JP2625572B2 - 鋳鋼品の熱処理方法 - Google Patents

鋳鋼品の熱処理方法

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、Ac3変態点以上の温度に加熱してその後冷
却する焼き入れ工程と、その焼き入れ工程の後に、Ac1
変態点よりも低い温度に加熱してその後冷却する焼き戻
し工程とからなる炭素含有量0.3%以下の鋳鋼品の熱処
理方法に関する。
〔従来の技術〕
従来一般に、この種の鋳鋼品の熱処理方法として、鋳
造した後の鋳鋼品をAc3変態点以上の約900℃乃至950℃
の温度に約3時間加熱して、その後水冷する焼き入れ工
程と、その焼き入れ工程に続き、Ac1変態点以下の約200
℃乃至650℃の温度に加熱してその後空冷する焼き戻し
工程を施す熱処理方法が採られている。
〔発明が解決しようとする課題〕
しかし、炭素含有量0.3%以下の鋳鋼品に耐震構造物
等の用に供するに適した靭性を与えるのには、従来の方
法ではその靭性の目安となる降伏比(降伏点/引っ張り
強さ)を0.80以下の低い値にすることが出来ず、例え
ば、0.87(降伏点54.2kg/mm2、引っ張り強さ62.3kg/m
m2)、一般的には0.85乃至0.9程度の高い降伏比にしか
出来ないという問題があった。
そこで、本出願人は、先に、焼き入れ工程と焼き戻し
工程の間に、Ac1変態点以上でAc3変態点以下の温度に加
熱してその後冷却する2次焼き入れ工程を加えることで
降伏比を改善し、低降伏比を有する鋳鋼品を得ることが
できる方法を提案した。
上述の方法による場合には、しかしながら、靭性の改
善された、所望の特性を有する鋼材を得ることはできる
ものの、従来方法に比べて、2次焼き入れ工程が追加さ
れているために、熱処理全体の工程が繁雑となり、施設
およびその制御が複雑化する虞があり、未だ改良の余地
があった。
本発明の目的は、上記実情に鑑み、熱処理工程を繁雑
化することなく、前記従来の欠点を解消して上述の鋳鋼
品に地震等に対する耐久性の優れた靭性を示す0.80以下
の低降伏比を与える鋳鋼品の熱処理方法を提供すること
にある。
〔課題を解決するための手段〕
本発明の鋳鋼品の熱処理方法の特徴構成は、炭素含有
量0.3%以下の鋳鋼品を、Ac3変態点以上の温度に加熱し
てその後冷却する焼き入れ工程と、その焼き入れ工程の
後に、Ac1変態点よりも低い温度に加熱してその後冷却
する焼き戻し工程とからなる熱処理方法における、前記
焼き入れ工程における冷却を、Ac1変態点の温度(Ac1
+30℃以下で、且つ、Ac1変態点の温度(Ac1)−50℃を
超える冷却中間温度(Te)まで、4〜20℃/分の冷却速
度をとする炉中放冷と、前記冷却中間点温度(Te)から
の水冷又は空冷との二段冷却によって行うことにある。
〔作 用〕
つまり、従来から行われていたAc3変態点以上の温度
に加熱してその後冷却する焼き入れ工程において、冷却
を、前記Ac3変態点以上の温度から水冷又は炉外放冷等
により急冷して行った場合には、得られる熱処理後の炭
素含有量0.3%以下の鋳鋼において、マルテンサイトが
比較的多く、残りが微細パーライトである組織構成が見
られ、その降伏比が約0.87程度の比較的高いものであっ
たが、この鋳鋼の靭性を改善するべく鋭意実験を行った
結果、焼き入れ工程における冷却を、連続冷却曲線のAc
1近傍の温度までは徐冷することによって冷却中の鋳鋼
の組織をフェライト化し、そのフェライト組織化した鋳
鋼を急冷することによって、マルテンサイトが殆ど生ず
ることなく、フェライトとパーライトに若千の微細パー
ライトが存在する組織を有する鋳鋼を得ることができ
た。つまり、Ac1変態点より30℃高い温度を超えず、Ac1
変態点より50℃低い温度以下とはならない冷却中間温度
まで、炉内放冷により4〜20℃/分の冷却速度、即ち、
そのまま室温まで冷却すればパーライト組織となる冷却
速度で徐冷することで、前記冷却中間温度に到るまでオ
ーステナイトの残留を抑制して、残留オーステナイトの
極めて少ないフェライト組織とし、その冷却中間温度か
らの水冷又は空冷等の急冷によって、析出セメンタイト
の微細化を図り、その冷却組織を得た後に、Ac1変態点
よりも低い温度に加熱してその後冷却する公知の焼き戻
し処理を施すことによりその鋳鋼の靭性を改善して、必
要な強度を維持させつつ、降伏比を確実に0.80以下にで
きることを見出したのである。
〔発明の効果〕
その結果、必要な強度と共に靭性に優れた、耐久性な
らびに安全性の高い土木・建築用の鋳鋼品を製造する際
に、必要な強度ならびに靭性を鋳鋼に付与しながら、余
計な二次焼き入れ工程を必要としないので、その熱処理
工程は簡単で手数の少ないものになり、鋳鋼の特性を改
善しながらコストダウンを図れるようになった。
〔実施例〕
以下、図面に基づいて、本発明の実施例を説明する。
その成分組成が重量百分率で、C=0.15%,Si=0.34
%,Mn=0.87%,P=0.021%,S=0.012%,Ni=0.22%,Cr
=0.13%,Mo=0.17%,V=0.08%,残りFeおよび不純物
からなる鋳鋼サンプルの棒状鋼(45×45×230mm)に対
して、第1図に示す温度サイクルの二段冷却を伴う焼き
入れ熱処理を行った。図中横軸が時間(t)を示し、縦
軸が温度(T)を示す。そして、横軸に平行な2本の破
線は上記のサンプルとして用いた鋳鋼の変態点を示し、
上側の破線が前記鋳鋼のAc3変態点(約850℃)、下側の
破線が前記鋳鋼のAc1変態点(約720℃)である。
熱処理は、先ず、焼き入れ工程として、前記棒状鋼を
加熱し、Ac3変態点以上の約930℃で2時間保持した後、
二段冷却を施した。つまり、炉内で前記Ac1変態点以下
の温度(ここでは焼き入れ冷却終了温度という)まで徐
冷(炉内で自然放熱により冷却)し、その後急冷のため
に水冷して焼き入れた。次に、焼き戻しのためにAc1変
態点近傍の約550℃に再度加熱して、4時間保持した
後、空冷した。以上の二段冷却を伴う焼き入れと、その
後の焼き戻しとの2段階の熱処理を施すことによって、
降伏点が41.7kg/mm2、引っ張り強さが55.8kg/mm2、降伏
比(降伏点/引っ張り強さ)が0.75、伸びが25.7%、絞
りが54.0%の鋳鋼を得た。
次に、比較のために、焼き入れ工程において炉冷によ
る冷却終了温度を様々に異ならせた実験を行い、得られ
る鋼の特性を測定した。その結果を、次の第1表に示
す。
この表からわかるように焼き入れ冷却終了温度が780
℃以上の場合には、降伏比が0.8を越えており、所望の
降伏比、つまり0.8以下の降伏比が得られない。表には
示していないが、焼き入れ冷却終了温度が680℃よりも
低い場合、例えば650℃の場合には、降伏比は0.8よりも
低かったものの、降伏点が約36kg/mm2で引っ張り強さが
約52kg/mm2あり、所望の強度には達しなかった。以上の
結果から、上記のサンプル鋳鋼の熱処理結果について第
1表に示したように、焼き入れ冷却終了温度が680〜750
℃の範囲にある場合が良好な結果を示すことが確認でき
ており、所望の強度と降伏比を有する鋼を得るために
は、焼き入れ工程に於ける炉冷による冷却終了温度(T
e)はAa1変態点(約720℃)に対して、Ac1+30℃を上限
とし、Ac1−50℃を超えない温度範囲内とすることが好
ましいといえる。
上述の熱処理を連続冷却変態曲線に表したものを第2
図に示す。
第2図においては、横軸は対数表示した時間(t)を
示し、縦軸が温度(T)を示す。そして、横軸に平行な
2つの破線は、第1図と同様に、2つの変態点を示す。
また、図中太い実線が冷却曲線で、〜のラインが、
それぞれ第1表で示した5つのテストピースの冷却曲線
を表している。
図中、細い曲線で囲んだ領域が各種の変態域(A:オー
ステナイト域、F:フェライト域、P:パーライト域、Zw:
微細パーライト域、M:マルテンサイト域)を示してい
て、連続冷却変態曲線が通過した領域の組織が生成され
るものである。
〔別実施例〕
次に、本発明の別の実施例を列記する。
<1>鋼の組成は先に挙げたものに限定されるものでは
なく、重量パーセントにおいて、C=0.30以下、Si=0.
20〜0.70%、Mn=0.30〜1.50%を基本成分とするととも
に、若千のNi,Cr,Mo,Vを添加し、残りをFe及び不純物か
らなるものとすればよく、遠心力鋳造品を含む溶接も可
能な各種の鋳鋼品を主として対象とするものである。ま
た、変態点の具体的温度は、組成の違いによって若干上
下するものである。
<2>焼き入れの温度及び継続時間、ならびに、焼き戻
しの温度及び継続時間については、先の実施例で挙げた
数値に限定されるものではなく、例えば、焼き入れ温度
については900℃ないし1,000℃の範囲内であればよく、
また、焼き戻し温度については、550℃ないし650℃の範
囲内であればよい。
<3>焼き入れ工程における変態点Ac1近傍までの冷却
は、先の実施例で説明したように炉冷で行ってもよく、
或は、炉外に取り出して放冷により行ってもよい。な
お、その冷却速度は4℃/分〜20℃/分が好ましい。ま
た、炉冷または放冷が終了した後の急冷は、水冷によっ
て行ってもよいし空冷によって行ってもよい。
【図面の簡単な説明】
図面は本発明に係る鋳鋼品の熱処理方法の実施例を示
し、第1図は熱処理工程の温度曲線、第2図は焼き入れ
工程の冷却を示す連続冷却変態曲線である。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】Ac3変態点以上の温度に加熱してその後冷
    却する焼き入れ工程と、その焼き入れ工程の後に、Ac1
    変態点よりも低い温度に加熱してその後冷却する焼き戻
    し工程とからなる炭素含有量0.3%以下の鋳鋼品の熱処
    理方法であって、 前記焼き入れ工程における冷却を、Ac1変態点の温度(A
    c1)+30℃以下で、且つ、Ac1変態点の温度(Ac1)−50
    ℃を超える冷却中間点温度(Te)まで、4〜20℃/分の
    冷却速度をとする炉中放冷と、前記冷却中間点温度(T
    e)からの水冷又は空冷との二段冷却によって行う鋳鋼
    品の熱処理方法。
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