
していた。またスピードメータローラ及びアイドルロー
ラ装置は、車輛の走行の障害とならないように車輛の走
行面よりも下方に配設しなければならず、通常は地中に
掘られた穴の中に配設されており、車輛の走行面を確保
するためアイドルローラ装置の車輛進行方向前方側にス
ライド式の床面を配設して該床面で地中に掘られた穴を
塞いで車輛が走行できるようになっていた。

該従来装置によるスピードテスタは、アイドルローラ
装置をスピードメータローラに最も近い位置まで移動さ
せた状態とした後、車輛の前輪をアイドルローラ上に載
置し、次いでピニオンを回転させることにより後輪がス
ピードメータローラに載るまで該車輛と共にアイドルロ
ーラ装置を前方に移動させ四輪のすべてをローラ上に積
載して行われていた。

このとき、アイドルローラ装置とスピードメータロー
ラの間の車輛の下方にはアイドルローラ装置を収納する
ための穴があいていることになり、スピードテストが終
了した車輛はそのまま前進することができず、再びアイ
ドルローラ装置を後退させてスピードメータローラに隣
接する位置まで移動させて穴を床面で塞いでから該車輛
を前進させなければならず、アイドルローラ装置を移動
させるための無駄な時間が多くかかり、作業効率が悪い
という欠点があった。また種々のホイールベース長を持
つ車輛が混在する状態で製造する場合等においては、誤
ってホイールベース長よりも長い距離を、車輛を載置し
たアイドルローラ装置を移動させてしまうと、車輛の後
輪は行き場を失う結果になるという不具合があった。

上記欠点を改善したスピードテスタとしては、穴の中
で前後に移動するアイドルローラ装置の前後にスライド
式の床面を配設して常に穴を塞ぐように構成し、車輛の
走行面を確保するようにした形式のものがあるが、該テ
スタはスピードメータローラとアイドルローラ装置の間
にスライド式の床面を配設するに要する空間を必要とす
るため、スピードメータローラとアイドルローラ装置と
をあまり接近させて配設することができず、例えばホイ
ールベース長5200mmまでの車輛をテストするスピードテ
スタにおいてはスピードメータローラとアイドルローラ
装置との最小距離は2900mmであって、2900mmより短いホ
イールベース長を持つ車輛はテストできないという欠点
があった。

また実開昭61−123953には、四輪駆動車用シャシーダ
イナモメータのピットカバー装置が開示されているが、
該従来例は、移動側ローラが移動することによって、ピ
ットカバーがこれにより引かれてレール上に平らに出現
することで、ピットに施蓋する構成を有しており、この
構成は本願と類似するものの、ピットカバーでコンベア
を構成したものではない。本願はスラットコンベアを回
転駆動して該スラットコンベアによりアイドルローラ装
置全体を移動させるようにしたものであるので、構成が
異なる。また固定ローラも移動ローラも単一の方式であ
る点も本願とは異なる。該従来例の方式では車輛を固定
して置かないとテストができない。これに対して本願で
は一対のローラを用いているので車輛を固定する必要は
なく、また油圧シリンダと車載置用のプレートが備えら
れており、更に移動台と基台の相互の部材を係合させて
位置決めする位置決め機構が設けられているので、位置
決め精度が非常に良好であるが、該従来例はこのような
構成は開示していない。従って本願発明は該従来例とは
その目的、構成及び作用効果が全く異なる。

また実公昭51−45041には、車止め装置が開示されて
いるが、該従来例は、車輛の前輪の車止め装置であっ
て、車止め装置全体を移動させるチェンを備えたことは
本願と類似するものの、四輪駆動車の駆動輪を回転させ
るために載置する一対のローラを備えたものではなく、
また車輪を上下動させるプレートやそのための油圧シリ
ンダ等も備えておらず、また非常に精度の高い位置決め
機構を備えたものでもなく、従って本願発明とはその目
的、構成及び作用効果が全く異なる。

目 的 本発明は、上記した従来技術の欠点を除くためになさ
れたものであって、その目的とするところは、スラット
コンベアをレール上を走行するアイドルローラ装置に連
絡してスラットコンベアの移動に伴なってアイドルロー
ラ装置をレール上で移動させることにより、アイドルロ
ーラ装置の位置にかかわらず常にアイドルローラ装置を
収納する穴を塞いだ状態とすることであり、またこれに
よってスピードテストが終了した車輛をアイドルローラ
装置を移動させることなく直ちに前進させて次の検査車
輛を載置可能とし、作業効率を向上させると共に、車輛
の車輪の走行面を常に確保した状態として車輛の前後走
行の必要性をなくし、車輛の一方向移動を可能とするこ
とである。

また他の目的は、アイドルローラ装置に車輪載置用の
プレートと該プレートを上下動させるリフタとを設ける
ことによって、これらが一体的にスラットコンベアによ
り移動するようにし、またアイドルローラ装置が装着さ
れた移動台と基台とを相互の部材を係合させて位置決め
する位置決め機構を設けることにより、アイドルローラ
の位置決め精度を極めて高いものとすることである。

また他の目的は、スラットコンベアをアイドルローラ
装置の車輛進行方向前後方向に配設したスプロケットに
巻き掛け、該スプロケットの一方を回転駆動するように
構成することにより、スピードテスタを小型化すると共
にアイドルローラ装置とスピードメータローラとを最接
近可能とすることであり、またこれによってホイールベ
ース長の短かい車輛から長い車輛まで１台のスピードテ
スタでテストできるようにすることである。

構 成 要するに本発明は、四輪駆動車の前輪を積載して該前
輪の回転により駆動される回転自在の一対のアイドルロ
ーラを前記四輪駆動車の走行面と略同一高さに備えレー
ル上を水平方向に移動自在とされかつ前記一対のローラ
の間に配設され前記車輪を載置するプレートと該プレー
トを上下動させるリフタとを有するアイドルローラ装置
と、該アイドルローラ装置が連結されると共に該アイド
ルローラ装置の前記四輪駆動車の走行方向前後方向に配
設されたスプロケットにその上面が前記走行面と略同一
高さに巻き掛けられたスラットコンベアと、少なくとも
一方の前記スプロケットを回転駆動する駆動装置とを備
え、前記アイドルローラ装置は前記レール上を移動する
移動台に装着され該移動台と基台とを相互の部材の係合
により位置決めする位置決め機構が設けられたことを特
徴とするものである。

以下本発明を図面に示す実施例に基いて説明する。本
発明に係るスピードテスタ１のアイドルローラ位置決め
装置２は、第１図及び第２図において、アイドルローラ
装置３と、スラットコンベア４と、駆動装置５とを備え
ている。

アイドルローラ装置３は、四輪駆動車の検査車輛６の
ホイールベース長Ｌに合わせて前後方向（矢印Ａ又はＢ
方向）に移動して前輪８を載置するためのものであっ
て、左右の前輪８を夫々載置するための一対の移動台９
には夫々４個の車輪10が回転自在に装着されており、床
11に掘られた穴12に配設されたレール13上を車輪10が転
動することにより、矢印Ａ又はＢ方向に移動自在となっ
ている。

また各々の移動台９には、床11と略同一高さに一対の
アイドルローラ14が移動台９に固定された軸15にベアリ
ング等（図示せず）を介して抵抗なく回転できるように
装着され、更に一対のアイドルローラ14の間にはリフタ
の一例たる油圧シリンダ16がピストンロッド18を上方に
向けて配設されており、ピストンロッド18に固着された
プレート19を上下方向に移動させて検査車輛６の前輪８
をアイドルローラ14に載置し、又はアイドルローラ14か
ら離脱させるように構成されている。

スラットコンベア４は、アイドルローラ装置３と共に
走行して穴12を常に塞いで検査車輛６を走行可能とする
ためのものであって、図示しない基台のアイドルローラ
装置３の前後に回動自在に配設された軸20及び21に装着
されたスプロケット22にその上面4aが床11と略同一高さ
に一対のベルト状チェーン23に巻き掛けられ、該一対の
ベルト状チェーンが同期して走行するようになってい
る。その端部4b及び4cは各々のアイドルローラ装置３に
連結されて各々の上面4aを検査車輛６の左右輪が走行で
きるようになっている。

駆動装置５は、スプロケット22を回動させてスラット
コンベア４を走行させるためのものであって、モータ24
の回転軸25に固定された駆動プーリ26と軸21に固定され
た従動プーリ28との間にベルト29が巻き掛けられてお
り、モータ24の回転を軸21に伝達してスラットコンベア
４を走行させるようになっている。

そしてモータ24を起動させてアイドルローラ装置３を
所定位置に移動させるためのスイッチを含む制御装置
（図示せず）は、例えばスピードテスタ１の車輛進行方
向の手前側に配設されており、運転台から検査車輛のホ
イールベース長に対応するスイッチを操作することによ
り任意の位置にアイドルローラ装置３を移動させること
ができるように構成されている。

またアイドルローラ位置決め装置２の手前には左右の
後輪30を載置するためのスピードメータローラ装置31が
一対配設され、固定台32に固定されている軸33に図示し
ないベアリングを介して一対のスピードメータローラ34
が床11と略同一高さに回動自在に装着され、該スピード
メータローラにはその回転速度を計測するための回転速
度計（図示せず）が接続されている。

一対のスピードメータローラ34の間にはリフタの一例
たる油圧シリンダ35が夫々ピストンロッド36を上方に向
けて配設され、ピストンロッド36に固着されたプレート
38を上下方向に作動させて後輪30をスピードメータロー
ラ34に載置し、また該スピードメータローラから後輪30
を離脱させるように構成されている。

次に、移動台９及びアイドルローラ装置３を基台に位
置決めする位置決め機構について説明すると、一対の移
動台９は、連結部材39で一体的に連結されており、該連
結部材にはピストンロッド40の先端にノックピン41が固
定された油圧シリンダ42が配設されており、ピストンロ
ッド40を作動させてノックピン41を基台に形成した複数
の位置決め穴43のうちの所定の穴に挿通して移動台９を
所定の位置に精度よく固定できるようになっている。

作 用 本発明は、上記のように構成されており、以下その作
用について説明する。第１図及び第２図において、検査
員が四輪駆動車の検査車輛６を運転してスピードテスタ
１の手前まで移動させ、検査車輛６のホイールベース長
に対応するスイッチを操作してモータ24を起動させる。
モータ24の回転は、回転軸25、駆動プーリ26、ベルト2
9、従動プーリ28を介して軸21に伝達され、スプロケッ
ト22を回転させて一対のベルト状チェーン23を同期して
走行させる。

移動台９は、ベルト状チェーン23に引かれてレール13
上を車輪10が転動しながら矢印Ａ又はＢ方向に移動す
る。例えば、第１図において、モータ24の回転軸25が反
時計方向に回転すると移動台９は、矢印Ａ方向に移動し
て制御装置の作用により選択されたスイッチに対応する
位置で自動的に停止するが、スラットコンベア４はスプ
ロケット22に巻き掛けられた状態で走行するので移動台
９の位置に関係なく、常に穴12を塞いだ状態となってお
り、上面4aを検査車輛６が走行することができる。

移動台９が所定位置で停止すると、油圧シリンダ42が
作動し、ピストンロッド40を下方に伸長させてノックピ
ン41を位置決め穴42に挿通して移動台９を基台に固定す
ると共に、アイドルローラ装置３とスピードメータロー
ラ装置31との距離を例えば±1mm程度の精度で位置決め
する。

検査員は、検査車輛６を更に前進させて前輪８を上述
の如く位置決めされた一対のアイドルローラ14の間に配
設されたプレート19上に停止させる。このときホイール
ベース長Ｌとアイドルローラ装置３及びスピードローラ
装置31間の寸法とは一致させてあるので、後輪30はプレ
ート38上に載っており、油圧シリンダ16及び35を作動さ
せてピストンロッド18及び36を下降させると、検査車輛
６もこれに伴なって下降して前輪８が一対のアイドルロ
ーラ14上に、また後輪30が一対のスピードメータローラ
34上に載置される。

ここで検査車輛６の前輪８及び後輪30を回転させる
と、アイドルローラ14及びスピードメータローラ34が該
前後輪によって駆動されて回転し、スピードメータロー
ラ34に装着された回転速度計によりそのときのスピード
が検査される。

スピードテストが終了すると、油圧シリンダ16及び35
が再び作動してピストンロッド18及び36を上昇させ前輪
８をプレート19上に、後輪30をプレート38上に載置して
床11と略同一高さまで持ち上げ、該前後輪をアイドルロ
ーラ14及びスピードメータローラ34から離脱させて前進
可能状態とする。

検査員は、スピードテストの終了した検査車輛６を前
進させ、次いで同様にして次の検査車輛６をスピードテ
スタ１上に載置して次々と検査を行う。

上記した如く、アイドルローラ装置３を移動させるこ
となくテストが終了した検査車輛６を移動させ、次いで
直ちに次の検査車輛６をスピードテスタ１に載置するこ
とができるので検査効率を大幅に向上させることがで
き、またアイドルローラ装置３を予め位置決めした後検
査車輛６を載置するので、従来装置の如く検査車輛６の
前輪８をアイドルローラ装置３に載置してから該検査車
輛と共にアイドルローラ装置３を所定位置まで移動させ
る必要がなく、駆動装置５を小出力の小型のものとする
ことができる。

なお、上記実施例においては、アイドルローラ装置３
の位置決めはノックピン41と位置決め穴43とによって行
うものとして説明したが、アイドルローラ装置３の位置
決めはノックピン41と位置決め穴43に限定されるもので
はなく、レール13をクランプして位置決め、固定するよ
うにしたもの等であってもよい。

効 果 本発明は、上記のようにスラットコンベアをレール上
を走行するアイドルローラ装置に連絡してスラットコン
ベアの移動に伴なってアイドルローラ装置をレール上で
移動させるようにしたので、アイドルローラ装置の位置
にかかわらず常にアイドルローラ装置を収納する穴を塞
いだ状態とすることができ、またこの結果スピードテス
トが終了した車輛をアイドルローラ装置を移動させるこ
となく直ちに前進させて次の検査車輛を載置可能とし
得、作業効率を向上させることができると共に、車輛の
車輪の走行面を常に確保した状態として車輛の前後走行
の必要性をなくし、車輛の一方向移動を可能とすること
ができる効果がある。

またアイドルローラ装置に車輪載置用のプレートと該
プレートを上下動させるリフタとを設けたので、これら
が一体的にスラットコンベアにより移動することとな
り、またアイドルローラ装置が装着された移動台と基台
とを相互の部材を係合させて位置決めする位置決め機構
を設けたので、アイドルローラの位置決め精度を極めて
高いものとし得る効果がある。

またスラットコンベアをアイドルローラ装置の車輛進
行方向前後方向に配設したスプロケットに巻き掛け、該
スプロケットの一方を回転駆動するように構成したの
で、スピードテスタを小型化すると共にアイドルローラ
装置とスピードメータローラとを最接近可能とすること
ができ、またこの結果ホイールベース長の短かい車輛か
ら長い車輛まで１台のスピードテスタでテストできると
いう優れた効果が得られる。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明の実施例に係り、第１図はスピードテスタ
の全体を示す縦断面正面図、第２図は同じく平面図であ
る。 １はスピードテスタ、２はアイドルローラ位置決め装
置、３はアイドルローラ装置、４はスラットコンベア、
4aは上面、５は駆動装置、６は四輪駆動車、８は前輪、
９は移動台、13はレール、14はアイドルローラ、16はリ
フタとしての油圧シリンダ、19はプレート、22はスプロ
ケット、41はノックピン、42は油圧シリンダ、43は位置
決め穴である。

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】四輪駆動車の前輪を積載して該前輪の回転
   により駆動される回転自在の一対のアイドルローラを前
   記四輪駆動車の走行面と略同一高さに備えレール上を水
   平方向に移動自在とされかつ前記一対のローラの間に配
   設され前記車輪を載置するプレートと該プレートを上下
   動させるリフタとを有するアイドルローラ装置と、該ア
   イドルローラ装置が連結されると共に該アイドルローラ
   装置の前記四輪駆動車の走行方向前後方向に配設された
   スプロケットにその上面が前記走行面と略同一高さに巻
   き掛けられたスラットコンベアと、少なくとも一方の前
   記スプロケットを回転駆動する駆動装置とを備え、前記
   アイドルローラ装置は前記レール上を移動する移動台に
   装着され該移動台と基台とを相互の部材の係合により位
   置決めする位置決め機構が設けられたことを特徴とする
   スピードテスタのアイドルローラ位置決め装置。