JP2628610B2 - ナガイモの不定胚培養法 - Google Patents
ナガイモの不定胚培養法Info
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- JP2628610B2 JP2628610B2 JP63171444A JP17144488A JP2628610B2 JP 2628610 B2 JP2628610 B2 JP 2628610B2 JP 63171444 A JP63171444 A JP 63171444A JP 17144488 A JP17144488 A JP 17144488A JP 2628610 B2 JP2628610 B2 JP 2628610B2
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Description
【発明の詳細な説明】 <産業上の利用分野> 本発明はヤマノイモ科植物ナガイモ(Dioscoreaoppos
ita Thunb.)の組織培養による新規な不定胚の誘導、増
殖、発生、発芽法に関する。
ita Thunb.)の組織培養による新規な不定胚の誘導、増
殖、発生、発芽法に関する。
<従来の技術及び問題点> 一般に植物細胞、組織、器官培養の技術を作物育種に
利用しようとする場合、不定胚発生(somatic embryoge
nesis)を確立することが非常に重要である。不定胚発
生とは、生殖細胞以外の体細胞の1つが受精卵と同様の
性質を獲得し、通常の胚発生(種子形成)と非常に良く
似た経路をたどって個体へと発生する過程を指す。
利用しようとする場合、不定胚発生(somatic embryoge
nesis)を確立することが非常に重要である。不定胚発
生とは、生殖細胞以外の体細胞の1つが受精卵と同様の
性質を獲得し、通常の胚発生(種子形成)と非常に良く
似た経路をたどって個体へと発生する過程を指す。
不定胚を構成する個々の細胞は単一の細胞に由来し、
秩序だった細胞分裂によって増殖したものであることか
ら遺伝的に均一であり、不定芽より再分化させた個体に
よく見られるようなキメラにはなりにくいことが知られ
ている。
秩序だった細胞分裂によって増殖したものであることか
ら遺伝的に均一であり、不定芽より再分化させた個体に
よく見られるようなキメラにはなりにくいことが知られ
ている。
さらに、不定胚の性質を持つ細胞は発生初期の未分化
な状態にあることから、非常に高い増殖能を持つと同時
に非常に高い形態形成能を保持しているものと考えられ
る。従って、不定胚培養の技術はプロトプラスト培養・
形質転換あるいは各種薬剤、ストレス耐性変異の誘導、
選抜のようなより高度の組織培養による作物育進技術に
とって不可欠な基本技術であり、さらに大量増殖あるい
は擬似種子の生産といった技術に直接利用可能な技術で
ある。
な状態にあることから、非常に高い増殖能を持つと同時
に非常に高い形態形成能を保持しているものと考えられ
る。従って、不定胚培養の技術はプロトプラスト培養・
形質転換あるいは各種薬剤、ストレス耐性変異の誘導、
選抜のようなより高度の組織培養による作物育進技術に
とって不可欠な基本技術であり、さらに大量増殖あるい
は擬似種子の生産といった技術に直接利用可能な技術で
ある。
植物組織培養による不定胚培養法は比較的多くの植
物、作物種について知られている。
物、作物種について知られている。
しかし、ヤマノイモ科植物についてはディオスコレア
・デルトイデア[(D.deltoidea;ジェイ・ピイ・シン
グ、バイオロジア・プランタルム(Singh,J.P.1978),B
iologia Plantarum 20:436−439,1978)]及びディオス
コレア・フロリブンダ[(D.floribunda;ピイ・ブイ・
アミラト、ハンドブック・オブ・プラント・セル・カル
チャー(Ammirato,1978)Handbook of Plant Cell Cult
ure)Vol.3,pp.437−354 Macmilan,New York,1978)]
の2種で知られているのみであった。ディオスコレア・
デルトイデアについては担根体(芋)組織より誘導した
カルス上に不定胚の形成が認められたが、不定胚組織の
継代・維持・増殖法及び発生・発芽法(個体再生法)に
ついては何ら記載がない。ディオスコレア・フロリブン
ダについては種子からの不定胚誘導、液体培養による不
定胚の増殖及び発芽・個体再生についての詳細な記載が
あるが、この不定胚組織は長期間の継代・維持が不可能
であった。
・デルトイデア[(D.deltoidea;ジェイ・ピイ・シン
グ、バイオロジア・プランタルム(Singh,J.P.1978),B
iologia Plantarum 20:436−439,1978)]及びディオス
コレア・フロリブンダ[(D.floribunda;ピイ・ブイ・
アミラト、ハンドブック・オブ・プラント・セル・カル
チャー(Ammirato,1978)Handbook of Plant Cell Cult
ure)Vol.3,pp.437−354 Macmilan,New York,1978)]
の2種で知られているのみであった。ディオスコレア・
デルトイデアについては担根体(芋)組織より誘導した
カルス上に不定胚の形成が認められたが、不定胚組織の
継代・維持・増殖法及び発生・発芽法(個体再生法)に
ついては何ら記載がない。ディオスコレア・フロリブン
ダについては種子からの不定胚誘導、液体培養による不
定胚の増殖及び発芽・個体再生についての詳細な記載が
あるが、この不定胚組織は長期間の継代・維持が不可能
であった。
我国及びアジア各国で重要な作物であるナガイモ[デ
ィオスコレア・オポジタ(D.opposita)]での不定胚培
養はこれまで全く成功例がなく、通常種子繁殖を行わ
ず、事実上交雑育種が不可能な本作物の品種改良にとっ
て大きな障害となっていた。
ィオスコレア・オポジタ(D.opposita)]での不定胚培
養はこれまで全く成功例がなく、通常種子繁殖を行わ
ず、事実上交雑育種が不可能な本作物の品種改良にとっ
て大きな障害となっていた。
<課題解決の手段> 本発明者はナガイモにおいても植物体各組織からの不
定胚誘導が可能であることを見出し、鋭意検討の結果、
より効率的な培養法を確立し、本発明を完成するに至っ
た。
定胚誘導が可能であることを見出し、鋭意検討の結果、
より効率的な培養法を確立し、本発明を完成するに至っ
た。
すなわち、本発明はヤマノイモ科植物ナガイモの植物
体組織をオーキシン添加培地で培養することを特徴とす
るヤマノイモ科植物ナガイモ不定胚組織を誘導方法を提
供するものである。また、本発明は、この方法で誘導し
たナガイモ不定胚をオーキシン添加液体培地で旋回培養
することを特徴とするヤマノイモ科植物ナガイモ不定胚
の増殖方法も提供するものである。さらに、本発明は該
不定胚カルスをホルモン無添加培地で培養することを特
徴とするヤマノイモ科植物ナガイモ不定胚の発生方法を
提供するものである。さらにまた、本発明は該発生した
ナガイモ不定胚をサイトカイニン添加培地で培養するこ
とを特徴とするヤマノイモ科植物ナガイモ不定胚の発芽
方法も提供するものである。
体組織をオーキシン添加培地で培養することを特徴とす
るヤマノイモ科植物ナガイモ不定胚組織を誘導方法を提
供するものである。また、本発明は、この方法で誘導し
たナガイモ不定胚をオーキシン添加液体培地で旋回培養
することを特徴とするヤマノイモ科植物ナガイモ不定胚
の増殖方法も提供するものである。さらに、本発明は該
不定胚カルスをホルモン無添加培地で培養することを特
徴とするヤマノイモ科植物ナガイモ不定胚の発生方法を
提供するものである。さらにまた、本発明は該発生した
ナガイモ不定胚をサイトカイニン添加培地で培養するこ
とを特徴とするヤマノイモ科植物ナガイモ不定胚の発芽
方法も提供するものである。
本発明による不定胚培養法は数々の理想的な特徴を有
し、単子葉植物の不定胚培養法として非常に希少なもの
であり、双子葉植物ニンジンと並び植物生理・形態形成
の研究開発に最適な実験系となり得るものである。
し、単子葉植物の不定胚培養法として非常に希少なもの
であり、双子葉植物ニンジンと並び植物生理・形態形成
の研究開発に最適な実験系となり得るものである。
また、液体懸濁培養により高増殖性で均一な不定胚組
織の継代・維持を可能としたことにより、素子培養によ
る様々な植物育種法が応用可能となる。即ち、この液体
培養組織は発生のごく初期の段階にあり微小な細胞集塊
として増殖し、しかも不定胚形成能を消失したカルス細
胞(nonembryogenic callus)、死んだ細胞の破片ある
いは繊維質の混入が非常に少ないことから、突然変異体
の誘発・選抜あるいはプロトプラスト単離の材料として
理想的な状態にある。
織の継代・維持を可能としたことにより、素子培養によ
る様々な植物育種法が応用可能となる。即ち、この液体
培養組織は発生のごく初期の段階にあり微小な細胞集塊
として増殖し、しかも不定胚形成能を消失したカルス細
胞(nonembryogenic callus)、死んだ細胞の破片ある
いは繊維質の混入が非常に少ないことから、突然変異体
の誘発・選抜あるいはプロトプラスト単離の材料として
理想的な状態にある。
さらに、この細胞集塊としての増殖から、高速かつ均
一な不定胚発生へと切り換えることが可能であり、大量
増殖あるいは擬似種子生産の材料としても適切な状態に
ある。
一な不定胚発生へと切り換えることが可能であり、大量
増殖あるいは擬似種子生産の材料としても適切な状態に
ある。
本発明はナガイモでの不定胚培養法として初めてのも
のであり、さらにヤマノイモ科植物としても初めての継
代・維持が可能な新規不定胚培養法である。
のであり、さらにヤマノイモ科植物としても初めての継
代・維持が可能な新規不定胚培養法である。
本発明が適用されるヤマノイモ科植物ナガイモとし
て、ながいも,いちょういも,つくねいも,あるいはや
まといも等の品種群が挙げられる。また、別種であるが
近縁野性種ジネンジョ(D.japonica)についても基本的
に適用可能であり、本発明においては、便宜上、ジネン
ジョも「ナガイモ」なる用語中に包含させる。
て、ながいも,いちょういも,つくねいも,あるいはや
まといも等の品種群が挙げられる。また、別種であるが
近縁野性種ジネンジョ(D.japonica)についても基本的
に適用可能であり、本発明においては、便宜上、ジネン
ジョも「ナガイモ」なる用語中に包含させる。
本発明の方法は、(1)不定胚の誘導、液体懸濁培養
による(2)不定胚の増殖、(3)不定胚の発生、及び
(4)不定胚の発芽の4段階の手順により構成される。
以下、順を追って詳細に説明する。
による(2)不定胚の増殖、(3)不定胚の発生、及び
(4)不定胚の発芽の4段階の手順により構成される。
以下、順を追って詳細に説明する。
(1) 不定胚の誘導 ナガイモ植物体組織を寒天培地上で培養することによ
り不定胚を誘導する。材料とする植物体組織として茎節
(腋芽を含む茎の切片)、茎の切片、葉柄の切片あるい
は葉の切片等が使用可能である。
り不定胚を誘導する。材料とする植物体組織として茎節
(腋芽を含む茎の切片)、茎の切片、葉柄の切片あるい
は葉の切片等が使用可能である。
不定誘導培地として、MS[ムラシゲ−スクーグ(Mura
shige & Skoog1962)]あるいはLS[リンスマイヤー−
スクーグ(Linsmaier & Skoog1964)]等の既知の植物
組織培養用培地が使用可能であり、通常0.8〜1.2%の濃
度の寒天及び3〜9%濃度のショ糖を添加したものを用
いる。不定胚形成を促進する要因として最も重要なもの
は植物生長ホルモン、オーキシンの添加であり、通常2,
4−D、2,4,5−T,ピクロラムあるいはダイカンバ等活性
の高いものが用いられる。
shige & Skoog1962)]あるいはLS[リンスマイヤー−
スクーグ(Linsmaier & Skoog1964)]等の既知の植物
組織培養用培地が使用可能であり、通常0.8〜1.2%の濃
度の寒天及び3〜9%濃度のショ糖を添加したものを用
いる。不定胚形成を促進する要因として最も重要なもの
は植物生長ホルモン、オーキシンの添加であり、通常2,
4−D、2,4,5−T,ピクロラムあるいはダイカンバ等活性
の高いものが用いられる。
最適添加濃度範囲は2,4−Dの場合、0.3〜3.0mg/、
ピクロラムの場合、5.0〜30mg/である。また、2,4,5
−T、ダイカンバは1.0mg/以上の添加が好ましい。IA
A、IBAあるいはNAA等のオーキシンは活性が低いので、
前記のオーキシンを用いることが好ましい。
ピクロラムの場合、5.0〜30mg/である。また、2,4,5
−T、ダイカンバは1.0mg/以上の添加が好ましい。IA
A、IBAあるいはNAA等のオーキシンは活性が低いので、
前記のオーキシンを用いることが好ましい。
なお、各オーキシンの略号は次のものを意味する。
2,4−D:2,4−ジクロロフェノキシ酢酸 2,4,5−T:2,4,5−トリクロロフェノキシ酢酸 ピクロラム:4−アミノ−3,5,6−トリクロロピコリン酸 ダイカンバ:3,6−ジクロロ−2−メトキシ安息香酸 IAA:インドール酢酸 IBA:インドール酪酸 NAA:ナフタリン酢酸 培養容器は通常平型のプラスチックシャーレを用いる
が、試験管、三角フラスコあるいは広口瓶等も使用可能
である。
が、試験管、三角フラスコあるいは広口瓶等も使用可能
である。
培養条件として、温度は23〜30℃、照明は2,000〜5,0
00ルックスの照度で12〜24時間の日長が適している。
00ルックスの照度で12〜24時間の日長が適している。
以上のような条件で約2ケ月間培養を続けると、組織
の一部にカルス形成が観察される。フェノール性物質の
生成、蓄積から、カルスは褐色を帯び、非常に生長が遅
い。このため、2〜3ケ月の間隔で、カルス形成が見ら
れた組織を同一組成の培地に植継ぐ。不定胚形成は早い
場合には継代2回目(培養3〜4ケ月後)に、通常、継
代3回目(培養5〜6ケ月後)に観察される。不定胚組
織は白〜黄色を帯び、非常に滑らかな表面構造を保って
いることから、周囲のカルス組織と容易に区別すること
ができる。不定胚組織は、同一の培地上で継代培養を行
うことも可能であるが、生長は非常に遅く、容易にカル
ス化して形態形成能を消失しやすい。
の一部にカルス形成が観察される。フェノール性物質の
生成、蓄積から、カルスは褐色を帯び、非常に生長が遅
い。このため、2〜3ケ月の間隔で、カルス形成が見ら
れた組織を同一組成の培地に植継ぐ。不定胚形成は早い
場合には継代2回目(培養3〜4ケ月後)に、通常、継
代3回目(培養5〜6ケ月後)に観察される。不定胚組
織は白〜黄色を帯び、非常に滑らかな表面構造を保って
いることから、周囲のカルス組織と容易に区別すること
ができる。不定胚組織は、同一の培地上で継代培養を行
うことも可能であるが、生長は非常に遅く、容易にカル
ス化して形態形成能を消失しやすい。
(2) 不定胚の増殖 不定胚組織の均一かつ高速な増殖を実現するために液
体懸濁培養を行う。寒天培地上で誘導した前記の不定胚
組織を約1mm角の大きさに切り取り、数個を液体培地に
植込む。
体懸濁培養を行う。寒天培地上で誘導した前記の不定胚
組織を約1mm角の大きさに切り取り、数個を液体培地に
植込む。
培地は寒天を除く以外、誘導培地と同一組成のものが
使用可能である。ここでもオーキシンの添加が重要であ
り、2,4−Dの場合0.3〜3.0mg/の濃度が適している。
培養容器は通常125ml容三角フラスコに液体培地30〜35m
lを分注したものが適しており、約150rpmのスピードで
旋回培養を行う。
使用可能である。ここでもオーキシンの添加が重要であ
り、2,4−Dの場合0.3〜3.0mg/の濃度が適している。
培養容器は通常125ml容三角フラスコに液体培地30〜35m
lを分注したものが適しており、約150rpmのスピードで
旋回培養を行う。
以上のような条件で培養を続けた場合、当初4週間程
度までの間、形態形成能を失ったカルス(nonembryogen
ic callus)の非常にゆっくりとした増殖が観察され
る。このカルスは液胞の発達した、細胞質に乏しい大型
の細胞から構成されており、倒立顕微鏡下で無色半透明
の組織として識別される。さらに培養を続けることによ
り、通常、液体培養開始後4〜6週間で別のタイプの非
常に高い増殖能を持つ組織が誘導される。この組織は細
胞質に富む小型の細胞から構成されており、倒立顕微鏡
下で黄褐色の細胞集塊として識別される。形状は不定
で、大きさにも直径0.1〜2.0mmと大きな幅が見られる。
この細胞集塊は不定胚形成能を持つカルス(embryogeni
c callus;以下不定胚カルスと略記する)であり、不定
胚発生を開始する前の段階、即ち前胚(pro−embryo)
の状態にある。
度までの間、形態形成能を失ったカルス(nonembryogen
ic callus)の非常にゆっくりとした増殖が観察され
る。このカルスは液胞の発達した、細胞質に乏しい大型
の細胞から構成されており、倒立顕微鏡下で無色半透明
の組織として識別される。さらに培養を続けることによ
り、通常、液体培養開始後4〜6週間で別のタイプの非
常に高い増殖能を持つ組織が誘導される。この組織は細
胞質に富む小型の細胞から構成されており、倒立顕微鏡
下で黄褐色の細胞集塊として識別される。形状は不定
で、大きさにも直径0.1〜2.0mmと大きな幅が見られる。
この細胞集塊は不定胚形成能を持つカルス(embryogeni
c callus;以下不定胚カルスと略記する)であり、不定
胚発生を開始する前の段階、即ち前胚(pro−embryo)
の状態にある。
この不定胚カルスをピペット等で単離し、同一組成の
液体培地に植継ぐことにより非常に高速に増殖する不定
胚液体懸濁培養(embryogenic suspension culture)が
確立される。
液体培地に植継ぐことにより非常に高速に増殖する不定
胚液体懸濁培養(embryogenic suspension culture)が
確立される。
継代の際、置床量を小さく、培養密度を低く保つこと
が重要であり、このことにより不定胚形成能を失ったカ
ルスの生長、増殖を抑制し(一般にnonembryogenic cal
lusの増殖にはある程度以上の培養密度が必要)、この
ような細胞の混入の少ない均一な不定胚カルスの増殖が
可能となる。
が重要であり、このことにより不定胚形成能を失ったカ
ルスの生長、増殖を抑制し(一般にnonembryogenic cal
lusの増殖にはある程度以上の培養密度が必要)、この
ような細胞の混入の少ない均一な不定胚カルスの増殖が
可能となる。
置床量は培地30ml当り最低で直径0.1mmの不定胚カル
ス1個でも増殖可能であり、均一な増殖のためには1ml
以下が好ましい。
ス1個でも増殖可能であり、均一な増殖のためには1ml
以下が好ましい。
置床量が圧縮細胞体積(packed cell volume)で10μ
以下の場合、増殖率は7日間で数10倍で、2〜3週間
毎の継代が必要である。50〜200mの置床量の場合、増
殖率は2〜3倍で1〜2週間毎の継代が必要である。
以下の場合、増殖率は7日間で数10倍で、2〜3週間
毎の継代が必要である。50〜200mの置床量の場合、増
殖率は2〜3倍で1〜2週間毎の継代が必要である。
(3) 不定胚の発生 不定胚カルスを同調的に大量発生させ、成熟した胚を
得る。液体培地中での発生及び寒天培地上での発生のい
ずれとも可能である。
得る。液体培地中での発生及び寒天培地上での発生のい
ずれとも可能である。
液体培地を使用する場合、小量の不定胚カルス(50〜
100μ)を2,4−Dを含まないホルモンフリー液体培地
中に植継ぎ、(2)と同様の条件で旋回培養を行う。1
〜2週間毎に培地を4〜8回更新し、組織の生長に応じ
て複数のフラスコに分割するのが望ましい。培地中に植
物生長ホルモンを含まないことから、この過程でも不定
胚形成能を失ったカルスの生長、増殖はほとんど見られ
ない。培養約2週間で不定胚発生が認められ、約4週間
で直径0.5mm以下の非常に小さな球状胚(globular embr
yo)が観察される。球状胚以降の発生は双子葉植物に見
られるような心臓型胚(heart embryo),魚雷型胚(to
rpedo embryo)といった明確な形態形成の過程は見られ
ないが、培養約8週間でほぼ胚発生を終了し、成熟した
不定胚(発芽直前の不定胚)が得られる。不定胚カルス
100μより培養を開始した場合、10,000〜20,000個の
不定胚が得られる。
100μ)を2,4−Dを含まないホルモンフリー液体培地
中に植継ぎ、(2)と同様の条件で旋回培養を行う。1
〜2週間毎に培地を4〜8回更新し、組織の生長に応じ
て複数のフラスコに分割するのが望ましい。培地中に植
物生長ホルモンを含まないことから、この過程でも不定
胚形成能を失ったカルスの生長、増殖はほとんど見られ
ない。培養約2週間で不定胚発生が認められ、約4週間
で直径0.5mm以下の非常に小さな球状胚(globular embr
yo)が観察される。球状胚以降の発生は双子葉植物に見
られるような心臓型胚(heart embryo),魚雷型胚(to
rpedo embryo)といった明確な形態形成の過程は見られ
ないが、培養約8週間でほぼ胚発生を終了し、成熟した
不定胚(発芽直前の不定胚)が得られる。不定胚カルス
100μより培養を開始した場合、10,000〜20,000個の
不定胚が得られる。
寒天培地上での静置培養により発生も可能であるがホ
ルモンフリー培地を使用した場合、発生に要する期間は
約4週間と若干短縮されるが、得られる不定胚数は1,00
0個以下と効率が悪く発生の過程も同調しにくいといっ
た欠点がある。
ルモンフリー培地を使用した場合、発生に要する期間は
約4週間と若干短縮されるが、得られる不定胚数は1,00
0個以下と効率が悪く発生の過程も同調しにくいといっ
た欠点がある。
(4) 不定胚の発芽 発生を終了し、成熟した不定胚を発芽させ、正常な個
体へと再生させる。実際には発生と発芽の間に明確な区
別があるわけではなく、両者は連続的な形態形成の過程
である。
体へと再生させる。実際には発生と発芽の間に明確な区
別があるわけではなく、両者は連続的な形態形成の過程
である。
ホルモンフリー培地を用いて培養を続けるが通常植物
生長ホルモンサイトカイニンを添加することにより発芽
が促進される。
生長ホルモンサイトカイニンを添加することにより発芽
が促進される。
サイトカイニンとしては、通常BA(6−ベンジルアデ
ニン)、NAA等が用いられ、液体培地でBA(6−ベンジ
ルアデニン)を0.3〜5.0mg/、寒天培地でBA及びNAAを
0.3〜3.0mg/を添加するのが好ましい。
ニン)、NAA等が用いられ、液体培地でBA(6−ベンジ
ルアデニン)を0.3〜5.0mg/、寒天培地でBA及びNAAを
0.3〜3.0mg/を添加するのが好ましい。
培養時間は液体培地では通常3〜6週間、寒天培地で
は4〜8ケ月程度である。しかし、サイトカイニン添加
培地で長期間培養を続けるとカルス化が著しくなり、最
終的な個体再生率が低くなるため、培養は1ケ月程度に
留め、以後、再びホルモンフリー培地を用いて培養する
のが望ましい。
は4〜8ケ月程度である。しかし、サイトカイニン添加
培地で長期間培養を続けるとカルス化が著しくなり、最
終的な個体再生率が低くなるため、培養は1ケ月程度に
留め、以後、再びホルモンフリー培地を用いて培養する
のが望ましい。
液体培地を用いた場合、成熟した不定胚の約半数が発
芽を開始し、茎頂と根との両極性の伸長が見られる。寒
天培地を用いた場合には根の伸長はやや遅れ、一般に茎
葉の再生・展開の方が先行する傾向にある。
芽を開始し、茎頂と根との両極性の伸長が見られる。寒
天培地を用いた場合には根の伸長はやや遅れ、一般に茎
葉の再生・展開の方が先行する傾向にある。
再生した個体は形態的に正常であり、充分に茎葉を展
開し発根したものをバーミキュライト等に移植し、外環
境に馴化させ栽培することが可能である。さらに茎節を
採取して、多芽形成による増殖(特開昭62−58934号)
あるいはムカゴ形成等、既に完成された培養技術の材料
として用いることも可能である。
開し発根したものをバーミキュライト等に移植し、外環
境に馴化させ栽培することが可能である。さらに茎節を
採取して、多芽形成による増殖(特開昭62−58934号)
あるいはムカゴ形成等、既に完成された培養技術の材料
として用いることも可能である。
<実施例> 以下、実施例を挙げ、本発明を更に詳細に説明する。
実施例1 茎節及び茎切片からの不定胚誘導青森県産ナ
ガイモのウィルスフリー母株より茎節(腋芽を含む茎の
切片、長さ約10mm)及び茎切片(約10mm)を採取し、以
下の条件に従って培養を行った。培地は寒天0.8%及び
ショ糖3%を含み、pH5.8に調整したMS改変培地(MS無
機塩類+B5ビタミン類)を直径100mmのプラスチックシ
ャーレに40〜50ml分注したものを用いた。培地添加オー
キシンとして2,4−Dを0、0.3、1.0、3.0及び10mg/
の5段階濃度に添加したものを、明所(3000ルックス、
16時間照明)での培養及び暗所での培養の2区に分割し
た。各試験区に茎節の場合、シャーレ当り6個、茎切片
の場合、シャーレ当り9個を置床し、全試験区3反復
(シャーレ3枚)として28℃で培養を行った。培養2ケ
月後及び4ケ月後の2回、同一組成の培地に植継ぎ、培
養6ケ月後に不定胚形成の有無を調査した。
ガイモのウィルスフリー母株より茎節(腋芽を含む茎の
切片、長さ約10mm)及び茎切片(約10mm)を採取し、以
下の条件に従って培養を行った。培地は寒天0.8%及び
ショ糖3%を含み、pH5.8に調整したMS改変培地(MS無
機塩類+B5ビタミン類)を直径100mmのプラスチックシ
ャーレに40〜50ml分注したものを用いた。培地添加オー
キシンとして2,4−Dを0、0.3、1.0、3.0及び10mg/
の5段階濃度に添加したものを、明所(3000ルックス、
16時間照明)での培養及び暗所での培養の2区に分割し
た。各試験区に茎節の場合、シャーレ当り6個、茎切片
の場合、シャーレ当り9個を置床し、全試験区3反復
(シャーレ3枚)として28℃で培養を行った。培養2ケ
月後及び4ケ月後の2回、同一組成の培地に植継ぎ、培
養6ケ月後に不定胚形成の有無を調査した。
結果を第1表に示す。
茎節を培養した場合、腋芽からの茎葉の伸長、発根あ
るいはムカゴ形成が起こり不定胚形成はやや低下する傾
向にあった。茎節、茎切片ともに2,4−D 0.3〜3.0mg/
の濃度で培養した場合、明所でのみ不定胚形成が確認さ
れた。
るいはムカゴ形成が起こり不定胚形成はやや低下する傾
向にあった。茎節、茎切片ともに2,4−D 0.3〜3.0mg/
の濃度で培養した場合、明所でのみ不定胚形成が確認さ
れた。
実施例2 不定胚液体懸濁培養 2−1 不定胚液体懸濁培養の誘導 実施例1で誘導した不定胚から約1mm3の組織を採取
し、以下の条件に従って液体懸濁培養の誘導を行った。
培地はショ糖3%を含み、pH5.8に調整したMS改変液体
培地(MS無機塩類+B5ビタミン類)を125ml容三角フラ
スコに30〜35ml分注したものを用いた。
し、以下の条件に従って液体懸濁培養の誘導を行った。
培地はショ糖3%を含み、pH5.8に調整したMS改変液体
培地(MS無機塩類+B5ビタミン類)を125ml容三角フラ
スコに30〜35ml分注したものを用いた。
培地添加オーキシンとして2,4−Dを0、0.3、1.0及
び3.0mg/の4段階濃度に添加したものを、明所(3,00
0ルックス、16時間照明)での培養及び暗所での培養の
2区に分割した。
び3.0mg/の4段階濃度に添加したものを、明所(3,00
0ルックス、16時間照明)での培養及び暗所での培養の
2区に分割した。
全試験区3反復(フラスコ3本)とし、各フラスコに
組織片3〜5個を置床して、28℃,150rpmで2ケ月間旋
回培養を行い、不定胚組織の増殖の有無を調査した。結
果を第2表に示す。
組織片3〜5個を置床して、28℃,150rpmで2ケ月間旋
回培養を行い、不定胚組織の増殖の有無を調査した。結
果を第2表に示す。
第2表 各培養条件での液体懸濁培養の誘導率(%)2,4−D濃度(mg/) 明所 暗所 0 0 0 0.3 0 33.3 1.0 33.3 33.3 3.0 33.3 33.3 2,4−D 0.3〜3.0mg/の濃度で不定胚の液体懸濁培養
の誘導が可能であり、フラスコ3本につき1本の確立で
誘導された。暗所での誘導も可能であるがやや効率が低
下する傾向にあった。
の誘導が可能であり、フラスコ3本につき1本の確立で
誘導された。暗所での誘導も可能であるがやや効率が低
下する傾向にあった。
2−2 不定胚液体懸濁培養組織の増殖 実施例2−1で誘導した不定胚液体懸濁培養組織を2,
4−D 10mg/明所で1ケ月間培養して増殖を行った後、
以下の条件に従って増殖条件の検討を行った。培地はシ
ョ糖3%を含み、pH5.8に調整したMS改変液体培地(MS
無機塩類+B5ビタミン類)を125ml容三角フラスコに30
〜35ml分注したものを用いた。
4−D 10mg/明所で1ケ月間培養して増殖を行った後、
以下の条件に従って増殖条件の検討を行った。培地はシ
ョ糖3%を含み、pH5.8に調整したMS改変液体培地(MS
無機塩類+B5ビタミン類)を125ml容三角フラスコに30
〜35ml分注したものを用いた。
培地添加オーキシンとして2,4−Dを0、0.1、0.3、
1.0及び3.0mg/の5段階濃度に添加したものを、明所
(3000ルックス、16時間照明)での培養及び暗所での培
養の2区に分割した。
1.0及び3.0mg/の5段階濃度に添加したものを、明所
(3000ルックス、16時間照明)での培養及び暗所での培
養の2区に分割した。
各フラスコに不定胚組織100μを置床して2週間培
養し、コンディショニングを行った後、6週間増殖率を
調査した。調査は100μの組織を1週間培養し体積を
測定した後、新たに100μを新しい培地に植継ぐ方法
をとった。
養し、コンディショニングを行った後、6週間増殖率を
調査した。調査は100μの組織を1週間培養し体積を
測定した後、新たに100μを新しい培地に植継ぐ方法
をとった。
全試験区3反復(フラスコ3本)とし、28℃,150rpm
で旋回培養を行った。結果を第3表に示す。
で旋回培養を行った。結果を第3表に示す。
第3表 各培養条件での不定胚組織の増殖率(v/v)
(倍/週、6週間、3反復の平均±標準誤差)2,4−D濃度(mg/) 明 所 暗 所 0 不定胚発生 不定胚発生 0.1 不定胚発生 不定胚発生 0.3 2.49±0.06 2.22±0.10 1.0 2.16±0.05 1.77±0.09 3.0 カルス細胞混入 カルス細胞混入 2,4−D 0.1mg/以下では不定胚組織は発生を開始
し、継代、維持ができなくなること、3.0mg/以上で
は、不定胚形成能を失ったカルス細胞が混入し、増殖条
件として適切でないことが確認された。
(倍/週、6週間、3反復の平均±標準誤差)2,4−D濃度(mg/) 明 所 暗 所 0 不定胚発生 不定胚発生 0.1 不定胚発生 不定胚発生 0.3 2.49±0.06 2.22±0.10 1.0 2.16±0.05 1.77±0.09 3.0 カルス細胞混入 カルス細胞混入 2,4−D 0.1mg/以下では不定胚組織は発生を開始
し、継代、維持ができなくなること、3.0mg/以上で
は、不定胚形成能を失ったカルス細胞が混入し、増殖条
件として適切でないことが確認された。
2,4−D 0.3mg/明所での培養で最高の増殖率(2.5倍
/週)を示した。
/週)を示した。
実施例3 不定胚の液体培地中での発生 実施例2−2の4増殖条件(2,4−D 0.3及び1.0mg/
、それぞれ明所・暗所)で継代、増殖した不定胚組織
をそれぞれホルモンフリー液体培地に移植して発生する
不定胚数の推定を行った。培地はショ糖3%を含み、pH
5.8に調整したホルモン無添加のMS改変液体培地(MS無
機塩類+B5ビタミン類)を125ml容三角フラスコに30〜3
5ml分注したものを用いた。
、それぞれ明所・暗所)で継代、増殖した不定胚組織
をそれぞれホルモンフリー液体培地に移植して発生する
不定胚数の推定を行った。培地はショ糖3%を含み、pH
5.8に調整したホルモン無添加のMS改変液体培地(MS無
機塩類+B5ビタミン類)を125ml容三角フラスコに30〜3
5ml分注したものを用いた。
前記の4増殖条件の不定胚組織100μをそれぞれホ
ルモンフリー液体培地で毎週培値を更新して8週間培養
を行い、成熟した不定胚数を測定した。培養はすべて28
℃、明所(3,000ルックス、16時間照明)で150rpmで旋
回培養する方法をとった。結果を第4表に示す。
ルモンフリー液体培地で毎週培値を更新して8週間培養
を行い、成熟した不定胚数を測定した。培養はすべて28
℃、明所(3,000ルックス、16時間照明)で150rpmで旋
回培養する方法をとった。結果を第4表に示す。
増殖不定胚組織100μから発生を開始した場合、1
万〜2万個の成熟した不定胚が得られることが確認され
た。
万〜2万個の成熟した不定胚が得られることが確認され
た。
増殖条件として暗所で培養した方が最終的に得られる
不定胚数は多くなるが、これは明所での培養と比較して
増殖組織が発生段階としてやや初期の状態にあるためと
思われる。
不定胚数は多くなるが、これは明所での培養と比較して
増殖組織が発生段階としてやや初期の状態にあるためと
思われる。
また、2,4−D 0.3mg/に比較して1.0mg/の方が不
定胚数が多くなるが、これは2,4−Dの持ち込み効果で
ホルモンフリー培地中でも若干の増殖が続くためと考え
られる。
定胚数が多くなるが、これは2,4−Dの持ち込み効果で
ホルモンフリー培地中でも若干の増殖が続くためと考え
られる。
実施例4 不定胚の液体培地中での発芽 実施例3で確認された方法のうち、2,4−D 0.3mg/
、明所での増殖組織から得られた成熟不定胚をサイト
カイニンBA添加液体培地に移植し発芽条件の検討を行っ
た。培地はショ糖3%を含み、pH5.8に調整したMS改変
液体培地(MS無機塩類+B5ビタミン類)を125ml容フラ
スコに30〜35ml分注したものを用いた。培地添加サイト
カイニンとしてBAを0、0.1、0.3、1.0、3.0、5.0、7.0
及び10.0mg/の8段階濃度に添加したものを、明所
(3,000ルックス、16時間照明)、28℃で培養した。
、明所での増殖組織から得られた成熟不定胚をサイト
カイニンBA添加液体培地に移植し発芽条件の検討を行っ
た。培地はショ糖3%を含み、pH5.8に調整したMS改変
液体培地(MS無機塩類+B5ビタミン類)を125ml容フラ
スコに30〜35ml分注したものを用いた。培地添加サイト
カイニンとしてBAを0、0.1、0.3、1.0、3.0、5.0、7.0
及び10.0mg/の8段階濃度に添加したものを、明所
(3,000ルックス、16時間照明)、28℃で培養した。
各フラスコに不定胚400〜500個を移植し、毎週培地を
更新して、4週間後、茎頂部,根との両極性の伸長を開
始したものを発芽した不定胚とみなし、各フラスコでの
不定胚発芽率を調査した。全試験区3反復(フラスコ3
本)として、150rpmで旋回培養を行った。結果を第5表
に示す。
更新して、4週間後、茎頂部,根との両極性の伸長を開
始したものを発芽した不定胚とみなし、各フラスコでの
不定胚発芽率を調査した。全試験区3反復(フラスコ3
本)として、150rpmで旋回培養を行った。結果を第5表
に示す。
成熟した不定胚の発芽はBAにより顕著に促進され、3.
0mg/添加で約50%が発芽を開始することが確認され
た。
0mg/添加で約50%が発芽を開始することが確認され
た。
実施例5 不定胚の寒天培地上での発生、発芽 実施例2−2の増殖条件のうち、2,4−D 0.3mg/、
明所で増殖した不定胚組織を寒天培地上に移植し、発
芽、発生条件の検討を行った。培地は寒天0.8%及びシ
ョ糖3%を含み、pH5.8に調整したMS改変培地(MS無機
塩類+B5ビタミン類)を直径100mlのプラスチックシャ
ーレに40〜50ml分注したものを用いた。
明所で増殖した不定胚組織を寒天培地上に移植し、発
芽、発生条件の検討を行った。培地は寒天0.8%及びシ
ョ糖3%を含み、pH5.8に調整したMS改変培地(MS無機
塩類+B5ビタミン類)を直径100mlのプラスチックシャ
ーレに40〜50ml分注したものを用いた。
培地添加ホルモンとしてNAA及びBAをそれぞれ0、0.
3、1.0及び3.0mg/の4段階に添加した計16区の試験区
を設けた。
3、1.0及び3.0mg/の4段階に添加した計16区の試験区
を設けた。
各試験区(シャーレ1枚)につき直径1mmの不定胚組
織塊を81個置床し、28℃、明所(3,000ルックス、16時
間照明)で培養を行った。培養2ケ月と4ケ月後の2
回、ホルモン無添加の寒天培地に植継ぎ培養6ケ月後に
発芽個体数を調査した。結果を第6表に示す。
織塊を81個置床し、28℃、明所(3,000ルックス、16時
間照明)で培養を行った。培養2ケ月と4ケ月後の2
回、ホルモン無添加の寒天培地に植継ぎ培養6ケ月後に
発芽個体数を調査した。結果を第6表に示す。
液体培地中での発生、発芽と比較して効率は非常に低
くなるが、BAの添加により発生・発芽が促進されるこ
と、NAA3.0mg/添加では抑制されることが確認され
た。
くなるが、BAの添加により発生・発芽が促進されるこ
と、NAA3.0mg/添加では抑制されることが確認され
た。
<発明の効果> 本発明によれば、ヤマノイモ科植物ナガイモの植物体
組織から効率的に不定胚の培養が行え、ナガイモの植物
生理、形態形成の研究開発の最適な実験系が提供でき、
さらに、組織培養による様々な植物育種法が応用可能と
なる。
組織から効率的に不定胚の培養が行え、ナガイモの植物
生理、形態形成の研究開発の最適な実験系が提供でき、
さらに、組織培養による様々な植物育種法が応用可能と
なる。
Claims (7)
- 【請求項1】ヤマノイモ科植物ナガイモの植物体組織を
オーキシン添加培地で培養することを特徴とするヤマノ
イモ科植物ナガイモ不定胚組織の誘導方法。 - 【請求項2】ナガイモの腋芽、茎の切片、葉柄の切片あ
るいは葉の切片を2,4−ジクロロフェノキシ酢酸を0.3〜
3.0mg/濃度に添加した培地上で明所培養することを特
徴とする請求項1記載の方法。 - 【請求項3】請求項1又は2記載の方法で誘導したナガ
イモ不定胚をオーキシン添加液体培地で旋回培養するこ
とを特徴とするヤマノイモ科植物ナガイモ不定胚の増殖
方法。 - 【請求項4】2,4−ジクロロフェノキシ酢酸含有液体培
地で培養し、不定胚カルスを形成させ、該カルスを0.1
〜1mg/の2,4−ジクロロフェノキシ酢酸含有液体培地
上で、1/30(v/v)以下の培養密度で継代培養すること
を特徴とする請求項3記載の方法。 - 【請求項5】請求項3又は4記載の方法で得られたナガ
イモ不定胚カルスをホルモン無添加液体培地で旋回培養
するか、又は寒天培地で静置培養し、不定胚を発生する
ことを特徴とするヤマノイモ科植物ナガイモ不定胚の発
生方法。 - 【請求項6】請求項5記載の方法で発生させたナガイモ
不定胚をサイトカイニン添加培地で培養し、ナガイモ不
定胚を発芽させることを特徴とするヤマノイモ科植物ナ
ガイモ不定胚の発芽法。 - 【請求項7】0.3〜5.0mg/の6−ベンジルアデニンを
含有する液体培地で旋回培養するか、又は3.0mg/以下
の6−ベンジルアデニン及びナフタリン酢酸を含有する
寒天培地で培養することを特徴とする請求項6記載の方
法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP63171444A JP2628610B2 (ja) | 1988-07-09 | 1988-07-09 | ナガイモの不定胚培養法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP63171444A JP2628610B2 (ja) | 1988-07-09 | 1988-07-09 | ナガイモの不定胚培養法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0220226A JPH0220226A (ja) | 1990-01-23 |
JP2628610B2 true JP2628610B2 (ja) | 1997-07-09 |
Family
ID=15923226
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP63171444A Expired - Lifetime JP2628610B2 (ja) | 1988-07-09 | 1988-07-09 | ナガイモの不定胚培養法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2628610B2 (ja) |
Families Citing this family (8)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2011083235A (ja) * | 2009-10-16 | 2011-04-28 | Kinjirushi Kk | 培養苗から多芽体の形成方法およびウイルスフリー種芋の生産方法 |
CN103125396B (zh) * | 2013-03-18 | 2014-06-04 | 湖北省农业科学院经济作物研究所 | 一种山药苗离体繁殖方法 |
CN103168690B (zh) * | 2013-03-29 | 2014-10-15 | 湖北理工学院 | 蕲山药脱毒微型种豆的繁育方法 |
CN106472318B (zh) * | 2016-10-20 | 2018-08-10 | 中国科学院亚热带农业生态研究所 | 一种药用盾叶薯蓣批量化生产的方法 |
CN109937879B (zh) * | 2019-04-02 | 2020-11-10 | 杭州师范大学 | 一种温山药转基因毛状根的诱导方法 |
CN110776991A (zh) * | 2019-11-20 | 2020-02-11 | 湖北中烟工业有限责任公司 | 一种怀山药脂肪酸的提取方法 |
CN112913693B (zh) * | 2021-02-08 | 2022-07-01 | 云南省农业科学院生物技术与种质资源研究所 | 利用搭桥技术防止植物愈伤褐化和胶状物形成的有效方法 |
CN112931205A (zh) * | 2021-03-04 | 2021-06-11 | 广东丰绿源生物医药科技有限公司 | 一种菊叶薯蓣组织培养繁育方法 |
-
1988
- 1988-07-09 JP JP63171444A patent/JP2628610B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH0220226A (ja) | 1990-01-23 |
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