JP2626460B2 - 静電マイクロモータ - Google Patents

静電マイクロモータ

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JP2626460B2
JP2626460B2 JP9746393A JP9746393A JP2626460B2 JP 2626460 B2 JP2626460 B2 JP 2626460B2 JP 9746393 A JP9746393 A JP 9746393A JP 9746393 A JP9746393 A JP 9746393A JP 2626460 B2 JP2626460 B2 JP 2626460B2
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健一郎 鈴木
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、微小機構の駆動源とし
て用いることのできる電気的に制御可能なモータ、特に
静電マイクロモータに関するものである。
【0002】
【従来の技術】微小な静電モータの技術として、特開平
3−22885号公報「静電マイクロモータの駆動力伝
達装置」がある。この従来技術は、基板に固定されたス
テータおよび基板上を動くことのできるロータからなる
回転モータにおいて、ロータの外周部に配置されたステ
ータの一部領域を除去して、ここに他の機械要素を設け
てモータの回転を伝達させるというものであった。以
下、この従来例の構造を図10を用いて説明する。図1
0は、一個の伝達要素611が静電モータ610に連結
されている構造の平面図を示したものである。モータ6
10は、ロータ601とこの外周部に配置されたステー
タ604からなっている。ロータ601は、下側の基板
の上に固定されていないために、ベアリング602を軸
にして回転することができる。また、キャップ603
は、ロータ601の上側に設けられており、ロータ60
1を基板の上に保持している。ステータ604に順次に
電圧を印加することによって、ロータ601とステータ
604の間に静電気力が働き、ロータ601の回転が生
じる。
【0003】一方、伝達部611は、先のモータ610
のステータ604が無い構造と似た構造を持っており、
ロータ604がベアリング606を軸にして回転できる
ように作製されている。また、キャップ607は、ロー
タ605の上側に設けられており、ロータ605を基板
の上に保持している。モータ部のロータ601と伝達部
のロータ605は基板上で同じ高さになるように作製さ
れているために、ロータ601が回転するとき、ロータ
605に接触して、これを回転させることができる。図
10に示したような構造は、良く知られた酸化膜の選択
エッチングを利用したポリシリコン三次元薄膜構造体の
作製方法を利用することによって作製することが可能で
ある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、この従来例の
構造ではモータの発生できる駆動力の大きさに大きな制
限が設けられるという欠点があった。すなわち、 1)作製された構造において、モータ610のステータ
604およびロータ601と伝達部のロータ605の基
板上の高さがほぼ同じとなるので、モータのロータ60
1を伝達部のロータ605に連結させるためには、図1
0に示すようにロータ601の外周部に設けられたステ
ータ604の一部を除去する必要があった。このため
に、ステータ604からロータ601に作用する静電気
力の大きさが減少した。 2)さらに、複数の伝達部を同一のモータに連結すると
きには、ステータの除去される数がますます増加するの
で、駆動力の著しい減少が起こった。 3)また、伝達部611のロータ605の近くに置かれ
たステータ604に電圧を印加するとき、ロータ605
に望ましくない静電気力が働く。このため、ステータ6
04をロータ605から充分離れた距離に設ける必要が
あった。しかし、このために、ステータ604の数がま
すます少なくなった。
【0005】このように従来の構造は、モータの駆動力
の大きさを犠牲にしてモータの回転の伝達を行うことを
可能とするものであった。しかし、ミクロの領域では、
機械の寸法が小さくなるに従って表面に働く摩擦力の力
が相対的に大きくなるために、モータに大きな駆動力を
与えることが、実用上非常に重要である。
【0006】本発明の目的は、以上の欠点を解決するた
めのものであり、モータの駆動力を減少させることな
く、他の機械要素にモータの動きを伝達させることを可
能とする静電マイクロモータを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の静電マイクロモ
ータでは、静電気の力を利用してロータが基板上を平行
に動くことのできるマイクロモータにおいて、少なくと
も二層からなる一体構成されたロータの下層部の周囲に
ステータを設けるとともに、上層部のロータをステータ
よりも上に位置するように設け、表面に電極が形成され
るステータパターンと下層部のロータを同一の半導体か
ら、上層部のロータを金属材料、有機材料、あるいはセ
ラミック材料から作製したことを特徴とするもの、ある
いは、表面に電極が形成されるステータパターンを半導
体基板から、下層部のロータをこれと異なる半導体ある
いは金属材料から、上層部ロータが金属材料、有機材
料、あるいはセラミック材料から作製したことを特徴と
するものが与えられる。
【0008】本発明では、個々のステータ電極の絶縁の
方法として、ステータパターンとこの表面に形成された
電極がこの間に設けられた絶縁膜によって電気的に絶縁
されていることを特徴とするもの、あるいは、ステータ
パターンとこの表面に形成された電極がpn接合分離に
よって電気的に絶縁されていることを特徴とするもの、
あるいは、ステータパターンとこれが設けられる半導体
基板とが両者の間に設けられた絶縁膜によって電気的に
絶縁されていることを特徴とするものがある。
【0009】また、本発明の一例の構造として、上記記
載の静電マイクロモータにおいて、ステータの上部にガ
ード電極を設け、上層部のロータにステータの静電気力
が直接に及ばないようにしたことを特徴とするもの、あ
るいは、ステータの側壁および上側に印加された電圧に
よって、上層部および下層部のロータに静電気力が作用
することを特徴とするもの、あるいは、上層部のロータ
と下層部のロータの平面寸法を異なるようにしてモータ
のトルクを変化させたことを特徴とするもの、あるい
は、上層部のロータと下層部のロータの歯の数を異なる
ようにしたことを特徴とするもの、あるいは、上層部の
ロータの歯の位置を下層部のロータの歯の位置に対して
回転した状態に設けたことを特徴とするものがある。
【0010】また、本発明の静電マイクロモータの駆動
方法として、ステータの歯に順次電圧を印加することに
よって、下層部のロータの側壁および上層部ロータの下
側表面に同時に静電気力を発生させてモータを駆動させ
るもの、あるいは、ステータの歯に順次電圧を印加する
ことによって、下層部ロータの側壁および上層部ロータ
の下側表面に交代に静電気力を発生させてモータを駆動
させるものがある。
【0011】さらに、本発明の静電マイクロモータの製
造方法として、半導体基板に不純物を拡散し、溝を作製
する工程と、溝を埋め込む工程と、半導体基板の上にレ
ジストパターンを形成した後に前記レジストパターンを
埋め込む工程と、この後、レジストパターンと溝の埋め
込み層を除去するとともに、ロータを基板から分離した
後にロータをステータ部の突起形状であるベアリングに
はめ込む工程とを含むことを特徴とするもの、あるい
は、半導体基板に溝を作製する工程と、溝に犠牲層を形
成した後に溝を埋め込む工程と、半導体基板の上にレジ
ストパターンを形成した後にレジストパターンを埋め込
工程によってロータおよびステータを作製する工程
と、この後、レジストパターンと犠牲層を除去すること
によってロータを基板から分離する工程とを含むことを
特徴とするものが与えられる。
【0012】
【作用】本発明の静電マイクロモータでは、ロータが複
数の層から構成されており、上層部のロータがステータ
よりも高い位置になるように、一方、下層部のロータ
は、ステータとほぼ同じ高さに位置するように作製され
る。本発明では、ロータの駆動力は、下層部のロータの
側壁とステータの側壁との間に働く静電気力と、上層部
のロータの下側表面とステータの上表面の間に働く静電
気力の二通りの方法によって得られる。モータの動きを
伝達する機械要素は、モータの上層部とほぼ同じ高さに
なるように作製されるために、ステータと衝突すること
なしに、モータの動きを伝達させることができる。この
ため、ロータの下層部でモータの駆動力を発生させ、ロ
ータの上層部を利用してこの力を他の機械要素に伝達さ
せることが可能である。ロータの下層部と上層部の歯の
数や寸法を変えることによって、モータのトルクおよび
これに連結された伝達部の速度を変化させることが可能
である。また、ロータ上層部を駆動力の発生源として下
層部とともに用いるとき、大きな駆動力を得ることが可
能である。本発明の構造は、半導体プロセスを利用して
作製することができる。このため、微小な構造を正確
で、かつ多数個を一度に作製することが可能である。
【0013】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面を示して詳しく
説明する。
【0014】図1は、本発明の静電マイクロモータの一
実施例を示す構造図であり、図1(a)は平面の構造
を、また、図1(b)は図1(a)のA−Aの断面構造
を示したものである。ここでは、ロータは、上部ロータ
106と下部ロータ108の二層から一体に構成されて
おり、下部ロータ108は4枚の歯を、上部ロータ10
6は8枚の歯をもっている。この二層構造のロータは、
シリコン基板101上に設けられた上部ベアリング10
9と下部ベアリング110から構成されたベアリングを
軸に、回転することが可能である。また、ブッシング1
07が、上部ロータ106とシリコン基板101との摩
擦を小さくするために設けられている。下部ロータ10
8の外周部には、下部ロータ108とほぼ同じ高さにス
テータ電極104がステータパターン112の側壁およ
び上側表面に設けられている。ステータパターン112
は、シリコン基板101と一体に形成されており、図1
(a)に示すステータ電極104の下側に45度刻みで
下部ロータ108を取り囲むように設けられている。個
々のステータ電極104は、絶縁膜111を介してステ
ータパターン112に設けられており、互いに電気的に
絶縁されている。金属電極103は、絶縁膜102に設
けられた窓を通して個々のステータ電極104と電気的
に結ばれている。この金属電極103は、個々のステー
タ電極104に電圧を印加するためのものである。ステ
ータ電極104の上側表面には、絶縁膜102を介して
ガード電極105が設けられている。ガード電極105
には、ロータ106および108と同じ電位が与えられ
ており、ステータ電極104に印加された電圧によって
上部ロータ106がステータパターン112の上側表面
に引き寄せられないようにしている。これは、ロータの
摩擦を減少させるのに役立つものである。このように、
図1に示したモータ構造においては、ステータ電極10
4に電圧を印加するとき、下部ロータ108の側壁に静
電気力を作用させることによってロータの駆動力が得ら
れることが特徴である。
【0015】図2は、本発明の静電マイクロモータの他
の実施例を示す構造図であり、図2(a)は平面の構造
を、また、図2(b)は図2(a)のB−Bの断面構造
を示したものである。図2に示した構成要素において、
図1の構成要素と同じ番号をもつものは、図1と同一の
構成要素であることを示している。図2の構造は、図1
の構造からガード電極105を除いたこと以外は同一で
ある。図2の静電マイクロモータは、ガード電極105
がないために、金属電極103に印加された電圧は下部
ロータ108の側壁の他に上部ロータ106の下側表面
にも静電気力を作用させる。先に述べたように、上部ロ
ータ106の下側表面に作用する力は、ロータをシリコ
ン基板101に押しつけるように働くためにロータに大
きな摩擦が発生する。しかし、ロータの駆動力として、
下部ロータ108の側壁に働く力の他に上部ロータ10
6の下側表面に働く力を利用することが可能となる。上
部ロータ106の歯の長さを下部ロータ108に比べて
大きくするとき、上部ロータ106とステータ電極10
4の重なる面積が大きくなるので、上部ロータ106に
働く駆動力の大きさを著しく増加させることができる。
ブッシング107の構造とステータ電極104の上に設
けられる絶縁膜102の材料を最適に選択することによ
って摩擦の増大を小さく抑えるとき、図2の構造によっ
てモータに大きな駆動力を与えることが可能である。
【0016】本発明の静電マイクロモータの他の実施例
の断面の構造を図3に示す。図3に示した構成要素にお
いて、図1の構成要素と同じ番号をもつものは、図1と
同一の構成要素であることを示している。本実施例で
は、ステータ電極134は、ステータパターン132の
表面に直接形成され、互いにpn接合分離によって電気
的に絶縁される。この構造は、図1に比べて、モータの
構造が簡略化されるという特徴がある。
【0017】本発明の静電マイクロモータの他の実施例
の構造を図4に示す。図4に示した構成要素において、
図3の構成要素と同じ番号をもつものは、図3と同一の
構成要素であることを示している。図4の構造は、図3
の構造とステータ電極144とステータパターン142
および下部ベアリング110が絶縁膜141の上に形成
されたことが異なる。本実施例では、ステータパターン
142の表面に形成されたステータ電極144は、ステ
ータパターン142と同じ、あるいは異なる型の不純物
を高濃度に含んだ導電層によって形成される。また、ス
テータパターン142が絶縁膜141の上に設けられた
ために、個々のステータパターン142は、電気的に絶
縁されている。図3の構造に比べて、ステータ電極14
4の電気的な分離が完全に行われること、シリコンと絶
縁膜のエッチングの大きな選択比を利用することができ
るためにモータの製作が簡略化されるという特徴があ
る。
【0018】本発明の静電マイクロモータの他の実施例
の平面の構造を図5に示す。図5に示した構成要素にお
いて、図2の構成要素と同じ番号をもつものは、図2と
同一の構成要素であることを示している。図5では、上
下ロータ306および308が8極、ステータ電極10
4が12極(X1〜X4,Y1〜Y4,Z1〜Z4)の
歯をもった構造を示したが、図2に示した構造とは上部
ロータ306と下部ロータ308の相互の位置関係が異
なることが本質的な相違である。本実施例では、上部ロ
ータ306は、下部ロータ308に対しベアリング10
9を軸にして22.5度右方向に回転させた構造となっ
ている。
【0019】図5のモータの駆動方法を以下に述べる。
図5には、上部ロータ306の4つの歯が4つのステー
タ電極104の歯X1〜X4の位置と合致した状態が示
されている。ステータ電極104の歯Y1〜Y4に電圧
を印加するとき、歯Y1〜Y4の近くに位置する下部ロ
ータ308の側壁に静電気力が働き、モータが右側に回
転する。続いて、ステータ電極104の歯Z1〜Z4に
電圧を印加すると、この近くに位置する上部ロータ30
6の下側表面に静電気力が働き、モータは右側の回転を
続ける。同様にして、ステータ電極104に順次に電圧
を印加することによって、モータの下部ロータ308お
よび上部ロータ306に次々に駆動力が発生する。図2
に示したように、上部ロータと下部ロータの位置を合致
させて作製した構造では、モータの最小の回転角度は、
ステータ電極104の配置される角度によって決められ
る。図5のように12個のステータ電極104を設けた
例では、この最小角度は30度である。一方、図5の実
施例では、モータの最小の回転角度がステータ電極の間
隔(30度)と上下ロータの間隔(22.5度)の差と
なり、この実施例では7.5度となる。このように、図
5に示した構造を用いると、モータを小さな角度で精度
良く回転させることが可能である。
【0020】本発明の静電マイクロモータの構造の作製
方法の一実施例を図6に示す。ここでは、本質的な部分
のみを述べ、細部の作製プロセスの描写を除くことにす
る。まず、シリコン基板401に酸化膜403を形成し
て窓を設けた後、シリコン基板401に高濃度ボロンを
拡散して拡散層402の作製を行う(図6(a))。次
に、酸化膜403を除いて、再び酸化膜404を基板4
01上に形成する。この後、酸化膜404をパターニン
グし、酸化膜404をマスクにして溝405をRIE
(Reactive Ion−assisted Et
ching)ドライエッチング装置を用いて作製する
(図6(b))。続いて、ポリシリコン、有機材料、絶
縁膜等を用いて溝405の中に埋め込み層406を形成
した後、基板401の表面に金属層407を作製する。
この後、厚膜のレジストを塗布して、紫外線あるいはX
線等でレジストパターン408を形成する(図6
(c))。この後、レジストパターン408の中に金属
パターン409をメッキあるいは塗布等の方法を用いて
形成した後、レジストパターン408を除去する(図6
(d))。次に、図6(d)に示すロータ部411をス
テータ部410から切り離して、ロータ部411をシリ
コンエッチング液の中に浸し、拡散層402、金属層4
07および金属パターン409からなるロータ基板40
1から分離させる。このとき、アルカリ系のエッチング
液を使用すると、ボロンが高濃度に拡散された拡散層4
02を残してシリコン基板401を除去することができ
る。最後に、このロータをステータ部410の埋め込み
層406が除去された領域にはめ込むことによって、本
実施例の静電モータが作製される。
【0021】なお、本実施例ではレジスト408のパタ
ーンに金属層409を形成したが、この他に有機材、セ
ラミック等の材料を用いることも可能である。また、ボ
ロンが高濃度に拡散された拡散層402を用いる他に、
基板401と不純物濃度あるいは不純物の型が異なる拡
散層に電圧を印加することによってもシリコンの選択的
なエッチングを行うことができる。図4に示すような絶
縁膜141を間に含むシリコン基板(SOI基板)を用
いるとき、絶縁膜のエッチングによってロータを基板か
ら切り離すことができ、作製方法が容易となる。
【0022】図7は、本発明の静電マイクロモータの作
製方法の他の実施例を示す。シリコン基板501に酸化
膜502をマスクにして、溝503をドライエッチング
装置を用いて作製する(図7(a))。次に、この溝を
含む領域中に絶縁膜504を形成し、この上にポリシリ
コン、アモルファスシリコン、有機材、あるいは、金属
材料からなる埋め込み層505を作製する(図7
(b))。次に、金属層506を形成した後、厚膜のレ
ジスト507を塗布し、紫外線あるいはX線のリソグラ
フィーを利用してパターニングする(図7(c))。続
いて、金属パターン508をレジスト507のパターン
の中に作製し、レジスト507を除去する。金属層50
6も、この金属パターン508を利用してパターニング
する(図7(d))。この試料を絶縁膜のエッチング液
の中に浸すことによって、図7(d)に示す構造から、
絶縁膜504を除去する。このため、絶縁膜504は犠
牲層とも呼ばれる。この結果、ロータ部は基板から切り
離されて軸を中心にして回転できるようになる。
【0023】以上述べた作製方法では、ブッシング、ス
テータ電極、および金属あるいはガード電極の作製方法
を除いたが、通常のシリコンICプロセス技術を利用し
て容易に作製することが可能である。また、本実施例の
構造および作製方法では、ロータをベアリングから離れ
ないようにするベアリングキャップの記述を除いたが、
上部プロセスを作製した後にさらにレジストで型どるこ
とによってキャップを設けることが可能である。シリコ
ン半導体プロセスを利用した作製方法は、1μm以下の
微小なパターンを容易に作製できることと、同時に多数
個のモータを作製できることから従来の機械的な方法に
比べて有利である。さらに、本実施例の構造ならびに作
製方法は、モータの厚さを1μm以下の薄いものから数
百μmの厚いものまで大きな範囲で提供できる特徴があ
り、図10に述べたポリシリコンからなるモータ(1〜
数μm厚)に比べて大きな自由度をもったモータが作製
できるという著しい特徴があることも特筆されるもので
ある。
【0024】以上述べたモータの構造は、ロータやステ
ータの数が実施例に示したものに限られるものでないこ
とは明らかである。特に、上層と下層のロータの歯の数
と大きさをそれぞれ変えることができることが本発明の
特徴である。これらを最適にすることによって、モータ
のトルクや速度を任意に設定することが可能である。さ
らに、本発明は、回転運動を行うモータに限られるもの
でなく、直線的に動くモータにおいても同様のことが実
現できる。
【0025】
【発明の効果】以上記述した本発明の構造、動作方法お
よび作製方法を用いると、先に述べた従来例の欠点が解
決された静電マイクロモータが提供される。図8および
図9を参照して本発明のモータの効果を説明する。図8
は本発明の静電マイクロモータと伝達部との平面図を、
図9は図8のC−C断面の構造を示す図である。図8お
よび図9の構成要素において、図1と同じ番号をもつも
のはこれと同一の構成要素であることを示している。図
8および図9の例では、図1と同一の構造をもつモータ
710に一個の伝達部711が連結された状態が示され
ている。伝達部711はシリコン基板101の上に作製
されており、モータ710の上部ロータ106とほぼ等
しい高さに形成されたロータ701が、ベアリング70
2の周りに回転できるように構成されている。このロー
タ701は、上部ロータ106の歯と噛み合わされてお
り、モータ710の駆動力が伝達されるようになってい
る。モータ710の駆動力は、先に述べたように上部ロ
ータ106の下の位置に設けられたステータ電極104
に印加された電圧によって得られる。この例では、下部
ロータ108の側壁に静電気力が働くことによって、モ
ータ710の駆動力が得られる。
【0026】この例に示すように、本発明の構造は、ロ
ータの外周部に配置されたステータを除去する必要がな
いために、大きな駆動力を得ることが可能である。さら
に、本発明の実施例の説明で述べたように、ロータの厚
さを大きな範囲で変化させることができるために、種々
のロータの噛み合わせの構造を作製することができる。
さらに、下部ロータの厚さを厚くしたり、上部ロータと
ステータとの駆動力を利用したりすることにによって、
従来例に比べて著しく大きなモータの駆動力と効率的な
伝達を実現することが可能である。
【0027】以上の効果は著しいものであり、本発明は
非常に有効なものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の構造の平面図と断面図であ
る。
【図2】本発明の一実施例の構造の平面図と断面図であ
る。
【図3】本発明の他の実施例の断面図である。
【図4】本発明の他の実施例の断面図である。
【図5】本発明の他の実施例の平面図である。
【図6】本発明の作製方法の一実施例を示す図である。
【図7】本発明の作製方法の一実施例を示す図である。
【図8】本発明の効果の一例を説明するための平面図で
ある。
【図9】本発明の効果の一例を説明するための断面図で
ある。
【図10】従来例の構造を示す平面図である。
【符号の説明】
101,401,501 シリコン基板 102,111,131,141,504 絶縁膜 103 金属電極 104,134,144 ステータ電極 105 ガード電極 106,306 上部ロータ 107 ブッシング 108,308 下部ロータ 109 上部ベアリング 110 下部ベアリング 112,132,142 ステータパターン 402 拡散層 403,404,502 酸化膜 405,503 溝 406,505 埋め込み層 407,506 金属層 408,507 レジスト 409,508 金属パターン 410 ステータ部 411 ロータ部 601,605,701 ロータ 602,606,702 ベアリング 603,607 キャップ 604 ステータ 610,710 モータ 611,711 伝達部

Claims (15)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】静電気力を利用する静電マイクロモータに
    おいて、 少なくとも二層からなる一体構成されたロータと、 ステータパターンと、ステータパターンの表面に形成さ
    れたステータ電極とからなるステータとを備え、 前記ロータの下層部の周囲に前記ステータを設けるとと
    もに、上層部のロータを前記ステータよりも上に位置す
    るように設けたことを特徴とする静電マイクロモータ。
  2. 【請求項2】前記ステータの側壁および上側に印加され
    た電圧によって、前記上層部および下層部のロータに静
    電気力が作用することを特徴とする請求項1記載の静電
    マイクロモータ。
  3. 【請求項3】前記ステータの上部にガード電極を設け、
    前記上層部のロータに前記ステータの静電気力が直接及
    ばないようにしたことを特徴とする請求項1記載の静電
    マイクロモータ。
  4. 【請求項4】前記ステータパターンと前記ステータ電極
    とは、その間に設けられた絶縁膜によって電気的に絶縁
    されていることを特徴とする請求項1または3記載の静
    電マイクロモータ。
  5. 【請求項5】前記ステータパターンと前記ステータ電極
    とは、pn接合分離によって電気的に絶縁されているこ
    とを特徴とする請求項1または3記載の静電マイクロモ
    ータ。
  6. 【請求項6】前記ステータパターンと前記下層部のロー
    タとは同一の半導体から構成され、前記上層部のロータ
    は金属材料、有機材料、あるいはセラミック材料から構
    成されることを特徴とする請求項4または5記載の静電
    マイクロモータ。
  7. 【請求項7】前記ステータパターンは半導体基板から構
    成され、前記下層部のロータは前記半導体と異なる半導
    体あるいは金属材料から構成され、前記上層部のロータ
    は金属材料、有機材料、あるいはセラミック材料から構
    成されることを特徴とする請求項4または5記載の静電
    マイクロモータ。
  8. 【請求項8】前記下層部のロータはポリシリコン、アモ
    ルファスシリコン、あるいは金属材料から構成され、前
    記ステータパターンはシリコン単結晶から構成されるこ
    とを特徴とする請求項7記載の静電マイクロモータ。
  9. 【請求項9】前記上層部のロータと下層部のロータの平
    面寸法を異なるようにしてモータのトルクを変化させた
    ことを特徴とする請求項2,6,7または8記載の静電
    マイクロモータ。
  10. 【請求項10】前記上層部のロータと下層部のロータの
    歯の数を異なるようにしたことを特徴とする請求項9記
    載の静電マイクロモータ。
  11. 【請求項11】前記上層部のロータの歯の位置を前記下
    層部のロータの歯の位置に対して回転した状態に設けた
    ことを特徴とする請求項10記載の静電マイクロモー
    タ。
  12. 【請求項12】請求項2記載の静電マイクロモータにお
    いて、 前記ステータの歯に順次電圧を印加することによって、
    前記下層部のロータの側壁および前記上層部ロータの下
    側表面に同時に静電気力を発生させてモータを駆動させ
    ることを特徴とする静電マイクロモータの駆動方法。
  13. 【請求項13】請求項4記載の静電マイクロモータにお
    いて、 前記ステータの歯に順次電圧を印加することによって、
    前記下層部のロータの側壁および上層部のロータの下側
    表面に交代に静電気力を発生させてモータを駆動させる
    静電マイクロモータの駆動方法。
  14. 【請求項14】前記半導体基板に不純物を拡散し、溝を
    作製する工程と、 前記溝を埋め込む工程と、 前記半導体基板の上にレジストパターンを形成した後に
    前記レジストパターンを埋め込む工程と、 前記レジストパターンと前記溝の埋め込み層を除去し
    て、ロータとステータ部を形成する工程と、 前記ロータを基板から分離した後にロータを前記ステー
    タ部の突起形状であるベアリングにはめ込む工程と、 を含むことを特徴とする静電マイクロモータの製造方
    法。
  15. 【請求項15】前記半導体基板に溝を作製する工程と、 前記溝に犠牲層を形成した後に前記溝を埋め込む工程
    と、 前記半導体基板の上にレジストパターンを形成した後に
    前記レジストパターンを埋め込む工程によってロータお
    よびステータを作製する工程と、 前記レジストパターンと前記犠牲層を除去することによ
    ってロータを基板から分離する工程と、 を含むことを特徴とする静電マイクロモータの製造方
    法。
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