JP2626441B2 - 沈埋函接合用接続函 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は海底などに沈埋函を沈
設、接合して沈埋トンネルを構築する際の、沈埋函を最
終接合するときに使用する接続函に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来の沈埋函の最終接合は接合部をシ−
トパイルなどで取り囲み、モルタルを打設して固めたあ
と内部をはつり取ってトンネルを完成させたり、接続函
を既設函に内蔵させておき、これを押し出して相互に接
合していた。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】従来の方法では、はつ
り量が多量となり、作業が困難であった。また、接続函
を押し出して接合する方法では沈埋函の位置ずれのた
め、接続函の接合端が沈埋函の端部とうまく接合せず、
ジャッキで引き寄せて接合させるにしても大きな力が必
要であった。

【０００４】本発明は上記問題点を解決するためになさ
れたものであり、伸縮可能なフレキシブル継手を備えた
接続函にかかるものである。本発明の接続函を使用する
ことにより、作業能率よく沈埋函を最終接合することが
できる。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明は、（Ａ）横断面
形状が沈埋函のそれとほぼ同一であり、（Ｂ）開閉可能
な排水管を備えた隔壁を軸方向ほぼ中央部に有し、
（Ｃ）一方の端面にゴムガスケットが装着されている２
個の函体の他端面間を不透水性柔軟材料で包まれた伸縮
可能なフレキシブル継手で相互に係合してなり、（Ｄ）
２枚の隔壁と函体周壁とで囲まれる中央室に開口する開
閉可能な注水管が周壁を貫通して配設され、（Ｅ）フレ
キシブル継手部に開口して開閉可能な注入管が配設され
ている沈埋函接合用接続函である。

【０００６】本発明の接続函は沈埋トンネルを構築する
ときの最終接合に使用されるものであり、二つの沈埋函
を相互に接合するとき、および沈埋函を立抗ケーソン側
面に接合するときの何れにも全く同様に使用される。従
って、上記の「横断面形状」は沈埋函の横断面形状の意
味であり、立抗ケーソンの形状とは無関係である。

【０００７】

【実施例】以下、図面を参照しながら本発明の接続函お
よびこの接続函を使用した接合方法について詳細に説明
する。

【０００８】図１は、本発明の接続函の軸方向立断面図
である。横断面形状が既設沈埋函（以下既設函という）
と同じ長方形である圧接端Ａ側の函体１Ａと圧接端Ｂ側
の函体１Ｂとを突き合わせ伸縮可能なフレキシブル継手
４Ａ，４Ｂにより係合している。各函体１Ａと１Ｂの端
面にはゴムガスケット９が装着されている。そして、各
函体１Ａと１Ｂの軸方向ほぼ中央部には支柱壁５Ａ，５
Ｂがあり、支柱壁の穴は蓋１０で塞がれていて、両者で
隔壁を形成している。支柱壁５Ａ，５Ｂには水抜き用に
開閉可能な排水管８Ａ，８Ｂが設けられている。両隔壁
と函体周壁とで囲まれる中央室には開閉可能な注水管６
および注入管７が設けられている。注水管６は注水のた
めのものであるので函体周壁を貫通するように設け、特
に上面の壁を貫通するように設けるのが好ましいが、注
入管７は図１のように函体外から注入するように設けて
もよいし、逆に中央室内から注入するように設けてもよ
い。これらの管類は複数設けてもよい。

【０００９】図２は係合部の一実施例を示す斜視図であ
り、圧接端Ａ側函体１Ａに埋設された周面に多数の穴を
開けた円管４Ａと圧接端Ｂ側函体１Ｂに埋設された周面
に多数の穴を開けた円管４Ｂとから構成されており、円
管４Ａと円管４Ｂとの直径には相当の差があり、大径の
４Ｂに小径の４Ａを緩く挿入して係合している。

【００１０】この係合機構としては、他の一般的な機構
を採用しても何ら差し支えはない。

【００１１】係合部は不透水性柔軟材料３で包まれる
が、この不透水性柔軟材料は機械的強度も必要とされる
ので、厚手の織物に防水材を塗布したものや厚い合成樹
脂シートなどが使用され、折り畳んだ状態とかたるませ
た状態で両端を圧接端Ａ側および圧接端Ｂ側にそれぞれ
ボルト締めなどで固着される。

【００１２】図３を参照して本発明の接続函による接合
法について説明する。（図３では二つの既設函を相互に
接合する場合について図示しているが、既設函の一方が
立抗ケーソンの場合であっても全く同様である。） （１）予め、両既設函の接合端両側に接続函の端部の設
置位置を示すと同時に接続函の移動を誘導する受けアゴ
１２Ａ，１２Ｂを設けてある。

【００１３】（２）接続函を、必要であればジャッキで
引き寄せながら、所定位置である受けアゴ１２Ａ，１２
Ｂに乗るように吊り降し、係合部２が縮んだ状態で設置
する。（図３（ａ）） （３）注水管６のバルブを開き中央室に水を圧入する。
水圧により係合部２が伸び、圧接端Ａ（１Ａ）は既設函
Ａ（１１Ａ）に、圧接端Ｂ（１Ｂ）は既設函Ｂ（１１
Ｂ）に圧接する。（図３（ｂ）） （４）既設函Ａ、既設函Ｂの排水管１４Ａ、１４Ｂのバ
ルブを開き中央室両側の部屋の水を排水する。接続函の
両既設函への圧接は一層強くなる。

【００１４】（５）注入管７バルブを開き係合部２にモ
ルタルを注入し、係合部２を一体化する。

【００１５】（６）隔壁に設けてある排水管８Ａ、８Ｂ
のバルブを開き接続函中央室の水を排水する。

【００１６】以上で両既設函の最終接合は終了し、蓋の
除去、接合部のコンクリート打設、函内仕上げなどは通
常の通り行われる。

【００１７】

【発明の効果】接続函に伸縮可能なフレキシブル継手で
係合している係合部および中央室を設けることにより、
既設函に多少の位置ずれがあっても、そのずれを係合部
で吸収して正確に最終接合することができる。圧接は殆
ど水圧のみで行うことができ、ジャッキ力を併用すると
しても小さい力でよい。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明接続函の軸方向立断面図である。

【図２】接続函の係合部の一部斜視図である。

【図３】本発明接続函を最終接合部に設置した状態の軸
方向立断面図で、（ａ）は設置直後の状態を（ｂ）は圧
接時の状態を示す。

【符号の説明】

１Ａ・・圧接端Ａ側函体、１Ｂ・・圧接端Ｂ側函体、２
・・係合部、３・・係合部覆い、４Ａ，４Ｂ・・フレキ
シブル継手、５Ａ・・圧接端Ａ側支柱壁、５Ｂ・・圧接
端Ｂ側支柱壁、６・・注水管、７・・注入管、８Ａ・・
圧接端Ａ側排水管、８Ｂ・・圧接端Ｂ側排水管、９・・
ゴムガスケット、１０・・蓋、１１Ａ・・既設函Ａ、１
１Ｂ・・既設函Ｂ、１２Ａ・・既設函Ａ側受けアゴ、１
２Ｂ・・既設函Ｂ側受けアゴ、１４Ａ・・既設函Ａ側排
水管、１４Ｂ・・既設函Ｂ側排水管。

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 （Ａ）横断面形状が沈埋函のそれとほぼ
   同一であり、（Ｂ）開閉可能な排水管を備えた隔壁を軸
   方向ほぼ中央部に有し、（Ｃ）一方の端面にゴムガスケ
   ットが装着されている２個の函体の他端面間を不透水性
   柔軟材料で包まれた伸縮可能なフレキシブル継手で相互
   に係合してなり、（Ｄ）２枚の隔壁と函体周壁とで囲ま
   れる中央室に開口する開閉可能な注水管が周壁を貫通し
   て配設され、（Ｅ）フレキシブル継手部に開口して開閉
   可能な注入管が配設されていることを特徴とする沈埋函
   接合用接続函。