JP2626796B2 - 動力伝達装置 - Google Patents

動力伝達装置

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Description

【発明の詳細な説明】 イ.発明の目的 (産業上の利用分野) 本発明は車両駆動用等として用いられる動力伝達装置
に関し、特に、この装置を構成するエンジンと変速機と
が並設されてなる構成の動力伝達装置に関する。
(従来の技術) 車両用の動力伝達装置は、エンジンと、このエンジン
出力軸に接続されたカップリング手段(クラッチ、流体
カップリング、トルクコンバータ等)と、このカップリ
ング手段を介して伝達されるエンジン出力を変速する変
速機とを有し、この変速機出力がデフ機構等を介して車
輪に伝達され、車両の駆動がなされるようになっている
のが一般的な構成である。
従来においては、エンジン、カップリング手段および
変速機は軸方向に一列に並んで配設される構成が普通で
あり、このような構成の動力伝達装置が車両の前部エン
ジンルーム内に配設されていた。ところが、このような
配置では、エンジン前端から変速機後端までの寸法が長
くなり、エンジンを縦置にした場合には変速機後部が車
室内に突出して車室スペースが圧迫され、エンジンを横
置にした場合にはエンジンルームの車幅方向の寸法が大
きくなるという問題がある。このため、エンジンおよび
変速機の軸方向寸法が制約されることが多く、例えば、
多気筒エンジンの車載が難しくなる等という問題があっ
た。
このようなことから、例えば、特開昭55−60756号公
報、特開昭58−42850号公報等に開示されているよう
に、エンジンの側方に変速機を並設し、エンジン出力軸
と変速機入力軸とをチェーン機構により連結してなる動
力伝達装置を用い、エンジンおよび変速機を一体にした
状態での軸方向寸法を抑え、上記のような問題を解消し
ようとすることが行われている。
(発明が解決しようとする課題) しかしながら、チェーンおよびスプロケットは鋼等に
より作られているので、このチェーン機構をエンジン出
力軸に直接接続するような構成としたのでは、エンジン
のトルク変動の影響から、チェーンの耐久性低下、騒音
および振動増大という問題がある。このため、上記従来
の動力伝達装置においては、エンジンの出力軸にトルク
コンバータを配設し、トルクコンバータと変速機ギヤ機
構との間にチェーン機構を配設し、トルクコンバータに
よりエンジンのトルク変動を吸収させてからチェーン機
構による動力伝達を行わせるような構造が採用されてい
る。
ところが、このように構成する場合には、エンジンの
出力軸に直列にトルクコンバータを配設し、さらに、こ
のトルクコンバータの出力軸上にチェーン機構のジライ
ブスプロケットを配設することになり、動力伝達装置の
軸方向寸法は、エンジンの全長とトルクコンバータおよ
びドライブスプロケットの軸方向長さとを加えた長さと
なる。このため、この構成の動力伝達装置では、その軸
方向寸法の短縮化が充分でなく、例えば、エンジン自体
の軸方向全長が大きい多気筒エンジンを使用する場合に
車載スペース確保に難点が生ずる場合があるなど、装置
のコンパクト化という点で不満が残るという問題があ
る。
本発明は、このような問題に鑑みたもので、その軸方
向寸法の短縮化を充分に図ることができるような構成の
動力伝達装置を提供することを目的とする。
ロ.発明の構成 (課題を解決するための手段) 上記目的達成のため、本発明の動力伝達装置は、エン
ジンの側方に入力軸をエンジン出力軸と平行になるよう
にして変速機を配設するとともにエンジンから変速機に
至る動力伝達経路中に変速機入力軸と接続させてカップ
リング手段を配設し、エンジン出力軸とカップリング手
段入力軸とを、エンジン出力軸に接続したドライブプー
リ、カップリング手段入力軸に接続したドリブンプーリ
およびこれら両プーリ間に掛け渡した弾性ベルトからな
るベルト手段により連結し、この弾性ベルトによりドラ
イブプーリからドリブンプーリへの動力伝達を行わせる
のであるが、同時に、この弾性ベルトによりエンジンの
補機の駆動も行うように構成している。
(作用) 上記構成の動力伝達装置を用いる場合、エンジンの出
力軸にベルト手段が直接接続されるのであるが、このベ
ルト手段においては、例えばゴムベルト等の弾性ベルト
を用いているので、このベルト手段に伝達されるエンジ
ンの回転変動は弾性ベルトにより吸収される。このた
め、エンジン出力を直接ベルト手段を介して変速機の方
に伝達するように構成してもベルトの耐久性が損なわれ
るという問題がなく、また、騒音、振動も抑えられる。
なお、ベルト手段は、一般的に言って、チェーン機構よ
り伝達効率が高く、ベルト手段を用いた場合には、動力
伝達ロスが小さくなる。
さらに、ベルト手段がエンジン出力軸により直接駆動
される構成であるため、エンジン出力軸により直接駆動
させる必要があるエンジン補機類の駆動をこのベルト手
段のベルトにより行わせることも可能である。こうすれ
ば、エンジン補機駆動用ベルトの本数が少なくなり、エ
ンジンの軸方向寸法がその分短くなる。
(実施例) 以下、図面を用いて本発明の好ましい実施例について
説明する。
第1図および第2図は本発明に係る動力伝達装置を有
した車両の前部を側方および上方から透視して示す概略
図であり、車両前部のエンジンルーム内にエンジン1お
よびこれに一体に接合された動力伝達装置10が配設され
ている。
エンジン1は、ラジエータ2の後方にクランク軸が車
幅方向に延びるとともにシリンダ軸が斜め後上方に延び
て配設されている。エンジン1の出力軸側端部には動力
伝達装置10が接続されており、この動力伝達装置10は、
エンジン1の後側方に配設された自動変速機50と、エン
ジン1から自動変速機50への動力伝達を行わせるベルト
手段40とを有している。このベルト手段40は、エンジン
1の出力軸1aに接続されたドライブプーリ41、変速機50
の入力軸(この場合は、変速機50を構成するトルクコン
バータの入力軸)に接続されたドリブンプーリ41および
これら両プーリ41,42間に掛け渡されたゴムベルト43か
ら構成され、エンジン出力を変速機50に所定の減速比で
伝達するプライマリリダクション手段として作用する。
この動力伝達装置10において、エンジン出力軸1aとド
ライブプーリ41とは同軸である。このドライブプーリ41
とゴムベルト43を介して連結されるドリブンプーリ42
は、第1図に示すように、車体側方から見てエンジン出
力軸1aの斜め上後方に位置し、このドリブンプーリ42は
トルクコンバータ入力軸24と同軸に接続されており、さ
らに、トルクコンバータのタービンが接続される変速機
入力軸51とも同軸である。変速機50はカウンタシャフト
式の変速機であり、変速機出力軸52は変速機入力軸51と
平行でこれの斜め前下方に位置する。変速機出力軸52は
ファイナルギヤを介してデフ機構と繋がっており、デフ
機構から左右に分かれた左右アクスルシャフト81,82が
左右の前輪83,84と繋がっている。これらデフ機構の回
転中心およびアクスルシャフト81,82は、上記変速機出
力軸52の下方に位置する。
この場合において、第1図に示すように、エンジン1
をシリンダ軸が斜め後方に傾いた状態に配置するととも
に、この傾斜側の側方に変速機を配設するような構成と
すると、エンジン1に変速機50等を一体に取り付けた動
力伝達装置10全体の高さを低くすることが可能であり、
これによりボンネット位置を低くして前方視界を向上さ
せることが可能となる。
ここで、上記ベルト手段40のゴムベルト43は、第1図
に示すように、上記ドライブおよびドリブンプーリ41,4
2のみならず、オイルポンプ駆動プーリ44およびバラン
サーシャフト駆動プーリ45にも掛け渡されており、エン
ジン1によりドライブプーリ41が回転駆動されると、こ
の駆動がゴムベルト43を介して上記各プーリ42,44,45に
伝達され、これらが回転駆動される。
すなわち、本例においては、ドライブおよびドリブン
プーリ41,42はハウジング内において油中潤滑の状態で
使用されるのであるが、これと同様に油中でのベルト駆
動に適したオイルポンプ駆動プーリ44およびバランサー
シャフト駆動プーリ45の駆動が、ベルト手段40のゴムベ
ルトによりなされる。このため、従来のエンジンにおい
ては、別途必要とされた、オイルポンプおよびバランサ
ーシャフト駆動用のベルトが、本例においては不要であ
り、その分エンジン1の軸方向長さを短縮することがで
きる。
なお、エンジン1には、オイルポンプおよびバランサ
ーシャフト以外にも、このエンジン1により直接駆動す
る必要のある補機がある。このため、エンジン出力軸1a
はベルト手段40のハウジングから外方に突出するととも
にこの突出部に上記補機駆動用ベルト30が配設される。
この補機駆動用ベルト30は、エンジン出力軸1aの突出
部に取り付けられた4個の補機ドライブプーリ31a〜34a
を有している。第1補機ドライブプーリ31aとパワース
テアリング用ポンプ3aの駆動プーリ31bとの間に第1補
機ベルト31cが掛け渡されており、第2補機ドライブプ
ーリ32aとACジェネレータ3bの駆動プーリ32bとの間に第
2補機ベルト32dがテンショナー32cによりテンション調
整されて掛け渡されており、第3補機ドライブプーリ33
aとエアコン用コンプレッサ3cの駆動プーリ33bとの間に
第3補機ベルト33dがテンショナー33cによりテンション
調整されて掛け渡されており、第4補機ドライブプーリ
34aとカムシャフト駆動プーリ34bおよびウォータポンプ
駆動プーリ34cとの間には第4補機ベルト34eがテンショ
ナー34dによりテンション調整されて掛け渡されてい
る。
以上のように、エンジン1の後側方にエンジン1のク
ランク軸と平行にして変速機50を配設し、これら両者を
ベルト手段40により連結する構成とすれば、エンジン1
および動力伝達装置10を一体にした状態での軸方向寸法
(第2図の寸法B)は、エンジン1の軸方向寸法にベル
ト手段40の軸方向寸法を加えたものであり、ベルト手段
40の軸方向寸法は図示の如く短いので、この寸法を短く
することができる。さらに、本例のようにこのベルト手
段40のゴムベルト43によりエンジン補機の駆動も兼用す
るようにすれば、従来に比べてエンジン自体の軸方向寸
法が短くなり、上記寸法Bの短縮効果が大きい。
このため、エンジンルームの車幅方向のスペースが小
さくて良い。逆にエンジンルームスペースをそのままに
すれば、軸方向寸法が長い多気筒エンジンの搭載が容易
となり、車体両側を前後に延びる縦フレーム5a,5bの幅
を広くしてこれの強化を図ることもできる。さらには、
前輪のサスペンション関係のレイアウトの自由度が増す
という利点もある。
次に、上記動力伝達装置10について第3図を用いて詳
細に説明する。この動力伝達装置10は、上述のように、
エンジン1の出力側端部にエンジン1と一体に接合され
てなり、第1〜第6ハウジングに囲まれてなる空間15a
〜15e内に、歯付きゴムベルト式のベルト手段40と、ト
ルクコンバータ20を有したカウンタ軸タイプの自動変速
機50と、デフ機構70とを配設して構成されている。
ベルト手段40は、第1および第2ハウジング11a,11b
に囲まれた空間15a内に配設される。エンジンクランク
軸に接続されたエンジン出力軸1aはこの空間内15aを通
って配設されており、このエンジン出力軸1aにドリブン
プーリ41が取り付けられている。この空間15a内には、
変速機50を構成するトルクコンバータ20の入力軸24が、
エンジン出力軸1aと平行で且つ所定距離を置いて配設さ
れており、このトルクコンバータ入力軸24にドリブンプ
ーリ42が取り付けられている。そして、これら両プーリ
41,42間にゴムベルト43が掛け渡されてベルト手段40が
構成されている。このゴムベルト43はその内面に歯を有
する歯付きベルトであり、上記両プーリ41,42はその外
周面にベルト43の歯に噛み合う外歯を有しており、スリ
ップの無い効率の高い動力伝達がなされる。
このベルト手段40は、空間15a内に配設されているの
であるが、前述のように、この空間内には、オイルポン
プ駆動プーリ44およびバランサーシャフト駆動プーリ45
が配設されており、ゴムベルト43はこれらプーリ44,45
にも掛け渡される。
なお、上記エンジン出力軸1aは空間15aを通ってエン
ジンとは反対側外方に突出しており、この突出部に第1
〜第4補機ドライブプーリ31a〜34aおよび小フライホイ
ール35が取り付けられている。
変速機50は、第2および第3ハウジング11b,11cに囲
まれた空間15b内に配設されたトルクコンバータ20と、
第3〜第6ハウジング11c〜11fにより囲まれた空間15c
〜15e内に配設されたカウンタ軸タイプの変速機構とか
らなる自動変速機である。
トルクコンバータ20は、ポンプ23、ステータ22および
タービン21から構成される。ポンプ23は、ドリブンプー
リ42が取り付けられたトルクコンバータ入力軸24に結合
され、ステータ22は固定保持され、タービン21はトルク
コンバータ入力軸24の延長線上に位置する変速機入力軸
51に結合される。
この変速機50の変速機構は、上記変速機入力軸51と、
これに平行に配設された変速機出力軸52とを有してお
り、これら両軸51,52の間には、それぞれ互いに噛合す
る1速用ギヤ列61a,61b、2速用ギヤ列62a,62b、3速用
ギヤ列63a,63b、4速用ギヤ列64a,64bおよびリバース用
ギヤ列65a,65b(但し、リバース用ギヤ列は間にアイド
ラギヤを介して噛合する)の5組のギヤ列が配設されて
いる。これらの各ギヤ列は、各ギヤ列に対応して配設さ
れた5組の油圧クラッチ機構機構53〜57の作動により、
これらのギヤ列のいずれかによる動力伝達が選択され
て、所定の変速段が設定される。
変速機出力軸52にはファイナルドライブギヤ67が取り
付けられており、このファイナルドライブギヤ67はデフ
機構70の外周部に形成されたファイナルドリブンギヤ71
と噛合している。このため、上記のようにして選択され
たいずれかのギヤ列により変速されたエンジン出力は、
上記ファイナルギヤ列67,71を介してデフ機構70に伝達
され、このデフ機構70により左右のアクスルシャフト8
1,82に振り分けられ、これらのアクスルシャフト81,82
により左右の車輪83,84に伝達される。
以上の構成の動力伝達装置では、ベルト手段40は、互
いに離れて位置するエンジン出力軸1aとトルクコンバー
タ入力軸24との間の動力伝達手段として作用するのであ
るが、両プーリ41,42の大きさの設定を変えることによ
り、エンジン出力を所定の比で減速して変速機50に伝達
するプライマリリダクション装置としても作用する。こ
のため、エンジン出力に対するトルクコンバータのマッ
チングが最適となるようにプライマリリダクションの比
を設定することが可能であり、エンジンおよび変速機の
選定の自由度が大きくなる。
また、本例のようにプライマリリダクション装置とし
て歯付きゴムベルトを用いると、従来のようなチェーン
もしくはギヤによるプライマリリダクション装置を用い
た場合に比較して、以下のような利点がある。
1)ベルトがゴムベルト等の弾性ベルトであり、エンジ
ンの回転変動をこの弾性によりある程度吸収させること
ができるので、エンジン回転変動が変速機の方に伝達さ
れるのが防止され、装置の静粛化が図れ、また、ベルト
の耐久性が低下するということが少ない。
2)チェーンに比べベルトの方が伝達効率が高く、エン
ジン動力伝達ロスが低減する。また、ギヤによる場合に
は、プライマリリダクションの入出力軸間の距離か大き
いと複数のギヤを使用する必要があり、その分伝達効率
が低下するが、ベルトの場合はこのような効率低下の問
題がない。
3)ベルト手段の重量が軽く、装置の軽量化が図れる。
また、回転質量が小さくなるので、高回転エンジンに対
しても適用し易い。
なお、上記構成の動力伝達装置10の場合には、第3図
から良く分かるように、外径の大きなトルクコンバータ
20のために、エンジン1の出力軸1aと変速機50の入力軸
51(およびトルクコンバータ20の中心軸)との距離が大
きくなり、変速機50をエンジン1からある程度離して配
設する必要がある。しかしながら、第1図に示すよう
に、変速機出力軸52およびデフ機構70の回転軸(これは
アクスルシャフト81,82の軸と一致する)をエンジン側
に近接させて配設することにより、エンジン1に動力伝
達装置10を取り付けた状態での車体前後方向の寸法(エ
ンジン1の出力軸1aと直角な方向の寸法であり、第1図
において“A"で示す寸法)も短縮することができる。
以上においては、変速機としてトルクコンバータと組
み合わせた自動変速機を用いた場合の例を示したが、第
4図に、マニュアル式変速機を用いた場合での本発明に
係る動力伝達装置18の例を示す。
この動力伝達装置18は、エンジン1の出力側端部に接
合された第1アセンブリ18aと、エンジン1の後側部に
接合された第2アセンブリ18bとから構成される。第1
アセンブリ18aは、第1〜第3ハウジング12a〜12cに囲
まれた空間16a,16b内に、ベルト手段140およびメインク
ラッチ120を配して構成されている。第2アセンブリ18b
は、第4〜第6ハウジング13a〜13cに囲まれた空間16c,
16d内に、カウンタ軸タイプの変速機150およびデフ機構
170を配して構成されている。
上記ベルト手段140は、ドライブプーリ141、ドリブン
プーリ142およびゴムベルト143からなり、このゴムベル
ト143によりオイルポンプ駆動プーリおよびバランサー
シャフト駆動プーリの駆動もなされるのであるが、これ
は全て基本的には第3図のものと同じなので、その説明
は省略する。同様に、補機ドライブプーリ31a〜34aおよ
びフライホイール35についての説明も省略する。
ドリブンプーリ142は、第1および第2ハウジング12
a,12bにより回転自在に支持された回転軸144に支持され
ており、この回転軸144は、メインクラッチ120のサポー
トディスク121に結合されている。
メインクラッチ120は、サポートディスク121、フリク
ションディスク122、プレッシャディスク123およびダイ
ヤフラムスプリング124を、この順で軸方向に並んで有
して構成されている。
フリクションディスク122は、その内周部において変
速機入力軸151とスプライン結合しており、その外周部
のフリクション部材はサポートディスク121とプレッシ
ャディスク123との間に挟まれている。ダイヤフラムス
プリング124はそのスプリング力によりプレッシャディ
スク123をフリクションディスク122の方に押圧してお
り、この押圧力により、通常はフリクションディスク12
2はサポートディスク121と一体に繋がった状態になって
いる。このため、この状態ではベルト手段140により伝
達されてくるエンジン出力はそのまま変速機入力軸151
に伝達される。
また、ダイヤフラムスプリング124の内周部に側方か
ら対向するレリーズベアリング125が配設されており、
このレリーズベアリング125はケーブル等によりクラッ
チペダルと繋がっている。このため、クラッチペダルが
踏み込まれると、レリーズベアリング125が軸方向に移
動されてダイヤフラムスプリング124の内周を図中左方
に押圧する。これによりダイヤフラムスプリング124に
よるフリクションプレート122の押圧が解除され、メイ
ンクラッチ120の接続が解除される。このようにして、
メインクラッチ120により変速機150へのエンジン動力の
断接制御がなされる。
変速機150はカウンタ軸タイプのマニュアル操作式変
速機であり、上記のようにフリクションディスク122に
接続された変速機入力軸151と、この変速機入力軸151と
並んで同軸に配設された変速機出力軸153と、これら両
軸151,153に対して一定の距離を有して平行に配設され
た変速機カウンタ軸152とを有しており、これら3本の
軸151,152,153は全て回転自在に支持されている。変速
機入力軸151の左端部と変速機出力軸153の右端部はロー
ラベアリング151aを介して互いに相対回転自在に係合さ
れている。
変速機入力軸151の左側部に一体形成されたドライブ
ギヤ161aは、変速機カウンタ軸152に取り付けられたド
リブンギヤ161bと噛合しており、さらに、変速機カウン
タ軸152と変速機出力軸153との間には、それぞれ互いに
噛合する5組のギヤ列162a,162b、163a,163b、164a,164
b、165a,165b、166a,166b(但し、ギヤ166aと166bとは
アンドラギヤを介して噛合する)が配設されている。
変速機カウンタ軸152および変速機出力軸153上にはシ
ンクロメッシュ機構155,156,157が配設されており、こ
れの作動により、上記5組のギヤ列のいずれかによる動
力伝達がされるようになっている。なお、シンクロメッ
シュ機構155は、変速機入力軸151と変速機出力軸153と
を直結させることができるようになっており、このた
め、シンクロメッシュ機構155,156,157の選択作動によ
り、前進5速、後進1速の速度段設定を行わせることが
できる。
変速機150の図中左側には、デフカバー171により覆わ
れ、プラネタリ式のファイナル減速機175と、デフ機構1
70とが変速機出力軸153と同軸に配設されている。
ファイナル減速機175は、変速機出力軸153の左端部と
スプライン結合されたサンギヤ176と、このサンギヤ176
と噛合するプラネタリギヤ177aを回転自在に支持するプ
ラネタリキャリア177と、プラネタリギヤ177aに噛合し
第6ハウジング13cに固設されたリングギヤ178とからな
る。プラネタリキャリア177はデフケース172に一体結合
しており、このため、変速機出力軸153の回転はファイ
ナル減速機175により減速されてデフ機構170に伝達され
る。
デフ機構170においては、デフケース172内の差動ギヤ
組の作用により、このデフ機構170に伝達された動力を
左右のアクスルシャフト181,182に振り分けて伝達す
る。
ここで、アクスルシャフト181,182は、変速機入出力
軸151,153と同軸であるため、変速機入力軸151および変
速機出力軸153がともに中空に形成されており、右アク
スルシャフト182は、これら両軸151,153の中空貫通孔15
1b,153a内およびベルト手段140の中空回転軸144の貫通
孔144a内を貫通し、さらに、メインクラッチ120を貫通
して配設されている。このようにして配設されたアクス
ルシャフト181,182は左右の車輪83,84に接続しており、
デフ機構170により振り分けられた動力は、これらアク
スルシャフト181,182を介して左右の車輪83,84に伝達さ
れる。
上記構成の場合には、メインクラッチ120は、ベルト
手段140を間に挟んで、変速機150およびエンジン1の反
対側に配設されているので、外径の大きなメインクラッ
チ120とエンジン1との干渉のおそれがなく、変速機150
をエンジン1にかなり近接して配置することができる。
このため、第1図における寸法“A"をかなり短縮して、
エンジン1に動力伝達装置10を取り付けた状態での装置
全体の構成を非常にコンパクトにすることができる。
ハ.発明の効果 以上説明したように、本発明によれば、エンジン出力
軸とこのエンジンの側方に配設した変速機の入力軸と
を、弾性ベルトを有したベルト手段により連結し、この
弾性ベルトによりドライブプーリからドリブンプーリへ
の動力伝達を行わせるように構成しているので、エンジ
ンの回転変動を弾性ベルトにより吸収させ、装置からの
騒音および振動の低減を図ることができ、また、ベルト
の耐久性が損なわれるのを防止することができる。この
ため、エンジンの出力軸に直接ベルト手段を取り付ける
ことが可能となり、このベルト手段によりエンジン補機
の駆動も兼用させることができる。これにより、エンジ
ン補機駆動用ベルトの本数が少なくなり、エンジンの軸
方向寸法の短縮化を図ることができる。
特に、ベルト手段はその軸方向寸法が大きくないた
め、エンジン出力軸にベルト手段を取り付けたとして
も、エンジンおよび動力伝達装置全体の軸方向寸法があ
まり大きくならず、全体の軸方向寸法の短縮化が図り易
い。
また、例えば、自動変速機において、トルクコンバー
タとエンジンとの間にベルト手段を配設することができ
るので、このベルト手段のプライマリリダクション手段
としての作用による減速比の調整が任意に行え、エンジ
ンとトルクコンバータの最適なマッチングを行わせるこ
とが容易である。
【図面の簡単な説明】 第1図および第2図は本発明に係る動力伝達装置を有し
た車両の前部を側方および上方から見て示す概略側面図
および概略平面図、 第3図は上記動力伝達装置を示す断面図、 第4図は本発明に係る動力伝達装置の異なる例を示す断
面図である。 10……動力伝達装置、20……トルクコンバータ 22……フライホイール、30……補機駆動用ベルト 35……フライホイール、40……ベルト手段 43……ゴムベルト、50……変速機構

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】エンジンの側方にエンジン出力軸と平行な
    入力軸を有して配設された変速機と、前記エンジンから
    この変速機に至る動力伝達経路中にこの変速機の入力軸
    に接続して配設されたカップリング手段と、前記エンジ
    ン出力軸に接続されたドライブプーリ、前記カップリン
    グ手段の入力軸に接続されたドリブンプーリおよびこれ
    ら両プーリ間に掛け渡された弾性ベルトからなるベルト
    手段とから構成され、 前記弾性ベルトが、前記ドライブプーリから前記ドリブ
    ンプーリへの動力伝達のみならず、前記エンジンの補機
    の駆動も行うことを特徴とする動力伝達装置。
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