JP2631841B2 - 潜熱蓄熱材マイクロカプセル - Google Patents

潜熱蓄熱材マイクロカプセル

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JP2631841B2
JP2631841B2 JP62048781A JP4878187A JP2631841B2 JP 2631841 B2 JP2631841 B2 JP 2631841B2 JP 62048781 A JP62048781 A JP 62048781A JP 4878187 A JP4878187 A JP 4878187A JP 2631841 B2 JP2631841 B2 JP 2631841B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] この発明は天然ワックス,石油ワックス,無機化合物
の水和物等、その融解熱を利用する潜熱型蓄熱材マイク
ロカプセルに関するものである。
[従来の技術] 天然ワックス,石油ワックスに限らず有機化合物相変
化材料や、無機化合物の水和物等の相変化を利用する蓄
熱材は顕熱型蓄熱材と比較して蓄熱容量が大きく、しか
も一定の温度変化に対応して熱を吸収し、また吸収した
熱を放出することができる優れた蓄熱材であることが知
られている。しかしながら、これらの物質の融解潜熱を
利用するためには融解時の液体相を収容する容器を必要
とし、またその容器は潜熱型蓄熱材の著しく大きな体積
変化に対応させなければならないため、特に建物の内装
材や、衣服あるいは医療用温湿布剤等への用途に適さな
いものとされ、これらの用途への使用は限定されてい
る。
[発明が解決しようとする問題点] 上記のように、従来の技術によれば、天然ワックス,
石油ワックス,無機化合物の水和物等が優れた蓄熱材で
あるにもかかわらず、それらを収容できる微小容器がな
いことから、フイルム,繊維,パイプの他,複雑な構造
物と一体化して使用できなかった。特に建物の内装材,
給温水パイプ等に巻く蓄熱テープ,農業用ビニールハウ
スや衣服或は医療用温湿布剤等への用途に使用すること
ができなかった。
この発明は上記問題点を解決し、建物の内装材,給温
水パイプ,ビニールハウスや衣服或は医療用温湿布剤等
への用途に適する潜熱型蓄熱材マイクロカプセルを提供
するものである。
[問題点を解決するための手段] この発明に係る潜熱型蓄熱材マイクロカプセルは上記
目的を達成するために、天然ワックス,石油ワックスや
脂肪酸,無機化合物の水和物等、その融解熱および相転
移熱の大きな蓄熱物質を、実質的に相溶性のない液体中
に分散して生じる蓄熱物質と分散媒液体との界面にポリ
マー相を吸着させて形成される連続壁膜によって、蓄熱
物質を被覆した。
前記の蓄熱物質の熱伝導性を改善させる金属微片或は
微粉を添加した。
マイクロカプセル薄膜内の熱伝導性を改善させる金属
微片或は微粉を含有させた。
また、マイクロカプセル薄膜内に紫外線或いは熱線吸
収色材を含有させた。
[作 用] この発明によれば、相転移する天然ワックス,石油ワ
ックス,無機化合物の水和物等の蓄熱物質を微小なマイ
クロカプセルに封入したことによって、これらの蓄熱物
質を液体相のときにも表面をマイクロカプセルの固体相
として利用できる。
また、蓄熱物質をマイクロカプセルに封入することに
よって、熱吸収と放熱面積をコントロールでき蓄熱と熱
放出の効率が著しく改善される。また表面積の拡大は蓄
熱物質の表面が凝固して内部からの放熱が妨げられるこ
とが防止される。
また、天然ワックス,石油ワックスや脂肪酸等の蓄熱
物質には熱伝導性を改善させる金属微片或は微粉を添加
したので、金属微粉の作用によりかかる蓄熱物質の吸熱
放熱効果が高まり、また相転移時の温度差(ヒステリシ
ス)を少なくする効果が得られる。
また、蓄熱物質を封入するマイクロカプセルの薄膜内
には熱伝導性を改善させる金属微片或は微粉を含有せし
めたことにより、金属微粉の作用によってマイクロカプ
セル内の蓄熱物質の吸熱放熱効果が高い。
また、蓄熱物質を封入するマイクロカプセルの表面薄
膜内に紫外線或いは熱線吸収効果のある色材を含有せし
めることにより、マイクロカプセルに封入された蓄熱物
質の熱吸収効果が高まる。
更に、蓄熱物質が天然ワックス,石油ワックス(以下
単にワックス系という)である場合、残留油分が酸化す
ることによって経時時にワックスの融点が低下すること
があるが、残留油分の酸敗は特に空気との接触によって
促進させることから、ワックス系がマイクロカプセルに
封入されていることにより直接空気との接触が遮断さ
れ、ワックスの酸敗が防止され融点の低下防止が図られ
る。
[実施例] 以下、この発明の実施例を説明する。
先ず、ワックス系(天然ワックス,石油ワックス等)
の蓄熱物質をマイクロカプセルに封入した潜熱型蓄熱材
マイクロカプセルについて説明する。
この発明の目的に適したワックス系の蓄熱物質として
は、融点が28℃から60℃、残留油分0.5%以下の植物,
動物系ワックスまたは石油系のワックスあるいは不飽和
脂肪酸が望ましい。融点は用途によって所望される熱の
出し入れ温度によって選択されるが、特に生活温度下に
おいて蓄熱材を用いる場合は、熱の出し入れには融点28
℃から50℃のものが最適である。ワックスの熱容量は25
〜50℃の温度範囲に融点を有するパラフィンワックスの
融解熱は42cal/g前後であり、相転移熱を含めたその総
熱容量は約60cal/gと推定できる。これに対して水の場
合は、この温度域においては融解熱が寄与しないので、
総熱容量は25cal/gとなる。従ってパラフィンワックス
はほぼ水の2倍の総熱容量をもつ。一方ワックスの熱伝
導率は水の1/2.5と低いために放熱効果は水より劣る欠
点がある。この欠点を補うためにワックスより遥かに熱
伝導率の高い銅,鉄,アルミニウム等の金属微片或は微
粉を添加してマイクロカプセル化することにより、また
マイクロカプセルによって放熱表面積を拡大することに
よってその欠点は除去される。たとえば、ワックスに銅
の微片を容量比で2.0%添加することによって熱伝導率
は10数倍改善される。また、1gのワックスを粒径50ミク
ロンのマイクロカプセルに封入して平面上に隙間のない
ように配列すると、理論的には50ミクロンの厚味のワッ
クス層(蓄熱材層)475cm2の表面積が得られるので、双
方を併用することによって水より遥かに高い熱伝導率を
得ることができる。実用的なワックス層(蓄熱材層)の
厚味はマイクロカプセルの粒径サイズに依存するが、マ
イクロカプセルの粒径は数ミクロンより数1000ミクロン
の範囲でコントロール可能であり、用途に応じて所望す
る熱容量と所望する放熱表面積によってマイクロカプセ
ルの粒径を最適化できる。たとえば900cm2の表面積のも
とで1600calの相転移熱を所望するときに必要とするワ
ックス総量は40gであり、40gのワックスを粒子にして、
単層で800cm2の面積に配列するためには粒径が1000ミク
ロンのマイクロカプセルにすればよい。実用上ワックス
を封入したマイクロカプセルを特定物体の表面上に配列
させるためにはワックスを封入したマイクロカプセルに
結着材(バインダー)を加えて物体表面上にコーティン
グまたはプリンティング等在来用いられている適宜な方
法によって行うことができる。この場合ワックス(蓄熱
材)以外の結着材が塗工表面に加えられるので、上述の
所望の面積当りの熱容量の計算は適宜補正すればよい。
また、若し所望の面積当りの熱容量を確保するためにマ
イクロカプセルの粒径(蓄熱層の厚味)が拡大されるこ
とによって、マイクロカプセル壁の強度が実用上不足す
るような用途に使用するときは、カプセル壁の強度が十
分維持される程度の粒径に止め、一方マイクロカプセル
塗工層を複数層にすることによって、所期の単位面積当
り必要な熱容量を確保し併せて用途に適したカプセル壁
の強度を得ることができる。
またワックス系の蓄熱物質を封入するマイクロカプセ
ルにあっては、米国特許第2800457号,1961年9月14日米
国特許出願第137992号,1966年10月31日米国特許出願第5
91023号に開示されている方法により製造され、用途に
よって適宜選択する。これらのマイクロカプセルの製造
はいずれもコアセルベーション/相分離によって親水性
コロイド物質を芯物質の界面に析出吸着させる方法で、
特に水不溶性であるワックスを封入するのに適してい
る。この方法によって製造されるマイクロカプセルは通
常芯物質を70〜95重量%封入するすることができる。ま
たマイクロカプセル被膜中に熱伝導率の高い銅,鉄,ア
ルミニウム等の金属微粉を含有させることにより、マイ
クロカプセル内の蓄熱物質の吸熱,放熱を高める機能を
もつ。またマイクロカプセルの被膜中に紫外線或は熱線
を吸収する色材を含有させることにより、カプセルは蓄
熱物質の微小容器として機能するばかりでなく、外部よ
り紫外線や熱線を吸収することによって蓄熱物質を加熱
して相変化を効果的に誘起させる機能をもつ。この色材
として例えばカーボンブラックが使用される。
次に、無機化合物の水和物からなる蓄熱物質をマイク
ロカプセルに封入した潜熱型蓄熱材マイクロカプセルに
ついて説明する。
この発明の目的に適した無機化合物に水和物からなる
蓄熱物質としては融点38℃の臭化カルシウム水和物が挙
げられる。
臭化カルシウム水和物の融解熱は94cal/gであるの
で、30〜60℃の温度範囲においてほぼ水の4倍の総熱量
をもち、前記したワックス系の蓄熱物質をマイクロカプ
セルに封入した蓄熱材と同じ理由により十分なる放熱効
果が得られる。
また、無機化合物の水和物には過冷却現象があり、こ
の現象下では凝固しないために熱が放熱されないので過
冷却防止のため結晶核を生成させるための核材を添加し
てマイクロカプセルに封入する。
また、無機化合物の水和物からなる蓄熱物質を封入す
るマイクロカプセルにあっては、前記したワックス系の
蓄熱物質を封入するコアセルベーション/相分離による
製法は適さず、無機化合物の水和物に対して相溶性のな
い製造ビヒクル中に、上記の水和物を分散して形成され
る界面上に疎水性ポリマーの連続した壁膜を沈積させ、
さらに該壁膜を硬化させることによって無機化合物の水
和物よりなる蓄熱物質をカプセル中に封入する方法が適
している。この製法に用いるマイクロカプセル壁膜には
エチレン・コビニール・アセテートのアセテート基をビ
ニルアルコール基へ加水分解した誘導体が特に適してお
り、この壁膜によって微小カプセルを製造する方法につ
いては特許第1024608号に開示されている。また、かか
るマイクロカプセルの被膜中に熱伝導率の高い金属微片
や紫外線或は熱線を吸収する色材を含有させることによ
り、前記したワックス系の蓄熱材で説明した作用効果と
同様の作用効果が得られる。
次に、この発明に係る潜熱型蓄熱材マイクロカプセル
の具体的な製造方法の一例とその使用法の一例を上げて
説明する。
製造方法及び使用例I 本例は、ワックス系の蓄熱物質をマイクロカプセルに
封入した潜熱型蓄熱材マイクロカプセルの製造方法と、
この方法により製造された潜熱型蓄熱材マイクロカプセ
ルを通常の壁装用レザー(壁紙)に塗工して使用した例
を示す。
融点43℃のワックス系の蓄熱物質を、壁膜にゼラチン
を用いてコアセルベーション/相分離の方法によってカ
プセル内に次のように封入した。55℃に昇温した蒸留水
125gにpH8〜9の等電点を有するゼラチン1.25g,アラビ
アゴム1.25gを加えてpH4.5のゼラチン水溶液をつくり、
その水溶液に20%の苛性ソーダ水溶液を滴下して液系の
pHを6.0に調整する。この液系中に融点43℃のワックス2
5gを融点以上の温度に溶融して加え、撹拌機によってワ
ックス液滴を80〜100ミクロンの粒径になるように乳化
する。ワックスの乳化完了後、その液系に14%の酢酸水
溶液を液全系がpH5.0に低下するまで滴下すると、乳化
ワックスの周囲にゼラチン液膜が形成される。更に液系
に撹拌を加えながら15℃まで冷却して25%濃度のグルタ
ールアルデヒド0.6mlを加えたのち、液系が室温に戻る
まで撹拌を続け、さらに膜可塑剤としてグリセロール5.
0gを加えてカプセル液膜を程よく柔軟に硬化させること
によって、この発明に係る潜熱型蓄熱材マイクロカプセ
ルが完成する。この状態で、ワックスを封入したカプセ
ル25gを含むスラリー約150gが得られる。使用にあって
は、このスラリーにポリビニルアルコール10%の水溶液
40gをバインダーとして加えて塗工液とする。この塗工
液を壁装用レザーの表面にカーテン塗工方式によって約
400ミクロンの塗工厚で塗工し、ホットチェンバーを通
過させて塗工面を乾燥させることによって、壁装用レザ
ー表面上に約125ミクロンのワックスが封入されたマイ
クロカプセル層即ち蓄熱材の層を設ける。以上の方法に
よって表面に潜熱型蓄熱材マイクロカプセルによる蓄熱
層を具えた壁装用レザーが得られる。この試験片を60℃
に加熱しワックスを溶融させたのち、30℃の恒温槽中で
冷却する加熱/冷却の熱サイクルを50回繰返した結果、
マイクロカプセルは、ワックス溶融時の液体容器として
完全に機能すること、及びワックスの溶融時の体積膨
脹、固体時の体積収縮にも充分耐えられる容器であるこ
とが確認された。
製造方法及び使用例II 本例は、製造方法及び使用例Iによるワックス系の蓄
熱物質に熱伝導性の良好な金属微片を添加してカプセル
に封入した潜熱型蓄熱材マイクロカプセルを製造する例
を示す。
融点43℃のワックス25gを60℃に昇温して溶融したな
かに、粒径0.1〜0.4ミクロンの銅フレーク0.05gを加
え、均一にワックス中に分散する程度にタービンブレー
ドによって撹拌して、銅フレークを含有した約25gの溶
融ワックスを用意した。一方55℃に昇温した蒸留水125g
にpH8〜9の等電点を有するゼラチン1.25g,アラビアゴ
ム1.25gを加えてpH4.5のゼラチン水溶液をつくり、その
水溶液に20%の苛性ソーダ水溶液を滴下して液系のpH6.
0に調整する。この液系中に、用意した銅フレークを含
有し60℃に昇温されたワックス約25gを加え、撹拌機に
よって銅フレーク含有のワックス液滴を80〜100ミクロ
ンの粒径になるように乳化する。乳化完了後、その液系
に14%の酢酸水溶液を液全系がpH5.0に低下するまで滴
下して乳化した銅フレークを含有したワックスの周囲に
ゼラチン濃厚液膜を形成させて、撹拌を継続して液系を
15℃まで冷却後25%濃度のグルタールアルデヒド0.5ml
を加え、液系が室温に戻るまで撹拌を続け、さらにグリ
セロール5.0gを加えて約4時間撹拌してカプセルスラリ
ーは完成する。
このカプセルスラリーを、製造方法及び使用例Iと同
様の方法によって塗工液を調液する。
製造方法及び使用例III 本例は、ワックス系蓄熱物質カプセルの壁膜に色材を
含有するカプセルを製造する方法を示す。本例によるカ
プセル製造方法は特開昭57−184431号に開示されている
方法が最適である。本例では40℃に昇温した150gの蒸留
水に、pH3.8のゼラチン10%の水溶液50g、カルボキシメ
チルセルローズナトリウム塩の2%水溶液30g、エチレ
ン無水マレイン酸コポリマーの2%水溶液5gを加えて、
液全系を40℃に保ちながら20%の苛性ソーダ水溶液を滴
下して液系のpHを5.0に調整して撹拌する。この液系に1
30mlの融点43℃の溶融ワックスを分散させて撹拌を続
け、粒径が100〜200ミクロンの乳化液滴を生成する。乳
化完了後、撹拌を続けながら30℃まで冷却して、ゼラチ
ン濃厚液をワックス乳化液滴の周囲に沈積させ、液全系
を20℃に冷却してゼラチンをゲル化させ、一次カプセル
を生成した。この後100gの蒸留水を加えて撹拌をとめ
て、平衡液の下層液を除去して、さらに50gの蒸留水を
加えて撹拌を続けながら27℃に昇温し、カーボンブラッ
ク微粉2gを含むpH3.8の5%ゼラチン水溶液15gを添加し
て撹拌を続けてカーボンブラックを一次カプセルの周囲
に沈積させて液系の温度を100℃まで冷却し、グルター
ルアルデヒド25%水溶液に2mlとグリセロール4mlを加
え、徐々に昇温しながら約3時間の撹拌によってゼラチ
ンは架橋して硬化する。さらにゼラチン膜補強のため
に、尿素5%の水溶液15mlと、ホルムアルデヒド37%の
水溶液2mlを加えて30分間撹拌したのちに、10%の硫酸
水溶液を滴下して液系のpHを2.0に下げて尿素ホルムア
ルデヒドの縮合反応を完了させる。このカプセル製法に
よってワックスを封入したマイクロカプセルの壁膜内に
カーボンブラックを含有させることができる。
製造方法及び使用例IV 本例は、無機化合物の水和物からなる蓄熱物質をマイ
クロカプセルに封入した潜熱型蓄熱材マイクロカプセル
の製造方法と、この方法により製造された潜熱型蓄熱材
マイクロカプセルを着衣材となる繊維の表面上に配列し
て使用した例を示す。
無機化合物の水和物からなる蓄熱物質として、臭化カ
ルシウム水和物を用い、臭化カルシウム水和物をエチレ
ン・コビニール・アセテートを壁膜とするマイクロカプ
セルに次の方法によって封入する。カプセルの製造方法
は、50〜53%加水分解したエチレン・コビニール・アセ
テート3.12gを125mlのトルエンに溶解する。次にこの溶
液を50〜60℃に昇温し撹拌しながら50%のポリジメチル
シロキサンのトルエン溶液125ml及びカプセル内容物即
ち蓄熱物質として加熱溶解した臭化カルシウム水和物
(CaBr2・6H2O)30mlを添加する。この混合液は、トル
エンの連続相と、その連続相に溶解したエチレン・コビ
ニール・アセテートとの濃厚液相及び芯物質となる臭化
カルシウムの水和物(蓄熱物質)の液滴不連続相の3つ
の相をつくる。相分離の進行とともにエチレン・コビニ
ール・アセテートの濃厚液は芯物質即ち蓄熱物質を包み
込んで平均粒径200ミクロンの胚状カプセルを生じ、こ
の発明に係る潜熱型蓄熱材マイクロカプセルが完成す
る。更に液系の撹拌を続けて室温まで冷却し0.5mlのト
ルエンジイソシアネートを添加して、更に16時間撹拌を
続けたのちに、上澄液を除去し、油性のバインダーを加
えて、繊維の表面上にスプレー塗工し、乾燥させること
によって、繊維表面にバインダーを含めて約240ミクロ
ンの、臭化カルシウム水和物(蓄熱物質)が封入された
マイクロカプセル層即ち蓄熱材の層を設けた。以上の方
法によって表面に潜熱型蓄熱材マイクロカプセルによる
蓄熱層を具えた着衣材が得られた。この塗工試験片につ
いて、前例Iと同様に60℃に加熱し、つぎに20℃の恒温
槽中で冷却する加熱/冷却の熱サイクルを50回繰返した
結果、マイクロカプセルは臭化カルシウムの水和物(蓄
熱物質)を有効に収容維持できる容器であることが確認
された。
製造方法及び使用例V 本例は、製造方法及び使用例IVの無機化合物の水和物
である蓄熱物質を封入するマイクロカプセルの壁膜に色
材を含有させる例を示す。
50〜53%加水分解したエチレン・コビニール・アセテ
ート3.12gを125mlのトルエンに溶解し、その溶液中にカ
ーボンブラック0.3gを添加して撹拌する。この溶液のエ
チレン・コビニール・アセテート濃厚液を、製造方法及
び使用例IVの方法によって蓄熱物質である臭化カルシウ
ムの水和物の液滴周囲に相分離によって沈積させること
によってカーボンブラックをマイクロカプセル壁膜に含
有することができる。
製造方法及び使用例VI 本例は、ワックス液及び無機化合物の水和物からなる
蓄熱物質を封入するカプセル薄被膜に、銅,鉄,アルミ
ニウム等の金属微片を含有せしめる例を示すものであっ
て、本例の方法は前記製造方法及び使用例III,Vと同様
の方法により行われる。
[発明の効果] 以上のように、この発明に係る潜熱型蓄熱材マイクロ
カプセルによれば、相転移する天然ワックス,石油ワッ
クス,脂肪酸,無機化合物の水合物等の蓄熱物質を微小
マイクロカプセルに封入したことによって、これらの蓄
熱物質を液体相のときにもマイクロカプセルの固体相と
して利用することができることからその取扱いが容易と
なり、従来蓄熱材としてその使用が困難とされていた建
物の内装材や衣服或は医療温湿布剤等をはじめとし、潜
熱型蓄熱材マイクロカプセルを水などの液体媒体に分散
したサスペンション状態にすることによって、高効率の
ヒートポンプなどの熱媒あるいは冷媒としてパイプ内で
移送するなど広い範囲に使用することが可能となる。ま
た、蓄熱物質を微小カプセルに封入することによって、
放熱面積が大きくなり、そして蓄熱物質の表面が凝固し
て内部からの放熱が妨げられることを防止することがで
き、また、ワックス系の蓄熱物質に金属微片を添加する
ことにより、この蓄熱物質の吸熱放熱効果を高めること
ができ、またワックス系及び無機化合物の水和物等の蓄
熱物質を封入するマイクロカプセルの薄被膜内に金属微
片を含有させることにより、封入された蓄熱物質の吸熱
放熱効果を高めることができ、更にまた、蓄熱物質を封
入するマイクロカプセルの表面薄膜内に紫外線或は熱線
吸収効果のある色材を含有せしめたので、マイクロカプ
セルに封入された蓄熱物質の熱吸収効果を高めることが
できる。更に、蓄熱物質が天然ワックス,石油ワックス
等のワックス系である場合、マイクロカプセルによって
ワックスが空気との接触を遮断され、ワックスの酸敗が
防止されることにより融点の低下防止が図られ蓄熱材と
しての機能を維持することができる等、潜熱型蓄熱材マ
イクロカプセルとして優れた効果がある。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭60−48494(JP,A) 特開 昭59−125392(JP,A) 特開 昭61−205793(JP,A) 特開 昭57−198990(JP,A) 実開 昭57−30580(JP,U) 特公 昭59−22156(JP,B2)

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】天然ワックス,石油ワックス,無機化合物
    の水和物等、その融解熱および相転移熱の大きな蓄熱物
    質を、実質的に相溶性のない液体中に分散して生じる蓄
    熱物質と分散媒液体との界面にポリマー相を吸着させて
    形成される連続壁膜によって、蓄熱物質を被覆すること
    を特徴とする潜熱型蓄熱材マイクロカプセル。
  2. 【請求項2】蓄熱物質の熱伝導性を改善させる金属微片
    或は微粉が添加してあることを特徴とする特許請求の範
    囲第1項記載の潜熱型蓄熱材マイクロカプセル。
  3. 【請求項3】マイクロカプセル薄膜内の熱伝導性を改善
    させる金属微片或は微粉を含有することを特徴とする特
    許請求の範囲第1項または第2項記載の潜熱型蓄熱材マ
    イクロカプセル。
  4. 【請求項4】マイクロカプセル薄膜内に紫外線或いは熱
    線吸収色材を含有する特許請求の範囲第1項または第2
    項記載の潜熱型蓄熱材マイクロカプセル。
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