JP2627084B2 - アルミニウム材の多色表面処理方法 - Google Patents

アルミニウム材の多色表面処理方法

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、アルミニウム材の多色表面処理方法に関
し、さらに詳しくは、アルミニウム材の表面に形成され
た2色以上の色彩(模様)を有する陽極酸化皮膜及び/
又は着色酸化皮膜上に均一な塗膜を形成する表面処理方
法に関する。
〔従来の技術〕
従来、2色以上の色彩(模様)を有し、かつ塗膜厚の
均一なアルミニウム材の多色表面処理方法としては、ま
ず陽極酸化処理(あるいはさらに着色処理)を施したア
ルミニウム材の表面に有色(例えばA色とする)又は透
明な塗装を施し、次いで該塗膜の表面を所望の模様にマ
スキングし、その後マスキング部以外の塗膜を研削し、
次いで露出された非マスキング部の陽極酸化皮膜(ある
いは着色酸化皮膜)表面に透明又は有色(例えばB色と
する)の塗装をし、その後マスキングを除去する方法が
知られている。
上記方法によれば、マスキングされた部分の塗膜の色
Aと非マスキング部の塗膜の色Bとにより、あるいは一
方が透明な塗膜の場合には、陽極酸化皮膜のシルバー色
(あるいは着色酸化皮膜の色)と他方の塗膜の(A又は
B)とにより模様が形成される。
〔発明が解決しようとする課題〕
前記従来の方法によれば、マスキング後にコストの高
い塗料を研削してその研削くずを廃棄するため、製造コ
ストが高くなるという問題がある。また、研削工程が入
るために作業性が劣り、さらに複雑な形状の形材の場合
には研削ができない場合があるので、自ずと模様にも制
限が生じるといった難点がある。
従って、本発明の目的は、上記のような欠点がなく、
比較的複雑な形状の形材にも適用でき、しかも比較的に
低コストで生産性よく、アルミニウム材表面に2色以上
の色彩(模様)を有するようにかつ均一な塗膜厚を形成
できるように多色表面処理できる方法を提供することに
ある。
〔課題を解決するための手段〕
本発明によれば、前記目的を達成するため、アルミニ
ウム材に第1次の陽極酸化処理を施した後、所望の模様
にマスキングし、その後、第2次の陽極酸化処理を施し
た後、着色処理し、次いでマスキングを除去した後、電
極塗装を行なう一連の工程を含む処理方法からなり、上
記1次陽極酸化処理においてその電解電圧を途中で一旦
降下させて通電及び/又は上記2次陽極酸化処理におい
てその電界電圧を途中で一旦上昇させて通電することを
特徴とするアルミニウム材の多色表面処理方法が提供さ
れる。
さらに本発明によれば、アルミニウム材に第1次の陽
極酸化処理を施した後、第1次の着色処理を施し、次い
で所望の模様にマスキングし、その後、第2次の陽極酸
化処理を施した後、第2次の着色処理を施し、次いでマ
スキングを除去した後、電着塗装を行なう一連の工程を
含む処理方法からなり、上記1次陽極酸化処理において
その電界電圧を途中で一旦降下させて通電及び/又は上
記2次陽極酸化処理においてその電界電圧を途中で一旦
上昇させて通電することを特徴とするアルミニウム材の
多色表面処理方法が提供される。
〔発明の作用及び態様〕
本発明者らは、前記従来の方法の欠点を解消すべく鋭
意研究の結果、アルミニウム材に第1次の陽極酸化処理
(あるいはさらに着色処理)を施した後所望の模様にマ
スキングし、その後第2次の陽極酸化処理を施した後着
色し、次いでマスキングを除去した後、クリヤー系塗料
により電着塗装することにより、マスキング部の陽極酸
化皮膜の色(あるいは着色酸化皮膜の色)と非マスキン
グ部の着色酸化皮膜の色とにより模様付けできる方法を
研究、開発した。
この方法によれば、前記従来のように塗料の研削くず
が発生することもなく、また比較的複雑な形状の形材に
も適用でき、しかも比較的に低コストで生産性よくアル
ミニウム材表面に模様付けを行なうことができる。
しかしながら、この方法によれば、通常、マスキング
部と非マスキング部の着色度が異なり、すなわち淡色部
と濃色部が存在することにより、電気泳動塗装処理(電
着塗装)の時に塗膜が付き易い部分と付きにくい部分が
生じ、その結果塗膜厚が不均一になるということが判明
した。そこで、本発明ではさらに、上記1次陽極酸化処
理においてその電界電圧を途中で一旦降下させて通電及
び/又は上記2次陽極酸化処理においてその電界電圧を
途中で一旦上昇させて通電させるものである。すなわ
ち、上記通電処理によって陽極酸化皮膜のバリヤー層を
調整するものであり、これによってその後の電着塗装工
程において均一な塗膜厚が得られることが見い出され
た。
上記本発明の処理方法による作用は、未だ完全に解明
されたとは言い難いが、一応の確証(実験結果)をもっ
て以下のように推測することができる。
ここで、説明の便宣上、1次陽極酸化処理→マスキン
グ→2次陽極酸化処理→着色処理→マスキング除去→電
着塗装という一連の工程(本発明の第1の方法)を考え
ると、電着塗装前の時点においては、アルミニウム材表
面のマスキング部には着色処理が施されていないため陽
極酸化皮膜のみが存在し、従って陽極酸化皮膜固有のシ
ルバー色(淡色)を有する。一方、非マスキング部には
着色処理、例えば電界着色処理が施され、陽極酸化皮膜
の微多孔内に金属や金属塩等が析出し、例えば、ライト
ブロンズ(シルバー色よりも濃色)に着色される。この
ような淡色部と濃色部を有するアルミニウム材にマスキ
ング除去後電着塗装を施すと、前記したように、淡色部
には塗膜が付きにくく、濃色部にはつき易いという傾向
が認められる。この理由は、金属や金属塩等が微多孔内
に析出・付着している陽極酸化皮膜(ライトブロンズ
色)の方が、金属塩等が析出・付着していない陽極酸化
皮膜(シルバー色)よりも通電性が良いためと考えられ
る。すなわち、微多孔内に金属や金属塩等が析出・付着
している陽極酸化皮膜(ライトブロンズ色)は、微多孔
層と電気の低抗体であるバイヤー層から構成され、かつ
この微多孔内に析出・付着している金属が良電導体であ
ることから電流が流れ易くなり、電着塗装の際に塗膜が
付き易くなる。一方、通常の陽極酸化皮膜(シルバー
色)は微多孔層と電気の低抗体であるバリヤー層か構成
されるため、上記着色酸化皮膜よりも通電性が悪く、従
って電着塗装の際に塗膜が付きにくくなり、その結果、
淡色部と濃色部(あるいはマスキング部と非マスキング
部)の間に塗膜厚のバラツキが生じたものと考えられ
る。
本発明者らは、上記のような問題について鋭意研究の
結果、陽極酸化皮膜のバリヤー層の性質、すなわちバリ
ヤー層は電気の低抗体であり、その厚さが厚い程抵抗が
大きくなること、またこの層の厚さは陽極酸化処理の最
終電解電圧に比例し、電圧が高い程厚くなることに着目
し、このバリヤー層の厚さを調整することによって上記
問題を解消できることを見い出した。
すなわち、本発明の方法においては、上記のように陽
極酸化皮膜のバリヤー層の調整を行なうが、その一態様
として、1次陽極酸化処理においてその電解電圧を途中
で一旦降下させて通電し、その後の処理は常法に従って
行なう。
すると、上記電圧降下によって、1次陽極酸化処理に
より形成されている陽極酸化皮膜のバリヤー層(抵抗が
大きい)が薄くなり、その結果、シルバー色(淡色)の
陽極酸化皮膜(マスキング部)の通電性が良くなり、電
着塗装において通電量が大きくなって塗膜が付き易くな
り、比較的塗膜が付き易い濃色部(非マスキング部)と
の塗膜厚のバラツキを防止でき、均一な塗膜厚が得られ
る。
または逆に、1次陽極酸化処理の電解電圧は通常のと
おりとし、2次陽極酸化処理においてその電解電圧を途
中で一旦上昇させる。すると、上記電圧上昇によって2
次陽極酸化処理により形成される陽極酸化皮膜のバリヤ
ー層が厚くなり、その結果、その電解着色処理によって
微多孔内に金属塩等が析出・付着するライトブロンズ色
(濃色部)の陽極酸化皮膜(非マスキング部)の通電性
が悪くなり、電着塗装において通電量が小さくなって塗
膜が付きにくくなり、比較的塗膜が付きにくい淡色部
(マスキング部)との塗膜厚のバラツキを防止でき、塗
膜厚が均一となる。
あるいはまた、上記1次陽極酸化処理の電圧降下と2
次陽極酸化処理の電圧上昇を併用することもできる。こ
の併用方法は、濃色部と淡色部の陽極酸化皮膜間の通電
性の差が大きい場合に特に有効となるが、いずれの方法
によっても本発明の効果は得られる。
また、上記作用説明は本発明の第1の方法についてな
されたが、本発明の第2の方法、すなわち1次陽極酸化
処理→1次着色処理→マスキング→2次陽極酸化処理→
2次着色処理→マスキング除去→電着塗装という一連の
工程を含む方法においても作用は全く同じである。すな
わち、本発明の第2の方法においてはマスキング部及び
非マスキング部共に着色された陽極酸化皮膜から構成さ
れるが、1次着色処理工程及び2次着色処理工程におい
て金属塩等の析出・付着の程度の差によって濃淡差があ
る場合、換言すればマスキング部と非マスキング部の着
色陽極酸化皮膜間に通電性の差がある場合には、前記し
たような原理によってマスキング除去後の電着塗装にお
いて塗膜厚にバラツキを生ずるので、上記陽極酸化処理
工程における電圧降下又は電圧上昇あるいはその両者の
併用によって塗膜厚のバラツキをなくし、均一な塗膜厚
を得ることができる。
色種によっても塗膜の付き易い色、付きにくい色があ
り、またブロンズ形に限って言えば淡色系は付きにく
く、濃色系は付き易いが、いずれにしても前記のように
陽極酸化皮膜のバリヤー層の厚さを調整することによっ
て塗膜厚の不均一を修正することできる。
なお、マスキング部及び非マスキング部のどちらの着
色酸化皮膜の方に塗膜が付着し易いか予め分らない場合
は、まず通常の方法に従って陽極酸化処理、着色処理、
電着塗装等の一連の処理を行なってみて塗膜厚を測定
し、塗膜の付きにくい領域のバリヤー層を薄くし(電圧
降下)、あるいは塗膜の付き易い領域のバリヤー層を厚
く(電圧上昇)すればよい。また、本発明の方法は前記
一連の工程を含む処理方法には全て適用でき、例えばマ
スキング処理を多段階にわたって行ない、3色以上の模
様付けを行なう多色表面処理方法にも適用できること
は、前記作用説明から明らかであろう。
以下、本発明のアルミニウム材の多色表面処理方法に
ついて概説する。
まずアルミニウム材に脱脂、水洗、エッチング、水
洗、中和等の適当な前処理を施した後、周知の陽極酸化
処理を施して陽極酸化皮膜を形成する。すなわち、周知
の無機酸及び/又は有機酸の電解液、例えば硫酸、クロ
ム酸、リン酸等、あるいはこれらの混酸、シュウ酸、マ
ロン酸等、あるいはこれらの又は無機酸との混酸などを
含有する電解液中で、直流もしくは交流又はこれらに類
似の電流波形を用いてアルミニウム材を陽極酸化処理す
る。陽極酸化処理の印加電圧、印加時間等は常法通りで
充分である。
次に、陽極酸化処理を施したアルミニウム材に、必要
に応じて水洗し、純水湯洗、沸騰水、薬品封孔、加圧水
蒸気など公知の手段により封孔あるいは半封孔処理を施
した後、マスキングフィルム、マスキング塗料等を用い
てマスキングするか(本発明の第1の方法)、あるいは
着色処理を施した後、封孔しマスキングする(本発明の
第2の方法)。
その後、再度、脱脂、エッチング、中和等の前処理を
行なった後、2次陽極酸化処理を施し、次いで、水洗後
2次着色処理を施す。その後、必要に応じて水洗、封孔
あるいは半封孔を行なった後、マスキングを除去し、電
着塗装を施す。次いで、水洗、焼付乾燥を行なってアル
ミニウム製品を得る。
前記着色処理としては、染料もしくは顔料を含有する
溶液中にアルミニウム材を浸漬する方法、無機金属塩、
例えばニッケル、コバルト、クロム、銅、マグネシウ
ム、鉄、カドミウム、チタン、マンガン、モリブデン、
カルシウム、バナジウム、錫、鉛、亜鉛などのような金
属の硝酸塩、硫酸塩、リン酸塩、塩酸塩、クロム酸塩な
どの無機酸塩、シュウ酸塩、酢酸塩、酒石酸塩などの有
機酸塩などを含有する電解液中で交流電解または直流陰
極電解する電解着色法、スルファミン酸、シュウ酸等の
有機酸を含有する電解液中で陽極酸化皮膜を形成すると
同時に着色する電解発色法などが適用できる。
本発明の方法では、前記したように1次陽極酸化処理
においてその電解電圧を途中で一旦降下させて通電及び
/又は上記2次陽極酸化処理においてその電解電圧を途
中で一旦上昇させて通電する以外は、他の処理工程は全
て常法通りでよい。電解電圧の変動範囲としては、電圧
を上昇させる場合は0.1〜15V、降下させる場合は0.1V以
上が適当である。
本発明の方法により処理されるアルミニウム材とは、
純アルミニウムまたは純アルミニウムにケイ素、マグネ
シウム、銅、ニッケル、亜鉛、クロム、鉛、ビスマス、
鉄、チタン、マンガンなどの金属を1種または2種以上
含む合金である。
〔実 施 例〕
以下、実施例及び比較例を示して本発明について具体
的に説明する。
実施例1 常法により脱脂、エッチング、中和されたアルミニウ
ム押出形材A−6063Sを15%硫酸水溶液に浸漬して陽極
とし、対極として設けられたアルミニウム陰極との間に
直流電流を13Vで30分間通電後、最終電圧を3.5Vに降下
させて3分間通電し、その表面に約12μmの第1次陽極
酸化皮膜を生成させた。これを水洗、純水湯洗(75℃×
4分)し、シルバー材とした。その一部をマスキング材
でマスキングし、再度、脱脂、エッチング、中和処理
し、第2次陽極酸化を直流で13V×30分間実施し、同じ
く約12μmの陽極酸化皮膜を得た。それを水洗し、次い
でニッケル浴で対極にカーボンを使用し、交流で10V×
1分通電して電解着色を行ない、ライトブロンズとし
た。それを水洗、純水湯洗後、マスキング材を除去し、
しかる後、10%の水溶性電着塗料(熱硬化性アクリル塗
料)中に浸漬して、対極として設けたステンレス鋼との
間に100Vの直流電圧を印加して4分間通電し、水洗後、
液切りを行ない、180℃で40分間焼付を行ない、複合皮
膜とした。
得られた製品のシルバー部とライトブロンズ部の塗膜
厚をパーマスコープで測定したところ、塗膜厚差は殆ど
なく0〜0.5μmであった。
比較例1 上記実施例1において、第1次陽極酸化を13V×30分
として電圧降下を行なわなかった以外は全て同様に処理
した。その結果、シリバー部とライトブロンズ部の塗膜
厚差は1〜1.5μmであった。
実施例2 実施例1において、第1次陽極酸化を13Vで30分間実
施して約12μmの第1次陽極酸化皮膜を生成させ、第2
次陽極酸化を直流で13V×25分間通電後最終電圧を15Vに
昇圧して3分間通電して実施することにより約12μmの
酸化皮膜を生成させ、そして電解着色は交流で10V×90
秒間通電してライトブロンズとする以外は、実施例1と
全く同様に処理した。その結果、シルバー部とライトブ
ロンズ部の塗膜厚差は殆どなく0〜0.5μmであった。
実施例3 常法により脱脂、エッチング、中和されたアルミニウ
ム押出形材A−6063Sを15%硫酸水溶液に浸漬して陽極
とし、対極として設けられたアルミニウム陰極との間に
直流電流を13Vで30分間通電後、最終電圧を3.5Vに降下
させて3分間通電し、その表面に約12μmの第1次陽極
酸化皮膜を生成させた。これを水洗、純水湯洗(75℃×
4分)し、シルバー材とした。その一部をマスキング材
でマスキングし再度、脱脂、エッチング、中和処理し、
第2次陽極酸化を直流で13V×25分間通電後、最終電圧
を15Vに昇圧して3分間通電して実施し、同じく約12μ
mの陽極酸化皮膜を得た。それを水洗し、次いでニッケ
ル浴で対極にカーボンを使用し、交流で10V×3分通電
して電解着色を行ない、マイルドブロンズとした。それ
を水洗、純水湯洗後、マスキング材を除去し、しかる
後、10%の水溶性電着塗料(熱硬化性アクリル塗料)中
に浸漬して、対極として設けたステンレス鋼との間に10
0Vの直流電圧を印加して4分間通電し、水洗後、液切り
を行ない、180℃で40分間焼付を行ない、複合皮膜とし
た。
得られた製品のシルバー部とマイルドブロンズ部の塗
膜厚をパーマスコープで測定したところ、塗膜厚差は殆
どなく、0〜0.5μmであった。
比較例2 実施例3において、第2次陽極酸化を13V×30分とし
て電圧上昇を行なわなかった以外は、実施例3と全く同
様に処理した。その結果、シリバー部とマイルドブロン
ズ部の塗膜厚差は2.0〜3.0μmであった。
実施例4 実施例3において、第2次陽極酸化を直流で13V×23
分間通電後最終電圧を17Vに昇圧して3分間通電するこ
とにより行ない、また電解着色は交流で10V×4分間通
電してダークブロンズとする以外は、実施例3と全く同
様に処理した。
その結果、シルバー部とダークブロンズ部の塗膜厚差
は1.5〜2μmであった。
比較例3 実施例4において、第2次陽極酸化を13V×30分とし
て電圧上昇は行なわず、色調を実施例4と同じダークブ
ロンズとするために電解着色を交流で10V×3分とする
以外は、実施例4と全く同様に処理した。その結果、シ
ルバー部とダークブロンズ部の塗膜厚差は4.5〜5μm
であった。
上記実施例3,4及び比較例2,3のように、マスキング部
と非マスキング部の着色度の差が大きい場合は、第1次
陽極酸化処理における電圧降下と第2次陽極酸化処理に
おける電圧上昇を併用することが好ましいことがわか
る。
〔発明の効果〕
以上のように、本発明によれば、マスキングを利用し
たアルミニウム材の多色表面処理方法において、1次陽
極酸化処理においてその電解電圧を途中で一旦降下させ
て通電及び/又は2次陽極酸化処理においてその電解電
圧を途中で一旦上昇させて通電することによって陽極酸
化皮膜のバリヤー層の厚さが調整され、従ってマスキン
グ部及び非マスキング部の着色度の異なる部分の通電性
がほぼ一様になるように調整されて。従って、その後の
電着塗装において均一な塗膜厚が得られる。また、この
ように塗膜厚を均一にできることにより、塗料コストが
低減すると共に、塗膜性能が向上し、不良率が低減する
という利点が得られる。
また、従来方法のように高価な塗料の研削工程が不要
となり、また通常の処理ラインにより処理できるため、
従来の方法に比べて生産性が良くなると共に生産コスト
も低減することができる。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】アルミニウム材に第1次の陽極酸化処理を
    施した後、所望の模様にマスキングし、その後、第2次
    の陽極酸化処理を施した後、着色処理し、次いでマスキ
    ングを除去した後、電着塗装を行なう一連の工程を含む
    処理方法からなり、上記1次陽極酸化処理においてその
    電界電圧を途中で一旦降下させて通電及び/又は上記2
    次陽極酸化処理においてその電界電圧を途中で一旦上昇
    させて通電することを特徴とするアルミニウム材の多色
    表面処理方法。
  2. 【請求項2】アルミニウム材に第1次の陽極酸化処理を
    施した後、第1次の着色処理を施し、次いで所望の模様
    にマスキングし、その後、第2次の陽極酸化処理を施し
    た後、第2次の着色処理を施し、次いでマスキングを除
    去した後、電着塗装を行なう一連の工程を含む処理方法
    からなり、上記1次陽極酸化処理においてその電界電圧
    を途中で一旦降下させて通電及び/又は上記2次陽極酸
    化処理においてその電界電圧を途中で一旦上昇させて通
    電することを特徴とするアルミニウム材の多色表面処理
    方法。
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