JP2628894B2 - 方向性けい素鋼板の冷間圧延方法及びその装置 - Google Patents

方向性けい素鋼板の冷間圧延方法及びその装置

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Description

【発明の詳細な説明】 <産業上の利用分野> 本発明は、表面性状に優れた方向性けい素鋼板の製造
方法に係り、特に連続タンデム冷間圧延機を利用する表
面性状に優れた方向性けい素鋼板の圧延方法及び装置に
関するものである。
<従来の技術> 方向性けい素鋼板は、主として変圧器その他の電気機
器の鉄心として使用されていて、磁化特性や鉄損特性等
の磁気特性に優れることが要求される。
ところで方向性けい素鋼板の磁気特性は、単に材質だ
けでなくその表面性状にも強く影響され、特開昭60−13
1917号公報に開示されているように、表面粗さが小さい
ほど磁気特性は良好である。
最終冷延板の表面粗さが粗いと、製品板表面の凹凸が
大きくなり、また板表面に形成される絶縁皮膜も厚肉で
荒れたものとなるため、製品板を磁化したときの磁壁の
移動を妨げ、磁気特性の劣化を招く。
そこで、冷間圧延においていわゆるブライト仕上げと
呼ばれる、鋼板表面粗さが平均粗さ(Ra)で0.4μm以
下となるような圧延処理が採用されている。
ところで方向性けい素鋼板のようにSiを2.5〜4.0wt%
(以下単に%で示す)含むものは、他の一般冷延板に比
べて極めてもろく破断し易いだけでなく、圧延変形抵抗
も極めて高いため、冷間圧延は一般にゼンジミアミルの
ようなリバースミルを用いて700mpm以下程度の低速圧延
によって行われていた。
ところが近年、生産性の向上などの観点から、高効率
のタンデムミルによる方向性けい素鋼板の冷間圧延が試
みられている。
<発明が解決しようとする課題> しかしながら、方向性けい素鋼板の冷間圧延を、タン
デムミルによって高速圧延とした場合には、最終圧延後
の板表面が粗くなって磁気特性の劣化を招くところに問
題を残していた。
通常、けい素鋼板の母板である熱延板は、中間焼鈍を
挟む2回以上の冷間圧延が施されて最終板厚製品とされ
るが、この中間焼鈍において、鋼板表面に0.2〜3μm
程度の極く薄い酸化スケールが生成される。その後、そ
れをタンデムミルによって高速圧延した場合に鋼板表面
が粗くなっていた。
本発明は、表面性状の劣化を招く不利なしに高速圧延
を可能ならしめる方向性けい素鋼板の冷間圧延方向及び
その装置を提供することを目的とする。
<課題を解決するための手段> さて、本発明者らは、上記の問題を解決すべく鋭意研
究を重ねた結果、冷間圧延をタンデムミルにおいて高速
圧延する場合であっても、中間焼鈍の後で冷間圧延する
前に、鋼板表面の粗度を調製しその後に冷間圧延を行う
ことにより、圧延後の鋼板表面をブライト材の水準にす
ることができるとの知見を得、これに基づいて本発明を
完成させるに至った。
すなわち、本発明は中間焼鈍された、表面スケール層
を有する方向性けい素鋼板を研掃装置にて研掃し、引続
き冷間タンデム圧延機にて最終板厚に圧延するに際し
て、研掃後冷間圧延前の表面粗度を測定し研掃量制御器
にフィードバックすると同時に、該研掃後冷間圧延前の
表面粗度及び冷間圧延後に測定した表面粗度をコンピュ
ータに入力し、冷間圧延後の表面粗度が所定の値になる
ように、該コンピュータから研掃量制御器を介して研掃
装置の研掃量を、ならびに圧延速度制御器を介してタン
デム圧延機の圧延速度を制御することを特徴とする方向
性けい素鋼板の冷間圧延方法および表面研掃装置とそれ
に続く第1の粗度測定装置を入側に、第2の粗度測定装
置を出側にそれぞれ設置したことを特徴とする冷間圧延
タンデム圧延機である。
<作 用> 方向性けい素鋼板の製造方法としては、まず、方形性
けい素鋼用の成分組成に調製された溶鋼を準備し、造塊
・分塊法または連続鋳造法によってスラブとなし、次い
で熱間圧延が施される。この熱延板に、中間焼鈍を挟む
2回以上の冷間圧延を施して最終板厚とする。
その際中間焼鈍後に本発明では表面粗度を調製した
後、冷間圧延を行うが、第1図は本発明の一実施例を示
す概念図である。
けい素鋼帯1はタンデム圧延機4の入口側に設置され
た板面研掃装置2によって研削もしくは研磨などの研掃
が施され、所定の粗度が附与される。
次いで圧延機4の入口側に設置された第1の板面粗度
測定装置3により、板面粗度が測定される。この測定値
は直ちに研削量制御器6にフィードバックされ、板面粗
度が調製される。
さらに板はタンデム圧延機4により、連続圧延され、
圧延機4の出側に設置された第2の板面粗度測定装置5
により、板面粗度が測定された後に巻取られる。
この出側で測定された板面粗度は、入側で測定された
板面粗度と共にコンピュータ8に入力され、入側と出側
の粗度差として出力される。この粗度差が管理限界を外
れると、圧延速度を変更して研掃量を調製する。たとえ
ば、出側の板面粗度が目標粗度以下であって、入側と出
側の粗度差が所定値を超えれば、圧延速度制御器7を介
して、圧延速度が早くなる方向に制御される。また出側
の板面粗度が目標粗度を超えるときは、圧延速度を下げ
る方向に制御して板面粗度が目標値以下となるようにす
る。
また同時にこの出力された粗度差は研掃量制御器6に
入力され、研掃量を増減させる。このとき前述した圧延
機入側の板面粗度測定装置3からの直接フィードバック
された研掃量制御信号に、この粗度差信号は合算されて
制御される。
なお本発明で用いる板面粗度測定装置は非接触タイプ
のものが好ましい。
また鋼板表面の研掃装置としては、例えば研磨布紙を
使用した研磨ベルト,円筒研磨スリーブや研磨不織布,
砥粒入りのブラシ,金属線などのワイヤブラシなどの研
削・研磨工具等が利用できる。
ところで、本発明によってブライト材の水準と同等の
平滑な表面粗度が得られる理由は、鋼板表面の酸化スケ
ールが除去されるともに、表面下の結晶粒に歪が入るた
めに、圧延時の塑性変形による凹凸が微細化されること
に加えて、圧延方向と平行に研削もしくは研磨したこと
によって生じた微小な溝から圧延油が逃げるために圧延
ロール噛み込み口のくさび流路に発生する圧延油の圧力
が低下し、圧延油の圧力による塑性変形が生じ難くなっ
ているためと考えられる。ここで、入側と出側の粗度差
が所定値を超えたときは、微小な溝の深さが必要以上に
大きくなっている。即ち過研削していると判断して、速
度を上げて研掃量を減らす。また粗度差が所定値を下ま
わったときは研掃不足による出側板面粗度の増大と判断
して研掃量を増やす方向に制御する。
第2図は研削等により発生した微小な溝による圧延油
の排出状況を示す模式図である。
なお本発明と類似した技術として本出願人は既に特開
昭63−119925号公報にて、中間焼鈍により表面にスケー
ルが付着したけい素鋼板を、冷間タンデム圧延機ライン
内に設けられた脱スケール装置を用いて脱スケールしな
がら圧延する方法を提案しているが、この目的は2回目
冷延ロールの磨耗対策であり、鋼板の表面性状の改善に
は不十分である。さらに脱スケール装置が、圧延スタン
ド間にあることのスペースの制約、また圧延機と同期し
て作動しなければならない制約があり、脱スケールも不
十分であり、本発明には適用できない。
また特開昭55−133802号公報には、スケールブレーカ
と高圧水噴射装置とブラッシングロールとよりなるスケ
ール除去装置を入口側に設けたタンデム圧延機が開示さ
れているが、しかしこれは通常の熱延鋼板の熱延スケー
ルを機械的な手段により除去することを対象としてお
り、本発明のけい素鋼板の中間焼鈍において形成される
0.2〜3μm程度の極薄の酸化スケールを除去して、か
つ表面に適当な粗度を与える技術とは目的が異なるもの
である。
<実施例> C:0.045%,Si:3.35%,Mn:0.070%,Se:0.018%およびS
b:0.028%を含有する2.5mm厚のけい素鋼熱延板に、1000
℃,30秒の熱延板焼鈍を施し、酸洗後0.64mmに冷間圧延
し、ついで980℃,90秒の中間焼鈍を行って、試料を作製
した。その後、圧延方向と平行に粒度100のブラシロ
ールからなる研掃装置で目標粗度Ra 1.2として、圧延機
入側の粗度測定装置の測定値をフィードバックしなが
ら、かつ同時にコンピュータにインプットされた入側,
出側の粗度差の出力も合算して、研掃量を制御しながら
表面を研削し、ロール径350mm,ロール表面粗度0.1μmRa
の圧延ロールを備えた3スタンドタンデムミルにおいて
粘度8cst/50℃,濃度3%の圧延油を使用してコンピュ
ータより出力された入側,出側の粗度差より圧延速度を
制御しながら、最終スタンド圧延速度1000mpm前後にて
0.23mmの最終板厚に仕上げた。試料の圧延速度1000mpm
部における表面平均粗さ(Ra)を測定した結果、Ra 0.3
μmで十分満足のいくものであった。
<発明の効果> 以上説明したように、本発明によれば、方向性けい素
鋼板をタンデムミルにて高速で圧延する場合であって
も、平均表面粗さ0.4μm以下の良好な表面性状を維持
でき、ひいては優れた磁気特性を有する方向性けい素鋼
板を高生産性の下に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明の一実施例を示す模式図、第2図は板
表面の溝による圧延油の排出状況を示す模式図である。 1……けい素鋼帯、 2……板面研掃装置、 3……圧延機入側板面粗度測定装置、 4……タンデム圧延機、 5……圧延機出側板面粗度測定装置、 6……研掃量制御器、 7……圧延速度制御器、 8……コンピュータ。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小野 智睦 岡山県倉敷市水島川崎通1丁目(番地な し) 川崎製鉄株式会社水島製鉄所内

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】中間焼鈍された、表面ステール層を有する
    方向性けい素鋼板を研掃装置にて研掃し、引続き冷間タ
    ンデム圧延機にて最終板圧に圧延するに際して、研掃後
    冷間圧延前の表面粗度を測定し研掃量制御器にフィード
    バックすると同時に、該研掃後冷間圧延前の表面粗度及
    び冷間圧延後に測定した表面粗度をコンピュータに入力
    し、冷間圧延後の表面粗度が所定の値になるように、該
    コンピュータから研掃量制御器を介して研掃装置の研掃
    量を、ならびに圧延速度制御器を介してタンデム圧延機
    の圧延速度を制御することを特徴とする方向性けい素鋼
    板の冷間圧延方法。
  2. 【請求項2】表面研掃装置とそれに続く第1の粗度測定
    装置を入側に、第2の粗度測定装置を出側にそれぞれ設
    置したことを特徴とする冷間圧延タンデム圧延機。
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