JP2626706B2 - 食器洗浄機 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本発明は食器洗浄機、特に、洗浄液噴射構造に関す
る。

［従来の技術］ 食器洗浄機の洗浄液噴射構造は噴射される洗浄液が食
器の全体各部にまんべんなく行きわたって食器の洗浄が
効率よく、仕上よく行なわれるように工夫がなされてい
る。すなわち、従来、一般に見られる構造は、装置の食
器洗浄室の上下において複数個の洗浄液ノズルを配して
ノズルアームをその長さ方向の中心を回転軸で軸支して
回転自在に設け、ノズルからの洗浄液の噴出とともにそ
れを推進力として旋回させることにより、回転移動する
ノズルで広い範囲に洗浄液を噴射するものである。また
他の洗浄液噴射構造は、装置の食器洗浄室の上下の各々
に複数本のパイプアームを平行に固定して設け、これら
パイプアームの各々には複数個の洗浄液ノズルを設け、
一方、食器洗浄室内に配置される食器収容用のラックを
洗浄液室内で揺動させる駆動機構を設け、上下の洗浄液
ノズルからの洗浄液の噴射とともに食器を収容したラッ
クを洗浄室内で揺動させるものである。

［発明が解決しようとする問題点］ しかしながら、上記従来例のうち、前者にあっては、
通常、食器洗浄室及びそこに収容する食器収容用ラック
が平面四角形であるため、ノズルアームを旋回させて洗
浄する際、四角形の隅部に洗浄液が行き届きにくい四角
が生じ、この部分で食器の洗浄能力が落ちるという問題
がある。これを防止するために洗浄液ノズルをパイプア
ーム上にさらに増設し、かつ外側のものをより外周へ向
くよう調整する等して洗浄室隅部まで充分に洗浄液が行
き渡るようにすると、いわば洗浄室に外接する円の範囲
に洗浄液を撒散らすことにもなり、洗浄液を無駄に消費
し、運転コストが高くなる。また、ノズルアームを旋回
させると、ノズルアームの中心回転軸の付近とノズルア
ーム端部付近とではノズルアームの回転速度が異なるた
め、洗浄力に差が生じ、しかも洗浄室面積に比して洗浄
液ノズルの数が少ないため、洗浄性能が劣り、短時間で
洗浄処理作業を行うことができないという問題がある。

一方、上記従来例のうち、後者にあっては、上記前者
の問題点はある程度解消できるものの、食器を収容した
ラックを揺動させるため、運転時に食器がぶつかって騒
音が生じたり、食器を破損することがある等の問題があ
る。また、上下のパイプアームに設けた洗浄液ノズルか
ら真下に洗浄液を噴き出し、あるいは真上に噴き上げる
間でラックに収容された食器を揺動させ、単に洗浄液の
噴射範囲内で目的物が揺動するだけであり、しかも洗浄
液ノズルからの洗浄液の噴射範囲はノズル軸に対して指
向性のない全方位を均等にカバーするようになっている
ため、食器と洗浄液噴射流の食器表面への衝突角度の時
間的変化及び衝突圧力が小さく、食器の隅々まで噴射洗
浄液が当たりにくく、洗浄力に問題がある。

本発明は上記従来の問題を解決するものであり、洗浄
力が高く、洗浄効率に優れ、洗浄液を無駄にしない経済
的な食器洗浄機を提供することを目的とする。

［課題を解決するための手段］ 本発明は上記の目的を達成するため、装置本体内の食
器洗浄室の上下に洗浄液噴射手段及びすすぎ液噴射手段
を備える食器洗浄機において、前記洗浄液噴射手段を、
洗浄液の供液手段に接続し、前記食器洗浄室の上下の各
々に互いに方向を揃えられ、その長さ方向を軸として回
動可能に並べられて横設された複数本のパイプアーム
と、前記食器洗浄室に臨むように前記パイプアームに設
け、噴射範囲がノズル中心軸の周囲で方向性をもち、し
かもその噴射方向が前記パイプアームの長さ方向に対し
て所定の角度を有する複数個の洗浄液ノズルと、前記パ
イプアームを上下の各々の間及び上下の間で同期させて
所定の角度だけ往復回動させる回動駆動手段とで構成し
たことを特徴とする。

［作用］ 本発明の食器洗浄機によれば、食器洗浄室の上下に設
けられた洗浄液噴射手段のパイプアームを回動駆動手段
で所定の角度だけ往復回動させることとにより、洗浄
時、パイプアームに設けられた洗浄液ノズルが揺動しな
がら洗浄液を噴射する。そして、パイプアームは食器洗
浄室内の上下で互いに方向を揃え、横設するものでり、
これらのパイプアームには複数個の洗浄液ノズルを配し
ているので、食器洗浄室の平面全体にむらなく洗浄液が
噴射されることになる。また、食器洗浄室内で上下の洗
浄液噴射手段の間に配置される食器にはこれら洗浄液ノ
ズルから噴射する洗浄液が食器に対する放射角度を変え
ながらぶつかることになる。また、洗浄液ノズルの揺動
は上下の各々の間及び上下の間で同期をとることで、食
器洗浄室内でラックに収容される食器は上下から同時集
中的に洗浄液が浴びせられることになる。さらに、洗浄
液ノズルはその噴射範囲がノズル中心軸の周囲で方向性
を持っているので、該ノズルよりの洗浄液噴射流は圧力
の大きな、かつ方向性をもったものとなる。

［実施例］ 以下本発明の一実施例について図面を参照しながら説
明する。

第１図ないし第４図及び第８図に示すように、洗浄機
本体１上に背面板２、洗浄室カバー３により食器洗浄室
４が形成されている。洗浄室カバー３はハンドル５、リ
ンク６、７、回動アーム８及びスプリング９等で構成さ
れたカバー開閉機構により上下方向にスライドされて開
閉されるようになっている。洗浄機本体１の上部には上
面が開口する洗浄タンク10が設けられ、洗浄機本体１の
下部には洗浄ポンプ11、すすぎポンプ12、洗剤ポンプ1
3、リンスポンプ14等が設けられている。食器洗浄室４
の上下には上部洗浄液噴射手段15a及び下部洗浄液噴射
手段15b並びに上部すすぎ液噴射手段16a及び下部すすぎ
液噴射手段16bが設けられる。洗浄タンク10は洗浄液供
給管17、洗浄ポンプ11及び洗浄液供給管18、19、20を経
て上下の洗浄液噴射手段15a、15bに接続され、すすぎ液
噴射手段16a、16bには給湯管21、すすぎポンプ12及びす
すぎ液供給管22により給湯源（図示せず）が接続され、
すすぎ液供給管22にはリンス剤供給管23、リンスポンプ
14及びリンス剤供給管24によりリンス剤収容タンク28が
接続されている。洗浄タンク10には洗剤供給管25、洗剤
ポンプ13及び洗剤供給管26により洗剤原液収容タンク27
が接続されている。洗浄タンク10の上部にはオーバーフ
ロー管30が接続されている。

食器洗浄室４の下部で洗浄液噴射手段15b及び下部す
すぎ液噴射手段16bの上方に位置するようにラック受レ
ール31が配置され、ラック受レール31は洗浄機本体１側
に固定されている。ラック受レール31には食器を収容し
たラック（図示しない）が乗せられるようになってい
る。

洗浄液噴射手段15a、15bは複数本のパイプアーム33
a、33bと、各パイプアーム33a、33bに所定の間隔で設け
られた洗浄液ノズル34と、パイプアーム33a、33bの回転
駆動手段46等で構成されている。パイプアーム33a、33b
は食器洗浄室４の上下の各々に互いに方向を揃えられ、
所定の間隔で水平に並べられ、その長さ方向を軸として
回動可能に支持されている。すなわち、各パイプアーム
33a及び33bは、その開口する一端部35が洗浄液供給管20
に設けられた軸受部38に嵌込まれて洗浄液供給管に接続
されるとともに、回転可能に支持され、他方の閉鎖され
た他端部36が背面板２に設けられた軸受板40の軸受部4
1、洗浄機本体１上に設けられた軸受板39の軸受部42に
回動可能に支持されている。

パイプアーム33a、33b上に設けられた洗浄液ノズル34
は第５図ないし第７図に示すように、噴出口44が長穴で
あり、かつ先端に向かってＶ字形に開いている。したが
って、この洗浄液ノズル34から噴射される洗浄液の噴射
範囲はノズル中心軸45周囲で一定の方向性をもってい
る。しかも、洗浄液ノズル34は第７図に示すように、パ
イプアーム33a、33bの長さ方向に対して一定の角度αを
有するように取り付けられている。洗浄液ノズル34の角
度αによる方向性は上下パイプアーム33a、33bで同一と
なるように設定されている。

パイプアーム33の回動駆動手段46について説明する
と、第８図に示すように、上下の洗浄液噴射手段15a、1
5bにおけるパイプアーム33a、33bの一端部35に連結突片
47が各パイプアーム33a、33bの回転軸より外周側へ突設
され、これら複数の連結突片47は水平往復運動可能に設
けられた作動板48a、48bに軸着されている。下方の作動
板48bの先端部は支持受部56に支持され、基端部には受
枠49が設けられ、これに駆動モータ50の動力軸に対して
偏心位置で円回転運動をする偏心回転突起51が遊嵌され
ている。上下のパイプアーム33a、33bのうち各々１つに
は横方向に接続突片53が設けられ、これに上下方向に設
けられた接続板54の両端が軸着されている。したがっ
て、駆動モータ50の駆動により偏心回転突起51の円運動
が下部の作動板48bの直線往復運動に変換され、下部の
複数本のパイプアーム33bが同期して所定角度揺動運動
をすることになる。これは接続板54を経て上部に伝えら
れ、上部の作動板48aも連動して直線往復運動をし、上
部の複数本のパイプアーム33aも下部のそれに同期して
所定角度の揺動運動をすることになる。第９図は上下の
パイプアーム33a、33bの動作説明図であり、パイプアー
ム33a、33bは上部、下部の複数本の間において同期する
とともに上下の間でも同期している。図示例では、上下
のパイプアーム33a、33bは共に方向が同じ同期である
が、例えば第９図で上部のパイプアーム33aの洗浄液ノ
ズル34が左向きのときに下部のパイプアーム33bの洗浄
液ノズル34が右向きとなるような形態で同期をとっても
よい。そのときは第８図における接続突片53を同図の位
置から反対左側へ突出させ、これに接続板54を軸着すれ
ばよい。なお、パイプアーム33a、33b、言い換えれば洗
浄液ノズル34の摺動角度、周期等は適宜に決定すること
ができる。

すすぎ液噴射手段16a、16bは食器洗浄室４の上下に中
心が軸支されたノズルアーム60a、60b等からなる。ノズ
ルアーム60a、60bは両端を閉鎖したパイプに複数個の穴
を所定の間隔であけた従来公知の簡単な構造である。上
下のノズルアーム60a、60bはその穴が食器洗浄室４に臨
んで向かい合うようにして配置されている。

以上の構成において、以下、その一連の食器洗浄動作
について第２図を参照しながら説明する。

まず、洗浄タンク10内に湯を溜めておき、洗浄ポンプ
13を駆動し、先剤原液収容タンク27から洗剤供給管25、
26を通して取り出した洗剤を洗浄タンク10内に供給して
洗浄液を作る。そして、洗浄ポンプ11を駆動して洗浄タ
ンク10内の洗浄液を洗浄液供給管17、18、19、20を通し
て上下の洗浄液噴射手段15a、15bに圧送し、洗浄液ノズ
ル34から食器洗浄室４内の食器に噴霧する。このとき、
回動駆動手段46により上下のパイプアーム33a、33bを前
述のごとく同期をとって所定角度往復回動させ、洗浄液
ノズル34を揺動操作する。洗浄液ノズル34から噴出した
洗浄液は洗浄タンク10で受ける。このようにして洗浄が
終了すると、すすぎポンプ12を駆動して給湯管21より高
温の湯を取り込み、さらにリンスポンプ14を駆動してリ
ンス剤収容タンク28からリンス剤供給管23、24を通して
リンス剤を取り出すとともに高温の湯に混ぜ、すすぎ液
としてすすぎ液供給管22を通して上下のすすぎ液噴射手
段16a、16bに送給し、旋回するノズルアーム60a、60bか
ら洗浄の終った食器洗浄室４内の食器にすすぎ液を噴霧
する。これにより食器上に付着する洗剤が洗い流される
とともに、すすぎ液は洗浄タンク10に入り、その汚れた
上澄み液はオーバーフロー管30から排出されて一連の洗
浄が行なわれる。

なお上述の実施例は、洗浄室カバー３が上下にスライ
ドする大型の食器洗浄機について述べたが、洗浄室の扉
が前向きで背が低い小型のいわゆるアンダーカウンター
型にも採用できることは勿論である。

［発明の効果］ 以上述べたように本発明の食器洗浄機によれば、洗浄
液を食器洗浄室の平面全体にむらなく噴霧できて洗浄液
の無駄のない経済的な、また洗浄力に優れた食器洗浄が
可能になる。そして、洗浄液ノズルを揺動操作すること
で、洗浄液の食器に対する放射角度を可変しながら食器
表面に沿って洗浄液を噴射できるので、汚れの落がよ
く、また洗浄液噴射手段は上下の各々の間及び上下の間
で洗浄液ノズルを同期揺動させることにより上下から同
時集中的に洗浄液を浴びせて短時間洗浄処理が可能にな
り、装置の稼働効率を高めることができる。また、洗浄
液ノズルとして噴射範囲がノズル中心軸の周囲で方向性
をもつものを使用することで、いわばナイフエッジ効果
とも言うべき噴射範囲を直線的に絞り込み、圧力大なる
洗浄噴射流が得られ、洗浄能力を著しく増大することが
でき、性能を一段と向上させることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図ないし第９図は本発明の一実施例に係る食器洗浄
機を示し、第１図は縦断面図、第２図は説明図、第３図
は説明斜視図、第４図は部分説明図、第５図は洗浄ノズ
ルの平面図、第６図は洗浄ノズルの断面図、第７図は洗
浄ノズルとパイプアームの取付関係を示す斜視図、第８
図は洗浄液噴射手段の回動駆動手段の説明図、第９図は
洗浄液噴射手段の動作説明図である。 １〜食器洗浄機本体 ２〜食器洗浄室 15a、15b〜洗浄液噴射手段 16a、16b〜すすぎ液噴射手段 33a、33b〜パイプアーム 34〜洗浄液ノズル 46〜回動駆動手段

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭48−78773（ＪＰ，Ａ) 実開 昭63−71864（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭58−130658（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭50−28568（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭62−30767（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭47−2511（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭60−57354（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭63−95568（ＪＰ，Ｕ) 特公 昭42−1714（ＪＰ，Ｂ１) 特公 平２−58139（ＪＰ，Ｂ２) 実公 昭37−14865（ＪＰ，Ｙ１) 実公 昭17−4942（ＪＰ，Ｙ１) 実公 昭47−36070（ＪＰ，Ｙ１) 実公 平３−34282（ＪＰ，Ｙ２)

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】洗浄機本体（１）の上部内面に形成した食
   器洗浄室（４）と、洗浄機本体（１）の上部に配設され
   た、上面開放の洗浄タンク（10）と、洗浄室本体（１）
   の下部に配設された洗浄ポンプ（11）、すすぎポンプ
   （12）、洗剤ポンプ（13）及びリンスポンプ（14）と、
   食器洗浄室（４）の上部と下部に水平状に配設され、か
   つ、長穴で先端に向ってＶ字形に開いている洗浄剤ノズ
   ル（34）の開口部（44）をパイプアーム（33a）及び（3
   3b）の長さ方向に対して傾斜させて設けたパイプアーム
   （33a）及び（33b）を回動させ揺動運動を与える駆動モ
   ータ（50）と、洗浄液ノズル（34）を備えたパイプアー
   ム（33a）とパイプアーム（33b）の各内側に配設され、
   すすぎポンプ（12）とリンス剤タンク（28）のリンスを
   送り出すリンスポンプ（14）を備え、互いに噴霧口を向
   い合わせるように配設したすすぎ液噴射手段（16a）及
   びすすぎ液噴射手段（16b）と、を備えたことを特徴と
   する食器洗浄機。